【解決手段】魚Fを載置する載置部12と、載置部12から立設され、魚Fを挟持する一対の第1挟持板14及び第2挟持板16と、第1挟持板14及び第2挟持板16の両方の外側に、それらと対向し、かつ離間して立設された第1補助部18及び第2補助部20とを有し、載置部12及び第1挟持板14及び第2挟持板16が熱可塑性樹脂発泡体で形成され、第1挟持板14及び第2挟持板16が、その突端14a,16aを外側の第1補助部18及び第2補助部20に向けて撓むようになっている保持体10を備える、収納容器。
収納物を載置する載置部と、前記載置部から立設され、収納物を挟持する少なくとも一対の挟持板と、前記一対の挟持板のいずれか一方又は両方の外側に、該挟持板と対向し、かつ該挟持板と離間して立設された補助部とを有し、
前記載置部及び前記一対の挟持板が熱可塑性樹脂発泡体で形成され、
前記補助部が設けられた側の挟持板が、その突端を該補助部に向けて撓むようになっている、収納容器。
前記一対の挟持板における魚の尻尾が配置される側の間隔が、魚の頭が配置される側の間隔よりも狭くなっており、かつ前記一対の挟持板における魚の尻尾が配置される側の厚みが、魚の頭が配置される側の厚みに比べて厚くなっている、請求項3に記載の収納容器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明の収納容器の一例として、鮮魚、活魚等の魚の収納に適した収納容器について具体的に説明する。
本実施形態の収納容器1は、
図1に示すように、魚Fを1匹ずつ保持する複数の保持体10,10・・・と、それら複数の保持体10,10・・・が収納される容器本体24と、を有する。
【0013】
[保持体]
保持体10は、
図2及び
図3に示すように、載置部12と、一対の第1挟持板14及び第2挟持板16と、一対の第1補助部18及び第2補助部20と、前壁部22と、を有する。
載置部12は長方形の平板である。第1挟持板14及び第2挟持板16は、平面長方形状であり、載置部12の幅方向で対向するように、それぞれ載置部12の長手に立設されている。第1補助部18は、長方形の平板であり、載置部12における幅方向の第1挟持板14の外側に、第1挟持板14と対向し、かつ第1挟持板14と離間して載置部12の長手に立設されている。第2補助部20は、長方形の平板であり、載置部12における幅方向の第2挟持板16の外側に、第2挟持板16と対向し、かつ第2挟持板16と離間して載置部12の長手に立設されている。前壁部22は、載置部12における先端側に立設され、第1補助部18及び第2補助部20と接続されている。
保持体10における第1補助部18及び第2補助部20は、載置部12及び前壁部22で固定されて動かないようになっている。
【0014】
保持体10は、上方が開放されている。保持体10では、
図5に示すように、載置部12上の第1補助部18、第2補助部20及び前壁部22で囲われた部分における、第1挟持板14と第2挟持板16の間に、魚Fの体長方向が載置部12の長さ方向となるように、かつ頭が前壁部22を向くように上方から魚Fが載置される。
【0015】
載置部12の大きさ及び厚さは、強度等を考慮して適宜設定すればよい。
また、載置部12の形状は、長方形の平板には限定されず、強度等を考慮して適宜設定すればよい。
【0016】
第1挟持板14及び第2挟持板16の基端は載置部12に固定されている。また、第1挟持板14及び第2挟持板16の長さ方向の両端部は、保持体10のいずれの部分とも接続されておらず、自由端となっている。
載置部12上に載置された魚Fは、その幅方向から第1挟持板14及び第2挟持板16により挟持される。
第1挟持板14及び第2挟持板16の平面形状は、この例では長方形であるが、長方形には限定されず、収納物の種類に応じて適宜設定すればよい。
【0017】
第1挟持板14は、
図2に示すように、第1挟持板14における魚Fの頭部が配置される側の先端部14bが、保持される魚Fの鰓よりも尻尾側に位置するように、載置部12の長手に設けられていることが好ましい。同様に、第2挟持板16は、第2挟持板16における魚Fの頭部が配置される側の先端部16bが、保持される魚Fの鰓よりも尻尾側に位置するように、載置部12の長手に設けられていることが好ましい。
これにより、魚Fの鰓が第1挟持板14及び第2挟持板16により圧迫されなくなる。そのため、魚Fが活魚である場合に魚Fのストレスが低減される。また、保持体10における第1挟持板14及び第2挟持板16よりも前壁部22側に広い空間ができるため、魚Fの出し入れが容易になる。
