【解決手段】金属粒子が、好ましくは、銀を含む金属粒子であり、少なくとも1つのタイプの銀粉末及び少なくとも1つのタイプの銀フレークを含め、少なくとも1つのフェノール樹脂及び溶剤を含む有機ビヒクルとを含む、鉛フリーはんだ付けに適する導電性ポリマー厚膜組成物。基板の表面に、導電性ポリマー厚膜組成物を適用し、組成物を硬化して硬化膜を形成するステップと、鉛フリーはんだをを使って前記硬化膜の露出表面にはんだ付けするステップとを含む方法。
前記金属粒子が、少なくとも約0.1μm、好ましくは、少なくとも約0.5μmで、かつ、約10μm以下、好ましくは、約8μm以下、より好ましくは、約7μm以下、最も好ましくは、約5μm以下の中央粒子径d50を有する請求項1に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記組成物が、前記組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約60wt%、好ましくは、少なくとも約70wt%の金属粒子で、かつ、約95wt%以下、好ましくは、約90wt%以下の金属粒子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記金属粒子が、銀、金、白金、ニッケル、銅、それらの合金類、及びこれらの任意の組み合わせを含み、好ましくは、銀を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記組成物が、前記組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約50wt%、好ましくは、少なくとも約60wt%の銀粉末で、かつ、約90wt%以下、好ましくは、約80wt%以下の銀粉末を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記組成物が、前記組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約1wt%、好ましくは、少なくとも約3wt%の銀フレークで、かつ、約30wt%以下、好ましくは、約20wt%以下の銀フレークを含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記組成物が、前記組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約0.1wt%、好ましくは、少なくとも約0.5wt%、最も好ましくは、少なくとも約1%のフェノール樹脂で、かつ、約40wt%以下、好ましくは、約30wt%以下、最も好ましくは、約20wt%以下のフェノール樹脂を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記組成物が、前記組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約0.1wt%、好ましくは、少なくとも約0.5wt%、最も好ましくは、少なくとも約1%の溶剤で、かつ、約40wt%以下、好ましくは、約30wt%以下、最も好ましくは、約20wt%以下の溶剤を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の導電性ポリマー厚膜組成物。
前記硬化が、少なくとも100℃、好ましくは、少なくとも約120℃、最も好ましくは、少なくとも約140℃で、かつ、約200℃以下、好ましくは、約180℃以下、最も好ましくは、約160℃以下の温度で行われる請求項14に記載の方法。
前記硬化膜が、少なくとも約15ミクロン、好ましくは、少なくとも約18ミクロン、最も好ましくは、少なくとも約20ミクロンの厚さを有する請求項14又は15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、鉛フリーはんだを使ってはんだ付け可能な導電性ポリマー厚膜PTF組成物に関する。導電性PTF組成物は、電気機器アセンブリの種々の部品間に電気を流すのに十分な導電性が必要である。好ましくは、導電性PTF組成物は有機ビヒクル及び金属粒子などの導電材料を含む。有機ビヒクルは、好ましくは、少なくとも1つのフェノール樹脂を含む。
【0011】
有機ビヒクル
有機ビヒクルは、導電性の成分を基板に適用する媒体を提供する。有機ビヒクルは、所望の粘度及びレオロジーをポリマー組成物に付与し、それにより、既知の適用方法を介して組成物が基板に適用され、種々の所望のパターンが形成される。導電性PTF組成物に使われる有機ビヒクルは通常、少なくとも1つの樹脂及び少なくとも1つの溶剤を含む。有機ビヒクルは、その他の添加剤も任意に含んでよい。
【0012】
好ましい樹脂は、好ましい伝導率、印刷適性及びはんだ付け性を備えた導電性PTF組成物の形成に寄与する樹脂である。好ましい実施形態において、樹脂は熱硬化性樹脂である。好ましくは、樹脂は、FR4基板(ガラス繊維強化エポキシ積層板)などの低温基板と適合する硬化温度を有する。好ましい実施形態では、樹脂は、約200℃以下、好ましくは、約180℃以下、及び最も好ましくは、約160℃以下の硬化温度を有する。
【0013】
