(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-169344(P2015-169344A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】排熱回収ボイラ
(51)【国際特許分類】
F22B 37/46 20060101AFI20150901BHJP
F22B 1/18 20060101ALI20150901BHJP
F22B 37/42 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
F22B37/46
F22B1/18 R
F22B37/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-42526(P2014-42526)
(22)【出願日】2014年3月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】菊池 太希
(72)【発明者】
【氏名】高畠 重俊
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排ガスのバイパス通路を持たない排熱回収ボイラであって、給水能力低下など給水系統での異常が発生した場合でも、エンジンなど熱発生源側の稼働には影響を与えることなく排熱回収ボイラへの過熱は防止する。
【解決手段】発熱源から送られてきた高温の排ガスを使用して蒸気を発生する排熱回収ボイラ1において、排熱回収ボイラで発生した蒸気を系外へ排出することで排熱回収ボイラ内の圧力を低下させるための蒸気放出弁6を設けておき、排熱回収ボイラ1の運転中、排熱回収ボイラ内の水位が通常の制御範囲よりも低い値に設定している安全水位より低下した場合、前記の蒸気放出弁6を開く制御を行う。また、排熱回収ボイラへの給水を行う給水タンク11を排熱回収ボイラよりも高所に設置しておき、水頭圧による給水が行える圧力まで蒸気放出弁6を開くことで給水ポンプ10を使用しなくても給水が行えるようにしておく。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱源から送られてきた高温の排ガスを使用して蒸気を発生する排熱回収ボイラにおいて、排熱回収ボイラで発生した蒸気を系外へ排出することで排熱回収ボイラ内の圧力を低下させるための蒸気放出弁を設けておき、排熱回収ボイラの運転中、給水ポンプの能力低下や故障などにより、排熱回収ボイラ内の水位が通常の制御範囲よりも低い値に設定している安全水位より低下した場合、前記の蒸気放出弁を開く制御を行うものであることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項2】
請求項1に記載の排熱回収ボイラにおいて、蒸気放出弁を開くことによって排熱回収ボイラ内の圧力が排熱回収ボイラの一次側に掛かる給水の圧力より低くすることで、排熱回収ボイラへの給水が行えるようにしていることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【請求項3】
請求項2に記載の排熱回収ボイラにおいて、排熱回収ボイラへの給水を行う給水タンクを排熱回収ボイラよりも高所に設置して水頭圧によって給水に圧力を掛ける、あるいは給水ポンプよりも上流側に設けた別のポンプによって給水に圧力を掛けることにより、圧力を低下させたボイラ内の圧力よりも給水の圧力を高めることで、排熱回収ボイラへの給水が行えるようにしていることを特徴とする排熱回収ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジンなどから排出される排ガスの熱を利用して蒸気の発生を行う排熱回収ボイラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2006−112740号公報に記載があるように、エンジンやガスタービンなどの発熱源と、発熱源で発生した排ガスから熱を回収する排熱回収ボイラを設置することが広く行われている。エンジンなどによって発電を行い、排ガスからさらに蒸気を発生させるコジェネレーションは、装置全体としての効率を高めるということができる。この場合、エンジンなどの側がメインの装置となって運転を主体的に制御し、排熱回収ボイラはエンジンなどの運転に従属する副次的なものとなる。そのため、排熱回収ボイラ側では加熱を行いたくない場合であっても、エンジン側の稼働が優先されて排ガスの発生が続けられるということがある。
