(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-169908(P2015-169908A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】レンズユニット及びそれを用いた赤外線カメラシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 7/08 20060101AFI20150901BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20150901BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
G02B7/08 C
G02B7/08 B
G02B7/02 F
G03B15/00 F
G03B15/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-46773(P2014-46773)
(22)【出願日】2014年3月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】上山 雄一
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AH00
2H044DA01
2H044DB02
2H044DC01
2H044DE00
(57)【要約】
【課題】起動時の焦点調整用レンズの初期動作を任意に設定することが可能なレンズユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決するため、焦点調整用レンズと、当該焦点調整用レンズの位置を制御するための制御手段とを備えるレンズユニットにおいて、当該制御手段は、当該焦点調整用レンズの合焦位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点調整用レンズの初期動作を行うことを特徴とするレンズユニットを採用した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点調整用レンズと、当該焦点調整用レンズの位置を制御するための制御手段とを備えるレンズユニットにおいて、
当該制御手段は、当該焦点調整用レンズの合焦位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点調整用レンズの初期動作を行うことを特徴とするレンズユニット。
【請求項2】
前記起動時動作条件は、直前の合焦位置に自動的に復帰させるものである請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記制御手段は、外部からの前記起動時動作条件の設定指示を受信する請求項1又は請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
焦点距離調整用レンズを備え、
前記制御手段は、前記焦点調整用レンズの合焦位置に対応した当該焦点距離調整用レンズの位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点距離調整用レンズの初期動作を行う請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記レンズユニットの内部温度を測定する温度測定手段を備え、
前記制御手段は、当該温度測定手段の測定結果に基づき前記焦点調整用レンズを制御可能な温度範囲であるか判断し、当該焦点調整用レンズを制御可能と判断した場合に当該焦点調整用レンズの位置を制御する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記制御手段は、前記焦点調整用レンズを制御可能な温度範囲であると判断した場合に、前記温度測定手段が測定した温度に基づき当該焦点調整用レンズの補正量を求め、当該補正量を加味して当該焦点調整用レンズの位置を制御する請求項5に記載のレンズユニット。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のレンズユニットを用いた赤外線カメラシステムであって、
