【解決手段】ユーザーが選択した基準地点を原点Oとし、原点Oからの距離が基準地点からの移動時間に対応し、行き先候補を分類する因子(「目的」、「費用」、「誰と行く」)を座標軸X〜Zとした座標系に、基準地点の周囲に存在する複数の行き先候補を表示するようにした。
前記因子は、対極の概念を含み、前記座標軸は、前記原点を基準とした一方が、一方の概念を示し、前記原点を基準とした他方が、他方の概念を示すことを特徴とする請求項1に記載の行き先候補表示方法。
前記座標系は、前記原点を球中心とした球座標系であり、前記球座標系を所定の視点から見たときの画像に変換して表示するとともに、前記視点の変更を受け付けることを特徴とする請求項2に記載の行き先候補表示方法。
互いに直交する3つの前記座標軸を持ち、ユーザーの指示に基づいて、いずれか一つの座標軸の因子に基づいて絞られた行き先候補を、残りの2つの座標軸を有する二次元の座標系に表示することを特徴とする請求項3に記載の行き先候補表示方法。
複数の行き先候補の少なくとも位置を記述した第一データに基づいて、前記所定地点からの距離または移動時間を算出し、算出した前記距離または移動時間と、前記行き先候補を前記因子で分類した第二データとに基づいて、前記座標系に、前記行き先候補を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の行き先候補表示方法。
前記所定地点からの距離または移動時間が予め設定された設定範囲内の前記行き先候補を検索し、抽出された前記行き先候補を、前記座標系に表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の行き先候補表示方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の行き先候補表示装置の実施形態に係るナビゲーション装置の機能構成を示したブロック図である。
このナビゲーション装置1は、移動体の一種である車両に搭載され、地図情報や行き先(目的地)までの経路情報などを表示して、ユーザーを行き先まで誘導するナビゲーション処理などを行う車載装置である。このナビゲーション装置1は、車両に備え付けられたものでなくても良く、例えば、持ち運び可能なPND(Personal Navigation Device)や携帯電話装置であっても良い。
【0010】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、主制御部11、表示制御部12、表示部13、入力部14、現在地特定部15、音声処理部16、通信部17及び記憶部18を備えている。
主制御部11は、CPU、ROM及びRAMなどを有するコンピューター構成を具備し、記憶部18に記憶された制御プログラムを実行することにより、各種の演算処理や表示処理を中枢的に行う情報処理部として機能する。表示制御部12は、主制御部11の制御の下、表示部13に地図や経路案内画面などの各種画面を表示させる。表示部13は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの公知の表示装置であり、ユーザー等に対して各種の情報を表示する。
【0011】
入力部14は、ユーザーの指示を入力する装置であり、ナビゲーション装置1に設けられたハードスイッチや、表示部13に設けられたタッチパネルなどを介してユーザー操作を入力する。ユーザー操作を入力した際には、入力部14は、操作に対応づけられた情報(例えば、タッチパネルの検出位置やコマンド情報)を主制御部11に出力する。なお、タッチパネルは、表示部13の表示画面に重ねて配置された透過性のタッチパネルが適用され、表示画面上のユーザーの操作位置や操作量などを検出する。現在地特定部15は、車速センサ、ジャイロセンサ及びGPS受信装置などからの情報に基づいて公知の手法で現在地を特定する。
【0012】
