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特開2015-171755板ガラスのベベル加工方法およびベベル加工装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-171755(P2015-171755A)
(43)【公開日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】板ガラスのベベル加工方法およびベベル加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/00 20060101AFI20150904BHJP
   B24B 7/24 20060101ALI20150904BHJP
   C03C 19/00 20060101ALI20150904BHJP
【FI】
   B24B9/00 601B
   B24B7/24 A
   C03C19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-27782(P2015-27782)
(22)【出願日】2015年2月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-29908(P2014-29908)
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593046429
【氏名又は名称】日電硝子加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162020
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】蓑輪 元
(72)【発明者】
【氏名】築山 信恩
【テーマコード(参考)】
3C043
3C049
4G059
【Fターム(参考)】
3C043BA07
3C043BA14
3C043BB06
3C043CC04
3C043DD05
3C049AA04
3C049AB01
3C049AB04
3C049CA06
3C049CB01
4G059AA01
4G059AB03
4G059AB05
4G059AC03
(57)【要約】
【課題】加工対象たるガラスの大きさの大小に関わらず、簡易な構成で、板ガラスの周縁部を確実に支持しつつベベル加工を行うことが可能な板ガラスのベベル加工方法およびベベル加工装置を提供する。
【解決手段】互いに対向する第一の主面1aおよび第二の主面1bを備える板ガラス1の周縁部1dに対して、第一の主面1a側から研削加工を施し、周縁部1dの厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベル2を形成するものであって、第一の主面1aを研削加工する研削手段10を、ベベル2の形成方向に変位させるとともに、研削手段10による板ガラス1の研削位置の裏側にあたる第二の主面1bを、研削手段10の変位に追従する支持手段20によって支持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第一の主面および第二の主面を備える板ガラスの周縁部に対して、前記第一の主面側から研削加工を施し、前記周縁部の厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベルを、前記板ガラスの周縁部に沿って形成する板ガラスのベベル加工方法であって、
前記第一の主面を研削加工する研削手段を、前記ベベルの形成方向に変位させるとともに、
前記研削手段による前記板ガラスの研削位置の裏側にあたる前記第二の主面を、前記研削手段の変位に追従する支持手段によって支持する、
ことを特徴とする板ガラスのベベル加工方法。
【請求項2】
前記支持手段は、
前記第二の主面と当接する部位を、前記ベベルの形成方向に転動可能な転動体により構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項3】
前記ベベルを、前記板ガラスのコーナー部における形成方向が漸次変化するR形状に形成する場合において、
前記支持手段を、
前記第二の主面に直交する軸回りに回転可能に構成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項4】
前記転動体を、
前記板ガラスの板厚方向に対して垂直で、かつ、前記ベベルの形成方向に対して垂直な回転軸回りに回転する複数のローラによって構成し、
前記複数のローラを、前記ベベルの形成方向に向けて互いにずらして配置する、
ことを特徴とする請求項2に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項5】
前記複数のローラを、前記回転軸の軸心方向に向けて互いにずらして配置する、
ことを特徴とする請求項4に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項6】
前記ベベルの形成方向において、
前記研削手段による前記板ガラスの研削領域を、
前記複数のローラによる前記板ガラスの支持領域に包含させる、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項7】
前記支持手段を、
前記板ガラスに比して硬度が低い素材からなり、前記第二の主面と当接する部位に、ベベル加工時における前記板ガラスの板厚方向に対して垂直となる支持面を備えたブロック体により構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項8】
前記板ガラスは、
前記第二の主面に凹凸部が形成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の板ガラスのベベル加工方法。
【請求項9】
互いに対向する第一の主面および第二の主面を備える板ガラスの前記第一の主面の周縁部に、厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベルを、前記板ガラスの周縁部に沿って形成する板ガラスのベベル加工装置であって、
前記ベベルの形成方向に向けて変位しつつ、前記第一の主面を研削加工する研削手段と、