前記レンズユニットを遠赤外線カメラ本体に取り付けてなることを特徴とする赤外線カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、レンズユニット及びそれを用いた赤外線カメラシステムに関する。具体的には、本件発明は、使用者が焦点調整用レンズの起動時の初期動作を選択的に設定可能なレンズユニット及びそれを用いた赤外線カメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レンズユニットにおいては、電源が投入された直後の焦点調整用レンズの初期動作が、予め設定させた起動時動作条件に基づいて行われている。例えば、当該焦点調整用レンズの位置制御をモータによって行うレンズユニットの場合、特許文献1に開示されるように、電源投入時の初期化ルーチンとして、焦点合わせ用の基準位置となるホームポジションに復帰させる処理が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−143383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されるような、従来の焦点調整用レンズの起動時における初期動作は、必ずしも使用者に望まれる起動時動作条件とは限らない。起動時の焦点調整用レンズの初期動作に関しては、レンズユニットの用途等に応じて、電源投入直後に焦点調整用レンズの初期動作を行わないように設定されていることが好ましい場合や、電源投入直後に焦点調整用レンズを任意に設定した位置に移動させるように設定されていることが好ましい場合がある。ところが、従来のレンズユニットでは、レンズユニット毎に特定の起動時動作が行われ、使用者が任意に焦点調整用レンズの起動時動作条件を設定することが出来なかった。
【0005】
本件発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、起動時の焦点調整用レンズの初期動作を任意に設定することが可能なレンズユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下のレンズユニットを採用することで上記目的を達成するに到った。
【0007】
本件発明に係るレンズユニット: 本件発明に係るレンズユニットは、焦点調整用レンズと、当該焦点調整用レンズの位置を制御するための制御手段とを備えるレンズユニットにおいて、当該制御手段は、当該焦点調整用レンズの合焦位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点調整用レンズの初期動作を行うことを特徴とする。
【0008】
本件発明に係るレンズユニットにおいて、前記起動時動作条件は、直前の合焦位置に自動的に復帰させるものであることが好ましい。
【0009】
本件発明に係るレンズユニットにおいて、前記制御手段は、外部からの前記起動時動作条件の設定指示を受信することが好ましい。
【0010】
本件発明に係るレンズユニットは、焦点距離調整用レンズを備え、前記制御手段は、前記焦点調整用レンズの合焦位置に対応した当該焦点距離調整用レンズの位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点距離調整用レンズの初期動作を行うことが好ましい。
【0011】
本件発明に係るレンズユニットは、前記レンズユニットの内部温度を測定する温度測定手段を備え、前記制御手段は、当該温度測定手段の測定結果に基づき前記焦点調整用レンズを制御可能な温度範囲であるか判断し、当該焦点調整用レンズを制御可能と判断した場合に当該焦点調整用レンズの位置を制御することが好ましい。
【0012】
本件発明に係るレンズユニットにおいて、前記制御手段は、前記焦点調整用レンズを制御可能な温度範囲であると判断した場合に、前記温度測定手段が測定した温度に基づき当該焦点調整用レンズの補正量を求め、当該補正量を加味して当該焦点調整用レンズの位置を制御することが好ましい。
【0013】
本件発明に係る赤外線カメラシステム: 本件発明に係る赤外線カメラシステムは、上述したレンズユニットを用いた赤外線カメラシステムであって、前記レンズユニットを遠赤外線カメラ本体に取り付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本件発明に係るレンズユニットによれば、起動時の焦点調整用レンズの初期動作を使用者が任意に設定出来るため、例え停電時において意図せずに再起動した場合でも、使用者の望む位置に当該焦点調整用レンズを自動的に復帰させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本件発明の一実施例に係るレンズユニットの概略構成を示した構成図である。
【
図2】本件発明の一実施例に係る制御手段の処理手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るレンズユニット及びそれを用いた赤外線カメラシステムの好ましい実施の形態を説明する。
【0017】
本件発明に係るレンズユニット:
図1は、本件発明の一実施例に係るレンズユニットの概略構成を示した構成図である。
図1に示すように、本件発明に係るレンズユニット1は、焦点調整用レンズ4と、当該焦点調整用レンズ4の位置を制御するための制御手段9とを備えたものである。また、当該制御手段9は、当該焦点調整用レンズ4の合焦位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点調整用レンズ4の初期動作を行うことを特徴とする。
【0018】