【0018】
また、第1挟持板14及び第2挟持板16における魚Fの尻尾が配置される側の間隔は、この例のように、魚Fの頭が配置される側の間隔よりも狭くなっていることが好ましい。この例では、魚Fの頭が配置される側の第1挟持板14及び第2挟持板16の間隔が一定で、途中から魚Fの尻尾が配置される部分にかけて徐々に第1挟持板14及び第2挟持板16の間隔が狭くなり、第1挟持板14及び第2挟持板16の後端部で間隔が再び一定となっている。
このように、第1挟持板14及び第2挟持板16の間隔が魚Fの体形に合わせて尻尾側に向かって狭くなっていることで、第1挟持板14及び第2挟持板16と魚Fとの間に隙間が生じにくくなるため、魚Fがより安定して保持される。また、このように、第1挟持板14及び第2挟持板16の間隔が魚Fの体形に合わせて尻尾側に向かって狭くなっている場合は、この例のように保持体10の後端が開放されていてもよい。
【0019】
また、この例では、第1挟持板14及び第2挟持板16における魚Fの尻尾が配置される側の厚みが、魚Fの頭が配置される側の厚みに比べて厚くなっている。
魚の動きは尻尾部が最も激しく、特に魚Fが活魚の場合、万が一魚Fが暴れると尻尾部で衝撃が最も強くなる。第1挟持板14及び第2挟持板16における魚Fの尻尾側の厚みを厚くしておくことで、魚Fが暴れようとしてもしっかりと安定的に保持できる。これにより、例えば冬眠(仮死)状態として収納した活魚が冬眠状態から覚醒して暴れようとしても、その動きを抑制して尻尾による衝撃を緩和できるため、魚Fが傷ついたり、保持体10が破損したりすることを抑制しやすい。
【0020】
魚Fとして活魚を収納する場合は、第1挟持板14及び第2挟持板16における魚Fの尻尾が配置される側の間隔が、魚Fの頭が配置される側の間隔よりも狭くなっており、かつ第1挟持板14及び第2挟持板16における魚の尻尾が配置される側の厚みが、魚の頭が配置される側の厚みに比べて厚くなっていることが特に好ましい。
【0021】
収納容器1では、第1挟持板14が、その突端14aを外側の第1補助部18に向けて撓むようになっている。同様に、第2挟持板16が、その突端16aを外側の第2補助部20に向けて撓むようになっている。これにより、第1挟持板14と第2挟持板16の間隔d1(
図3)よりも幅が大きい魚Fであっても、第1挟持板14と第2挟持板16を撓ませつつ挟持することができる。
なお、魚の幅とは、当該魚における両方の体側面間の距離(厚み)を意味するものとする。
【0022】
通常は同じ魚種でも魚の幅には個体差がある。収納容器1では、第1挟持板14と第2挟持板16の間隔d1(
図3)を、個体差として想定される最小幅の魚Fに対応するように設計する。
これにより、個体差として想定される最小幅の魚Fは、
図3に示すように、載置部12に載置された状態で第1挟持板14と第2挟持板16により挟持され、安定して保持される。また、第1挟持板14と第2挟持板16の間隔d1よりも幅が大きい魚Fの場合、
図4に示すように、第1挟持板14と第2挟持板16がそれらの突端14a,16aを外側に向けて撓みつつ魚Fを挟持するため、該魚Fが安定して保持される。このように、保持体10では、第1挟持板14と第2挟持板16が撓むことで魚Fの個体差を許容して保持することが可能になる。
【0023】
第1補助部18及び第2補助部20の平面形状は、この例では長方形である。
なお、第1補助部18及び第2補助部20の平面形状は、収納物の種類に応じて適宜設定すればよく、長方形には限定されない。
【0024】
第1挟持板14と第1補助部18の間隔d2(
図3)、及び第2挟持板16と第2補助部20の間隔d3(
図3)は、収納目的の魚Fの個体差における最小幅と最大幅の差に応じて適宜設計する。具体的には、個体差として想定される最大幅の魚Fを第1挟持板14と第2挟持板16により挟持させた際に、撓んだ第1挟持板14の突端14aが第1補助部18に接し、また撓んだ第2挟持板16の突端16aが第2補助部20に接するように、前記距離d2及び距離d3を調節することが好ましい。