好ましくは、有機ビヒクルは、例えば、Durez Corporation(Addison,Texas)から市販されているVarcum29112などの少なくとも1つのフェノール樹脂を含む。フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールを含むホルムアルデヒドポリマー、及びクレゾール及びフェノールを含むポリマーを挙げることができるがこれらに限定されない。特定の理論に束縛されるものではないが、フェノール樹脂は、金属粒子を部分的に封入し、それにより、金属粒子上にはんだを受けることが可能な露出領域を残すと考えられている。
【0014】
樹脂は、PTF組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約0.1wt%、好ましくは、少なくとも約0.5wt%、最も好ましくは、少なくとも、約1wt%の量で存在してよい。同時に、樹脂は、PTF組成物の100%合計重量をベースに約40wt%以下、好ましくは、約30wt%以下、最も好ましくは、約20wt%以下の量で存在してよい。好ましい一実施形態では、PTF組成物は約10wt%の樹脂を含む。
【0015】
当該技術分野において既知の任意の溶剤をPTF組成物に使用できる。好ましい溶剤としては、極性又は非極性、プロトン性又は非プロトン性、芳香族又は非芳香族化合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、モノアルコール、ジアルコール、ポリアルコール、モノエステル、ジエステル、ポリエステル、モノエーテル、ジエーテル、ポリエーテル、少なくとも1つ又は複数のこれらの範疇の官能基を含む溶剤、任意選択で他の範疇の官能基を含む溶剤、好ましくは、環状基、芳香族基、不飽和結合、ヘテロ原子(N原子などの)で置換された1つ又は複数のO原子を有するアルコール基、ヘテロ原子(N原子などの)で置換された1つ又は複数のO原子を有するエーテル基、ヘテロ原子(N原子などの)で置換された1つ又は複数のO原子を有するエステル基を含む溶剤、及び2つ以上の前述の溶剤の混合物であってもよい。上述のような状況で好ましいエステルとしては、アジピン酸のジアルキルエステルが挙げられ、アルキル成分には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びさらに高級なアルキル基又は2つの異なるこのようなアルキル基の組み合わせが好ましく、従って、アジピン酸ジメチル、及び2つ以上のアジピン酸エステルの混合物が好ましいが、これらに限定されない。上述のような状況で好ましいエーテルとしては、エチレングリコールのジアルキルエーテルなどのジエーテル及び2つのジエーテルの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。エチレンのジアルキルエーテルのアルキル成分は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びさらに高級なアルキル基又は2つの異なるこのようなアルキル基の組み合わせであってよい。上述の状況で好ましいアルコールとしては、一級、二級及び三級アルコール、好ましくは三級アルコール(テルピネオール及びその誘導体が好ましい)、又は2つ以上のアルコールの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上の官能基と結合している好ましい溶剤としては、(i)2,2,4ートリメチル−1,3ーペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノールと呼ばれる場合が多い)及びその誘導体、(ii)2−(2−エトキシエトキシ)エタノール(カルビトールとしても知られる)、そのアルキル誘導体、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルカルビトール、好ましくはヘキシルカルビトール又はブチルカルビトール、及びそのアセテート誘導体、好ましくはブチルカルビトールアセテート、又は(iii)前述の少なくとも2つの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、ブチルカルビトールアセテートが使われる。
【0016】
一実施形態では、PTF組成物は、PTF組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約0.1wt%の溶剤、好ましくは、少なくとも約0.5wt%の溶剤、最も好ましくは、少なくとも、約1wt%の溶剤を含む。同時に、溶剤(類)は、PTF組成物の100%合計重量をベースに、約40wt%以下、好ましくは、約30wt%以下、最も好ましくは、約20wt%以下の量で存在してよい。好ましい一実施形態では、PTF組成物は約10wt%の溶剤(類)を含む。
【0017】
有機ビヒクルは、1つ又は複数の添加物を含んでもよい。ビヒクル中の好ましい添加物は、上述のビヒクル成分とは異なるもので、導電性PTF組成物の好ましい粘度及びレオロジーに寄与するものである。好ましい添加物としては、粘度調節剤、安定化剤、無機添加物、増粘剤、硬化剤、希釈剤、乳化剤、分散剤、可塑剤、pH調節剤、及び前述のいずれかの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
