特開2015-16884(P2015-16884A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-16884(P2015-16884A)
(43)【公開日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】保温・保冷カバー
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20141226BHJP
【FI】
   B65D81/38 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-144233(P2013-144233)
(22)【出願日】2013年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】大岩 学史
(72)【発明者】
【氏名】松本 英俊
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA24
3E067AC03
3E067AC16
3E067BA09A
3E067BA17
3E067BB14
3E067BC06
3E067BC07
3E067CA18
3E067EE38
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA11
3E067GD01
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】コンテナボックスの段数が最大段数よりも少ない場合にも保温・保冷カバーの高さ位置を維持し、作業性を良好にできる保温・保冷カバーの提供を目的とする。
【解決手段】カバー本体11で覆われているコンテナボックス81の段数が、カバー本体で覆うことが可能な最大段数よりも少ない場合に、カバー本体の両側面の係止部材17、19と係合している高さ位置維持ベルト51A、51Bを、カバー本体内に残存するコンテナボックス81の上端81Bよりも上方部分でカバー本体の両側面の係止部材から剥がし、高さ位置維持ベルト51A、51Bの剥がした部分をコンテナボックス51の上端81bで重ね、該重ねた部分の係止部材53A、55Bを係合させて両方の高さ位置維持ベルト51A、51Bを連結することにより、カバー本体11がずり落ちるのを防止する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車上に収納されたコンテナボックスを覆う保温・保冷カバーにおいて、
両側面と背面と天井面と開閉可能な前面とで構成された可撓性のカバー本体と、
前記カバー本体の高さ位置維持ベルトとよりなり、
前記カバー本体の両側面の内面には、上下方向に沿って係止部材がそれぞれ固定され、
前記高さ位置維持ベルトは、前記カバー本体の一方の側面用と他方の側面用の2本設けられ、
前記両方の高さ位置維持ベルトは、それぞれベルト基材の片面に前記カバー本体の側面の係止部材と係合可能な係止部材が設けられていることを特徴とする保温・保冷カバー。
【請求項2】
前記高さ位置維持ベルトは、前記ベルト基材の片面に設けられた係止部材が、上下方向に分離して複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保温・保冷カバー。
【請求項3】
前記高さ位置維持ベルトは、前記天井面の内面まで伸びて係止部材により固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の保温・保冷カバー。
【請求項4】
前記係止部材が面ファスナーからなることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の保温・保冷カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台車上に収納されたコンテナボックスを覆う保温・保冷カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食料品などが収容されたコンテナボックスを、例えば売り場に陳列するまでの間、台車上に複数収納して保温・保冷カバーで覆うことが行われている。なお、台車はドーリーとも称され、保温・保冷カバーを支持するフレームの無いものであり、先行技術文献欄の特許文献1に示すような台車上にカバー保持用のフレームを有するものとは異なる。
【0003】
