【解決手段】 主面10およびこの主面10に設けられた複数の電極パッド11を有する半導体チップと1、半導体チップ1の少なくとも一部を覆い、かつ実装面20を有する封止樹脂2と、複数の電極パッド11に導通し、かつ実装面20から露出する複数の外部電極34と、を備える半導体装置A1であって、各々が電極パッド11に接合された内部電極33および外部電極34を有し、かつめっきによって形成された複数の導電部材3を有する。
前記導電部材は、前記封止樹脂の前記第一層と前記第二層との間に介在し、かつ前記内部電極と前記外部電極とに繋がる配線部を有する、請求項6または7に記載の半導体装置。
前記支持基板は、基材、およびこの基材の片面を覆いかつ前記支持面を有するとともに所定温度において接合力が低下する接合層を有する、請求項30に記載の半導体装置の製造方法。
前記支持基板を剥離する工程の後に、前記複数の導電体のうち前記第一層から露出する部分に外部めっき層を形成する工程を備える、請求項30ないし32のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、薄型化を図ることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の側面によって提供される半導体装置は、主面およびこの主面に設けられた複数の電極パッドを有する半導体チップと、前記半導体チップの少なくとも一部を覆い、かつ実装面を有する封止樹脂と、前記複数の電極パッドに導通し、かつ前記実装面から露出する複数の外部電極と、を備える半導体装置であって、各々が前記電極パッドに接合された内部電極および前記外部電極を有し、かつめっきによって形成された複数の導電部材を有することを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記封止樹脂は、前記実装面を有する第一層とこの第一層に積層された第二層を有する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第一層は、前記半導体チップから離間している。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第二層は、前記半導体チップと前記第一層との間に介在する部分を有する。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第二層は、前記半導体チップの少なくとも一部を覆っている。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第一層は、複数の貫通孔を有しており、前記複数の導電部材のうち前記複数の貫通孔を通じて前記実装面から露出した部分が前記外部電極とされている。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外部電極の平面視における外縁は、前記貫通孔と一致している。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記導電部材は、前記封止樹脂の前記第一層と前記第二層との間に介在し、かつ前記内部電極と前記外部電極とに繋がる配線部を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記導電部材は、前記貫通孔を囲む環状部を有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記内部電極は、前記半導体チップの前記電極パッドと前記封止樹脂の前記第一層とに挟まれている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記導電部材は、前記実装面側に位置する補助層と、この補助層に積層された主層と、を有する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主層は、前記補助層よりも厚い。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助層は、無電解めっきによって形成されている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主層は、電解めっきによって形成されている。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助層は、Cuからなる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主層は、Cuからなる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助層は、前記第二層の前記貫通孔の内面を覆っている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助層は、前記第二層の前記貫通孔を取り囲む領域において、前記第二層に接している。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記補助層は、前記第一層に接しない。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外部電極の表層は、外部めっき層によって構成されている。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外部めっき層は、Ni層、Pd層およびAu層が内側からこの順で積層されている。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外部めっき層は、Snからなる。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の外部電極は、前記封止樹脂の前記実装面の外縁に対して平面視において内方に位置している。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の導電部材は、前記封止樹脂の前記実装面の外縁に対して平面視において内方に位置している。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数の外部電極は、平面視において前記半導体チップに対して外方に退避した位置に設けられている。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記半導体チップのすべてが、前記封止樹脂によって覆われている。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記半導体チップのうち前記主面とは反対側を向く面が、前記封止樹脂から露出している。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記電極パッドは、Ni層、Pd層およびAu層が内側からこの順で積層されている。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、2つの前記半導体チップと、一方の前記半導体チップの前記電極パッドと他方の前記半導体チップの前記電極パッドとに導通し、かつ前記実装面に露出しないとともに、めっきによって形成された追加の導電部材と、を備える。
