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特開2015-169660特に日付リングであるアナログインジケータを駆動するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-169660(P2015-169660A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】特に日付リングであるアナログインジケータを駆動するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/247 20060101AFI20150901BHJP
   G04B 19/253 20060101ALI20150901BHJP
   G04B 19/02 20060101ALI20150901BHJP
   G04C 9/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
   G04B19/247 C
   G04B19/253 A
   G04B19/02 Z
   G04C9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-44600(P2015-44600)
(22)【出願日】2015年3月6日
(31)【優先権主張番号】14158625.5
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】バプティスト・ヴィスブロッド
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・クリスタン
【テーマコード(参考)】
2F101
【Fターム(参考)】
2F101CA01
2F101CB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】位置決め用ジャンパばねを必要とせずにインジケータの正確な位置決めを保証できる日付リングであるアナログインジケータを駆動するためのデバイスを提供する。
【解決手段】時計ムーブメントは、モータ、駆動ホイール−カナ8、駆動ホイール−カナ8及び支持体を含む駆動デバイス4とアナログインジケータ6を備え、支持体は、第1の軸の周りで枢動できるように地板上に設置され、駆動ホイール−カナ8は第1の軸から離間した第2の軸の周りで枢動できるよう設置される。駆動デバイス4に含まれる板ばね40は、駆動ホイール−カナ8の噛合手段がアナログインジケータ6の歯部18を圧迫するように、支持体に力を印加する。噛合手段及び歯部18は、駆動ホイール−カナ8とアナログインジケータ6とが、板ばね40の作用下で遊びを実質的に有さない状態で互いに噛合するよう選択された外形をそれぞれ有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の別個のデータのアナログインジケータ(6)を備える、時計ムーブメントであって、
前記アナログインジケータはこの目的のために、複数の別個の表示位置のうちのいずれの1つの位置において少なくとも一時的に静止状態で保持されるように配設され、
前記アナログインジケータは、モータ及び駆動ホイール−カナ(8、8A)を含む駆動デバイス(4)に機械的に連結された歯部(18、18A)を有し、
前記駆動ホイール−カナ(8、8A)は、前記歯部と噛合するための手段(12、13、12A、13A、14、15)を備え、
前記駆動デバイスは、前記駆動ホイール−カナが設置される支持体(22)を更に含む、時計ムーブメントにおいて、
前記支持体は、第1の軸(26)の周りで枢動するように基部(24)上に設置され、
前記駆動ホイール−カナは、前記第1の軸とは別個の第2の軸(36)の周りで回転できるように前記支持体上に設置され、
前記駆動デバイスは弾性手段(40)を更に含み、前記弾性手段(40)は、前記駆動ホイール−カナの前記噛合手段が前記アナログインジケータの歯部を圧迫するように、前記支持体に横方向の力を印加し、
前記噛合手段及び前記歯部は、少なくとも前記アナログインジケータの前記複数の別個の表示位置において、前記駆動ホイール−カナと前記アナログインジケータとが、前記弾性手段の作用下で接線方向の遊びを実質的に有さない状態で互いに噛合するよう選択された外形をそれぞれ有する
ことを特徴とする、時計ムーブメント。
【請求項2】
前記駆動デバイスは、前記モータと前記駆動ホイール−カナとの間に配設された、前記駆動ホイール−カナと噛合する中間ホイール(10)を更に含み、
前記中間ホイールは、前記枢動式支持体(22)上に設置され、前記支持体の前記第1の枢軸(26)と一体の回転軸を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の時計ムーブメント。
【請求項3】
前記アナログインジケータは、日付リングであり、
前記歯部は、前記日付リングの内側歯部である
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の時計ムーブメント。
【請求項4】
前記噛合手段は、前記駆動ホイール−カナを始点とする少なくとも3つのピンによって形成されることを特徴とする、請求項1至請求項3のいずれか1項に記載の時計ムーブメント。
【請求項5】
前記ピンはそれぞれ、ローラ軸受けを備えることを特徴とする、請求項4に記載の時計ムーブメント。
【請求項6】
前記歯部の歯(19A)は、対応する前記歯の中心軸(44)に対して前記歯部の底部に向かって単調に増加する曲線をそれぞれ画定する、平行でない2つのフランクを有すること;及び