これにより、第1挟持板14及び第2挟持板16がそれぞれ第1補助部18及び第2補助部20に接するまで撓むことができるため、個体差として想定される最大幅の魚Fも保持可能となる。また、個体差として想定される最大幅の魚Fを保持する場合でも、撓んだ第1挟持板14と第2挟持板16が第1補助部18と第2補助部20でそれぞれ支えられる。第1補助部18と第2補助部20は前壁部22と接続され、載置部12上で動かないように固定されているため、撓んだ第1挟持板14と第2挟持板16が第1補助部18と第2補助部20で支えられることで、個体差として想定される最大幅の魚Fであっても安定して保持できる。
【0025】
第1挟持板14と第1補助部18の間隔d2は、3〜20mmが好ましく、5〜10mmがより好ましい。前記間隔d2が下限値以上であれば、より個体差の大きな魚Fを安定に保持することが容易になる。前記間隔d2が上限値以下であれば、大きなスペースを必要とせず、効率的である。
同様の理由から、第2挟持板16と第2補助部20の間隔d3は、3〜20mmが好ましく、5〜10mmがより好ましい。
【0026】
前壁部22は、この例では、板状で、内面側に半円筒状の凹部が形成されている。なお、前壁部22の形状は、収納物の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
【0027】
載置部12と第1挟持板14及び第2挟持板16は、熱可塑性樹脂発泡体で形成されている。第1挟持板14及び第2挟持板16は、可撓な熱可塑性樹脂発泡体となっている。
また、生産性の点から、保持体10は、全体が一体に成形された熱可塑性樹脂発泡体で形成されていることが好ましい。
【0028】
熱可塑性樹脂発泡体としては、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、ポリスチレン系樹脂、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の発泡性粒子による型内発泡成形体が好適に用いられる。ポリスチレン系樹脂の中でも、ポリスチレンが好ましい。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものである。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分40〜90質量%のものが好ましく、スチレン成分50〜85質量%のものがより好ましく、スチレン成分55〜75質量%のものがさらに好ましい。また、発泡樹脂の発泡倍数は、10〜70倍が好ましい。
また、熱可塑性樹脂発泡体は、表面に非発泡層が形成されていてもよい。表面に非発泡層が形成されていることで、熱可塑性樹脂発泡体の強度がより高くなる。
【0029】
[容器本体]
容器本体24は、魚Fを1匹ずつ保持させた複数の保持体10,10・・・を収納可能な箱状になっている。
容器本体24の形状は、収納する保持体10の形状及び数に応じて適宜設計すればよい。
容器本体24の材質は、特に限定されず、例えば、保持体10で挙げた熱可塑性樹脂発泡体等が挙げられる。
また、容器本体24には、必要に応じて蓋体が付随される。
【0030】
[製造方法]
収納容器1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、保持体10及び容器本体24の製造方法としては、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程と、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得る予備発泡工程と、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形する発泡成形工程と、を有する製造方法等が挙げられる。
【0031】
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程)
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、公知の方法により製造でき、例えば、以下の方法(α)〜(γ)が挙げられる。
(α)ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを含有する溶融樹脂を粒状に成形する溶融押出法。
(β)オートクレーブ内で、ポリスチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた分散液を加熱、撹拌しながら、単量体を連続的に又は断続的に供給してポリスチレン系樹脂粒子に該単量体を吸収させつつ、重合開始剤の存在下にて重合させて(シード重合法により)ポリスチレン系樹脂粒子を調製し、該ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させる方法。
