特開2015-170940(P2015-170940A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-170940(P2015-170940A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】複合機
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20150901BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   G03G21/00 534
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-43633(P2014-43633)
(22)【出願日】2014年3月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川勝 習志
【テーマコード(参考)】
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2H270KA55
2H270LA71
2H270LA80
2H270LA81
2H270LB13
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA35
2H270MB27
2H270MB52
2H270MC03
2H270MC55
2H270MD02
2H270MF02
2H270MF13
2H270SA09
2H270SB23
2H270SC08
2H270SC19
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF06
5C062BA07
(57)【要約】
【課題】 所定の場合に画像形成部を送風部により冷却することにより、原稿の画像を読み取るときに画像形成部から画像読取部への熱の伝導を抑制して画像読取部の温度の上昇を抑えて、画像読取部内に配置された電子部品などの劣化を抑制することができる複合機を提供する。
【解決手段】複合機は、原稿の画像を読み取る画像読取部、画像読取部に隣接して配置され、冷却用の送風部を備え、記録紙に画像を形成する画像形成部、画像形成部による記録紙への画像の形成に関連する所定の条件が充足していると判断した場合に送風部を稼働させながら画像読取部に原稿の画像を読み取らせる制御部を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像を読み取る画像読取部、
前記画像読取部に隣接して配置され、冷却用の送風部を備え、記録紙に画像を形成する画像形成部、
前記画像形成部による記録紙への画像の形成に関連する所定の条件が充足していると判断した場合に、前記送風部を稼働させながら前記画像読取部に原稿の画像を読み取らせる制御部を、
備えることを特徴とする複合機。
【請求項2】
請求項1記載の複合機は、
計数部を更に備え、
前記所定の条件は、前記計数部に数値が設定されていることである。
【請求項3】
請求項2に記載の複合機において、
記録紙への画像の形成が所定数以上の場合、前記制御部は前記計数部に数値を追加する。
【請求項4】
請求項2に記載の複合機において、
記録紙への画像の形成が所定時間以上の場合、前記制御部は前記計数部に数値を追加する。
【請求項5】
請求項3に記載の複合機は、
前記画像形成部が所定数以上の記録紙に画像を形成したときから時間の計時を開始する計時部と、前記計時部が計時した時間に対応する数値を記憶している記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部を参照して前記計時部が計時した時間に対応する数値を前記計数部に追加する。
【請求項6】
請求項4に記載の複合機は、
前記画像形成部が所定時間以上記録紙に画像を形成したときから時間の計時を開始する計時部と、前記計時部が計時した時間に対応する数値を記憶している記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部を参照して前記計時部が計時した時間に対応する数値を前記計数部に追加する。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の複合機において、
前記画像読取部と前記画像形成部が稼働していない場合に前記制御部は前記計数部の数値を減少させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取機能と画像形成機能を備える複合機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取機能と画像形成機能を備える複合機において、印刷終了後の次の印刷ジョブに素早く対応するため、印刷後の一定時間はトナーを記録紙に定着させるための定着器のヒータを予熱していた。この予熱時には定着器のヒータを冷却する送風機を停止させ、ヒータ周辺の温度が下がらないようにしていた。