【0035】
本発明の第二の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、支持基板の支持面に、複数の貫通孔を有する絶縁材料からなる第一層を形成する工程と、前記支持面のうち前記複数の貫通孔から露出する部分、前記複数の貫通孔の内側面および前記第一層の表面の一部を各々が覆う複数の導電体を形成する工程と、前記複数の導電体のうち前記第一層上に位置する部分に半導体チップの複数の電極パッドを接合する工程と、前記半導体チップの少なくとも一部を覆う絶縁材料からなる第二層を形成する工程と、前記支持基板を剥離する工程と、を備えることを特徴としている。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記支持基板は、基材、およびこの基材の片面を覆いかつ前記支持面を有するとともに所定温度において接合力が低下する接合層を有する。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記基材は、表面に熱酸化処理を施したSiからなる。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記支持基板を剥離する工程の後に、前記複数の導電体のうち前記第一層から露出する部分に外部めっき層を形成する工程を備える。
【0039】
このような構成によれば、前記内部電極および前記外部電極を有する前記導電部材が、めっきによって形成されている。めっきによって形成された前記導電部材は、たとえば前記半導体チップの支持や導通経路の構成を果たすリードと比べて顕著に薄い。したがって、前記半導体装置の薄型化を図ることができる。
【0040】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0043】
図1〜
図6は、本発明の第一実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A1は、半導体チップ1、封止樹脂2および複数の導電部材3を備えている。半導体装置A1の寸法の一例を挙げると、平面視において矩形状の場合、一辺の長さが1mm程度、厚さが0.1〜0.4mm程度である。
【0044】
図1は、半導体装置A1を示す底面図である。
図2は、
図1のII−II線に沿う断面図である。
図3および
図4は、半導体装置A1を示す要部拡大断面図である。
図5は、
図1のV−V線に沿う断面図である。
図6は、
図1のVI−VI線に沿う断面図である。これらの図において、z方向は、半導体チップ1の厚さ方向であり、y方向およびz方向は、x方向に対して直角である方向である。
【0045】
半導体チップ1は、主面10および複数の電極パッド11を有している。主面10は、z方向下方を向いている。半導体チップ1は、本実施形態においては、z方向視矩形状とされている。半導体チップ1の種類は特に限定されないが、たとえば集積回路を有するICチップあるいはLSIなどが例として挙げられる。半導体チップ1のサイズの一例を挙げると、平面視における一辺の長さが0.5mm程度、厚さが50μm〜0.1μm程度である。
【0046】
複数の電極パッド11は、主面10に設けられている。本実施形態においては、8個の電極パッド11が設けられている。4個ずつの電極パッド11が、x方向に並べられており、y方向両端付近に配置されている。
図3に示すように、本実施形態の電極パッド11は、主面10側から順にNi層111、Pd層112およびAu層113が積層された構成とされている。Ni層111の厚さは、たとえば5μm程度である。Pd層112の厚さは、たとえば0.1μm程度である。Au層113の厚さは、たとえば0.1μm程度である。
【0047】
封止樹脂2は、半導体チップ1の少なくとも一部を覆うものであり、本実施形態においては、封止樹脂2は、半導体チップ1のすべてを覆っている。封止樹脂2は、実装面20を有している。実装面20は、半導体装置A1が回路基板などに実装される際に回路基板に正対する面であり、z方向下方を向いている。
【0048】
本実施形態においては、封止樹脂2は、第一層21および第二層22を有している。第一層21は、実装面20を有する層であり、絶縁性の樹脂からなる。より具体的には、本実施形態の第一層21は、感光性エポキシ樹脂からなる。第一層21の厚さは、たとえば
5μm〜10μm程度である。第二層22は、第一層21上における実装面20とは反対側に積層されている。第二層22は、絶縁性の樹脂からなる。より具体的には、本実施形態の第二層22は、エポキシ樹脂からなる。第二層22の厚さは、たとえば0.07mm〜0.3mm程度である。
【0049】
第一層21は、半導体チップ1から離間している。また、第二層22は、半導体チップ1の主面10と第一層21との間に介在する部分を有している。本実施形態においては、第二層22は、半導体チップ1のすべてを覆っている。
【0050】
第一層21は、複数の貫通孔23を有している。各貫通孔23は、第一層21をz方向に貫通している。
図1に示すように、本実施形態においては、8個の貫通孔23が、平面視において封止樹脂2の四辺に沿うように配置されている。各貫通孔23は、たとえば平面視矩形状である。また、複数の貫通孔23は、封止樹脂2の実装面20の外縁に対して平面視において内方に位置している。また、複数の貫通孔23は、平面視において半導体チップ1に対して外方に退避した位置に設けられている。
【0051】
複数の導電部材3は、半導体チップ1に至る導通経路を構成するものである。各導電部材3は、内部電極33、外部電極34、配線部36および環状部37を有している。また、本実施形態の導電部材3は、補助層31および主層32からなる。すなわち、内部電極33、外部電極34、配線部36および環状部37は、補助層31および主層32の二層構造となっている。