一実施形態では、有機ビヒクルは、1つ又は複数の界面活性剤及び/又はチキソトロープ剤を含んでもよい。これらの成分は、導電性PTF組成物の粘度及び印刷適性の改善に寄与する。当技術分野において既知で、本発明の状況に適すると見なされる全ての界面活性剤は、有機ビヒクル中の界面活性剤として用いることができる。好ましい界面活性剤としては、直鎖、分枝鎖、芳香族鎖、フッ素化鎖、シロキサン鎖、ポリエーテル鎖、及びこれらの組み合わせをベースにしたものが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい界面活性剤としては、単鎖、二鎖、又は多鎖が挙げられるが、これらに限定されない。好適な界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両親媒性、又は双性イオン性化合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい界面活性剤としては高分子又は単量体又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい界面活性剤は、色素親和性基を有してもよく、色素親和性基を有するヒドロキシ官能性カルボン酸エステル(例えば、DISPERBYK(登録商標)−108(BYK USA,Inc.製))、DISPERBYK(登録商標)−110(BYK USA,Inc.製)、色素親和性基を有するアクリレートコポリマー(例えば、DISPERBYK(登録商標)−116(BYK USA,Inc.製))、色素親和性基を有する変性ポリエーテル(例えば、TEGO(登録商標)DISPERS 655(Evonik Tego Chemie GmbH))、又はその他の高色素親和性の基を有する界面活性剤(例えば、TEGO(登録商標)DISPERS 662C(Evonik Tego Chemie GmbH製))が好ましい。その他の好ましいポリマーとしては、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ならびに、アルキルカルボン酸及びこれらの誘導体もしくは塩、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいポリエチレングリコール誘導体は、ポリ(エチレングリコール)酢酸である。好ましいアルキルカルボン酸は、完全飽和及び不飽和アルキルの単鎖もしくは多鎖を有するもの、又はこれらの混合物である。飽和アルキル鎖を有する好ましいカルボン酸は、約8〜20炭素原子の範囲のアルキル鎖長を有するもので、好ましくは、C
9H
19COOH(カプリン酸)、C
11H
23COOH(ラウリン酸)、C
13H
27COOH(ミリスチン酸)C
15H
31COOH(パルミチン酸)、C
17H
35COOH(ステアリン酸)又はこれらの混合物である。不飽和アルキル鎖を有する好ましいカルボン酸としては、C
18H
34O
2(オレイン酸)及びC
18H
32O
2(リノール酸)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい単量体界面活性剤は、ベンゾトリアゾール及びその誘導体である。
【0019】
界面活性剤は、有機ビヒクルの100%合計重量をベースに、少なくとも約0.01wt%、の量で存在してよい。同時に、界面活性剤は、好ましくは、有機ビヒクルの100%合計重量をベースに、約10wt%以下、好ましくは、約8wt%以下、最も好ましくは、約6wt%以下の量で存在してよい。
【0020】
チキソトロープ剤は、基板表面上に堆積した場合にPTF組成物が過度に広がるのを防止し、所望の膜厚を実現するのを容易にする。チキソトロープ剤は、ずり減粘性挙動を生じさせ、これにより印刷適性を改善する。当該技術分野において既知のその他の成分と相溶性がある溶剤及び樹脂成分を含むいずれのチキソトロープ剤も使用可能である。好ましいチキソトロープ剤としては、カルボン酸誘導体、好ましくは、脂肪酸誘導体又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい脂肪酸誘導体としては、飽和及び不飽和の脂肪酸、例えば、C
8〜C
20脂肪酸、例えば、C
9H
19COOH(カプリン酸)、C
11H
23COOH(ラウリン酸)、C
13H
27COOH(ミリスチン酸)、C
15H
31COOH(パルミチン酸)、C
17H
35COOH(ステアリン酸)、C
18H
34O
2(オレイン酸)、C
18H
32O
2(リノール酸)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記状況で脂肪酸を含む好ましい組み合わせは、ヒマシ油である。追加のチキソトロープ剤としては、Thixatrol(登録商標)ST、Thixatrol(登録商標)PLUS、及びThixatrol(登録商標)MAX(Elementis Specialties,Inc.製)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、PTF組成物は、少なくとも1つのチキソトロープ剤、例えば、BYK Additives Inc.(Austin,Texas)、から入手可能なBYK(登録商標)−410(1−メチル−2−ピロリドン及び塩化リチウムを含む)を含む。これらの成分は、溶剤及び/又は溶剤/樹脂混合物に組み込んでもよく、又はPTF組成物中に直接に添加してもよい。
