【解決手段】処理装置1は、被処理流体100に所定の処理を施すための処理領域10と、処理後の被処理流体100を排出するための排出口20と、処理領域10内に被処理流体100を供給するための供給用回転体40と、を備え、供給用回転体40は、処理領域10外に配置される処理領域外面40b、および処理領域10内に配置される処理領域内面40aを有し、回転軸Cを中心に回転する本体41と、処理領域外面40bに設けられる供給用吸入口42と、処理領域内面40aにおいて供給用吸入口42よりも回転軸Cから遠心方向外側の位置に設けられる供給用吐出口44と、供給用吸入口42と供給用吐出口44を繋ぐ供給用流通路46と、を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0021】
まず、本実施形態に係る処理装置1の構造について説明する。
図1は、処理装置1の一例を示した概略断面図である。本実施形態の処理装置1は、液体の被処理流体100を貯留する貯留領域である貯留槽110内から被処理流体100を取り出して濾過処理を施し、処理後の被処理流体100を貯留槽110に戻すものである。
【0022】
同図に示されるように、処理装置1は、被処理流体100に濾過処理を施すための処理領域10と、処理後の被処理流体100を貯留槽110内に戻すための排出口20と、処理領域10からオーバーフロー(越流)した被処理流体100を貯留槽110内に戻すための越流口30と、貯留槽110内から処理領域10内に被処理流体100を供給するための供給用回転体40と、を備えている。
【0023】
処理領域10は、貯留槽110の上部に配置される箱体12の内部空間であり、箱体12によって貯留槽110から略隔離された空間となっている。箱体12は、処理領域10を上方から覆う上壁12aと、処理領域10の下方から覆う底壁12bと、上壁12aおよび底壁12bを繋ぎ、処理領域10を側方から覆う側壁12cと、から構成されている。箱体12は、支持部材14を介して貯留槽110の上部に配置されており、底壁12bおよび側壁12cの下側の一部が貯留槽110内の被処理流体100に浸漬された状態となっている。
【0024】
処理領域10内には、被処理流体100を濾過し、不純物等を取り除くためのフィルタ16が配置されている。より詳細には、フィルタ16は、処理領域10を供給用回転体40側の第1室10aと、排出口20側の第2室10bに仕切るように配置されている。すなわち、本実施形態の処理装置1では、被処理流体100は、まず供給用回転体40によって第1室10a内に流入し、その後フィルタ16を通過して濾過された後に第2室10b内に流入し、最終的に排出口20を通過して再び貯留槽110に戻るようになっている。
【0025】
本実施形態では、処理領域10内に目の粗さの異なる3つのフィルタ16を配置するようにしている。フィルタ16は、上壁12aに設けられた扉(図示省略)を介して容易に取り外し可能となっており、洗浄や交換等のメンテナンスがきわめて容易となっている。なお、上壁12aに扉を設けるのではなく、上壁12aに開口を設け、この開口を介してフィルタ16を取り外すようにしてもよい。また、上壁12aを省略し、処理領域10の上部を開放状態とするようにしてもよい。
【0026】
排出口20は、箱体12の底壁12bに設けられた開口であり、第2室10bと貯留槽110を連通するように構成されている。なお、排出口20は、箱体12の側壁12cに設けられるものであってもよい。
【0027】
越流口30は、箱体12の第1室10a側の側壁に設けられた開口であり、排出口20よりも上方に設けられている。本実施形態では、箱体12を貯留槽110の上部に配置することにより、越流口30から流出した被処理流体100は、そのまま貯留槽110内に落下するようになっている。
【0028】
すなわち、本実施形態の処理装置1では、フィルタ16の目詰まりによってフィルタ16を通過可能な流量が極端に減少した場合にも、被処理流体100は越流口30を介して貯留槽110内にそのまま戻るようになっており、特別な漏洩対策等は不要となっている。なお、箱体12の上部の全体または一部を開放することにより、越流口30を構成するようにしてもよい。また、被処理流体100を貯留槽110内に誘導する適宜の配管や樋等を、越流口30に設けるようにしてもよい。
【0029】
供給用回転体40は、モータ等の駆動装置50に駆動されて回転することにより、貯留槽110内の被処理流体100を吸引し、処理領域10の第1室10a内に吐出するものである。また、本実施形態では、供給用回転体40に貯留槽110の被処理流体100を攪拌する機能も持たせるようにしている。供給用回転体40は、箱体12の底壁12bに設けられた略円形状の回転体用開口18内に挿通された状態で配置されており、上壁12aに固定された駆動装置50と駆動軸60を介して接続されている。