【0003】
特開2006−112740号公報に記載の発明では、排熱回収ボイラの排ガス入口部と排ガス出口部を直接結ぶバイパス通路を設け、排ガス入口側のバイパス通路接続部に排ガスダンパを設けておき、排熱回収ボイラへの加熱が不要な場合は、バイパス通路へ排ガスを送るようにしている。ボイラの加熱を行う場合には、排ガスダンパによってバイパス通路側入口を閉じ、排ガスボイラ側入口は開くことで、排ガスをボイラへ送る。逆にボイラへの加熱を停止する場合には、排ガスダンパのバイパス通路側入口を開き、ボイラ側入口を閉じることで、排ガスをバイパス通路へと送る。
【0004】
このような構成としておけば、排熱回収ボイラへの熱供給を行いたくない場合には、排熱回収ボイラを通さずに排ガスを排出することができる。例えば、ボイラでは蒸気を発生することでボイラ水は減少していくため、それ以上の給水能力を持った給水ポンプにて給水を行うことが必要であり、給水能力の低下によって給水が間に合わなくなった場合、ボイラ内の水位は低下し続けることになる。ボイラ内の水位が適正水位より低くなった状態で排熱回収ボイラへの排ガス供給を継続していると、ボイラ内では伝熱管の途中でボイラ水は全て蒸気に替わり、伝熱管の上部では蒸気のみとなって液体分がなくなることで、ボイラ水による伝熱管の冷却ができなくなるということになる。伝熱管を冷却できなければ伝熱管が加熱され続けるため、やがては耐熱温度を超える温度にまで過熱され、ボイラ自体が破損するというおそれがでてくる。そのような場合、排ガスはバイパス通路を通し、ボイラへは熱が供給されないようにしておくと、ボイラへの影響を与えること無くエンジン側での稼働を継続することができる。
【0005】
しかし、設置スペースの制約などから上記のバイパス通路を設置できないケースもある。バイパス通路のない排熱回収ボイラにおいて、上記のような故障が発生すると、エンジン側の稼働を継続すれば排熱回収ボイラへ熱供給が続けられることになり、排熱回収ボイラが破損するおそれが出るため、エンジン側での稼働を停止することになる。しかし、排熱回収ボイラのためにエンジン側の稼働を停止することになると、エンジン側の停止による影響はさらに広範囲に広がり、工場などにおける操業に大きな影響を与えることがある。そのため、エンジン側の稼働には影響を与えることなく、排熱回収ボイラの保護を行うことができるようにすることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−112740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、排ガスのバイパス通路を持たない排熱回収ボイラであって、給水能力低下など給水系統での異常が発生した場合でも、エンジンなど熱発生源側の稼働には影響を与えることなく排熱回収ボイラへの過熱は防止することのできる排熱回収ボイラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、発熱源から送られてきた高温の排ガスを使用して蒸気を発生する排熱回収ボイラにおいて、排熱回収ボイラで発生した蒸気を系外へ排出することで排熱回収ボイラ内の圧力を低下させるための蒸気放出弁を設けておき、排熱回収ボイラの運転中、排熱回収ボイラ内の水位が通常の制御範囲よりも低い値に設定している安全水位より低下した場合、前記の蒸気放出弁を開く制御を行うものであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、蒸気放出弁を開くことによって排熱回収ボイラ内の圧力が排熱回収ボイラの一次側に掛かる給水の圧力より低くすることで、排熱回収ボイラへの給水が行えるようにしていることを特徴とする。