(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-170846(P2015-170846A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】チップ電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20150901BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20150901BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/00 B
H01F41/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-110921(P2014-110921)
(22)【出願日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0027766
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】キム・コ・ウン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ファ・スン
(72)【発明者】
【氏名】土橋 誠
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062DD01
5E062DD10
5E070AA01
5E070AB02
5E070CB06
5E070CB12
5E070CB15
5E070CB17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイル間のショート(short)の発生を防止し、コイルの幅に対する高さを増加させて高いアスペクト比(AR)を具現することができるチップ電子部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内部コイル部40を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターン42の側面部及び最外周部のコイルパターン41及び最内周部のコイルパターン43の内側面部に難溶性膜91を形成することで、電気めっきを行いコイルパターンを形成する際のコイルの高さ方向の成長を促しながらも、幅方向の成長を抑制する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板を含む磁性体本体と、
前記絶縁基板の少なくとも一面に形成される内部コイル部と、
前記磁性体本体の一端面に形成され、前記内部コイル部と接続される外部電極と、を含み、
前記内部コイル部を形成するコイルパターンの側面部に難溶性膜が形成され、前記内部コイル部のアスペクト比(aspect ratio)が1.5以上である、チップ電子部品。
【請求項2】
前記難溶性膜は、前記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターンの側面部に形成される、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項3】
前記難溶性膜は、前記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち最外周部のコイルパターン及び最内周部のコイルパターンの内側面部に形成される、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項4】
前記難溶性膜は、テトラゾール(tetrazole)系、トリアゾール(triazole)系及びイミダゾール(imidazole)系からなる群より選択されたいずれか一つ以上の化合物を含む、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項5】
前記内部コイル部は、前記絶縁基板上に形成された第1コイルパターン、前記第1コイルパターンを被覆するように形成された第2コイルパターン、及び前記第2コイルパターン上に形成された第3コイルパターンを含む、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項6】
前記難溶性膜は、前記第2コイルパターンの側面部に形成される、請求項5に記載のチップ電子部品。
【請求項7】
前記第2コイルパターンは幅方向及び高さ方向に成長した形状であり、前記第3コイルパターンは高さ方向のみに成長した形状である、請求項5に記載のチップ電子部品。
【請求項8】
前記第2コイルパターンは等方めっきで形成され、前記第3コイルパターンは異方めっきで形成される、請求項5に記載のチップ電子部品。
【請求項9】
前記内部コイル部は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)及び白金(Pt)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項10】
前記内部コイル部を被覆する絶縁層をさらに含む、請求項1に記載のチップ電子部品。
【請求項11】
絶縁基板の少なくとも一面に内部コイル部を形成する段階と、
前記内部コイル部が形成された絶縁基板の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体を形成する段階と、
前記磁性体本体の少なくとも一端面に前記内部コイル部と接続されるように外部電極を形成する段階と、を含み、
