(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-171796(P2015-171796A)
(43)【公開日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】成形品のバリ取り方法、成形品のバリ取り台及び成形品のバリ取り装置
(51)【国際特許分類】
B29C 37/02 20060101AFI20150904BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20150904BHJP
【FI】
B29C37/02
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-49243(P2014-49243)
(22)【出願日】2014年3月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】大熊 昭一
(72)【発明者】
【氏名】大内 努
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武士
【テーマコード(参考)】
3C707
4F201
【Fターム(参考)】
3C707AS12
3C707BS10
3C707ES03
3C707JS02
3C707LV01
4F201BA08
4F201BC01
4F201BC05
4F201BD06
4F201BQ37
4F201BQ38
4F201BS04
(57)【要約】
【課題】 狭い作業範囲でバリを取り去ることができ、しかも成形品を押さえ付ける構成及びその動作の簡素化が図れる成形品のバリ取り方法、成形品のバリ取り台及び成形品のバリ取り装置を提供する。
【解決手段】 成形品11のバリ取り台30は、基体31と、基体31上に回転可能に設けられ、成形品11を載置する載置台32と、載置台32の上方にあって上下方向に移動可能に設けられたクランプ35と、を備える。クランプ35は、載置台32に載置された成形品11からバリ13を取り去るときに、成形品11を載置台32に押さえ付け、載置台32は、成形品11からバリ13を取り去ることができるように、回転する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形品のバリ取り方法であって、
載置台に前記成形品を載置する工程(A)と、
前記載置台上の前記成形品をクランプによって前記載置台に押さえ付ける工程(B)と、
前記載置台を回転させながら前記成形品のバリをロボットアーム装置によって剥ぎ取る工程(C)と、を備えることを特徴とする成形品のバリ取り方法。
【請求項2】
前記工程(C)において、前記成形品を前記クランプによって前記載置台に押さえ付けた状態で、前記載置台の回転がなされることを特徴とする請求項1に記載の成形品のバリ取り方法。
【請求項3】
前記工程(C)が、前記成形品のバリの最初の部分を前記ロボットアーム装置によって取り去る段階(1)と、
前記載置台を90°以上180°以下の回転角度で回転させ、前記成形品のバリ取り位置を変える段階(2)と、
前記クランプによって前記載置台に押さえ付けた前記成形品のバリの次ぎの部分を前記ロボットアーム装置によって剥ぎ取る段階(3)と、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の成形品のバリ取り方法。
【請求項4】
前記工程(C)において、前記載置台を前記ロボットアーム装置の動作に同調させて連続的に360°回転させ、前記成形品からバリの全部を一度に取り去ることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形品のバリ取り方法。
【請求項5】
成形品のバリ取り台であって、
基体と、
前記基体上に回転可能に設けられ、前記成形品を載置する載置台と、
前記載置台の上方にあって上下方向に移動可能に設けられたクランプと、を備え、
前記クランプが、前記載置台に載置された前記成形品からバリを取り去るときに、前記成形品を前記載置台に押さえ付け、
前記載置台が、前記成形品からバリを取り去ることができるように、回転することを特徴とする成形品のバリ取り台。
【請求項6】
前記クランプが、前記載置台の回転軸と同軸の回転軸を有し、前記成形品を前記載置台に押さえ付けた状態で前記載置台の回転にともなって回転し得ることを特徴とする請求項5に記載の成形品のバリ取り台。
【請求項7】
前記載置台が、前記成形品からバリを部分的に順次取り去ることができるように、90°以上180°以下の回転角度で回転することを特徴とする請求項5又は6に記載の成形品のバリ取り台。
【請求項8】
前記載置台が、前記成形品からバリの全部を一度に取り去ることができるように、連続的に360°回転することを特徴とする請求項5又は6に記載の成形品のバリ取り台。