【0052】
補助層31は、z方向下方側(実装面20が位置する側)に位置している。主層32は、補助層31のz方向上方側(実装面20が位置する側とは反対側)に積層されている。補助層31は、たとえば無電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。主層32は、たとえば電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。補助層31の厚さは、たとえば1μm程度である。主層32の厚さは、たとえば10μm程度である。また、補助層31は、外縁に存在し得る微小な端面を除き、封止樹脂2の第一層21とは接しない。
【0053】
複数の内部電極33は、複数の電極パッド11に各別に接合される部位であり、z方向視において複数の電極パッド11と重なっている。本実施形態においては、各内部電極33は、はんだ18によって電極パッド11に接合されている。また、各内部電極33は、はんだ18によって接合された電極パッド11と封止樹脂2の第一層21とに挟まれている。
【0054】
複数の外部電極34は、半導体装置A1をたとえば回路基板に実装する際に用いられるものである。複数の外部電極34は、複数の導電部材3それぞれのうち実装面20から露出する部位である。すなわち、複数の外部電極34は、封止樹脂2の第一層21の複数の貫通孔23から複数の導電部材3の一部ずつが露出した部位である。
【0055】
図1に示すように、本実施形態においては、8個の外部電極34が、平面視において封止樹脂2の四辺に沿うように配置されている。各外部電極34は、たとえば平面視矩形状である。また、複数の外部電極34は、封止樹脂2の実装面20の外縁に対して平面視において内方に位置している。また、複数の外部電極34は、平面視において半導体チップ1に対して外方に退避した位置に設けられている。
【0056】
配線部36は、第一層21と第二層22との間に介在し、かつ内部電極33と外部電極34とに繋がっている。
図1に示すように、各導電部材3において、配線部36は、内部電極33と外部電極34との間の導通経路を構成しており、内部電極33と外部電極34との相対的な配置に応じて、細長い帯状部分や幅広い部分などを有している。特に、本実施形態においては、複数の内部電極33がz方向視において半導体チップ1の内方に配置されており、複数の外部電極34が半導体チップ1の外方に配置されている。このため、各配線部36は、平面視において半導体チップ1の内方と外方とにわたって設けられている。
【0057】
環状部37は、貫通孔23すなわち外部電極34を囲む部分である。
図1に示すように、環状部37は、矩形状とされた外部電極34のうち配線部36が繋がっていない三辺のすべてを囲んでいる。また、外部電極34のうち配線部36が繋がった辺においては、配線部36と繋がった部位以外の部位が環状部37によって囲まれている。
【0058】
本実施形態においては、
図4に示すように、貫通孔23の内面が第一層21によって覆われている。また、貫通孔23のうち実装面20に開口する部分は、第一層21によって塞がれた格好となっている。この箇所において、第一層21は、実装面20と面一となっている。
【0059】
また、本実施形態においては、各外部電極34の表層は、
図4に示すように、外部めっき層35によって構成されている。同図に示すように、外部めっき層35は、実装面20と面一とされた第一層21に積層されている。このため、導電部材3は、外部めっき層35の厚さ分だけ実装面20から突出している。また、外部めっき層35の平面視における外縁は、外部電極34の外縁および貫通孔23と略一致している。
【0060】
本実施形態においては、外部めっき層35は、第一層21側から順にNi層351、Pd層352およびAu層353が積層された構成とされている。Ni層351の厚さは、たとえば5μm程度である。Pd層352の厚さは、たとえば0.1μm程度である。Au層353の厚さは、たとえば0.1μm程度である。なお、外部めっき層35は、このような構成に限定されず、たとえば厚さが10μm程度のSnめっき層からなる構成であってもよい。
【0061】
次に、半導体装置A1の製造方法の一例について、
図7〜
図19を参照しつつ、以下に説明する。
【0062】
図7および
図8は、半導体装置A1の製造方法に用いる支持基板4の一例を示している。図示された支持基板4は、複数の半導体装置A1を一括して製造することが可能なサイズとされている。支持基板4は、支持面40を有しており、本実施形態において基材41および接合層42からなる。基材41は、Si層411および2つの酸化層412からなり、その厚さがたとえば750μm程度である。Si層411は、Siからなる層である。2つの酸化層412は、Si層411のz方向両面に形成されており、たとえばSiを熱酸化することによって得られるSiO
2からなる。すなわち基材41としては、いわゆるSiウエハを流用することができる。
【0063】
接合層42は、支持面40を構成する層であり、以降の工程において製造される要素を接合によって支持する層である。本実施形態においては、接合層42は、常温において適切な接合力を発揮し、所定温度に冷却されると接合力が顕著に減少する、所謂クールオフテープが用いられている。
【0064】
次いで、
図9に示すように、支持基板4の支持面40に、第一層210を形成する。第一層210の形成は、たとえばフォトリソグラフィの手法により感光性エポキシ樹脂をパターン形成することによって行う。第一層210の厚さは、たとえば5μm〜10μm程度である。このパターン形成によって、第一層210に複数の貫通孔23を形成する。
図10は、支持基板4の一部を示す要部斜視図である。同図に示された領域は、1つの半導体装置A1を形成するのに要する領域にほぼ相当する。図示されたように、1つの半導体装置A1に含まれるべき複数の貫通孔23は、z方向視において矩形環状をなすように配置されている。第一層210には、このような複数の貫通孔23が、製造されるべき複数の半導体装置A1の個数に対応する個数分形成される。
【0065】
次いで、
図11に示すように、補助層310を形成する。補助層310は、第一層210の図中上面、複数の貫通孔23の内面および支持基板4の支持面40のうち複数の貫通孔23から露出した部分を覆うように形成される。補助層310の形成方法の一例を挙げると、無電解めっきによって金属からなるめっき層を形成する。このような金属の代表例として、Cuが挙げられる。補助層310の厚さは、たとえば1μm程度である。