2つの隣接する前記ピン間の距離、又は適切な場合には前記2つの隣接するピンそれぞれの前記ローラ軸受け間の距離(L1;L2)は、前記アナログインジケータの前記複数の別個の表示位置において、前記2つの隣接するピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けと、ある1つの前記歯の2つの前記フランクそれぞれとの間に、2つの接点を有し、かつ前記2つの隣接するピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けは前記歯部の前記底部に接触しないよう配設されること
を特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の時計ムーブメント。
【請求項7】
前記歯部の歯(19A)は、対応する前記歯の中心軸(44)に対して前記歯部の底部に向かって単調に増加する曲線をそれぞれ画定する、平行でない2つのフランクを有すること;及び
2つの隣接する前記ピン間の距離、又は適切な場合には前記2つの隣接するピンそれぞれの前記ローラ軸受け間の距離(L1;L2)は、前記アナログインジケータの前記複数の別個の表示位置において、前記2つの隣接するピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けと、中間に1つの前記歯を挟んだある2つの前記歯の2つの前記フランクそれぞれとの間に、2つの接点を有し、かつ前記2つの隣接するピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けは前記歯部の前記底部に接触しないよう配設されること
を特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の時計ムーブメント。
【請求項8】
前記噛合手段は、前記駆動ホイール−カナを始点とする2つのピン(12、13、12A、13A)のみによって形成され、
前記2つのピンは、前記駆動ホイール−カナの回転軸に対して、直径方向に対向するよう整列されている
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の時計ムーブメント。
【請求項9】
前記2つのピンはそれぞれ、ローラ軸受け(14、15)を備えることを特徴とする、請求項8に記載の時計ムーブメント。
【請求項10】
前記歯部の歯(19A)は、対応する前記歯の中心軸(44)に対して前記歯部の底部に向かって単調に増加する曲線をそれぞれ画定する、平行でない2つのフランクを有すること;及び
2つの前記ピン間の距離、又は適切な場合には前記2つのピンそれぞれの前記ローラ軸受け間の距離(L1;L2)は、前記アナログインジケータの前記複数の別個の表示位置において、前記2つのピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けと、ある1つの前記歯の2つの前記フランクそれぞれとの間に、2つの接点を有し、かつ前記2つのピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けは前記歯部の前記底部に接触しないよう配設されること
を特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の時計ムーブメント。
【請求項11】
前記歯部の歯(19A)は、対応する前記歯の中心軸(44)に対して前記歯部の底部に向かって単調に増加する曲線をそれぞれ画定する、平行でない2つのフランクを有すること;及び
2つの前記ピン間の距離、又は適切な場合には前記2つのピンそれぞれの前記ローラ軸受け間の距離(L1;L2)は、前記アナログインジケータの前記複数の別個の表示位置において、前記2つのピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けと、中間に1つの前記歯を挟んだある2つの前記歯の2つの前記フランクそれぞれとの間に、2つの接点を有し、かつ前記2つのピン又は適切な場合には前記2つのローラ軸受けは前記歯部の前記底部に接触しないよう配設されること
を特徴とする、請求項8又は請求項9に記載の時計ムーブメント。
【請求項12】
前記モータは電磁式モータであること;及び
前記時計ムーブメントは、ある前記別個の表示位置から次の前記別個の表示位置へと遷移する間に、前記電磁モータを加速モードで駆動するために配設された、制御ユニットを含むこと
を特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の時計ムーブメント。
【請求項13】
前記支持体に横方向の力を印加する前記弾性手段は、板ばね(40)によって形成されることを特徴とする、請求項1至請求項12のいずれか1項に記載の時計ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログディスプレイを有する時計ムーブメントの分野に関する。特に本発明は、特に日付リングであるアナログインジケータを駆動するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なアナログインジケータ駆動デバイスが当業者には公知である。アナログインジケータの公知の課題は、これらアナログインジケータが、一般にモータとアナログインジケータとの間に中間要素を含む駆動デバイスによって駆動されることに起因する。ある特定の期間に複数の別個の静止表示位置が設けられる場合、所定の製造公差、及び駆動デバイスの様々な要素間に必要な遊びを考慮すると、インジケータの正確な位置決めは、位置保持手段を用いない限り保証されない。