前記第一の主面に対する前記研削手段による研削位置に追従して、前記研削位置の裏側にあたる前記第二の主面を支持する支持手段を備える、
ことを特徴とする板ガラスのベベル加工装置。
【請求項10】
前記支持手段は、
前記第二の主面と接触する部位を転動体により構成する、
ことを特徴とする請求項9に記載の板ガラスのベベル加工装置。
【請求項11】
前記転動体は、
前記第二の主面に対して平行な第一の回転軸回りに回転可能なローラである、
ことを特徴とする請求項10に記載の板ガラスのベベル加工装置。
【請求項12】
前記支持手段を、
前記第二の主面に対して垂直な第二の回転軸回りに回転可能に構成する、
ことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の板ガラスのベベル加工装置。
【請求項13】
前記第一の回転軸の軸心は、
前記第二の回転軸の軸心と交差しない、
ことを特徴とする請求項12に記載の板ガラスのベベル加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板ガラスにベベルを加工するための方法および装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭等で使用される加熱調理器の上面には、汚れを付きにくくするために、ガラス製の天板(トッププレートとも呼ぶ)を設けることが多い。
そして、加熱調理器に設けたガラス製の天板の周縁部には、装飾等を目的とした傾斜面(以下、ベベルと呼ぶ)が形成される場合がある。ベベルを形成したガラス製の天板は、例えば、以下の特許文献1に示されている。
また、ガラスにベベルを加工する方法としては、例えば、以下の特許文献2に示されている。
【0003】
特許文献2に示される従来技術において、ベベルは、結晶化ガラスのプレート(板ガラス)の縁部を研削の手法によりカットすることで形成される。
そして、ベベルを形成することによって、天板の外観がさらに良好になるとともに、天板の洗浄が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−57802号公報
【特許文献2】特表2006−508318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周縁部にベベルが形成されたガラスにおいては、ベベルの面幅が一定であることが望まれるが、ベベルの面幅を一定にするためには、ガラスの研削代を一定に保つことが重要となる。
従来、板ガラスの周縁部にベベルを形成する場合、クッション性のある支持部材(パッド)等により、板ガラスにおけるベベルを形成する部位の裏面を全面的に支持しつつ、所定の角度で傾斜させた研磨ホイールを表面の周縁部に押圧する構成としている。
このような構成により、研磨ホイールを板ガラスに接触させたときに、板ガラスが逃げる(湾曲する)のを防止して、板ガラスの研削代を一定に保つようにしている。
【0006】
しかしながら、このような構成では、ベベルの加工対象たる板ガラスを全面的に支持することが可能な、板ガラスと略同一の形状及び大きさの支持部材(パッド)等を、板ガラスのサイズに応じて準備することが必要になる。
このため、従来は、多種類のサイズの支持部材が必要であり、コスト高となっていた。
【0007】
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、加工対象たる板ガラスの形状や大きさの如何に関わらず、装置の構成を変更せずに、板ガラスの周縁部を確実に支持しつつベベル加工を行うことが可能な板ガラスのベベル加工方法およびベベル加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1に係る発明は、互いに対向する第一の主面および第二の主面を備える板ガラスの周縁部に対して、前記第一の主面側から研削加工を施し、前記周縁部の厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベルを、前記板ガラスの周縁部に沿って形成する板ガラスのベベル加工方法であって、前記第一の主面を研削加工する研削手段を、前記ベベルの形成方向に変位させるとともに、前記研削手段による前記板ガラスの研削位置の裏側にあたる前記第二の主面を、前記研削手段の変位に追従する支持手段によって支持することを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記支持手段は、前記第二の主面と当接する部位を、前記ベベルの形成方向に転動可能な転動体により構成することを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ベベルを、前記板ガラスのコーナー部における形成方向が漸次変化するR形状に形成する場合において、前記支持手段を、前記第二の主面に直交する軸回りに回転可能に構成することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記転動体を、前記板ガラスの板厚方向に対して垂直で、かつ、前記ベベルの形成方向に対して垂直な回転軸回りに回転する複数のローラによって構成し、前記複数のローラを、前記ベベルの形成方向に向けて互いにずらして配置することを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記複数のローラを、前記回転軸の軸心方向に向けて互いにずらして配置することを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記ベベルの形成方向において、前記研削手段による前記板ガラスの研削領域を、前記複数のローラによる前記板ガラスの支持領域に包含させることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記支持手段を、前記板ガラスに比して硬度が低い素材からなり、前記第二の主面と当接する部位に、ベベル加工時における前記板ガラスの板厚方向に対して垂直となる支持面を備えたブロック体により構成することを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明において、前記板ガラスは、前記第二の主面に凹凸部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、互いに対向する第一の主面および第二の主面を備える板ガラスの前記第一の主面の周縁部に、厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベルを、前記板ガラスの周縁部に沿って形成するベベル加工装置であって、前記ベベルの形成方向に向けて変位しつつ、前記第一の主面を研削加工する研削手段と、前記第一の主面に対する前記研削手段による研削位置に追従して、前記研削位置の裏側にあたる前記第二の主面を支持する支持手段を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る発明は、前記支持手段は、前記第二の主面と接触する部位を転動体により構成することを特徴とする。