【0030】
図2(a)は、供給用回転体40の平面図であり、同図(b)は、供給用回転体40の正面図(側面図)である。これらの図に示されるように、供給用回転体40の本体41は、略円柱状に構成されており、本体41の表面は、略円形状の上面41aおよび底面41b、ならびに外周面である側面41cから構成されている。
【0031】
供給用回転体40は、
図2(b)に示されるように、箱体12の底壁12bに設けられた回転体用開口18内に挿通された状態で配置される。従って、本体41の上面41aおよび側面41cの上面41a側の部分は、処理領域10内に位置する処理領域内面40aとなっている。また、本体41の底面41bおよび側面41cの底面41b側の部分は、処理領域10外に位置する処理領域外面40bとなっている。なお、供給用回転体40と回転体用開口18との間には、パッキンやラビリンス等の適宜のシール機構を必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0032】
本体41の表面には、1つの供給用吸入口42および複数の供給用吐出口44が設けられ、本体41の内部には、供給用吸入口42と各供給用吐出口44を繋ぐように形成された供給用流通路46が設けられている。本体41の表面にはさらに、複数の攪拌用吸入口43および複数の攪拌用吐出口45が設けられており、攪拌用吸入口43と攪拌用吐出口45を繋ぐ攪拌用流通路47が本体41の内部に設けられている。
【0033】
また、本体41の上面41aの中心には、駆動軸60が接続される接続部48が設けられている。従って、供給用回転体40は、駆動装置50に駆動され、中心軸Cを回転軸として回転するように構成されている。なお、駆動軸60と接続部48の接続方法は、例えば止めネジや係合、クランプ等、既知のいずれの方法であってもよい。
【0034】
供給用吸入口42は、処理領域外面40bの一部である底面41bの略中心に設けられ、中心軸Cと略同一方向に向けられている。供給用吐出口44は、処理領域内面40aの一部である側面41cの上面41a側に設けられている。本実施形態では、4つの供給用吐出口44を設けており、各供給用吐出口44は、供給用吸入口42に対して本体41の半径方向(遠心方向)外側となる位置(中心軸Cから中心軸Cに垂直な方向に離れた位置)に配置されている。また、供給用吐出口44は、中心軸Cに対して略直交する方向に向けられている。
【0035】
供給用流通路46は、1つの供給用吸入口42と4つの供給用吐出口44を繋ぐトンネル状の通路として形成されている。従って、供給用流通路46は、供給用吸入口42から中心軸C方向に沿って直進した後に4つに分岐し、本体41の遠心方向に向けて直進して各吐出口44に到達するように形成されている。
【0036】
攪拌用吸入口43は、供給用吸入口42と同様に、処理領域外面40bの一部である底面41bに設けられている。本実施形態では、4つの攪拌用吸入口43を、中心軸Cを中心とする円周上に等間隔に並べて配置している。また、攪拌用吸入口43は、中心軸Cと略同一方向に向けられている。攪拌用吐出口45は、供給用吐出口44とは異なり、処理領域外面40bの一部である側面41cの底面41b側に設けられている。本実施形態では、4つの攪拌用吐出口45を設けており、各攪拌用吐出口45は、攪拌用吸入口43に対して本体41の半径方向(遠心方向)外側となる位置(中心軸Cから中心軸Cに垂直な方向に離れた位置)に配置されている。また、攪拌用吐出口45は、中心軸Cに対して略直交する方向に向けられると共に、周方向における位置が供給用吐出口44と略同一となるように配置されている。
【0037】
攪拌用流通路47は、1つの攪拌用吸入口43と1つの攪拌用吐出口45を繋ぐトンネル状の通路として形成されている。従って、本体41の内部には、4つの攪拌用流通路47が形成されている。本実施形態では、各攪拌用流通路47は、攪拌用吸入口43から中心軸C方向に沿って直進した後に直角に曲がり、本体41の遠心方向に向けて直進して攪拌用吐出口45に到達するように形成されている。
【0038】
なお、以下の説明では、供給用吸入口42および攪拌用吸入口43をまとめて吸入口42、43と呼ぶ場合がある。同様に、供給用吐出口44および攪拌用吐出口45をまとめて吐出口44、45と、供給用流通路46および攪拌用流通路47をまとめて流通路46、47と、呼ぶ場合がある。
