【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1に係る配管取合機器の支持構造を表す正面図、
図2は、実施例1の配管取合機器の支持構造を表す平面図、
図3は、実施例1の配管取合機器の支持構造を表す側面図、
図4は、実施例1の配管取合機器の支持構造の支持装置を表す平面図、
図5は、固定状態にある配管取合機器の支持構造を表す正面図、
図6は、固定状態にある配管取合機器の支持構造を表す平面図、
図7は、固定状態にある配管取合機器の支持構造を表す側面図、
図8は、本発明の実施例1に係る原子力発電プラントを表す概略構成図である。
【0016】
実施例1の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0017】
実施例1の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、
図8に示すように、原子炉格納容器11は、内部に加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは配管14,15を介して連結されており、配管14に加圧器16が設けられ、配管15に一次冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高温高圧の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
【0018】
蒸気発生器13は、配管18を介して蒸気タービン19と連結されており、この配管18に主蒸気隔離弁20が設けられている。蒸気タービン19は、高圧タービン21と低圧タービン22を有すると共に、発電機(発電装置)23が接続されている。また、高圧タービン21と低圧タービン22との間には、湿分分離加熱器24が設けられており、配管18から分岐した冷却水分岐配管25が湿分分離加熱器24に連結される一方、高圧タービン21と湿分分離加熱器24は低温再熱管26により連結され、湿分分離加熱器24と低圧タービン22は高温再熱管27により連結されている。
【0019】
更に、蒸気タービン19の低圧タービン22は、復水器28を有しており、この復水器28は、配管18からバイパス弁29を有するタービンバイパス配管30が接続されると共に、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管31及び排水管32が連結されている。この取水管31は、循環水ポンプ33を有し、排水管32と共に他端部が海中に配置されている。
【0020】
そして、この復水器28は、配管34が接続されており、復水ポンプ35、グランドコンデンサ36、復水脱塩装置37、復水ブースタポンプ38、低圧給水加熱器39が接続されている。また、配管34は、脱気器40が連結されると共に、主給水ポンプ41、高圧給水加熱器42、主給水制御弁43が設けられている。
【0021】
また、配管18は、主蒸気逃がし弁44を有する主蒸気逃がし配管45の一端部と、主蒸気安全弁46を有する主蒸気安全配管47の一端部が接続されており、各配管45,47の他端部は大気に開放している。一方、配管34は、主給水制御弁43と蒸気発生器13との間に補助給水配管48の一端部が接続されており、この補助給水配管48は、第1補助給水ポンプ49が設けられると共に、他端部に復水タンク50が接続されている。この第1補助給水ポンプ49は、蒸気によりタービンが回転することで駆動するものであり、配管18における主蒸気安全配管47と主蒸気隔離弁20との間から分岐した冷却水分岐配管51が第1補助給水ポンプ49まで延設されており、この冷却水分岐配管51に開閉弁51aが設けられている。
【0022】
従って、蒸気発生器13にて、高温高圧の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、配管18を通して蒸気タービン19(高圧タービン21から低圧タービン22)に送られ、この蒸気により蒸気タービン19を駆動して発電機23により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン21を駆動した後、湿分分離加熱器24で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン22を駆動する。そして、蒸気タービン19を駆動した蒸気は、復水器28で海水を用いて冷却されて復水となり、グランドコンデンサ36、復水脱塩装置37、低圧給水加熱器39、脱気器40、高圧給水加熱器42などを通して蒸気発生器13に戻される。
【0023】