【0019】
請求項11に係る発明は、前記転動体は、前記第二の主面に対して平行な第一の回転軸回りに回転可能なローラであることを特徴とする。
【0020】
請求項12に係る発明は、前記支持手段を、前記第二の主面に対して垂直な第二の回転軸回りに回転可能に構成することを特徴とする。
【0021】
請求項13に係る発明は、前記第一の回転軸の軸心は、前記第二の回転軸の軸心と交差しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0023】
請求項1に係る発明によれば、加工対象たる板ガラスの形状や大きさの如何に関わらず、装置の構成を変更せずに、板ガラスの周縁部を確実に支持しつつベベル加工を行うことができる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、研削時に生じるガラスの切粉に起因して第二の主面に傷がつくことを抑制することができる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、形成方向を変更しながらベベル加工を行う場合であっても、転動体を回転可能な状態とすることができるため、ガラスの切粉に起因して第二の主面に傷がつくことを抑制することができる。
【0026】
請求項4乃至請求項6に係る発明によれば、ベベル加工の際に、板ガラスの撓みを抑制できる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、ベベル加工の際に、板ガラスを簡易に支持することができる。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、凹凸部がある板ガラスをベベル加工する際に、振動が発生することを抑制できる。
【0029】
請求項9に係る発明によれば、面幅を一定に保持しつつベベルを形成することができる。
【0030】
請求項10に係る発明によれば、研削時に生じるガラスの切粉に起因して第二の主面に傷がつくことを抑制することができる。
【0031】
請求項11に係る発明によれば、ベベルの面幅を一定に保持することができるベベル加工装置を簡易に構成することができる。
【0032】
請求項12に係る発明によれば、形成方向を漸次変更しながらベベル加工を行う場合であっても、転動体を回転可能な状態とすることができるため、研削時に生じるガラスの切粉に起因して第二の主面に傷がつくことを抑制することができる。
【0033】
請求項13に係る発明によれば、ベベルの形成方向が漸次変更される場合において、ベベルの形成方向に合わせて確実に支持部材の向きを変更させることができる。
これにより、形成方向を漸次変更しながらベベル加工を行う場合であっても、研削時に生じるガラスの切粉に起因して第二の主面に傷がつくことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第一の実施形態に係るベベル加工方法の説明図、(a)正面模式図、(b)側面模式図。
図2】本発明の一実施形態に係るベベル加工方法におけるベベル加工の対象たる板ガラスを示す斜視模式図。
図3】転動体の他の実施形態を示す模式図、(a)転動体たるボールローラを示す図、(b)転動体たる無端ベルトを示す図。
図4】支持部材を示す模式図、(a)平面図、(b)側面図。
図5】ベベル加工後の板ガラスを示す斜視模式図、(a)異方向のベベルの継ぎ目に稜線が現れる態様を示す図、(b)異方向のベベルの継ぎ目に稜線が現れない態様を示す図。
図6】ローラの回転軸と支持部材の回転軸が交差しない態様の支持部材を示す模式図、(a)平面図、(b)側面図。
図7】ローラの回転軸と支持部材の回転軸が交差しない態様の支持部材を示す斜視模式図。
図8】独立して回転する2つのローラからなる別実施形態に係るローラの説明図、(a)別実施形態に係るローラを示す断面模式図、(b)別実施形態に係るローラの作動状態を示す模式図。
図9】本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置を示す模式図。
図10】本発明の一実施形態に係るベベル加工方法に用いるベベル加工装置(第二の実施形態)を示す模式図。
図11】第二の実施形態に係るベベル加工装置におけるローラの配置を示す模式図、(a)平面模式図、(b)側面模式図。
図12】本発明の一実施形態に係るベベル加工方法に用いるベベル加工装置(第三の実施形態)を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施形態に係るベベル加工方法は、図1(a)(b)に示すように、板ガラス1に対して、ベベル2を加工する方法である。
加工対象である板ガラス1は、図2に示すように、第一の主面1aと第二の主面1bを備えるとともに、各主面1a・1bに連続する端面1cを備えている。
本実施形態で使用する板ガラス1は、コーナーがR形状である略矩形であり、4周に端面1c・1c・1c・1cを備えている。
尚、板ガラス1における端面1cの近傍の部位(図2中の斜線部)を、周縁部1dと呼ぶ。
【0036】
ベベル2は、図1(a)に示すように、板ガラス1の周縁部1dにおいて、板ガラス1の第一の主面1aを端面1cから所定の距離aの範囲で、かつ、板ガラス1の端面1cを第一の主面1aから所定の距離bの範囲で、図1(b)に示すように、端面1cに平行な方向に沿って(つまり、板ガラス1の周縁部1dに沿って)連続的に除去することで形成される面幅Wの斜面部である。
尚、本実施形態では、板ガラス1を部分的に除去するための方法として、研削の手法を採用し、研削工具を備えた研削手段10を使用する構成としている。
【0037】
