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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-169564(P2015-169564A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】画像検査装置及び画像検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20150901BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20150901BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
   G01N21/958
   G01N21/956 B
   G06T1/00 305A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-45231(P2014-45231)
(22)【出願日】2014年3月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】小林 巧
【テーマコード(参考)】
2G051
5B057
【Fターム(参考)】
2G051AA42
2G051AA51
2G051AB03
2G051AC21
2G051BA02
2G051CA03
2G051CA04
2G051CA08
2G051CB01
2G051CD07
2G051DA03
2G051DA06
2G051DA09
2G051EA08
2G051EA11
2G051EA16
2G051EA25
2G051EB01
2G051ED08
5B057AA03
5B057AA05
5B057DA03
5B057DC16
5B057DC32
(57)【要約】
【課題】基板を撮影画像で検査する際のパターンマッチング用の基準画像を予め用意する負担を低減する。
【解決手段】画像検査装置は、基板搬送ロボットで基板を搬送する際に当該基板を撮影し、その撮影画像を用いてパターンマッチングにより基板の良否を検査する。画像検査装置は、撮影画像に対して2値化処理とクロージング処理をした後(S1〜S3)、撮影画像内の基板を示す基板画像に対してエッジ部分を直線にする疑似エッジを検出し(S4)、その疑似エッジで囲まれた基板画像内のノイズを除去してパターンマッチングで撮影画像と比較する基準画像を生成する(S5)。撮影画像から基準画像を生成することにより、基準画像を予め取得する作業の負担がなくなる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象を撮影する撮影手段と、
前記検査対象の画像が無地の画像で含まれている基準画像と前記検査対象を撮影した撮影画像との差分を取ることにより前記基準画像の前記検査対象の画像内には含まれていない画像を抽出し、その画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する判定手段と、
を備えた画像検査装置において、
前記撮影画像に含まれる前記検査対象を示す画像を無地の画像にする所定の画像処理を行って前記判定手段が用いられる前記基準画像を生成する基準画像生成手段を備えたことを特徴とする、画像検査装置。
【請求項2】
前記基準画像生成手段が行う所定の画像処理は、前記撮影手段で撮影された撮影画像に含まれる前記検査対象の画像に対するクロージング処理である、請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記検査対象は、基板搬送ロボットにより搬送される矩形の基板であり、
前記撮像手段は、前記基板の左右の両側部を撮影する一対のカメラであり、
前記カメラは、センサの配列方向が前記基板搬送ロボットによる前記基板の移動方向に対して直交する方向に設定されたラインセンサを有し、前記基板搬送ロボットにより前記基板が搬送されることによって前記ラインセンサが当該基板の左右の両側部に対して相対移動する期間に撮影動作を行って前記基板の左右の両側部の画像を取り込む、請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記基準画像生成手段は、前記クロージング処理をした後、更に前記撮影画像内の前記基板の輪郭線に相当する疑似エッジを検出し、その疑似エッジで囲まれた前記基板の画像を無地の画像に変換して前記基準画像を生成する、請求項3に記載の画像検査装置。
【請求項5】
前記判定手段は、抽出した画像に対して収縮処理をし、収縮処理後の画像の面積が予め設定された閾値以上の面積を有する場合に前記検査対象の基板は不良と判定する、請求項4に記載の画像検査装置。
【請求項6】
撮像手段で検査対象を撮影する第1の工程と、
前記第1の工程で撮影された撮影画像に対して、当該撮影画像に含まれる前記検査対象を示す画像を無地の画像にする所定の画像処理を行って基準画像を生成する第2の工程と、
前記第2の工程で生成された前記基準画像と前記第1の工程で撮影された前記撮影画像との差分を取ることにより前記基準画像の前記検査対象の画像内には含まれていない画像を抽出し、その損傷画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する第3の工程と、