(γ)水性媒体、スチレン系単量体を含む単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、撹拌しながら単量体を懸濁重合させ、必要に応じて分級してポリスチレン系樹脂粒子を調製し、該ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含有させる方法。
【0032】
(予備発泡工程)
予備発泡工程では、前記工程で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡させる。これによりポリスチレン系樹脂予備発泡粒子が得られる。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡は、従来公知の装置を用いて行うことができる。
【0033】
(発泡成形工程)
発泡成形工程では、前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を、成形型内に充填し、加熱して型内発泡成形することにより、発泡成形体からなる保持体10及び容器本体24を得る。
型内発泡成形は、保持体10や容器本体24に対応する成形型を用いる以外は、公知の方法を採用できる。
【0034】
[作用効果]
従来の発泡成形体等で形成された収納容器では、収納物を収納するスペースが調節できない。そのため、魚や農産物等、大きさや形状に個体差があるものを収納する場合には、想定される収納物のうち、最大サイズの収納物が収納可能なように収納容器が設計される。
しかし、この場合、最大サイズの収納物よりも小さい収納物を収納すると、容器と収納物の間に隙間が生じる。例えば、
図6に例示した、仕切り壁112によって内部に収納スペースを2つ形成した収納容器100においては、設計した収納スペースよりも小さい収納物を収納すると、
図6(A)及び(B)に示すように、収納容器100の側壁部110や仕切り壁112と収納物Hとの間に隙間aが生じる。このような隙間が生じると、輸送時において少しの衝撃でも収納物が容器内で動いて壁等に当たり、収納物が傷付いて外観が損われ、価値が下がることがある。
また、従来は、このような場合に紙等で隙間を埋める間詰めも行われるが、この方法では紙等のゴミが発生し、リサイクルする際にも作業が煩雑になる。
【0035】
これに対して、魚Fを収納する収納容器1では、保持体10の第1挟持板14と第2挟持板16が、それらの突端14a,16aを外側の第1補助部18及び第2補助部20に向けて撓むようになっている。これにより、魚Fの幅に個体差があっても、挟持する第1挟持板14及び第2挟持板16が撓むことで魚Fの個体差を許容できる。そのため、個体差に関わらず魚Fと第1挟持板14及び第2挟持板16との間に隙間が生じることを抑制できる。
また、幅の大きい魚Fを保持する場合に第1挟持板14及び第2挟持板16が大きく撓んでも、撓んだ第1挟持板14及び第2挟持板16が第1補助部18及び第2補助部20でそれぞれ支えられるため、魚Fを安定して保持できる。
以上のように、収納容器1では、個体差に関わらず魚Fを安定して保持できるため、輸送時に衝撃等で魚Fに傷が付き、外観を損なわれて価値が下がることを抑制できる。また、紙等で間詰めを行う必要がないため、ゴミが発生せず、また容器のリサイクルも容易になる。
【0036】
なお、本発明の収納容器を、魚を収容する収納容器とする場合、前記した収納容器1には限定されない。
例えば、保持体10における後端に後壁部が設けられたものであってもよい。
また、保持体10における第1補助部18又は第2補助部20のいずれか一方が設けられていない収納容器であってもよい。すなわち、第1挟持板14又は第2挟持板16のいずれか一方の外側のみに補助部を設け、第1挟持板14及び第2挟持板16のうち該補助部が設けられた方のみが該補助部に向けて撓むようにしてもよい。
また、複数の保持体10,10・・・と容器本体24が一体に成形された態様の収納容器としてもよい。
本発明の収納容器は、収納容器1のような、鮮魚、活魚等の魚の収納に適した魚用収納容器として有効である。
【0037】
<第2実施形態>
以下、本発明の収納容器の他の実施形態例について説明する。