【0039】
被処理流体100中に供給用回転体40を浸漬して中心軸Cを中心に回転させると、流通路46、47内に進入した被処理流体100も供給用回転体40と共に回転することとなる。すると、流通路46、47内の被処理流体100に遠心力が作用し、
図2(a)および(b)に示されるように、流通路46、47内の被処理流体100は供給用回転体40の半径方向外側に向けて流動する。
【0040】
吐出口44、45は、吸入口42、43よりも供給用回転体40の半径方向外側に設けられているため、吐出口44、45では吸入口42、43よりも強い遠心力が働くこととなる。従って、被処理流体100は、供給用回転体40が回転している限り吸入口42、43から吐出口44、45に向けて流動する。すなわち、流通路46、47内の被処理流体100が吐出口44、45から噴出すると共に、外部の被処理流体100が吸入口42、43から流通路46、47内に吸引されることとなる。
【0041】
供給用吸入口42は処理領域外面40bに設けられ、供給用吐出口44は処理領域内面40aに設けられている。従って、供給用回転体40が回転している限り、処理領域10外の被処理流体100は、供給用吸入口42から吸引されて供給用流通路46を通過し、供給用吐出口44から処理領域10内に噴出することとなる。すなわち、回転する供給用回転体40によって、貯留槽110内の被処理流体100が処理領域10内に供給される。
【0042】
一方、攪拌用吸入口43および攪拌用吐出口45は、いずれも処理領域外面40bに設けられている。従って、供給用回転体40の回転によって攪拌用吸入口43に吸引された被処理流体100は、攪拌用流通路47を通過した後に攪拌用吐出口45から貯留槽110内に噴出することとなる。これにより、処理領域10外、すなわち貯留槽110内の被処理流体100には、供給用吸入口42および攪拌用吸入口43のある底面41bに向かう流動と共に、攪拌用吐出口45のある側面41cから放射状に広がる流動が発生することとなる。なお、底面41bに向かう流動は、攪拌用吸入口43の回転により比較的強い旋回流となる。
【0043】
本実施形態ではこのように、供給用回転体40によって被処理流体100を貯留槽110から処理領域10内に供給するだけでなく、貯留槽110内の被処理流体100に2種類の流動を発生させ、これにより、貯留槽110内の被処理流体100を適宜に攪拌するようにしている。そして、この結果、きわめて簡便な構成でありながらも、被処理流体100に対する濾過処理を、効率的に行うことを可能としている。
【0044】
なお、本実施形態では、本体41を略円柱状に構成しているが、本体41の形状はこれに限定されるものではなく、例えば球状や半球状、多角柱状等、その他の任意の形状を採用することができる。また、吸入口42、43および吐出口44、45の形状(断面形状)は円形状に限定されるものではなく、例えば楕円形状や多角形状等、その他の形状であってもよい。また、流通路46、47の断面形状は、特に限定されるものではなく、吸入口42、43および吐出口44、45の形状や位置、または加工方法等に応じて適宜の形状に構成することができる。
【0045】
また、本実施形態では、加工のしやすさから流通路46、47を略直角に曲折するL字状に構成しているが、滑らかに湾曲した曲線状の通路として流通路46、47を構成するようにしてもよいし、吸入口42、43と吐出口44、45を直線的に繋ぐようにしてもよい。また、吸入口42、43、および吐出口44、45を中心軸Cまたは中心軸Cと直交する方向に対して斜め方向に向くように形成してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、本体41の流通路46、47以外の部分を中実に構成することで、本体41の強度を高めるようにしているが、本体41の流通路46、47以外の部分を中空状に構成するようにしてもよい。また、本体41を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。
【0047】
次に、処理装置1の作用について説明する。
図3は、処理装置1の作用を示した概略断面図である。上述のように、供給用回転体40を回転させることで、貯留槽110中の被処理流体100は処理領域10内に流入する。この結果、処理領域10内の圧力が上昇し、処理領域10内の液面は、貯留槽110内の液面よりも高くなる。すなわち、処理領域10内と貯留槽110内にヘッド差が生じ、このヘッド差によって、処理領域10内の被処理流体100は排出口20から貯留槽110内に流出する。