を備えたことを特徴とする、画像検査方法。
【請求項7】
前記検査対象は、基板搬送ロボットにより搬送される矩形の基板であり、
前記撮像手段は、前記基板の左右の両側部を撮影する一対のカメラであり、
前記カメラは、センサの配列方向が前記基板搬送ロボットによる前記基板の移動方向に対して直交する方向に設定されたラインセンサを有し、
前記第1の工程では、前記基板搬送ロボットにより前記基板が搬送されることによって前記ラインセンサが当該基板の左右の両側部に対して相対移動する期間に前記カメラの撮影動作を行って前記基板の左右の両側部の画像を取り込み、
前記第2の工程では、前記カメラで取り込まれた画像に含まれる前記検査対象の画像に対してクロージング処理を行うことにより前記基準画像を生成する、請求項6に記載の画像検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象をカメラで撮影し、その撮影画像を用いて検査対象の損傷の有無を検査する画像検査装置及び画像検査方法に関する。特に、基板搬送ロボットにより液晶基板等の基板を複数のプロセス処理を行う処理チャンバーに順番に搬送して各処理チャンバーにて所定のプロセス処理を行う基板処理システムにおいて、基板の搬送中に当該基板の損傷の有無を検査する場合に最適な画像検査装置及び画像検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象をカメラで撮影し、その撮影画像を用いて検査対象の損傷の有無を検査する画像検査方法が知られている。
【0003】
例えば、特開2001−343337号公報には、検査対象のプリント基板(以下、「検査対象基板」という。)をカメラで撮影し、その撮影画像を用いて検査対象基板の不良を検査する方法が開示されている。また、特開2012−194030号公報には、検査対象基板をカメラで撮影し、その撮影画像を予め取得された基準画像(欠陥のないプリント基板を撮影した画像)と比較し、両画像の差分のデータから検査対象基板の欠陥部分の画像を抽出することにより、検査対象基板の欠陥の有無を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−343337号公報
【特許文献2】特開2012−194030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板搬送ロボットにより液晶基板等の基板を複数のプロセス処理を行う処理チャンバーに順番に搬送して各処理チャンバーにて所定のプロセス処理を行う基板処理システムにおいては、基板搬送ロボットによる基板の搬送中に当該基板が処理チャンバーに接触などして当該基板の側部にヒビ割れや欠損等の損傷が生じることがある。基板に損傷が生じると、その基板は不良品となるので、基板処理システムから速やかに搬出する必要がある。
【0006】
基板処理システムに従来のパターンマッチングによる基板の検査方法を適用しようとすると、予め損傷のない基板に対して検査領域毎にカメラで撮影して基準画像を用意する必要があり、その作業負担が大きいという問題がある。
【0007】
例えば、図14に示すように、ラインセンサを用いたカメラ101を処理チャンバー102の基板の入り口102aの両側に配置し、基板搬送ロボット200が基板Sを処理チャンバー102に出し入れする際に当該基板Sの幅方向の両側部を撮影して右領域Aと左領域Bの画像を取得する構成の場合、基板搬送ロボット200が基板Sを搬送する毎に基板Sの向きやハンド201の移動速度や移動方向が微小変化をするので、図15に示すように、例えば、右領域Aを撮影した撮影画像GA内の基板Sを示す基板画像GSの形状は全て異なることになる。
【0008】
なお、図15(a)は標準的な撮影画像GAを示し、同図(b)は(a)に対してハンド201の移動速度が遅くなった場合の撮影画像GAを示し、同図(c)は(a)に対してハンド201が蛇行した場合の撮影画像GAを示したものである。(b)は(a)に対して、撮影画像GAの縦方向の長さLGが長くなっている。このため基板Sの損傷部分を示す損傷画像Gkについても(b)は(a)よりも縦方向の長さが長くなることになる。(c)は、撮影画像GAの右側のエッジEが直線でなく、蛇行する部分が生じている。
【0009】
従って、各撮影画像GAを基準画像GRと比較する場合、両画像GA,GR内の基板Sの画像の位置合わせの処理が煩雑になる。特に、ハンド201の移動速度や移動方向が変動した場合は、撮影画像GA内の基板画像GSの形状やサイズが基準画像GR内の基板画像GSの形状やサイズと異なるために、パターンマッチングにより正確に損傷画像Gkを抽出できないという不都合が生じる。この不都合を回避するため、基板Sの搬送条件の異なる複数の基準画像GRを取得することが考えられるが、この方法では、基準画像GRの取得の労力と時間が増大する、基準画像GRのメモリ容量が大きくなる、撮影画像GA毎に各撮影画像GAに対応するパターンマッチング用の基準画像GRを選定する処理が煩雑になる、等の問題がある。上記の問題は、左領域Bを撮影した撮影画像GBについても同様である。