特開2015-169785(P2015-169785A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000003
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000004
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000005
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000006
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000007
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000008
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000009
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000010
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000011
  • 特開2015169785-消色装置および熱源ユニット 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-169785(P2015-169785A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】消色装置および熱源ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20150901BHJP
【FI】
   G03G21/00 574
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-44378(P2014-44378)
(22)【出願日】2014年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 貴弘
【テーマコード(参考)】
2H134
【Fターム(参考)】
2H134PA06
2H134PB10
2H134PB21
2H134PB22
2H134PD06
2H134PD20
2H134PE00
(57)【要約】
【課題】トナーが熱源ユニットに付着して原稿を汚すことを防止する。
【解決手段】用紙上に形成された画像を読み取る読取部と、前記用紙の搬送方向の上流側で、前記用紙の第1面側に設け、前記用紙を前記第1面側から加熱する第1ヒートローラと、前記第1ヒートローラに対向して設け、前記用紙を第2面側から前記第1ヒートローラ方向に加圧状態で回転し、前記搬送方向に搬送する第1プレスローラと、該第1プレスローラより前記搬送方向の下流側で、前記第2面側に設け、前記用紙を前記第2面側から加熱する第2ヒートローラと、該第2ヒートローラに対向して設け、前記用紙を前記第1面側から前記第2ヒートローラ方向に加圧状態で回転し、前記搬送方向に搬送する第2プレスローラと、前記読取部の読取結果に基づき、前記用紙が非消色対象の場合、第1ヒートローラと第1プレスローラを離間し、第2ヒートローラと第2プレスローラを離間する制御部を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に形成された画像を読み取る読取部と、
前記用紙の搬送方向の上流側において、前記用紙の第1面側に設けられ、前記用紙を前記第1面側から加熱する第1ヒートローラと、
前記第1ヒートローラに対向して設けられ、前記用紙を第2面側から前記第1ヒートローラ方向に加圧しながら回転し、前記搬送方向に搬送する第1プレスローラと、
前記第1プレスローラより前記搬送方向の下流側において、前記第2面側に設けられ、前記用紙を前記第2面側から加熱する第2ヒートローラと、
前記第2ヒートローラに対向して設けられ、前記用紙を前記第1面側から前記第2ヒートローラ方向に加圧しながら回転し、前記搬送方向に搬送する第2プレスローラと、
前記読取部の読取結果に基づいて、前記用紙が非消色対象と判断した場合、前記第1ヒートローラと前記第1プレスローラを離間するとともに、前記第2ヒートローラと前記第2プレスローラを離間する制御部と、を備えた消色装置。
【請求項2】
前記用紙を非消色対象と判断した場合、前記第1ヒートローラと前記第1プレスローラは離間し、前記第2ヒートローラと前記第2プレスローラは、前記第2プレスローラを前記第2ヒートローラ方向に加圧しながら回転した、請求項1記載の消色装置。
【請求項3】