【0003】
連続的に印刷を行った場合、画像形成部の定着ローラ内に配置されたヒータの発熱により画像形成部内の温度が上昇する。また原稿の画像の読取を連続的に行った場合、原稿の画像の読取に使用される制御部などを構成する電子部品などが発熱する。
【0004】
複合機の構造上、画像形成部のヒータを含む定着器と画像読取部の電子部品が近接して配置されることがある。このような配置において、印刷と画像の読取を同時に実行する複写などを行った場合、画像形成部の熱が画像読取部の電子部品に伝わり、電子部品の寿命を短くすることがあった。
【0005】
また、印刷が終了すると画像形成部の送風ファンが停止する。送風ファンが停止したままで画像の読取を行うと、画像読取部の電子部品の温度がさらに上昇してしまうことになった。
【0006】
特許文献1は、画像読取部のランプの点灯に伴う画像読取部の温度の上昇を予測して送風ファンを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3073271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の発明は、画像読取部の温度の上昇を予測して送風ファンの制御を行うことができるが、画像形成部から画像読取部への熱の伝導に起因する画像読取部の電子部品の劣化を防止することができない。
【0009】
本発明は以上の事情に鑑みてなれたものであり、その主要な目的は、画像形成部の温度が上昇していると予測されている場合に原稿の画像を読み取ったとしても、所定の場合には画像形成部を冷却することにより、画像形成部から画像読取部への熱の伝導を抑制して画像読取部の温度の上昇を抑えて、画像読取部内に配置された電子部品などの劣化を抑制することができる複合機を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0011】
本発明の観点によれば、以下の複合機が提供される。即ち、この複合機は、原稿の画像を読み取る画像読取部、画像読取部に隣接して配置され、冷却用の送風部を備え、記録紙に画像を形成する画像形成部、画像形成部による記録紙への画像の形成に関連する所定の条件が充足していると判断した場合に送風部を稼働させながら画像読取部に原稿の画像を読み取らせる制御部を備える。
【0012】
この構成により、画像形成部の温度が上昇していると予測される所定の条件が充足されている場合に原稿の画像の読取を行っても、画像形成部から画像読取部への熱の伝導による画像読取部の内部に配置された電子部品などの劣化を送風部により抑制することができる。
【0013】
上記の複合機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この複合機は、計数部を更に備え、所定の条件の充足は、前記計数部に数値が設定されていることである。
【0014】
この構成により、画像形成部の温度が上昇していると予測される所定の条件を数値化することができる。
【0015】
上記の複合機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、記録紙への画像の形成が所定数以上になった場合、前記制御部は前記計数部に数値を追加する。
【0016】
この構成により、画像の形成が所定数以上となり、画像形成部の温度が上昇していると予測される場合に、送風部を稼働させることができる。
【0017】
上記の複合機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、記録紙への画像の形成が所定時間以上となった場合、前記制御部は前記計数部に数値を追加する。
【0018】
この構成により、画像の形成が所定時間以上となり、画像形成部の温度が上昇していると予測される場合に、送風部を稼働させることができる。
【0019】
上記の複合機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、複合機は、画像形成部が所定数以上の記録紙に画像を形成したときから時間の計時を開始する計時部と、計時部が計時した時間に対応する数値を記憶している記憶部を更に備える。制御部は、記憶部を参照して計時部が計時した時間に対応する数値を計数部に追加する。
【0020】
この構成により、記録紙への画像の形成数が少なく画像形成部の温度があまり上昇していないと予測される場合に、計数部に数値を追加しなくてもよくなる。また、記録紙への画像の形成数に対応した数値を計数部に追加することができる。
【0021】