前記内部コイル部を形成する段階は、コイルパターンの側面部に難溶性膜を形成し、電気めっきを行う、チップ電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記難溶性膜は、前記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターンの側面部に形成する、請求項11に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記難溶性膜は、前記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち最外周部のコイルパターン及び最内周部のコイルパターンの内側面部に形成する、請求項11に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記難溶性膜は、テトラゾール(tetrazole)系、トリアゾール(triazole)系及びイミダゾール(imidazole)系からなる群より選択されたいずれか一つ以上の化合物を含む、請求項11に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記内部コイル部を形成する段階は、
前記絶縁基板の少なくとも一面に第1コイルパターンを形成し、前記第1コイルパターン上に電気めっきを行って前記第1コイルパターンを被覆する第2コイルパターンを形成する段階と、
前記第2コイルパターンを被覆する難溶性膜を形成する段階と、
前記第2コイルパターンの側面部を除いた領域に形成された前記難溶性膜を除去する段階と、
前記難溶性膜が一部除去された第2コイルパターン上に電気めっきを行って第3コイルパターンを形成する段階と、を含む、請求項11に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第2コイルパターンは等方めっきで形成され、前記第3コイルパターンは異方めっきで形成される、請求項15に記載のチップ電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記内部コイル部は、アスペクト比(aspect ratio)が1.5以上を満たすように形成する、請求項11に記載のチップ電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ電子部品の一つであるインダクタ(inductor)は、抵抗、キャパシタとともに、電子回路を形成してノイズ(Noise)を除去する代表的な手動素子である。なお、電磁気的特性を用いることでキャパシタと組み合わせて特定周波数帯域の信号を増幅させる共振回路やフィルタ(Filter)回路などの構成に用いられる。
【0003】
最近、各種の通信デバイスやディスプレイデバイスなどのITデバイスの急速な小型化及び薄膜化に伴い、このようなITデバイスに採用されるインダクタやキャパシタ、トランジスタなどの各種素子にも小型化及び薄型化に対する研究が継続的に行われている。その結果、インダクタも小型かつ高密度の自動表面実装が可能なチップへの転換が加速化しており、薄膜の絶縁基板の上下面にめっきで形成されるコイルパターン上に磁性粉末を樹脂と混合して形成させた薄膜型インダクタの開発が続いている。
【0004】
インダクタの主な特性の一つである直流抵抗(Rdc)は、コイルの断面積が大きくなるほど低くなる。そのため、直流抵抗(Rdc)を減らし、インダクタンスを向上させるためには、内部コイルの断面積を増加する必要がある。
【0005】
コイルの断面積を増加させるな方法としては、コイルの幅を増加させる方法、コイルの高さを増加させる方法の二つが挙げられる。
【0006】
コイルの幅を増加させる場合、コイルとコイルとの間にショート(short)が発生する可能性が非常に高くなり、インダクタチップで具現できるターン数に限界がある。また、磁性体が占める面積が減少して効率が低下し、高容量製品の具現に限界が生じる。
【0007】
したがって、薄膜型インダクタの内部コイルには、コイルの高さを増加させた高いアスペクト比(Aspect Ratio、AR)を有する構造が求められている。内部コイルのアスペクト比(AR)とは、コイルの高さをコイルの幅で分けた値を意味し、高いアスペクト比(AR)を具現するためには、コイルの幅方向の成長を抑制し、高さ方向の成長を促す必要がある。
【0008】
しかし、従来、めっきレジストを用いるパターンめっき法を行ってコイルの高さを高く形成させるためには、めっきレジストを高く形成しなければならず、めっきレジストがその形状を維持するためには、一定幅以上を有する必要があるため、コイル間の間隔が非常に広くなるという限界があった。
【0009】
また、従来、電気めっき法を行う際に、めっきが行われるにつれ、等方成長により、コイルの高さ方向とともに幅方向の成長が行われ、コイル間にショート(short)が発生し、コイルの高いアスペクト比(AR)を具現することが困難になるという限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開第2006−278479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一形態は、コイル間のショート(short)の発生を防止し、コイルの幅に対する高さを増加させて高いアスペクト比(AR)を具現することができるチップ電子部品及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態は、絶縁基板を含む磁性体本体と、上記絶縁基板の少なくとも一面に形成される内部コイル部と、上記磁性体本体の一端面に形成され、上記内部コイル部と接続される外部電極と、を含み、上記内部コイル部を形成するコイルパターンの側面部に難溶性膜が形成され、上記内部コイル部のアスペクト比(aspect ratio)が1.5以上であるチップ電子部品を提供する。