前記第1ヒートローラおよび前記第1プレスローラより用紙搬送方向の下流かつ前記第2プレスローラおよび第2ヒートローラより用紙搬送方向上流に配置され、前記用紙を搬送可能とする第1の位置と当該第1の位置とは異なる第2の位置と、に変位する用紙搬送ローラと、を備える請求項1または2に記載の消色装置。
【請求項4】
前記用紙搬送ローラは、前記読取部の読取結果に基づいて、消色処理を実行する場合は、離間した前記第2の位置に位置し、消色処理を実行しない場合は、用紙を搬送する前記第1の位置に位置する構成とした、請求項3記載の消色装置。
【請求項5】
加熱により消色される色材で画像が形成された用紙の搬送方向の上流側において、前記用紙の第1面側に設けられ、前記用紙を前記第1面側から加熱する第1ヒートローラと、
前記第1ヒートローラに対向して設けられ、前記用紙を第2面側から前記第1ヒートローラ方向に加圧しながら回転し、前記搬送方向に搬送する第1プレスローラと、
前記第1プレスローラより前記搬送方向の下流側において、前記第2面側に設けられ、前記用紙を前記第2面側から加熱する第2ヒートローラと、
前記第2ヒートローラに対向して設けられ、前記用紙を前記第1面側から前記第2ヒートローラ方向に加圧しながら回転し、前記搬送方向に搬送する第2プレスローラと、
前記読取部の読取結果に基づいて、前記用紙が非消色対象と判断した場合、前記第1ヒートローラと前記第1プレスローラを離間するとともに、前記第2ヒートローラと前記第2プレスローラを離間する制御部と、を備えた熱源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、消色装置および熱源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真等のトナーを加熱、加圧して用紙に定着する装置にあって、用紙上のトナーが加熱され、例えば、ヒートローラとプレスローラ等の加熱源において加熱、加圧された際、両ローラ表面に溶けたトナーが溶着せず用紙を搬送する方法が取られている。
【0003】
しかし、複数回の印刷−消色を繰り返した紙面の消色に必要な熱量を確保するには、加熱源であるヒートローラ表面温度を高く維持する必要がある。ヒートローラ温度を維持することで複数回の印刷−消色を繰り返した紙面において確実に消色を行うことが可能である。他の低温定着トナーで印刷された原稿が本熱源を通過した場合は、原稿表面のトナーが溶けヒートローラ表面にオフセットしてしまう。原稿上の溶けたトナーがヒートローラまたはプレスローラにオフセットした場合は、次の原稿表面にトナーがオフセットし表面を汚す場合がでてくる、という課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−014435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、トナーにより画像形成された用紙が熱源ユニットにより過加熱されることで溶融し、熱源ユニットに付着して原稿を汚すことを防止する消色装置および熱源ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の熱源ユニットは、用紙上に形成された画像を読み取る読取部と、前記用紙の搬送方向の上流側において、前記用紙の第1面側に設けられ、前記用紙を前記第1面側から加熱する第1ヒートローラと、前記第1ヒートローラに対向して設けられ、前記用紙を第2面側から前記第1ヒートローラ方向に加圧しながら回転し、前記搬送方向に搬送する第1プレスローラと、前記第1プレスローラより前記搬送方向の下流側において、前記第2面側に設けられ、前記用紙を前記第2面側から加熱する第2ヒートローラと、前記第2ヒートローラに対向して設けられ、前記用紙を前記第1面側から前記第2ヒートローラ方向に加圧しながら回転し、前記搬送方向に搬送する第2プレスローラと、前記読取部の読取結果に基づいて、前記用紙が非消色対象と判断した場合、前記第1ヒートローラと前記第1プレスローラを離間するとともに、前記第2ヒートローラと前記第2プレスローラを離間する制御部と、を備えた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】熱源ユニットにかかる第1の実施形態について説明するための概略的なシステム構成図である。
図2図1要部の全体斜視図である。
図3図2の断面と図1の要部構成を示す図である。
図4】消色装置にかかるハードウェア構成例を説明するブロック図である。
図5】第1の実施形態の動作について説明するためのフローチャートである。
図6】第1の実施形態の動作について説明するための図である。
図7】第1の実施形態の動作について説明するための図である。
図8】第2の実施形態について説明するための図である。
図9】第3の実施形態について説明するための図である。
図10】第3の実施形態について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明にかかる消色装置および熱源ユニットの第1の実施形態を示している。