【0048】
これにより、処理領域10内では、供給用回転体40が回転している限り、略定常的に被処理流体100が第1室10aからフィルタ16を通過して第2室10bに流入することとなり、この結果、被処理流体100に濾過処理が施されることとなる。また、第1室10a内では、供給用回転体40の本体41および供給用吐出口44の回転により、旋回流を含む複雑な流動が発生することとなるため、被処理流体100中の不純物等は、適宜に分散されることとなる。この結果、不純物等がフィルタ16の特定の部位に集中するといったことがなくなるため、濾過処理を効率的に行うことが可能となると共に、フィルタの寿命を延ばすことができる。
【0049】
一方、貯留槽110内では、排出口20からの流動に加え、下方から供給用回転体40に向かう旋回流および供給用回転体40から放射状に広がる流動より、複雑な循環流が発生することとなる。すなわち、貯留槽110内の被処理流体100は、十分に攪拌された状態で、処理領域10内に流入することとなるため、迅速且つ効率的に濾過処理が行われることとなる。
【0050】
特に、本実施形態では、供給用回転体40に攪拌用吸入口43、攪拌用吐出口45および攪拌用流通路47を設けているため、攪拌用吸入口43への吸引により発生する旋回流によって貯留槽110底部の沈降物を適宜に巻き上げて処理領域10内に送り込むことが可能であると共に、攪拌用吐出口45からの噴出によって貯留槽110内のより遠方の領域にまで攪拌作用を及ぼすことが可能となっている。すなわち、貯留槽110内の隅々に存在する不純物等を確実に処理領域10内に送り込むことができるため、より迅速且つ効率的に、濾過処理を行うことが可能となっている。
【0051】
また、供給用回転体40は、タービン翼やプロペラ翼等とは異なり、破損しにくい形状となっていることから、砂利等を含む被処理流体100に濾過処理を施す場合にも、破損等による不具合が生じにくいものとなっている。すなわち、被処理流体100の状態によらず、迅速且つ確実に濾過処理を施すことが可能となっている。
【0052】
次に、処理装置1のその他の形態について説明する。まず、
図4(a)は、攪拌用吸入口43を1つとし、供給用吸入口42を複数設けるようにした場合の一例を示した平面図である。上述の例では、中央に供給用吸入口42を1つ設け、その周囲に複数の攪拌用吸入口43を設ける場合を示したが、中央に攪拌用吸入口43を1つ設け、その周囲に供給用吸入口42を複数設けるようにしてもよい。被処理流体100の状態等によっては、このようにした方が供給および攪拌が効率的となる場合がある。
【0053】
なお、
図4(a)に示す例では、供給用吸入口42および供給用吐出口44の周方向の位置をずらすことにより、供給用流通路46と攪拌用流通路47の干渉を避けるようにしているが、供給用吸入口42および供給用吐出口44のいずれか一方のみをずらすようにしてもよいし、供給用流通路46または攪拌用流通路47を迂回させて互いの干渉を避けるようにしてもよい。
【0054】
図4(b)は、供給用吸入口42および攪拌用吸入口43をそれぞれ複数設けるようにした場合の一例を示した平面図である。このように、供給用吸入口42を複数設けると共に攪拌用吸入口43を複数設けるようにしてもよく、この場合、吸入口42、43に向かう旋回流をより強くすることが可能となる。
【0055】
なお、
図4(b)に示す例では、中心軸Cを中心とする同一円周上に供給用吸入口42および攪拌用吸入口43を交互に並べて配置するようにしているが、例えば供給用吸入口42および攪拌用吸入口43をそれぞれ異なる円周上に配置する等、その他の配置構成を採用するようにしてもよい。
【0056】
図4(c)は、供給用吸入口42および攪拌用吸入口43を互いに兼用するようにした場合の一例を示した正面図(側面図)である。このように、供給用吸入口42および攪拌用吸入口43、ならびに供給用流通路46および攪拌用流通路47の一部を互いに兼用するようにしてもよい。被処理流体100の状態等によっては、このようにした方が供給および攪拌が効率的となる場合がある。
【0057】
このように、吸入口42、43および吐出口44、45の配置構成を適宜に設定することで、被処理流体100の状態等に応じた効率的な濾過処理を行うことが可能となる。なお、上述の例では、吸入口42、43および吐出口44、45を1つまたは4つ設ける場合を示したが、吸入口42、43および吐出口44、45の数はこれらに限定されるものではなく、その他の数であってもよいことは言うまでもない。
【0058】