そして、蒸気発生器13は、配管18,34を介して蒸気タービン19と連結されており、循環水ポンプ33、復水ポンプ35、復水ブースタポンプ38、主給水ポンプ41などにより冷却水(蒸気)が循環している。この各種ポンプ33,35,38,41などは、電源装置(プラント内交流電源、外部電源、非常用ディーゼル発電機、非常用バッテリ、いずれも図示略)からの給電により駆動するものであることから、津波や地震などによりこの電源装置の機能が喪失(原子炉及び蒸気発生器などのための全交流電源の喪失)したときには、これらを駆動して冷却水を循環することができず、加圧水型原子炉12や蒸気発生器13を冷却することが困難となる。
【0024】
そのため、電源装置が喪失したとき、主蒸気逃がし弁44の開放などで、蒸気発生器13の蒸気(二次冷却水)を配管18から主蒸気逃がし配管45や主蒸気安全配管47を通して大気に開放し、蒸気発生器13内の圧力を低下させて冷却している。また、配管18内の蒸気を冷却水分岐配管51から第1補助給水ポンプ49に供給することで、この第1補助給水ポンプ49を駆動し、復水タンク50の復水を補助給水配管48から配管34を通して蒸気発生器13に供給し、この蒸気発生器13を冷却している。そして、この間に電源装置の復旧を行っている。
【0025】
このように原子力発電プラントでは、電源装置が喪失したときの安全システムが構築されているものの、更なる安全性の向上が求められている。そこで、実施例1の原子力発電プラントにあっては、第1補助給水ポンプ49と並列に第2補助給水ポンプ52が設けられている。即ち、分岐給水配管53は、第1補助給水ポンプ49を迂回するように各端部が補助給水配管48に接続されており、この分岐給水配管53に第2補助給水ポンプ52が設けられている。この第2補助給水ポンプ52は、第1補助給水ポンプ49が作動できないとき、例えば、津波による浸水などで第1補助給水ポンプ49が使用することができなくなったときなど、非常用として使用するために配置されている。
【0026】
以下、実施例1の配管取合機器の支持構造について説明するが、この配管取合機器として第2補助給水ポンプ52が適用されている。なお、ここで、配管取合機器とは、配管を介してプラントに接続されている補助電源等の機器を指すものである。
【0027】
実施例1の配管取合機器の支持構造において、
図1から
図4に示すように、基板101は、矩形形状をなす所定厚さの平板であり、第2補助給水ポンプ52が固定されている。この第2補助給水ポンプ52は、給水ポンプ54と電動機55から構成され、給水ポンプ54の駆動軸54aと電動機55の出力軸55aが連結軸56により一体回転自在に連結されている。そして、基板101は、上面部に枠状をなして上架台102が固定されており、この上架台102上にブラケット103を介して給水ポンプ54が支持されると共に、ブラケット104を介して電動機55が支持されている。そして、給水ポンプ54は、吸込部となる接続フランジ57が設けられると共に、吐出部となる接続フランジ58が設けられている。
【0028】
第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により床に対して分岐給水配管(接続配管)53とは独立して移動自在に支持されている。即ち、地面G上に支持板106が敷設されており、この支持板106上に4つの下ガイド107が固定されている。この4つの下ガイド107は、基板101の下方に対応して配置されており、互いに所定間隔をなし、基板101の長手方向に対してほぼ45度の角度をなして全て平行に配置されている。一方、基板101は、下面に4つの上ガイド108が固定されている。この4つの上ガイド108は、各下ガイド107の上方に対応して配置されており、互いに所定間隔をなし、基板101の長手方向に対してほぼ45度の角度をなすと共に、各下ガイド107とほぼ90度をなして全て平行に配置されている。そして、4つのガイド部材109は、下ガイド107に移動自在に支持されると共に、上ガイド108に移動自在に支持されている。
【0029】
従って、基板101は、地面G上の支持板106に対して、上ガイド108と下ガイド107とガイド部材109により、水平方向におけるいずれの方向へも移動することができる。なお、この支持装置105は、この構成に限定されるものではない。即ち、上ガイド108と下ガイド107の配置角度や互いの交差角度は、いずれの角度であってもよい。また、上ガイド108と下ガイド107に限らず、ボール軸受などを適用してもよい。
【0030】