【0010】
消色装置100は、消色性トナーや消色性インク等の「消色性色材」により画像形成された用紙Pに対して、消色性色材による画像の色を消す「消色処理」を施す。消色性色材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色性色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色する。
【0011】
消色装置100は、給紙トレイ11、給紙部材13,14、読取部16、熱源ユニット18、両面リユース紙トレイ21、片面リユース紙トレイ22、リジェクト紙トレイ23、排出ローラ25,26,27、第1搬送路31、第2搬送路32、第3搬送路33、第4搬送路34、第1フラッパーF1、第2フラッパーF2、第3フラッパーF3、第4フラッパーF4およびコントロールパネル51を備えている。第1〜第4フラッパーF1〜F4は、時計方向または反時計方向に回動可能であり、用紙Pの搬送方向を制御する。
【0012】
給紙トレイ11は、リユースするための用紙Pが給紙される。給紙トレイ11には、A4、A3、B5等、様々なサイズの用紙Pが給紙される。用紙Pには、例えば、所定温度以上に加熱することにより消色する消色性色材で画像形成されている。給紙部材13,14は、ピックアップローラ、用紙供給ローラ、および用紙供給ローラに対抗配置される分離ローラ等を有し、給紙トレイ11上の用紙Pを1枚ずつ消色装置100内部の第1搬送路31に供給する。
【0013】
また、給紙トレイ11は、給紙トレイ11上の用紙Pの有無を検知する検知センサS1を有する。検知センサS1は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであってもよい。第1搬送路31は、給紙トレイ11から両面リユース紙トレイ21へ向かう搬送路を形成する。第1搬送路31は、給紙された用紙Pを読取部16または両面リユース紙トレイ21へ搬送する。
【0014】
読取部16は、給紙トレイ11に対し、用紙搬送方向下流において第1搬送路31に沿って配置される。読取部16は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)スキャナ、あるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の読取ユニットを有する。本実施の形態での読取部16は、搬送される用紙Pの第1(表)面および第2(裏)面のそれぞれの画像を読取る。すなわち、読取部16は、第1搬送路31に沿って、かつ搬送路を挟んで配置される第1読取りユニット16aおよび第2読取りユニット16bから構成される。読取部16は、搬送される用紙Pの両面読取りが可能な位置関係となる。
【0015】
読取部16が読取った画像は、後述する記憶部522(図2参照)へ保存される。例えば、消色処理する前に読取部16が読取った用紙P上の画像を電子化して記憶部522へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することができる。
【0016】
また、後述する制御部52は、読取部16が読取った画像に基づいて、消色可能な用紙か否か、あるいはリユース可能な用紙か否かを判定する。さらに、制御部52は像形成と消色の回数が所定に達したか否か、印字率が所定の割合以上であるか否かなども判定する。
【0017】
読取部16の下流には、切り替え部としての第1フラッパーF1が配置されている。第1フラッパーF1は、搬送される用紙Pの搬送方向を切り替える。第1フラッパーF1は、第1搬送路31を搬送される用紙Pを、第2搬送路32またはリユース紙トレイ21へ搬送するかを分別する。第2搬送路32は、第1フラッパーF1が配置される分岐点において第1搬送路31より分岐する。分岐点より分岐した第2搬送路32は、用紙P上の画像を消色する消色部となる熱源ユニット18へ搬送する。
【0018】
また、第2搬送路32は、読取部16よりも用紙搬送方向上流における合流点P1において、第1搬送路31に合流する。すなわち、第2搬送路32は、給紙トレイ11と読取部16の間における合流点P1で第1搬送路31に合流する。したがって、第2搬送路32は、読取部16から搬送されてきた用紙Pを、熱源ユニット18を経由して、再び、読取部16へ搬送することを可能とする。言い換えれば、消色装置100は、給紙トレイ11から供給された用紙Pを、第1フラッパーF1を制御して、読取部16、熱源ユニット18、読取部16の順に搬送することができる。
【0019】
第1搬送路31は、第1フラッパーF1の下流に、第2フラッパーF2を有する。第2フラッパーF2は、第1フラッパーF1から搬送された用紙Pを、両面リユース紙トレイ21または第3搬送路33へ案内する。第3搬送路33は、用紙Pを片面リユース紙トレイ22へ搬送する。