図5(a)および(b)は、供給用回転体40の処理領域内面40aおよび処理領域外面40bにおける半径方向寸法を互いに異ならせるようにした場合の例を示した正面図(側面図)である。このようにすることで、中心軸Cから供給用吐出口44までの距離、および中心軸Cから攪拌用吐出口45までの距離を適宜に設定して、供給に作用する遠心力と攪拌に作用する遠心力を適宜に調整することが可能となる。すなわち、供給用回転体40による供給力と攪拌力を適宜にバランスさせることができるため、処理領域10および貯留槽110の大きさや形状等によらず、迅速且つ効率的な濾過処理が可能となる。
【0059】
図6(a)および(b)は、供給用回転体40とは別に攪拌用回転体70を設けるようにした場合の例を示した正面図(側面図)である。このように、供給用回転体40の本体41には、供給用吸入口42、供給用吐出口44および供給用流通路46のみを設けて供給専用とし、本体71(攪拌用本体)に攪拌用吸入口43、攪拌用吐出口45および攪拌用流通路47のみを備える攪拌専用の攪拌用回転体70を別途設けるようにしてもよい。
【0060】
この場合、
図6(a)に示されるように、延長した駆動軸60に攪拌用回転体70を接続するようにしてもよいし、
図6(b)に示されるように、供給用回転体40に攪拌用回転体70を直接接続可能に構成するようにしてもよい。このようにすることで、供給用回転体40と攪拌用回転体70の組み合わせを容易に変更することできるため、供給力と攪拌力のバランスを容易に調整することが可能となる。なお、
図6(b)に示す例においては、攪拌用回転体70に供給用吸入口42および供給用流通路46の一部を設け、攪拌用回転体70を供給用回転体40接続した場合に、これらが供給用回転体40に設けた供給用流通路46の一部および供給用吐出口44と連通するようにしてもよい。
【0061】
なお、攪拌用回転体70が必要ない場合には、これを省略するようにしてもよい。すなわち、処理装置1は、供給用吸入口42、供給用吐出口44および供給用流通路46のみが設けられた供給用回転体40のみを備えるものであってもよい。この場合にも、供給用吸入口42に向かう流動、および排出口20からの流動によって貯留槽110内を適宜に攪拌することが可能である。
【0062】
図7は、貯留槽110内に流動抵抗体80を設けると共に、処理領域10内に誘導部材90を設けるようにした場合の一例を示した概略断面図である。流動抵抗体80は、貯留槽110内において供給用回転体40に向かう流動の抵抗となるものであり、供給用回転体40に対し、中心軸C方向において処理領域10の反対側に配置される。流動抵抗体80の形状および配置は特に限定されるものではなく、被処理流体100の状態および貯留槽110の大きさや形状等に応じた適宜の形状および配置を採用することができる。また、
図7に示す例では、棒状の支持部材82を介して箱体12に流動抵抗体80を固定するようにしているが、例えば貯留槽110の底部112等、その他の部位に固定するようにしてもよいし、供給用回転体40に固定して流動抵抗体80を回転させるようにしてもよい。
【0063】
このように、流動抵抗体80を配置することで、供給用回転体40に向かう流動を適宜に乱すことができるため、攪拌効率を高めることが可能となる。また、
図7に示されるように、略平板状の流動抵抗体80を貯留槽110の底部112近傍に配置することで、底部112近傍における旋回流を適宜に乱すことができるため、例えば比重の重い砂利等の不純物が略同じ場所で旋回し続けることで底部112が摩耗するといった不具合を防止することが可能となる。
【0064】
誘導部材90は、処理領域10の第1室10a内において供給用吐出口44からの流動を適宜の方向に誘導するものであり、供給用回転体40の外周側、すなわち供給用吐出口44よりも中心軸Cから遠心方向外側に配置される。このように、誘導部材90を適宜に配置することで、例えば供給用吐出口44からの流動がフィルタ16や箱体12の特定の箇所に集中するといったことを防止することができるため、フィルタ16や箱体12の損傷を防止すると共に、濾過処理の効率を高めることが可能となる。また、被処理流体100および不純物等の状態によっては、供給用吐出口44からの流動を直接または誘導部材90を介して積極的にフィルタ16に衝突させることによってフィルタ16の目詰まりを防止するようにしてもよい。
【0065】
なお、誘導部材90の形状および配置は特に限定されるものではなく、処理領域10の形状やフィルタ16の構成等に応じた適宜の形状および配置を採用することができる。また、誘導部材90は、箱体12に固定されるものであってもよいし、供給用回転体40に固定されるものであってもよい。また、