研削手段10は、板ガラス1を研削するための手段であり、回転軸11と研磨ホイール12を備えている。研磨ホイール12は、回転軸11の軸回りに回転させて使用する略円筒状の工具であり、研磨ホイール12と回転軸11の軸心同士が一致するように、回転軸11に固定される。
【0038】
研削手段10は、回転軸11が、モータ等の回転駆動源13(図9参照)によって、研磨ホイール12を所望の回転数で回転させることができるように構成される。
研磨ホイール12は、略円形でかつ平面状の底面部12aを備えており、底面部12aの傾斜角度θに応じて、形成されるベベル2の、第一の主面1aに対する傾斜角度が決められる。
そして、研削手段10は、図1に図示しない変位機構によって変位可能に支持されており、研削対象たる板ガラス1の周縁部1dに沿うベベル2の形成方向に対して平行に変位可能に構成される。
【0039】
本実施形態におけるベベル2は、研磨ホイール12の回転軸11を第一の主面1aの垂線に対して角度θで傾けた状態で、第一の主面1aおよび端面1cに対して所定の深さ(距離aおよび距離b)となるように、研磨ホイール12を軸回りに回転させながら板ガラス1に接触させて周縁部1dを研削することによって形成される。
【0040】
また、本実施形態におけるベベル加工方法は、板ガラス1を研削手段10で研削する際に、周縁部1dにおける第二の主面1bを、支持手段20で支持する構成としている。
【0041】
本実施形態で示す支持手段20は、板ガラス1の周縁部1dを支持するための部材であり、基台部21を備えており、基台部21が図示しない変位機構によって、ベベル2の形成方向に変位可能に支持されている。そして、支持手段20は、研削手段10の変位に追従して、変位するように構成される。
【0042】
また、支持手段20は、板ガラス1の周縁部1dを支持する際に、第二の主面1bに直接接触する部位である転動体30を備えている。
転動体30は、外力が付与されることによって、その外力が付与される方向へと転動するように構成される部材であり、支持手段20の変位に応じて外力が付与され、その変位方向に向かって従動的に転動するように構成される。
【0043】
ローラ31は、転動体30の一例であり、支持フレーム31a、回転軸31b、回転体31cを備えており、回転軸31bが支持フレーム31aによって支持されることで、回転軸31bにより軸支される回転体31cが、回転軸31b回りに回転可能に構成される。
【0044】
そして、ローラ31は、回転体31cの周面部31dを第二の主面1bに接触させることで、板ガラス1の周縁部1dを支持する。
また、ローラ31は、周面部31dが第二の主面1bに接触しているため、支持手段20を変位させることによって、ローラ31に対して外力が付与される。
尚、ローラ31で第二の主面1bを支持する範囲は、図1(a)に示すように、正面視において、研削手段10の研磨ホイール12が板ガラス1と接触する位置の鉛直下方を包含し、かつ、図1(b)に示すように、側面視において、研削手段10の研磨ホイール12が板ガラス1と接触する位置の鉛直下方を包含する範囲とするのが好適である。
【0045】
回転軸31bの軸心方向は、第二の主面1bに対して平行であり、ローラ31と第二の主面1bが接触する部位における周面部31dの回転方向への接線が、第二の主面1bに対して平行となるように構成している。
また、回転軸31bの軸心方向は、平面視においてベベル2の形成方向に対して直交する方向としている。
このような構成により、ローラ31は、周面部31dが第二の主面1bに接触し、かつ、支持手段20の変位方向が、回転体31cの回転方向と一致している状態で支持手段20をベベル2の形成方向に向けて変位させることで、回転体31cがベベル2の形成方向に向けて従動的に転動しながら、回転体31cの周面部31dによって板ガラス1の周縁部1dを支持することができる。
【0046】
そして、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、図1(a)(b)に示すように、研磨ホイール12が第一の主面1aおよび端面1cに接触している部位の裏側における第二の主面1bを、支持手段20のローラ31で支持する構成としているため、第二の主面1bを全面的に支持することなく(換言すれば、周縁部1dだけを支持して)ベベル2を加工できる。
【0047】
さらに、図1(b)に示すように、ローラ31は、研削手段10が変位し、研磨ホイール12と第一の主面1aおよび端面1cが接触している部位(即ち、研削位置)が変位するのに追従して、その研削位置の裏側における第二の主面1bに対する接触位置を変更する構成としている。
【0048】
本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、研削手段10と支持手段20を同じ部材に固定することによって、研磨ホイール12とローラ31の相対的な位置関係を固定し、これにより、研磨ホイール12に追従してローラ31が変位するように構成している。
このような構成により、研磨ホイール12が第一の主面1aおよび端面1cに接触している部位(研削位置)の裏側における第二の主面1bを、支持手段20のローラ31で確実に支持することができる。
【0049】
尚、本実施形態では、支持手段20における転動体30の一例として、ローラ31を例示したが、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法において使用する転動体の種類をこれに限定するものではなく、図3(a)に示すようなボールローラ32や、図3(b)に示すような2軸間に巻回され各軸回りに転動可能に構成された無端ベルト33等を採用すること、およびその他種々の方式の転動体を採用することも可能である。
【0050】
即ち、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法は、互いに対向する第一の主面1aおよび第二の主面1bを備える板ガラス1の周縁部1dに対して、第一の主面1a側から研削加工を施し、周縁部1dの厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベル2を形成するものであって、第一の主面1aを研削加工する研削手段10を、ベベル2の形成方向に変位させるとともに、研削手段10による板ガラス1の研削位置の裏側にあたる第二の主面1bを、研削手段10の変位に追従する支持手段20によって支持するものである。