図9に示す従来の保温・保冷カバー100は、ポリウレタン発泡体やポリエチレン発泡体などの両面にアルミニウム蒸着フィルムを積層した可撓性のシートから、両側面101、103と背面105と天井面107と開閉可能な前面109が形成された可撓性のものであり、台車111上に収納されたコンテナボックス121を覆い、保温・保冷できるように構成されている。コンテナボックス、及び台車と保温・保冷カバーとは特に係止されるものではなく、コンテナボックスの最上段天面部と保温・保冷カバーの天面部内面が当接して固定される。
【0004】
前記保温・保冷カバー100は、図10の10−Aに示すように、台車111上のコンテナボックス121の段数が保温・保冷カバー100で覆うことのできる最大段数の場合には、最上段のコンテナボックス121aの上端と保温・保冷カバー100の天井面107の内面が接して保温・保冷カバー100の高さ位置が維持される。
一方、図10の10Bのように、コンテナボックス121の段数が最大段数よりも少ない場合、前記保温・保冷カバー100は、鎖線で示すように天井面107が最上段のコンテナボックス121bと接するまで全体が下降し、コンテナボックス121の周囲や台車111の周囲で保温・保冷カバー100が撓んでコンテナボックスの積載作業性が劣るようになり、見栄えも悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−139317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、保温・保冷カバーで覆われているコンテナボックスの段数が、設定されている最大段数よりも少ない場合にも保温・保冷カバーの高さ位置を維持し、コンテナボックスの良好な積載作業性を確保すると共に保温・保冷カバーの見栄えを良好にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、台車上に収納されたコンテナボックスを覆う保温・保冷カバーにおいて、両側面と背面と天井面と開閉可能な前面とで構成された可撓性のカバー本体と、前記カバー本体の高さ位置維持ベルトとよりなり、前記カバー本体の両側面の内面には、上下方向に沿って係止部材がそれぞれ固定され、前記高さ位置維持ベルトは、前記カバー本体の一方の側面用と他方の側面用の2本設けられ、前記両方の高さ位置維持ベルトは、それぞれベルト基材の片面に前記カバー本体の側面の係止部材と係合可能な係止部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記高さ位置維持ベルトは、前記ベルト基材の片面に設けられた係止部材が、上下方向に分離して複数設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記高さ位置維持ベルトは、前記天井面の内面まで伸びて係止部材により固定されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記係止部材が面ファスナーからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、カバー本体で覆われているコンテナボックスの段数が、カバー本体で覆うことが可能な最大段数よりも少ない場合に、カバー本体の両側面の高さ位置維持ベルトを、前記カバー本体内に残存するコンテナボックスの上端よりも上方部分で前記カバー本体の両側面の係止部材に対して係合を解除し、前記両方の高さ位置維持ベルトの係合解除した部分を前記コンテナボックスの上端で重ね、該重ねた部分の係止部材同士を係合させて前記両方の高さ位置維持ベルトを連結することにより、該連結された高さ位置維持ベルトがカバー本体内の最上段のコンテナボックスの上端と当接して前記カバー本体がずり落ちるのを防止し、カバー本体がずり落ちることによってコンテナボックスの側面で外方へ撓んだり、カバー本体の下部が弛んで床面と接触したりする不具合を防ぐことができ、コンテナボックスの良好な積載作業性を確保することができると共に、保温・保冷カバーの見栄えを良好にすることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、係止部材の分離部分が、高さ位置維持ベルトをカバー本体側の係止部材に対して係合解除する際のおよその目印となり、作業が容易となる。また、余分な所への係合を防止することができる。
請求項3の発明によれば、高さ位置維持ベルトの先端側が天井面から垂れ下がって邪魔になるのを防ぐことができる。
請求項4の発明によれば、係止部材を面ファスナーとすることにより、作業時の位置決めが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の保温・保冷カバーの使用状態を示す正面側斜視図と背面側斜視図である。
図2図1において保温・保冷カバーの前面を開けた状態を示す斜視図である。
図3】実施例の保温・保冷カバーにおいてコンテナボックス及び台車を除去して示す斜視図である。