【0066】
次いで、
図12に示すように、主層32を形成する。主層32は、補助層310上に積層されるものであり、図示されたように、z方向視において貫通孔23のすべてを覆うように形成される。さらに、主層32のz方向視形状は、形成すべき複数の導電部材3のz方向視寸法となる。主層32の形成方法の一例を挙げると、主層32を形成すべきでない領域にマスク層をパターン形成した後に、このマスク層から露出した第一層210を電極として電解めっきによって金属からなるめっき層を形成する。このような金属の代表例として、Cuが挙げられる。そして、前記マスク層を除去することにより主層32が得られる。主層32の厚さは、たとえば10μm程度である。
【0067】
次いで、エッチングによって第一層210のうち主層32から露出した部分を除去する。これにより、
図13に示すように、補助層31が得られる。補助層31は、主層32とz方向視形状が一致しており、支持基板4の支持面40と主層32との間に介在する。
【0068】
図14は、補助層31および主層32が形成された状態の支持基板4を示している。同図に示すように、補助層31および主層32のz方向視形状は、半導体装置A1における複数の導電部材3の平面視形状と一致するものとされる。
【0069】
次いで、
図15に示すように、半導体チップ1を搭載する。半導体チップ1の搭載は、たとえば半導体チップ1の複数の電極パッド11あるいは、補助層31および主層32によって構成された部材のうち複数の内部電極33となるべき箇所に、はんだペーストを塗布し、複数の半導体チップ1を載置する。そして、支持基板4とともに複数の半導体チップ1をリフロー炉に配置し、所定温度に加熱する。これにより、はんだ18によって半導体チップ1の複数の電極パッド11と複数の内部電極33とが各別に接合される。
【0070】
次いで、
図16に示すように、第二層220を形成する。第二層220の形成は、複数の半導体チップ1や主層32および第一層210を覆うように、たとえばフィラーが混入された液状のエポキシ樹脂材料を塗布し、このエポキシ樹脂材料を硬化させることにより行う。第二層220を形成することにより、互いに積層された第一層210および第二層220からなる封止樹脂200が得られる。封止樹脂200は、
図7に示した支持基板4の支持面40側のほぼ全面にわたって形成される。
【0071】
ついで、
図17に示すように、支持基板4を第二層220および補助層31から支持基板4を剥離する。接合層42として上述したクールオフテープが用いられている場合、支持基板4を所定温度に冷却することにより、接合層42の接合力が顕著に減少する。この性質を利用して、支持基板4を剥離する。これにより、第一層210の図中下面および補助層31のうち複数の貫通孔23から露出する部分が外観に表れる。第一層210の図中下面および補助層31のうち複数の貫通孔23から露出する部分は、ともに支持基板4の支持面40に接していた部分であるため、互いに面一である。
【0072】
次いで、
図18に示すように、外部めっき層35を形成する。外部めっき層35は、補助層31のうち複数の貫通孔23から露出する部分にめっき処理を施すことによって行う。外部めっき層35は、上述した通り、補助層31側から順にNi層351、Pd層352およびAu層353が積層された構成となっている。あるいは、外部めっき層35をたとえば厚さが10μm程度のSnめっき層のみによって形成してもよい。これにより、複数の導電部材3が得られる。
【0073】
この後は、
図19に示すように、たとえばダイシングブレードDcを用いて、封止樹脂2を複数の個片に分割するように切断する。この切断は、各々の個片に、1つずつの半導体チップ1など1つの半導体装置A1を構成するのに必要な要素が含まれるように行う。この切断において、封止樹脂200が分割されることにより、第一層21および第二層22を有する封止樹脂2が得られる。そして、洗浄や動作テストなどの工程を適宜経ることにより、上述した半導体装置A1が得られる。
【0074】
次に、半導体装置A1および半導体装置A1の製造方法の作用について説明する。
【0075】
本実施形態によれば、
図2〜
図6に示すように、内部電極33および外部電極34を有する導電部材3が、めっきによって形成されている。めっきによって形成された導電部材3は、たとえば半導体チップ1の支持や導通経路の構成を果たすリードと比べて顕著に薄い。したがって、半導体装置A1の薄型化を図ることができる。
【0076】
封止樹脂2は、第一層21および第二層22を有する構成とされており、第一層21は、半導体チップ1と離間し、半導体チップ1を覆っていない。このため、第一層21は、半導体チップ1の厚さによらず、より薄いものとすることができる。また、半導体装置A1の製造方法においては、半導体チップ1の重さや製造作業によって生じる力は、支持基板4によって負担される。この点からも、第一層21(第一層210)をより薄く仕上げることができる。
【0077】
第二層22が半導体チップ1のすべてを覆っていることにより、半導体チップ1をより確実に保護することができる。
【0078】
第一層21が複数の貫通孔23を有し、複数の導電部材3のうち複数の貫通孔23から露出する部分を複数の外部電極34とすることにより、半導体装置A1を実装するのに適した所望の位置に複数の外部電極34を設けることができる。また、複数の導電部材3のうち複数の貫通孔23から露出しない部分を、第一層21によって確実に絶縁することができる。
【0079】
複数の外部電極34は、z方向視において封止樹脂2の外縁から内方に退避した位置にある。また、複数の外部電極34は、z方向視において半導体チップ1の外縁から外方に対しした位置にある。めっきによって形成された複数の導電部材3を採用することにより、このような配置を容易かつ適切に実現することができる。
【0080】
導電部材3が、第一層21と第二層22との間に介在する配線部36を有することにより、内部電極33と外部電極34とを適切に導通させつつ、導電部材3全体を薄型とすることができる。
【0081】
導電部材3は、貫通孔23を囲む環状部37を有する。このため、導電部材3は、貫通孔23から露出する外部電極34とこれに繋がる環状部37を有する構成となっている。これにより、z方向下方から見た場合、複数の貫通孔23が導電部材3によって完全に塞がれた構成となっている。したがって、たとえば第二層22(第二層220)の形成において、第二層22(第二層220)の一部が支持基板4の支持面40側にはみ出してしまうことなどを防止することができる。