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、検査対象の撮影画像から基準画像を作成し、両画像を用いてパターンマッチングにより検査対象の良否を検査することができる画像検査装置及び画像検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の側面で提供される画像検査装置は、検査対象を撮影する撮影手段と、前記検査対象の画像が無地の画像で含まれている基準画像と前記検査対象を撮影した撮影画像との差分を取ることにより前記基準画像の前記検査対象の画像内には含まれていない画像を抽出し、その画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する判定手段と、を備えた画像検査装置において、前記撮影画像に含まれる前記検査対象を示す画像を無地の画像にする所定の画像処理を行って前記判定手段が用いられる前記基準画像を生成する基準画像生成手段を備えたことを特徴とする(請求項1)。
【0012】
上記の画像検査装置の好ましい実施の形態によれば、前記基準画像生成手段が行う所定の画像処理は、前記撮影手段で撮影された撮影画像に含まれる前記検査対象の画像に対するクロージング処理であるとよい(請求項2)。
【0013】
さらに、上記の画像検査装置の好ましい実施の形態によれば、前記検査対象は、基板搬送ロボットにより搬送される矩形の基板であり、前記撮像手段は、前記基板の左右の両側部を撮影する一対のカメラであり、前記カメラは、センサの配列方向が前記基板搬送ロボットによる前記基板の移動方向に対して直交する方向に設定されたラインセンサを有し、前記基板搬送ロボットにより前記基板が搬送されることによって前記ラインセンサが当該基板の左右の両側部に対して相対移動する期間に撮影動作を行って前記基板の左右の両側部の画像を取り込むとよい(請求項3)。
【0014】
また、上記の画像検査装置の好ましい実施の形態によれば、前記基準画像生成手段は、前記クロージング処理をした後、更に前記撮影画像内の前記基板の輪郭線に相当する疑似エッジを検出し、その疑似エッジで囲まれた前記基板の画像を無地の画像に変換して前記基準画像を生成するとよい(請求項4)。さらに、前記判定手段は、抽出した画像に対して収縮処理をし、収縮処理後の画像の面積が予め設定された閾値以上の面積を有する場合に前記検査対象の基板は不良と判定するとよい(請求項5)。
【0015】
本発明の第2の側面で提供される画像検出方法は、撮像手段で検査対象を撮影する第1の工程と、前記第1の工程で撮影された撮影画像に対して、当該撮影画像に含まれる前記検査対象を示す画像を無地の画像にする所定の画像処理を行って基準画像を生成する第2の工程と、前記第2の工程で生成された前記基準画像と前記第1の工程で撮影された前記撮影画像との差分を取ることにより前記基準画像の前記検査対象の画像内には含まれていない画像を抽出し、その損傷画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する第3の工程と、を備えたことを特徴とする(請求項6)。
【0016】
上記の画像検査方法の好ましい実施の形態によれば、前記検査対象は、基板搬送ロボットにより搬送される矩形の基板であり、前記撮像手段は、前記基板の左右の両側部を撮影する一対のカメラであり、前記カメラは、センサの配列方向が前記基板搬送ロボットによる前記基板の移動方向に対して直交する方向に設定されたラインセンサを有し、前記第1の工程では、前記基板搬送ロボットにより前記基板が搬送されることによって前記ラインセンサが当該基板の左右の両側部に対して相対移動する期間に前記カメラの撮影動作を行って前記基板の左右の両側部の画像を取り込み、前記第2の工程では、前記カメラで取り込まれた画像に含まれる前記検査対象の画像に対してクロージング処理を行うことにより前記基準画像を生成するとよい(請求項7)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像手段で検査対象を撮影した撮影画像から基準画像を生成するので、予め基準画像を取得する労力と時間が不要になる。また、基準画像を記憶しておくメモリも不要になる。
【0018】
また、矩形の基板を検査対象とし、その基板を基板搬送ロボットで搬送する期間にラインセンサを有するカメラで撮影を行って当該基板の左右方向の側部の画像を取り込み、その画像を用いて基板の良否を検査する場合、基板搬送ロボットの搬送速度が変動したり、基板搬送ロボットのハンドに載置された基板の位置に変動が生じたりした場合でも撮影画像から基準画像を生成するので、撮影画像内の基板部分の形状と基準画像内の基板部分の形状は同一となり、撮影画像と基準画像との差分を取る際の基板部分の画像の位置合わせを容易に行うことができる。
【0019】
従って、差分の画像から損傷画像を精度良く検出することができるので、検査対象である基板の良否判定を高い精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る画像検査装置が適用される基板処理システムの一例を示す斜視図である。
図2】基板搬送ロボットの構成を示す斜視図である。
図3】カメラによって撮影される基板の領域を示す図である。
図4】画像検出処理に関連する電気的な構成を示すブロック図である。
図5】画像検査装置による基板検査の処理手順を示すフローチャートである。
図6】2値化処理を説明するための図である。
図7】膨張処理を説明するための図である。