【0020】
第3搬送路33は、第2フラッパーF2の下流に第3フラッパーF3を有する。第3フラッパーF3は、第2フラッパーF2を介して搬送された用紙Pを第4搬送路34へ案内する。第4搬送路34は、用紙Pをリジェクト紙トレイ23へ搬送する。
【0021】
熱源ユニット18は、搬送される用紙P上に形成された画像の色を消す。例えば、熱源ユニット18は、搬送される用紙Pへ接触した状態で、用紙Pを所定の消色温度まで加熱することにより、消色性色材により用紙P上に形成された画像の色を消す。例えば、消色装置100の熱源ユニット18は、用紙Pの第1面消色用の第1消色部18aおよび第2面消色用の第2消色部18bを有する。第1消色部18a、第2消色部18bは、第2搬送路32を挟んで対向配置される。
【0022】
第1消色部18aは、用紙Pの一方の面側から用紙Pへ当接して加熱する。第2消色部18bは、用紙Pの他方の面側から用紙Pへ当接して加熱する。熱源ユニット18は、搬送される用紙両面の画像を一度の搬送で消色する。第1および第2消色部18a,18bは、用紙Pを加熱し、画像の色を消す位置を消色位置である。熱源ユニット18は、第1および第2消色部18a,18bの加熱部の温度を検知する温度センサ19a、19bをそれぞれ有する。温度センサ19a、19bは、接触式であっても非接触式であってもよい。
【0023】
消色装置100本体の上部に配置されたコントロールパネル51は、タッチパネル式の表示部511と各種の操作キー512とを有する。操作キー512は、例えばテンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。ユーザは、コントロールパネル51を介して、消色の開始、あるいは消色する用紙Pの画像の読み込み等の消色装置100の機能動作を指示する。表示部511は、消色装置100の設定情報や動作ステータス、ログ情報、あるいはユーザへのメッセージを表示する。
【0024】
排出ローラ25、26、27は、用紙Pを、本体の下部に配置された両面リユース紙トレイ21、片面リユース紙トレイ22、リジェクト紙トレイ23へ排出する。たとえば、両面リユース紙トレイ21は、用紙P上の画像が消色され、用紙両面のリユースな可能用紙をストックする。片面リユース紙トレイ22は、片面のリユース可能と判定された用紙をストックする。リジェクト紙トレイ23は、両面共にリユース不可と判定された用紙をストックする。なお、片面のリユース可能と判定された用紙は、片面リユーリユース不可側の面に図示しない印字装置により、リユース不可を示すマーキングを施す。これにより、ユーザに対し片面側は、リユースできない旨を知らせることができる。印字装置は、例えばインジェットプリンタ方式の印字装置が用いられる。
【0025】
排出ローラ25は、両面のリユース可能な用紙を両面リユース紙トレイ21に排出し、両面リユース紙トレイ21内に用紙をストックする機能を備える。また、排出ローラ25は、片面のリユースが可能と判定した場合に、片面リユース紙トレイ22に利用可能な用紙面が揃うように用紙をスイッチバックさせ用紙を反転させる用紙反転部24を備えている。
【0026】
片面リユース紙トレイ22には、用紙が第1搬送路31から直接第3搬送路33を介してストックされる場合と、一旦両面リユース紙トレイ21に搬送し、用紙を反転してからストックされる場合とがある。これにより、両面リユース紙トレイ21には、例えば片面のリユースが可能な面が表側に揃った状態でストックされる。
【0027】
なお、両面リユース紙トレイ21、片面リユース紙トレイ22、リジェクト紙トレイ23は、受け入れる対象とする用紙を入れ替えることも可能である。それぞれのトレイがどのような用紙をストックするかの設定、すなわち、用紙の搬送先の設定は、例えば、コントロールパネル51から設定すればよい。
【0028】
この設定により、第2フラッパーF2は、搬送路を切り替えて、搬送された用紙を両面リユース紙トレイ21または第3搬送路33へ案内する。第3フラッパーF3は、搬送路を切り替えて、搬送された用紙を片面リユース紙トレイ22または第4搬送路34へ案内する。
【0029】
消色装置100は、第1〜第4搬送路31〜34を搬送される用紙を検知する複数の用紙検知センサ490〜499を有する。用紙検知センサ490〜499は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであってもよい。用紙検知センサ491〜499は、第1〜第4搬送路31〜34の適切な位置に配置される。
【0030】
図2は、熱源ユニット18の斜視図を示す。消色性色材で画像形成された用紙Pは、熱源ユニット18で加熱しながら、図中矢印で示す下方から上方に通過する過程で用紙P上の画像が消色される。
【0031】