本件発明に係るレンズユニット1では、鏡筒2の内部に、焦点調整用レンズ4が位置調整手段としての駆動装置6によって光軸に沿って移動可能に備えられる。また、本件発明に係るレンズユニット1は、当該レンズユニットが備える制御手段9により、撮像素子(イメージセンサ)8で検知された情報や、焦点距離や被写体距離の情報等を当該記憶部11に記憶することが可能である。すなわち、当該レンズユニット1が備える制御手段9は、記憶部11を含んで構成される。本件発明に係るレンズユニットは、少なくともこのような構成を備えることで、使用者毎に異なる当該焦点調整用レンズ4の起動時動作条件を設定することが出来る。
【0019】
また、本件発明に係るレンズユニット1が上述した構成を備えることで、制御手段9は、使用者が望む当該焦点調整用レンズ4の起動時動作条件を予め複数記憶しておくことができ、使用者が、当該制御手段9に記憶された複数の起動時動作条件の中からその時々で望ましい起動時動作条件を選択的に設定することが可能となる。例えば、使用者は、当該焦点調整用レンズ4の起動時の初期動作について、移動させないようにしたり、ホームポジションへ移動させた後に自動的に任意の位置に移動するように設定することが出来る。ちなみに、本件発明に係るレンズユニット1が備える記憶部11には、DRAM等の揮発性メモリやROM等の不揮発性メモリを用いることができ、記憶する情報の種類等によって記憶場所を変えるような構成とすることも出来る。本件発明の制御手段9は、当該記憶部11に予め考え得る起動時動作条件を設定しておくことで、使用者が煩わしい操作をせずとも、起動時動作条件の設定や変更を行うことが出来る。また、本件発明に係るレンズユニット1は、制御手段9が焦点調整用レンズ4の起動時の初期動作を記憶することで、カメラ等の上位システムを選ばずに使用することが出来る。
【0020】
また、本件発明に係るレンズユニット1において、上述した起動時動作条件は、直前の合焦位置に自動的に復帰させるものであることが好ましい。
【0021】
本件発明に係るレンズユニット1は、制御手段9が記憶した最新の合焦位置情報に基づき焦点調整用レンズ4の初期動作を行うことで、起動時に当該焦点調整用レンズ4を直前の合焦位置に自動的に復帰させることが出来る。このときに、当該制御手段9が、古い情報を順次自動的に消去して新しい情報に置き換えることで、記憶部11におけるメモリの消費を抑え、常に高速な処理を実現することが出来る。また、本件発明に係るレンズユニット1は、このような起動時動作条件を設定することで、例えば停電時等により意図せずに再起動した場合であっても、焦点調整用レンズ4を直前の合焦位置に自動的に復帰させることが出来る。本件発明に係るレンズユニット1は、焦点調整用レンズ4を直前の合焦位置に自動的に復帰する起動時動作条件に設定することで迅速に合焦状態を得ることが出来るため、セキュリティ用途に好適に用いることが出来る。
【0022】
また、本件発明に係るレンズユニット1において、制御手段9は、外部からの上述した起動時動作条件の設定指示を受信することが好ましい。
【0023】
本件発明に係るレンズユニット1は、制御手段9が、外部からの起動時動作条件の設定指示を受信する受信部10を備えることで、当該レンズユニット1を固定カメラに用いた場合であっても、撮像を中断させずに起動時動作条件の変更を容易に行うことが出来る。ちなみに、外部からの起動時動作条件の設定指示を送信するにあたっては、管理側制御手段12を設けることができ、当該管理側制御手段12から当該制御手段9への送信態様としては有線、無線は問わない。
【0024】
また、本件発明に係るレンズユニット1は、焦点距離調整用レンズ3を備え、制御手段9が、焦点調整用レンズ4の合焦位置に対応した当該焦点距離調整用レンズ3の位置情報を記憶すると共に、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点距離調整用レンズ3の初期動作を行うことが好ましい。
【0025】
本件発明に係るレンズユニット1は、焦点距離調整用レンズ3を備えることもでき、この場合には、鏡筒2の内部に、焦点距離調整用レンズ3が位置調整手段としての駆動装置5によって光軸に沿って移動可能に備えられる。本件発明に係るレンズユニット1は、焦点距離調整用レンズ3を備えた場合であっても、制御手段9が、焦点調整用レンズ4の合焦位置に対応した当該焦点距離調整用レンズ3の位置情報を記憶することで、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該焦点距離調整用レンズ3の初期動作を行うことが可能となる。ちなみに、図示していないが、本件発明に係るレンズユニット1は、可変焦点レンズ(バリフォーカルレンズ)を用いる構成とすることもでき、この場合にも制御手段9が、当該可変焦点レンズの位置情報を記憶することで、選択的に設定された起動時動作条件に基づき当該可変焦点レンズの初期動作を行うことが可能となる。
【0026】
