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特開2015-168855配線板化学処理装置及び配線板化学処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-168855(P2015-168855A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】配線板化学処理装置及び配線板化学処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/08 20060101AFI20150901BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
   C23F1/08 101
   C23F1/08 103
   H05K3/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-44771(P2014-44771)
(22)【出願日】2014年3月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100188226
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 俊達
(72)【発明者】
【氏名】鎌野 淳之
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕司
(72)【発明者】
【氏名】川口 章秀
(72)【発明者】
【氏名】春日 宰
【テーマコード(参考)】
4K057
5E339
【Fターム(参考)】
4K057WM06
4K057WM09
4K057WM18
4K057WM20
4K057WN01
5E339BD08
5E339BE13
5E339BE16
5E339CE12
5E339GG02
(57)【要約】
【課題】配線板に対して従来より均一な化学処理を行うことが可能な配線板化学処理装置及び配線板化学処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の配線板化学処理装置10では、吸引ダクト20内が区画壁23により上下に仕切られ、その区画壁23に形成された複数の連通孔24が、配管接続部29から離れるに従って開口径が大きくなっている。そして、吸引ダクト20内の長手方向の位置による負圧の相違と、連通孔24の開口径の大小による流体抵抗の相違とにより、吸引ダクト20の長手方向における位置に応じた吸引力の差が緩和される。これにより、吸引ダクト20により従来より均一に配線板90から化学薬液を排除した部分に、新たに噴出ノズル14からの化学薬液を吹き付けることができ、配線板90に対する化学薬液による化学処理が従来より均一になる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に搬送される配線板の上方で搬送方向に間隔をあけて設けられ、前記配線板に向けて化学薬液を噴出する複数の薬液噴出部と、
各前記薬液噴出部に対する前記搬送方向の手前位置で前記搬送方向と交差する方向に延び、下面に備える吸引口で前記配線板上に溜まった化学薬液を吸引する吸引ダクトと、
前記吸引ダクトの上部に設けられ、吸引用ポンプから延びる吸引用配管が接続される配管接続部と、
前記吸引ダクト内を上下方向の中間で仕切りかつ、複数の連通孔を有する区画壁と、を備える配線板化学処理装置であって、
前記複数の連通孔の開口径が、前記配管接続部から離れるに従って大きくなっている。
【請求項2】
請求項1に記載の配線板化学処理装置であって、
前記連通孔の最小の開口径は、3[mm]以上である。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配線板化学処理装置であって、
前記連通孔の最小の開口径と最大の開口径との差は、2[mm]以上、10[mm]以下であり、
前記吸引口のうち前記配管接続部から最も近い吸引位置と最も遠い吸引位置との流量差は0.15[L/分]以下である。
【請求項4】
前記請求項1乃至3の何れか1の請求項に記載の配線板化学処理装置であって、
前記配管接続部が、前記吸引ダクトの上部における長手方向の複数位置に分散配置されている。
【請求項5】
前記請求項1乃至4の何れか1の請求項に記載の配線板化学処理装置であって、
前記化学薬液は、エッチング液である。
【請求項6】
