(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-168784(P2015-168784A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】アルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤、アルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法及び包装用フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 167/02 20060101AFI20150901BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20150901BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20150901BHJP
C08G 63/12 20060101ALI20150901BHJP
C08J 7/04 20060101ALI20150901BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20150901BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20150901BHJP
C09J 171/02 20060101ALI20150901BHJP
C23C 14/14 20060101ALN20150901BHJP
【FI】
C09J167/02
B32B27/36
B32B9/00 A
C08G63/12
C08J7/04 E
B65D65/40 D
C09J11/06
C09J171/02
C23C14/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-45433(P2014-45433)
(22)【出願日】2014年3月7日
(11)【特許番号】特許第5619314号(P5619314)
(45)【特許公報発行日】2014年11月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】潮谷 和史
(72)【発明者】
【氏名】邑上 祐一郎
【テーマコード(参考)】
3E086
4F006
4F100
4J029
4J040
4K029
【Fターム(参考)】
3E086AB01
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4F100GB15
4J029AA05
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4J029AD02
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4J029BA02
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4J040ED041
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4K029AA25
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4K029CA01
4K029FA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外観、密着性に優れた複層の包装用フィルムとすることができるアルミ蒸着ポリエステルフィルム用処理剤を提供する。
【解決手段】下記の構成単位A〜Dから構成された数平均分子量5000〜15000のポリエステル樹脂と、オキサゾリン系架橋剤とを含有して成るものを用いた。構成単位A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、およびその誘導体、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から形成された構成単位、構成単位B:炭素数9〜20の3価又は4価の芳香族ポリカルボン酸から形成された構成単位、構成単位C:炭素数2〜10のアルカンジオールから形成された構成単位、構成単位D:下記の式で示されるジオール化合物から形成された構成単位
X
1:分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dから構成された数平均分子量5000〜15000のポリエステル樹脂と、オキサゾリン系架橋剤とを含有して成ることを特徴とするアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
構成単位A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から形成された構成単位
構成単位B:炭素数9〜20の3価又は4価の芳香族ポリカルボン酸から形成された構成単位
構成単位C:炭素数2〜10のアルカンジオールから形成された構成単位
構成単位D:下記の化1で示されるジオール化合物から形成された構成単位
【化1】
(化1において、
X
1:分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
【請求項2】
ポリエステル樹脂が、酸価が10〜20KOHmg/gのものである請求項1記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項3】
ポリエステル樹脂が、構成単位Aを45〜49.7モル%、構成単位Bを0.3〜5モル%、構成単位Cを45〜49.7モル%及び構成単位Dを0.3〜5モル%(合計100モル%)の割合で有するものである請求項1又は2記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項4】
ポリエステル樹脂の構成単位Bが、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及び/又は1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸から形成された構成単位である請求項1〜3のいずれか一つの項記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項5】
