【解決手段】無線LANコンバータ10は、上位側は無線LANルータ1に接続され、下位側はPC3AおよびPC3Bに接続されている。無線LANルータ1は、DHCPサーバの機能を有している。無線LANコンバータ10は、無線LANルータ1との接続が途切れた後に再び無線LANルータ1に接続された場合、下位側である有線接続を一旦解除し、再び接続する。
前記制御部は、前記第2のネットワーク通信部を介して、前記第2のネットワーク通信部を切断した後に接続状態に移行したことを示す通知信号を送信することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク中継装置。
前記制御部は、前記第2のネットワーク通信部における伝送速度を変更した場合、前記通知信号として、当該伝送速度に関する情報を含めて送信することを特徴とする請求項3に記載のネットワーク中継装置。
前記制御部は、他のネットワーク中継装置から、前記通知信号を受信した場合に、当該通知信号に基づいて、第2のネットワーク通信部を切断した後に接続状態に移行する、または前記第2のネットワーク通信部における伝送速度を変更する請求項3または請求項4に記載のネットワーク中継装置。
前記第1のネットワーク通信部と前記第2のネットワーク通信部の両方、またはいずれか一方は、無線通信部である請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のネットワーク中継装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、無線LANコンバータの下位側に他のクライアント装置(例えばPC)が接続されている場合、当該PCは、無線LANコンバータの上位側においてネットワークの設定が変更されたことを知ることができない。
【0007】
例えば、上述のように無線LANコンバータと無線LANルータとの接続が途切れて、無線LANコンバータにIPアドレスが再度割り当てられたとしても、PCと無線LANコンバータとの間は有線LANの接続が維持されているため、PCと無線LANコンバータとの接続は途切れることがない。したがってPCは、そのままのIPアドレスで稼働を続けることになり、ネットワーク通信ができない状態になる。
【0008】
すなわち、下位側の装置は、上位側でネットワークの設定が変更された場合に、当該ネットワークの設定が変更されたことを知ることができず、そのままの状態で稼働を続けることになっていた。
【0009】
そこで、この発明は、上位側でネットワークの設定が変更された場合において、下位側にもネットワークの設定の変更を反映させることが可能なネットワーク中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のネットワーク中継装置は、第1のネットワーク通信部と、第2のネットワーク通信部と、第1のネットワーク通信部および第2のネットワーク通信部を制御する制御部と、を備えている。
【0011】
ネットワーク中継装置とは、例えば無線LANコンバータ、ルータ、無線LANアクセスポイント、無線リピータ、ハブ等である。
【0012】
第1のネットワーク通信部は、上位側のインタフェース(例えばWANポート)であり、第2のネットワーク通信部は、下位側のインタフェース(例えばLANポート)である。
【0013】
制御部は、第1のネットワーク通信部が切断された後に接続状態に移行したことを検知した場合に、前記第2のネットワーク通信部を切断した後に接続状態に移行させる。
【0014】
すなわち、制御部は、上位側のリンクが解除された後に再接続された場合に、下位側のリンクを解除して再接続する。これにより、下位側のクライアント装置は、上位側のクライアント装置との接続が途切れることになり、IPアドレスの再取得を行う。そのため、上位側でIPアドレスが変更された場合において、下位側にもIPアドレスの変更を反映させることができる。
【0015】
なお、制御部は、第2のネットワーク通信部を切断した後に接続状態に移行させた場合に、その旨を示す通知信号を第2のネットワーク通信部を介して送信するようにしてもよい。この場合、下位側に通知信号によって再接続を促すことが可能になる。
【0016】
なお、本発明のネットワーク中継装置は、第1のネットワーク通信部が切断された後に接続状態に移行したことを検知した場合、第2のネットワーク通信部におけるアドレスが変更された場合、または前記第2のネットワーク通信部における伝送速度を変更した場合、の少なくともいずれかの状態が発生した場合に、前記第2のネットワーク通信部を介して、各状態が発生したことを示す通知信号を送信する態様とすることも可能である。
【0017】
例えば、ネットワーク中継装置がルータの場合を説明する。ルータは、LAN側のIPアドレスが192.168.0.1から192.168.1.1に変更された場合、当該IPアドレスが変更されたことを示す通知信号を下位側に送信する。下位側に接続されたクライアント装置は、当該通知信号を受信することで、上位側のIPアドレスが変更された旨を知ることができる。したがって、下位側のクライアント装置は、IPアドレスのリクエストを行うことができる。