【0021】
チキソトロープ剤は、好ましくは、導電性PTF組成物の100%合計重量をベースに、導電性PTF組成物の少なくとも約0.1wt%である。同時に、チキソトロープ剤は、好ましくは、導電性PTF組成物の100%合計重量をベースに、導電性PTF組成物の約2wt%以下、好ましくは、約1.5wt%以下、最も好ましくは、約1wt%以下である。
【0022】
一実施形態では、導電性PTF組成物は、基材上に厚膜層を形成するのに十分な粘度を有する。特に指示がない限り、粘度は、Brookfield(登録商標)Model DV−III Programmable Rheometerを使って測定される。具体的には、試料は、6Rユーティリティカップ中でSC4−14スピンドルを使って測定される。測定は10RPMで1分経過後行われる。一実施形態では、導電性PTF組成物は、少なくとも約10kcPsの粘度、好ましくは、少なくとも約30kcPsの粘度を有する。同時に、ポリマーは、好ましくは、約250kcPs以下の粘度、好ましくは、約200kcPs以下の粘度を有する。
【0023】
導電性金属粒子
PTF組成物は、導電性成分をさらに含む。導電性の成分は、当業者に既知の例えば、導電性の金属粒子などのいずれの導電性粒子を含んでもよい。当該技術分野において既知の全ての金属粒子、及び本発明の状況において適切であると考えられる金属粒子をPTF組成物中の金属粒子として採用できる。好ましい金属粒子は、高伝導率を示し、鉛系の及び/又は鉛フリーはんだを使ってはんだ付け可能なものである。好ましい金属粒子は、元素金属、合金、金属誘導体、少なくとも2つの金属の混合物、少なくとも2つの合金の混合物、又は少なくとも1つの金属と少なくとも1つの合金との混合物である。
【0024】
一実施形態では、金属粒子は、銀、金、白金、ニッケル、銅、それらの合金、ならびにこれらの任意の組み合わせの内の少なくとも1つを含む。好ましい実施形態では、金属粒子は銀を含む。好適な銀誘導体としては、例えば、銀合金、及び/又はハロゲン化銀(例えば、塩化銀)、硝酸銀、酢酸銀、トリフルオロ酢酸銀、オルトリン酸銀、などの銀塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、金属粒子には、1つ又は複数の異なる金属又は合金でコーティングした金属又は合金、例えば、アルミニウムでコーティングした銀粒子が含まれる。
【0025】
金属粒子は、種々の形状、サイズ、及びコーティング層を示してもよい。多数の形状が当技術分野において既知である。いくつかの例としては、球状、角形、細長い(ロッド又は針状)及び平たい(シート状、フレーク状)形状などが挙げられる。金属粒子は、異なる形状の粒子の組み合わせとして存在してもよい(例えば、球状とフレーク)。伝導率、印刷適性、及びはんだ付け性の改善に好都合な形状、又は形状の組み合わせを有する金属粒子が好ましい。粒子の表面の性質を考慮せずにこのような形状の特性を明らかにする1つの方法は、パラメータ:長さ、幅及び厚さを使って行う方法である。本発明の状況において、粒子の長さは、両端が粒子内に収まる最大長の空間変位ベクトルの長さによって与えられる。粒子の幅は、上記定義の長さベクトルに垂直の、両端が粒子内に収まる最大長の空間変位ベクトルの長さによって与えられる。粒子の厚さは、上記定義の長さベクトルと幅ベクトルに垂直の、両端が粒子内に収まる最大長の空間変位ベクトルの長さによって与えられる。
【0026】
一実施形態では、可能な限り均一な形状を有する金属粒子が好ましい(すなわち、長さ、幅及び厚さに関連する比率が可能な限り1に近く;好ましくは少なくとも0.7、より好ましくは少なくとも0.8、最も好ましくは少なくとも0.9であり、また、好ましくは約1.5以下、好ましくは約1.3以下、最も好ましくは約1.2以下である)。この実施形態における金属粒子として好ましい形状の例は、球体及び立方体、又はこれらの組み合わせ、又はこれらの1つ又は複数とその他の形状との組み合わせである。別の実施形態では、低均一性の形状の金属粒子が好ましく、長さ、幅及び厚さの寸法を関連付ける比率の少なくとも1つが、好ましくは約1.5超、より好ましくは約3超、最も好ましくは約5超である。この実施形態による好ましい形状は、フレーク形状、ロッドもしくは針形状、又はフレーク形状、ロッドもしくは針形状とその他の形状との組み合わせである。
【0027】
別の関連する金属粒子の特性は、中央粒子径d
50である。中央粒子径d
50は、当業者に既知の粒子特性である。D
50は、粒度分布の中央粒径又は中央値である。これは、累積分布の50%の位置の粒径の値である。粒度分布は、レーザー回折、動的光散乱、画像処理、電気泳動的光散乱、又は当該技術分野において既知の任意の他の方法を使って測定できる。本明細書において記述するように、LA−910ソフトウェアプログラムでコンピュータに連結された堀場LA−910レーザー回折粒径分析器を使って金属粒子の中央粒子径が測定される。金属粒子の相対屈折率は、LA−910のマニュアルから選択し、ソフトウェアプログラムに入力される。測定チャンバのタンクの正確な充填ラインまで脱イオン水を入れる。その後、ソフトウェアプログラムの循環と撹拌機能を使って溶液を循環させる。1分後、溶液を排水する。これをさらに繰り返し、全ての残留物が確実にチャンバにないようにする。次に、チャンバに3回目の脱イオン水を満たし、1分間循環と撹拌を行わせる。ソフトウェアのブランク機能を使って溶液中の全てのバックグラウンド粒子を除去する。その後、超音波撹拌を開始し、透過率バーがソフトウェアプログラムの適正なゾーン内に入るまで、測定チャンバ溶液に金属粒子をゆっくり添加する。透過率が正しいレベルになると、レーザー回折分析を作動させ、金属成分の粒度分布を測定し、d