また、本件発明に係るレンズユニット1は、当該レンズユニット1の内部温度を測定する温度測定手段7を備え、制御手段9が、当該温度測定手段7の測定結果に基づき焦点調整用レンズ4を制御可能な温度範囲であるか判断し、当該焦点調整用レンズ4を制御可能と判断した場合に当該焦点調整用レンズ4の位置を制御することが好ましい。
【0027】
本件発明に係るレンズユニット1は、温度測定手段7を備え、制御手段9が当該温度測定手段7の測定結果に基づき焦点調整用レンズ4を制御可能な温度範囲であるか判断することで、レンズユニット1の温度に起因した不具合が生じるのを事前に防ぐことが出来る。ここで、本件発明に係るレンズユニット1は、当該レンズユニット1の内部に温度測定手段7として温度センサーを備えることが出来る。なお、レンズユニット1の内部に設置する温度センサーの数や配置は限定されない。ちなみに、本件発明の制御手段9は、レンズユニット1の内部温度が焦点調整用レンズ4を制御可能な温度範囲にないと判断した場合に、例えば外部の管理側制御手段12に向けて情報を発信して、当該情報を使用者に知らせることも出来る。
【0028】
また、本件発明に係るレンズユニット1において、制御手段9は、焦点調整用レンズ4を制御可能な温度範囲であると判断した場合に、温度測定手段7が測定した温度に基づき当該焦点調整用レンズ4の補正量を求め、当該補正量を加味して当該焦点調整用レンズ4の位置を制御することが好ましい。
【0029】
本件発明に係るレンズユニット1は、制御手段9が、温度測定手段7が測定したレンズユニット1の内部温度に基づき焦点調整用レンズ4の補正量を求め、当該補正量を加味して当該焦点調整用レンズ4の位置を制御することで、レンズユニット1の内部温度の変化に伴い鏡筒等が伸縮することによる焦点位置のばらつき等の影響を極力低減させることが出来る。また、本件発明の制御手段9は、記憶部11に記憶してある焦点距離や被写体距離等の情報に当該補正量を加味して、当該焦点調整用レンズ4の位置を制御するため、例え意図せずに再起動した場合であっても、当該レンズユニット1の置かれた温度環境の変化に左右されずに、当該焦点調整用レンズ4を正確な合焦位置に復帰させることが出来る。
【0030】
以上、本件発明に係るレンズユニット1について説明したが、以下に
図2に示すフローチャート図を参照して、当該レンズユニット1が備える制御手段9の処理手順について一例を示しておく。なお、以下に示す制御手段9の処理手順を示すにあたって、レンズユニット1に焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3が備わることを前提とする。
【0031】
まずはじめに、制御手段9は、ステップS1において、電源が投入されたことを確認すると、ステップS2に進む。そして、制御手段9は、ステップS2において、記憶部11に記憶されている起動時動作条件の読み出しを行い、ステップS3に進む。ここで言う起動時動作条件とは、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3の初期動作に関する条件である。なお、ここで制御手段9に読み出される起動時動作条件は、予め選択的に設定されている、これらレンズ3,4を移動させない「レンズ不動モード」、これらレンズ3,4をホームポジションへ移動させる「レンズリセットモード」、これらレンズ3,4をホームポジションへ移動させた後に自動的に任意の位置に移動させる「レンズプリセットモード」の中から使用者が選択した1つのモードとする。
【0032】
制御手段9は、ステップS3において、起動時動作条件の設定(使用者が選択したモード)の読み出しが正常に行われたか否かの判断を行う。ここで、制御手段9が起動時動作条件の設定の読み出しについて正常に行われたと判断した場合には、以下に示すステップS4に進む。また、制御手段9が起動時動作条件の設定の読み出しについて正常に行われなかったと判断した場合には、以下に示すステップ13に進む。
【0033】
制御手段9は、ステップS4において、温度測定手段7により測定されたレンズユニット1の内部温度を読み出し、ステップS5に進む。そして、制御手段9は、ステップS5において、レンズユニット1の内部温度の読み出しが正常に行われたか否かの判断を行う。ここで、制御手段9がレンズユニット1の内部温度の読み出しについて正常に行われたと判断した場合には、以下に示すステップS6に進む。また、制御手段9がレンズユニット1の内部温度の読み出しについて正常に行われなかったと判断した場合には、以下に示すステップS13に進む。
【0034】
制御手段9は、ステップS6において、レンズユニット1の内部温度が許容範囲であるか否かの確認を行う。ここで、制御手段9がレンズユニット1の内部温度について許容範囲内であると確認した場合には、以下に示すステップS7に進む。また、制御手段9がレンズユニット1の内部温度について許容範囲外であると確認した場合には、以下に示すステップS13に進む。
【0035】