請求項3に記載の発明は、前記の排熱回収ボイラにおいて、排熱回収ボイラへの給水を行う給水タンクを排熱回収ボイラよりも高所に設置して水頭圧によって給水に圧力を掛ける、あるいは給水ポンプよりも上流側に設けた別のポンプによって給水に圧力を掛けることにより、圧力を低下させたボイラ内の圧力よりも給水の圧力を高めることで、排熱回収ボイラへの給水が行えるようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明を実施することによって、排ガスのバイパス通路を持たない排熱回収ボイラにおいて、給水能力低下の異常が発生した場合でも、エンジンなどの熱発生源の運転は継続したままでボイラへの過熱は防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している排熱回収ボイラのフロー図である。排熱回収ボイラ1は、エンジンやタービンなどの発熱源2との間を入口側排ガス通路3で接続しており、発熱源2で発生した排ガスの供給を受け、排ガスの熱により蒸気を発生するものである。排熱回収ボイラ1には、排ガス入口部、伝熱部、排ガス出口部を設けておく。排ガス入口部は、発熱源2から送られてきた排ガスを伝熱部へ供給するものであり、入口側排ガス通路3と接続している。伝熱部には表面に多数の熱吸収用フィンを付けている垂直な伝熱管を多数設置している。排ガスは、伝熱管のすき間部分を伝熱管群に対して交差する方向に流す。排ガスが伝熱部を通過する際、排ガスの熱が伝熱管へ移動し、さらに伝熱管内のボイラ水へ熱を移動させることで、伝熱管内のボイラ水を加熱する仕組みとしている。伝熱部を通過した排ガスは、排ガス出口部から出口側排ガス通路4へ送り、戸外へと排出するようにしておく。
【0013】
排熱回収ボイラ1への給水は、排熱回収ボイラ1の設置場所より高所に設けている高架給水タンク11にためておき、高架給水タンク11から供給する。排ガス出口部には、給水予熱装置を設けておく。給水予熱装置は、排熱回収ボイラ1から排出する排ガスと排熱回収ボイラ1へ供給するボイラ給水の間で熱交換を行うものであり、高架給水タンク11と排熱回収ボイラ1をつなぐ給水配管9は、給水予熱装置に接続する。排熱回収ボイラ1の本体である伝熱部には、給水予熱装置で予熱を行った給水を供給する。排熱回収ボイラ1は蒸気を発生するものであり、ボイラ内は高圧になる。そのため、給水配管9の途中に給水ポンプ10を設けておき、ボイラ給水は給水ポンプ10で加圧して排熱回収ボイラ1内へ送り込む。
【0014】
排熱回収ボイラ1内では、発熱源2から送られてくる高温の排ガスによってボイラ水の加熱を行い、蒸気を発生する。ボイラ内での蒸気は、沸き上がりによって持ち上げられたボイラ水を含むものであるため、排熱回収ボイラ1の上部に設けている気水分離器7にて液分を分離するようにしておき、液分を分離した蒸気は蒸気配管5を通して蒸気使用箇所へ供給する。蒸気配管5には、途中に蒸気放出弁6を設けた蒸気放出配管を接続しておく。蒸気放出弁6を開くことで、排熱回収ボイラ1内の蒸気を系外に放出し、排熱回収ボイラ1の内部圧力を低下させることができるようにしている。
【0015】
排熱回収ボイラ1への給水は、排熱回収ボイラ1内の水位を検出する水位検出装置8にて検出した水位に基づき行う。水位検出装置8にて検出している水位が給水開始水位まで低下すると、給水ポンプ10を作動して給水を行い、給水による水位上昇によって給水停止水位まで上昇すると、給水ポンプの作動を停止する。給水を停止すればボイラでは蒸気を発生しているために水位は低下し、給水開始水位まで水位が低下すると給水を再開するということを繰り返す。ボイラ内では高圧になるが、ボイラ内の圧力にうち勝てるように給水ポンプ10で給水を加圧することによってボイラ内へ給水を行うことができる。
【0016】
しかしその場合、給水ポンプ10の能力が低下し、ボイラ内の圧力に負けるようになれば、給水ポンプ10を作動してもボイラ内の水位は上昇しないことになる。給水ポンプ吐出圧の方がボイラ内圧力より高いと、ボイラへの給水は行えるが、その差が小さくなると給水速度は低下する。給水量がボイラの蒸発量より少なくなると、給水ポンプ10の作動を行っていてもボイラ内の水位は低下し続けることになる。
【0017】