音声処理部16は、主制御部11の制御の下、ユーザーを経路案内するための案内音声などをスピーカから放音させる。通信部17は、主制御部11の制御の下、無線通信網を経由してインターネットなどの通信ネットワークにアクセスし、通信ネットワーク上等に設けられたサービス提供サーバ31などから各種情報を取得する。記憶部18は、このナビゲーション装置1が各種処理を行うために必要な制御プログラムやデータを記憶する装置である。主制御部11は、ユーザー指示に応じた制御プログラムを実行することによって、経路検索処理や経路案内処理などの公知のナビゲーション装置が備える各種処理を実行する。
【0013】
なお、経路探索処理は、現在地等の所定地点から行き先までの経路を検索する処理であり、経路案内処理は、現在地を含む地図画像を表示部13に表示し、現在地から行き先までの経路案内を表示や音声によって行う処理である。また、行き先は、ユーザーから入力された電話番号や住所などから検索することができる。
【0014】
さらに、本実施形態では、ユーザーのドライブプランの作成を支援する機能として、行き先候補表示処理を行うための制御プログラムが記憶部18に記憶されている。本実施形態の記憶部18は、
図1に示すように、行き先候補表示処理を含む各種処理を実行するための制御プログラムや地図情報などを記憶するプログラム・地図記憶部18Aと、行き先候補となり得る施設の情報を記述した施設データD1(行き先候補データ)を記憶する施設データ記憶部18Bと、行き先候補表示処理用の画像データなどを記憶する画像データ記憶部18Cとを備えている。
【0015】
施設データD1は、目的地候補となり得る施設の位置、名称、電話番号、住所などを記述したPOI(Point Of Interest)データDAと、施設を複数の因子で分類した施設分類データDBとを含んでいる。なお、施設分類データDBは、サービス提供サーバ31から提供されたデータまたは予め記憶されたデータのいずれであっても良い。
また、施設は、行き先候補となり得るものの全てを対象としており、建築物や設備などの人工物に限らず、観光地、山、川、海などの自然物も含むものである。
【0016】
図2は、施設分類データDBの一例を模式的に示した図である。
施設分類データDBは、施設を予め定めた複数の因子で分類したデータであり、因子毎に施設の評価が記述されている。なお、
図2では、多数存在する施設の一部のデータだけを示しており、例えば、ショッピングセンタは、
図2には「ショッピングセンタA」のデータしか記載されていないが、実際は、「ショッピングセンタA」以外の多数のショッピングセンタのデータが記述されている。
因子には、「目的」、「費用」、「誰と行く」からなる3つの因子が設定される。
【0017】
「目的」の因子には、「静(リラックス)」及び「動(アクティブ)」からなる対極の概念と、「他の評価」とからなる三段階のいずれかの評価が記述される。この因子の「静(リラックス)」は、リラックスできることを示し、「動(アクティブ)」は、活動的であることを示すものである。また、この因子の「他の評価」は、「静」、「動」のいずれにも限定されない中間状態の評価(例えば「静」、「動」のいずれにも対応可能な評価)を示している。例を挙げると、
図2では、「ショッピングセンタA」が「静」、「動」のいずれにも対応可能な施設として、「他の評価」に評価した場合を示している。なお、この評価、及び、以下に述べる他の因子の評価は、施設の情報や評判、設定者の嗜好等に応じて適宜に設定すれば良く、また、施設のリニューアルなどに応じて適宜に変更しても良い。
【0018】
「費用」の因子には、「節約」及び「贅沢」からなる対極の概念と、「他の評価」の三段階のいずれかの評価が記述される。この因子の「節約」はローコストまたはコストパフォーマンスが高いことを示し、「贅沢」はハイコストであることを示し、「他の評価」は「節約」、「贅沢」のいずれにも限定されない中間状態の評価を示している。なお、
図2の例では、いずれの施設も「節約」及び「贅沢」のいずれか一方に評価した場合を示している。
【0019】
「誰と行く」の因子には、「ファミリー」及び「個人/友人」からなる対極の概念と、「他の評価」の三段階のいずれかの評価が記述される。この因子の「ファミリー」はファミリー向きであることを示し、「個人/友人」はファミリー向きでないことを示し、「他の評価」は「ファミリー」、「個人/友人」のいずれにも限定されない中間状態の評価を示している。