上記の複合機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、複合機は、 画像形成部が所定時間以上記録紙に画像を形成したときから時間の計時を開始する計時部と、計時部が計時した時間に対応する数値を記憶している記憶部を更に備える。制御部は、記憶部を参照して計時部が計時した時間に対応する数値を計数部に追加する。
【0022】
この構成により、記録紙への画像の形成時間が短く画像形成部の温度があまり上昇していないと予測される場合に、計数部に数値を追加しなくてもよくなる。また、記録紙への画像の形成時間に対応した数値を計数部に追加することができる。
【0023】
上記の複合機は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、画像読取部と画像形成部が稼働していない場合に制御部は計数部の数値を減少させる。
【0024】
この構成により、画像読取部と画像形成部の内部の温度が低下していると予測される場合に、温度の低下を計数部に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施の形態に係る複合機の概略全体図である。
図2】本発明の一実施の形態に係る複合機のブロック図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る送風部の稼働の制御に関するフロー図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係る送風部の稼働の制御に関するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1に示すのは、本発明の一実施の形態に係る複合機である。複合機は、画像読取機能と画像形成機能などを備えている。なお、本発明における前後、左右、上下とは、図1に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0027】
図1おいて複合機は、画像形成部1と、画像形成部1の上側に配置される画像読取部(以下、単にFBSと言う)2とを備えている。画像形成部1には、感光体ドラム、転写ローラ及びトナー供給部などから構成され、記録紙に感光体ドラムに形成された潜像に対応してトナーを転写することにより記録紙に画像を形成する転写部12や転写部12で記録紙に転写されたトナーを記録紙に定着させる定着部13などが設けられている。定着部13は、ヒータ14を内部に含む加熱ローラと加圧ローラから構成されている。このようにして記録紙に画像を形成(印刷)する。FBS2の上面には図示しない原稿読取面として機能するプラテンガラスと開閉するプラテンカバー5が設けられ、プラテンカバー5の上部に自動原稿搬送装置(以下、単にADFと言う)3が備え付けられている。
【0028】
FBS2の前面には、各種の操作ボタンを備えた操作パネル21(操作部)が設けてある。画像形成部1の下部には給紙カセット8が配置してあり、この給紙カセット8と、画像読取部2の下方の排紙部9との間の記録紙搬送路10に沿って、転写部12と定着部13が配置してある。プラテンカバー5は、その後端に設けたヒンジ(図示省略)によって上下方向に回転することにより、FBS2の上面に被さり、あるいはFBS2の上面を開放できる。
【0029】
FBS2の内部に、原稿の画像を読み取る画像読取ユニット22などが配置されている。画像読取ユニット22をコンタクトガラス23の真下に位置させておくことにより、ADF3によってコンタクトガラス23の上面に沿って搬送される原稿の画像を読取ることができる。また、画像読取ユニット22をプラテンガラスの左側縁から右側縁へ向かって走査することにより、プラテンガラスの上に載置された原稿の画像を読取ることができる。画像読取ユニット22は、読み取った原稿の画像をデジタルデータ化して後述の制御部4に送信する。
【0030】
また図2に示すように、本実施形態の複合機は、画像形成部1、FBS2、プラテンカバー5などに加えて、制御部4と送風部(送風ファン)15を備えている。制御部4は、複合機の各部(操作パネル21、FBS2、画像形成部1、画像読取部2等)とバスにより通信可能に構成されている。制御部4は、CPU、RAM、ROMなどのハードウェアと、前記ROMに記憶された制御プログラムなどのソフトウェアと、から構成されており、当該ハードウェアとソフトウェアが協働することで、複合機の各部の動作を制御するように構成されている。
【0031】
送風ファン15は、画像形成部1の例えば定着部13の近くに配置される。送風ファン15は、画像形成部1の外の空気を定着部13に送風することにより定着部13の温度を低下させて、画像形成部1の内部を冷却するように構成されている。
【0032】