50として結果を取得する。
【0028】
金属粒子の中央粒子径d
50は、少なくとも約0.1μm、好ましくは、少なくとも約0.5μm、最も好ましくは、少なくとも約2.5μmである。同時に、d
50は、好ましくは、約10μm以下、好ましくは、約8μm以下、より好ましくは、約7μm以下、最も好ましくは、約5μm以下である。
【0029】
金属粒子の形状及び表面の特性を示す別の方法は、比表面積によるものである。比表面積は、単位質量、固相もしくはバルク体積又は断面積当たりの材料の合計表面積に等しい固体の性質である。比表面積は、表面積/質量(m
2/g又はm
2/kgの単位)、又は表面積/体積(m
2/m
3又はm
−1の単位)で定義される。粒子の比表面積の最低値は、平滑表面を有する球により実現される。形状の均一性や不規則性が小さくなるほど、比表面積はより大きくなるであろう。
【0030】
比表面積(表面積/単位質量)は、当該技術分野において既知であるBET(Brunauer−Emmett−Teller)法により測定できる。具体的には、BETの測定は、DIN ISO 9277:1995に準拠して行われる。SMART法(適応的添加率による吸着方法(Sorption Method with Adaptive dosing Rate))に従って動作するMonosorb Model MS−22装置(Quantachrome Instruments製)を使って測定が行われる。基準材料として、酸化アルミニウム(表面積基準材料(Cat.No.2003)として、Quantachrome Instrumentsから入手可能)が使用される。内蔵脱ガスステーション中で分析用試料が調製される。流動ガス(30%N
2及び70%He)を使って不純物を吹き飛ばし、吸着用の清浄面を得る。設置された加熱マントルを使って、ユーザーが選択可能な温度に試料を加熱できる。デジタル温度制御及びディスプレイを装置のフロントパネルに取り付ける。脱ガス完了後に、試料セルを分析ステーションに移す。移動中に迅速接続継ぎ手により自動的に試料セルがシールされ、その後、システムが起動し分析を開始する。冷却剤で満たされたジュワービンを手動で上昇させ、試料セルを浸漬し、吸着を起こさせる。吸着が完了する時間(2〜3分)を装置が検知し、ジュワービンを自動的に下げ、内蔵の温風送風機を使って、ゆっくりと試料セルを加熱して室温に戻す。その結果、脱着された気体の信号がデジタルメーター上に表示され、フロントパネルディスプレイ上に表面積が直接表示される。全体測定(吸着と脱着)サイクルは、通常、6分未満で済む。この技術では、吸着と脱着の進行と共に吸着質/不活性キャリアガス混合物の濃度の変化を測定する高感度の熱伝導率検出器が使われる。オンボードエレクトロニクスにより加え合わされ、検量線と比較されて、検出器は、吸着又は脱着されたガスの容積を与える。吸着性測定のために、77Kで0.162nm
2の分子断面積を有するN
2 5.0を計算に使用する。1点分析を行い、内蔵マイクロプロセッサにより直線性を確保して、試料のBET表面積(m
2/g)を自動的に計算する。
【0031】
金属粒子は、好ましくは、少なくとも約0.01m
2/g、好ましくは、少なくとも約0.2m
2/gの比表面積を有する。同時に、比表面積は、好ましくは、約10m
2/g以下、より好ましくは、約8m
2/g以下、より好ましくは、約6m
2/g以下、最も好ましくは、約5m
2/g以下である。
【0032】
金属粒子のさらに別の特性は、試料の圧縮後の粉末のタップ密度、又はかさ密度である。タップ密度は、J.Engelsmann AG(Ludwigshafen am Rhein,Germany)から市販されているJEL Stampfvolumeter STAV 2003を使って測定できる。所定の量の金属粒子を100mlのビーカー中に秤取する。その後、漏斗を使って粒子をメスシリンダー中に注ぎ込み、シリンダーをタッピングマシン上に配置する。システムが始動すると、装置は圧縮を開始し、3,001サイクルで自動的に停止する。シリンダーの高容積及び低容積を読み取り、平均を計算する。次にシリンダーに入れられた金属粒子の重量(g)を平均容積で除算してタップ密度を決定する。
【0033】
好ましい実施形態では、金属粒子のタップ密度は、少なくとも約0.5g/cm
3、好ましくは、少なくとも約1g/cm
3、最も好ましくは、少なくとも約1.5g/cm
3である。同時に、タップ密度は、好ましくは、約10g/cm
3以下、好ましくは、約7g/cm
3以下、最も好ましくは、約6g/cm
3以下である。一実施形態では、2つのタイプの(上記範囲内の)異なるタップ密度を有する金属粒子が使われる。
【0034】