このような構成により、板ガラス1の形状や大きさの如何に関わらず、装置の構成を変更せずに、板ガラス1の周縁部1dを確実に支持しつつベベル加工を行うことができ、ベベル2の面幅Wを一定に保持することができる。
【0051】
また、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法において、支持手段20は、第二の主面1bと当接する部位を転動体30により構成し、第一の主面1aにおける研削手段10による研削位置の裏側にあたる第二の主面1bを、ベベル2の形成方向に変位方向に転動可能な転動体30で支持するものである。
このような構成により、支持手段20の変位に伴い転動体30が回転するため、研削時に生じる板ガラス1の切粉に起因して、第二の主面1bが傷つくことを抑制することができる。
【0052】
尚、必要に応じて、板ガラス1の中央部を保持し、板ガラス1の姿勢を保つようにしてもよい。
さらに、研削手段10及び支持手段20の位置を固定し、板ガラス1を移動させることにより、研削手段10を、板ガラス1に対して、ベベル2の形成方向に相対変位させるようにしてもよい。
【0053】
本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、図4(a)(b)に示すように、支持手段20における転動体30(ローラ31)を、回転手段22で支持し、ローラ31を第二の主面1bに垂直な軸心回りに回転可能に構成するのが好適である。
回転手段22は、二つの部材を相対回転可能な状態で支持する部材であり、本実施形態では、ローラ31と基台部21を相対回転可能な状態で支持している。
回転手段22は、種々の構成を採用し得るが、例えば、ローラ31の支持フレーム31a側に付設した回転軸を、基台部21側に付設したベアリング等で回転可能に支持する構成等を採用し得る。
【0054】
ローラ31が第二の主面1bに垂直な軸心回りに回転不能である構成では、板ガラス1に対して、図5(a)に示すような態様のベベル2を形成するのが好適である。
図5(a)に示す態様では、異なる方向に向けて直線的に形成されたベベル2・2同士が連続する部位に稜線が現れている。
【0055】
しかしながら、ローラ31が第二の主面1bに垂直な軸心回りに回転不能である構成では、図5(b)に示すような態様のベベル2を形成するには不向きである。図5(b)に示す板ガラス1の態様では、板ガラス1のコーナー部1eにおいて、形成方向が漸次変化するR形状となる態様のベベル2が形成されている。
このような構成の支持手段20を用いて、図5(b)に示すような態様のベベル2を形成する場合、研削時に生じる板ガラス1の切粉が、ローラ31と第二の主面1bの間に侵入し、ベベル2の形成方向が漸次変更されるときに、追従するローラ31の回転体31cが回転しなくなり、ローラ31で切粉を引きずることによって、第二の主面1bに傷をつけてしまうためである。
【0056】
一方、ローラ31が第二の主面1bに垂直な軸心回りに回転可能な構成とした場合には、板ガラス1に対するベベル2の形成態様が、図5(a)に示すような態様のみならず、図5(b)に示すような態様とすることできる。
図5(b)に示す態様では、板ガラス1のコーナー部1eにおいて、形成方向が漸次変化するR形状となる態様のベベル2が形成されており、コーナー部1eにおけるベベル2には稜線が現れない構成としている。
【0057】
図4に示す支持手段20では、ローラ31に外力が付与された際に回転手段22の軸心回りにモーメントが生じて、ベベル2の形成方向の変化に応じて転動体30(ローラ31)を方向転換することができる。
そして、ローラ31の方向転換が行われることで、支持手段20の変位方向が変化しても、ローラ31の回転体31cが回転可能な状態を維持し、ひいては、ローラ31と第二の主面1bの間に侵入したガラスの切粉を引きずることが抑制され、第二の主面1bに傷が生じるのを抑制することができる。
【0058】
尚、図5(b)に示す態様では、コーナー部1eにおける端面1cもR形状に形成されているが、このような端面1cに対する曲面加工は、ベベル2を加工する前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
また、板ガラス1のコーナー部1eにおいて、形成方向が漸次変化するR形状となる態様のベベル2を形成する場合には、R形状を有するコーナー部を有する板ガラス1を予め用意しておき、コーナー部を有する板ガラス1に対してベベル2の加工を行うのが好適である。
【0059】
即ち、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、隣接し向きが異なる端面1c・1cが接続されているコーナー部1eにおける周縁部1dに、稜線が現れないR形状の態様で、高品位なベベル2を形成することができる。
【0060】
さらに、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、研削手段10と支持手段20を同じ部材に固定することによって、研磨ホイール12とローラ31の相対的な位置関係を固定し、これにより、研磨ホイール12に追従してローラ31が変位する構成としている。
このような構成により、研磨ホイール12が第一の主面1aおよび端面1cに接触している部位の裏側における第二の主面1bを、ローラ31で確実に支持することができる。
【0061】
さらに、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、図6および図7に示すように、支持手段20を、第二の主面1bに垂直な軸心回りに駆動装置がなくとも自在に回転可能に構成するとともに、回転軸31bの軸心と、回転手段22の軸心が交差しない位置に、ローラ31を配置するのがさらに好適である。
【0062】
このような構成では、支持手段20における外力が付与される点であるローラ31(力点)の回転軸31bの軸心と、支持手段20を支持する回転手段22の回転軸心(支点)の距離を離すことで、ローラ31に外力が付与された際に回転手段22の軸心回りに生じるモーメントを大きくすることができ、これにより、コーナー部1eにおける、ベベル2の形成方向の変化に応じたローラ31の方向転換をよりスムーズに行うことが可能になる。
