【解決手段】ラベルは、画像を担持する媒体と、第1の色によって画像形成され、商品の鮮度低下を検知して第1の色とは異なる第2の色に変色する画像部と、第1の色又は第2の色の背景部と、を備える。画像部は、アントシアニン系の色素、コチニール色素、ラック色素、キノン系色素、ウコン色素、カロテノイド系色素、フラボノイド系色素、ポリフィリン系色素からなる色素群から1種類以上選ばれる腐敗検知色素を含むインクによって画像形成されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ラベルの一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
本実施形態のラベルは、画像を担持する媒体と、第1の色によって画像形成され、商品の鮮度低下を検知して第1の色とは異なる第2の色に変色する画像部と、第1の色又は第2の色の背景部と、を備える。
【0012】
(ラベル)
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るラベル1の平面図である。
図1に示すように、ラベル1は、第1の色によって画像形成された第1画像部、及び第1の色と異なる第2の色によって画像形成され、商品の鮮度低下を検知して第1の色とほぼ同じ色に変色する第1背景部を有する第1表示部11と、第3の色の第2背景部、及び第3の色とほぼ同じ色によって画像形成され、商品の鮮度低下を検知して第3の色とは異なる第4の色に変化する第2画像部を有する第2表示部12と、を備える。ラベル1は、精肉や鮮魚等の生鮮食品の鮮度に応じて変色し、値引き情報が表示される。ラベル1は、生鮮食品と共にトレー等の容器の中に入れられる。容器の中にラベル1が入れられることにより、より正確な鮮度での値引きが可能となる。
【0013】
第1表示部11は、第1画像部として値段やコメントなどの文字、及びバーコードなどが台紙である媒体20に画像形成される。第1画像部は第1背景部の第1の色とは異なる第2の色であるため、記載内容が識別できる。
【0014】
第1背景部は、第1画像部の周囲をベタ塗りする形により画像形成される。また、第1背景部は第1背景部を取り消す取り消し線であってもよい。
【0015】
第2表示部12は、第2画像部として値段やコメントなどの文字、及びバーコードなどが台紙である媒体20に画像形成される。第2画像部の記載内容は、例えば値引き後の値段や、早めの消費を促す文字によるコメントなどがあげられる。第2画像部は第2背景部の第3の色とほぼ同じ色であるため、記載内容は識別できない。
【0016】
第2背景部は、第2画像部の周囲をベタ塗りする形により画像形成される。なお、第2背景部は、第3の色の媒体20であってもよい。
【0017】
図2は、ラベル1が商品の鮮度低下を検知した状態を示す図である。
図2に示すように、第1表示部11においては、文字やバーコードである第1背景部の色が第1の色から第1画像部の色とほぼ同じ第2の色に変化するため記載内容が識別できなくなる。
【0018】
これに対し、第2表示部12は、第2画像部の色が第2背景部色とほぼ同じ第3の色から第3の色とは異なる第4の色に変化するため、第2画像部の記載内容、すなわち値引き情報を示す文字及びバーコードが識別できるようになる。
【0019】
図3は、色が変化する前の第1表示部11の断面図である。
図3に示すように、第1画像部21は、第1背景部22とは異なる第1の色によって画像形成される。
【0020】
図4は、色が変化した後の第1表示部11の断面図である。
図4に示すように、第1背景部22は、商品の鮮度低下により第2の色から第1画像部21の第1の色とほぼ同じ色に変化する。
【0021】
従って、第1画像部21と第1背景部22とは見分けがつかなくなり、第1画像部21を消去したのと同じ効果が得られる。
【0022】
図5は、色が変化する前の第2表示部12の断面図である。
図5に示すように、第2画像部23は、第2背景部とほぼ同じ第3の色によって画像形成される。従って、第2画像部23は第2背景部と見分けがつかなくなっている。
【0023】
図6は、色が変化した後の第2表示部12の断面図である。
図6に示すように、第2画像部23は、商品の鮮度低下により第2背景部とほぼ同じ第3の色から第2背景部の第3の色とは異なる第4の色に変化する。