前記請求項1乃至5の何れか1の請求項に記載の配線板化学処理装置を用いた配線板化学処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平に搬送される配線板に対して複数の薬液噴出部が上方から化学薬液を吹き付けると共に薬液噴出部同士の間で吸引ダクトが配線板上に溜まった化学薬液を吸引する配線板化学処理装置及び配線板化学処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配線板化学処理装置では、吸引ダクトが、配線板の搬送方向と交差する水平方向に延びていて、その上部の長手方向の中央に吸引用配管との接続部分を有する一方、下部の長手方向の略全体に吸引口を有した構造になっていた。そして、吸引ダクトが配線板の幅方向全域から化学薬液を吸引していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4847244号公報(図1図3、段落[0023])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の配線板化学処理装置では、吸引ダクトの長手方向における位置に応じて吸引力が大きく相違するため、配線板に対する化学処理が不均一になると考えられた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、配線板に対して従来より均一な化学処理を行うことが可能な配線板化学処理装置及び配線板化学処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、水平に搬送される配線板の上方で搬送方向に間隔をあけて設けられ、前記配線板に向けて化学薬液を噴出する複数の薬液噴出部と、各前記薬液噴出部に対する前記搬送方向の手前位置で前記搬送方向と交差する方向に延び、下面に備える吸引口で前記配線板上に溜まった化学薬液を吸引する吸引ダクトと、前記吸引ダクトの上部に設けられ、吸引用ポンプから延びる吸引用配管が接続される配管接続部と、前記吸引ダクト内を上下方向の中間で仕切りかつ、複数の連通孔を有する区画壁と、を備える配線板化学処理装置であって、前記複数の連通孔の開口径が、前記配管接続部から離れるに従って大きくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態に係る配線板化学処理装置の側断面図
図2】配線板化学処理装置の平面図
図3】吸引ダクトの断面図
図4】(A)図3におけるA−A切断面における吸引ダクトの側断面図,(B)図3におけるB−B切断面における吸引ダクトの平断面図,(C)吸引ダクトの下面図
図5】吸引ダクトとベンチュリポンプとの接続構造を示した模式図
図6】配線板化学処理装置の流体回路図
図7】流体シミュレーション結果(吸引口の流量分布)
図8】流体シミュレーション結果(A)吸引口の流速差、(B)吸引ダクトの圧力損失
図9】流体シミュレーション結果(流速分布)
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1図6に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の配線板化学処理装置10は、配線板90にエッチング処理を行うエッチング処理装置であって、配線板90を水平方向に搬送する搬送機構11を備えている。その搬送機構11には、複数の搬送ローラペア12が配線板90の搬送方向に並べて備えられている。各搬送ローラペア12は、搬送方向と直交する水平方向に延びた1対の搬送ローラ12R,12Rを上下に並べてなり、それら各搬送ローラペア12の両搬送ローラ12R,12Rの間に配線板90が挟まれて水平方向に搬送される。
【0009】
配線板化学処理装置10は、搬送機構11を収容するケース13を備えている。ケース13は、直方体形状をなし、その長手方向で対向する1対の側壁に基板挿入口13Aと基板排出口13Bとを有している。そして、配線板90が、基板挿入口13Aからケース13内に挿入され、搬送機構11により基板排出口13Bへと搬送されてケース13外へと排出される。
【0010】
ケース13内には、配線板90に対して上方から本発明の化学薬液に相当するエッチング液を噴出する複数の噴出ノズル14と、配線板90に対して下方からエッチング液を噴出する複数の噴出ノズル15とが備えられている。それら噴出ノズル14,15群は、それぞれが上下に延びたパイプ状をなしている。また、図2に示すように、噴出ノズル14群を上方から見ると、複数行、複数列に並べられて、搬送方向と直交する直線上に等間隔に並んだ複数の横列グループに分けることができ、本実施形態では、上側の各横列グループの噴出ノズル14群が本発明の薬液噴出部になっている。また、図示しないが、噴出ノズル15群も同様に複数行、複数列に並べられ、各横列グループの噴出ノズル15群が、各横列グループの噴出ノズル14群と上下方向で対称になるように配置されている。そして、噴出ノズル14,15の先端からエッチング液が拡散させるように噴出されて、横列グループ毎に配線板90における幅方向全体にエッチング液が吹き付けられる。なお、図1に示すように、本実施形態では、隣り合った搬送ローラペア12,12同士の間に、横列グループの噴出ノズル14,15群が1組ずつ配置されている。
【0011】