そして、ローラ31の方向転換がよりスムーズに行われることで、ローラ31の転動がよりスムーズになり、ひいては、ローラ31と第二の主面1bの間に侵入したガラスの切粉を引きずることがなくなり、第二の主面1bに傷が生じるのをより確実に抑制することができる。
【0063】
即ち、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法は、ベベル2を、板ガラス1のコーナー部1eにおける形成方向が漸次変化するR形状に形成する場合において、支持手段20を、第二の主面1bに直交する軸たる回転手段22の軸心回りに回転可能に構成するものである。
このような構成により、形成方向を変更しながらベベル2の加工を行う場合であっても、転動体30をスムーズに方向転換できるため、板ガラス1の切粉に起因する第二の主面1bの傷つきを抑制することができる。
【0064】
尚、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、加工対象たる板ガラス1の形状を矩形としているが、加工対象たる板ガラスの形状は矩形に限定されず、辺部が曲線状の板ガラスに対して、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法を適用することもできる。
【0065】
また、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法では、転動体30として、図8(a)に示すようなローラ34を採用することも可能である。
ローラ34は、二つのローラ部材34a・34bによって構成され、回転軸34cを軸心として、各ローラ部材34a・34bを独立して回転させることができるように構成している。
【0066】
図8(b)に示すように、ローラ34がコーナー部1eを通過するときには、半径方向のより内側を通過する部位とより外側を通過する部位で、ローラ34の移動距離に差異が生じてくる。
このようなローラの移動距離の差異は、ガラスの切粉を引きずる原因となるが、ローラ34のように、半径方向内側を通るローラ部材34aと半径方向外側を通るローラ部材34bを独立して回転可能な構成とすることによって、外側のローラ部材34aの回転数を大きくし、内側のローラ部材34bは回転数が小さくすることができるため、転動体30によるガラスの切粉の引きずりをさらに確実に抑制することができる。
【0067】
次に、本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40について、説明をする。
本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40は、前述した本発明の一実施形態に係るベベル加工方法を実現することができる装置であり、図9に示す如く、前述した研削手段10と支持手段20を備え、さらにNC装置50は、板ガラス1の中央部を保持し、板ガラス1を所定の姿勢に保たせる保持手段60等を備えている。
NC装置50においては、図9に示すような3次元座標系を規定しており、NC装置50の前後方向をX軸方向と規定し、左右方向をY軸方向と規定し、上下方向をZ軸方向と規定している。
【0068】
NC装置50は、図示しない、手先部51に対して、研削手段10と支持手段20を付設する構成としている。トラバース装置によって前後左右(即ち、X軸方向およびY軸方向)に変位可能に構成される手先部51を備えており
また、手先部51は、図示しない回転装置を介して図示しない前記トラバース装置に支持されており、Z軸回りに回転可能に構成されている。
このような構成により、手先部51は、板ガラス1の周縁部1dに沿って変位可能に構成されるとともに、板ガラス1におけるコーナー部1eの形成方向に対応させて、Z軸回りに回転することができるように構成される。
尚、保持手段60としては、真空設備に接続された吸着パッド等を採用できる。
【0069】
研削手段10は、手先部51に対して、第一の変位機構70を介して支持されている。
また、研削手段10は、回転駆動源13を備えており、回転駆動源13で回転軸11を回転駆動し、ひいては、研磨ホイール12を回転駆動する構成としている。
【0070】
第一の変位機構70は、研削手段10を固定するためのブラケット71を備え、ブラケット71がZ軸方向に向けて変位可能に構成される。
このため、ブラケット71に固定された研削手段10は、Z軸方向に変位可能に構成され、研削手段10のZ軸方向における位置を調整することによって、板ガラス1に対する研磨ホイール12の切り込み量を調整する。
【0071】
支持手段20は、手先部51に対して、第二の変位機構80を介して支持されている。
第二の変位機構80は、支持手段20を固定するためのブラケット81を備え、ブラケット81がZ軸方向に向けて変位可能に構成される。
【0072】
即ち、本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40は、互いに対向する第一の主面1aおよび第二の主面1bを備える板ガラス1第一の主面1a側の周縁部1dに、厚みが端部に向かって漸次減少する傾斜部たるベベル2を、板ガラス1の周縁部1dに沿って形成する装置であって、ベベル2の形成方向に向けて変位しつつ、第一の主面1aを研削加工する研削手段10と、第一の主面1aに対する研削手段10による研削位置に追従して、前記研削位置の裏側にあたる第二の主面1bを支持する支持手段20を備えるものである。
このような構成により、簡易な構成のベベル加工装置40でありながら、ベベル2の面幅Wを一定に保持することができる。
【0073】
また、本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40において、支持手段20は、第二の主面1bと接触する部位を転動体30により構成するものである。
このような構成により、板ガラス1の切粉に起因する第二の主面1bの傷つきを抑制することができる。
【0074】
ベベル加工装置40による板ガラス1に対するベベル2の加工は、例えば、X軸に平行な端面1c近傍の周縁部1dにベベル2を形成する場合には、研削手段10で板ガラス1を所定の深さおよび角度で切り込んで研削しつつ、手先部51をX軸方向に変位させ、Y軸に平行な端面1c近傍の周縁部1dにベベル2を形成する場合には、研削手段10で板ガラス1を所定の深さおよび角度で切り込んで研削しつつ、手先部51をY軸方向に変位させる。