【0018】
また、ルータは、下位側の伝送速度が変更された場合に、当該伝送速度が変更された旨を示す通知信号を送信する。例えば、有線LANの伝送速度が100BASEから10BASEに変更された場合、無線LANのIEEE802.11nからIEEE802.11gに変更された場合、3ストリーム(送信3チャネル×受信3チャネル)から2ストリーム(送信2チャネル×受信2チャネル)に変更された場合、等である。
【0019】
例えば、ルータと、当該ルータに有線で接続された無線LANアクセスポイントとの間の伝送速度が省電力のために低速の10BASEに切り替えられた場合を考える。この場合において、無線LANアクセスポイントに無線で接続された無線LANコンバータと、当該無線LANコンバータに有線で接続されたPCとの伝送速度が100BASEのままとなっていれば、上位側では10BASEの伝送速度であるのに対し、下位側では100BASEの伝送速度のままとなっているため、無駄な電力を消費してしまう場合もある。しかし、本発明によれば、通知信号を受信したクライアント装置(例えば無線LANコンバータ)は、上位側の伝送速度が変更された旨を知ることができ、無線LANコンバータ自身の下位側の伝送速度を変更することができる。
【0020】
なお、制御部は、通知信号として、伝送速度に関する情報を含めて送信することが好ましい。この場合、制御部は、他のネットワーク中継装置から、伝送速度に関する情報が含まれた通知信号を受信した場合に、当該伝送速度に関する情報に基づいて、第2のネットワーク通信部における伝送速度を、他のネットワーク中継装置の伝送速度に対応させる。これにより、例えば100BASEから10BASEに変更された場合、10BASEに変更された情報を含めて送信することで、LAN内の伝送速度を10BASEに統一することができる。
【0021】
なお、通知信号は、ブロードキャストで送信されることが好ましい。ブロードキャストで送信することで、ネットワーク内の全ての装置に通知信号を送信することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、上位側でネットワークの設定が変更された場合において、下位側にもネットワークの設定の変更を反映させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るネットワークシステムのブロック図である。
図1におけるネットワークシステムは、インターネット200に接続される無線LANルータ1と、無線LANルータ1に無線で接続される無線LANコンバータ10と、無線LANコンバータ10に有線で接続されるPC3AおよびPC3Bと、を備えている。
【0025】
無線LANルータ1は、無線LANアクセスポイントの機能とルータの機能とを備えたネットワーク中継装置である。また、無線LANルータ1は、DHCPサーバの機能も備えている。
図2は、無線LANルータ1の構成を示すブロック図である。
【0026】
無線LANルータ1は、CPU11、RAM12、フラッシュROM13、有線通信部(WANポート)14、無線通信部15、表示部16、および有線通信部(LANポート)17を備えている。
【0027】
CPU11は、制御部に相当し、フラッシュROM13に記憶されているファームウェア(プログラム)をワークメモリであるRAM12に展開し、無線LANルータ1の動作を統括的に制御する。CPU11は、当該ファームウェアによりDHCPサーバの機能を実現し、各端末からのIPアドレスのリクエストに応じてIPアドレスを割り当てる。
【0028】
有線通信部14は、WAN側のインタフェースであり、例えばADSLモデムやFTTH回線終端装置等を介してインターネット200に接続される。無線LANルータ1では、有線通信部14が上位側のポート(ここではWANポート)となる。
【0029】
有線通信部17は、下位側のポート(LANポート)であり、有線LANの規格に準じて、他の有線通信機能を有した装置とデータ送受信を行う。有線通信部17が用いる規格としては、主にIEEE802.3i(10BASE−T)、IEEE802.3u(100BASE−TX)、IEEE802.3ab(1000BASE−T)等がある。以下、これら規格名は、単に10BASE、100BASE、および1000BASE等と称する。
【0030】
無線通信部15は、アンテナや無線コントローラを内蔵し、無線LANの規格に準じて、他の無線通信機能を有した装置とデータ送受信を行う。
図1の例では、無線通信部15は、無線LANコンバータ10と無線通信機能を介してデータ送受信を行う。無線通信部15も、下位側のポート(LANポート)に相当する。
【0031】
無線通信部15が用いる規格としては、主にIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n、およびIEEE802.11ac等がある。以下、これら規格名は、単に11a、11b、11g、11n、および11ac等と称する。