図8】収縮処理を説明するための図である。
図9】クロージング処理を説明するための図である。
図10】疑似エッジ検出処理を説明するための図である。
図11】基準画像の生成処理を説明するための図である。
図12】基準画像と撮影画像との差分画像の生成処理を説明するための図である。
図13】損傷画像の抽出処理を説明するための図である。
図14】基板搬送ロボットで基板を処理チャンバーに搬入する際に基板の損傷を検出する構成を示す図である。
図15】基板Sの撮影条件が異なった場合の撮影画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施の形態を、基板処理システムに適用される画像検査装置を例に、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る画像検査装置が適用される基板処理システムの一例を示す斜視図である。図2は、基板搬送ロボット4の構成を示す斜視図である。
【0023】
図1に示す基板処理システムXは、2つのロードロックチャンバー1A,1Bと、4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dと、1つの搬送チャンバー3と、1台の基板搬送ロボット4、画像検査装置5を含む構成である。2つのロードロックチャンバー1A,1Bと4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dは、搬送チャンバー3の回りに放射状に配置されている。搬送チャンバー3は、上面視で、六角形をなし、隣接する2つの側面にロードロックチャンバー1A,1Bが配置され、残りの4つの側面に処理チャンバー2A,2B,2C,2Dが配置されている。また、搬送チャンバー3の中央に基板搬送ロボット4が配置されている。搬送チャンバー3の各側面の所定の高さ位置には基板搬送ロボット4により基板Sの出し入れを行うための横長長方形の窓301が設けられている。
【0024】
以下の説明で、ロードロックチャンバー1A,1Bを代表する場合は、符号「1」を使用し、処理チャンバー2A,2B,2C,2Dを代表する場合は、符号「2」を使用する。
【0025】
処理チャンバー2は、液晶基板や半導体基板等の基板Sの表面に所定の製造プロセス処理を行うチャンバーである。製造プロセス処理は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術やPVD(Physical Vapor Deposition)技術による薄膜形成処理、ドライエッチング技術やリソグラフィ技術による回路のパターン形成処理、CMP(Chemical Mechanical Polishing)技術による基板の平坦化処理、ドライ洗浄技術による基板洗浄処理、イオン注入技術による接合形成処理等の処理である。
【0026】
ロードロックチャンバー1は、搬送チャンバー3内の真空状態を保持して基板処理システムXの外部から基板Sを搬送チャンバー3内に搬入したり、基板Sを基板処理システムXの外部に搬出したりするためのチャンバーである。本実施形態では、ロードロックチャンバー1Aが基板Sの搬入用チャンバーであり、ロードロックチャンバー1Bが基板Sの搬出用チャンバーである。
【0027】
図示は省略しているが、ロードロックチャンバー1A,1Bの外側には基板処理システムXに基板Sを搬入したり、基板処理システムXから基板Sを搬出したりするためのインターフェースが設けられている。ロードロックチャンバー1A,1Bの外側の側面には、インターフェースから基板Sを出し入れするための横長長方形の窓101が設けられている。
【0028】
インターフェースは、基板搬送ロボットと、複数の基板Sが収納された1又は2以上のカセットを含み、基板搬送ロボットによってカセットから基板Sを取り出してロードロックチャンバー1Aの窓101から基板処理システムX内に搬送したり、基板搬送ロボットによってロードロックチャンバー1Bの窓101から処理済の基板Sを受け取ってカセットに収納したりする機能を果たす。なお、カセットは、自走車によって他の場所から基板処理システムXのインターフェースに搬送される。
【0029】
基板搬送ロボット4は、ロードロックチャンバー1Aに搬入された基板Sを受け取って4つの処理チャンバー2A,2B,2C,2Dに順番に搬送した後、処理済の基板Sをロードロックチャンバー1Bに搬出する。
【0030】
基板搬送ロボット4は、図2に示すように、基板Sを載置するハンド401を有し、そのハンド401の位置を多関節アームによって変位させる多関節ロボットである。また、基板搬送ロボット4は、ハンド401の位置を円筒座標によって制御する円筒座標型ロボットである。基板搬送ロボット4は、ハンド401の位置を制御する機構として、ハンド401の水平移動(円筒座標のr軸方向の移動)を行う水平駆動部402と、その水平駆動部402を回転させることによってハンド401の回転移動(円筒座標のθ軸方向の移動)を行う回転駆動部403と、回転駆動部403を上下動させることによってハンド401の昇降移動(円筒座標のz軸方向の移動)を行う昇降駆動部404と、水平駆動部402、回転駆動部403及び昇降駆動部404の動作を制御するロボット制御部405と、を備える。
【0031】