本実施形態の複合機は、電話回線を介してファクシミリを送受信可能であるファクシミリ送受信部16を備えている。ファクシミリ送受信部16は、ファクシミリを受信した場合、当該ファクシミリの画像のデータ(印刷対象データ)を生成する。ファクシミリ送受信部16は、生成した印刷対象データを、制御部4に送信する。制御部4は受信した印刷対象データを画像形成部1に送信して印刷対象データを画像形成部1に印刷させることができる。
【0033】
本実施形態の複合機は、ネットワーク通信部17を備えている。ネットワーク通信部17は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)などのネットワークに接続される。制御部4は、ネットワーク通信部17を介して、LANに接続されている他のパーソナルコンピュータなどの機器との間で、印刷対象データや、その他のデータのやりとりを行うことができるように構成されている。制御部4は受信した印刷対象データを画像形成部1に送信して印刷対象データを画像形成部1に印刷させることができる。
【0034】
制御部4は、図示しないセンサーとタイマーにより、画像形成部1による印刷数と印刷時間を認識している。
【0035】
制御部4は後述の場合に数値を追加する計数部41を備えている。また制御部4は、画像形成部1と画像読取部2が稼働していない場合、計数部41の数値を減算するように構成されている。なお計数部41は、制御部4とは別個独立の部材として構成してもよい。
【0036】
制御部4は、計時部42を備えている。計時部42は、画像形成部1による印刷数が所定数以上または印刷時間が所定時間以上になった場合、画像形成部1による印刷の計時を開始する。計時部42は、例えば、記録紙の搬送路などに設置された図示しないセンサーが所定時間記録紙の存在を検知しない場合に、計時部42は計時を終了する。なお計時部42は、制御部4とは別個独立の部材として構成してもよい。
【0037】
制御部4は、記憶部43を備えている。記憶部43は計時部42の計時時間に対応する数値を記憶している。制御部4は記憶部43を参照して計時時間に対応する数値を計数部41に追加する。記憶部43は、計時部42の計時時間に対応した数値を複数記憶しておいてもよい。その結果制御部4は、計時部42の計時時間の長さに応じて適切に計数部41に数値を追加することができるようになる。なお記憶部43は、制御部4とは別個独立の部材として構成してもよい。
【0038】
次に図3を用いて、本発明の第1の実施形態を説明する。
操作部21からの指令、または、複合機とLANなどで接続された外部のパーソナルコンピュータなどからのプリント要求などにより、複合機にジョブが発生した場合、制御部4はそのジョブが画像形成部1の稼働を必要とするプリントジョブか否かを判断する(S101)。
【0039】
プリントジョブの場合(S101、Yes)、画像形成部1は、プリントジョブの処理を開始する(S102)。具体的には、給紙カセット8から搬送路10に記録紙を搬送しながら、転写部12で感光体ドラムから記録紙に感光体ドラムの潜像に対応するようにトナーを転写して画像を記録紙に形成し、定着部13においてヒータ14で加熱された加熱ローラと加圧ローラにより記録紙にトナーを定着させる。トナーの定着後に記録紙は画像形成部1から排紙部9に排出されて、プリントジョブ(印刷)が完了する。
【0040】
制御部4は、画像形成部1による記録紙への画像の形成が所定数または所定時間以上となったか否かを判断する(S103)。制御部4は、例えば、プリントジョブの内容の解析、または、記録紙の搬送路に設置されたセンサーにより、画像を形成された記録紙の数または画像形成(印刷)に必要とされた時間を認識する。
【0041】
画像を形成された記録紙の数(印刷数)が所定数以上となった場合または画像形成時間(印刷時間)が所定時間以上となった場合(S103、Yes)、制御部4は、計数部41に数値を追加する(S104)。制御部が計数部41に追加する数値は任意であり、あらかじめ追加する数値を任意に決めておくことができる。計数部41が数値を保持していない場合は、計数部41が保持する数値は追加された数値となり、既に計数部41が数値を保持している場合は、数値が既に計数部41により保持されている数値に追加される。
【0042】
制御部4による計数部41への数値の追加が終了した場合(S104)、または、印刷数が所定数未満または印刷時間が所定時間未満の場合(S103、No)、制御部4はプリントジョブが終了したか否かを判断する(S105)。制御部4はプリントジョブが終了したと判断した場合(S105、Yes)、制御部4はプリントジョブに関連する複合機の動作を一旦終了させる。制御部4はプリントジョブが終了していないと判断した場合(S105、No)、制御部4はS103の判断に戻る。なお、プリントジョブの実行と関連して画像形成部1の内部の温度を低下させるために送風ファン15を適宜稼働させてもよい。
【0043】