ポリエステル樹脂の構成単位Dが、化1中のX1が分子中に10〜20個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項6】
ポリエステル樹脂を80〜99.9質量%及びオキサゾリン系架橋剤を0.1〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る請求項1〜5のいずれか一つの項記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項7】
更に非イオン界面活性剤を含有する請求項6記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項8】
非イオン界面活性剤が、炭素数12〜18の脂肪族1価アルコールにエチレンオキサイドを付加した数平均分子量100〜1500のものである請求項7記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項9】
ポリエステル樹脂を80〜99.8質量%、オキサゾリン系架橋剤を0.1〜10質量%及び非イオン界面活性剤を0.1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有して成る請求項7又は8記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つの項記載のアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤を、ポリエステルフィルムに対し、該アルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤中のポリエステル樹脂が5〜500mg/m2となるよう塗布し、その塗布面にアルミ蒸着することを特徴とするアルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の製造方法で得られるアルミ蒸着ポリエステルフィルムのアルミ蒸着面に、ポリオレフィン系フィルムを接着剤を介して貼り合わせたことを特徴とする包装用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤、アルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法及び包装用フィルムに関する。近年、食品包装用フィルムには、ガスバリヤー性を付与するため、アルミ蒸着層を設けた複層の包装用フィルムが広く使用されている。このような包装用フィルムは、食品を包装したまま加熱調理できるという利便性から、レトルト食品でも盛んに使用されており、一般にポリエステルフィルムにアルミ蒸着を行ない、そのアルミ蒸着面にポリオレフィンフィルムを貼り合せた構造となっている。かかる複層の包装用フィルムでは、ポリエステルフィルムとアルミ蒸着層との密着力を高めるため、ポリエステルフィルムに易接着のための処理剤を塗布することが一般的に行なわれている。
【背景技術】
【0002】
従来、前記のようなアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用の処理剤として、ポリエステルとポリウレタンとを所定割合で用いた例(例えば、特許文献1参照)、ポリウレタン及び/又はポリエステルとエポキシ化合物とを用いた例(例えば、特許文献2参照)、ポリエステルとメラミン化合物とを用いた例(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかし、これら従来の処理剤には、得られるアルミ蒸着ポリエステルフィルムを用いて複層の包装用フィルムを製作し、これを殺菌等の高温の水蒸気や熱水に接触させると、複層の包装用フィルムに干渉縞が発生して外観が悪くなったり、またポリエステルフィルムとアルミ蒸着層との密着性が悪くなったりするという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平02−50837号公報
【特許文献2】特開平04−176858号公報
【特許文献3】特開平08−311221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、高温の水蒸気や熱水に接触したときでも、外観に優れ、しかも密着性に優れた複層の包装用フィルムとすることができるアルミ蒸着ポリエステルフィルム用処理剤、アルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法及び包装用フィルムを提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、アルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤としては、特定の4つの構成単位から構成された特定のポリエステル樹脂とオキサゾリン系架橋剤とを含有して成るものを用いることが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dから構成された数平均分子量5000〜15000のポリエステル樹脂と、オキサゾリン系架橋剤とを含有して成ることを特徴とするアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤に係る。また本発明は、かかるアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤を用いるアルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法に係り、更にかかる製造方法で得られるアルミ蒸着ポリエステルフィルムのアルミ蒸着面とポリオレフィン系フィルムとを接着剤を介して貼り合わせた包装用フィルムに係る。
【0007】
構成単位A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から形成された構成単位
【0008】
構成単位B:炭素数9〜20の3価又は4価の芳香族ポリカルボン酸から形成された構成単位
【0009】
構成単位C:炭素数2〜10のアルカンジオールから形成された構成単位