本実施形態の収納容器2は、
図7(A)及び(B)に示すように、底部30と、底部30から立設され、四方を取り囲む4つの側壁部32と、側壁部32によって囲まれた空間を仕切る仕切り壁34と、仕切り壁34によって仕切られたそれぞれの空間2a,2bにおいて、互いに対向するように底部30に立設された第1挟持板36及び第2挟持板38と、を有している。
【0038】
収納容器2の空間2aにおいては、第1挟持板36は、仕切り壁34と対向する側壁部32aと対向するように、かつ該側壁部32aと離間して設けられている。また、第2挟持板38は、仕切り壁34と対向するように、かつ仕切り壁34と離間して設けられている。収納容器2では、側壁部32aが、空間2aに設けられた第1挟持板36の外側に立設された補助部を兼ねており、仕切り壁34が、空間2aに設けられた第2挟持板38の外側に立設された補助部を兼ねている。
また、収納容器2の空間2bにおいては、第1挟持板36は、仕切り壁34と対向するように、かつ仕切り壁34と離間して設けられている。また、第2挟持板38は、仕切り壁34と対向する側壁部32bと対向するように、かつ該側壁部32bと離間して設けられている。収納容器2では、仕切り壁34が、空間2bに設けられた第1挟持板36の外側に立設された補助部を兼ねており、側壁部32bが、空間2bに設けられた第2挟持板38の外側に立設された補助部を兼ねている。
また、収納容器2においては、底部30が載置部を兼ねている。
【0039】
収納容器2では、
図7(B)に示すように、空間2b(空間2aも同様)における底部30上の第1挟持板36と第2挟持板38の間に、収納物Hが載置される。底部30上に載置された収納物Hは、その幅方向から第1挟持板36及び第2挟持板38により挟持される。
第1挟持板36及び第2挟持板38の平面形状は、この例では長方形である。なお、第1挟持板36及び第2挟持板38の平面形状は、収納物Hの種類に応じて適宜設定すればよく、長方形には限定されない。
【0040】
収納容器2では、空間2aにおいて、第1挟持板36が、その突端36aを外側の側壁部32aに向けて撓むようになっている。同様に、第2挟持板38が、その突端38aを外側の仕切り壁34に向けて撓むようになっている。
また、空間2bにおいては、第1挟持板36が、その突端36aを外側の仕切り壁34に向けて撓むようになっている。同様に、第2挟持板38が、その突端38aを外側の側壁部32bに向けて撓むようになっている。
これにより、空間2a,2bに収納可能な大きさであれば、第1挟持板36と第2挟持板38の間隔よりも大きい収納物Hであっても、第1挟持板36及び第2挟持板38を撓ませつつ挟持することができる。
【0041】
収納容器2では、収納容器1の場合と同様に、第1挟持板36と第2挟持板38の間隔を、個体差として想定される最小サイズの収納物Hに対応するように設計する。
これにより、個体差として想定される最小サイズの収納物Hは、
図7(B)に示すように、第1挟持板36及び第2挟持板38により挟持され、安定して保持される。また、第1挟持板36と第2挟持板38の間隔よりもサイズが大きい収納物Hも、
図7(C)に示すように、第1挟持板36及び第2挟持板38が撓みつつ挟持するため安定に保持される。このように、収納容器2では、第1挟持板36及び第2挟持板38が撓むことで収納物Hの個体差を許容して保持することが可能になる。
【0042】
また、収納容器2では、収納容器1と同様に、空間2aにおける第1挟持板36と側壁部32aの間隔、及び第2挟持板38と仕切り壁34の間隔は、収納物Hの個体差における最小サイズと最大サイズの差に応じて適宜設計する。具体的には、個体差として想定される最大サイズの収納物Hを第1挟持板36及び第2挟持板38により挟持させた際に、撓んだ第1挟持板36の突端36aが側壁部32aに接し、また撓んだ第2挟持板38の突端38aが仕切り壁34に接するように、前記のそれぞれの間隔を調節することが好ましい。
これにより、第1挟持板36及び第2挟持板38がそれぞれ側壁部32a及び仕切り壁34に接するまで撓むことができるため、個体差として想定される最大サイズの収納物Hも保持可能となる。また、個体差として想定される最大サイズの収納物Hを保持する場合でも、撓んだ第1挟持板36と第2挟持板38が側壁部32aと仕切り壁34でそれぞれ支えられるため、当該収納物Hを安定して保持できる。