【0082】
外部電極34の表層が外部めっき層35によって構成されていることにより、たとえば半導体装置A1を実装するためのはんだを外部めっき層35(外部電極34の表層)に適切に付着させることができる。また、外部めっき層35は、封止樹脂2の実装面20からz方向に膨出している。これにより、はんだの付着を促進することができる。
【0083】
図20〜
図24は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0084】
図20〜
図22は、本発明の第二実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A2は、半導体チップ1、封止樹脂2および複数の導電部材3を備えている。半導体装置A2の寸法の一例を挙げると、平面視において矩形状の場合、一辺の長さが1mm程度、厚さが0.1〜0.4mm程度である。
【0085】
図20〜
図22は、半導体装置A2を示す断面図である。
図20は、
図1におけるII−II線に沿う断面に相当する位置における断面図である。
図21は、
図1におけるV−V線に沿う断面に相当する位置における断面図である。
図22は、
図1におけるVI−VI線に沿う断面に相当する位置における断面図である。これらの図において、z方向は、半導体チップ1の厚さ方向であり、y方向およびz方向は、x方向に対して直角である方向である。
【0086】
半導体チップ1は、主面10、露出面12および複数の電極パッド11を有している。主面10は、z方向下方を向いている。露出面12は、z方向上方を向いており、主面10とは反対側を向いている。半導体チップ1は、本実施形態においては、z方向視矩形状とされている。半導体チップ1の種類は特に限定されないが、たとえば集積回路を有するICチップあるいはLSIなどが例として挙げられる。半導体チップ1のサイズの一例を挙げると、平面視における一辺の長さが0.5mm程度、厚さが50μm〜0.1μm程度である。
【0087】
複数の電極パッド11は、主面10に設けられている。本実施形態においては、8個の電極パッド11が設けられている。4個ずつの電極パッド11が、x方向に並べられており、y方向両端付近に配置されている。本実施形態の電極パッド11は、主面10側から順にNi層111、Pd層112およびAu層113が積層された構成とされている。Ni層111の厚さは、たとえば5μm程度である。Pd層112の厚さは、たとえば0.1μm程度である。Au層113の厚さは、たとえば0.1μm程度である。
【0088】
封止樹脂2は、半導体チップ1の少なくとも一部を覆うものであり、本実施形態においては、封止樹脂2は、半導体チップ1のすべてを覆っている。封止樹脂2は、実装面20を有している。実装面20は、半導体装置A2が回路基板などに実装される際に回路基板に正対する面であり、z方向下方を向いている。
【0089】
本実施形態においては、封止樹脂2は、第一層21および第二層22を有している。第一層21は、実装面20を有する層であり、絶縁性の樹脂からなる。より具体的には、本実施形態の第一層21は、感光性エポキシ樹脂からなる。第一層21の厚さは、たとえば
5μm〜10μm程度である。第二層22は、第一層21上における実装面20とは反対側に積層されている。第二層22は、絶縁性の樹脂からなる。より具体的には、本実施形態の第二層22は、エポキシ樹脂からなる。第二層22の厚さは、たとえば0.05mm〜0.3mm程度である。
【0090】
第一層21は、半導体チップ1から離間している。また、第二層22は、半導体チップ1の主面10と第一層21との間に介在する部分を有している。本実施形態においては、第二層22は、半導体チップ1の一部を覆っている。より詳しくは、第二層22は、半導体チップ1の露出面12を露出させている。第二層22のうちz方向上方を向く面は、半導体チップ1の露出面12と面一とされている。このような構成は、たとえば、
図16に示した工程の後に、第二層220のz方向上側部分を研磨し、半導体チップ1の露出面12を露出させることによって得られる。
【0091】
第一層21は、複数の貫通孔23を有している。各貫通孔23は、第一層21をz方向に貫通している。
図20に示すように、本実施形態においては、8個の貫通孔23が、平面視において封止樹脂2の四辺に沿うように配置されている。各貫通孔23は、たとえば平面視矩形状である。また、複数の貫通孔23は、封止樹脂2の実装面20の外縁に対して平面視において内方に位置している。また、複数の貫通孔23は、平面視において半導体チップ1に対して外方に退避した位置に設けられている。
【0092】
複数の導電部材3は、半導体チップ1に至る導通経路を構成するものである。各導電部材3は、内部電極33、外部電極34、配線部36および環状部37を有している。また、本実施形態の導電部材3は、補助層31および主層32からなる。すなわち、内部電極33、外部電極34、配線部36および環状部37は、補助層31および主層32の二層構造となっている。
【0093】
補助層31は、z方向下方側(実装面20が位置する側)に位置している。主層32は、補助層31のz方向上方側(実装面20が位置する側とは反対側)に積層されている。補助層31は、たとえば無電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。主層32は、たとえば電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。補助層31の厚さは、たとえば1μm程度である。主層32の厚さは、たとえば10μm程度である。また、補助層31は、外縁に存在し得る微小な端面を除き、封止樹脂2の第一層21とは接しない。
【0094】
複数の内部電極33は、複数の電極パッド11に各別に接合される部位であり、z方向視において複数の電極パッド11と重なっている。本実施形態においては、各内部電極33は、はんだ18によって電極パッド11に接合されている。また、各内部電極33は、はんだ18によって接合された電極パッド11と封止樹脂2の第一層21とに挟まれている。
【0095】
複数の外部電極34は、半導体装置A2をたとえば回路基板に実装する際に用いられるものである。複数の外部電極34は、複数の導電部材3それぞれのうち実装面20から露出する部位である。すなわち、複数の外部電極34は、封止樹脂2の第一層21の複数の貫通孔23から複数の導電部材3の一部ずつが露出した部位である。