図4】実施例のカバー本体と高さ位置維持ベルトの斜視図である。
図5】実施例の高さ位置維持ベルトの断面図である。
図6】実施例の高さ位置維持ベルトとコンテナボックスとの位置関係を示す保温・保冷カバーの左側上部付近の断面図である。
図7】実施例の高さ位置維持ベルトとコンテナボックスとの位置関係を示す保温・保冷カバーの右側上部付近の断面図である。
図8】実施例の保温・保冷カバーにおいて高さ位置維持ベルトの連結を示す断面図である。
図9】従来の保温・保冷カバーの正面側斜視図と背面側斜視図である。
図10】従来の保温保冷カバーの不具合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を用いて本発明の一実施例に係る保温・保冷カバーについて説明する。図1図3に示す一実施例の保温・保冷カバー10は、ドーリーと称される台車71上に収納されたコンテナボックス81を覆うものであり、カバー本体11と2本の高さ位置維持ベルト51A、51Bとよりなる。
【0014】
前記カバー本体11は、図4にも示すように、ポリウレタン発泡体やポリエチレン発泡体などの両面にアルミニウム蒸着フィルムを積層した可撓性のシートから、両側面13、15(図示の例では左側面13、右側面15)と背面21と天井面25と開閉可能な前面29が形成され、縫製によって無底の直方体形状にされた可撓性のものである。前面29は天井面25の前端から下方へ延設されており、図2及び図3のように巻き上げることにより、カバー本体11の前側を開放することができる。前記前面29の両側部と前記両側面13、15の前部には、前面29を降ろした状態で係合させることのできる係止部材31、33が設けられている。なお、本実施例における係止部材としては、特に限定されるものではなく、例えばホック、面ファスナー等を挙げることができる。特に面ファスナーは、作業時の位置決めが容易になるため好適なものである。以下の説明では、係止部材として面ファスナーを用いる場合について説明する。前記カバー本体11の寸法は、覆うコンテナボックスのサイズ及び最大段数に応じて最適な値に設定される。前記カバー本体11の寸法一例として、奥行き475mm×横幅575mm×高さ1600mmを挙げる。
【0015】
前記両側面13、15の内面には、上下方向に沿って係止部材17、19がそれぞれ設けられている。前記係止部材17、19は、所定幅の帯状の面ファスナーからなり、図示の例では前記両側面13、15の下端から所定距離上方位置から上端まで設けられている。前記係止部材17、19は、雌タイプまたは雄タイプの何れでもよい。一例として、前記係止部材17、19として、横幅50mmの雄タイプの面ファスナーを、前記両側面13、15の前後中央位置に、かつ両側面13、15の下端から上方へ280mmの位置から両側面13、15の上端まで縫製により固定した場合を挙げる。
【0016】
前記高さ位置維持ベルト51A、51Bは、左側の高さ位置維持ベルト51Aが前記カバー本体の左側面13用であり、右側の高さ位置維持ベルト51Bが前記カバー本体の右側面15用である。前記高さ位置維持ベルト51A、51Bは、図5に示すように、ポリプロピレン等の可撓性材質からなるベルト基材52の片面に、前記係止部材17、19と係合可能な係止部材53A、53Bが設けられている。前記ベルト基材52の寸法例として、横幅50mm×長さ1440mmを挙げる。前記係止部材53A、53Bは、前記カバー本体の側面13、15の係止部材17、19と係合可能なタイプからなり、例えば前記カバー本体の側面13、15の係止部材17、19が雄タイプの面ファスナーの場合には、前記係止部材53A、53Bは雌タイプの面ファスナーとされ、前記ベルト基材52の片面に設けられている。なお、図示の例では、左側の高さ位置維持ベルト51Aの片面に設けられた係止部材53Aは、上下方向に分離した複数のもので構成されている。例えば、上下長100mmの面ファスナーからなる係止部材53Aが165mm間隔で前記ベルト基材52の上端から5個設けられた場合を挙げる。また、右側の高さ位置維持ベルト51Bの片面に設けられた係止部材53Bは、前記ベルト基材52の片面全体に設けられている。
【0017】
さらに右側の高さ位置維持ベルト51Bの他面には、左側の高さ位置維持ベルト51Aにおける前記ベルト基材52の片面の係止部材53Aと係合可能な係止部材55Bが設けられている。前記係止部材55Bは、例えば前記左側の高さ位置ベルト51Aの片面の係止部材53Aが雌タイプの面ファスナーの場合には雄タイプの面ファスナーとされる。また、前記係止部材55Bは、上下方向に分離して複数設けられる。一例として、上下長100mmの面ファスナーからなる係止部材55Bが165mm間隔で前記ベルト基材52の上端から5個設けられている場合を挙げる。