基板搬送ロボット4の昇降駆動部404は、回転駆動部403を支持する上下動可能なシャフトと、そのシャフトに連結されたモータ(図2では見えていない。)を含み、シャフトがモータの回転力によって上下動する。基板搬送ロボット4の回転駆動部403は、ロータを鉛直方向に向けて配置されたモータを含み、そのロータの先端部に水平駆動部402が直結されている。
【0032】
昇降駆動部404のモータと回転駆動部403のモータは、ACサーボモータで構成され、ロボット制御部405は、昇降駆動部404のACサーボモータの回転量を制御することによりハンド401のz軸方向の位置を制御し、回転駆動部403のACサーボモータの回転量を制御することによりハンド401のθ方向の位置を制御する。なお、円筒座標(r,θ,z)は、例えば、昇降駆動部404のシャフトの軸とロードロックチャンバー1Aの窓101の中心を通る水平線とが交差する位置を原点O(0,0,0)として基板搬送ロボット4に仮想的に設定されている。
【0033】
ハンド401は、図2に示されるように、横長の支持板401aの一方の長辺に一対の縦長の高剛性板材からなるアーム401b,401cを固着した構造を有する。一対のアーム401b,401cは、支持板401aの長手方向の中心に対して対照となる位置に固着され、アーム401b,401cの長手方向と支持板401aの長手方向は互いに直交している。
【0034】
ハンド401は、2つのアーム401b,401cで矩形の基板Sの幅方向の両端部を下側から支持することによって当該基板Sを保持する。従って、アーム401b,401cの先端部の上面は、基板Sが載置される基板載置部となっている。アーム401bとアーム401cの間の距離L1は、基板Sの幅方向のサイズWSよりも若干短い距離に設定されている。
【0035】
水平駆動部402は、一対のアーム402a,402bが回転可能に連結されたリンクで構成され、アーム402bの先端にハンド401が取り付けられている。基板搬送ロボット4は、ハンド401を水平に保持した状態で基板載置部に基板Sを載置し、この状態でハンド401を昇降、水平面内での回転や直進移動などを行うことにより、ロードロックチャンバー1Aから基板Sを受け取ったり、その基板Sを処理チャンバー2A,2B,2C,2Dに順番にセットしたりする。
【0036】
画像検査装置5は、2つのカメラ501a,501bと、2つのライト502a,502bと、画像検査制御部503と、を含む。基板Sを処理チャンバー2内に収納するとき、基板搬送ロボット4は、図2に示すように、ハンド401を処理チャンバー2に通じる搬送チャンバー3の窓301に正対させた姿勢で、水平駆動部402のアーム402a,402bを伸長して当該ハンド401に載置された基板Sを処理チャンバー2内に水平移動させる。2つのカメラ501a,501bは、基板Sが水平移動するときの左右のエッジE1,E2の移動軌跡R1,R2の上方の所定の位置(図1図2では処理チャンバー2に通じる窓301側に近い位置)に、カメラ501a,501bの各光軸Mが移動軌跡R1,R2側に向くように配置されている。
【0037】
カメラ501a,501bは、モノクロのラインセンサを撮像素子とするラインカメラである。カメラ501aの向きは、ラインセンサの画素の配列方向が移動軌跡R1に直交する向きとなっている。同様に、カメラ501bの向きは、ラインセンサの画素の配列方向が移動軌跡R2に直交する向きとなっている。カメラ501a,501bは、例えば、基板Sが処理チャンバー2内に収納されるとき、当該基板Sの前側のエッジE3がカメラ501a,501bの視野に入るタイミングで撮影を開始し、当該基板Sの後側のエッジE4がカメラ501a,501bの視野から出るタイミングで撮影を停止することにより、図3に示すように、基板Sの左右の側部の領域A,Bの撮影画像GA,GBを取り込む。
【0038】
なお、撮影画像GA,GBの取り込みは、基板Sが処理チャンバー2から取り出すときに行ってもよい。すなわち、撮影画像GA,GBは、基板搬送ロボット4により基板Sを処理チャンバー2に出し入れする際の当該基板Sの水平移動により、カメラ501a,501bを領域A,Bに対して相対移動させて撮影される。
【0039】
本実施形態では、基板Sを処理チャンバー2Cに出し入れする際に当該基板Sの領域A,Bを撮影するように、カメラ501a,501bを配置しているが、処理チャンバー2C以外のロードロックチャンバー1A,1Bや処理チャンバー2A,2B,2Dに基板Sを出し入れする際に基板Sの領域A,Bを撮影するように、カメラ501a,501bを配置してもよい。また、本実施形態で、1つの処理チャンバー2に対してカメラ501a,501bを配置しているが、ロードロックチャンバー1A,1B及び処理チャンバー2A〜2Dの全てにそれぞれカメラ501a,501bを配置するようにしてもよい。
【0040】
ライト502a,502bは、複数の発光素子をリング状に配置した円形ライトからなり、ライト502a,502bが基板Sの領域A,Bを撮影する際に当該領域A,Bを照明する機能を果たす。ライト502aは、カメラ501aのレンズの前方位置に配置され、ライト502bは、カメラ501bのレンズの前方位置に配置されている。
【0041】