図2の例では、「ショッピングセンタA」及び「テーマパークA」をファミリー向けと評価し、「ゴルフ場A」及び「テニスコートA」を個人/友人向けと評価した場合を示している。また、「神社A」、「山A」及び「海A」については、「ファミリー」及び「個人/友人」いずれにも対応できる施設として、「他の評価」と評価した場合を示している。
尚、各因子の評価は、ナビゲーション装置1の製造業者が任意に定めるものとする。例えば、「費用」の因子について、利用料が3千円未満の施設を「節約」と評価し、利用料が2万円を超える施設を「贅沢」と評価するなど、定量的な尺度に基づいて評価する一方、「目的」の因子については、定性的な尺度に基づいて評価する。
【0020】
次いで、行き先候補表示処理の動作を説明する。
図3は、行き先候補表示処理のフローチャートを示した図である。
このナビゲーション装置1において、まず、主制御部11は、ユーザーに対し、基準地点の選択を促す(ステップS11)。そして、基準地点として現在地が選択された場合、主制御部11は、現在地特定部15により特定した現在地を、基準地点として自動入力し(ステップS12)、現在地を基準地点に決定する(ステップS13)。一方、現在地以外が選択された場合、主制御部11は、ユーザーに対し、基準地点の入力(いわゆる手入力)を促し、入力されると(ステップS14)、入力された地点を基準地点に決定する(ステップS13)。
【0021】
次に、主制御部11は、複数の施設の少なくとも位置を記述したPOIデータDA(第一データ)を参照し、基準地点からの移動時間が予め定めた設定範囲内(例えば3時間内)の施設を検索する(ステップS15)。この場合の移動時間を算出する方法には、計算時間を短くする観点から基準地点から施設までの直線距離に基づいて移動時間を算出する方法を採用しても良いし、移動時間の精度を高める観点から基準地点から施設までの推奨経路を検索し、検索した推奨経路の距離から移動時間を算出する方法を採用しても良い。また、いずれの方法を採用するか否かの選択や上記設定範囲は、ユーザーが任意に設定できるように構成しても良い。
また、ステップS15で用いるPOIデータDAは、記憶部18に記憶されたPOIデータDAに限らず、通信部17を介してサービス提供サーバ31から取得した最新のPOIデータDAでも良い。この場合、ナビゲーション装置1内のPOIデータDAを用いるか、外部のPOIデータDAを用いるかをユーザーなどが任意に設定できるように構成しても良い。
【0022】
次いで、主制御部11は、施設を予め定めた複数の因子で分類した施設分類データDB(第二データ)に基づいて、ステップS15で抽出した施設を因子毎に分類する(ステップS16)。この施設分類データDBについても、記憶部18に記憶された施設分類データDBに限らず、通信部17を介してサービス提供サーバ31から取得した最新の施設分類データDBであっても良い。また、ナビゲーション装置1内の施設分類データDBを用いるか、外部の施設分類データDBを用いるかについてもユーザーが任意に設定できるように構成しても良い。
【0023】
続いて、主制御部11は、施設の分類結果に基づいて、ステップS15で抽出された施設を、レーダーチャートを模した座標系にマッピングするマッピング処理を行う(ステップS17)。そして、主制御部11は、マッピングした画像を、行き先候補画像として表示部13の画面に表示させる(ステップS18)。
このマッピング処理は、施設を分類する3つの因子(「目的」、「費用」、「誰と行く」)に対応する座標軸を設定し、これら3つの座標軸を互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)とした三次元の球座標系を形成し、この球座標系に、施設の画像をマッピングする処理である。以下、行き先候補画像の一例を説明する。
【0024】
図4は行き先候補画像の三次元表示例を示した図である。
図4中、符号F1〜F8は、上記ステップS15で検索された施設の画像であり、符号U1は基準地点に設定された画像(