【0032】
また、無線通信部15が用いる周波数としては、主に5GHz帯(11a、11n、および11acで用いる。)および2.4GHz帯(11b、11g、および11nで用いる。)がある。また、無線通信部15は、同時に使用するアンテナ数が1本である1ストリーム(送信1チャネル×受信1チャネル)、同時に使用するアンテナ数が2本である2ストリーム(送信2チャネル×受信2チャネル)、または同時に使用するアンテナ数が3本である3ストリーム(送信3チャネル×受信3チャネル)等の並列処理も行う。ただし、規格や周波数、チャンネル数は一例であり、例えばさらなる多チャンネル化処理も可能である。
【0033】
表示部16は、LEDやLCD等の表示機能を有する。表示部16は、無線LANルータ1の現在の動作状態を示す。例えば、電源オン、オフの状態を示したり、有線LANの現在の伝送速度(1000BASEであるか、100BASEであるか、10BASEであるか)を示したり、無線LANの現在の使用周波数帯域を示したりする。
【0034】
次に、
図3は、無線LANコンバータ10の構成を示すブロック図である。無線LANコンバータ10は、無線LANと有線LANとを相互にデータ送受信可能とするネットワーク中継装置である。
図3に示すように、無線LANコンバータ10は、CPU21、RAM22、フラッシュROM23、無線通信部24、有線通信部25、および表示部26を備えている。
【0035】
CPU21は、制御部に相当し、フラッシュROM23に記憶されているファームウェア(プログラム)をワークメモリであるRAM22に展開し、無線LANコンバータ10の動作を統括的に制御する。
【0036】
CPU21は、無線通信部24を介して無線LANルータ1に対してリンクが確立された後、IPアドレスのリクエストを行う。無線LANルータ1では、DHCPサーバの機能により、無線LANコンバータ10にIPアドレスを割り当てる。IPアドレスが割り当てられると、無線LANルータ1とネットワーク通信が可能になる。
【0037】
無線通信部24は、アンテナや無線コントローラを内蔵し、無線LANの規格に準じて、他の無線通信機能を有した装置とデータ送受信を行う。無線通信部24が用いる規格としては、上述の無線LANルータ1における無線通信部15と同様である。無線LANコンバータ10では、無線通信部24が上位側のポート(LANポート)となる。
【0038】
有線通信部25は、有線LANの規格に準じて、他の有線通信機能を有した装置とデータ送受信を行う。有線通信部25が用いる規格としては、10BASE、100BASE、または1000BASEである。無線LANコンバータ10では、有線通信部25が下位側のポート(LANポート)となる。有線通信部25には、PC3AおよびPC3Bが接続される。
【0039】
PC3AおよびPC3Bは、それぞれ一般的なパーソナルコンピュータであり、詳細な構成の図示および動作についての説明は省略する。PC3AおよびPC3Bは、無線LANコンバータ10を介して無線LANルータ1にIPアドレスのリクエストを行うことにより、IPアドレスが割り当てられる。これにより、PC3AおよびPC3Bは、ネットワーク通信が可能になる。
【0040】
この例では、無線LANコンバータ10が本発明のネットワーク中継装置に相当し、無線通信部24は、本発明における第1のネットワーク通信部に相当し、有線通信部25は、本発明における第2のネットワーク通信部に相当する。
【0041】
無線LANコンバータ10は、上位側のポートである無線通信部24の接続が切断され、その後に接続状態に移行したときに、下位側のポートである有線通信部25の接続を解除した後に再接続する。これにより、無線LANルータ1のLAN側のIPアドレスが変更される等して、無線LANルータ1と無線LANコンバータ10の接続が解除された場合に、PC3AおよびPC3BにIPアドレスの再取得を実行させることができる。
【0042】
図4(A)は、無線LANコンバータ10(CPU21)の動作を示したフローチャートである。
図4(B)は、PC3AおよびPC3Bの動作を示したフローチャートである。
【0043】
図4(A)に示すように、無線LANコンバータ10(CPU21)は、上位側のポートである無線LANのリンクがあるか否かを判断する(s11)。無線LANのリンクが切断されるまではこの判断を繰り返す。無線LANのリンクが解除され、無線LANルータ1との接続が切断されたと判断した場合、次に無線LANが再接続されるまで待機する(s12)。
【0044】
そして、CPU21は、無線LANが再接続された場合に、下位側のポートである有線LANのリンクを解除し、再接続する(s13)。なお、CPU21は、無線LANが再接続されたときに、無線LANルータ1にIPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得する。