図7では、処理装置1に流動抵抗体80と誘導部材90の両方を設けた場合の例を示したが、いずれか一方のみを処理装置1に設けるようにしてもよいことは言うまでもない。また、流動抵抗体80および誘導部材90は、それぞれ1つ設けられるものであってもよいし、複数設けられるものであってもよい。
【0066】
図8は、処理領域10の第1室10aの手前に前室10cを設け、供給用回転体40の処理領域内面40aを前室10c内に配置するようにした場合の一例を示した概略断面図である。この例では、箱体12の下側に、追加側壁12dおよび追加底壁12eを設けて前室10cを形成する共に、接続口10dによって前室10cと第1室10aを連通させるようにしている。そして、追加底壁12eに回転体用開口18を設け、これに挿通した状態で供給用回転体40を配置するようにしている。すなわち、被処理流体100は、一旦前室10c内に流入した後に第1室10a内に流入するようになっている。
【0067】
このように、被処理流体100を一旦前室10c内に取り込んだ後に第1室10a内に流入させることで、前室10cを例えばバッファ空間として機能させる等、処理領域10内における流動をコントロールすることが可能となる。被処理流体100の状態によっては、このように処理領域10に前室10cを設けることにより、濾過処理の効率を向上させることが可能となる。
【0068】
なお、第1室10aに対して前室10cを離隔させて配置し、適宜の管路等を介して前室10cと第1室10aを接続するようにしてもよい。また、前室10cと第1室10aの間にさらに中間室を設けるようにしてもよいし、第2室10bの後に後室を設けるようにしてもよい。すなわち、処理領域10は、複数の室(空間)に分割されたものであってもよい。
【0069】
図9は、処理領域10と排出口20の間に排出用流通路22を設けるようにした場合の一例を示した概略断面図である。この例では、配管22aを箱体12の底壁12bから延設することで排出用流通路22を形成し、排出口20を供給用回転体40から離隔した位置に配置するようにしている。配管22aの途中の3箇所に補助排出口20aを設け、濾過処理後の被処理流体100が複数箇所から貯留槽110内に流出するようにしている。
【0070】
このように、排出用流通路22を設けることで、濾過処理後の被処理流体100を、貯留槽110の大きさや形状等に応じた適切な位置に流出させることが可能となる。すなわち、排出口20および補助排出口20aからの流動と供給用回転体40による流動を適切に組み合わせ、両者を相乗的に作用させることによって貯留槽110内を適切に攪拌することで、濾過処理の効率を高めることが可能となる。
【0071】
なお、排出用流通路22および排出口20はそれぞれ複数設けられるものであってもよいし、排出用流通路22を途中で分岐させて複数の排出口20を設けるようにしてもよい。また、補助排出口20aは、必要に応じて設ければよいことは言うまでもない。
【0072】
図10は、微生物を担持させた担体120をフィルタ16に代えて処理領域10内に配置するようにした場合の一例を示した概略断面図である。この例では、排出口20および越流口30にそれぞれ担体120の流出防止用の網24、32を設け、微生物を担持させた複数の担体120を処理領域10内に浮遊させるようにしている。このようにすることで、処理領域10内において、被処理流体100の生物処理を行うことが可能となる。この場合、貯留槽110内の被処理流体100を適宜に攪拌するだけでなく、処理領域10内においても供給用吐出口44からの流動によって担体120を適宜に分散させることができるため、効率的な生物処理を行うことが可能となる。
【0073】
さらに、
図10に示されるように、例えば供給用流通路46に繋がる軸部流通路62および吸気口64を駆動軸60に設けることで、処理領域10内の被処理流体100に外気をきわめて容易に導入することができるため、好気性微生物を使用する生物処理であっても従来以上に効率的に行うことが可能となっている。なお、この場合さらに、排出口20の位置や個数を調整したり、誘導部材90を適宜に配置したりすることによって、担体120の浮遊状態を調整するようにしてもよい。また、例えば
図6(a)に示した攪拌用回転体70を、処理領域10内に配置するようにしてもよい。また、担体120は、処理領域10内に固定されるものであってもよい。
【0074】