ボイラの伝熱部への給水は下部から行い、伝熱管内を上昇させながら加熱することによって蒸気を発生する。伝熱管内のボイラ水は、上昇するにつれて蒸気の割合が増加していくが、ボイラ水には沸き上がりが発生するため、排熱回収ボイラでの水位が正常であれば伝熱管の上部まで液状のボイラ水が達する。伝熱管の熱はボイラ水が吸収するため、伝熱管は過熱されることなく運転することができる。しかしボイラ内の水位が適正範囲の下限よりも低くなると、伝熱管内にあるボイラ水は伝熱管の途中で全て蒸気に替わり、伝熱管の上端部分では蒸気のみとなって液分がなくなるということになる。伝熱管の内側が蒸気だけになると、伝熱管の冷却が十分に行われなくなるために伝熱管は過熱される。ボイラが過熱されると、ボイラの破損などを招くことになるため、過熱されないように対応する必要がある。
【0018】
排熱回収ボイラ1の過熱を防止するためには、排熱回収ボイラ1への熱供給を停止することが最も単純な解決方法である。しかし、排ガスのバイパス通路を持っていない排熱回収ボイラでは、発熱源2の稼働は継続したままで排熱回収ボイラ1への排ガスの供給は停止するということはできない。そして、排熱回収ボイラ1は発熱源2から捨てられていた熱を利用して蒸気を発生するものであり、主体はエンジンなどの発熱源2であって、排熱回収ボイラは副次的なものである。主体となるエンジンなどの作動は、多くの機器に影響を与えるものであるため、排熱回収ボイラの都合では発熱源2の作動を止め難いという事情がある。
【0019】
そこで排熱回収ボイラ1では、給水が間に合わなくなった場合には、蒸気放出弁6を開く操作を行うようにしておく。水位検出装置8には給水開始水位よりも下方に安全水位の設定を行っておき、水位が安全水位よりも低くなった場合に蒸気放出弁6を開く。蒸気放出弁6は排熱回収ボイラ1内の蒸気をボイラ外へ排出するためのものであり、蒸気放出弁6を開くと排熱回収ボイラ1内の圧力は低下する。排熱回収ボイラ1内の圧力が高い場合、給水ポンプ10の能力が低下すると、排熱回収ボイラ1内に入る給水量は低下することになっていた。しかし、排熱回収ボイラ1内の圧力を低下させると、給水ポンプ10の吐出圧力は同じであっても、排熱回収ボイラ1内へ供給することのできる給水量は増加する。
給水量が増加すればボイラ内水位は上昇するため、ボイラが過熱されることは無くなる。
【0020】
ただしこの場合、排熱回収ボイラ1内の蒸気圧力が低くなり、蒸気使用箇所へ供給することのできる蒸気量は減少する。排熱回収ボイラは、他にメインとなるボイラを設置しておいた上での補助的なボイラとして設置されることが多い。排熱回収ボイラからの蒸気供給が減少した場合、排熱回収ボイラからの蒸気供給が完全に停止する訳ではないが、排熱回収ボイラからの蒸気供給量が減少した分は他のボイラからの蒸気供給量を増加させることになる。その場合でも、燃料の使用量が増加するという問題はあるが、排熱回収ボイラからの蒸気供給が減少しても工場の操業に影響を与えるということない。
【0021】
そして蒸気供給量が一時的に低下することは、ボイラが過熱されることで破損することに比べると影響度は低いものであり、緊急避難的な操作によって排熱回収ボイラの過熱を防止することは有効な対処となる。給水ポンプ10の修理を行うなど、給水能力を回復させる処置を行うと、排熱回収ボイラ1による蒸気の供給量を回復させることができる。
【0022】
また、給水ポンプ10の能力がさらに低下し、加圧する能力がほとんど失われた場合であっても、給水タンクは排熱回収ボイラ1よりも高所に設置しておくと、排熱回収ボイラ1への給水を行うことができる。排熱回収ボイラ1内の圧力をほぼ大気圧まで低下させておけば、水頭圧を利用して給水を行うことができる。この場合には、排熱回収ボイラからの蒸気供給は完全に停止してしまうことになるが、ボイラ内の水位を上昇させることはできるので、ボイラの過熱を防止することができる。
【0023】
排熱回収ボイラ内の圧力を低くした場合には、給水ポンプ一次側にある程度の圧力が掛かっていれば排熱回収ボイラ内への給水を行うことができる。そのため、給水タンクを高所に設置する他、給水ポンプよりも上流側に設けた別のポンプによって給水に圧力が加えられている場合にも、排熱回収ボイラ内への給水を行うことができる。
【0024】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 排熱回収ボイラ
2 発熱源
3 入口側排ガス通路
4 出口側排ガス通路
5 蒸気配管
6 蒸気放出弁
7 気水分離器
8 水位検出装置
9 給水配管
10 給水ポンプ
11 高架給水タンク