【0010】
構成単位D:下記の化1で示されるジオール化合物から形成された構成単位
【0011】
【化1】
【0012】
化1において、
X
1:分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0013】
先ず、本発明に係るアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤(以下、本発明の処理剤という)について説明する。本発明の処理剤は、特定のポリエステル樹脂とオキサゾリン系架橋剤とを含有して成るものであり、かかる本発明の処理剤に供するポリエステル樹脂は、前記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dから構成された数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー:ポリスチレン換算数平均分子量)が5000〜15000のものである。かかるポリエステル樹脂は、構成単位Aを形成することとなる化合物と、構成単位Bを形成することとなる化合物と、構成単位Cを形成することとなる化合物と、構成単位Dを形成することとなる化合物とを縮合重合反応させることにより得られる。かかるポリエステル樹脂の数平均分子量は5000〜15000であるが、なかでも7000〜10000が好ましい。
【0014】
構成単位Aを形成することとなる化合物としては、1)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、2)フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、ビス−2−ヒドロキシエチルフタレート、ビス−2−ヒドロキシエチルイソフタレート、ビス−2−ヒドロキシエチルテレフタラート、ビス−2−ヒドロキシエチル−2,6−ナフタレート、ビス−2−ヒドロキシエチル−1,4−ナフタレート等の炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、3)コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、α、ω−ドデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクタデセニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸、4)コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、α、ω−ドデカンジカルボン酸ジメチル、ドデセニルコハク酸ジメチル、オクタデセニルジカルボン酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、コハク酸ビス−2−ヒドロキシエチル、アジピン酸ビス−2−ヒドロキシエチル、アゼライン酸ビス−2−ヒドロキシエチル、セバシン酸ビス−2−ヒドロキシエチル、α、ω−ドデカンジカルボン酸ビス−2−ヒドロキシエチル、ドデセニルコハク酸ビス−2−ヒドロキシエチル、オクタデセニルジカルボン酸ビス−2−ヒドロキシエチル、シクロヘキサンジカルボン酸ビス−2−ヒドロキシエチル等の炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0015】
構成単位Bを形成することとなる化合物としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等の炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸が挙げられるが、なかでも1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸が好ましい。
【0016】
構成単位Cを形成することとなる化合物としては、1,2−エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール等の炭素数2〜10のアルカンジオールが挙げられる。
【0017】
構成単位Dを形成することとなる化合物は、前記した化1で示されるジオール化合物である。化1中のX
1は、分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基であるが、なかでも分子中に10〜20個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものが好ましい。
【0018】
本発明の処理剤に供するポリエステル樹脂は、以上説明した構成単位A〜Dで構成されたものであり、その構成比率に特に制限はないが、構成単位Aを45〜49.7モル%、構成単位Bを0.3〜5モル%、構成単位Cを45〜49.7モル%及び構成単位Dを0.3〜5モル%(合計100モル%)の割合で有するものが好ましい。
【0019】
また本発明の処理剤に供するポリエステル樹脂は、その酸価に特に制限はないが、酸価が10〜20KOHmg/gのものが好ましい。
【0020】
本発明の処理剤に供するポリエステル樹脂は、次の方法で合成できる。1)構成単位Aを形成することとなる炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体と、構成単位Cを形成することとなる炭素数2〜10のアルカンジオールと、構成単位Dを形成することとなる化1で示される分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールとを、公知の重合触媒の存在下でエステル交換反応させた後、高温高真空下に低分子量化合物を留去しながら縮合重合反応を行ない、その後、構成単位Bを形成することとなる炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸で解重合反応させる、エステル交換−縮合重合−解重合反応による方法、2)構成単位Aを形成することとなる炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸と、構成単位Cを形成することとなる炭素数2〜10のアルカンジオールと、構成単位Dを形成することとなる化1で示される分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールとを、公知の重合触媒の存在下でエステル化反応させた後、高温高真空下に低分子量化合物を留去しながら縮合重合反応を行ない、その後、構成単位Bを形成することとなる炭素数9〜20の3又は4価の芳香族ポリカルボン酸で解重合反応させる、エステル化反応−縮合重合−解重合反応による方法等が挙げられる。