【0018】
また、図示の例では、図6及び図7に示すように、前記高さ位置維持ベルト51A、51Bは、前記カバー本体11の側面13、15から天井面25側へ上部先端側57が所定長突出した(余った)状態で、前記カバー本体の側面13、15の係止部材17、19と係合している。このように構成することで、前記保温・保冷カバー10で覆うことが可能な最大段数のコンテナボックスが収納された状態から、例えば最上段の一段のみコンテナボックスを取り出した場合にも、前記カバー本体11の両側面の係止部材17、19から剥がした前記高さ位置維持ベルト51A、51Bの上部(先端側)を互いに重ねて係合することが可能となる。さらに、前記カバー本体11の天井面25の内面に、前記高さ位置維持ベルト51A、51Bの上部先端側57の係止部材53A、53Bと係合する係止部材22A、22Bを設けるのが好ましい。なお、符号83は、複数段のコンテナボックスにおける段の境界である。
【0019】
前記保温・保冷カバー10は、図1及び図2に示すように、前記台車71上に複数収納されたコンテナボックス81を覆って使用される。前記台車71に収納されたコンテナボックス81の段数が、保温・保冷カバー10で覆うことができる最大段数の場合には、最上段のコンテナボックス81Aの上端が前記カバー本体11の天井面25の内側と接することにより、前記保温・保冷カバー10の高さ位置が維持される。この場合、前記両方の高さ位置維持ベルト51A、51Bは、前記カバー本体11の両側面13、15の上端まで係止部材17、19と係合した状態とされる。
【0020】
前記最大段数の状態から一部のコンテナボックスを前記カバー本体11から取り出した場合、図8に示すように、前記両方の高さ位置維持ベルト51A、51Bを、前記カバー本体11内に残存するコンテナボックス81の上端81bよりも上方部分で前記カバー本体11の両側面の係止部材17、19から係合を解除し、前記両方の高さ位置維持ベルト51A、51Bの係合解除した部分61A、61Bを前記コンテナボックス81の上端81bで重ね、該重ねた部分の係止部材53A、55Bを係合させて前記両方の高さ位置維持ベルト51A、51Bを連結する。
【0021】
前記両方の高さ位置維持ベルト51A、51Bをコンテナボックスの上端よりも上方部分で前記カバー本体の側面の係止部材17、19から係合解除する際、前記右側の高さ位置維持ベルト51Bは、前記ベルト基材52の他面に設けられた複数の係止部材55Bが、上下方向に分離しているため、係合解除時に目印となり、作業が容易になる。
【0022】
前記高さ位置維持ベルト51A、51Bの連結後、前記カバー本体11は、ずり落ちようとしても、前記高さ位置維持ベルト51A、51Bの連結部分が前記カバー本体11内のコンテナボックス81の上端81bと当接してカバー本体11のずり落ちが防止されるため、前記カバー本体11がコンテナボックス81の側面で外方へ撓んだり、カバー本体11の下部が弛んで床面と接触したりする不具合を防ぐことができ、コンテナボックスの積載時の作業性を良好にすることができる。
【0023】
なお、前記カバー本体の両側面の係止部材は、カバー本体の両側面の下端から上端まで設けてもよい。その場合、前記高さ位置維持ベルトは、カバー本体の両側面の係止部材の長さに応じた長さとする。また、図示の例では、左側の高さ位置維持ベルトを片面にのみ係止部材が設けられたものにすると共に、右側の高さ位置維持ベルトを両面に係止部材を有するものとしたが、その逆に左側の高さ位置維持ベルトを両面に係止部材を有するものとし、右側の高さ位置維持ベルトを片面にのみ係止部材が設けられたものにしてもよい。さらに、左側の高さ位置維持ベルト及び右側の高さ位置維持ベルトの何れも片面にのみ係止部材を設けたものとし、先端側を連結する際には、一方の高さ位置維持ベルトの先端側を捻って該捻った先端側の係止部材を、他方の高さ位置維持ベルトの先端側の係止部材と重ねて係合させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 保温・保冷カバー
11 カバー本体
13、15 カバー本体の側面
17、19 カバー本体側面の係止部材
21 カバー本体の背面
25 カバー本体の天井面
29 カバー本体の前面
51A、51B 高さ位置維持ベルト
52 ベルト基材
53A、53B 高さ位置維持ベルトの片面の係止部材
55B 高さ位置維持ベルトの他面の係止部材
71 台車
81 コンテナボックス
83 複数段のコンテナボックスにおける段の境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10