【0075】
また、ベベル加工装置40によって、板ガラス1のコーナー部1eに対してベベル2の加工を行う場合には、研削手段10で板ガラス1を所定の深さおよび角度で切り込んで研削しつつ、手先部51を、X軸方向およびY軸方向への変位量を調整しつつX軸Y軸各方向に向けて同時に変位させるとともに、Z軸回りに所定の角速度で回転させることで、ベベル2の形成方向を漸次変更しながら、コーナー部1eに稜線が現れない態様のベベル2を形成することができる。
【0076】
本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40では、支持手段20における転動体30としてローラ31を採用している。
そして、ベベル加工装置40では、ローラ31を回転手段22で支持し、ローラ31を第二の主面1bに垂直な軸心回りに回転可能に構成している。
【0077】
また、本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40では、ベベル2の加工を行うときの状態において、支持手段20を、第二の主面1bに垂直な軸心である回転手段22の軸心回りに回転可能に構成するとともに、ローラ31の回転軸31bの軸心と、回転手段22の軸心が交差しない位置に、ローラ31を配置する構成としている。
【0078】
そのため、ベベル加工装置40では、ローラ31の方向転換をよりスムーズに行うことができ、ローラ31でガラスの切粉を引きずって、第二の主面1bに傷が生じるのを確実に抑制できる。
【0079】
このように、本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40において、転動体30は、第二の主面1bに対して平行な第一の回転軸31b回りに回転可能なローラ31であり、このような構成により、ベベル加工装置40の構成を簡易なものとしつつ、ベベル2の面幅Wを一定に保持することを可能にしている。
【0080】
また、ベベル加工装置40では、支持手段20を、第二の主面1bに対して垂直な第二の回転軸たる回転手段22の軸心回りに回転可能に構成するとともに、第一の回転軸たるローラ31の回転軸31bの軸心を、回転手段22の軸心と交差させないように構成している。
このような構成により、ベベル2の形成方向が変更される場合において、ベベル2の形成方向に合わせて確実にローラ31の向きを変更させることができ、これにより、形成方向を変更しながらベベル2の加工を行う場合であっても、板ガラス1の切粉に起因する第二の主面1bの傷つきを抑制することを可能にしている。
【0081】
また、NC装置50は、複数の手先部51・51・・・を備える構成としてもよい。
この場合における複数の各手先部51・51・・・は、異なる処理を行う各ステーションに対応して配置され、それぞれのステーションにおいて、粗い研磨〜仕上げ研磨に至るまでの一連のベベル加工処理が行われる。
【0082】
そして、このような構成のNC装置50では、各手先部51・51・・・に対して、研削手段10および支持手段20を付設するとともに、各手先部51・51・・・における各研磨ホイール12・12・・・の番手を異ならせることで、粗い研磨〜仕上げ研磨に至る各工程を、一つのNC装置50の動作によって行うことが可能になる。
そして、この場合、一つのNC装置50で、複数の処理(粗い研磨〜仕上げ研磨)を同時進行させることが可能になり、生産性の向上を図ることができる。
【0083】
次に、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法の他の実施形態について、さらに説明をする。
本発明の一実施形態に係るベベル加工方法は図10に示すような第二の実施形態に係るベベル加工装置41によって実現される。
図10に示す如く、ベベル加工装置41は、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法に用いることができる装置であり、転動体30たるローラ31を、複数備える構成としている。
【0084】
ベベル加工装置41では、複数(本実施形態では2個)の各ローラ31・31の回転軸31b・31bをベベル2の形成方向に向けてずらして配置している。
そして、ベベル加工装置41では、複数のローラ31・31をベベル2の形成方向に向けてずらして配置することで、ベベル加工装置40を用いた場合に比して板ガラス1の支持領域Sを拡大させている。ここでいう「支持領域S」は、ベベル2の形成方向における最も前側のローラ31の第二の主面1bに対する周面部31dの接点から、ベベル2の形成方向における最も後側のローラ31の第二の主面1bに対する周面部31dの接点までの範囲として規定している。
【0085】
ベベル加工装置41の支持領域Sは、平面視(Z軸方向視)において、ベベル2の形成方向における最も前側のローラ31の回転軸31bと、ベベル2の形成方向における最も後側のローラ31の回転軸31bによって区切られる範囲に略一致している。尚、本実施形態では2個のローラ31・31を備えたベベル加工装置41を例示しているが、ベベル加工装置41では、3個以上のローラ31を備える構成とすることも可能である。
【0086】
例えば、本発明の第一の実施形態に係るベベル加工装置40(図1(b)参照)を用いたベベル加工方法では、研磨ホイール12による板ガラス1の研削領域が、一つのローラ31による板ガラス1の支持領域を超えている。この場合、ローラ31によって支持されていない研削領域では、板ガラス1が撓む恐れがある。
【0087】
一方、第二の実施形態に係るベベル加工装置41を用いたベベル加工方法では、二つのローラ31・31によって支持領域Sが拡大されており、板ガラス1を安定して支持することができるため、ベベル加工装置40を用いた場合に比して、ベベル加工の精度をより確実に確保することができる。
【0088】
また、ベベル加工装置41は、図11(a)(b)に示すように、研磨ホイール12による研削領域Kが、支持領域S内に収まるように、各ローラ31・31を配置する構成としている。
つまり、ベベル加工装置41では、ベベル2の形成方向における支持領域Sの前端を研削領域Kの前端より前に配置するとともに、ベベル2の形成方向における支持領域Sの後端を研削領域Kの後端より後に配置して、支持領域Sによって研削領域Kを包含させる構成とすることが好ましい。尚、図11(a)では、説明の便宜上、板ガラス1、ベベル2、回転軸11、研磨ホイール12、研削領域Kを二点鎖線で表示し、透過させたように表している。