空間2aにおける第1挟持板36と側壁部32aの間隔、及び第2挟持板38と仕切り壁34の間隔の好ましい範囲は、収納容器1における第1挟持板14と第1補助部18の間隔d2、及び第2挟持板16と第2補助部20の間隔d3の好ましい範囲と同じである。
【0043】
空間2bにおける第1挟持板36と側壁部32aの間隔、及び第2挟持板38と仕切り壁34の間隔は、空間2aにおける第1挟持板36と側壁部32aの間隔、及び第2挟持板38と仕切り壁34の間隔と同様である。
【0044】
収納容器2では、載置部を兼ねる底部30、第1挟持板36及び第2挟持板38は、少なくとも熱可塑性樹脂発泡体で形成されている。第1挟持板36及び第2挟持板38は、可撓な熱可塑性樹脂発泡体となっている。また、生産性の点から、収納容器2は、全体が一体に成形された熱可塑性樹脂発泡体で形成されていることが好ましい。
【0045】
[製造方法]
収納容器2の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。例えば、収納容器1の場合で説明した、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程と、予備発泡工程と、発泡成形工程と、を有する製造方法等が挙げられる。
【0046】
[作用効果]
収納容器2では、収納容器1と同様に第1挟持板36と第2挟持板38が外側に撓むようになっている。これにより、収納物Hに個体差があっても、挟持する第1挟持板36及び第2挟持板38が撓むことで収納物Hの個体差を許容できるため、個体差に関わらず収納物Hと第1挟持板36及び第2挟持板38との間に隙間が生じることを抑制できる。
また、サイズの大きい収納物Hを保持する場合に第1挟持板36及び第2挟持板38が大きく撓んでも、空間2a,2b内で撓んだ第1挟持板36及び第2挟持板38が側壁部32a,32b及び仕切り壁34でそれぞれ支えられるため、収納物Hを安定して保持できる。
以上のように、収納容器2では、個体差に関わらず収納物Hを安定して保持できるため、輸送時に衝撃等で収納物Hに傷が付き、外観を損なわれて価値が下がることを抑制できる。
収納物Hとしては、例えば、蟹等の水産物、果物等の農産物等が挙げられる。
【0047】
なお、第2実施形態のような形態では、外側に補助部が設けられた側の挟持板に、その突端から基端に向かうスリットが1つ以上形成されていてもよい。
例えば、
図8(A)〜(C)に例示した収納容器2Aであってもよい。収納容器2Aにおける収納容器2と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。収納容器2Aは、外側に補助部が設けられた側の挟持板である第1挟持板36及び第2挟持板38に、その突端36a,38aから基端36b,38bに向かう複数のスリット40が形成されている以外は、収納容器2と同じである。
【0048】
収納容器2Aでは、スリット40によって第1挟持板36及び第2挟持板38がそれぞれ分断されているため、
図8(B)及び
図8(C)に示すように、第1挟持板36及び第2挟持板38おける分断された各部分がそれぞれ個別に、収納物Hの形状に合わせて撓みつつ収納物Hを挟持して保持する。そのため、個体によって形状がいびつな収納物Hであっても、安定して保持することが可能であり、輸送時の不具合を抑制できる。
【0049】
また、
図9(A)〜(C)に例示した収納容器2Bであってもよい。収納容器2Bにおける収納容器2と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。収納容器2Bは、仕切り壁34が設けられていない以外は、収納容器2と同じである。
収納容器2Bでは、側壁部32a,32bから遠い側である、収納空間の中央部において並んで立設された第1挟持板36と第2挟持板38が、互いに相手方の挟持板にとっての補助部としても機能する。
【0050】
収納容器2Bでも、収納容器2と同様に、第1挟持板36と第2挟持板38によって個体差に関わらず収納物Hを安定して保持できるため、輸送時に衝撃等で収納物Hに傷が付き、外観を損なわれて価値が下がることを抑制できる。
また、収納容器2,2A,2Bのような態様では、収納される収納物Hの四方に二対の挟持板が設けられた収納容器としてもよい。
【0051】
<他の実施形態>
また、本発明の収納容器は、平板状の挟持板を有するものには限定されない。具体的には、例えば、