図3は、図2の断面と図1の要部構成を示す。熱源ユニット18は、第1および第2消色部18a,18bから構成される。
【0032】
第1消色部18aは、可動する第1ヒートローラ18a1とこの第1ヒートローラ18a1を加圧しながら従動する第1プレスローラ18a2から構成される。第1消色部18aは、可動する第2ヒートローラ18b1とこの第2ヒートローラ18b1を加圧しながら従動する第2プレスローラ18b2から構成される。
【0033】
第1ヒートローラ18a1および第2ヒートローラ18b1は、図示しないIHやランプ等の熱源をそれぞれ備えている。第1ヒートローラ18a1の加熱温度t1と第2ヒートローラ18b1の加熱温度t2は、t1>t2の関係にある。これは、加熱前の用紙Pが搬送されてくるため、加熱温度の低下を抑えるためである。
【0034】
また、第1ヒートローラ18a1と第2ヒートローラ18b1は同径であり、第1プレスローラ18a2は、第2プレスローラ18b2より径大に形成される。これは、加熱前の用紙Pと加熱時間を第1ヒートローラ18a1の接触面積を広く(接触時間を長く)し、用紙Pの加熱温度上昇の向上を図るためである。
【0035】
第1ヒートローラ18a1と第1プレスローラ18a2は、第1プレスローラ18a2を可動させ離間する状態の第1の位置と加圧しながら回転可能な第2の位置に図示しないクラッチ機構により取着されている。第2ヒートローラ18b1と第2プレスローラ18b2は、第2プレスローラ18b2を可動させ離間する状態の第1の位置と加圧しながら回転可能な第2の位置に図示しないクラッチ機構により取着されている。なお、第1の位置での第1ヒートローラ18a1と第1プレスローラ18a2および第2ヒートローラ18b1と第2プレスローラ18b2は、それぞれ用紙Pの表面と非接触状態の位置にある。
【0036】
熱源ユニット18内の図中破線で示す用紙Pを搬送する第2搬送路32には、可動ローラ61aと従動ローラ61bから構成される用紙搬送ローラ61が配置される。用紙搬送ローラ61は、第1消色部18aと第2消色部18bとの間に配置される。可動ローラ61aと従動ローラ61bは、第2搬送路32を挟んで配置される。可動ローラ61aと従動ローラ61bは、離間状態の第1の位置と用紙を挟持しながら回転可能な第2の位置をクラッチ機構(図示せず)により取着されている。
【0037】
用紙搬送ローラ61は、第1および第2消色部18a,18bが加熱動作時には離間する。用紙搬送ローラ61は、第1および第2消色部18a,18bが非加熱動作時には可動ローラ61aと従動ローラ61bに挟まれた用紙Pを搬送する。
【0038】
図3に示すように消色時の第1ヒートローラ18a1は、図中時計方向に回転し、第1プレスローラ18a2は、第1ヒートローラ18a1に加圧することで、反時計方向に回転し、第2ヒートローラ18b1は、図中反時計方向に回転する。第2プレスローラ18b2は、第2ヒートローラ18b1に加圧することで、時計方向に回転する。
【0039】
制御部52は、熱源ユニット18を通過する用紙Pの状態に基づいて、熱源ユニット18の第1および第2消色部18a,18b、それに用紙搬送ローラ61の駆動を制御する。
【0040】
図4は、消色装置100のハードウェア構成例を説明するブロック図である。
【0041】
消色装置100は、制御部52、プロセッサ521、記憶部522、検知部53、通信インターフェース(通信I/F)54、搬送部30、読取部16、熱源ユニット18、コントロールパネル51を有する。
【0042】
制御部52は、検知部53からの信号に基づいて、装置内部の各構成を制御する。検知部53は、図1に示す検知センサS1、温度センサ19a,19b、用紙検知センサ490〜499等を有する。
【0043】
制御部52は、CPU(Central Processing Unit)、あるいはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ521、記憶部522を有する。制御部52は、読取部16、熱源ユニット18、コントロールパネル51を制御する。記憶部522は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、プロセッサ521に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)を有する。例えば、ROMは、リユース可否の閾値とする用紙Pの印字率、画像が消色されたか否かを判定するための濃度閾値等を格納する。RAMは、読取部16で読取った画像を一時的に保存しても良い。消色装置100の各コンポーネントは、バスを介して接続される。
【0044】
消色装置100は、例えば、読取り処理、消色処理、分別処理を有する。制御部52は、設定された処理に応じて、読取部16、熱源ユニット18、およびその他の構成を制御する。