図1及び図2に示すように、搬送方向の前端と後端の上下の横列グループの噴出ノズル14,15群は、それぞれ搬送ローラ12Rと平行に延びた横中継パイプ14A,15Aに接続されている。これに対し、残りの上下の噴出ノズル14,15群は、搬送ローラ12Rと交差する方向の延びかつ搬送ローラ12Rの軸方向に等間隔に並んだ上下の縦中継パイプ14B,15Bに接続されている。
【0012】
なお、図2には縦中継パイプ14B群が搬送方向と平行に延びた構成が示されているが、上下の縦中継パイプ14B,15B群が搬送方向に対して傾斜していて、それら縦中継パイプ14B,15Bに接続された噴出ノズル14,15群が搬送方向に対して傾斜した方向に等間隔に並んだ構成にしてもよい。また、全ての横列グループの噴出ノズル14,15群が、横中継パイプ14A,15Aに接続されていてもよい。
【0013】
図1に示すように、ケース13の下端部は、エッチング液を貯留する液貯留部13Cになっている。そして、図示しない噴出用ポンプが液貯留部13Cからエッチング液を吸い上げて、縦横の中継パイプ14A,14B,15A,15Bへと供給し、上下の噴出ノズル14,15群からエッチング液が噴出される。また、縦横の各中継パイプ14A,14B,15A,15Bには図示しない流量調整弁及び圧力計が備えられていて、別個に上下の噴出ノズル14,15群の噴出圧力及び噴出量を調整することができる。
【0014】
図1に示すように、ケース13内には、配線板90上に溜まったエッチング液を吸引するために複数の吸引ダクト20が設けられている。吸引ダクト20は、例えば各横列グループの噴出ノズル14群に対して搬送ローラペア12を挟んで搬送方向の前側となる位置にそれぞれ配置されて、図2に示すように搬送方向と直交する方向に延びている。
【0015】
図3に示すように、吸引ダクト20は、第1角筒部21と第2角筒部22とを上下に並べて備えている。第1角筒部21の断面形状は、上下に扁平な長方形をなしている。第2角筒部22は、第1角筒部21より幅狭になっていて第1角筒部21の下面の幅方向中央に配置されている。また、第2角筒部22の外面下端部には、その幅方向の両側の側面と下面との角部を、所謂、R面取りして円弧面22B,22Bが形成されている。
【0016】
第1角筒部21の下面壁の一部は、第2角筒部22の上面壁に兼用されて、第1角筒部21内の第1吸引部屋21Aと第2角筒部22内の第2吸引部屋22Aとを区画する区画壁23になっている。その区画壁23には、複数の連通孔24が形成され、第1と第2の吸引部屋21A,22Aの間を連絡している。また、図4(B)に示すように、複数の連通孔24は、吸引ダクト20の長手方向に沿って一列に並べられ、それら連通孔24の開口径は、吸引ダクト20の長手方向の中央側から端部側に向かうに従って段階的に大きくなっている。
【0017】
第2角筒部22の下面壁でもある吸引ダクト20の下面壁25には、複数の吸引口26が形成されている。図4(C)に示すように、各吸引口26は、吸引ダクト20の長手方向に延びたスリット状をなして2列に並べられ、両列の間では吸引口26,26が相互にずれて、所謂、千鳥状に配置されている。また、各列で隣り合った吸引口26,26同士の間隔は、各吸引口26の全長に比べると極めて小さくなっている。
【0018】
第1角筒部21の上面壁でもある吸引ダクト20の上面壁28には、その長手方向の中央に配管接続部29が設けられている。配管接続部29は、上面壁28から上方に突出した円筒状をなし、内側が第1吸引部屋21Aに連通している。そして、各配管接続部29に後述する吸引用配管35が接続されている(図5参照)。なお、図4(A)に示すように、区画壁23のうち中央の配管接続部29と対向する部分には連通孔24が形成されていない。また、配管接続部29には、前記した縦中継パイプ14B(図2参照)と吸引用配管35との干渉を回避するために例えばエルボ構造のワンタッチジョイントが取り付けられている。
【0019】
図2に示すように、液貯留部13Cには、本発明に係る吸引用ポンプとしての複数のベンチュリポンプ32が取り付けられている。具体的には、液貯留部13Cの外側に電動ポンプ30が備えられ、その電動ポンプ30の吸引口に接続された導入管37が液貯留部13Cの下端部に接続されている。また、電動ポンプ30の排出口には、分配管31が取り付けられている。分配管31は、液貯留部13Cの外側面下端部に沿って延びている。さらに、その分配管31から液貯留部13Cに向かって複数の分岐管38が延びて液貯留部13Cに接続されている。そして、電動ポンプ30が、導入管37を通して液貯留部13C内からエッチング液を吸引し、そのエッチング液を複数の分岐管38を通して液貯留部13C内に戻す。
【0020】