ジョブがプリントジョブか否かの判断においてプリントジョブではないと判断された場合(S101、No)、制御部4は、そのジョブが画像読取部2の稼働を必要とするスキャンジョブか否かを判断する(S106)。
【0044】
ジョブがスキャンジョブであると判断された場合(S106、Yes)、制御部4は、画像形成部1による記録紙への画像の形成に関連する所定の条件が充足しているか否かを判断する(S107)。所定の条件とは、例えば、計数部41に数値が設定されていることである。計数部41に数値が追加されて設定されている場合、所定数以上の印刷または所定時間以上の印刷がプリントジョブにおいて行われたことになるので、画像形成部1の内部は送風ファン15により冷却する必要がある。反対に、計数部41に数値が設定されていない場合、画像形成部1の内部を送風ファン15により冷却する必要がないことになる。または、後述するがプリントジョブが行われない時間の経過により画像形成部1の内部を送風ファン15により冷却する必要がなくなっていることになる。制御部4は、ジョブがスキャンジョブであると判断してから所定の条件が充足していると判断してもよいし、所定の条件が充足していると判断してからジョブがスキャンジョブであると判断してもよい。また、制御部4は、ジョブがスキャンジョブであるとの判断と所定の条件が充足しているとの判断を同時に行ってもよい
【0045】
計数部41に数値が設定されていて、制御部4が所定の条件が充足していると判断した場合(S107、Yes)、制御部4は送風ファン15を稼働させながらスキャンジョブを行う(S108)。具体的には、自動原稿搬送部3により搬送される原稿がコンタクトガラス上を通過するときに、コンタクトガラスの下に配置された画像読取ユニット22で原稿の画像を読み取る。または、プラテンガラス上に置かれた原稿の画像を、画像読取装置22を左右方向に移動させながら読み取る。その結果、温度が上昇していると予測される画像形成部1の内部を送風ファン15で冷却するので、例えば画像形成部1と画像読取部2が接する部分に配置される制御部4を構成する電子部品などに画像形成部1の熱が伝導することを抑制して、前記電子部品の劣化を抑制することができる。
【0046】
計数部41に数値が設定されていない場合(S107、No)、制御部4は送風ファン15を稼働させずにスキャンジョブを行う(S109)。計数部41に数値が設定されていないので、画像形成部1の内部を送風ファン15により冷却する必要がないと想定される結果、送風ファン15を不必要に稼働させない。
【0047】
S108とS109の処理の後に、制御部4はスキャンジョブが終了したか否かを判断する(S110)。制御部4はスキャンジョブが終了したと判断した場合(S110、Yes)、制御部4はスキャンジョブに関連する複合機の動作を一旦終了させる。制御部4はスキャンジョブが終了していないと判断した場合(S110、No)、スキャンジョブの計数部41に数値が設定されていたか否かに応じてスキャンジョブをS108またはS109の処理に戻す。
【0048】
ジョブがスキャンジョブではないと判断された場合(S106、No)、制御部4は計数部41に数値が設定されているか否かを判断する(S111)。数値が計数部41に設定されていると判断された場合(S111、Yes)、制御部4は計数部41の数値を減算する(S112)。制御部4が計数部41から一度に減算する数値は、制御部4が計数部41に追加する数値と同じであってもよいし、異なっていてもよい。その結果、スキャンジョブとヒータ14の加熱を必要とするプリントジョブが実行されず、画像形成部1の内部の温度が低下していると想定される場合、制御部4は計数部41の数値を減算していくので、スキャンジョブを実行するときに、送風ファン15を不必要に稼働させる必要がなくなる。
【0049】
次に本発明の第2の実施形態を、図4を用いて説明する。第1の実施形態の処理と同じ第2の実施形態の処理は、説明を簡略化する。
【0050】
操作パネル21からの指令、または、複合機とLANなどで接続された外部のパーソナルコンピュータなどからのプリント要求などにより、複合機にジョブが発生した場合、制御部4はそのジョブが画像形成部1の稼働を必要とするプリントジョブか否かを判断する(S201)。
【0051】
プリントジョブの場合(S201、Yes)、画像形成部1は、プリントジョブを開始する(S202)。
【0052】
制御部4は、画像形成部1による印刷が所定数または所定時間以上となったか否かを判断する(S203)。
【0053】
印刷数が所定数以上となった場合または印刷時間が所定時間以上となった場合(S203、Yes)、制御部4は、画像形成部1による記録紙への画像の形成時間の計時を計時部42に開始させる(S204)。
【0054】