【0003】
日付表示デバイスの場合、複数の別個の表示位置でのインジケータの位置決めは一般に、日付リングの歯部と連動するジャンパばねによって保証される。従来の駆動システムは、衝撃を受けた場合の日付リングの十分なロックを保証しない。従ってこのロック機能を保証しなければならないのはジャンパばねであり、これが、ジャンパばねが高い弾性定数を有する理由である。これにより、ジャンパばねの弾性力を克服するために、日付リングに高いトルクを供給する必要がある。モータと日付リングとの間の減速比は一般に大きいため、これは問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、位置決め用ジャンパばねを必要とせずにインジケータの正確な位置決めを保証できる、特に日付リングであるアナログインジケータを駆動するためのデバイスを提供することである。本発明の別の目的は、耐衝撃性を有するこのタイプの駆動デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は複数の別個のデータのアナログインジケータを備える時計ムーブメントに関する。上記アナログインジケータは上記目的のために、複数の別個の表示位置のうちのいずれの1つの位置において少なくとも一時的に静止状態で保持されるように配設される。このアナログインジケータは、駆動デバイスに機械的に連結された歯部を有する。駆動デバイスは、モータ、上記歯部と噛合するための手段を備える駆動ホイール−カナ、及び駆動ホイール−カナが設置される支持体を含む。駆動ホイール−カナの支持体は、第1の軸の周りで枢動するように基部上に設置され、また駆動ホイール−カナは、第1の軸とは別個の第2の軸の周りで回転できるように支持体上に設置される。駆動デバイスは弾性手段を更に含み、この弾性手段は、駆動ホイール−カナの噛合手段がアナログインジケータの歯部を圧迫するように、支持体に横方向の力を印加する。噛合手段及び歯部は、少なくともアナログインジケータの上記複数の別個の表示位置において、駆動ホイール−カナとアナログインジケータとが、弾性手段の作用下で接線方向の遊びを実質的に有さない状態で互いに噛合するよう選択された外形をそれぞれ有する。
【0006】
ある変形例では、弾性手段は駆動ホイール−カナの支持体を横方向に圧迫する板ばねによって形成される。
【0007】
本発明の他の特定の特徴については、以下の「発明を実施するための形態」において述べる。
【0008】
これより、非限定的な例として挙げる添付の図面を参照して、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明による時計ムーブメントの実施形態、より具体的には日付リングを駆動するためのデバイスを示す。
図2図2は、図1の駆動デバイスの複数の特定の要素を示す。
図3図3は、第1の実施形態の日付リングの駆動ホイール−カナの変形例の上面図である。
図4図4は、日付表示位置における日付ディスク歯部と駆動ホイール−カナとの間の噛合の第1の有利な実施形態を示す。
図5図5は、日付表示位置における日付ディスク歯部と駆動ホイール−カナとの間の噛合の第2の有利な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図3を参照して、本発明による日付リング6のための駆動デバイス4を備える時計ムーブメント2のある実施形態について以下に説明する。この駆動デバイスは、モータ(図面においては回転子9のカナのみを示す)と、中間ホイール10と、日付リングを駆動するホイール8又は8Aとを含む。第1の変形例ではモータは香箱タイプの機械式モータであり、別の変形例は電気機械式の時計用モータを備えることに留意されたい。中間ホイール10はモータの回転子9と駆動ホイールとの間に配設され、回転子9のカナは駆動ホイールと噛合する。
【0011】
駆動ホイール8又は8Aはピンを2つだけ備え、これらピンは上記ホイールの中央部分を始点としており、駆動ホイールの回転軸に対して、直径方向に対向するよう整列されている。これら2つのピンは、駆動ホイールを日付リングの内側歯部18と噛合させるための手段を形成する。図1の変形例では、2つのピン12、13はそれぞれ2つのローラ軸受け14、15を備える。図3の変形例では、2つのピン12A、13Aはローラ軸受けを有さない。用語「噛合手段(meshing means)」は、日付リングと駆動ホイールとの間の機械的連結手段を意味するものとして理解される。従って噛合手段はここでは、一方では2つのピン(この場合これらはそれぞれローラ軸受けを備える)によって、そして他方では日付リングの内側歯部18によって形成される。
【0012】
駆動ホイール8又は8Aは支持体22上に設置され、この支持体22は、より大きな直径を有する基部32上に配設された固定ピボット34を有し、上記基部は駆動ホイールが静置される停止部材を画定する。固定ピボットは、この固定ピボットを挿入する中央孔38を有する駆動ホイールの回転軸36を画定する。本発明によると、支持体は地板24上に設置され、支持体と交差するアーバ28によって画定される枢軸26の周りで枢動する。回転軸36は枢軸26から離間しており、これにより駆動ホイールの軸は、支持体が枢動した場合に円弧を描く。中間ホイール10もまた、枢動式支持体22上に設置され、その回転軸は支持体の枢軸26と一体である。従って中間ホイールの回転軸は、支持体22が枢動した場合に地板24に対して固定されたまま保持され、これにより、モータの回転子9に対する連結が支持体の角度位置に関わらず保証される。