【0096】
図20に示すように、本実施形態においては、8個の外部電極34が、平面視において封止樹脂2の四辺に沿うように配置されている。各外部電極34は、たとえば平面視矩形状である。また、複数の外部電極34は、封止樹脂2の実装面20の外縁に対して平面視において内方に位置している。また、複数の外部電極34は、平面視において半導体チップ1に対して外方に退避した位置に設けられている。
【0097】
配線部36は、第一層21と第二層22との間に介在し、かつ内部電極33と外部電極34とに繋がっている。
図20に示すように、各導電部材3において、配線部36は、内部電極33と外部電極34との間の導通経路を構成しており、内部電極33と外部電極34との相対的な配置に応じて、細長い帯状部分や幅広い部分などを有している。特に、本実施形態においては、複数の内部電極33がz方向視において半導体チップ1の内方に配置されており、複数の外部電極34が半導体チップ1の外方に配置されている。このため、各配線部36は、平面視において半導体チップ1の内方と外方とにわたって設けられている。
【0098】
環状部37は、貫通孔23すなわち外部電極34を囲む部分である。
図20に示すように、環状部37は、矩形状とされた外部電極34のうち配線部36が繋がっていない三辺のすべてを囲んでいる。また、外部電極34のうち配線部36が繋がった辺においては、配線部36と繋がった部位以外の部位が環状部37によって囲まれている。
【0099】
本実施形態においては、貫通孔23の内面が第一層21によって覆われている。また、貫通孔23のうち実装面20に開口する部分は、第一層21によって塞がれた格好となっている。この箇所において、第一層21は、実装面20と面一となっている。
【0100】
また、本実施形態においては、各外部電極34の表層は、外部めっき層35によって構成されている。同図に示すように、外部めっき層35は、実装面20と面一とされた第一層21に積層されている。このため、導電部材3は、外部めっき層35の厚さ分だけ実装面20から突出している。また、外部めっき層35の平面視における外縁は、外部電極34の外縁および貫通孔23と略一致している。
【0101】
本実施形態においては、外部めっき層35は、第一層21側から順にNi層351、Pd層352およびAu層353が積層された構成とされている。Ni層351の厚さは、たとえば5μm程度である。Pd層352の厚さは、たとえば0.1μm程度である。Au層353の厚さは、たとえば0.1μm程度である。なお、外部めっき層35は、このような構成に限定されず、たとえば厚さが10μm程度のSnめっき層からなる構成であってもよい。
【0102】
本実施形態によっても、内部電極33および外部電極34を有する導電部材3が、めっきによって形成されている。めっきによって形成された導電部材3は、たとえば半導体チップ1の支持や導通経路の構成を果たすリードと比べて顕著に薄い。したがって、半導体装置A2の薄型化を図ることができる。
【0103】
封止樹脂2は、第一層21および第二層22を有する構成とされており、第一層21は、半導体チップ1と離間し、半導体チップ1を覆っていない。このため、第一層21は、半導体チップ1の厚さによらず、より薄いものとすることができる。また、半導体装置A2の製造方法においては、半導体チップ1の重さや製造作業によって生じる力は、支持基板4によって負担される。この点からも、第一層21(第一層210)をより薄く仕上げることができる。
【0104】
第二層22が半導体チップ1の露出面12を露出させていることにより、半導体チップ1からの放熱を促進することができる。
【0105】
第一層21が複数の貫通孔23を有し、複数の導電部材3のうち複数の貫通孔23から露出する部分を複数の外部電極34とすることにより、半導体装置A2を実装するのに適した所望の位置に複数の外部電極34を設けることができる。また、複数の導電部材3のうち複数の貫通孔23から露出しない部分を、第一層21によって確実に絶縁することができる。
【0106】
複数の外部電極34は、z方向視において封止樹脂2の外縁から内方に退避した位置にある。また、複数の外部電極34は、z方向視において半導体チップ1の外縁から外方に対しした位置にある。めっきによって形成された複数の導電部材3を採用することにより、このような配置を容易かつ適切に実現することができる。
【0107】
導電部材3が、第一層21と第二層22との間に介在する配線部36を有することにより、内部電極33と外部電極34とを適切に導通させつつ、導電部材3全体を薄型とすることができる。
【0108】
導電部材3は、貫通孔23を囲む環状部37を有する。このため、導電部材3は、貫通孔23から露出する外部電極34とこれに繋がる環状部37を有する構成となっている。これにより、z方向下方から見た場合、複数の貫通孔23が導電部材3によって完全に塞がれた構成となっている。したがって、たとえば第二層22(第二層220)の形成において、第二層22(第二層220)の一部が支持基板4の支持面40側にはみ出してしまうことなどを防止することができる。
【0109】
外部電極34の表層が外部めっき層35によって構成されていることにより、たとえば半導体装置A2を実装するためのはんだを外部めっき層35(外部電極34の表層)に適切に付着させることができる。また、外部めっき層35は、封止樹脂2の実装面20からz方向に膨出している。これにより、はんだの付着を促進することができる。
【0110】
図23および
図24は、本発明の第三実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A1は、2つの半導体チップ1、封止樹脂2、複数の導電部材3、複数の追加の導電部材3Aを備えている。半導体装置A1の寸法の一例を挙げると、平面視において矩形状の場合、一辺の長さが1mm〜2mm程度、厚さが0.1〜0.4mm程度である。
【0111】
図23は、半導体装置A3を示す底面図である。
図24は、
図23のXXIV−XXIV線に沿う断面図である。これらの図において、z方向は、半導体チップ1の厚さ方向であり、y方向およびz方向は、x方向に対して直角である方向である。
【0112】
各半導体チップ1は、主面10および複数の電極パッド11を有している。主面10は、z方向下方を向いている。半導体チップ1は、本実施形態においては、z方向視矩形状とされている。半導体チップ1の種類は特に限定されないが、たとえば集積回路を有するICチップあるいはLSIなどが例として挙げられる。半導体チップ1のサイズの一例を挙げると、平面視における一辺の長さが0.5mm程度、厚さが50μm〜0.1μm程度である。2つの半導体チップ1は、x方向に並べて配置されいてる。