図4ではユーザーの自宅を示す画像)である。これらの画像F1〜F8、U1は、画像データ記憶部18Cに記憶された画像データ、或いは、サービス提供サーバ31から適宜に取得した画像データが使用される。
符号F1は
図2中のショッピングセンタAを示す画像であり、符号F2は
図2中のテーマパークAを示す画像であり、符号F3は
図2中のゴルフ場Aを示す画像である。また、符号F4は
図2中の神社Aを示す画像であり、符号F5は
図2中の山Aを示す画像であり、符号F6は
図2中の温泉Aを示す画像であり、符号F7は
図2中のテニスコートAを示す画像であり、符号F8は
図2中の海Aを示す画像である。
【0025】
図4に示すように、X軸(横軸)が「目的」に対応する座標軸とされ、原点O(球中心)を基準にして一方(右側)が「動(アクティブ)」を示し、原点O(球中心)を基準にして他方(左側)が「静(リラックス)」を示している。
また、Y軸(縦軸)が「費用」に対応する座標軸とされ、原点Oを基準にして一方(上側)が「贅沢」を示し、他方(下側)が「節約」を示している。
また、Z軸(奥行き方向の軸)が「誰と行く」に対応する座標軸とされ、原点Oを基準にして一方(手前側)が「ファミリー」を示し、他方(奥側)が「個人/友人」を示している。
【0026】
さらに、行き先候補画像には、原点Oからの距離を示す目盛りM1、M2、M3が表示される。これら目盛りM1、M2、M3は、原点Oを中心とするレーダー球に相当するものであり、目盛りM1が原点Oからの距離が最も短い第1基準位置を示し、目盛りM2が次に距離が短い第2基準位置を示し、目盛りM3が最も距離が長い第3基準位置を示している。
より具体的には、目盛りM1は、原点Oからの距離が基準地点から1hの移動時間の位置を示し、近所のエリアの境界を示している。また、目盛りM2は、原点Oからの距離が基準地点から2hの移動時間の位置を示す目盛りであり、近所ではないが遠出ではないエリアの境界を示している。また、目盛りM3は、原点Oからの距離が基準地点から3hの移動時間の位置を示し、日帰りの範囲で遠出のエリアの境界を示している。
【0027】
このようにして、レーダーチャートを模した座標系を構成し、原点Oからの距離によって基準地点から施設までの距離を直感的に認識し易くなる。しかも、レーダー球に相当する3つの目盛りM1、M2、M3によって、原点Oに設定した基準地点から施設までの距離を極めて容易に認識でき、施設までの移動時間を一目で認識できる。
つまり、この座標系には、各施設の画像F1〜F7が、原点Oからの距離が基準地点(ユーザーの自宅U1)から各施設までの移動時間となる位置であって、且つ、各施設を分類する因子の座標軸X〜Zによって定まる位置に表示される。
【0028】
この行き先候補画像を表示することによって、ユーザーは、原点Oからの距離と3つの因子との組み合わせを選択基準にして行き先候補の施設を選択することができる。従って、基準地点から施設までの距離感を直感的に認識しながら、好みの因子の組み合わせで行き先候補を容易に選択することができる。
しかも、
図3に示すように、施設を分類する3つ全ての因子に対応する施設を表示するので、「静(リラックス)」、「動(アクティブ)」、「節約」、「贅沢」、「ファミリー」及び「個人/友人」といった概念に対応する施設を同時に表示することができ、画面を切り替えることなく、且つ、ジャンルに絞られずに、行き先候補を広い選択枝の中から容易に選ぶことができる。
【0029】
この行き先候補画像の表示の際には、原点Oと施設の画像とが重ならないように画像を表示させる処理を行ってもよい。具体的には、主制御部11は、基準地点からの移動時間または距離が予め設定した下限値未満(例えば1時間未満または1km未満)の施設は表示対象から除く処理を行っても良い。また、座標系のスケールを変更可能にした場合には、原点Oと重ならない行き先候補画像を表示できるようにスケールに応じて下限値を変更することが好ましい。また、後述する視点の変更によって原点Oと重なる行き先候補画像についても、表示対象から除くようにしても良い。このような表示処理は主制御部11が行っても良いし、他の処理部が行ってもよい。
【0030】