【0013】
上記難溶性膜は、上記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターンの側面部に形成されることができる。
【0014】
上記難溶性膜は、上記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち最外周部のコイルパターン及び最内周部のコイルパターンの内側面部に形成されることができる。
【0015】
上記難溶性膜は、テトラゾール(tetrazole)系、トリアゾール(triazole)系及びイミダゾール(imidazole)系からなる群より選択されたいずれか一つ以上の化合物を含むことができる。
【0016】
上記内部コイル部は、上記絶縁基板上に形成された第1コイルパターン、上記第1コイルパターンを被覆するように形成された第2コイルパターン、及び上記第2コイルパターン上に形成された第3コイルパターンを含むことができる。
【0017】
上記難溶性膜は、上記第2コイルパターンの側面部に形成されることができる。
【0018】
上記第2コイルパターンは幅方向及び高さ方向に成長した形状であり、上記第3コイルパターンは高さ方向のみに成長した形状であることができる。
【0019】
上記第2コイルパターンは等方めっきで形成され、上記第3コイルパターンは異方めっきで形成されることができる。
【0020】
上記内部コイル部は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)及び白金(Pt)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。
【0021】
上記チップ電子部品は、上記内部コイル部を被覆する絶縁層をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の他の一形態は、絶縁基板の少なくとも一面に内部コイル部を形成する段階と、上記内部コイル部が形成された絶縁基板の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体を形成する段階と、上記磁性体本体の少なくとも一端面に上記内部コイル部と接続されるように外部電極を形成する段階と、を含み、上記内部コイル部を形成する段階は、コイルパターンの側面部に難溶性膜を形成し、電気めっきを行うチップ電子部品の製造方法を提供する。
【0023】
上記難溶性膜は、上記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターンの側面部に形成することができる。
【0024】
上記難溶性膜は、上記内部コイル部を形成するコイルパターンのうち最外周部のコイルパターン及び最内周部のコイルパターンの内側面部に形成することができる。
【0025】
上記難溶性膜は、テトラゾール(tetrazole)系、トリアゾール(triazole)系及びイミダゾール(imidazole)系からなる群より選択されたいずれか一つ以上の化合物を含むことができる。
【0026】
上記内部コイル部を形成する段階は、上記絶縁基板の少なくとも一面に第1コイルパターンを形成し、上記第1コイルパターン上に電気めっきを行って上記第1コイルパターンを被覆する第2コイルパターンを形成する段階と、上記第2コイルパターンを被覆する難溶性膜を形成する段階と、上記第2コイルパターンの側面部を除いた領域に形成された上記難溶性膜を除去する段階と、上記難溶性膜が一部除去された第2コイルパターン上に電気めっきを行って第3コイルパターンを形成する段階と、を含むことができる。
【0027】
上記第2コイルパターンは等方めっきで形成され、上記第3コイルパターンは異方めっきで形成されることができる。
【0028】
上記内部コイル部は、アスペクト比(aspect ratio)が1.5以上を満たすように形成することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一形態によるチップ電子部品は、コイル間のショート(short)の発生を防止し、コイルの幅に対する高さを増加させて高いアスペクト比(AR)を有する内部コイル構造を具現することができる。
【0030】
これにより、コイルの断面積が大きくなり、直流抵抗(Rdc)が減少し、インダクタンスが向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部を示した概略斜視図である。
【
図3】
図2のA部分の一実施形態を拡大して示した概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部の一部を拡大して示した断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を示した工程図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図7】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図8】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示した図面である。