好ましい実施形態では、導電性PTF組成物は、少なくとも1つのタイプの銀粒子を含む。異なるタイプの銀粒子の混合物がより好ましい。好ましい一実施形態では、導電性PTF組成物は、少なくとも1つの銀粉末を含む。別の好ましい実施形態では、PTF組成物は、少なくとも1つの銀粉末及び少なくとも1つの銀フレークを含む。特定の理論に束縛されるものではないが、銀粉末の存在がPTF組成物のはんだ付け性を改善し、一方、銀フレークの存在がPTF組成物の伝導率を改善すると考えられている。
【0035】
一実施形態では、銀粉末は、好ましくは、少なくとも約2μmで、約4μm以下のd
50を有する。最も好ましい実施形態では、銀粉末は、少なくとも、2.5μmのd
50を有する。さらに、銀粉末は、好ましくは、少なくとも約0.1m
2/gで、約0.5m
2/g以下の比表面積を有する。最も好ましい実施形態では、銀粉末は、約0.3m
2/gの比表面積を有する。
【0036】
銀フレークに関しては、好ましいd
50は、少なくとも約2μmで、約4μm以下である。最も好ましい実施形態では、銀フレークは、約3.5μmのd
50を有する。さらに、銀粉フレークは、好ましくは、少なくとも約1m
2/gで、約3m
2/g以下の比表面積を有する。最も好ましい実施形態では、銀フレークは、約2m
2/gの比表面積を有する。特定の理論に束縛されるものではないが、上記で言及の特性を有する銀粉末及び銀フレークの両方の包含により導電性PTF組成物のはんだ付け性が改善されると考えられている。
【0037】
好ましい伝導率、印刷適性、及びはんだ付け性に寄与する追加の成分も同様に含めることができる。例えば、金属粒子が、表面コーティングと一緒に共存してもよい。当該技術分野で既知で、本発明の状況において適切であると考えられる全てのコーティングを金属粒子上に採用可能である。好ましいコーティングは、得られた導電性PTF組成物の接着特性を促進するコーティングである。このようなコーティングが存在する場合、コーティングは、金属粒子の100%合計重量をベースに、約10wt%以下、好ましくは、約8wt%以下、最も好ましくは、約5wt%以下であるのが好ましい。好ましい実施形態では、金属粒子は、疎水性コーティングを含む。疎水性コーティングは、例えば、ステアリン酸又はオレイン酸などの飽和又は不飽和の脂肪酸(例えば、C
12〜C
24脂肪酸)を含んでもよい。
【0038】
一実施形態では、導電性PTF組成物は、PTF組成物の100%合計重量をベースに、少なくとも約60wt%の金属粒子、好ましくは、少なくとも約70wt%の金属粒子を含む。同時に、導電性ポリマーは、PTF組成物の100%合計重量をベースに、約95wt%以下の金属粒子、好ましくは、約90wt%以下の金属粒子を含む。好ましい実施形態では、PTF組成物は、少なくとも75wt%で、約85wt%以下の金属粒子を含む。少なくとも1つの銀粉末と少なくとも1つの銀フレークとの組み合わせが使われる場合、PTF組成物は、PTF組成物の100%合計重量をベースに、好ましくは、少なくとも約50wt%の銀粉末、及び好ましくは、少なくとも約60wt%の銀粉末を含む。同時に、PTF組成物は、好ましくは、約90wt%以下の銀粉末、好ましくは、約80wt%以下の銀粉末を含む。銀フレークに関しては、PTF組成物は、PTF組成物の100%合計重量をベースに、好ましくは、少なくとも約1wt%の銀フレーク、好ましくは、少なくとも約3wt%の銀フレークを含む。同時に、PTF組成物は、好ましくは、約30wt%以下の銀フレーク、好ましくは、約20wt%以下の銀フレークを含む。
【0039】
好ましい実施形態では、PTF組成物は、(i)少なくとも2.5μmの中央粒子径d
50を有する少なくとも1つのタイプの銀粉末であって、疎水性コーティングを有する銀粉末粒子と、(ii)少なくとも1つの銀フレークと、(iii)少なくとも1つのフェノール樹脂を含む有機ビヒクルとを含む。
【0040】
導電性PTF組成物の形成
導電性PTF組成物を形成するために、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して有機ビヒクルの成分を混合し、導電性PTF組成物が調製される。該方法は、好ましくは、均質に分散した組成物を生ずる。一実施形態では、導電性の金属粒子が有機ビヒクルに加えられ、当該技術分野において既知の任意の方法、例えば、ミキサーを使って混合され、好ましくはその後粉砕されて、例えば、三本ロールミルを通して分散された均一な組成物が形成される。
【0041】
はんだ付け方法
本発明の導電性PTF組成物は、鉛フリーはんだ付け技術に有用であるが、鉛系のはんだ付けにも同様に使用可能である。
【0042】
導電性PTF組成物は、例えば、スクリーン印刷、ステンシル印刷、タンポン印刷、ノズルからの塗布、インクジェット印刷、吹付け、ロールツーロールプロセス、例えば、グラビア、オフセットグラビア、及びこれらの任意の組み合わせなどのいずれかの既知の適用方法を使って基板の少なくとも1つの表面に適用できる。好ましい実施形態では、PTF組成物は、スクリーン印刷又はドクターブレード法により基板に適用される。PTF組成物は、一層又は多層に印刷して、所望の厚さの導電層を形成できる。ポリマー組成物は、マルチパスで印刷でき、それにより、各層は、その次の層が印刷される前に乾燥される。好ましくは、硬化厚膜は、少なくとも約15ミクロン、好ましくは、少なくとも約18ミクロン、最も好ましくは、少なくとも約20ミクロンの厚さを有する。硬化厚膜の厚さは、用途、基板、及びアセンブリ側の要求に依存する。