さらに、原点Oと重なる行き先候補画像を表示しない方法に代えて、原点Oと重ならないように予め定めた規則に従って表示位置をオフセットさせても良いし、いずれの方法を採用するかをユーザーなどが適宜に設定変更できるようにしても良い。これによって、原点Oを視認し易くし、施設までの距離感を常に認識し易くすることができる。
【0031】
また、主制御部11は、施設の画像F1〜F8を表示する際、手前側に位置するほど画像を拡大して表示し、奥側に位置するほど縮小して表示する。
図4では、Z軸上の位置に応じて画像F1〜F8を拡大及び縮小して表示している。これによって、各画像F1〜F8の奥行き方向の位置を視覚で直感的に認識し易くなる。
より具体的には、ファミリー向けの施設の画像F1、F2、F6については相対的に大きく表示し、個人/友人向けの施設の画像F3、F7については相対的に小さく表示している。また、それ以外の施設の画像F4、F5、F8の画像については、中間の大きさに表示している。これによって、ユーザーは施設と因子との対応関係を直感的により認識し易くなり、行き先候補を選び易くなる。
【0032】
この
図4に示す表示状態の場合に、いずれかの施設の画像F1〜F8がタッチパネルを介してユーザーにより選択操作されると(ステップS19;行き先候補の選択)、主制御部11は、選択操作された画像に対応する施設を行き先(目的地)に設定し、基準地点から行き先までの推奨経路を検索する処理へと移行する(ステップS20)。これにより、ユーザーが選んだ行き先候補への推奨経路が自動的に検索され、経路案内処理を迅速に開始させることができる。
【0033】
このステップS20の処理に代えて、選択操作された画像に対応する施設を、「気になる行き先候補」に登録する行き先候補登録処理を行うようにしても良い。この場合、例えば、記憶部18に、「気になる行き先候補」の施設を識別する識別情報を格納する。そして、ユーザーの所定操作を介して「気になる行き先候補」の表示が指示された場合に、その識別情報に基づいて施設の一覧を表示部13に表示させる。その後、ユーザーによって行き先(目的地)として選択された場合に、上記ステップの処理を行うようにしても良い。
【0034】
一方、ユーザーが上記球座標の二次元表示を選択すると(ステップS19;二次元表示の選択)、主制御部11は、ユーザーの指示に応じた画面表示処理へ移行する(ステップS21)。この場合、ユーザーから3つの座標軸のいずれか1軸の選択を受け付け、この選択が行われた際に、選択された1軸を除く2軸の二次元表示を行う。例えば、ユーザーが「誰と行く」に対応する座標軸(Z軸)の「個人/友人」に対応する領域をタッチ操作すると、主制御部11は、その「個人/友人」側を視点とした場合に相当する二次元表示を行う。この場合の行き先候補画像の表示例を
図5に示す。
【0035】
図5に示すように、表示部13には、「目的」に対応する座標軸(X軸)と「費用」に対応する座標軸(Y軸)とからなる座標系に、ユーザーが指示した視点「個人/友人」側から見える画像F3〜5、F7、F8だけが表示される。
ここで、画像F3〜5、F7、F8は、「目的」で分類される3つの評価のうち、「個人/友人」及び「他の評価」とされた施設の画像であり、この施設の抽出処理は主制御部11が行う。つまり、主制御部11は、「個人/友人」がユーザーによりタッチ操作されると、「個人/友人」の対極にある「ファミリー」向けの施設を除く施設を抽出し、抽出した施設の画像だけを予め定めた基準サイズ(
図4中の中間の大きさに相当)で表示する。
【0036】
同
図5に示すように、表示される施設の画像は、原点Oからの距離が基準地点(自宅U1)から各施設までの移動時間となる位置であって、且つ、各施設を分類する「目的」及び「費用」の座標軸(X、Y軸)によって定まる位置に表示される。
これによって、ユーザーの指示に従って行き先候補を絞りつつ、原点Oからの距離と2つの因子との組み合わせを選択基準にして行き先候補を選択することが可能になる。
【0037】
なお、