【請求項9】
請求項5ないし8のいずれか1項に記載のバリ取り台と、
前記バリ取り台に隣接して配置され前記成形品のバリを取り去るロボットアーム装置と、を備えることを特徴とする成形品のバリ取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品のバリ取り方法、成形品のバリ取り台及び成形品のバリ取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロー成形などにより製造された合成樹脂製の成形品からバリを機械的に取り去る各種の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来のバリ取り台の基本構成を示す図である。
図5に示すように、このバリ取り台100は、成形品101のパーティングライン(成形金型の分割位置)上に形成されるバリ102を取り去る装置である。バリ取り台100は、基体103と、この基体103上に設けられる載置台105及び3つの押さえ部106a,106b,106cとを備える。これら3つの押さえ部106a,106b,106cは、載置台105の一側から他側にかけて略等間隔に配置される。また、押さえ部106a,106b,106cは、それぞれ、成形品101の製品部107を押さえ付ける押さえ位置と、この押さえ位置から上方に回転した解除位置との間を動作可能である。
【0004】
図6は、
図5に示される従来のバリ取り台100を用いたバリ取り方法を説明する図である。
【0005】
図6(a)に示すように、このバリ取り方法では、まず、バリ102の付いた成形品101をロボットアーム装置のアーム部108で把持し、バリ取り台100上の載置台105に載置する。次に、3つの押さえ部106a,106b,106cを押さえ位置に動作させ、成形品101を載置台105に押さえ付ける。
【0006】
続いて、
図6(b)に示すように、アーム部108にナイフ111を装着し、このナイフ111でバリ102の付け根に切り込み112を入れる。この際、移動するナイフ111と押さえ部106a,106b,106cとの干渉を避けるため、押さえ部106a,106b,106cを解除位置に適宜移動させる。
【0007】
次に、
図6(c)に示すように、アーム部108にバリ掴みバンド113を装着し、このバリ掴みバンド113でバリ102の一方の端部102aを把持する。そして、載置台105の一側の押さえ部106aを解除位置に動作させた状態で、アーム部108でバリ102の一方の端部102aを載置台105の他側に引っ張ることにより、押さえ部106bの前までバリ102を剥ぎ取る。同様にして、中央の押さえ部106bを解除位置に動作させた状態で、アーム部108を載置台105の他側にさらに移動させることにより、載置台105の他側の押さえ部106cの前までバリ102を剥ぎ取る。
【0008】
最後に、
図6(d)に示すように、押さえ部106cを解除位置に動作させた状態で、アーム部108を載置台105の他側にさらに移動させることにより、バリ102の他方の端部102bを剥ぎ取る。これで、バリ取りが完了する。
【0009】
このように、従来のバリ取り方法においては、3つの押さえ部106a,106b,106cのそれぞれが、剥ぎ取られていくバリ102との干渉を防ぐため解除位置に順次動作する。そして、3つの押さえ部106a,106b,106cは、剥ぎ取られたバリ102が通過した後は、再度押さえ位置に動作して成形品101を押さえ付ける。これにより、3つの押さえ部106a,106b,106cのうち1つが解除位置に動作しても、残りの2つで成形品101を載置台105に押さえ付けることができる。このため、バリ102を成形品101から取り去る過程において、常時、成形品101を載置台105に押さえ付けることができる。
【0010】
ところで、製造コストの低減及び生産性向上の観点から、簡素な工程でバリを機械的に取り去る技術が要望されている。しかし、前述した従来のバリ取り技術において、成形品101からバリ102を完全に取り去るには、アーム部108を載置台105の一側から他側に至る広い範囲で動作させる必要があった。また、常時、成形品101を載置台105に押さえ付けるために、複雑に動作する3つの押さえ部106a,106b,106cが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許4054486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、狭い作業範囲でバリを取り去ることができ、しかも成形品を押さえ付ける構成及びその動作の簡素化が図れる成形品のバリ取り方法、成形品のバリ取り台及び成形品のバリ取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の成形品のバリ取り方法は、載置台に成形品を載置する工程(A)と、載置台上の成形品をクランプによって載置台に押さえ付ける工程(B)と、載置台を回転させながら成形品のバリをロボットアーム装置によって剥ぎ取る工程(C)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