このように、処理装置1は、被処理流体100に対して濾過処理を施す場合に好適であるが、その他の各種処理を施すものであってもよい。例えば、処理装置1は、処理領域10において被処理流体100に対して曝気や脱気等の処理を施すものであってもよいし、処理領域10において被処理流体100に対して他の物体を投入し、溶解や反応等させる処理を施すものであってもよい。また、処理装置1は、処理領域10において被処理流体100と他の熱媒体との間で熱交換させる処理を施すものであってもよい。
【0075】
図11は、処理領域10と貯留槽110内の間を明確に仕切らないようにした場合の一例を示した概略断面図である。この例では、支持部材14、16aに支持された4つのフィルタ16によって供給用回転体40の外周を囲み、この4つのフィルタ16によって囲まれた領域およびフィルタ16内を処理領域10としている。また、この例では、被処理流体100が流出するフィルタ16の外側面が排出口20となり、フィルタ16の上部が越流口30となる。なお、フィルタ16同士の間は隙間を設けるようにしてもよいし、塞ぐようにしてもよい。
【0076】
このように、処理領域10は、貯留槽110内(貯留領域)から明確に隔離されたものである必要はなく、処理の種類によっては、例えば処理領域10と貯留槽110内との間の隔壁を必要な部分に限定して設けたり、フィルタ16等を隔壁として兼用したりするようにしてもよい。このようにすることで、処理装置1の構造をさらに簡素化し、コスト削減および設置の自由度を高めることが可能となる。
【0077】
その他、図示は省略するが、処理装置1は、複数の供給用回転体40を備えるものであってもよく、この場合、各供給用回転体40の供給力および攪拌力は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、供給用回転体40は、中心軸Cを略鉛直方向として配置されるものに限定されず、中心軸Cをその他の方向にして配置されるものであってもよい。
【0078】
また、例えば処理装置1に2つの供給用回転体40を設け、通常時は2つの供給用回転体40をそれぞれ定格の50%の回転数で回転させて使用し、いずれか一方の供給用回転体40またはその駆動装置50に不具合が生じた場合にはこれを停止させて、他方の供給用回転体40を定格の100%の回転数で回転させて使用するようにしてもよい。本実施形態の供給用回転体40では、プロペラ翼やタービン翼等とは異なり、供給力および攪拌力が回転数に略比例するようになっているため、このような構成とすることで、処理を中断することなく修理やメンテナンス等を行うことが可能となる。
【0079】
また、処理装置1は、例えばタンクや容器等の貯留槽110に設置されるものに限定されず、例えば、湖沼や河川、海等に設置されるものであってもよい。また、被処理流体100は、液体に限定されず、例えば気体等、その他の流体であってもよいことは言うまでもない。また、排出口20は、被処理流体100の供給元とは異なる場所に処理後の被処理流体100を排出するものであってもよい。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る処理装置1は、被処理流体100に所定の処理を施すための処理領域10と、処理後の被処理流体100を排出するための排出口20と、処理領域10内に被処理流体100を供給するための供給用回転体40と、を備え、供給用回転体40は、処理領域10外に配置される処理領域外面40b、および処理領域10内に配置される処理領域内面40aを有し、回転軸(中心軸C)を中心に回転する本体41と、処理領域外面40bに設けられる供給用吸入口42と、処理領域内面40aにおいて供給用吸入口42よりも回転軸(中心軸C)から遠心方向外側の位置に設けられる供給用吐出口44と、供給用吸入口42と供給用吐出口44を繋ぐ供給用流通路46と、を備えている。
【0081】
このような構成とすることで、各種流体に対する各種処理を簡便且つ効率的に行うことができる。すなわち、供給用回転体40を設けることにより、装置全体をきわめて簡素且つ低コストに構成しながらも、被処理流体100を適宜に攪拌しつつ、処理領域10内に効率的に供給して処理することができる。また、処理領域10を被処理流体100の貯留領域に近接させて配置することが可能となるため、処理領域10からの被処理流体100の漏洩対策を簡略化し、設備コストおよび維持管理コストを削減することができる。
【0082】
また、処理装置1は、被処理流体100を貯留する貯留領域(貯留槽110)の上部に配置されている。このようにすることで、処理領域10から漏洩した被処理流体100をそのまま落下させるだけで貯留領域に戻すことが可能となるため、被処理流体100の漏洩対策を簡略化し、設備コストおよび維持管理コストを削減することができる。