【0013】
日付リングが部分的に駆動ホイール及び中間ホイールの上側を通過すると、駆動ホイールは日付リングによって軸方向に所定の位置に保持され、中間ホイールは停止部材を形成するボタン30によって軸方向に所定の位置に保持される。ボタンを日付リングの下側とすることができるようにするために、駆動ホイールの中央部分は円錐台形状を有する。これにより、駆動ホイールの歯部と駆動ホイールの2つのピンとの間の高さの差を得ることができ、従って中間ホイールのカナの上側にボタンのための空間を設けることができる。
【0014】
駆動デバイスは板ばね40を更に含み、これは、2つのピンが日付リングの歯部18を横方向に歯部の底部に向かって圧迫するように、支持体22に横方向の力を印加する。板ばねは緊張状態であり、支持体22の側面を圧迫して、支持体22の側面にトルク力を印加する。当業者は、所定の機能に必要なトルク力を提供する他のタイプのばね又は他の代替的な弾性手段を設けてもよい。日付リングの歯部は、歯19及び歯19の間の窪み20を備えた外形を有し、この外形は2つのピン又は適切な場合には2つのローラ軸受けと協働するよう配設され、これにより、(ローラ軸受けを有する又は有さない)2つのピンが日付リングに対して接線方向に配向された場合に、駆動ホイールと日付リングとが、板ばね40の作用下で接線方向の遊びを実質的に有さない状態で互いに噛合する。図1では窪み20は、2つのローラ軸受けが歯部の底部に対して(即ちここでは窪み20の底部に対して)圧迫された場合に、ローラ軸受けを備えるピン12、13を、接線方向の遊びがごく僅かしかない状態で収容できるように設けられる。
【0015】
アナログインジケータの複数の別個の表示位置、即ちここでは、本発明による時計ムーブメント用に設計された文字盤の孔における異なる複数の日付の表示に対応する複数の日付リング位置は、駆動ホイールの2つのピンの接線方向の配向に対応するよう定められている。従って本発明による駆動デバイスは、日付リングの駆動及び異なる複数の日付表示位置における日付リングの正確な位置決めの両方を保証する。更に、駆動ホイールが駆動ホイールの回転軸と整列された2つのピンを備える好ましい実施形態では、この駆動デバイスは極めて効果的な耐衝撃性システムも形成する。実際、衝撃により日付リング上にトルク力が生成された場合、駆動ホイールは反力を印加し、これにより日付リングを所定の位置に維持する。
【0016】
耐衝撃機能に関して効果がより小さい別の実施形態では、駆動ホイールは、駆動ホイールの回転軸を中心とする円上に等距離に配設された、3つ以上、特に3つ又は4つのピンを有することに留意されたい。ある変形例では、これらピンもローラ軸受けを備えてよい。このような差異、即ち歯1つ分に相当する角度距離に亘る日付リングの前進が、駆動ホイールの、2つのピンを有する上述の場合よりも小さい回転によって得られるという事実を除けば、この駆動デバイスは図1図3を参照して上述した実施形態と同様である。
【0017】
図4、5は、日付リングの歯部18Aと、この歯部18Aと噛合する2つの隣接するピンとの間の連動の、2つの変形例を示す。歯部の歯19Aは、対応する歯の中心軸44に対して歯部の底部に向かって単調に増加する曲線をそれぞれ画定する、平行でない2つのフランクを有する。2つのピン12A、13A間の距離L1、又は適切な場合には2つのピン12A、13Aそれぞれのローラ軸受け14、15間の距離L2は、日付リング表示位置において、上記2つのピン又は適切な場合には上記2つのローラ軸受けと、1つの歯の2つのフランクそれぞれとの間(図4)、又は中間に1つの歯を挟んだ2つの歯の2つのフランクとの間(図5)に、2つの接点を有し、かつ2つのピン又は適切な場合には2つのローラ軸受けが歯部の底部に接触しないよう配設される。これらの変形例は、板ばね40との協働により、歯部及びピン間の空間の配置が、2つのピンが図4、5に示すような接線方向の配向を有する場合に接線方向の遊びが全く存在しないようになっているため、特に有利である。この特徴は、通常の製造公差を有する場合であっても得られることに留意されたい。実際、これらの公差の影響は、日付リングの歯部へのピンの嵌入が大きくなるか小さくなるかだけである。歯のフランク及び歯部の深さによって画定される平均角度開口は、公差の範囲全体(即ち複数の様々な公差の累積)に亘って、ピン又は適切な場合にはローラ軸受けが歯部の窪み20A、の底部に当接しないように選択される。
【0018】
最後に、モータが電磁式モータである実施形態では、時計ムーブメントは、日付リングがある表示位置から次の表示位置へと遷移する間に、この電磁モータを好ましくは加速モードで駆動するために配設された制御ユニットを含む。従って遷移期間は短い時間であり、これにより駆動ホイールの回転中に衝撃が発生するリスクが制限される。実際、2つのピンが日付リングに対して略径方向位置にある場合、リングに印加される力のモーメントは、歯部に一方のピンのみを有する駆動ホイールに対する力のモーメントを生成する。
【符号の説明】
【0019】
4 駆動デバイス
6 アナログインジケータ
8、8A 駆動ホイール−カナ
10 中間ホイール
12、13、12A、13A 噛合手段、ピン
14、15 噛合手段、ローラ軸受け
18、18A 歯部
19A 歯
22 支持体、枢動式支持体
24 基部
26 第1の軸
36 第2の軸
40 弾性手段、板ばね
44 歯の中心軸
L1、L2 ピン間又はローラ軸受け間の距離
図1
図2
図3
図4
図5