【0043】
当業者に既知で、いずれかの特定の電子用途での使用に適するどの基板(シリコン基板など)も使用可能である。一実施形態では、基板は、ガラス、セラミック、ポリマー、金属、又はこれらの任意の組み合わせから形成できる。このような実施形態に限定されないが、基板は、ガラス基板又はアルミニウム基板であってよい。別の実施形態では、基板は、ポリエチレンテレフタレートから形成されてよい。好適な基板は、温度上の制約又は機械的性質などの因子に基づいて選択されてよい。
【0044】
導電性PTF組成物が基板に適用されるとすぐに、加熱してポリマーが硬化され、硬化厚膜が形成されるのが好ましい。一実施形態では、PTF組成物は、少なくとも約100℃、好ましくは少なくとも約120℃、最も好ましくは約140℃の温度で硬化される。同時に、PTF組成物は、好ましくは、約200℃以下、好ましくは、180℃以下、最も好ましくは、約160℃以下の温度で硬化される。PTF組成物は、好ましくは、少なくとも約5分間、好ましくは、少なくとも約10分間、最も好ましくは、少なくとも約15分間硬化される。同時に、PTF組成物は、好ましくは、約60分間以下、好ましくは、約50分間以下、最も好ましくは、約40分間以下で硬化される。好ましい一実施形態では、PTF組成物は、150℃約30分間硬化される。
【0045】
次に、電子部品を硬化厚膜の露出面に直接はんだ付けしてもよい。限定されないが、スズ、銅、銀、ビスマス、インジウム、亜鉛、アンチモン、及びこれらの合金などの当該技術分野において既知のいずれのはんだ材料もはんだとして使用できる。好ましい実施形態では、鉛フリーはんだ材料が使われる。本発明で使用する場合、用語の「鉛フリー」は、一般に、約0.5wt%未満(例えば、約0.1wt%未満)の鉛を含む材料に関する。このように、例えば、リード線、ワイヤ、リボン、シート、又はこれらの任意の組み合わせなどの電子部品を厚膜層に直接はんだ付けできる。例えば、チップ、抵抗器、LEDアセンブリ、コンデンサ、アンテナ、電気自動車パワーデバイス、電池、燃料電池、又はこれらの任意の組み合わせなどのその他の電子部品も同様に厚膜層にはんだ付けできる。一実施形態では、はんだ付けは、少なくとも230℃で、約250℃以下の温度で行われる。
【0046】
接着性能を測定して、電子部品(例えば、リード線)が厚膜層によくはんだ付けされているかどうかを判定できる。特に指示がない限り、PTF層の接着性能は、Zwick GmbH & Co.KG.から入手可能なZwick Roell Z25 Testing Station装置を使って標準的引抜力試験に従って測定される。試験片を調製するために、試験用リード線(はんだメッキ銅60/40スズにより形成)を最初に超音波で浄化する。試験パッド(80ミルの導電性の接着パッド)を試験片上に堆積させる。次に、試験片を固定治具中に配置し、はんだディッパーの試験アーム中に挿入する。試験パッドを615フラックスに浸漬後、230℃で3秒間SAC305はんだ(AIM Solder(Montreal,Quebec)から入手可能)に浸漬してパッドを完全にコーティングする。試験用リード線を80ミルパッドに垂直に保持し、糸はんだを加えて、約235℃の温度ではんだごてを使ってはんだをプレティンパッド上で再溶融する。試験用リード線を保持しながら、はんだごてを取り除き、はんだが再固化すると、リード線を開放する。その後、適切な溶剤を使ってはんだ接合部を洗浄するが、好ましくは、部品をその溶剤に数分間浸漬した後、柔らかいブラシで静かに接合部を洗浄する。
【0047】
引抜力試験を行うために、各リード線を約2インチに切断し、Zwick試験機のグリップに留める。試験パッドから離れるまで各リード線を基板の垂直方向に引っ張る。グリップ間隔を約1.5インチにして、アームの動きを400mm/分の一定速度に設定する。引抜力(ニュートン)として、リード線が試験パッドから離れる力が得られる。通常、約8ニュートン以上の引抜力が好ましい。
【0048】
さらに、硬化ポリマー厚膜のはんだ付け性も同様に目視で評価できる。この試験では、硬化厚膜層は、最初に615フラックスに浸漬され、その後、SAC305はんだのはんだ浴に235℃で約5秒間浸漬される。次に、導電性PTF組成物の40ミルパッドのはんだ付け性が目視で評価され、それにより、パッドが完全にはんだで被覆されてディウェッティングがほとんどない場合、良好なはんだ付け性が観察される。具体的には、PTF層の上に光沢のあるはんだ層が認められるパッドは、良好なはんだ付け性を示し、一方、艶がないマットグレイ面のパッドは金属成分の滲出が起こり、はんだ付けされない面が残されている。
【0049】
PTF層が十分な電気的性能を有することを確保するために、標準的電気試験を行うこともできる。最初、基板上にPTF組成物の100個の正方形蛇行パターンを印刷する。硬化後、Agilent Technologies Inc.(Santa Clara,California)から市販されているAgilient 34401A 6
1/