画像検査制御部503は、カメラ501a,501bによる基板Sの領域A,Bの撮影とライト502a,502bによる基板Sの領域A,Bの照明を制御するとともに、撮影画像GA,GBを用いてパターンマッチングにより基板Sの損傷の有無を判定する。本実施形態は、パターンマッチングでの撮影画像GA,GBと比較させる基準画像GRA,GRBを当該撮影画像GA,GBから生成する構成に特徴を有する。以下では、主としてその特徴的な構成と作用について説明する。
【0042】
図4は、画像検出処理に関連する電気的な構成を示すブロック図である。図1図2に示される部材と同一の部材には同一の符号を付している。カメラ501とライト502は、それぞれカメラ501a,501bとライト502a,502bを纏めたもので、カメラ501a,501bとライト502a,502bを代表するブロックである。
【0043】
ロボット制御部405は、昇降駆動部404、回転駆動部403及び水平駆動部402の駆動を制御してハンド401の移動(すなわち、ハンド401によるロードロックチャンバー1及び処理チャンバー2内への基板Sのセットやロードロックチャンバー1及び処理チャンバー2から基板Sの取出し)を制御する。ロボット制御部405は、例えば、相互に接続されたCPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを含むマイクロコンピュータを主要な構成要素としている。ロボット制御部405は、ROMに予め記憶された基板搬送プログラムを実行することにより、ハンド401による基板Sの搬送動作を制御する。
【0044】
画像検査制御部503は、カメラ501の撮影動作とライト502の照明動作を制御するとともに、カメラ501によって撮影された撮影画像GA,GB(以下、撮影画像GA,GBを代表する場合は、「撮影画像G」と表記する。)を用いたパターンマッチングによる基板Sの検査を制御する。画像検査制御部503も、例えば、相互に接続されたCPU、ROM、RAM及び入出力インターフェースを含むマイクロコンピュータを主要な構成要素としている。画像検査制御部503は、ROMに予め記憶された画像検査プログラムを実行することにより、基板Sの良否判定処理を制御する。
【0045】
上述したように、基板Sを処理チャンバー2に搬送する際にカメラ501により撮影画像Gの取り込みを行うので、カメラ501の撮影動作を制御するために、ロボット制御部405と画像検査制御部503は、相互にデータ通信可能に接続されている。画像検査制御部503は、ロボット制御部405から入力されるハンド401の移動位置の情報に基づいてカメラ501の撮影開始と撮影終了のタイミングを制御する(カメラ501の撮影動作を制御する)。
【0046】
ロボット制御部405に接続されている水平駆動部402、回転駆動部403及び昇降駆動部404と、画像検査制御部503に接続されているカメラ501とライト502の動作は、図1図2を用いて上述した通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0047】
次に、図5のフローチャートと図6図13を用いて、画像検査装置5による基板Sを検査する(損傷の有無を判定する)処理手順について説明する。以下の説明では、具体例の説明では基板Sの右側のエッジE1に損傷があるか否かを判定する場合について説明するが、基板Sの左側のエッジE2に損傷があるか否かを判定する場合も処理内容は同じであるので、省略する。
【0048】
画像検査制御部503は、基板搬送ロボット4が基板Sが載置されたハンド401を伸長して当該基板Sを処理チャンバー2内にセットする動作を開始すると、ロボット制御部405から入力されるハンド401の位置の情報に基づき、基板Sの前側のエッジE3がカメラ501の視野に入るタイミングでカメラ501の撮影を開始し、基板Sの後側のエッジE4がカメラ501の視野から出るタイミングでカメラ501の撮影を停止することにより、基板Sの領域A,Bの画像GA,GBを取り込む(S1)。
【0049】
続いて、画像検査制御部503は、取り込んだ画像GA,GBに対して2値化処理を行う(S2)。例えば、画像GAは、図6(a)に示すように、背景と基板部分の帯状の画像GS(以下、「基板画像GS」という。)を含む画像である。基板部分と背景部分の濃度は中間調の濃度であるが、背景部分の方が基板部分よりも濃度が濃くなっている。2値化処理は、画像GAを構成する多数の画素gi(iは、画素に付した識別番号。i=1,2,…N)について、各画素giのレベルVi(0≦Vi≦1)を所定の閾値Vth(0<Vth<1)と比較し、Vth<Viの場合は、画素giのレベルを「1」(白色のレベル)に変換し、Vi<Vthの場合は、画素giのレベルを「0」(黒色のレベル)に変換する処理である。2値化処理により画像GAは、図6(b)に示すように、黒色の背景に白色の基板画像GS’を含む2値画像GA’となる。
【0050】
続いて、画像検査制御部503は、2値化処理後の画像GA’,GB’(以下、これらの画像を「撮影画像GA’」、「撮影画像GB’」という。)の白画素に対してクロージング処理を行う(S3)。クロージング処理は、基板画像GS’に含まれるノイズ(黒色の画素)や黒色の画素の塊のうち小さいサイズの塊を除去するための処理である。クロージング処理は、膨張処理をn回行った後、収縮処理をn回行う処理である。
【0051】