【0024】
従って、第2画像部23を識別できるようになる。
【0025】
図7は、第1の応用例に係るラベル1の平面図である。
図7に示すように、ラベル1は、第1の色の第3背景部と、第1の色とほぼ同じ色によって画像形成され、商品の鮮度低下を検知して第1の色とは異なる第2の色に変化する第3画像部を有する第3表示部13と、を備える。
【0026】
本応用例に係るラベル1と、第2表示部との差は、文字の部分及びバーコードの周囲の部分が画像形成されず、文字の部分の周囲の部分及びバーコードが画像形成される点にある。
【0027】
図8は、色が変わった後の第1の応用例に係るラベル1の平面図である。
図8に示すように、画像形成された部分は第3背景部の第1の色とは異なる第2の色に変化するため、記載内容、すなわち値引き情報を示す文字及びバーコードが識別できるようになる。
【0028】
図9は、色が変化する前の第1の応用例に係るラベル1の断面図である。
図9に示すように、第3画像部24は、第2背景部とほぼ同じ第1の色によって画像形成される。従って、第3画像部24は第2背景部と見分けがつかなくなっている。
【0029】
図10は、色が変化した後の第1の応用例に係るラベル1の断面図である。
図10に示すように、第3画像部24は、商品の鮮度低下により第3背景部と同じ第1の色から第3背景部の第1の色とは異なる第2の色に変化する。
【0030】
従って、第3画像部24を識別できるようになる。
【0031】
なお、本応用例においては、別途
図1の第1表示部11の構成を有する通常売価を表示するラベルを商品に同梱しておくことができる。
【0032】
この場合、商品の鮮度劣化に伴い、第1表示部11の色が変わるため通常売価は識別できなくなり、第3表示部13の色が変わるため割引価格が識別できるようになる。
【0033】
以上のべたように、本実施形態のラベル1は、画像を担持する媒体と、第1の色によって画像形成され、商品の鮮度低下を検知して第1の色とは異なる第2の色に変色する画像部と、第1の色又は第2の色の背景部と、を備える。
【0034】
従って、商品の鮮度に応じて値引き販売を行うことができるという効果がある。また、生鮮食品などの加工時や陳列時から時間が経過したときに、鮮度に応じて、ラベルが変色し、値引き情報が識別できるようになるため、店員は、陳列時から一定時間経過したときに商品一つ一つに値引きシールを貼る手間を省くことができる。さらに、買い物客は食品の鮮度に応じた値段で購入することができ、購入後も商品の鮮度をラベルの表示から判断することができる。
【0035】
(第2の実施形態)
図11は、本実施形態に係るラベル1の平面図である。
図1に示すように、ラベル1は複数の表示部14を備える。ラベル1は表示部14を例えば第1表示部14A乃至第3表示部14Cの3つを備えることもできる。
【0036】
図12は、商品の鮮度劣化が1段階進んだ場合の第2の実施形態のラベル1を示す図である。
図12に示すように、ラベル1は、商品の鮮度劣化が1段階進むと第1表示部14Aの色が変わり第1の値引き文字が識別できるようになり、第2表示部14B及び第3表示部14Cは色が変わらず値引き文字が識別できない。
【0037】
図13は、商品の鮮度劣化が2段階進んだ場合の第2の実施形態のラベル1を示す図である。
図13に示すように、ラベル1は、商品の鮮度劣化が2段階進むと第1表示部14Aの第1の値引き文字の部分の色も変わり、第1の値引き文字が識別できなくなると同時に第2表示部14Bの色が変わり、第2の値引き文字が識別できるようになる。
【0038】
一方、第3表示部14Cは色が変わらず、第3値引き文字は識別できない。
【0039】
図14は、商品の鮮度劣化が3段階進んだ場合の第2の実施形態のラベル1を示す図である。
図14に示すように、ラベル1は、商品の鮮度劣化が3段階進むと第1表示部14Aに加えて、第2表示部14Bの第2の値引き文字の部分の色も変わり、第2の値引き文字が識別できなくなると同時に第3表示部14Cの色が変わり、第3の値引き文字が識別できるようになる。
【0040】
図15は、本実施形態に係るラベル1の断面図である。