第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持板106との間に免震装置111が設けられている。即ち、基板101は、下面部に枠状をなして下架台112が固定されており、中央部に掛け渡されて支持部材113の下面部に複数の弾性部材114が固定されている。この各弾性部材114は、下面が支持板106上に固定される摩擦板115に接触しており、弾性部材114と摩擦板115は、水平における振動を吸収する摩擦ダンパ(減衰部材)として機能する。
【0031】
また、基板101は、支持板106との間に複数のばね部材116が介装されている。この各ばね部材116は、一端部が基板101の下面部に固定された支持軸117に係止され、他端部が支持板106に固定された支持軸118に係止されている。この各ばね部材116は、基板101の長辺方向(
図1の左右方向)と基板101の短辺方向(
図3の左右方向)に沿って配設されており、基板101の下面部に固定された筒形状をなすガイド筒119内に挿通されて支持されている。ここで、免震装置111は、弾性部材114、摩擦板115、ばね部材116などにより構成される。
【0032】
従って、基板101は、各ばね部材116の付勢力により基準位置、つまり、支持装置105にて、ガイド部材109が上ガイド108及び下ガイド107の長手方向における中間位置にある位置に付勢支持されており、このとき、各弾性部材114が摩擦板115に接触している。ここで、発生した地震により地面Gが水平方向に移動すると、基板101における水平方向の揺れを各弾性部材114により減衰することができ、且つ、各ばね部材116の付勢力により基板101を基準位置に戻すことができる。
【0033】
このように第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により水平方向におけるいずれの方向に移動することができると共に、免震装置111により地震により発生する水平方向の振動を減衰することができる。そして、地震による揺れが治まった後、第2補助給水ポンプ52を使用するときには、基板101を固定する必要がある。そのため、実施例1では、
図5から
図7に示すように、基板101を支持板106に対して固定可能な固定装置121が設けられており、この固定装置121は、第2補助給水ポンプ52の使用状態に応じてこの基板101を固定することができる。
【0034】
固定装置121は、基準位置にある基板101の周囲に設けられた複数の固定金具122により構成されている。この固定金具122は、支持板106に固定される金具本体123と、この金具本体123から基板101側に向けて水平方向に移動可能な締結ボルト124とから構成されている。
【0035】
従って、基板101の周囲に複数の固定金具122を配置し、金具本体123を支持板106に固定した後、締結ボルト124を回転して固定金具122から基板101側に前進させ、先端部を基板101の端面に当接することで、この基板101を固定することができる。
【0036】
実施例1の配管取合機器の支持構造では、第2補助給水ポンプ52の不使用時には、基板101を支持装置105により移動自在に支持し、第2補助給水ポンプ52の使用時には、基板101を固定装置121により固定するようにしている。即ち、原子力発電プラントの正常運転時、第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により移動自在に支持されていることから、地震が発生しても免震装置111によりその振動を減衰することができる。そして、地震が収束した後、原子力発電プラントの非常運転時、第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、固定装置121により固定されることから、第2補助給水ポンプ52を適正に作動することができる。
【0037】
この場合、第2補助給水ポンプ52は、不使用時に、分岐給水配管53が取外され、使用時にこの分岐給水配管53が連結される。即ち、分岐給水配管53は、
図1に示すように、給水側の第1配管61と排水側の第2配管62から構成され、不使用時には、第1配管61の接続フランジ61aと給水ポンプ54の接続フランジ57が取外されると共に、第2配管62の接続フランジ62aと給水ポンプ54の接続フランジ58が取外される。一方、使用時には、第1配管61の接続フランジ61aと給水ポンプ54の接続フランジ57がボルト63により接続されると共に、第2配管62の接続フランジ62aと給水ポンプ54の接続フランジ58がボルト64により接続される。
【0038】
ここで、原子力発電プラントにおける安全システムの作動並びに実施例1の配管取合機器の支持構造の作用について説明する。
【0039】