(2)本発明の成形品のバリ取り方法は、上記(1)の構成の工程(C)において、成形品をクランプによって載置台に押さえ付けた状態で、載置台の回転がなされることを特徴とする。
【0015】
(3)本発明の成形品のバリ取り方法は、上記(1)又は(2)の構成の工程(C)が、成形品のバリの最初の部分をロボットアーム装置によって取り去る段階(1)と、載置台を90°以上180°以下の回転角度で回転させ、成形品のバリ取り位置を変える段階(2)と、クランプによって載置台に押さえ付けた成形品のバリの次ぎの部分をロボットアーム装置によって剥ぎ取る段階(3)と、を含むことを特徴とする。
【0016】
(4)本発明の成形品のバリ取り方法は、上記(1)又は(2)の構成の工程(C)において、載置台をロボットアーム装置の動作に同調させて連続的に360°回転させ、成形品からバリの全部を一度に取り去ることを特徴とする。
【0017】
(5)本発明の成形品のバリ取り台は、基体と、基体上に回転可能に設けられ、成形品を載置する載置台と、載置台の上方にあって上下方向に移動可能に設けられたクランプと、を備え、クランプが、載置台に載置された成形品からバリを取り去るときに、成形品を載置台に押さえ付け、載置台が、成形品からバリを取り去ることができるように、回転することを特徴とする。
【0018】
(6)本発明の成形品のバリ取り台は、上記(5)の構成において、クランプが、載置台の回転軸と同軸の回転軸を有し、成形品を載置台に押さえ付けた状態で載置台の回転にともなって回転し得ることを特徴とする。
【0019】
(7)本発明の成形品のバリ取り台は、上記(5)又は(6)の構成において、載置台が、成形品からバリを部分的に順次取り去ることができるように、90°以上180°以下の回転角度で回転することを特徴とする。
【0020】
(8)本発明の成形品のバリ取り台は、上記(5)又は(6)の構成において、載置台が、成形品からバリの全部を一度に取り去ることができるように、連続的に360°回転することを特徴とする。
【0021】
(9)本発明の成形品のバリ取り装置は、上記(5)ないし(8)のいずれか1つのバリ取り台と、バリ取り台に隣接して配置され成形品のバリを取り去るロボットアーム装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、狭い作業範囲でバリを取り去ることができ、しかも成形品を押さえ付ける構成及びその動作の簡素化が図れる成形品のバリ取り方法、成形品のバリ取り台及び成形品のバリ取り装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る実施形態のバリ取り装置の側面図である。
【
図3】(a)は工程(A)の説明図、(b)は工程(B)の説明図、(c)は切り込み工程の説明図である。
【
図4】(a)は工程(C)の段階(1)の説明図、(b)は工程(C)の段階(2)の説明図、(c)は工程(C)の段階(3)の説明図である。
【
図5】従来のバリ取り台の基本構成を示す図である。
【
図6】従来のバリ取り方法を説明する図であり、(a)は成形品を載置する工程を示す図、(b)はバリの付け根に切り込みを入れる工程を示す図、(c)はバリの一方の端部を剥ぎ取る工程を示す図、(d)はバリの他方の端部を剥ぎ取る工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0025】
(バリ取り装置10の構成)
バリ取り装置10の構成を
図1に基づいて説明する。
図1に示すように、バリ取り装置10は、ロボットアーム装置20及びバリ取り台30を備える。製造対象である成形品11は、合成樹脂を用いてブロー成形などにより成形されたものであり、製品部(この例では、一方向に長い空調用の中空ダクト)12を有する。この製品部12のパーティングライン上には、バリ13が形成される。バリ13の外形は、平面視において製品部12を囲う略長方形状(
図2参照)に形成される。
【0026】
なお、本発明にいう「成形品」の構成は、この例に格別に限定されるものではなく、製品部のパーティングライン上にバリが形成される構成であれば、任意である。
【0027】
(ロボットアーム装置20の構成)