【0021】
本発明の処理剤は、以上説明したようなポリエステル樹脂とオキサゾリン系架橋剤とを含有して成るものである。オキサゾリン系架橋剤としては、分子中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に制限されるものではないが、分子中にオキサゾリン基を有する重合体からなるものが好ましい。そのような重合体は分子中にオキサゾリン基を有するモノマーの単独重合又は分子中にオキサゾリン基を有するモノマーと他のモノマーとの共重合によって合成される。分子中にオキサゾリン基を有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することもできる。なかでも、オキサゾリン系架橋剤としては、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。また分子中にオキサゾリン基を有するモノマーと共重合することとなる他のモノマーとしては、共重合可能なモノマーであれば特に制限されるものではないが、例えば、1)アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル類、2)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類、3)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の不飽和アミド類、5)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、6)メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、7)エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、8)塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類、9)スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族モノマー類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合物して使用することができる。
【0022】
本発明の処理剤において、前記したようなポリエステル樹脂及びオキサゾリン系架橋剤の含有比率に特に制限はないが、ポリエステル樹脂を80〜99.9質量%及びオキサゾリン系架橋剤を0.1〜20質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものが好ましい。
【0023】
本発明の処理剤としては、以上説明したポリエステル樹脂及びオキサゾリン系架橋剤に加えて、更に非イオン界面活性剤を含有して成るものが好ましい。かかる非イオン界面活性剤としては、1)炭素数8〜22の脂肪族1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物、2)アルキル基の炭素数が4〜18のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物、3)炭素数8〜22の脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物、4)前記1)〜3)から選ばれる二つ以上の混合物等が挙げられる。
【0024】
本発明の処理剤において、非イオン界面活性剤としては、1)炭素数8〜22の脂肪族1価アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上を付加したもの、2)アルキル基の炭素数が4〜18のアルキルフェノールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上を付加したもの、3)炭素数8〜22の脂肪酸に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの1種又は2種以上を付加したもの等が挙げられる。
【0025】
前記のようなアルキレンオキサイド付加物の合成に供される炭素数8〜22の脂肪族1価アルコールとしては、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール等が挙げられる。また前記のようなアルキレンオキサイド付加物の合成に供されるアルキル基の炭素数が4〜18のアルキルフェノールとしては、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、ヘキサデセニルフェノール、ヘプタデシルフェノール、オクタデシルフェノール、オクタデセニルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、3,5,5−トリメチルヘキシルフェノール等が挙げられる。更に前記のようなアルキレンオキサイド付加物の合成に供される炭素数8〜22の脂肪酸としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、デカン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸、エイコセン酸、ドコサン酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0026】
前記のようなアルキレンオキサイド付加物の合成に供される炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのアルキレンオキサイドの2種以上を用いる場合、アルキレンオキサイドの付加形態としては、ランダム付加、ブロック付加、ランダム・ブロック付加が挙げられる。
【0027】