【
図9】本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0034】
以下では、本発明の一実施形態によるチップ電子部品を説明するにあたり、特に、薄膜型インダクタを例に挙げて説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0035】
図1は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部を示した概略斜視図であり、
図2は
図1のI−I’線に沿った断面図であり、
図3は
図2のA部分の一実施形態を拡大して示した概略図である。
【0036】
図1及び
図2を参照すると、チップ電子部品の一例として、電源供給回路の電源ラインに用いられる薄膜型チップインダクタ100が開示されている。上記チップ電子部品は、チップインダクタの他にも、チップビーズ(chip bead)、チップフィルタ(chip filter)などに適切に応用されることができる。
【0037】
上記薄膜型インダクタ100は、磁性体本体50、絶縁基板20、内部コイル部40、及び外部電極80を含む。
【0038】
磁性体本体50は、薄膜型インダクタ100の外観をなし、磁気特性を示す材料であれば制限されないが、例えば、フェライトまたは金属系軟磁性材料が充填されて形成されることができる。
【0039】
上記フェライトとしては、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ni−Zn−Cu系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ba系フェライトまたはLi系フェライトなどの公知のフェライトを含むことができる。
【0040】
上記金属系軟磁性材料としては、Fe、Si、Cr、Al及びNiからなる群より選択されたいずれか一つ以上を含む合金であることができる。例えば、Fe−Si−B−Cr系の非晶質金属粒子を含むことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0041】
上記金属系軟磁性材料は、粒子直径が0.1μm〜20μmであることができ、エポキシ(epoxy)樹脂やポリイミド(polyimide)などの高分子上に分散した状態で含まれることができる。
【0042】
磁性体本体50は、六面体状を有することができる。また、本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、
図1に示されるL、W及びTは、それぞれ長さ方向、幅方向及び厚さ方向を示す。上記磁性体本体50は長さ方向の長さが幅方向の長さより大きい直方体状を有することができる。
【0043】
上記磁性体本体50の内部に形成される絶縁基板20は、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板やフェライト基板、金属系軟磁性基板などで形成されることができる。
【0044】
上記絶縁基板20の中央部は、貫通されて孔を形成し、上記孔はフェライトや金属系軟磁性材料などの磁性体で充填されてコア部55を形成することができる。磁性体で充填されるコア部55が形成されることにより、インダクタンス(L)を向上させることができる。
【0045】
上記絶縁基板20の一面にはコイル状のパターンを有する内部コイル部40が形成されることができ、上記絶縁基板20の他面にもコイル状のパターンを有する内部コイル部40が形成されることができる。
【0046】
上記内部コイル部40は、コイルパターンがらせん(spiral)状に形成されることができ、上記絶縁基板20の一面及び他面に形成される内部コイル部40は上記絶縁基板20に形成されるビア電極45によって電気的に接続されることができる。
【0047】
図3を参照すると、上記内部コイル部40を形成するコイルパターンの側面部には難溶性膜91が形成されることができる。
【0048】
上記難溶性膜91は、内部コイル部40を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターン42の側面部に形成されることができる。また、難溶性膜91は、最外周部のコイルパターン41及び最内周部のコイルパターン43の内側面部にも形成されることができる。
【0049】
上記の通り、コイルパターンの側面部に難溶性膜91が形成されることにより、コイルの高さ方向の成長を促しながらも、幅方向の成長を抑制することで、コイル間のショート(short)の発生を防止し、高いアスペクト比(Aspect Ratio、AR)の内部コイル部40を具現することができる。例えば、1.5以上のアスペクト比(AR、T/W)を示すことができる。
【0050】
図4は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の内部コイル部の一部を拡大して示した断面図である。
【0051】
図4を参照すると、上記内部コイル部40は、絶縁基板20上に形成された第1コイルパターン46、第1コイルパターン46を被覆するように形成された第2コイルパターン47、及び第2コイルパターン47上に形成された第3コイルパターン48を含むことができる。
【0052】
上記第1コイルパターン46は、パターニングされためっきレジストを絶縁基板20上に形成し、開口部を伝導性金属で充填して形成したパターンめっき層であることができる。