【0045】
一方、
図4(B)に示すように、PC3AおよびPC3Bは、有線LANの接続がなされているか否かを判断する(s21)。有線LANが切断されるまではこの判断を繰り返す。有線LANが切断されたと判断した場合、次に有線LANが再接続されるまで待機する(s22)。そして、PC3AおよびPC3Bは、有線LANが再接続された場合に、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得する(s23)。PC3AおよびPC3Bとの有線LANおよびPC3Bにおけるこのような動作は、一般的なOSに搭載された機能により実現される。
【0046】
これにより、PC3AおよびPC3Bは、無線LANルータ1と無線LANコンバータ10の接続が解除された後に再接続された場合に、IPアドレスの再取得を行うことになり、上位側のIPアドレスが変更された場合に、下位側でもIPアドレスの変更を行うことができる。例えば、無線LANルータ1のLAN側のIPアドレスが192.168.0.1から192.168.1.1に変更された場合、無線LANコンバータ10は、無線LANルータ1との接続が一旦解除されるため、IPアドレスを再取得して、例えば192.168.1.2のIPアドレスが割り当てられる。このときに、下位側のPC3AおよびPC3Bも、無線LANコンバータ10との接続が一旦解除されるため、IPアドレスを再取得して、例えばそれぞれ192.168.1.3および192.168.1.4のIPアドレスが割り当てられる。これにより、PC3AおよびPC3Bにおいてもネットワーク通信が可能になる。
【0047】
また、上述の無線LANルータ1が仮にモバイルルータ(WAN側が無線:移動体通信であるもの)であった場合、IPアドレスの競合が発生する場合がある。例えば、PC3BがモバイルPCであり、自宅ではPC3Aに192.168.0.2のIPアドレスが割り当てられ、PC3Bに192.168.0.3のIPアドレスが割り当てられた状態において、外出先でモバイルルータと再接続された場合に、モバイルPCであるPC3Bに192.168.0.2のIPアドレスが割り当てられる場合がある。自宅においては、PC3Aは、無線LANコンバータ10との接続が維持されているため、192.168.0.2のIPアドレスが維持されている。したがって、このままでは、PC3AのIPアドレスと、PC3BのIPアドレスが重複する。この場合も、本実施形態の無線LANコンバータ10であれば、モバイルルータを自宅に持ち帰った時点で、PC3Aと無線LANコンバータ10との接続が解除された後に再接続されることになり、IPアドレスの再取得を行うことになるため、IPアドレスの競合が発生することがない。
【0048】
次に、
図5(A)は、変形例に係る無線LANコンバータ10(CPU21)の動作を示したフローチャートである。
図4(A)と共通する動作については、同一の符号を付し、説明を省略する。
図5(B)は、変形例に係るPC3AおよびPC3Bの動作を示したフローチャートである。
【0049】
図5(A)に示すように、無線LANコンバータ10(CPU21)は、無線LANが再接続された場合に、下位側のポートである有線通信部25を介して通知信号を送信する(s33)。この例では、通知信号は、上位側のリンクが解除された後に再接続されたことを示す情報が含まれている。通知信号は、ブロードキャストでネットワーク全体に送信されることが好ましい。
【0050】
図5(B)に示すように、PC3AおよびPC3Bは、他のネットワーク中継装置(無線LANコンバータ10)から通知信号を受信した場合(s41)、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得する(s42)。このような動作は、PC3AおよびPC3Bに搭載されたアプリケーションプログラムやドライバ等の動作により実現することができる。
【0051】
以上のようにしても、上位側のIPアドレスが変更された場合に、下位側でもIPアドレスの変更を行うことができる。なお、無線LANコンバータ10は、無線LANが再接続された場合に、下位側のポートである有線LANのリンクを解除し、再接続しつつ、さらに通知信号を送信するようにしてもよい。
【0052】
なお、上述の例では、無線LANコンバータ10が本発明のネットワーク中継装置に相当する態様を示したが、無線LANルータ1が本発明のネットワーク中継装置に相当する動作を行うことも可能である。
【0053】
例えば、無線LANルータ1は、上位側の有線通信部14の接続が解除された後に再接続された場合に、下位側の無線通信部15の接続を解除し、後に再接続することで、LAN側のネットワークをリセットすることができる。また、無線LANルータ1は、上位側の有線通信部14の接続が解除された後に再接続された場合に、
図5(A)に示したように、下位側の無線通信部15を介して通知信号を送信することでもLAN側のネットワークをリセットすることができる。なお、この場合、下位側に接続されている無線LANコンバータ10は、