図15に示すように、ラベル1は、媒体である台紙20と、台紙20の表面に第1の色によって形成され、鮮度劣化によって第1の色とは異なる第2の色に変化する鮮度感知層25と、鮮度感知層25の表面に形成される第1溶解層26、第2溶解層27、及び第3溶解層28と、を備える。
【0041】
第1溶解層26は、鮮度感知層25の表面にアルカリによって溶解するアルカリ溶解性材料によって形成され、第1表示部の全域を被覆する第1基底部26Aと、第1基底部26Aの表面にアルカリ溶解性材料によって画像形成される第1画像部26Bと、を備える。
【0042】
第2溶解層27は、鮮度感知層25の表面に溶解性材料によって第1溶解層26の厚さ以上に厚く形成され、第2表示部の全域を被覆する第2基底部27Aと、第2基底部27Aの表面にアルカリ溶解性材料によって画像形成される第2画像部27Bと、を備える。
【0043】
第3溶解層28は、鮮度感知層25の表面に溶解性材料によって第2溶解層27の厚さ以上に厚く形成され、第3表示部の全域を被覆する第3基底部28Aと、第3基底部28Aの表面にアルカリ溶解性材料によって画像形成される第3画像部28Bと、を備える。
【0044】
図16は、商品の鮮度劣化が1段階進んだ場合の第2の実施形態のラベル1を示す断面図である。
図16に示すように、ラベル1は、商品の鮮度劣化が1段階進むと、商品の腐敗によって生成されるアミン類によって第1溶解層26乃至第3溶解層28が溶解し、第1表示部14Aの第1画像部26B、第2表示部14B、及び第3表示部14C以外の部分の鮮度感知層25が露出する。
【0045】
鮮度感知層25が露出すると、商品の腐敗によって形成されたアミン類によって鮮度感知層25の色が第1の色から第2の色に変わる。
【0046】
一方、第1画像部26Bは、未だ全ては溶解しておらず、この部分の鮮度感知層25はアミン類と接触しないため、第1の色のままである。
【0047】
従って、色の違いにより第1画像部26Bが識別できるようになる。
【0048】
ここで、第2表示部14B及び第3表示部14Cは、第2溶解層27及び第3溶解層28がまだ溶解しきっていないため、アミン類は鮮度感知層25に接触しない。従って、第2表示部14Bと第3表示部14Cとの画像は識別できない。
【0049】
図17は、商品の鮮度劣化が2段階進んだ場合の第2の実施形態のラベル1を示す断面図である。
図17に示すように、ラベル1は、商品の鮮度劣化が2段階進むと、商品の腐敗によって生成されるアミン類によって第1画像部26B、第2溶解層27、及び第3溶解層28が溶解し、第2画像部27B及び第3表示部14C以外の部分の鮮度感知層25が露出する。
【0050】
鮮度感知層25が露出すると、商品の腐敗によって形成されたアミン類によって鮮度感知層25の色が第1の色から第2の色に変わる。
【0051】
一方、第2画像部27Bは、未だ全ては溶解しておらず、この部分の鮮度感知層25はアミン類と接触しないため、第1の色のままである。
【0052】
従って、第1表示部14Aの鮮度感知層25の色と第1画像部26Bの部分の色が同じになるため、第1画像部26Bは再び識別できなくなり、第2画像部27Bは背景が第2の色に変化したことにより識別できるようになる。
【0053】
ここで、第3表示部14Cは第3溶解層28がまだ溶解しきっていないため、アミン類は鮮度感知層25に接触しない。従って、第3表示部14Cの画像は識別できない。
【0054】
図18は、商品の鮮度劣化が3段階進んだ場合の第2の実施形態のラベル1を示す断面図である。
図18に示すように、ラベル1は、商品の鮮度劣化が3段階進むと、商品の腐敗によって生成されるアミン類によって第2溶解層27、及び第3溶解層28が溶解し、第3画像部28B以外の部分の鮮度感知層25が露出する。
【0055】
鮮度感知層25が露出すると、商品の腐敗によって形成されたアミン類によって鮮度感知層25の色が第1の色から第2の色に変わる。
【0056】
一方、第3画像部28Bは、未だ全ては溶解しておらず、この部分の鮮度感知層25はアミン類と接触しないため、第1の色のままである。
【0057】
従って、第2表示部14Bの鮮度感知層25の色と第2画像部27Bの部分の色が同じになるため、第2画像部27Bは再び識別できなくなり、第3画像部28Bは背景が第2の色に変化したことにより識別できるようになる。
【0058】