計時部42による計時の開始(S204)後、若しくは、印刷数が所定数未満の場合または印刷時間が所定時間未満の場合(S203、No)、制御部4は、プリントジョブが終了したか否かを判断する(S205)。
【0055】
制御部4はプリントジョブが終了したと判断した場合(S205、Yes)、計時部42が計時していれば、制御部4は計時部42の計時を終了させる。制御部4はプリントジョブが終了していない判断した場合(S205、No)、制御部4はプリントジョブをS203の判断に戻す。
【0056】
プリントジョブが終了していた場合(S205、Yes)、制御部4は計時部42による計時があったか否かを判断する。制御部4が計時部42による計時があったと判断した場合(S206、Yes)、制御部4は、記憶部43を参照し、計時部42が計時した数値に対応する数値を取得して計数部41に追加する(S207、S208)。この場合制御部4は、計時部42が計時した数値に対応する記憶部43に記憶されている数値を記憶部43から取得してもよいし、計時部42が計時した数値に対応する記憶部43に記憶されている数値を自己生成してもよい。
【0057】
制御部4による計数部41への数値の追加が終了した場合(S208)、または、計時部41による計時がなかった場合(S206、No)、制御部4はプリントジョブに関連する複合機の動作を一旦終了させる。
【0058】
ジョブがプリントジョブか否かの判断においてプリントジョブではないと判断された場合(S201、No)、制御部4は、そのジョブが画像読取部2の稼働を必要とするスキャンジョブか否かを判断する(S209)。
【0059】
ジョブがスキャンジョブであると判断された場合(S209、Yes)、制御部4は、画像形成部1による記録紙への画像の形成に関連する所定の条件が充足しているか否かを判断する(S210)。所定の条件とは、例えば、計数部41に数値が追加されて設定されていることである。計数部41に数値が設定されている場合(S210、Yes)、計時部42の計時を必要とするプリントジョブが以前に行われたことになるので、画像形成部1の内部は送風ファン15により冷却する必要がある。
【0060】
計数部41に数値が設定されている場合(S210、Yes)、制御部4は送風ファン15を稼働させながらスキャンジョブを行う(S211)。その結果、温度が上昇していると予測される画像形成部1の内部を送風ファン15で冷却するので、例えば画像形成部1と画像読取部2が接する部分に配置される制御部4を構成する電子部品などに画像形成部1の熱が伝導することを抑制して、前記電子部品の劣化を抑制することができる。
【0061】
計数部41に数値が設定されていない場合(S210、No)、制御部4は送風ファン15を稼働させずにスキャンジョブを行う(S212)。計数部41に数値が設定されていないので、画像形成部1の内部を送風ファン15により冷却する必要がないと想定される結果、送風ファン15を不必要に稼働させない。
【0062】
S211またはS212の処理の後に、制御部4はスキャンジョブが終了したか否かを判断する(S213)。制御部4はスキャンジョブが終了したと判断した場合(S213、Yes)、制御部4はスキャンジョブに関連する複合機の動作を一旦終了させる。制御部4はスキャンジョブが終了していないと判断した場合(S213、No)、計数部41に数値が設定されていたか否かに応じてスキャンジョブをS211またはS212の処理に戻す。
【0063】
ジョブがスキャンジョブではないと判断された場合(S209、No)、制御部4は計数部41に数値が設定されているか否かを判断する(S214)。数値が計数部41に設定されていると判断された場合(S214、Yes)、制御部4は計数部41の数値を減算する(S215)。その結果、スキャンジョブとヒータ14の加熱を必要とするプリントジョブが実行されず、画像形成部1の内部の温度が低下していると想定される場合、制御部4は計数部41の数値を減算していくので、スキャンジョブを実行するときに、送風ファン15を不必要に稼働させる必要がなくなる。
【0064】
制御部4が計数部41の数値を減算した(S215)後、または、制御部4が計数部41に数値が設定されていないと判断した(S214、No)後、制御部4はジョブに関連する複合機の動作を一旦終了させる。
【0065】
以上に説明したように、本実施形態の複合機は、画像形成部1の内部が高温であると想定される場合に、画像形成部1の内部の熱が例えば画像形成部1と画像読取部2の境界に配置された電子部品に伝わって電子部品を劣化させることを、画像形成部1の送風ファン15を稼働させることにより抑制することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成部
15 送風部
2 画像読取部
3 自動原稿搬送部
4 制御部
41 計数部
42 記憶部
43 計時部
図1
図2
図3
図4