図8に示すように、津波や地震などにより加圧水型原子炉12や蒸気発生器13を作動する全ての電源装置が喪失したとき、まず、主蒸気逃がし弁44が開放されることで、蒸気発生器13の蒸気が配管18から主蒸気逃がし配管45を通して大気に開放され、蒸気発生器13内の圧力を低下して冷却する。また、配管18内の蒸気が冷却水分岐配管51から第1補助給水ポンプ49に供給されることで、この第1補助給水ポンプ49を駆動して復水タンク50の復水を補助給水配管48から蒸気発生器13に供給することで、この蒸気発生器13を冷却する。
【0040】
しかし、浸水などにより配管18内の蒸気を冷却水分岐配管51から第1補助給水ポンプ49に供給できないと、第1補助給水ポンプ49の機能が喪失する。そこで、この場合、第2補助給水ポンプ52を駆動して復水タンク50の復水を補助給水配管48及び分岐給水配管53から蒸気発生器13に供給することで、この蒸気発生器13を冷却する。
【0041】
即ち、
図1に示すように、原子力発電プラントの正常運転時、第2補助給水ポンプ52は、配管61,62が外され、基板101を介して支持装置105により水平方向に移動自在に支持され、免震装置111が作動可能となっていることから、地震により発生する水平方向の振動を減衰し、第2補助給水ポンプ52の損傷が防止される。
【0042】
地震による揺れが治まった後、第2補助給水ポンプ52を使用するには、
図5に示すように、固定装置121により基板101を介して第2補助給水ポンプ52を固定する。そして、第2補助給水ポンプ52にて、給水ポンプ54に第1配管61及び第2配管62を接続する。この状態で、第2補助給水ポンプ52を作動すると、復水タンク50の複水を補助給水配管48及び分岐給水配管53から蒸気発生器13に供給することで、この蒸気発生器13を冷却することができる。
【0043】
このように実施例1の配管取合機器の支持構造にあっては、第2補助給水ポンプ52が支持される基板101と、地面Gに対して分岐給水配管53とは独立して基板101を移動自在に支持する支持装置105と、地面Gと基板101との間に設けられる免震装置111を設けている。
【0044】
従って、第2補助給水ポンプ52は、分岐給水配管53とは独立して免震装置111により支持板106に対して支持されることとなり、地震発生時に荷重が作用するとき、第2補助給水ポンプ52の損傷が抑制されることとなり、原子力発電プラントの非常時にこの第2補助給水ポンプ52を使用可能とすることで、原子力発電プラントにおける安全性を向上することができる。即ち、二次系蒸気により第1補助給水ポンプ49が作動できないときでも、第2補助給水ポンプ52を作動して蒸気発生器13に二次系冷却水を供給するため、加圧水型原子炉12や蒸気発生器13を適正に冷却することができる。
【0045】
実施例1の配管取合機器の支持構造では、支持板106に対して基板101を固定可能な固定装置121を設け、第2補助給水ポンプ52の使用状態に応じて基板101を固定装置121により固定可能としている。具体的に、第2補助給水ポンプ52の不使用時に基板101を支持装置105により移動自在に支持し、第2補助給水ポンプ52の使用時に基板101を固定装置121により固定している。従って、第2補助給水ポンプ52の不使用時には、第2補助給水ポンプ52を移動自在とすることで、免震装置111により地震などの揺れを抑制して第2補助給水ポンプ52の損傷を抑制することができ、第2補助給水ポンプ52の使用時には、第2補助給水ポンプ52を固定装置121により固定することで、原子力発電プラント設備に対して第2補助給水ポンプ52を適正に使用することができる。
【0046】
実施例1の配管取合機器の支持構造では、第2補助給水ポンプ52を原子力発電プラントの非常時に使用する機器としている。従って、原子力発電プラントの正常時には、免震装置111により地震などによる第2補助給水ポンプ52の揺れを抑制することができ、原子力発電プラントの非常時には、この第2補助給水ポンプ52を適正に使用することができる。
【0047】
実施例1の配管取合機器の支持構造では、第2補助給水ポンプ52は、不使用時に分岐給水配管53が取外され、使用時に分岐給水配管53が連結されている。従って、第2補助給水ポンプ52の不使用時に分岐給水配管53が取外されることで、地震などによる揺れが第2補助給水ポンプ52に伝達されることはなく、第2補助給水ポンプ52の使用時に分岐給水配管53が連結されることで、地震発生後にはこの第2補助給水ポンプ52を適正に使用することができる。
【0048】