複数のベンチュリポンプ32は、液貯留部13Cの内側面に取り付けられて分岐管38に接続されている。各ベンチュリポンプ32は、分岐管38に連通しかつ途中で絞られたメイン流路(図示せず)と、メイン流路の絞られた部分に側方から連通するサイド流部(図示せず)とを有し、図5に示すように、各ベンチュリポンプ32のサイド流部と各吸引ダクト20の配管接続部29とが吸引用配管35によって接続されている。そして、電動ポンプ30の駆動により各ベンチュリポンプ32のメイン流路にエッチング液が流され、その際のベンチュリ効果によりサイド流路が負圧状態になって吸引ダクト20が流体を吸引する。また、図6に示すように、分岐管38には、流量調整弁33と圧力計34とが備えられていて、各ベンチュリポンプ32の吸引圧力を調整することができる。
【0021】
本実施形態の配線板化学処理装置10の構成に関する説明は以上である。次に、この配線板化学処理装置10を使用した配線板化学処理方法(具体的には、エッチング処理方法)について説明する。
【0022】
配線板化学処理装置10によるエッチング処理を行う前の配線板90の表裏の両面には、例えば、めっき処理にて形成された導電層上に所定の回路パターンのエッチングレジスト層が積層されている。そのような配線板90のうちエッチングレジスト層から露出している導電層をエッチング液で溶かして除去するために配線板化学処理装置10によりエッチング処理を行う。そのために複数の配線板90が、順次、配線板化学処理装置10の基板挿入口13Aを通してケース13内の搬送機構11へと送給される。
【0023】
すると、配線板90は、まずは、第1の吸引ダクト20により上面上の水滴等の異物を除去される。そして、配線板90は、第1の横列グループの噴出ノズル14,15群、第2の吸引ダクト20、第2の横列グループの噴出ノズル14,15群、第3の吸引ダクト20、・・・の順番で通過していく。そして、配線板90が、各噴出ノズル14,15群から受けるエッチング液によってエッチングされる。
【0024】
詳細には、配線板90の下面においては、各横列グループの噴出ノズル15群によって吹き付けられたエッチング液が、そのエッチング液を吹き付けられた部位が次の横列グループの噴出ノズル15群に到達する前には、重力により下方に引っ張られて除去される。これに対し、配線板90の上面においては、各横列グループの噴出ノズル14群によって吹き付けられたエッチング液が、そのエッチング液を吹き付けられた部位が次の横列グループの噴出ノズル15群に到達する前には、吸引ダクト20により上方に引っ張られるように吸引されて除去される。これらにより、配線板90の導電層を溶解し難くなったエッチング液が配線板90に留まることが防がれ、効率よくエッチング処理を行うことができる。
【0025】
ところで、吸引ダクト20の長手方向の位置によって吸引力が大きく相違すると、エッチング処理が不均一になり得る。しかしながら、本実施形態の配線板化学処理装置10では、吸引ダクト20内が区画壁23により上下に仕切られ、その区画壁23に形成された複数の連通孔24が、配管接続部29から離れるに従って開口径が大きくなっているので、吸引ダクト20の長手方向における位置に応じた吸引力の差が緩和される。具体的には、吸引ダクト20内のうち区画壁23より上側の第1吸引部屋21Aでは、吸引ダクト20の長手方向の中央の配管接続部29から吸引用配管35へと流体が吸引されるので、配管接続部29からの距離に基づいた圧力損失により、第1吸引部屋21A内では配管接続部29に近いほど負圧が大きく、遠いほど負圧が小さくなる。一方、複数の連通孔24は、配管接続部29から離れるに従って開口径が大きくなっているので、配管接続部29に近い連通孔24ほどそこを通過する流体にかかる流体抵抗は大きく、遠いほど流体抵抗は小さくなる。そして、これら第1吸引部屋21A内の位置による負圧の相違と、連通孔24の開口径の大小による流体抵抗の相違とにより、吸引ダクト20の長手方向における位置に応じた吸引力の差が緩和される。これにより、吸引ダクト20により従来より均一に配線板90から化学薬液を排除した部分に、新たに噴出ノズル14からの化学薬液を吹き付けることができ、配線板90に対する化学薬液による化学処理が従来より均一になる。
【0026】
なお、連通孔24の最小の開口径は、3[mm]以上であることが好ましく、連通孔24の最小の開口径と最大の開口径との差を、2[mm]以上、10[mm]以下にして、吸引口26のうち配管接続部29から最も近い吸引位置と最も遠い吸引位置との流量差を0.15[L/分]以下とすることが好ましい。
【0027】
[実施例]
汎用流体シミュレータを使用して、前記実施形態で説明した吸引ダクト20と同じ構造で下記寸法に設定した、本発明に係る配線板化学処理装置において化学薬液を吸引する吸引ダクト(以下、実施品という)における吸引流量のばらつきと、区画壁23の複数の連通孔24の開孔径を3パターンに相違させた吸引ダクト(以下、比較品1〜3という)における吸引流量のばらつきとを比較するシミュレーション実験を行った。
【0028】
<実験条件>
(1)汎用流体シミュレータ :Ansys CFX ver14.5
(2)吸引ダクトの寸法
【表1】
(3)連通孔24の開孔径