本発明の処理剤に供する非イオン界面活性剤としては以上説明したもの等が挙げられるが、なかでもドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール等の炭素数12〜18の脂肪族1価アルコールにエチレンオキサイドを付加した数平均分子量100〜1500のものが好ましい。
【0028】
本発明の処理剤において、以上説明したポリエステル樹脂、オキサゾリン系架橋剤及び非イオン界面活性剤の含有比率に制限はないが、ポリエステル樹脂を80〜99.8質量%、オキサゾリン系架橋剤を0.1〜10質量%及び非イオン界面活性剤を0.1〜10質量%(合計100質量%)の割合で含有して成るものが好ましい。
【0029】
本発明の処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で公知の添加剤を併用することもできる。かかる添加剤としては、酸化防止剤、無機粒子、有機粒子、滑剤、帯電防止剤、耐候剤、耐熱剤、染料、顔料等が挙げられる。
【0030】
本発明の処理剤の調製方法は特に制限されない。本発明の処理剤は、例えば、前記したポリエステル樹脂と用いる場合には前記した非イオン界面活性剤とを親水性有機溶媒及び水の混合溶媒に溶解し、その溶液から親水性有機溶媒を留去した後、オキサゾリン系化合物を加えて混合することにより、水分散液として調製することができる。親水性の有機溶剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低級アルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブ、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられるが、なかでもイソプロピルアルコールが好ましい。また調製する本発明の処理剤の水分散液は、長期間安定性を保持する上で、その固形分濃度が5〜40質量%となるようにするのが好ましく、これに含まれるポリエステル樹脂はその平均粒径が1μm以下としたものが好ましく、0.5μm以下としたものがより好ましい。
【0031】
次に本発明に係るアルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法(以下、本発明の製造方法という)について説明する。本発明の製造方法は、本発明の処理剤を、ポリエステルフィルムに対し、本発明の処理剤中のポリエステル樹脂が5〜500mg/m
2になるよう塗布し、その塗布面にアルミ蒸着する方法である。
【0032】
本発明の製造方法に供するポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル又はこれらの共重合ポリエステルから製膜されたポリエステルフィルムが挙げられる。
【0033】
本発明の製造方法において、本発明の処理剤を塗布するポリエステルフィルムは、結晶配向が完了する前のものを対象とするのが好ましく、したがって本発明の処理剤をポリエステルフィルムの製造工程で塗布する場合は、ポリエステル樹脂を溶融押出してキャスティングした未延伸状態のポリエステルフィルムに塗布するか、縦又は横のいずれか一方向に延伸を施した直後のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。本発明の処理剤をポリエステルフィルムに塗布するときは、塗布した塗膜を乾燥し、その後に少なくとも200℃以上の温度で2秒間以上塗膜を加熱して熱固定するのが好ましい。本発明の処理剤をポリエステルフィルムに塗布する方法としては、いずれも公知の、ロールコート法,グラビアコート法,ロールブラッシュ法,スプレーコート法,エアーナイフコート法,含浸法、カーテンコート法等が挙げられる。
【0034】
本発明の製造方法において、本発明の処理剤を塗布したポリエステルフィルムの塗布面上にアルミニウムを蒸着する方法としては、真空蒸着法等の公知の方法を用いることができる。例えば、高真空にした容器のなかで、本発明の処理剤を塗布したポリエステルフィルムの塗布面にアルミニウムを加熱蒸着させることができ、かかるアルミ蒸着は小規模のバッチ式やロール状に巻いたポリエステルフィルムに連続的に蒸着する連続式等で行なうことができる。アルミニウムを蒸着するときの加熱手段としては、電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等が挙げられる。蒸着するアルミニウムの厚さは20オングストロームから1000オングストロームの範囲とするのが好ましく、500オングストローム以下とするのがより好ましい。
【0035】
最後に本発明に係る包装用フィルム(以下、本発明の包装用フィルムという)について説明する。本発明の包装用フィルムは、本発明の製造方法により得られたポリエステルフィルムのアルミ蒸着面に、ポリオレフィン系フィルムを接着剤を介して貼り合せたものである。
【0036】
本発明の包装用フィルムにおいて、ポリオレフィン系フィルムは、ポリオレフィン系樹脂から成る単層又は多層のフィルムである。かかるポリオレフィン系樹脂としては、1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、1−オクテン等の炭素数が2〜8のα−オレフィンから選ばれる1種から得られる、ポリエチレン、ポリプロピレン等の単独重合体、2)炭素数が2〜8のα−オレフィンから選ばれる2種以上から得られる、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体等のα−オレフィン共重合体、3)エチレンと酢酸ビニルとから得られる共重合体、4)エチレンとビニルアルコールとから得られる共重合体等が挙げられる。前記2)のα−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体であって、炭素数4〜8のα−オレフィンから形成される単位の含有量が3.5〜50質量%のものが好ましい。また前記2)のα−オレフィン共重合体は、いずれも公知の高活性チーグラー触媒、メタロセン触媒等の均一系触媒などを用いて気相法、溶液重合法等により得ることができるが、なかでも密度が0.86〜0.94g/cm
3、MFRが0.01〜20g/10分であるものが好ましい。前記3)の共重合体としては、酢酸ビニルから形成される単位の含有量が1〜30重量%であって、密度が0.90〜0.95g/cm