【0053】
上記第2コイルパターン47は、電気めっきを行うことで形成されることができる。また、コイルの幅方向W及び高さ方向Tにともに成長した形状を有する等方めっき層であることができる。
【0054】
上記難溶性膜91は、第2コイルパターン47をすべて被覆するように形成された後、インチング(inching)工法などで第2コイルパターン47の側面部を除いた領域に形成された上記難溶性膜91が除去されることにより、第2コイルパターン47の側面部のみに形成されることができる。
【0055】
また、側面部に難溶性膜91が形成された第2コイルパターン47上に電気めっきを行って第3コイルパターン48を形成することができる。第3コイルパターン48は、第2コイルパターン47の側面部に形成された難溶性膜91により、コイルの幅方向Wの成長は抑制されながら、高さ方向Tのみに成長した形状を有する異方めっき層で形成されることができる。
【0056】
一方、上記難溶性膜91は、中央部のコイルパターン42では側面部にすべて形成されるが、最外周部のコイルパターン41及び最内周部のコイルパターン43では内側面部のみに形成されることができるため、上記最外周部のコイルパターン41及び最内周部のコイルパターン43の第3コイルパターン49は、コイルの幅方向W及び高さ方向Tにともに成長した形状を有する等方めっき層で形成されることができる。
【0057】
上記内部コイル部40は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができる。例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0058】
第1コイルパターン46、第2コイルパターン47及び第3コイルパターン48、49は、同一金属で形成されることができ、銅(Cu)で形成されることが最も好ましい。
【0059】
上記難溶性膜91は、テトラゾール(tetrazole)系、トリアゾール(triazole)系及びイミダゾール(imidazole)系からなる群より選択されたいずれか一つ以上の化合物を含むことができ、例えば、ベンズイミダゾール(benzimidazole)系であることができる。
【0060】
上記内部コイル部40は、絶縁層30で被覆されることができる。
【0061】
絶縁層30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成されることができる。内部コイル部40は、絶縁層30で被覆されて、磁性体本体50をなす磁性体材料と直接的に接触しない。
【0062】
絶縁基板20の一面に形成される内部コイル部40の一端部は磁性体本体50の長さ方向の一端面に露出することができ、絶縁基板20の他面に形成される内部コイル部40の一端部は磁性体本体50の長さ方向の他端面に露出することができる。
【0063】
上記磁性体本体50の長さ方向の両端面に露出する上記内部コイル部40と接続されるように長さ方向の両端面には外部電極80が形成されることができる。上記外部電極80は、上記磁性体本体50の厚さ方向の両端面及び/または幅方向の両端面に延びて形成されることができる。
【0064】
上記外部電極80は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができる。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などの単独またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0066】
図5は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を示した工程図であり、
図6から
図9は本発明の一実施形態によるチップ電子部品の製造方法を順に示した図面である。
【0067】
図5を参照すると、まず、絶縁基板20の少なくとも一面に内部コイル部40が形成される。
【0068】
上記絶縁基板20は、特に制限されないが、例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)基板、フェライト基板、金属系軟磁性基板などを用いることができ、40μm〜100μmの厚さを有することができる。
【0069】
上記内部コイル部40の形成方法として、
図6を参照すると、絶縁基板20上に第1コイルパターン46を形成し、第1コイルパターン46を被覆するように第2コイルパターン47を形成することができる。
【0070】
上記第1コイルパターン46は、絶縁基板20上に第1コイルパターンを形成するための開口部を有するめっきレジストを形成し、第1コイルパターンを形成するための開口部に電気めっきなどの工程を適用して電気伝導性金属を充填した後、化学的エッチングなどの工程を適用してめっきレジストを除去することで形成されることができる。
【0071】
上記めっきレジストは、一般の感光性レジストフイルムで、ドライフィルムレジストなどを用いることができるが、本発明はこれに制限されない。
【0072】
上記第2コイルパターン47は、第1コイルパターン46上に電気めっきを行うことで形成されることができる。電気めっきの際に、電流密度、めっき液の濃度、めっき速度などを調節することにより、第2コイルパターン47をコイルの幅方向W及び高さ方向Tにともに成長した形状を有する等方めっき層で形成することができる。
【0073】
図7を参照すると、上記第2コイルパターン47をすべて被覆するように難溶性膜91を形成することができる。
【0074】