下記表2に示すように、比較品1では連通孔24の開孔径は吸引ダクトの中央から端部側に向かって8[mm]から3[mm]に段階的に小さくなっている。それに対して、実施品では連通孔24の開孔径は比較品1とは逆に、吸引ダクトの中央から端部側に向かって3[mm]から8[mm]に段階的に大きくなっている。また、比較品2の連通孔24の開孔径は実施品及び比較品1の最大の連通孔24の開孔径と同じ大きさで均一になっていて、比較品3の連通孔24の開孔径は実施品及び比較品1の最小の連通孔24の開孔径と同じ大きさで均一になっている。
【表2】
(4)エッチング液
【表3】
(塩化第2銅水溶液などの水溶液状のものを想定し、20℃の水の物性値を使用)
(5)吸引流量 :25[L/分]
(6)その他
吸引ダクト下部はエッチング液層に10[mm]沈んだ状態とする。
【0029】
<実験結果>
上記実験条件における、シミュレーション実験の結果を図7図9に示す。
【0030】
図7には吸引ダクトの中央からの距離を横軸に、吸引口26直下(吸引ダクト20から0.2[mm]の位置)での吸引流量を縦軸にしたグラフが示されている。このグラフによると、比較品1及び比較品2では、吸引口26直下の吸引流量は吸引ダクト中央から離れるのに従って低下していて、そのグラフはほぼ重なっている。これに対して、実施品及び比較品3では、吸引口26直下の吸引流量は吸引ダクト中央から離れるのに従って増加している。なお、その増加度合いは比較品3に比べて実施品の方が大きくなっている。
【0031】
図8(A)には、実施品及び比較品1〜3それぞれの吸引流量の最大値と最小値の差(図7のそれぞれのグラフの上下幅)を流量差として表したグラフが示されている。比較品1及び比較品2の流量差が約0.14[L/分]であるのに対して、実施品の流量差は約0.10[L/分]であり、比較品1及び比較品2に比べて小さくなっている。また、比較品3の流量差は約0.06[L/分]になっている。
【0032】
図8(B)には、実施品及び比較品1〜3における圧力損失が示されている。比較品1と比較品2の圧力損失はほぼ同じで、実施品の圧力損失はそれより僅かに大きくなっている。それに対して、比較品3の圧力損失は実施品、比較品1及び比較品2よりも大幅に大きくなっている。
【0033】
これらの実験結果から、実施品では比較品1及び比較品2に比べて吸引ダクトの長手方向の位置に応じた吸引力の差を緩和できることが確認できた。また、比較品3は実施品より吸引力の差を緩和できるものの圧力損失が大幅に大きく、実施品と比較品3とで同じ吸引力のポンプを用いた場合には比較品3の吸引流量は実施品に比べて大幅に小さくなり、効率の悪化が考えられる。これに対して、本実施品では、効率の悪化を抑制しつつ従来よりも吸引力の差を緩和することができる。
【0034】
図9には、実施品及び比較品1〜3における吸引ダクトの中央から右半分側の長手方向側断面におけるエッチング液の流速分布が示されている。この図は流速がカラーグラデーションで表されたシミュレーション結果をグレースケールで取り込んだものである。
【0035】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0036】
(1)本実施形態では、本発明に係る化学薬液としてエッチング液を使用した配線板化学処理装置10を例示したが、化学薬液は、例えば、配線板に塗布したエッチングレジストを除去するための溶媒や、配線板上の異物を除去するための洗浄剤であってもよい。
【0037】
(2)前記実施形態では、吸引ダクト20の長手方向の中央に配管接続部29が配置されていたが、配管接続部29は、吸引ダクト20の長手方向の中央以外の位置にあってもよい。
【0038】
(3)配管接続部29を、吸引ダクト20の長手方向に複数位置に設けても良い。例えば、吸引ダクト20の長手方向の2箇所に配管接続部29,29を設け、配管接続部29,29同士の間の連通孔24群に関しては、両配管接続部29,29間の中央位置の連通孔24の開口径が最も大きく、各配管接続部29に近づくに従って連通孔24の開口径が小さくなるように構成し、さらには、一方の配管接続部29と吸引ダクト20の一端部との間の連通孔24群、及び、他方の配管接続部29と吸引ダクト20の他端部との間の連通孔24群に関しては、各配管接続部29から離れるに従って連通孔24の開口径が徐々に大きくなるように構成してもよい。
【0039】
(4)また、本発明に係る吸引ポンプは、ベンチュリポンプ32に限定されるものではなく、例えば、遠心ポンプ、渦巻きポンプ、ギヤポンプであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 配線板化学処理装置
11 搬送機構
14 噴出ノズル(薬液噴出部)
15 噴出ノズル
23 区画壁
24 連通孔
26 吸引口
29 配管接続部
32 ベンチュリポンプ(吸引ポンプ)
35 吸引用配管
90 配線板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9