膨張処理は、撮影画像GA’内の図形を1画素分膨らませる処理である。従って、白画素に対する膨張処理は、例えば、図7に示すように、処理対象の白画素goに対して上下左右の位置にある画素ga,gb,gc,gdを白画素に変換する処理である。収縮処理は、撮影画像GA’内の図形を1画素分縮める処理である。収縮処理は、膨張処理の逆の処理になるので、図8に示すように、処理対象の白画素goが上下左右の位置にある黒画素ga,gb,gc,gdと同一の黒画素に変換される。
【0052】
例えば、撮影画像GA’に含まれる白画素に対してクロージング処理が行われると、クロージング処理後の撮影画像GA’は、図9に示すようになる。クロージング処理前では基板画像GS’内の損傷部分の画像Gk’(以下、「損傷画像Gk’」という。)は三角形の形状をしていたが、クロージング処理後は三角形の頂点部分がなくなり、損傷画像Gk’の形状は台形となる。
【0053】
続いて、画像検査制御部503は、クロージング処理後の撮影画像GA’,GB’に対して疑似エッジ検出処理を行う(S4)。例えば、撮影画像GA’では、基板画像GS’の前後の横方向のエッジ部分と縦方向のエッジ部分は、それぞれ基板SのエッジE3,E4,E1図3参照)に相当し、基板画像GS’の輪郭線としては直線となるべきであるが、クロージング処理後の撮影画像GA’における基板画像GS’では画素レベルで見ると、直線になっていない場合がある。疑似エッジ検出処理は、基板画像GS’の3つのエッジ部分に対して、疑似的な直線のエッジE3’,E4’,E1’(図10(e)参照)を検出する処理である。
【0054】
画像検査制御部503は、図10(b),(c)の示すように、まず、基板画像GS’の基板SのエッジE1に相当するエッジ部分(損傷画像Gk’のあるエッジ部分)を複数のブロックBL1,BL2,…,BLnに分割し、各ブロックBLj(j:ブロックの番号。j=1,2,…,n)に含まれるエッジ部分の縦方向の中心Ojを算出する。中心Ojは、ブロックBLjに含まれる基板画像GS’の縦方向のエッジを構成する複数の画素gEを抽出し、これらの画素gEの基板画像GS’の幅方向における位置の平均値を演算することにより算出される。
【0055】
画像検査制御部503は、n個のブロックBL1,BL2,…,BLnについて算出した中心O1,O2,…,Onに対して最小二乗法により、図10(d)に示すように、疑似エッジE1’を算出する。続いて、画像検査制御部503は、基板画像GS’の基板SのエッジE3とエッジE4に相当するエッジ部分について、疑似エッジE1’の算出方法と同様の方法で疑似エッジE3’と疑似エッジE4’(図10(e)参照)を算出する。画像検査制御部503は、クロージング処理後の撮影画像GB’に対しても同様の処理を行い、疑似エッジE3’及び疑似エッジE4’と疑似エッジE2’を算出する。
【0056】
疑似エッジ検出処理が終了すると、画像検査制御部503は、撮影画像GA’,GB’に対して、図11に示すように、基板画像GS’の疑似エッジE1’,E3’,E4’で囲まれた部分の黒画素に対して白画素に変換する処理を行って損傷画像Gk’やノイズを消去し、基準画像GRA,基準画像GRBを生成する(S5)。基準画像GRAは、疑似エッジE1’,E3’,E4’で囲まれた縦長長方形の領域が白画素で構成され、他の領域が黒画素で構成された画像であり、白画素で構成された部分が基板画像GS’となっている。すなわち、基準画像GRAは、基板画像GS’が白無地の画像で背景部分が黒無地の画像となっている画像である。基準画像GRBも同様で、疑似エッジE2’,E3’,E4’で囲まれた縦長長方形の領域が白画素で構成され、他の領域が黒画素で構成された画像であり、白画素で構成された部分が基板画像GS’となっている。
【0057】
続いて、画像検査制御部503は、図12に示すように、撮影画像GA’と基準画像GRAとの対応する画素gj’,gj同士でレベルの差分Δgj(=gj’−gj)を算出し、各画素gjのレベルが差分Δgjである差分画像GDEFを生成する(S6)。基準画像GRAと撮影画像GA’の背景部分はいずれも黒画素で構成されているから、背景部分の各画素のレベルΔgjは「0」(黒画素)となる。
【0058】
一方、基準画像GRAの基板画像GS’は白画素で構成されるが、撮影画像GA’の基板画像GS’に損傷部分がある場合は、その損傷部分のみが黒画素で構成され、それ以外の部分は白画素で構成されるため、損傷部分を除く領域は「0」(黒画素)となり、損傷部分の領域だけが「1」(白画素)となる。従って、差分画像GDEFは、損傷部分がある場合、損傷画像Gk’が白画像として抽出された画像となっている。損傷部分がない場合は、白画像として抽出される画像がないか、あるいは、微小サイズの画像がノイズとして抽出された画像となる。
【0059】
続いて、画像検査制御部503は、撮影画像GA’及び撮影画像GB’について、差分画像GDEFの白画素に対する収縮処理(図8参照)を行った後(S7)。差分画像GDEFに含まれる白画素が塊となった画像(図13(b)では損傷画像Gk’の相当)を抽出し、その画像の面積Skを算出する。そして、画像検査制御部503は、算出した面積Skを予め設定された閾値Sthと比較し(S8)、撮影画像GA’及び撮影画像GB’の両方について、Sk<Sthであれば(S8:NO)、基板Sは「良」と判定し(S9)、撮影画像GA’及び撮影画像GB’の両方若しくはいずれか一方でSth≦Skであれば(S8:YES)、基板Sは「不良」と判定して(S10)、画像検出処理を終了する。