【0113】
複数の電極パッド11は、主面10に設けられている。図中x方向右方の半導体チップ1においては、10個の電極パッド11が設けられている。5個ずつの電極パッド11が、x方向に並べられており、y方向両端付近に配置されている。本実施形態の電極パッド11は、主面10側から順にNi層111、Pd層112およびAu層113が積層された構成とされている。Ni層111の厚さは、たとえば5μm程度である。Pd層112の厚さは、たとえば0.1μm程度である。Au層113の厚さは、たとえば0.1μm程度である。図中x方向左方の半導体チップ1においては、9個の電極パッド11が設けられている。
【0114】
封止樹脂2は、半導体チップ1の少なくとも一部を覆うものであり、本実施形態においては、封止樹脂2は、半導体チップ1のすべてを覆っている。なお、上述した半導体装置A2と同様に、半導体チップ1の一部が封止樹脂2から露出していてもよい。封止樹脂2は、実装面20を有している。実装面20は、半導体装置A3が回路基板などに実装される際に回路基板に正対する面であり、z方向下方を向いている。
【0115】
本実施形態においては、封止樹脂2は、第一層21および第二層22を有している。第一層21は、実装面20を有する層であり、絶縁性の樹脂からなる。より具体的には、本実施形態の第一層21は、感光性エポキシ樹脂からなる。第一層21の厚さは、たとえば
5μm〜10μm程度である。第二層22は、第一層21上における実装面20とは反対側に積層されている。第二層22は、絶縁性の樹脂からなる。より具体的には、本実施形態の第二層22は、エポキシ樹脂からなる。第二層22の厚さは、たとえば0.07mm〜0.3mm程度である。
【0116】
第一層21は、半導体チップ1から離間している。また、第二層22は、半導体チップ1の主面10と第一層21との間に介在する部分を有している。本実施形態においては、第二層22は、2つの半導体チップ1のすべてを覆っている。なお、これとは異なり、上述した半導体装置A2における構成と同様に、2つの半導体チップ1のいずれかおよび双方の一部が封止樹脂2から露出してもよい。
【0117】
第一層21は、複数の貫通孔23を有している。各貫通孔23は、第一層21をz方向に貫通している。
図23に示すように、本実施形態においては、12個の貫通孔23が、平面視において封止樹脂2の四辺に沿うように配置されている。各貫通孔23は、たとえば平面視矩形状である。また、複数の貫通孔23は、封止樹脂2の実装面20の外縁に対して平面視において内方に位置している。また、複数の貫通孔23は、平面視において図中右方の半導体チップ1に対して外方に退避した位置に設けられている。一方、平面視において図中左方の半導体チップ1に対して、いくつかの貫通孔23はその一部ずつが重なっている。
【0118】
複数の導電部材3は、半導体チップ1に至る導通経路を構成するものである。各導電部材3は、内部電極33、外部電極34、配線部36および環状部37を有している。また、本実施形態の導電部材3は、補助層31および主層32からなる。すなわち、内部電極33、外部電極34、配線部36および環状部37は、補助層31および主層32の二層構造となっている。
【0119】
補助層31は、z方向下方側(実装面20が位置する側)に位置している。主層32は、補助層31のz方向上方側(実装面20が位置する側とは反対側)に積層されている。補助層31は、たとえば無電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。主層32は、たとえば電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。補助層31の厚さは、たとえば1μm程度である。主層32の厚さは、たとえば10μm程度である。また、補助層31は、外縁に存在し得る微小な端面を除き、封止樹脂2の第一層21とは接しない。
【0120】
複数の内部電極33は、複数の電極パッド11に各別に接合される部位であり、z方向視において複数の電極パッド11と重なっている。本実施形態においては、各内部電極33は、はんだ18によって電極パッド11に接合されている。また、各内部電極33は、はんだ18によって接合された電極パッド11と封止樹脂2の第一層21とに挟まれている。
【0121】
複数の外部電極34は、半導体装置A3をたとえば回路基板に実装する際に用いられるものである。複数の外部電極34は、複数の導電部材3それぞれのうち実装面20から露出する部位である。すなわち、複数の外部電極34は、封止樹脂2の第一層21の複数の貫通孔23から複数の導電部材3の一部ずつが露出した部位である。
【0122】
図23に示すように、本実施形態においては、12個の外部電極34が、平面視において封止樹脂2の四辺に沿うように配置されている。各外部電極34は、たとえば平面視矩形状である。また、複数の外部電極34は、封止樹脂2の実装面20の外縁に対して平面視において内方に位置している。また、複数の外部電極34は、平面視において半導体チップ1に対して外方に退避した位置に設けられている。一方、平面視において図中左方の半導体チップ1に対して、いくつかの外部電極34はその一部ずつが重なっている。
【0123】
配線部36は、第一層21と第二層22との間に介在し、かつ内部電極33と外部電極34とに繋がっている。
図23に示すように、各導電部材3において、配線部36は、内部電極33と外部電極34との間の導通経路を構成しており、内部電極33と外部電極34との相対的な配置に応じて、細長い帯状部分や幅広い部分などを有している。特に、本実施形態においては、複数の内部電極33がz方向視において半導体チップ1の内方に配置されており、複数の外部電極34が半導体チップ1の外方に配置されている。このため、各配線部36は、平面視において半導体チップ1の内方と外方とにわたって設けられている。
【0124】
環状部37は、貫通孔23すなわち外部電極34を囲む部分である。
図23に示すように、環状部37は、矩形状とされた外部電極34のうち配線部36が繋がっていない三辺のすべてを囲んでいる。また、外部電極34のうち配線部36が繋がった辺においては、配線部36と繋がった部位以外の部位が環状部37によって囲まれている。
【0125】