【0045】
読取り処理での制御部52は、読取部16が読取った画像を記憶部522へ保存する。消色処理での制御部52は、熱源ユニット18を駆動し、消色性色材により画像を形成された用紙P上の画像を消す。
【0046】
分別処理での制御部52は、読取部16が読取った画像に基づいて、用紙Pがリユース可能か否かを判定する。制御部52は、読取部16が読取ったデータに基づいて、用紙P上に画像があるか否かを判定する。用紙Pの両面に画像がある場合には、リユース不可能とする。熱源ユニット18で消色処理された後の用紙Pを読取った場合に、両面が消去されているが画像の場合は、両面リユース可能と判定し、片面だけが消去されずに残っている画像の場合は片面リユース可能と判定する。
【0047】
制御部52は、検知部53からの信号に基づいて、装置内部の各構成を制御する。検知部53は、図1に示す検知センサS1、温度センサ19a、19b、用紙検知センサ490〜499を含む。検知部53には、図示しないが、リユース紙トレイ21、リジェクト紙トレイ23の載積された用紙Pの量を検知する検知センサ等も含まれる。制御部52は、検知センサS1からの信号に基づいて給紙トレイ11上の用紙Pの有無を判定する。
【0048】
また、制御部52は、温度センサ19a、19bを用いて第1および第2消色部18a,18bの加熱部の温度を検知するとともに、第1および第2消色部18a,18bの加熱部の温度を制御する。制御部52は、用紙検知センサ490〜499を用いて、第1〜第4搬送路31〜34内の用紙Pの位置を把握する。例えば、制御部52は、用紙検知センサ490を用いて給紙トレイ11から用紙Pが搬送路31に送り出されたかを検知する。制御部52は、読取部16下流近傍の用紙検知センサ491を用いて、読取部16を通過した用紙Pを検知する。
【0049】
記憶部522は、アプリケーションプログラムおよび基本ソフトを記憶する。アプリケーションプログラムは、読取部16の読取り機能、熱源ユニット18の消色機能を実行するプログラムを含む。さらにアプリケーションプログラムは、Webクライアント用のアプリケーション(Webブラウザ)やその他のアプリケーションを有する。記憶部522は、読取部16で読取った画像を保存する。また、記憶部522は、消色装置100で処理した用紙Pの処理枚数を記憶する。記憶部522としては、例えば、ハードディスクドライブやその他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置またはこれらの任意の組合せであってもよい。
【0050】
通信I/F54は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F54は、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE802.15、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線または有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信I/F54は、さらに、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインタフェース等を含んでも良い。
【0051】
制御部52は、通信I/F54を介して複合機、その他外部機器と通信する。例えば、読取部16が読取った画像は、消色装置100の記憶部522が記憶するとしたが、これに限定されなくともよい。例えば、外部機器であるユーザ端末や複合機、あるいはサーバと通信I/F54を介して通信し、これら外部機器の記憶部へ保存するようにしても良い。外部機器へ保存された画像データは、複合機の操作部やユーザ端末から読み出すようにすればよい。
【0052】
搬送部30は、第1搬送路31、第2搬送路32、第3搬送路33、第4搬送路34に配置される複数の搬送ローラと、搬送ローラを駆動する搬送モータとを有する。制御部52は、搬送部30の搬送モータの駆動を制御することによって、用紙Pの搬送速度を制御する。ここで、用紙Pの画像を読取るために読取部16を搬送される用紙Pの速度を読取り速度、用紙Pの画像の色を消すために熱源ユニット18を搬送される用紙Pの速度を消色速度とする。
【0053】
ところで、消色装置100は、小型化が望まれている。例えば、読取部16から第2搬送路32または第3搬送路33に用紙Pの搬送を切り換える第1フラッパーF1までの距離を長くできない。読取部16から第1フラッパーF1までの距離は、用紙Pの画像情報を確実に読み取るためには所定の長さが必要である。
【0054】
本実施形態では、図5のフローチャートに示す処理を行うことで、非消色対象の用紙Pを誤って熱源ユニット18で、消色に必要な加熱処理をしない制御を行うようにした。
【0055】