図5では、「誰と行く」で分類される施設のうち2つの評価(「個人/友人」及び「他の評価」)に対応する施設を表示するため、一つの評価(「個人/友人」)に対応する施設を表示する場合と比べ、多数の施設を表示することができる。但し、表示数が予め設定した上限数を超える場合などは、視認性を確保する観点から、一つの評価(「個人/友人」)に対応する施設だけを抽出して表示するようにしても良い。
また、ユーザーなどが予め設定することによって、2つの評価(「個人/友人」及び「他の評価」)に対応する施設を表示する方法と、一つの評価(「個人/友人」)に対応する施設だけを抽出して表示する方法とを切替可能にしても良い。
【0038】
さらに、
図4に示す表示状態において、ユーザーが「ファミリー」に対応する位置をタッチ操作すると、主制御部11は、「ファミリー」側を視点とした場合に相当するX,Y軸の二次元表示を行う。この場合の行き先候補画像の表示例を
図6に示す。
図6に示すように、「目的」に対応する座標軸(X軸)と「費用」に対応する座標軸(Y軸)とからなる2次元の座標系に、ユーザーが指示した視点「ファミリー」側から見える画像F1、F2、F4〜F6、F8だけが表示される。ここで、画像F1、F2、F4〜F6、F8は、「目的」で分類される3つの評価のうち、「ファミリー」及び「他の評価」とされた施設の画像である。
【0039】
この
図6に表示される施設の画像は、原点Oからの距離が基準地点(自宅U1)から各施設までの移動時間となる位置であって、且つ、各施設を分類する「目的」及び「費用」の座標軸(X、Y軸)によって定まる位置に表示される。
これによって、ユーザーの指示に従って視点を変更して表示することができ、行き先候補を絞りつつ、原点Oからの距離と2つの因子との組み合わせを選択基準にして行き先候補を選択することが可能になる。
この場合も、表示数が予め設定した上限数を超える場合、或いは、ユーザーなどの設定に応じて、一つの評価(「ファミリー」)に対応する施設だけを抽出して表示するようにしても良い。
【0040】
さらに、
図4〜
図6に示すいずれかの表示状態において、他の座標軸(X、Y軸)のいずれかの視点(「静(リラックス)」、「動(アクティブ)」、「節約」、「贅沢」に相当)がユーザーにより選択された場合も、上記と同様に、ユーザーの指示に従って視点を変更して表示する。
これにより、視点を自由に変更して表示することができ、行き先候補を絞りつつ、原点Oからの距離と所望の2つの因子との組み合わせを選択基準にして、行き先候補を選択することができる。
【0041】
上記のように二次元表示した後は、
図3に示すように、ステップS19へと移行し、いずれかの施設の画像F1〜F8がタッチパネルを介してユーザーにより選択操作されると(ステップS19;行き先候補の選択)、主制御部11は、ステップS20の処理へ移行する。これにより、ユーザーが選んだ行き先候補への推奨経路が自動的に検索され、経路案内処理を迅速に開始させることができる。
【0042】
一方、ステップS19において、ユーザーにより条件変更が指示されると、主制御部11は、ステップS11の処理へ戻る。これにより、基準地点を変更することができ、変更後の基準地点に基づいて行き先候補画像を表示することができる。以上が行き先候補表示処理である。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態では、
図4〜
図6に示したように、ユーザーが選択した基準地点を原点Oとし、原点Oからの距離が基準地点からの移動時間に対応し、行き先候補を分類する因子(「目的」、「費用」、「誰と行く」)を座標軸X〜Zとした座標系に、基準地点の周囲に存在する複数の行き先候補を表示するので、地図表示のような所定地点から見た方角ではなく、行き先候補を分類する因子によって決まる位置に行き先候補を表示させることができる。
これによって、原点Oからの距離と因子との組み合わせを選択基準にした行き先候補の選択が可能となる。従って、基準地点(所定地点)からの距離感を直感的に認識させるとともに、ジャンル(即ち、施設の属性)に依存せずに行き先候補を表示することができ、好みの行き先候補を選択し易くなる。
【0044】