図10に例示した収納容器3であってもよい。
収納容器3は、載置部50と、二対の第1挟持板52及び第2挟持板54と、補助部56とを有する保持体58を複数有している。
載置部50は、上面の中央部が沈むように曲線的に滑らかに湾曲した形状であり、リンゴ、梨等の球状に近い形状の収納物Hが載置されるようになっている。二対の第1挟持板52及び第2挟持板54は、載置部50に載置される収納物Hの四方を囲むように、かつそれぞれの内面が湾曲して半球状の凹部を形成するように載置部50から立設されている。補助部56は、二対の第1挟持板52及び第2挟持板54の外側に全周にわたって設けられている。載置部50と補助部56は、互いの底部において一体となっている。
また、各保持体58の隣り合う補助部56は一体となっている。
【0052】
収納容器3では、載置部50、第1挟持板52及び第2挟持板54は、少なくとも熱可塑性樹脂発泡体で形成されている。第1挟持板52及び第2挟持板54は、可撓な熱可塑性樹脂発泡体となっている。また、生産性の点から、収納容器3は、全体が一体に成形された熱可塑性樹脂発泡体で形成されていることが好ましい。
【0053】
収納容器3における第1挟持板52と補助部56の間隔、及び第2挟持板54と補助部56の間隔の好ましい範囲は、収納容器1における第1挟持板14と第1補助部18の間隔d2、及び第2挟持板16と第2補助部20の間隔d3の好ましい範囲と同様である。
【0054】
収納容器3でも、収納容器1,2,2A,2Bと同様に、第1挟持板52と第2挟持板54によって個体差に関わらず収納物Hを安定して保持できるため、輸送時に衝撃等で収納物Hに傷が付き、外観を損なわれて価値が下がることを抑制できる。
【0055】
また、本発明の収納容器は、
図11及び
図12に例示した収納容器4であってもよい。
収納容器4は、直方体状の収納物Hの底部の四隅をそれぞれ保持する4つの保持体60と、それら4つの保持体60が底面の四隅に設置される立方体状の容器本体70とを有する。
直方体状の収納物Hとしては、工業製品等が挙げられる。
【0056】
各保持体60は、載置部62と、互いの一方の側端部を直角に突き合わせるように載置部62に立設された第1挟持板64及び第2挟持板66と、第1挟持板64及び第2挟持板66の外側に第1挟持板64及び第2挟持板66と対向するように、かつ第1挟持板64及び第2挟持板66から離間してL字状に立設された補助部68と、を有する。
各保持体60は、載置部62、第1挟持板64及び第2挟持板66は、少なくとも熱可塑性樹脂発泡体で形成されている。第1挟持板64及び第2挟持板66は、可撓な熱可塑性樹脂発泡体となっている。また、生産性の点から、収納容器4の各保持体60は、全体が一体に成形された熱可塑性樹脂発泡体で形成されていることが好ましい。
容器本体70としては、特に限定されず、例えば、ダンボール等が挙げられる。
【0057】
収納容器4では、容器本体70の底面の四隅に4つの保持体60を設置したときに、直方体状の収納物Hの正面h1及びh2が二対の第1挟持板64及び第2挟持板66により挟持され、直方体状の収納物Hの側面h3,h4が別の二対の第1挟持板64及び第2挟持板66により挟持される。
【0058】
収納容器4における第1挟持板64と補助部68の間隔、及び第2挟持板66と補助部68の間隔の好ましい範囲は、収納容器1における第1挟持板14と第1補助部18の間隔d2、及び第2挟持板16と第2補助部20の間隔d3の好ましい範囲と同様である。
【0059】
収納容器4においても、例えば設計変更等でわずかに収納物Hの寸法が異なる場合でも、収納容器1等と同様に、第1挟持板64と第2挟持板66によって、その寸法差を許容して隙間を生じさせずに該収納物Hを安定して保持できる。
また、収納容器4では、収納物Hを挟持する互いに対向する第1挟持板64と第2挟持板66の間隔よりもサイズの大きな収納物Hを収納する場合、第1挟持板64と第2挟持板66が外側に撓みつつ収納物Hを挟持するため、対向する第1挟持板64及び第2挟持板66によって収納物Hが外側から押圧された状態となる。これにより、収納物Hの保持の安定性がより高くなる。
また、収納容器4では、輸送時等に衝撃があっても、第1挟持板64及び第2挟持板66が撓むことでその衝撃がある程度吸収される。この緩衝効果により、収納物Hへの衝撃を低減できるため、輸送時の衝撃等で収納物Hに不具合が生じることを抑制できる。