【0089】
複数のローラ31・31によって形成した支持領域Sの中に、研削領域Kが包含された状態で研磨ホイール12によって板ガラス1の研削を行うことで、研削領域Kにおける板ガラス1の撓みをより確実に抑制することができる。
【0090】
さらに、ベベル加工装置41では、図11(a)(b)に示すように、複数のローラ31・31による板ガラス1の支持領域Sによって、研磨ホイール12による板ガラス1の研削領域Kを包含させるとともに、各領域S・Kを一致させている。
支持領域Sは、板ガラス1の撓みを減らす観点から見れば、ローラ31・31による支持間隔を出来る限り狭くするほうが好ましい。ベベル加工装置41では、二つのローラ31・31を、回転軸31bの軸心方向に向けてずらすことによって、ベベル2の形成方向における二つのローラ31・31による支持間隔をより狭くすることを可能にしている。
【0091】
即ち、ベベル加工装置41では、ベベル2の形成方向における支持領域Sの前端を研削領域Kの前端に一致させるとともに、ベベル2の形成方向における支持領域Sの後端を研削領域Kの後端に一致させることがより好ましい。
【0092】
尚、本実施形態で示したベベル加工装置41では、複数のローラ31・31の内、板ガラス1の外側(縁部側)寄りに配置したローラ31を、内側寄りに配置した他方のローラ31に比して、ベベルの形成方向において前方に配置する構成としているが、ベベル加工装置41では、複数のローラ31・31の前後関係を逆にしてもよい。
【0093】
例えば、板ガラス1の外側(縁部側)寄りに配置したローラ31を、ベベル2の形成方向における前方に配置した場合、ある一辺に対するベベル加工の開始時に、板ガラス1の撓みを抑制できるという利点があり、例えば、板ガラス1の内側寄りに配置したローラ31を、ベベル2の形成方向における前方に配置した場合、ある一辺に対するベベル加工の終了時に、板ガラス1の撓みを抑制できるという利点がある。
【0094】
即ち、ベベル加工装置41を用いたベベル加工方法は、転動体30を、板ガラス1の板厚方向に対して垂直で、かつ、ベベル2の形成方向に対して垂直な回転軸31b回りに回転する複数のローラ31・31によって構成し、複数のローラ31・31を、ベベル2の形成方向に向けて互いにずらして配置する、ことを特徴としている。
【0095】
また、ベベル加工装置41を用いたベベル加工方法は、複数のローラ31・31を、回転軸31bの軸心方向に向けて互いにずらして配置することを特徴としている。
【0096】
さらに、ベベル加工装置41を用いたベベル加工方法は、ベベル2の形成方向において、研削手段たる研磨ホイール12による板ガラス1の研削領域Kを、板ガラス1に対する複数のローラ31・31の接点が存在する範囲に包含させることを特徴としている。
このようなベベル加工装置41を用いたベベル加工方法によれば、ベベル加工の際に、板ガラス1の撓みを抑制できる。
【0097】
次に、本発明の一実施形態に係るベベル加工方法について、さらに説明をする。
本発明の一実施形態に係るベベル加工方法は図12に示すような第三の実施形態に係るベベル加工装置42によって実現される。
第三の実施形態に係るベベル加工装置42では、支持手段20を、転動体ではなく、ブロック体23によって構成している。
【0098】
ブロック体23は、板ガラス1に比して硬度が低い素材(例えば、ポリアミド)によって構成される略直方体状の部材であり、板ガラス1の第二の主面1bに接する部位に、支持面23aが形成されている。
ブロック体23は。ベベル2の加工時において、支持面23aが、板ガラス1の板厚方向に対して垂直となる姿勢で基台部21に対して固定されており、研磨ホイール12の進行に合わせて、支持面23aが板ガラス1の板厚方向に対して垂直となる状態を維持したままで、研磨ホイール12の変位方向に対して平行に変位される。
【0099】
このようなベベル加工装置42を用いたベベル加工方法では、ベベル2を加工する際に、板ガラス1とブロック体23が擦れ合ったとしても、ブロック体23によって、板ガラス1に傷がつくことを防止できる。また、ベベル加工装置42を用いたベベル加工方法では、板ガラス1とブロック体23の間に潤滑材を供給しながら、ベベル加工を行ってもよい。
【0100】
即ち、ベベル加工装置42を用いたベベル加工方法において、支持手段20は、板ガラス1に比して硬度が低い素材からなり、第二の主面1bと当接する部位に、ベベル2の加工時における板ガラス1の板厚方向に対して垂直となる支持面23aを備えたブロック体23により構成されるものである。
このような構成のベベル加工装置42を用いたベベル加工方法によれば、ベベル加工の際に、板ガラス1を簡易に支持することができる。
【0101】
そして、このようなベベル加工装置42を用いたベベル加工方法は、第二の主面1bに凹凸部を有する板ガラス1に対するベベル2の加工に特に適している。
【0102】
第二の主面1bに凹凸部を有する板ガラス1にベベル加工を施す場合、第二の主面1bを、例えばローラ31で支持した場合には、第二の主面1bに沿ってローラ31が転動する際に、ローラ31が凸部を乗り越えたときや凹部に嵌ったときに振動が発生する。
【0103】
一方、第二の主面1bをブロック体23で支持する場合、支持面23aは、第二の主面1bに形成された凹部に嵌ることなく、第二の主面1bを支持しながら、第二の主面1bに形成された複数の凸部の頂点を通る平面に沿って変位されるため、ベベル2の加工時に振動が発生することを防止できる。
【0104】
即ち、ベベル加工装置42を用いたベベル加工方法において、板ガラス1が第二の主面1bに凹凸部が形成された非平滑面である場合、ブロック体23を備えたベベル加工装置42を用いることで、第二の主面1bに凹凸部がある板ガラス1をベベル加工する際に、振動が発生することを抑制できる。
【符号の説明】
【0105】
1 板ガラス
1a 第一の主面
1b 第二の主面
2 ベベル
10 研削手段
12 研磨ホイール
20 支持手段
22 回転手段(第二の回転軸)
30 転動体
31 ローラ(転動体)
31b 回転軸(第一の回転軸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12