上記難溶性膜91は、テトラゾール(tetrazole)系、トリアゾール(triazole)系及びイミダゾール(imidazole)系からなる群より選択されたいずれか一つ以上の化合物を含む溶液に入れて形成することができ、例えば、ベンズイミダゾール(benzimidazole)系溶液を用いることができる。
【0075】
図8を参照すると、上記第2コイルパターン47を被覆する難溶性膜91のうち第2コイルパターン47の側面部を除いた領域に形成された難溶性膜91を除去することができる。
【0076】
上記難溶性膜91は、インチング(inching)工法などを適用して除去することができ、物理的に打力が大きい部分の難溶性膜91が除去されることができる。
【0077】
このように、一部領域の難溶性膜91が除去され、内部コイル部40を形成するコイルパターンのうち中央部のコイルパターン42の側面部、最外周部のコイルパターン41、及び最内周部のコイルパターン43の内側面部に難溶性膜91が残存することができる。
【0078】
図9を参照すると、難溶性膜91が一部除去されて側面部のみに難溶性膜91が形成された第2コイルパターン47上に電気めっきを行うことにより、第3コイルパターン48、49を形成することができる。
【0079】
第3コイルパターン48は、第2コイルパターン47の側面部に形成された難溶性膜91により、コイルの幅方向Wの成長が抑制され、高さ方向Tのみに成長した形状を有する異方めっき層で形成されることができる。
【0080】
一方、上記難溶性膜91は、中央部のコイルパターン42では側面部にすべて形成されるが、最外周部のコイルパターン41及び最内周部のコイルパターン43では内側面部のみに形成されることができるため、上記最外周部のコイルパターン41及び最内周部のコイルパターン43の第3コイルパターン49は、コイルの幅方向W及び高さ方向Tにともに成長した形状を有する等方めっき層で形成されることができる。
【0081】
上記第1コイルパターン46、第2コイルパターン47及び第3コイルパターン48、49を含む内部コイル部40は、電気伝導性に優れた金属を含んで形成されることができる。例えば、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタニウム(Ti)、金(Au)、銅(Cu)、白金(Pt)またはこれらの合金などで形成されることができる。
【0082】
第1コイルパターン46、第2コイルパターン47及び第3コイルパターン48、49は、同一金属で形成されることができ、銅(Cu)で形成されることが最も好ましい。
【0083】
このように、コイルパターンの側面部に難溶性膜91を形成し、電気めっきを行うことにより、コイルの高さ方向の成長を促しながらも、幅方向の成長を抑制することで、コイル間のショート(short)の発生を防止し、高いアスペクト比(Aspect Ratio、AR)の内部コイル部40を具現することができる。例えば、1.5以上のアスペクト比(AR、T/W)を示すことができる。
【0084】
上記絶縁基板20の一部には、孔を形成し、伝導性物質を充填してビア電極45を形成することができる。上記ビア電極45により、絶縁基板20の一面及び他面に形成される内部コイル部40同士を電気的に接続させることができる。
【0085】
上記絶縁基板20の中央部には、ドリル、レーザー、サンドブラスト、パンチング加工などを行って絶縁基板を貫通する孔を形成することができる。
【0086】
また、内部コイル部40を形成した後、上記内部コイル部40を被覆する絶縁層30を形成することができる。絶縁層30は、スクリーン印刷法、フォトレジスト(Photo Resist、PR)の露光、現像を通じた工程、スプレー(spray)塗布工程などの公知の方法で形成されることができるが、本発明はこれに制限されない。
【0087】
その後、内部コイル部40が形成された絶縁基板20の上部及び下部に磁性体層を積層して磁性体本体50を形成する。
【0088】
磁性体本体50は、磁性体層を絶縁基板20の両面に積層し、ラミネート法または静水圧プレス法によって圧着することで形成されることができる。このとき、上記孔を磁性体で充填することにより、コア部55を形成することができる。
【0089】
続いて、上記磁性体本体50の少なくとも一端面に露出する内部コイル部40と接続されるように外部電極80を形成することができる。
【0090】
上記外部電極80は、電気伝導性に優れた金属を含むペーストを用いることで形成されることができる。例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、すず(Sn)、銀(Ag)などの単独またはこれらの合金などを含む伝導性ペーストであることができる。外部電極80を形成する方法は、外部電極80の形状により、プリンティング法やディッピング(dipping)法などを行うことで形成することができる。
【0091】
その他、上述した本発明の一実施形態によるチップ電子部品の特徴と同一部分に対してはその説明を省略する。
【0092】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0093】
100 薄膜型インダクタ
20 絶縁基板
30 絶縁層
40 内部コイル部
41 最外周部のコイルパターン
42 中央部のコイルパターン
43 最内周部のコイルパターン
45 ビア電極
46 第1コイルパターン
47 第2コイルパターン
48、49 第3コイルパターン
50 磁性体本体
55 コア部
80 外部電極
91 難溶性膜