図5(B)に示したように、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得する。また、無線LANコンバータ10は、
図5(C)に示すように、通知信号を受信した場合に(s51)、下位側のポートである有線LANのリンクを解除し、再接続する(s52)動作を行ってもよい。これにより、下位側のPC3AおよびPC3Bは、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得することになる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、
図6は、第2実施形態に係るネットワークシステムのブロック図である。
図1と共通する構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図6におけるネットワークシステムは、無線LANルータ1に無線で接続される無線リピータ100と、無線LANルータ1に有線で接続されるハブ250と、をさらに備えている。
【0055】
図7は、無線リピータ100の構成を示すブロック図である。無線リピータ100は、CPU31、RAM32、フラッシュROM33、無線通信部34、および表示部36を備えている。
【0056】
CPU31は、制御部に相当し、フラッシュROM33に記憶されているファームウェア(プログラム)をワークメモリであるRAM32に展開し、無線リピータ100の動作を統括的に制御する。
【0057】
CPU31は、無線通信部34を介して無線LANルータ1に接続されるとともに、無線通信部34を介してPC3Cにも接続される。無線リピータ100は、無線中継機であり、無線LANの親機としての機能と子機としての機能を同時に行うものである。これにより、無線リピータ100は、無線通信部34を介して無線LANルータ1とPC3Cとの無線通信を中継する。なお、無線LANルータ1や無線LANコンバータ10についても、ソフトウエア動作により無線リピータ100と同じ機能を実現することができる。
【0058】
なお、本実施形態の無線リピータ100におけるCPU31は、上位側ポートが接続されたときに、無線LANルータ1にIPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを取得するDHCPクライアント機能を有する。
【0059】
このような無線リピータ100についても、本発明のネットワーク中継装置の動作を実現することができる。すなわち、無線リピータ100は、上位側のポートである無線LANルータ1との接続が解除された後に再接続された場合に、下位側のポートであるPC3Cとの接続を解除し、再接続する。これにより、PC3Cは、無線LANルータ1と無線リピータ100の接続が解除された後に再接続された場合に、IPアドレスの再取得を行うことになり、上位側のIPアドレスが変更された場合に、下位側でもIPアドレスの変更を行うことができる。
【0060】
図8は、ハブ250の構成を示すブロック図である。ハブ250は、CPU41、RAM42、フラッシュROM43、有線通信部(LANポート)44、表示部46、および有線通信部(LANポート)47を備えている。
【0061】
CPU41は、制御部に相当し、フラッシュROM43に記憶されているファームウェア(プログラム)をワークメモリであるRAM42に展開し、ハブ250の動作を統括的に制御する。
【0062】
CPU41は、有線通信部44を介して無線LANルータ1の有線通信部(LANポート)17に接続されるとともに、有線通信部47を介してPC3DおよびPC3Eにも接続される。ハブ250は、有線LAN中継機であり、この例ではスイッチング機能を有する。
【0063】
なお、本実施形態のハブ250におけるCPU41は、上位側ポートが接続されたときに、無線LANルータ1にIPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを取得するDHCPクライアント機能を有する。
【0064】
このようなハブ250についても、本発明のネットワーク中継装置の動作を実現することができる。すなわち、ハブ250は、上位側のポートである有線通信部44による無線LANルータ1との接続が解除された後に再接続された場合に、下位側のポートである有線通信部47によるPC3DおよびPC3Eとの接続を解除し、再接続する。これにより、PC3DおよびPC3Eは、無線LANルータ1とハブ250の接続が解除された後に再接続された場合に、IPアドレスの再取得を行うことになり、上位側のIPアドレスが変更された場合に、下位側でもIPアドレスの変更を行うことができる。
【0065】
なお、ハブ250における上位側のポートの接続解除の検知に関しては、例えば以下の様にしてもよい。ハブ250は、いずれかのポートの切断を検出した場合に、接続状態にある全ポートに対してデフォルトゲートウェイアドレス(ルータ装置のLAN側IPアドレス)に向けてPing等の確認信号を送信する。ハブ250は、当該確認信号に対する応答がある場合は上位側ポートの接続は維持されていると判断し、応答が無い場合は上位側ポートの接続が解除されたと判断する。