図5のフローチャートは、制御部50が実行する処理を示すものであって、非消色用紙が熱源ユニット18を通過する場合の、第1および第2消色部18a,18bの制御を示す。図5について、図3とともに説明する。
【0056】
制御部50は、給紙部11から用紙Pが第1搬送路31に給紙されたかを用紙検知センサ491による検知結果に基づき判断する(ACT1)。給紙対象のシートがないと判断した場合(No)は、用紙搬送エラーと判断し、搬送部30の搬送を停止する。一方、給紙対象のシートがあると判断した場合(Yes)は、ACT2に進む。
【0057】
ACT2において、制御部50は読取部16で用紙Pをスキャンし、用紙Pの画像形成情報を読み取る。制御部50は、読取部16が読み取った情報から所定の印字率以上であるかを判定する。例えば、印字率20%未満かを判断する。
【0058】
ACT2において、印字率20%以上、あるいは消色装置100の消色温度以下の消色性色材が使用され消色しないと判断した場合(No)は、ACT3に進む。
【0059】
ところで、ACT2における消色か非消色かは、印字率の他に、消色装置100対応の消色温度の消色性色材が使用されているか、消色回数が例えば5回以下かを対象とする。これらは、次の条件の場合を非消色対象例とする。
【0060】
(1)印字率が例えば20%を超える場合とは、用紙のほぼ全面に印字された状態である。消色は、物理的に消去しているのではなく、消色され見えにくくなった消色性色材そのものは残像となっている。そのため、20%以上の印字率では消色の状態が目につきやすくなり、この状態で消色した用紙のリユースには無理があるからである。なお、印字率の判断は20%を基準としたが、例えばコントロールパネル51を操作することによって変更可能である。
【0061】
(2)消色温度が消色装置100の消色性色材に対応の熱源ユニット18の加熱温度より低い温度で画像形成された印字の場合は、消色時に消色性色材が融解してしまう。融解された消色性色材は、ヒートローラにオフセットしていまい、以降の消色に支障をきたすからである。
【0062】
(3)さらに、消色回数を例えば5回としたかは、上記したように消色は、物理的に消去しているのではなく、残像となっているからで、この状態での消色した用紙のリユースには無理があるからである。消色回数は、消色装置100内に例えばインクジェットプリンタを設置する。そして、何回消色したかを例えば用紙の端に非消色のマーキングを行い、読取部16で読み取ることでその回数を認識することができる。
【0063】
なお、条件(1),(3)において熱源ユニット18で消色可能な温度にした場合は、非消色用紙と判断したにもかかわらず、消色されてしまう。この消色に従い読取部16で読み取った結果は、消色対象用紙と判断してしまうからである。従って、条件(1),(3)対象の用紙については、非消色温度となるように制御した。
【0064】
ACT3おいて制御部52は、熱源ユニット18内の第1および第2消色部18a,18bの加熱源離間を行う。図6は、第1および第2消色部18a,18bによって、用紙Pを加熱し消色可能な状態を示す。すなわち、第1消色部18aでは、第1プレスローラ18a2で第1ヒートローラ18a1を加圧し、第1ヒートローラ18a1と第1プレスローラ18a2を通過する用紙Pを加熱する。この用紙の加熱では、例えば用紙の表面に形成された画像の消色を行う。第2消色部18bでは、第2プレスローラ18b2で第2ヒートローラ18b1を加圧し、第2ヒートローラ18b1と第2プレスローラ18b2を通過する用紙を加熱する。この用紙の加熱では、例えば用紙の裏面に形成された画像の消色を行う。
【0065】
第1および第2消色部18a,18bの加熱源離間した場合の制御部52は、用紙搬送ローラ61で用紙Pを搬送可能とし(ACT4)、ACT5に進む。図7は、第1および第2消色部18a,18bを加熱離間した状態を示す。このときの用紙搬送ローラ61は、図6の可動ローラ61aと従動ローラ61bが離間した状態から用紙を搬送可能な状態とするために従動ローラ61bを可動ローラ61aに加圧している。
【0066】
ACT5では、熱源ユニット18の上流に設置された用紙検知センサ492が用紙Pを検知したかを判断する。用紙Pがないと判断した場合(No)は、用紙搬送エラーと判断し、搬送部30の搬送を停止する。給紙があった場合(Yes)は、ACT6に進む。
【0067】
ACT6では、用紙Pを消色可能な温度に加熱させる状態にある第1および第2消色部18a,18bを通過させ、用紙Pに消色性色材で形成された画像の消色を行い、熱源ユニット18から下流側に排紙する。
【0068】
制御部52は、熱源ユニット18の下流にある用紙検知センサ493が用紙Pを検知したかを判断する(ACT7)。用紙Pの通過を検出した場合(Yes)は、用紙Pの搬送を継続する。一方、用紙Pを検出しない場合(No)は、用紙搬送エラーと判断し、搬送部30の搬送を停止する。