上記因子は、対極の概念を含み、上記座標軸(X〜Z軸)は、原点Oを基準とした一方が、一方の概念(即ち、第一の概念)を示し、原点Oを基準とした他方が、他方の概念(即ち、前記第一の概念とは対極する第二の概念)を示すので、対極の概念で分類される行き先候補を判りやすく同時に表示でき、好みの行き先候補を選択し易くなる。
また、上記座標系は、原点Oを球中心とした球座標系であり(
図4参照)、この球座標系を所定の視点から見たときの画像に変換して表示するとともに、視点の変更を受け付けるので(
図5、
図6参照)、原点Oを中心とした円座標系の場合と比べて、球座標系の方が、行き先候補の表示位置の自由度が拡がり、且つ、因子に対応する座標軸も増やすことができる。しかも、視点の変更を受け付けるので、好みの行き先候補を見易く表示させることができ、円座標系と同様の二次元表示も可能である。
【0045】
また、互いに直交する3つの座標軸(X〜Z軸)を持ち、ユーザーの指示に基づいて、いずれか一つの座標軸(X〜Z軸のいずれか)の因子に基づいて絞られた行き先候補を、残りの2つの座標軸を有する二次元の座標系に表示するので(
図5、
図6参照)、ユーザーの指示に基づいて絞られた行き先候補を、二次元の座標系に距離感をイメージさせつつ表示できる。これにより、距離と2つの座標軸からなる因子との組み合わせを選択基準にして行き先候補を容易に選ぶことができる。
【0046】
また、複数の行き先候補の少なくとも位置を記述したPOIデータDA(第一データ)に基づいて、基準地点からの移動時間を算出し、算出した移動時間と、これら行き先候補を上記因子で分類した施設分類データDB(第二データ)とに基づいて、上記球座標系に行き先候補を表示するので、公知のPOIデータを流用することができる。また、施設分類データDBに、行き先候補を様々な条件で分類した公知のデータを利用することもできる。従って、公知のデータを流用して、行き先候補の表示が可能である。
【0047】
また、基準地点からの移動時間が予め設定された設定範囲内の行き先候補を検索し、抽出された行き先候補を上記座標系に表示するので、遠方地を行き先候補から排除でき、視認性が向上するとともに、排除する分だけ演算処理量を低減することができる。なお、上記設定範囲をユーザーなどが任意に設定できるようにしても良い。
また、行き先候補画像の表示の際には、基準地点からの移動時間、または、距離が予め設定した下限値未満の行き先候補を表示対象から除く処理を行うので、表示座標の原点Oを視認し易くし、行き先候補までの距離感を常に認識し易く表示することができる。
【0048】
なお、上述の実施形態において、ユーザーの行き先候補画像の任意エリアのピンチアウト操作やピンチイン操作を受け付け、主制御部11によりピンチアウト操作に応じて拡大表示し、ピンチイン操作に応じて縮小表示しても良い。また、任意の施設がピンチアウト操作された場合に、その施設と同様の条件の他の候補を追加表示しても良い。例えば、「横浜赤レンガ倉庫」の画像がピンチアウト操作された場合に、同じエリアの観光施設に分類される「横浜ランドマークタワー」等を追加表示させても良い。これにより、ユーザーが関心を持つ可能性が高い行き先候補を追加表示することができる。
【0049】
また、上述の実施形態において、座標系のピッチをユーザーの操作に応じて任意に変更しても良い。例えば、二次元表示において変更したい部分のピンチイン操作、または、ピンチアウト操作に応じてピッチを可変できるようにしても良い。
図7(A)は、ピンチイン操作により特定の目盛り間のピッチ(
図7(A)では目盛りM1、M2間のピッチ)を拡大表示した場合を示している。この表示にすることで、目盛りM1、M2間の情報の視認性が向上する。従って、目盛りM1、M2間の移動時間を条件にして行き先候補を選ぶ場合に、行き先候補を選びやすくなる。さらに、拡大表示した領域内の情報量(例えば施設の数)を増やしても良い。
【0050】
図7(B)は、ピンチイン操作により特定エリアのピッチ(
図7(B)では左エリアの目盛りM1〜M3のピッチ)を拡大表示した場合を示している。この表示にすることで、左エリアの情報の視認性が向上し、左エリアを条件にして行き先候補を選ぶ場合に、行き先候補を選び易くなる。この場合も、拡大表示した領域内の情報量(例えば施設の数)を増やしても良い。