実施例1の配管取合機器の支持構造では、免震装置111として、支持板106と基板101との間に介装される複数のばね部材116と、水平方向の振動を吸収する複数の減衰部材(弾性部材114と摩擦板115)を設けている。従って、基板101は、ばね部材116の付勢力により基準位置に付勢支持されており、発生した地震により水平方向に揺動すると、この基板101における水平方向の揺れを減衰部材により減衰することができ、且つ、ばね部材116の付勢力により基板101を基準位置に戻すことができる。
【実施例2】
【0049】
図9は、本発明の実施例2に係る配管取合機器の支持構造を表す正面図、
図10は、固定状態にある配管取合機器の支持構造を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0050】
実施例2の配管取合機器の支持構造において、
図9に示すように、基板101は、上部に第2補助給水ポンプ52が固定されている。この第2補助給水ポンプ52は、給水ポンプ54と電動機55から構成され、連結軸56により連結されている。この給水ポンプ54は、給水部となる接続フランジ57が設けられると共に、排出部となる接続フランジ58が設けられている。そして、給水ポンプ54の接続フランジ57は、第1フレキシブル配管71を介して分岐給水配管53(第1配管61)に連結されると共に、接続フランジ58は、第2フレキシブル配管72を介して分岐給水配管53(第2配管62)に連結されている。
【0051】
基板101は、支持装置105により床に対して分岐給水配管53とは独立して移動自在に支持されている。また、基板101は、支持板106との間に免震装置111が設けられている。従って、第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により水平方向におけるいずれの方向に移動することができると共に、免震装置111により地震により発生する水平方向の振動を減衰することができる。また、
図10に示すように、基板101は、固定装置121により支持板106に対して固定可能となっている。
【0052】
実施例2の配管取合機器の支持構造では、第2補助給水ポンプ52の不使用時には、基板101を支持装置105により移動自在に支持し、第2補助給水ポンプ52の使用時には、基板101を固定装置121により固定するようにしている。即ち、原子力発電プラントの正常運転時、第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により移動自在に支持されていることから、地震が発生しても免震装置111によりその振動を減衰することができる。そして、地震が収束した後、原子力発電プラントの非常運転時、第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、固定装置121により固定されることから、第2補助給水ポンプ52を適正に作動することができる。
【0053】
この場合、第2補助給水ポンプ52は、不使用時及び使用時、つまり、常時、分岐給水配管53が連結されている。即ち、分岐給水配管53は、
図9及び
図10に示すように、給水側の第1配管61と排水側の第2配管62から構成され、第1配管61は、第1フレキシブル配管71が接続され、第1フレキシブル配管71の接続フランジ71aと給水ポンプ54の接続フランジ57がボルト73により接続されると共に、第2配管62は、第2フレキシブル配管72が接続され、第2フレキシブル配管72の接続フランジ72aと給水ポンプ54の接続フランジ58がボルト74により接続されている。
【0054】
従って、原子力発電プラントの正常運転時、第2補助給水ポンプ52は、フレキシブル配管71,72により分岐給水配管53に接続され、基板101を介して支持装置105により水平方向に移動自在に支持され、免震装置111が作動可能となっていることから、地震により発生する水平方向の振動を減衰し、第2補助給水ポンプ52の損傷が防止される。また、第2補助給水ポンプ52と分岐給水配管53との間に、フレキシブル配管71,72が設けられていることから、互いの相対変位が許容され、第2補助給水ポンプ52の損傷が防止される。
【0055】
地震による揺れが治まった後、第2補助給水ポンプ52を使用するには、固定装置121により基板101を介して第2補助給水ポンプ52を固定する。この状態で、第2補助給水ポンプ52を作動すると、復水タンク50の復水を補助給水配管48、分岐給水配管53、配管34を通して蒸気発生器13に供給することで、この蒸気発生器13を冷却することができる。
【0056】
このように実施例2の配管取合機器の支持構造にあっては、第2補助給水ポンプ52が支持される基板101と、地面Gに対して分岐給水配管53とは独立して基板101を移動自在に支持する支持装置105と、地面Gと基板101との間に設けられる免震装置111と、地面Gに対して基板101を固定可能な固定装置121を設け、第2補助給水ポンプ52をフレキシブル配管71,72により分岐給水配管53に連結している。