以上述べたように、ラベル1は、媒体である台紙20と、台紙20の表面に第1の色によって形成され、鮮度劣化によって第1の色とは異なる第2の色に変化する鮮度感知層25と、鮮度感知層25の表面に形成される第1溶解層26、第2溶解層27、及び第3溶解層28と、を備える。
【0059】
第1溶解層26は、鮮度感知層25の表面にアルカリによって溶解するアルカリ溶解性材料によって形成され、第1表示部の全域を被覆する第1基底部26Aと、第1基底部26Aの表面にアルカリ溶解性材料によって画像形成される第1画像部26Bと、を備える。
【0060】
第2溶解層27は、鮮度感知層25の表面に溶解性材料によって第1溶解層26の厚さ以上に厚く形成され、第2表示部の全域を被覆する第2基底部27Aと、第2基底部27Aの表面にアルカリ溶解性材料によって画像形成される第2画像部27Bと、を備える。
【0061】
第3溶解層28は、鮮度感知層25の表面に溶解性材料によって第2溶解層27の厚さ以上に厚く形成され、第3表示部の全域を被覆する第3基底部28Aと、第3基底部28Aの表面にアルカリ溶解性材料によって画像形成される第3画像部28Bと、を備える。
【0062】
従って、鮮度が段階的に劣化するに従って、段階的に値引き表示を行うことができるという効果がある。
【0063】
(媒体)
媒体20は、固体又はゲルであってインクを担持できる者であれば制限がない。媒体20は、例えば紙などのセルロース、合成樹脂、アガロースゲルなどがあげられる。
【0064】
(インク)
第1画像部21を画像形成するインクは通常のインクでよい。
【0065】
第2画像部及び第3画像部を画像形成するインクは、腐敗検知色材と、必要に応じてビヒクルと、レジンと、を含む。
【0066】
腐敗検知色材は、例えばpHによって色が変化する色材又はアミンに反応して色が変わる色材を用いることができる。肉や魚肉に含まれるたんぱく質が腐敗して分解されるとアミンが生成される。アミンは水に溶けるとpHがアルカリ性に振れる。
【0067】
従って、pHによって色が変化する色材又はアミンに反応して色が変わる色材は鮮度の低下を検知できることになる。
【0068】
pHによって色が変化する色材又はアミンに反応して色が変わる色材には天然由来の色材と、その他の色材と、がある。
【0069】
天然由来の色材としては、例えば赤キャベツ色素、紫イモ色素、ブドウ果皮色素、ブドウ果汁色素、エルダーベリー色素、紫トウモノコシ色素、シソ色素、ハイビスカス色素などのアントシアニン系の色素が挙げられる。
【0070】
また、アルカリ性で紫赤色系の発色を示す、コチニール色素、ラック色素、アカネ色素などのキノン系色素、アルカリ性で赤褐色になるウコン色素、なども可能である。他にカロテノイド系色素、フラボノイド系色素、ポリフィリン系色素などが挙げられる。
【0071】
その他の色材としては、例えばマラカイトグリーン、チモールブルー、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロモクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロモクレゾールパープル、ブロモチモールブルー、フェノールレッド、ナフトールフタレイン、フェノールフタレイン、チモールフタレインなどが挙げられる。
【0072】
腐敗検知色材は、上記のpHによって色が変化する色材又はアミンに反応して色が変わる色材の中から1種類以上選択される。
【0073】
(アルカリ溶解性材料)
アルカリ溶解性材料は、商品の腐敗によって生成されるアミンによって溶解する材料を用いることができる。
【0074】
アルカリ溶解性材料は、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、PVP(ポリビニルフェノール)樹脂、エポキシメタアクリレート樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂や、PVA(ポリビニルアルコール)樹脂、コラーゲン、セラック、酢酸フタル酸セルロースなどから1種類以上選ばれる材質を使用できるが、これらに限られるものではない。
【0075】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。