また、現在時刻を元にしたピッチの自動変更を行っても良い。具体例を挙げると、現在が午後であれば、遠出となる時間範囲に相当する特定の目盛り間のピッチ間のピッチ(移動時間2h〜3h(片道)となる目盛りM2、M3間のピッチ)を狭め、近場となる時間範囲に相当する目盛り間のピッチ(目盛りM2までのピッチ)を拡げて表示しても良い。一方、現在が午前であれば、上記午後の場合とは逆に、遠出となる時間範囲に相当する特定の目盛り間のピッチ間のピッチを拡げ、近場となる時間範囲に相当する目盛り間のピッチ(目盛りM2までのピッチ)を狭めて表示しても良い。
【0051】
また、上述の各実施形態において、行き先候補の施設の画像を、ユーザーが原点Oにドラッグ操作(移動操作)すると、その原点Oに移動した施設を基準地点に設定し、その基準地点に基づいて再検索及び再描画(
図3に示すステップS15移行に相当)を行うようにしても良い。この場合、原点Oに移動した施設周辺の施設を表示でき、更なる行き先候補の検討が可能になる。
具体例を挙げると、テーマパークAの画像F2を原点Oにドラッグ操作した場合の一例を
図8(A)に示す。
図8(A)では、自宅U1を原点Oにした場合には表示されなかった施設として、ショッピングセンタの画像F1A、山の画像F5A、海の画像F8Aが表示され、これらを行き先候補として選ぶことができる。
【0052】
また、上述の各実施形態では、原点Oからの距離を、基準地点からの移動時間にする場合を説明したが、
図8(B)に一例を示すように、原点Oからの距離を、基準地点からの距離にしても良い。この場合、
図8(B)では、原点Oを中心とする球の目盛りM1〜M3が、基準地点からの距離を示すものとなる。この距離は、直線距離、または、推奨経路の距離のいずれを採用しても良い。
また、基準地点からの移動時間を示すか、基準地点からの距離を示すかを、ユーザーなどが任意に切り替えできるようにしても良い。さらに、移動時間または移動距離を、片道/往復の表示に切り替えできるようにしても良い。つまり、上記実施形態では、基準地点から施設までの片道に要する移動時間または移動距離を表示したが、ユーザーの操作に応じて、基準地点と施設との間の往復に要する移動時間または移動距離を表示しても良い。
【0053】
また、上述の実施形態では、ナビゲーション装置1の主制御部11が行き先候補表示処理を行う場合を説明したが、通信ネットワーク上のサーバ(例えばサービス提供サーバ31)が行き先候補表示処理を行うようにしても良い。この場合、サービス提供サーバ31が、ナビゲーション装置1からユーザー指示を入力し、行き先候補表示画像を生成し、ナビゲーション装置1の表示部13に表示させるようにすれば良い。この構成によれば、一般に処理能力や記憶容量が高いサーバを用いて行き先候補表示処理の各種演算を行うため、演算処理の短時間化を図るとともに、膨大且つ最新のデータから適切な情報を選択し易くなる。
【0054】
また、上述の実施形態では、行き先候補を分類する因子を「目的」、「費用」、「誰と行く」からなる3つの因子にする場合を説明したが、因子の種類及び数はこれに限定されるものではなく、様々な因子を適用しても良い。
また、上述の実施形態では、行き先候補表示処理を行うための制御プログラムを予めナビゲーション装置1内に記憶しておく場合について説明したが、これに限らず、この制御プログラムを、磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体などのコンピューターが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピューターが記録媒体からこの制御プログラムを読み取って実行するようにしても良い。また、この制御プログラムを、通信ネットワーク(電気通信回線)を介して配信サーバなどからダウンロードできるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、ナビゲーション装置1に本発明を適用する場合を説明したが、ナビゲーション装置以外の装置を適用しても良い。要は、行き先候補を表示する様々な情報処理装置に本発明を広く適用可能である。