3、MFRが0.1〜10g/10分であるものが好ましい。前記4)の共重合体としては、エチレンの共重合比率が20〜50モル%であり、密度が1.1〜1.3g/cm
3、MFRが0.5〜20g/10分であるものが好ましい。以上説明したポリオレフィン系樹脂は、2種以上のポリオレフィン系樹脂を混合して用いてもよい。
【0037】
本発明の包装用フィルムにおいて、接着剤としては、公知のものを用いることができる。これには例えば、ポリウレタン系接着剤、有機チタン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、接着性樹脂等が挙げられるが、なかでもポリウレタン系接着剤が好ましい。アルミ蒸着ポリエステルフィルムとポリオレフィン系フィルムとを接着剤により貼り合わせる方法としては、特に制限するものではなく、公知のラミネート方法により行うことができる。これには例えば、ポリオレフィン系フィルムに接着剤を塗工量が0.1〜10g/m
2(固形分)となるよう塗布し、アルミ蒸着ポリエステルフィルムのアルミ蒸着面とニップロールで貼り合せた後、30〜50℃で12〜60時間静置して、接着剤を硬化させる方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明した本発明によると、高温の水蒸気や熱水に接触したときでも、外観に優れ、しかも密着性に優れた複層の包装用フィルムとすることができるという効果がある。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、部は質量部を示し、また%は質量%を示す。
【0040】
試験区分1(ポリエステル樹脂の合成)
・ポリエステル樹脂(P−1)の合成
テレフタル酸(A−1)100.6g、イソフタル酸(A−2)83.9g、セバシン酸(A−3)25.5g、ネオペンチルグリコール(C−1)63.1g、エチレングリコール(C−2)39.2g、ポリブチレングリコール27.8g及びエステル化触媒として酢酸亜鉛(II)・二水和物0.0645gを反応容器に仕込み、反応容器内を窒素置換した後、反応容器を密閉し、200℃まで2時間かけて昇温した。更に反応容器内に副生する水を系外に除きながら240℃まで2時間かけて昇温した。その後、徐々に反応容器の圧力を常圧に戻し、250℃まで昇温して1時間エステル化反応を行ない、エステル化物を得た。次に270℃まで昇温後、徐々に反応容器内を減圧して15分後に100Paとし、同減圧下で2時間縮合重合反応を行なったところで、窒素にて常圧に戻し、250℃まで冷却した。冷却後、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸(B−1)5.3gを加え、反応容器を密閉して、窒素で0.3MPaまで加圧後、攪拌しながら1時間解重合反応を行ない、ポリエステル樹脂300gを得た。このポリエステル樹脂を分析したところ、テレフタル酸/イソフタル酸/セバシン酸から形成された構成単位Aを49.0モル%、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸から形成された構成単位Bを1.0モル%、ネオペンチルグリコール/エチレングリコールから形成された構成単位Cを49モル%及びポリブチレングリコールから形成された構成単位Dを1.0モル%の割合で有し、数平均分子量が8000、また酸価が16KOHmg/gのものであった。これをポリエステル樹脂(P−1)とした。
【0041】
・ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−12)及び(rp−1)〜(rp−4)の合成
ポリエステル樹脂(P−1)の合成と同様にして、ポリエステル樹脂(P−2)〜(P−12)及びポリエステル樹脂(rp−1)〜(rp−4)を合成した。以上の内容を表5にまとめて示した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1において、
A−1:テレフタル酸
A−2:イソフタル酸
A−3:セバシン酸
A−4:ビス−2−ヒドロキシエチルテレフタラート
A−5:アジピン酸
A−6:テレフタル酸ジメチル
A−7:イソフタル酸ジメチル
A−8:セバシン酸ジメチル
A−9:アジピン酸ジメチル
B−1:1,2,5−ベンゼントリカルボン酸
B−2:1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸
C−1:ネオペンチルグリコール
C−2:エチレングリコール
C−3:1,3−プロパンジオール
C−4:1,8−オクタンジオール
C−5:1,4−ブタンジオール
D−1:オキシテトラメチレン
D−2:オキシテトラメチレン
D−3:オキシテトラメチレン
rd−1:オキシトリメチレン
【0044】
試験区分2(アルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤の水分散液の調製)
・実施例1{処理剤(S−1)の調製}
試験区分1で合成したポリエステル樹脂(P−1)54部と、ポリエステル樹脂(P−1)の酸価16KOHmg/gの1.5等量に相当する25%アンモニア水1.6部、2−プロパノール54部、水154部及びテトラデシルアルコールのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量600)(N−1)6.0部を反応容器に仕込み、撹拌しながら80℃に加温して溶液を得た。この溶液を攪拌しながら反応容器内を加温して常圧下に水と2−プロパノール93.6部を留去した後、オキサゾリン系架橋剤水溶液(日本触媒社製の商品名エポクロスWS−700)(K−1)24部を加え、ポリエステル樹脂27.0%、架橋剤3.0%及び非イオン界面活性剤3.0%を含有する処理剤(S−1)の水分散液を得た。
【0045】
・実施例2〜13及び比較例1〜6{処理剤(S−2)〜(S−13)及び(rs−1)〜(rs−6)の水分散液の調製}
実施例1の処理剤(S−1)の調製と同様にして、実施例2〜13の処理剤(S−2)〜(S−13)及び比較例1〜6の処理剤(rs−1)〜(rs−6)の水分散液等を調製した。以上の内容を表2にまとめて示した。
【0046】
【表2】
【0047】
表2において、
P−1〜P−12,rp−1〜rp−4:試験区分1で合成したポリエステル樹脂
K−1:オキサゾリン系架橋剤(日本触媒社製の商品名エポクロスWS−700)