本実施形態においては、貫通孔23の内面が第一層21によって覆われている。また、貫通孔23のうち実装面20に開口する部分は、第一層21によって塞がれた格好となっている。この箇所において、第一層21は、実装面20と面一となっている。
【0126】
また、本実施形態においては、各外部電極34の表層は、外部めっき層35によって構成されている。同図に示すように、外部めっき層35は、実装面20と面一とされた第一層21に積層されている。このため、導電部材3は、外部めっき層35の厚さ分だけ実装面20から突出している。また、外部めっき層35の平面視における外縁は、外部電極34の外縁および貫通孔23と略一致している。
【0127】
本実施形態においては、外部めっき層35は、第一層21側から順にNi層351、Pd層352およびAu層353が積層された構成とされている。Ni層351の厚さは、たとえば5μm程度である。Pd層352の厚さは、たとえば0.1μm程度である。Au層353の厚さは、たとえば0.1μm程度である。なお、外部めっき層35は、このような構成に限定されず、たとえば厚さが10μm程度のSnめっき層からなる構成であってもよい。
【0128】
複数の追加の導電部材3Aは、2つの半導体チップ1どうしの導通経路を構成するものである。各追加の導電部材3Aは、2つの内部電極33Aおよび配線部36Aを有している。また、本実施形態の導電部材3は、補助層31Aおよび主層32Aからなる。すなわち、2つの内部電極33Aおよび配線部36Aは、補助層31Aおよび主層32Aの二層構造となっている。
【0129】
補助層31Aは、z方向下方側(実装面20が位置する側)に位置している。主層32Aは、補助層31Aのz方向上方側(実装面20が位置する側とは反対側)に積層されている。補助層31Aは、たとえば無電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。主層32Aは、たとえば電解めっきによって形成された層であり、Cuを代表例とする金属からなる。補助層31Aの厚さは、たとえば1μm程度である。主層32Aの厚さは、たとえば10μm程度である。また、補助層31Aは、外縁に存在し得る微小な端面を除き、封止樹脂2の第一層21とは接しない。
【0130】
2つの内部電極33Aは、2つの半導体チップ1の電極パッド11に各別に接合される部位であり、z方向視においてこれらの電極パッド11と重なっている。本実施形態においては、各内部電極33Aは、はんだ18によって電極パッド11に接合されている。また、各内部電極33Aは、はんだ18によって接合された電極パッド11と封止樹脂2の第一層21とに挟まれている。
【0131】
配線部36Aは、第一層21と第二層22との間に介在し、かつ2つの内部電極33Aに繋がっている。
図23に示すように、各追加の導電部材3Aにおいて、配線部36は、2つの内部電極33Aの間の導通経路を構成しており、2つの内部電極33Aの相対的な配置に応じて、細長い帯状部分や屈曲部分などを有している。各配線部36Aは、平面視において2つの半導体チップ1の内方と外方とにわたって設けられている。
【0132】
本実施形態によっても、内部電極33および外部電極34を有する導電部材3が、めっきによって形成されている。めっきによって形成された導電部材3は、たとえば半導体チップ1の支持や導通経路の構成を果たすリードと比べて顕著に薄い。したがって、半導体装置A3の薄型化を図ることができる。
【0133】
また、追加の導電部材3Aを有することにより、一括して内蔵された2つの半導体チップ1の所望の電極パッド11どうしを適切に導通させることができる。追加の導電部材3Aは、めっきからなるため、半導体装置A3の薄型化を図ることができる。
【0134】
封止樹脂2は、第一層21および第二層22を有する構成とされており、第一層21は、半導体チップ1と離間し、半導体チップ1を覆っていない。このため、第一層21は、半導体チップ1の厚さによらず、より薄いものとすることができる。また、半導体装置A3の製造方法においては、半導体チップ1の重さや製造作業によって生じる力は、支持基板4によって負担される。この点からも、第一層21(第一層210)をより薄く仕上げることができる。
【0135】
第二層22が半導体チップ1のすべてを覆っていることにより、半導体チップ1をより確実に保護することができる。
【0136】
第一層21が複数の貫通孔23を有し、複数の導電部材3のうち複数の貫通孔23から露出する部分を複数の外部電極34とすることにより、半導体装置A3を実装するのに適した所望の位置に複数の外部電極34を設けることができる。また、複数の導電部材3のうち複数の貫通孔23から露出しない部分を、第一層21によって確実に絶縁することができる。
【0137】
複数の外部電極34は、z方向視において封止樹脂2の外縁から内方に退避した位置にある。また、複数の外部電極34は、z方向視において半導体チップ1の外縁から外方に対しした位置にある。めっきによって形成された複数の導電部材3を採用することにより、このような配置を容易かつ適切に実現することができる。
【0138】
導電部材3が、第一層21と第二層22との間に介在する配線部36を有することにより、内部電極33と外部電極34とを適切に導通させつつ、導電部材3全体を薄型とすることができる。
【0139】
導電部材3は、貫通孔23を囲む環状部37を有する。このため、導電部材3は、貫通孔23から露出する外部電極34とこれに繋がる環状部37を有する構成となっている。これにより、z方向下方から見た場合、複数の貫通孔23が導電部材3によって完全に塞がれた構成となっている。したがって、たとえば第二層22(第二層220)の形成において、第二層22(第二層220)の一部が支持基板4の支持面40側にはみ出してしまうことなどを防止することができる。
【0140】
外部電極34の表層が外部めっき層35によって構成されていることにより、たとえば半導体装置A3を実装するためのはんだを外部めっき層35(外部電極34の表層)に適切に付着させることができる。また、外部めっき層35は、封止樹脂2の実装面20からz方向に膨出している。これにより、はんだの付着を促進することができる。
【0141】
本発明に係る半導体装置および半導体装置の製造方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る半導体装置および半導体装置の製造方法の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。