制御手段9は、ステップS7において、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3に関する起動時動作条件の設定がレンズリセットモードであるか否かの確認を行う。ここで、制御手段9が当該起動時動作条件の設定についてレンズリセットモードであると確認した場合には、以下に示すステップS8に進む。また、制御手段9が当該起動時動作条件の設定についてレンズリセットモードでないと確認した場合には、ステップS15に進み、制御手段9はレンズの初期動作を終了する(すなわち、この場合、使用者が選択したモードがレンズ不動モードに相当し、レンズ3,4は移動しない。)。
【0036】
制御手段9は、ステップS8において、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のリセット動作を行い、ステップS9に進む。そして、制御手段9は、ステップS9において、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のリセット動作が行われたか否かの判断を行う。ここで、制御手段9が焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のリセット動作について行われたと判断した場合には、以下に示すステップS10に進む。また、制御手段9が焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のリセット動作について行われなかったと判断した場合には、以下に示すステップS13に進む。
【0037】
制御手段9は、ステップS10において、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3に関する起動時動作条件の設定がレンズプリセットモードであるか否かの確認を行う。ここで、制御手段9が当該起動時動作条件の設定についてレンズプリセットモードであると確認した場合には、以下に示すステップS11に進む。また、制御手段9が当該起動時動作条件の設定についてレンズプリセットモードでないと確認した場合には、ステップS15に進み、制御手段9はレンズの初期動作を終了する(すなわち、この場合、使用者が選択したモードがレンズリセットモードに相当し、レンズ3,4はホームポジションへ移動する。)。
【0038】
制御手段9は、ステップS11において、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のプリセット動作を行い、ステップS12に進む。そして、制御手段9は、ステップS12において、焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のプリセット動作が行われたか否かの判断を行う。ここで、制御手段9が焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のプリセット動作について行われたと判断した場合には、以下に示すステップS15に進み、制御手段9はレンズの初期動作を終了する(すなわち、この場合、使用者が選択したモードがレンズプリセットモードに相当し、レンズ3,4はホームポジションへ移動した後に自動的に任意の位置に移動する。)。また、制御手段9が焦点調整用レンズ4及び焦点距離調整用レンズ3のプリセット動作について行われなかったと判断した場合には、以下に示すステップS13に進む。
【0039】
制御手段9は、ステップS13において、エラーフラグをセットし、ステップS14に進む。そして、制御手段9は、ステップS14において、エラーフラグを外部CPU(管理側制御手段12)に送信し、ステップS15に進む。そして、制御手段9は、ステップS15において、レンズの初期動作を終了する。
【0040】
本件発明に係る赤外線カメラシステム: 本件発明に係る赤外線カメラシステムは、上述した本件発明に係るレンズユニット1を遠赤外線カメラ本体(不図示)に取り付けてなることを特徴とするものである。
【0041】
本件発明に係る赤外線カメラシステムは、本件発明に係るレンズユニットを遠赤外線カメラ本体に取り付けてなることで、停電等により意図せず再起動した場合でも迅速に直前の状態に復帰して、対象物体からの赤外線撮像の途切れ時間を極力少なくすることが出来るため、暗闇におけるセキュリティ用途としても好適に用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本件発明に係るレンズユニットは、煩雑な操作を行わずとも、起動時の焦点調整用レンズの初期動作を任意に設定することが可能である。また、例えば停電等により意図せず再起動したとしても迅速に焦点調整用レンズを所望の位置に復帰させることが出来るため、監視カメラ等に好適に用いることが出来る。
【符号の説明】
【0043】
1・・・レンズユニット
2・・・鏡筒
3・・・焦点距離調整用レンズ
4・・・焦点調整用レンズ
5・・・駆動装置(焦点距離調整用レンズ側)
6・・・駆動装置(焦点調整用レンズ側)
7・・・温度測定手段
8・・・撮像素子
9・・・制御手段
10・・受信部
11・・記憶部
12・・管理側制御手段