【0057】
従って、第2補助給水ポンプ52にフレキシブル配管71,72を介して分岐給水配管53を連結することで、地震などによる揺れが第2補助給水ポンプ52に伝達されることはなく、地震発生後にはこの第2補助給水ポンプ52を適正に使用することができる。
【実施例3】
【0058】
図11は、本発明の実施例3に係る配管取合機器の支持構造を表す正面図、
図12は、実施例3の配管取合機器の支持構造を表す平面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
実施例3の配管取合機器の支持構造において、
図11及び
図12に示すように、基板101は、上部に第2補助給水ポンプ52が固定されている。この第2補助給水ポンプ52は、給水ポンプ54と電動機55から構成され、連結軸56により連結されている。基板101は、上架台102が固定されており、この上架台102上にブラケット103を介して給水ポンプ54が支持されると共に、ブラケット104を介して電動機55が支持されている。
【0060】
第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により床に対して分岐給水配管(接続配管)53とは独立して移動自在に支持されている。この支持装置105は、地面Gの支持板106上に固定された下ガイド107と、基板101の下面に固定された上ガイド108と、下ガイド107と上ガイド108に移動自在に支持されるガイド部材109(いずれも
図4参照)とを有している。従って、基板101は、地面G上の支持板106に対して、支持装置105により、水平方向におけるいずれの方向へも移動することができる。
【0061】
また、基板101は、支持板106との間に免震装置131が設けられている。即ち、基板101は、支持板106との間に複数のばね部材116が介装されている。この各ばね部材116は、一端部が基板101の下面部に固定された支持軸117に係止され、他端部が支持板106に固定された支持軸118に係止されている。この各ばね部材116は、基板101の長辺方向(
図12の左右方向)と基板101の短辺方向(
図12の上下方向)に沿って配設されている。また、基板101は、支持板106との間に複数の油圧ダンパ(流体圧ダンパ)132が介装されている。この各油圧ダンパ132は、一端部が基板101の下面部に固定された支持軸117に係止され、他端部が支持板106に固定された支持軸118に係止されている。この各油圧ダンパ132は、ばね部材116と直列配置されるように、基板101の長辺方向(
図12の左右方向)と基板101の短辺方向(
図12の上下方向)に沿って配設されている。
【0062】
この油圧ダンパ132は、内部に充填された油圧により基板101の水平方向における振動を吸収する摩擦ダンパ(減衰部材)として機能する。また、免震装置131は、ばね部材116、油圧ダンパ132などにより構成される。
【0063】
従って、基板101は、各ばね部材116の付勢力により基準位置、つまり、支持装置105にて、ガイド部材109が上ガイド108及び下ガイド107の長手方向における中間位置にある位置に付勢支持されており、このとき、油圧ダンパ132内のピストンが中立位置に位置している。ここで、発生した地震により地面Gが水平方向に移動すると、基板101における水平方向の揺れを各油圧ダンパ132により減衰することができ、且つ、各ばね部材116の付勢力により基板101を基準位置に戻すことができる。
【0064】
このように第2補助給水ポンプ52を支持した基板101は、支持装置105により水平方向におけるいずれの方向に移動することができると共に、免震装置131により地震により発生する水平方向の振動を減衰することができる。
【0065】
このように実施例3の配管取合機器の支持構造にあっては、減衰部材としては、基板101と支持板106との間に複数の油圧ダンパ132を介装している。
【0066】
従って、油圧ダンパ132は、低速での作動時にほとんど摩擦抵抗がないことから、基板101の水平移動時に、支持板106との間の摩擦抵抗が低減され、基板101を高精度に基準位置に戻すことができる。
【0067】
なお、上述した実施例では、本発明の配管取合機器の支持構造を、原子力発電プラントにて、非常時に使用する第2補助給水ポンプ52に適用して説明したが、これに限定されるものではない。一般的なプラントの配管取合機器、例えば、ポンプ、タンク、ファンなどに適用することもできる。