【0060】
本実施形態によれば、基板搬送ロボット4で基板Sをロードロックチャンバー1や処理チャンバー2に搬送する際に当該基板Sの左右の両側部を撮影した撮影画像GA,GBからパターンマッチング用の基準画像GRA,GRBを生成するようにしているので、予め基準画像GRA,GRBを用意しておく必要がなく、基準画像GRA,GRBを取得するための労力と時間が不要になる。また、予め取得した基準画像GRA,GRBを記憶しておくためのメモリも不要になる。
【0061】
また、基板搬送ロボット4による基板Sの水平移動により、当該基板Sの側部に対して撮像素子としてラインセンサを有するカメラ501を相対的に移動させて撮影画像GA,GBを取得する方法では、移動中の基板Sの移動速度や移動方向が変動した場合に撮影画像GA,GBの内容が変化するが、本実施形態によれば、撮影画像GA,GBからパターンマッチング用の基準画像GRA,GRBを生成するので、画像検査で基板Sの撮影条件の変動を考慮する負担が少ない。
【0062】
本実施形態では、基板Sの撮影条件が変動した場合、基板画像GSの形状に大きく影響する点、特に、基板画像GSの側部のエッジEが蛇行する(図15(c)参照)点が問題となるが、基準画像GRA,GRBを生成する処理手順で撮影画像GA,GB内の基板画像GSに対して、基板Sの前後のエッジE3,E4と側部のエッジE1,E2に相当する疑似エッジE1’,E2’,E3’,E4’を検出し、その疑似エッジE1’,E2’,E3’,E4’により基板画像GSのエッジ部分の形状を決定するようにしているので、基板Sの撮影条件が変動した場合にも簡単に対応することができる。
【0063】
ハンド401の蛇行により基板画像GSのエッジ部分が蛇行した場合でも疑似エッジE1’,E2’の検出処理における最小二乗法の次数を挙げることで、十分に対応することができ、損傷画像GK’の有無を高い精度で判別することができる。
【0064】
上記実施形態では、シングルハンドタイプの基板搬送ロボット4について説明したが、デュアルハンドタイプの場合にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【0065】
上記実施形態では、撮像素子としてラインセンサを有するカメラ501a,501bを用いて基板Sを撮影する構成について説明したが、基板Sを撮影する撮像手段はこの構成に限定されるものではない。撮像素子としてエリアセンサを用いたカメラであってもよい。カメラの撮像素子はカラーセンサであってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、カメラ501a,501bをロードロックチャンバー1や処理チャンバー2の入り口部分に配設する構成例を説明したが、基板搬送ロボット4側にカメラを設け、基板Sがハンド401に載置されている状態で当該基板Sの周縁部をカメラで撮影する構成にしてもよい。
【0067】
上記実施形態では、2値化した撮影画像GA’,GB’は、背景部分を黒画像とし、基板部分を白画像とした画像であったが、背景部分を白画像とし、基板部部分を黒画像とした画像であってもよい。
【0068】
上記実施形態では、クロージング処理の後で疑似エッジ検出処理をした後、撮影画像GA’,GB’の疑似エッジE1’,E3’,E4’で囲まれた部分の黒画素を白画素に変換して撮影画像GA’,GB’を無地の画像にする処理をしていたが、損傷の部分のサイズが小さい場合は、クロージング処理だけを行って基準画像GRA,GRBを生成するようにしてもよい。
【0069】
上記実施形態では、基板Sの損傷例として、基板Sの側部が欠損した場合の例を説明したが、基板Sの側部にヒビ割れが生じた場合にも適用することができる。また、上記実施形態では、長方形の基板Sを例に説明したが、基板Sの形状は長方形に限定されるものではない。例えば、円形の基板Sの場合でも、当該基板Sの周縁に沿ってラインセンサを有するカメラを相対移動させることにより、長尺状の基板画像GSを含む撮影画像を取得することができるので、上述した画像検出方法により基板Sの良否を判定することができる。
【0070】
上記実施形態では、検査対象として基板処理システムXの基板Sについて説明したが、本発明は、検査対象を撮影した撮影画像を基準画像と比較してパターンマッチングにより検査対象の良否を検査する画像検査に広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0071】
X 基板処理システム
1,1A,1B ロードロックチャンバー
2,2A,2B,2C,2D 処理チャンバー
3 搬送チャンバー
4 基板搬送ロボット
401 ハンド
401a 支持板
401b,401c アーム
401d 支持部材
402 水平駆動部
402a,402b アーム
403 回転駆動部
404 昇降駆動部
405 ロボット制御部
5 画像検査装置
501 カメラ(撮像手段)
501a 第1カメラ
501b 第2カメラ
502 ライト
502a 第1ライト
502b 第2ライト
503 画像検査制御部(判定手段,基準画像生成手段)
S 基板(検査対象)
図1
図2
図4
図5
図14
図3
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図15