【0083】
また、処理装置1は、排出口20よりも高い位置に設けられる越流口30を備え、越流口30は、処理領域10から越流(オーバーフロー)した被処理流体100が貯留領域(貯留槽110)内に落下するように構成されている。このようにすることで、処理領域10内の不具合等により被処理流体100の流動が停滞したような場合にも、被処理流体100を処理領域10からオーバーフローさせて元の貯留領域に戻すことが可能となるため、安全性を高めると共に、設備コストおよび維持管理コストを削減することができる。
【0084】
また、処理装置1は、処理領域10内において排出口20と供給用回転体40の間に配置されるフィルタ16を備えている。供給用回転体40によれば、貯留領域内の被処理流体100に含まれる不純物等を被処理流体100と共に効率的に処理領域10内に供給することが可能であり、また、フィルタ16の目詰まり等による漏洩対策も容易であるため、処理装置1は、被処理流体100に対して濾過処理を施す場合に好適である。
【0085】
また、供給用回転体40は、前記処理領域外面40bに設けられる攪拌用吸入口43と、前記処理領域外面40bにおいて攪拌用吸入口43よりも回転軸(中心軸C)から遠心方向外側の位置に設けられる攪拌用吐出口45と、攪拌用吸入口43と攪拌用吐出口45を繋ぐ攪拌用流通路47と、を備えている。このようにすることで、貯留領域内の被処理流体100を効果的に攪拌した上で処理領域10内に供給することが可能となるため、被処理流体100に対する各種処理をより効率的に行うことができる。
【0086】
また、処理装置1は、処理領域10外において供給用回転体40と同軸的に配置される攪拌用回転体70を備え、攪拌用回転体70は、回転軸(中心軸C)を中心に回転する攪拌用本体71と、攪拌用本体71の表面に設けられる攪拌用吸入口43と、攪拌用本体71の表面において攪拌用吸入口43よりも回転軸(中心軸C)から遠心方向外側の位置に設けられる攪拌用吐出口45と、攪拌用吸入口43と攪拌用吐出口45を繋ぐ攪拌用流通路47と、を備えるものであってもよい。このようにすることで、貯留領域内の被処理流体100を効果的に攪拌した上で処理領域10内に供給することが可能となるため、被処理流体100に対する各種処理をより効率的に行うことができる。
【0087】
また、処理装置1は、供給用回転体40に対し、処理領域10とは反対側の位置に配置される流動抵抗体80を備えるものであってもよい。このようにすることで、貯留領域内の被処理流体100をより効果的に攪拌した上で処理領域10内に供給することができる。また、攪拌による流動に伴う貯留領域内の部材の摩耗や損傷等を低減することができる。
【0088】
また、処理装置1は、供給用吐出口44よりも回転軸(中心軸C)から遠心方向外側の位置に配置される誘導部材90を備えるものであってもよい。このようにすることで、処理領域10内における被処理流体100の流動を適切にコントロールし、各種処理の効率を高めることができる。また、処理領域10内の流動に伴う処理領域10内の部材の摩耗や損傷等を低減することができる。
【0089】
また、処理装置1は、処理領域10と排出口20を繋ぐ排出用流通路22を備えるものであってもよい。このようにすることで、排出口20の位置を適宜に設定して排出口20からの流動と供給用回転体40による流動を相乗的に作用させることが可能となるため、貯留領域内をより効果的に攪拌し、各種処理の効率を高めることができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の処理装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、箱体12、支持部材14およびフィルタ16その他の各部材の形状および配置構成等は、上記実施形態において示したものに限定されず、任意の形状および配置構成を採用することができる。また、上記実施形態において示した作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したものに過ぎず、本発明による作用および効果は、これらに限定されるものではない。
(1)本発明は、被処理流体に所定の処理を施すための処理領域と、処理後の前記被処理流体を排出するための排出口と、前記処理領域内に前記被処理流体を供給するための供給用回転体と、を備え、前記供給用回転体は、前記処理領域外に配置される処理領域外面、および前記処理領域内に配置される処理領域内面を有し、回転軸を中心に回転する本体と、