2 Digital Multimeterを使って、各PTF層(電極)を検出する。マルチメーターは、印刷された蛇行パターン層のシート抵抗値を与え、抵抗(伝導率)は、印刷層の厚さをその長さと厚さで正規化した計算値である。
【0050】
ここで本発明を次の非制限的実施例によって説明する。
【0051】
実施例1
10種のはんだ付け可能なPTF組成物を下表1に記述の材料を使って調製した。各組成物のフェノール樹脂は、Vaccum29112(Durez Corporation(Addison,Texas)から市販)、溶剤は市販の酢酸ブチルカルビトールを使用した。全ての量は、合計PTF組成物の重量パーセントで示される。各PTF組成物には、種々の中央粒子径d
50及び比表面積(SSA)を有する銀粉末又は銀フレークを含めた。
【表1】
【0052】
次に、ドクターブレード法を使って各PTF組成物をFR4基板(ガラス繊維強化エポキシ積層板)に適用した。2ミルテープを基板の両側に貼り付け、約0.75インチのFR4基板の非遮蔽表面積を残した。少量のPTF組成物をテープの間に加え、ブレードを使ってテープ片の間のPTF組成物を平らにした。その後、テープを取り除き、平らな2ミル厚層のウエットPTF組成物を残した。次に、各基板を、箱形炉中、150℃で約30分間硬化した。硬化が完了すると、各部を615フラックスに浸漬し、次いでSAC305のはんだ浴中に235℃で5秒間浸漬した。その後、はんだ付け性を目視で評価し、銀が表面から滲出しないではんだが受けられていることを確認した。各はんだ付け部の写真を
図1に示す。具体的には、PTF層の上面に光沢のあるはんだ層を示す部品は良好なはんだ付け性を表す。艶がないマットグレイの面を示す部品は、銀成分の浸出があったものであり、はんだ付けされていない面が残された。次に、はんだ付け性のレベルを「+/−」スケールで評価し、それに従い、「−」は、はんだ付け性不良を意味し、「+」は、平均的はんだ付け性を意味し、「++」は、良好なはんだ付け性を意味する。結果を表2に記載する。
【表2】
【0053】
実施例2
導電性PTF組成物を下表3に記載の出発材料を使って調製した。使用成分は次の通り:フェノール樹脂及び溶剤#1は、実施例1で使用したものと同じとした;ポリイミド樹脂は、Alfa Aesar(Ward Hill,Massachusetts)で市販の14%のポリイミド樹脂と、26%のガンマブチロラクトンと、60%のテトラメチレンスルホンの混合物とした;エポキシは、Epoxy Technology,Inc.(Billerica,Massachusetts)から市販されている未充填エポキシEpo−Tek(登録商標)H61−110とした;溶剤#2は、ガンマブチロラクトンとした;硬化剤は、三フッ化ホウ素・モノエチルアミンとした;希釈剤は、Emerald Performance Materials(Moorestown,New Jersey)から市販されているErisys(商標)GE−21とした;及びチキソトロープ剤は、BYK Additives,Inc.(Austin,Texas)から市販されているBYK(登録商標)−410とした。銀フレーク及びポリイミド/エポキシ樹脂を含む対照を配合し、また、全ての例示組成物を、銀粉末及び銀フレーク、ならびにフェノール樹脂を組み合わせて配合した。全ての量は、合計PTF組成物の重量パーセントで示される。
【表3】
【0054】
これらのPTF組成物のそれぞれは、その後、280メッシュスクリーンを使ってFR4基板上にスクリーン印刷され、40ミルパッドを形成した。PTF層を箱形炉中、150℃で約30分間硬化した。次に、上記実施例1に記載のパラメータに従って目視検査用の試験試料を調製した。各はんだ付け部の写真を
図2と
図3に示す。写真から分かるように、組成物P11、P12及びP14は、良好なはんだ受容性を示す。
図3に示すように、P15は、ほぼ完全な銀成分の滲出を示し、完全に使用不能のパッドが残された。はんだ付け性は、完全に(又は完全に近い)はんだ受容性を示すパッドの数を、パッドの合計数(40)で除算したパーセンテージとして計算した。不完全なはんだ受容性は、欠落したはんだ付け領域又は変形した領域があるように見えるパッドで認められる。結果を下表4に記載する。
【0055】
これらの試験試料(使用不能パッドが残ったP15を除いて)のそれぞれについて、本明細書に記載のパラメータに従って、引抜力試験を行った。引抜力試験の結果を下表4に記載する。銀粉末、銀フレーク、及びフェノール樹脂の組み合わせを含む代表的PTF組成物P14は、最良の接着性能及びはんだ受容性を示した。
【表4】
【0056】
また、代表的PTF組成物のそれぞれに対し、本明細書で記載のパラメータに従って標準的電気試験も行った。結果を下表4に記載する。代表的PTF組成物P14は、優れた伝導率を示し、組成物P11及びP13は、最低の抵抗値を示した。
【表5】
【0057】
本発明のこれら及び他の利点は、前述の明細書から当業者には明白であろう。従って、当業者なら、本発明の広範囲の発明概念を逸脱することなく、上記実施形態に対する変更又は修正を行うことができることを認めるであろう。いずれかの特定の実施形態の特定の寸法は、例示の目的のみで記載されている。従って、本発明は、本明細書で記載される記載した特定の実施形態に限定されることなく、本発明の精神及び範囲内にある全ての変更と修正を包含することが意図されていることを理解されたい。