【0069】
このようにACT2,3,4の処理を行うことで、印字率20%以上、あるいは消色回数が例えば5回を超えた場合等の、非消色対象の用紙を確実に熱源ユニットから搬送することができる。
【0070】
さらに、消色温度が消色装置100の消色性色材に対応の熱源ユニット18の加熱温度より低い温度で画像形成された印字の場合に、ACT2,3,4の処理を行うことで、熱源による過加熱により消色性色材がヒータ等へのオフセットを防止することができる。従って、消色性色材が次用紙に対して転写して付着することを防ぐことができる。
【0071】
この実施形態では、非消色対象の用紙の加熱温度を消色温度以下にして熱源ユニットを通過させるようにした。これにより、熱源ユニットの用紙と接触するヒートローラやプレスローラへの消色性色材オフセットを回避し、熱源ユニット内での安定した用紙搬送性能を得ることができる。
【0072】
(第2の実施形態)
図8および図9は、熱源ユニットにかかる第2の実施形態について説明するための図である。
【0073】
上記したように、第2ヒートローラ18b1の加熱温度t2は、第1ヒートローラ18a1の加熱温度t1よりも低く(t2<t1)設定してある。そして、消色装置100で使用される消色性材料よりも低温の消色性材料で形成された画像は、消色しないようにした。また、印字率20%以上の場合は、消色せずリジェクト対象とした。
【0074】
そこで、制御部50は、非消色性材料で形成された画像が印字された用紙の場合は、第1消色部18a側の第1ヒートローラ18a1と第1プレスローラ18a2を離間する。一方、第2プレスローラ18b2は第2ヒートローラ18b1を加圧した状態とする。
【0075】
この場合の用紙Pは、第2消色部18bで加熱されることになる。ここで、第2消色部18bの温度は、消色性色材が消色する消色温度よりも低く設定してある。したがって、第2消色部18bにて用紙Pを加熱した場合であっても、用紙P上の消色性色材の融解を防止することができる。また、消色装置100の消色温度で消色可能な印字に対しては、加熱温度の高い第1消色部18aの第1ヒートローラ18a1と第1プレスローラ18a2は離間している。このため、加熱温度の低い第2消色部18bを通過した用紙の消色はない。
【0076】
第2消色部18bは、第1消色部18aより低い温度に設定してある。用紙Pは、第1消色部18aに触れずに搬送されることから、加熱されないまま第2消色部18bで加熱されても、消色に必要な温度には至らない。従って、第2消色部18bは、消色時の状態を維持するようにすることで、構成の簡略化の実現が可能となする。
【0077】
この実施形態では、第2消色部18bの第2プレスローラ18b2を動かす機構を省くことができることから、熱源ユニット18の構成の簡略化を図ることができる。
【0078】
(第3の実施形態)
図10および図11は、熱源ユニットにかかる第3の実施形態について説明するための図である。
【0079】
この実施形態は、第1消色部18aと第2消色部18bの間隔Lを近づけた。さらに、第2実施形態と同じように、消色しない場合の第2消色部18bの第2ヒートローラ18b1は、第2プレスローラ18b2で加圧状態とした。
【0080】
第1消色部18aと第2消色部18bは、これらの距離Lを近づけた。消色しない用紙であっても、第2消色部18bの第2ヒートローラ18b1は、回転していることから用紙搬送ローラ61の役目を果たす。用紙搬送ローラ61は省くことができることから、全体の構成の簡素化を図れるとともに、軽量化に寄与する。
【0081】
この実施形態では、第1および第2実施形態で必要としていた第1消色部18aと第2消色部18b間の用紙搬送ローラを、第2消色部18bで兼用することができ、構成の簡略化、軽量化を図ることができる。
【0082】
上記の各実施形態では、用紙の両面を同時に読取るようにしたが、片面対応でも構わない。この場合、第2読取りユニット16b、熱源ユニット18の第2消色部18bを構成から外すことができる。
【0083】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
100 消色装置
11 給紙トレイ
16 読取部
18 熱源ユニット
18a 第1消色部
18b 第2消色部
18a1 第1ヒートローラ
18a2 第1プレスローラ
18b1 第2ヒートローラ
18b2 第2プレスローラ
21 両面リユース紙トレイ
22 片面リユース紙トレイ
23 リジェクト紙トレイ
31 第1搬送路
32 第2搬送路
33 第3搬送路
34 第4搬送路
51 コントロールパネル
61 用紙搬送ローラ
61a 可動ローラ
61b 従動ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10