ロボットアーム装置20は、バリ取り台30に隣接して配置される、いわゆる多軸ロボットであって作業用のアーム部21を備える。例えば、ロボットアーム装置20には、アーム部21を上下方向、左右方向及び前後方向に動作させる6軸駆動ロボットを用いることができる。このアーム部21の先端部には、複数種の機能部品が作業の種類に応じて選択的に取付け可能である。例えば、
図1では、バリ13を掴むためのバリ掴みバンド22をアーム部21の先端部に装着した例を示すが、このアーム部21の先端部には、この他、載置用治具23(
図3(a)参照)やナイフ25(
図3(c)参照)などが付け替え可能である。
【0028】
(バリ取り台30の構成)
バリ取り台30は、基体31と、この基体31上に設けられる載置台32と、載置台32を回転させる下側駆動部33とを備える。また、バリ取り台30は、載置台32の上方にあって上下方向に移動可能に設けられるクランプ35と、このクランプ35を上下方向に移動させる上側駆動部36とを備える。
【0029】
載置台32は、回転軸37により基体31に対して回転可能に支持される。載置台32の平面形状は、この例では、略円形の平面形状(
図2参照)を示すが、成形品11を載置可能であれば、形状は任意である。
【0030】
下側駆動部33は、基体31の内部に設けられ、任意の回転角度(例えば、90°以上180°以下の回転角度)をもって回転軸37及び載置台32を間欠的に回転させる、あるいは、回転軸37及び載置台32を360°連続的に回転させることができる。下側駆動部33は、電動モータや油圧モータなどの各種の駆動手段から選択可能である。
【0031】
クランプ35は、成形品11を載置台32に押さえ付ける押さえ部35aと、載置台32の回転軸37と同軸であり押さえ部35aに下端が接続される回転軸35bとを備える。この例では、製品部12の形状に合わせて平面形状が略長方形状に形成される押さえ部35a(
図2参照)を示すが、押さえ部35aの平面形状は、成形品11を載置台32に押さえ付けることができる形状であれば、任意である。
【0032】
回転軸35bは、成形品11を押さえ付けた状態の押さえ部35aを、載置台32の回転にともなって回転させるものである。この例では、基体31の上面に略逆L字状の支持体38を設け、シリンダユニットで構成される上側駆動部36を支持体38に固定する。そして、上側駆動部36のロッドを兼用する回転軸35bの下端に、押さえ部35aの中心部を回転可能に取り付ける。
【0033】
以上のように構成されるバリ取り台30及びロボットアーム装置20は、制御部41に接続される。この制御部41は、バリ取り台30及びロボットアーム装置20の各部の動作を制御する。より具体的には、制御部41は、下側駆動部33を制御して載置台32の動作を制御し、この載置台32の動作に合わせて上側駆動部36を制御してクランプ35の動作を制御する。また、制御部41は、載置台32の動作及びクランプ35の動作に合わせて、ロボットアーム装置20のアーム部21の動作を制御する。また、6軸駆動ロボット(ロボットアーム装置20)とバリ取り台30を組み合わせる(バリ取り装置10として実質7軸制御となる)ことにより、通常のロボットアームでの作業よりも短時間で細かい制御がされた高精度のバリ処理が可能となる。
【0034】
(成形品11のバリ取り方法)
次に、バリ取り方法を
図3、
図4に基づいて説明する。
このバリ取り方法は、バリ取り装置10(
図1参照)を用いて成形品11(
図1参照)からバリ13(
図1参照)を取り去る方法であって、以下に述べる工程(A)、工程(B)及び工程(C)を含む。
【0035】
(工程(A))
図3(a)に示すように、工程(A)では、アーム部21の先端部に装着した載置用治具23によって、停止した載置台32上に成形品11を載置する(矢印(1))。この際、クランプ35の長手方向に対して成形品11の長手方向を揃えるようにして、クランプ35の直下に製品部12を載置する。
【0036】
(工程(B))
図3(b)に示すように、工程(B)では、上側駆動部36によりクランプ35を下方に移動させ、載置台32上の成形品11の製品部12をクランプ35の押さえ部35aによって載置台32に押さえ付ける(矢印(2))。
【0037】
次に、
図3(c)に示すように、アーム部21の先端部をナイフ25に付け替え、このナイフ25を用いて、載置台32に押さえ付けられた成形品11に切り込み42a,42bを形成する。この際、パーティングラインに沿ってバリ13の付け根に切り込み42aを形成する。これに加え、バリ13を長手方向に2つに分割するための切り込み(この例では、バリ13の短辺と平行でかつバリ13の略中央に位置する切り込み)42bを、製品部12を挟んで2本形成する。
【0038】
(工程(C))
工程(C)は、例えば、以下の段階(1)〜(3)により構成される。
【0039】
(段階(1))