【0066】
また、ハブ250は、いずれかのポートの接続を検出した場合も、接続状態にある全ポートに対してデフォルトゲートウェイアドレス(ルータ装置のLAN側IPアドレス)に向けてPing等の確認信号を送信し、当該確認信号に対する応答がある場合は上位側ポートの接続がなされており、応答が無い場合は上位側ポートの接続がなされていないと判断してもよい。なお、ハブ250は、応答があったポートの識別情報(例えばポートの番号等)をRAM42やフラッシュROM43等の記憶部に記憶する構成としてもよい。この場合、上位側ポートを判別した後は、上位側ポート以外のポートの切断および接続のたびに上記判断の動作を行う必要がなくなる。無論、ハブ250のみならず、その他のネットワーク中継装置においても同様の動作を行ってもよい。
【0067】
なお、無線リピータ100およびハブ250においても、
図5(A)に示したように通知信号を送信してもよい。また、無線リピータ100およびハブ250は、他のネットワーク中継装置から通知信号を受信した場合に、
図5(C)に示したように、下位側のポートのリンクを解除し、再接続する動作を行ってもよい。これにより、例えば
図9に示すように、無線LANコンバータ10の下位側にハブ250が接続されている場合においても、無線LANコンバータ10から送信された通知信号により、ハブ250が下位側の有線LANのリンクを解除して再接続するため、ハブ250に接続されているPC3DおよびPC3Eは、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得することになる。
【0068】
(第3実施形態)
次に、
図10は、第3実施形態に係るネットワークシステムのブロック図である。
図6と共通する構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図10におけるネットワークシステムは、無線LANルータ1に代えて、インターネット200に接続されるルータ1Aと、ルータ1Aに有線で接続される無線LANアクセスポイント50と、をさらに備えている。無線LANコンバータ10および無線リピータ100は、無線LANアクセスポイント50に無線で接続される。ハブ250は、ルータ1Aと有線で接続される。
【0069】
図11は、ルータ1Aの構成を示すブロック図である。ルータ1Aは、
図2に示した無線LANルータ1に対して、無線通信部15の構成およびその機能が省略されたものであり、無線LANルータ1と同じ構成および機能を有する。そのため、ルータ1Aにおいても本発明のネットワーク中継装置の動作を実現することができる。
【0070】
図12は、無線LANアクセスポイント50の構成を示すブロック図である。無線LANアクセスポイント50は、CPU51、RAM52、フラッシュROM53、無線通信部54、有線通信部55、および表示部56を備えている。
【0071】
CPU51は、制御部に相当し、フラッシュROM53に記憶されているファームウェア(プログラム)をワークメモリであるRAM52に展開し、無線LANアクセスポイントの動作を統括的に制御する。
【0072】
CPU51は、有線通信部55を介してルータ1Aの有線通信部(LANポート)17に接続されるとともに、無線通信部54を介して無線LANコンバータ10および無線リピータ100にも接続される。
【0073】
なお、本実施形態の無線LANアクセスポイント50におけるCPU51は、上位側ポートが接続されたときに、無線LANルータ1にIPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを取得するDHCPクライアント機能を有する。
【0074】
無線LANアクセスポイント50についても、本発明のネットワーク中継装置の動作を実現することができる。すなわち、無線LANアクセスポイント50は、上位側のポートである有線通信部55によるルータ1Aとの接続が解除された後に再接続された場合に、下位側のポートである無線通信部54による他の装置(無線LANコンバータ10および無線リピータ100)との接続を解除し、再接続する。他の装置との接続を解除するためには、各装置との無線接続自体を一旦解除してもよいし、無線通信部54の動作を停止した後に再起動させてもよい。無線LANコンバータ10および無線リピータ100は、それぞれ上位側との接続が解除された後に再接続されるため、それぞれ下位側のPCとの接続を解除した後に再接続する。これにより、上位側のIPアドレスが変更された場合に、下位側のPCでもIPアドレスの変更を行うことができる。
【0075】
なお、無線LANアクセスポイント50においても、
図5(A)に示したように通知信号を送信してもよい。また、無線LANアクセスポイント50は、他のネットワーク中継装置から通知信号を受信した場合に、