rk−1:エポキシ系架橋剤(ナガセケムテックス社製の商品名デナコールEM−160)
rk−2:メラミン系架橋剤(三和ケミカル社製の商品名ニカラックMX−035)
N−1:テトラデシルアルコールのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量600)
N−2:ドデシルアルコールのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量450)
N−3:オクタデシルアルコールのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量700)
N−4:ヘキサデシルアルコールのエチレンオキサイド付加物(数平均分子量500)
【0048】
試験区分3(包装用フィルムの作製及び評価)
・実施例14
厚さ200μmの無延伸ポリエステルフィルムを縦方向に3.5倍延伸した後、試験区分2で調製した処理剤(S−1)を、該処理剤(S−1)中のポリエステル樹脂が50mg/m
2となるように塗布した。95℃で10秒乾燥した後、横方向に4倍延伸し、220℃で、10秒熱固定した。処理剤(S−1)の塗布面に厚さ500オングストロームとなるようにアルミ蒸着を行ない、そのアルミ蒸着面にウレタン系接着剤(タケラックA−626/タケネートA−65(共に三井化学社製の商品名)=8/1(質量比))を固形分が3g/m
2となるように塗布し、60℃で1分乾燥した。その後、接着剤を介して厚さ50μmのエチレン・プロピレン共重合体(密度0.900g/cm
3、MFR8.0g/10分)(H−1)を貼り合せ、40℃で50時間静置して接着剤を硬化させ、包装用フィルムを得た。得られた包装用フィルムについて、外観及び密着性を下記の方法で評価した。
【0049】
・外観
包装用フィルムの外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。また包装用フィルムを100℃の水に30分又は1時間浸漬し、室温で24時間乾燥した後、熱水処理後の外観を同様の基準で評価した。
◎:1時間浸漬しても変化無し
○:30分浸漬しても変化はなかったが、1時間浸漬すると干渉縞が発生した
×:30分浸漬して干渉縞が発生した
【0050】
・易接着性
包装用フィルムを幅1.5cmの短冊状に切り取り、オートグラフAG−G型(島津製作所社製の商品名)にて処理剤塗布面とアルミ蒸着面の間で剥離し、剥離に要する力を測定して下記の基準で評価した。また包装用フィルムを100℃の水に30分浸漬し、室温で24時間乾燥した後、熱水処理後の密着性を同様の基準で評価した。
◎:5N/1.5cm以上
○:3.5N/1.5cm以上、5N/1.5cm未満
△:2N/1.5cm以上、3.5N/1.5cm未満
×:2N/1.5cm未満
【0051】
・実施例15〜26及び比較例7〜12
実施例14の包装用フィルムの作製及び評価と同様にして、実施例15〜26及び比較例7〜12の包装用フィルムの作製及び評価をした。以上の内容を表3にまとめて示した。
【0052】
【表3】
【0053】
表3において、
S−1〜S−13,rs−1〜rs−6:試験区分2で調製した処理剤
H−1:エチレン・プロピレン共重合体(密度0.900g/cm
3、MFR8.0g/10分)
H−2:エチレン・1−ヘキセン共重合体(密度0.930g/cm
3、MFR1.0g/10分)
H−3:エチレン・1−ブテン共重合体(密度0.920g/cm
3、MFR2.1g/10分)
H−4:ポリエチレン(密度0.927g/cm
3、MFR4.0g/10分)
*:処理剤中にポリエステル樹脂が分散せず、ポリエステルフィルムに塗布できなかった。
【手続補正書】
【提出日】2014年8月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
すなわち本発明は
、ポリエステルフィルムに処理剤を塗布し、その塗布面にアルミ蒸着を行なって、アルミ蒸着ポリエステルフィルムを製造するときに用いる処理剤であって、下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dから構成された数平均分子量5000〜15000のポリエステル樹脂と、オキサゾリン系架橋剤とを含有して成ることを特徴とするアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤に係る。また本発明は、かかるアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤を用いるアルミ蒸着ポリエステルフィルムの製造方法に係り、更にかかる製造方法で得られるアルミ蒸着ポリエステルフィルムのアルミ蒸着面とポリオレフィン系フィルムとを接着剤を介して貼り合わせた包装用フィルムに係る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ポリエステルフィルムに処理剤を塗布し、その塗布面にアルミ蒸着を行なって、アルミ蒸着ポリエステルフィルムを製造するときに用いる処理剤であって、下記の構成単位A、構成単位B、構成単位C及び構成単位Dから構成された数平均分子量5000〜15000のポリエステル樹脂と、オキサゾリン系架橋剤とを含有して成ることを特徴とするアルミ蒸着ポリエステルフィルム製造用処理剤。
構成単位A:炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸、炭素数8〜12の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸及び炭素数4〜22の脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から形成された構成単位
構成単位B:炭素数9〜20の3価又は4価の芳香族ポリカルボン酸から形成された構成単位
構成単位C:炭素数2〜10のアルカンジオールから形成された構成単位
構成単位D:下記の化1で示されるジオール化合物から形成された構成単位
【化1】
(化1において、
X
1:分子中に2〜30個のオキシブチレン単位で構成されたポリオキシブチレン基を有するポリブチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)