図4(a)に示すように、段階(1)では、アーム部21の先端部をバリ掴みバンド22に付け替え、このバリ掴みバンド22を載置台32の一側に移動させる(矢印(3))。そして、バリ13の長手方向の一方の端部13aをバリ掴みバンド22で掴み、アーム部21を移動させることにより、バリ13の一部分(略半分)15Rを切り込み42a,42bに従って取り去る(矢印(4))。ここで、バリ13の一部分15Rは、本発明にいう「バリの最初の部分」に相当する。
【0040】
(段階(2))
図4(b)に示すように、段階(2)では、載置台32を任意の回転角度で回転させ、成形品11のバリ取り位置を変える。この例では、載置台32を180°回転させ、載置台32の他側に位置するバリ13の残りの部分15Lを、載置台32の他側から一側に180°反転させる(矢印(5))。この際、クランプ35の押さえ部35aによって成形品11を載置台32に押さえ付けた状態で、つまり製品部12が押さえ部35aと載置台32の間に挟み込まれたまま、載置台32の回転がなされる。
【0041】
(段階(3))
図4(c)に示すように、段階(3)では、バリ掴みバンド22を載置台32の一側に再度移動させる(矢印(6))。そして、バリ13の長手方向の他方の端部13bをバリ掴みバンド22で掴み、アーム部21を移動させる(矢印(7))。これにより、押さえ部35aによって押さえ付けられた成形品11におけるバリ13の残りの部分(本発明にいう「バリの次ぎの部分」に相当)15Lを取り去る。これで、成形品11からのバリ取りが完了し、バリ13が全て取り去られた製品部12が得られる。
【0042】
なお、この例では、段階(2)及び段階(3)をそれぞれ1回行う例を示したが、段階(2)及び段階(3)をそれぞれ2回以上行うことで、バリ13を3つ以上に分割して取り去ることもできる。また、載置台32の回転角度は、180°に限定されるものではなく、成形品の仕様などに応じて、任意の角度に設定可能である。
【0043】
(実施形態の効果)
以上、説明した実施形態の効果について述べる。
本実施形態によれば、成形品11からバリ13を部分的に順次取り去ることができるように、載置台32を回転させるので、載置台32の一側の狭い範囲でアーム部21を動作させて、成形品11からバリ13を完全に取り去ることができる。すなわち、従来のようにアーム部を載置台の一側から他側まで広く動作させる必要がなく、アーム部21の可動範囲(作業範囲)が、矢印(3),(4)及び矢印(6),(7)(
図4参照)で示される狭い範囲で済む。
【0044】
また、バリ13を取り去る過程において、構成が簡素でかつ動作が単純なクランプ35により成形品11を載置台32にしっかりと押さえ付けることができる。
【0045】
したがって、本実施形態によれば、狭い可動範囲で動作するアーム部21でバリ13を取り去ることができ、しかも成形品11を押さえ付ける構成及びその動作の簡素化が図れるバリ取り技術を提供することができる。
【0046】
さらに、クランプ35が、成形品11を押さえ付けた状態で載置台32の回転にともなって回転できるので、載置台32が回転している間も、成形品11を載置台32にしっかりと押さえ付けておくことができる。
【0047】
(成形品11のバリ取り方法の他の例)
前述したバリ取り方法では、工程(C)において、段階(1)〜段階(3)により成形品11からバリ13を部分的に順次取り去る方法を例示したが、本発明の成形品のバリ取り方法では、この他、成形品11からバリ13の全部を一度に取り去ることもできる。
【0048】
例えば、工程(C)において、前述した段階(1)〜段階(3)(
図4(a)〜(c)参照)の代わりに、アーム部21の動作に同調させながら、載置台32を連続的に360°回転させ、成形品11からバリ13の全部を一度に取り去るようにしてよい。この場合、バリ13を長手方向に2つに分割するための切り込み42bは一箇所でもよい。
【0049】
このようなバリ取り方法においても、狭い可動範囲で動作するアーム部21でバリ13を取り去ることができ、しかも成形品11を押さえ付ける構成及びその動作の簡素化が図れるバリ取り技術を提供することができる。
【0050】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0051】
例えば、実施形態においては、載置台32の回転にともなってクランプ35を回転させる例を示したが、載置台32が回転する前に成形品11からクランプ35を上方に移動させ、載置台32の停止した後に再びクランプ35を下方に移動させて成形品11を押さえ付けることもできる。
【符号の説明】
【0052】
10 バリ取り装置
11 成形品
13 バリ
15R 一部分(最初の部分)
15L 残りの部分(次の部分)
20 ロボットアーム装置
30 バリ取り台
31 基体
32 載置台
35 クランプ
35b 回転軸
37 回転軸