図5(C)に示したように、下位側のポートのリンクを解除し、再接続する動作を行ってもよい。
【0076】
次に、
図13は、応用例に係るルータ(無線LANルータ1およびルータ1A)の動作を示すフローチャートである。一般に、ルータ(無線LANルータ1およびルータ1A)は、LAN側のIPアドレスを変更することが可能である。ここでは、
図10のルータ1Aを参照して、ルータ1AのLAN側のIPアドレスを変更した場合の動作について説明する。
【0077】
ルータ1Aは、
図13(A)に示すように、自身のLAN側のIPアドレスが変更された場合(s61)、下位側のポートに対して、自身のIPアドレスが変更された旨を示す通知信号を送信する(s62)。この通知信号も、ブロードキャストで送信されることが好ましい。一般に、ルータは、LAN側のIPアドレスを変更した場合、下位側のリンクを解除して再接続するが、この例では、IPアドレスを変更した旨を示す通知信号を送信する。
図9に示すように、当該通知信号は、まずハブ250および無線LANアクセスポイント50に送信される。
【0078】
下位側の各装置は、ルータ1AからIPアドレスを変更した旨の通知信号を受信した場合、
図5(B)に示したように、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得する。また、下位側の各装置は、
図5(C)に示すように、IPアドレスを変更した旨の通知信号を受信した場合に、自装置の下位側のポートのリンクを解除し、再接続する動作を行う。これにより、例えばハブ250に接続されたPC3DおよびPC3Eは、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得することになる。また、無線LANアクセスポイント50に接続された無線LANコンバータ10および無線リピータ100においても、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得することになるとともに、下位側のポートのリンクを解除し、再接続するため、PC3A、PC3B、およびPC3Cにおいても、IPアドレスのリクエストを行い、IPアドレスを再取得することになる。
【0079】
次に、
図14(A)は、他の応用例に係るネットワーク中継装置の動作を示すフローチャートである。この例におけるネットワーク中継装置の動作は、上述の無線LANルータ1、ルータ1A、無線LANコンバータ10、無線リピータ100、ハブ250、または無線LANアクセスポイント50のいずれかの装置が行うものである。ここでは、代表して、
図6における無線LANルータ1について説明する。
【0080】
無線LANルータ1は、
図14(A)に示すように、下位側のポートの伝送速度を変更した場合(s81)、伝送速度を変更した旨を示す通知信号を送信する(s82)。この通知信号も、ブロードキャストで送信されることが好ましい。
【0081】
伝送速度を変更した場合とは、例えば、有線LANが100BASEから10BASEに変更された場合、無線LANが11nから11gに変更された場合、3ストリームから2ストリームに変更された場合、等である。あるいは、逆に有線LANが10BASEから100BASEに変更された場合、無線LANが11gから11nに変更された場合、2ストリームから3ストリームに変更された場合、等である。通知信号には、伝送速度に関する情報として、変更後の状態(100BASEである、11gである、2ストリームである、等)を示す情報が含まれていることが好ましい。
【0082】
図6の構成を例に取ると、無線LANルータ1は、ハブ250との間の伝送速度が省電力のために低速の10BASEに切り替えられた場合に、無線LANコンバータ10および無線リピータ100に対し、有線LANを10BASEに変更した旨の通知信号を送信する。
【0083】
下位側の各装置は、
図14(B)に示すように、無線LANルータ1から伝送速度が変更された旨を示す通知信号を受信した場合(s91)、上位側の伝送速度の変更に対応して、自装置の伝送速度の変更を行う(s92)。例えば、
図6の例において、無線LANルータ1が、有線LANを100BASEから10BASEに変更した場合、無線LANコンバータ10は、PC3AおよびPC3Bとの有線LANの接続を10BASEに変更する。これにより、LAN内の伝送速度を10BASEに統一することができ、無駄な電力を消費することを防止する。
【0084】
また、無線LANルータ1は、大容量のデータを送受信する場合に、ハブ250との間の伝送速度を100BASEまたは1000BASEに切り替える場合もある。この場合も、無線LANコンバータ10および無線リピータ100に対し、有線LANを100BASEまたは1000BASEに変更した旨の通知信号を送信する。したがって、LAN内の伝送速度を100BASEまたは1000BASEに戻すことができ、データ転送のボトルネックを解消することも可能になる。