特開2015-171921(P2015-171921A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 村田機械株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015171921-繊維機械 図000003
  • 特開2015171921-繊維機械 図000004
  • 特開2015171921-繊維機械 図000005
  • 特開2015171921-繊維機械 図000006
  • 特開2015171921-繊維機械 図000007
  • 特開2015171921-繊維機械 図000008
  • 特開2015171921-繊維機械 図000009
  • 特開2015171921-繊維機械 図000010
  • 特開2015171921-繊維機械 図000011
  • 特開2015171921-繊維機械 図000012
  • 特開2015171921-繊維機械 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-171921(P2015-171921A)
(43)【公開日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】繊維機械
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/06 20060101AFI20150904BHJP
【FI】
   B65H67/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-47614(P2014-47614)
(22)【出願日】2014年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 賢一
(72)【発明者】
【氏名】梅岡 利成
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA08
3F112CA03
3F112GA04
3F112MA04
3F112NB04
(57)【要約】
【課題】トレイの、給糸ボビンが載せられるトレイ本体部分に異常が生じたときに、その異常に起因して生じる様々な不具合に対して速やかに対応することが可能な、繊維機械を提供すること。
【解決手段】自動ワインダ1は、複数の巻取ユニット4と、ボビン準備装置2と、複数の巻取ユニット4とボビン準備装置2との間で、トレイ7を搬送するトレイ搬送装置3とを備えている。各巻取ユニット4は、トレイ7の、給糸ボビンが載せられるトレイ本体部材の異常に起因して生じる、給糸ボビンの傾きの不具合を検出すると、その不具合情報を、トレイ7のICタグに記憶させる。さらに、各巻取ユニット4のユニット制御部は、各トレイ7のICタグに記憶されている不具合情報を参照して、そのトレイ7のトレイ本体部材に異常が生じているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ給糸ボビンから解舒された糸を巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取装置と、
前記給糸ボビンを搬送するためのトレイ、又は、前記トレイのトレイ本体部材に載せられた前記給糸ボビンに対して、前記巻取装置へ前記給糸ボビンを供給する前の準備動作を行う、ボビン準備装置と、
前記複数の巻取装置と前記ボビン準備装置との間で、前記トレイを搬送するトレイ搬送装置と、
前記給糸ボビンが載せられた前記トレイ本体部材に関する異常が発生しているトレイを検出する、トレイ異常検出部と、
を備えていることを特徴とする繊維機械。
【請求項2】
前記トレイは、そのトレイを識別するための識別部を有し、
各トレイの前記識別部から、トレイの識別情報を読み取る読取装置をさらに備え、
前記トレイ異常検出部は、前記読取装置が読み取った識別情報に基づいて、異常が発生している前記トレイを特定することを特徴とする請求項1に記載の繊維機械。
【請求項3】
各トレイに関する情報を書き換え可能に記憶するトレイ情報記憶部と、
前記トレイ情報記憶部に、前記情報を書き換え可能に記憶させる記録装置と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の繊維機械。
【請求項4】
前記識別部が、前記トレイ情報記憶部を有し、
前記読取装置は、前記トレイ情報記憶部に記憶された前記情報も読取可能であることを特徴とする請求項3に記載の繊維機械。
【請求項5】
前記複数の巻取装置は、それぞれ前記記録装置を有し、
前記巻取装置における前記給糸ボビンの処理時に、前記トレイ本体部材の異常に起因する不具合が発生したときには、前記記録装置は、前記トレイ情報記憶部に、その給糸ボビンが載せられているトレイに関する情報として、前記不具合に関する不具合情報を記憶させ、
前記トレイ異常検出部は、前記読取装置による読取によって識別した各トレイについて、前記トレイ情報記憶部に記憶されている前記トレイに関する情報に基づいて、前記トレイ本体部材に異常が生じているか否かを判定することを特徴とする請求項3又は4に記載の繊維機械。
【請求項6】
前記トレイ異常検出部が、あるトレイの前記トレイ本体部材に異常が発生していると判定したときに、前記トレイ搬送装置は、異常であると判定された前記トレイを、所定の異常トレイ停止位置に停止させ、
前記読取装置は、前記異常トレイ停止位置に対して、前記トレイ搬送装置の搬送経路において上流側に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の繊維機械。
【請求項7】
繊維機械の各装置に関する条件を入力するための入力部を備え、
前記入力部は、前記トレイ情報記憶部に記憶されている前記トレイに関する情報に基づいて前記トレイ本体部材に異常が生じているか否かを判定するための、判定条件を入力可能に構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の繊維機械。
【請求項8】
前記トレイ異常検出部は、各トレイについて、前記トレイ情報記憶部に記憶されている前記トレイに関する情報を参照し、前記入力部から設定された判定時間内に、前記不具合が生じた回数が、前記入力部から設定された閾値以上である場合には、前記トレイ本体部材に異常が生じていると判定することを特徴とする請求項7に記載の繊維機械。
【請求項9】
前記トレイ異常検出部が、あるトレイの前記トレイ本体部材に異常が発生していることを検出したときに、
前記トレイ異常検出部は、そのトレイに異常が発生していることを示すアラーム信号を発生させ、
前記トレイ搬送装置は、異常が発生していることが検出された前記トレイを、所定の異常トレイ停止位置に停止させることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の繊維機械。
【請求項10】
繊維機械の各装置に関する情報を表示する表示部を有し、
前記アラーム信号を受信したときに、前記表示部は、異常が発生していることが検出された前記トレイに関する情報を表示させることを特徴とする請求項9に記載の繊維機械。
【請求項11】
繊維機械の各装置に関する異常を報知するためのランプを有し、
前記アラーム信号は、前記ランプを点灯させるための信号であることを特徴とする請求項9又は10に記載の繊維機械。
【請求項12】
前記トレイ搬送装置の、前記ボビン準備装置側の部分に、前記異常トレイ停止位置が設けられていることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の繊維機械。
【請求項13】
前記トレイ搬送装置は、前記トレイを案内する案内レールを有し、
前記異常ボビン停止位置は前記案内レール上に設定され、
前記案内レールの前記異常ボビン停止位置が設定された部分に、切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項9〜12の何れかに記載の繊維機械。
【請求項14】
前記トレイ搬送装置は、前記異常トレイ停止位置に対して搬送方向下流側に設けられ、異常が検出された前記トレイを貯留するトレイ貯留部を有することを特徴とする請求項9〜13の何れかに記載の繊維機械。
【請求項15】
前記トレイ搬送装置は、前記複数の巻取装置と前記ボビン準備装置との間でトレイを搬送するメイン搬送路と、前記メイン搬送路から分岐した分岐回収路を有し、
前記異常トレイ停止位置が、前記分岐回収路に設けられていることを特徴とする請求項9〜13に記載の繊維機械。
【請求項16】
前記給糸ボビンに巻かれる糸を紡績するためのリング精紡機をさらに備え、
前記リング精紡機は、前記トレイ搬送装置の、前記複数の巻取装置へ前記トレイを供給する供給経路と、前記ボビン準備装置を介して接続され、
前記リング精紡機は、前記トレイ搬送装置の、前記巻取装置から排出された前記トレイを回収する回収経路とも接続され、
前記異常トレイ停止位置は、前記トレイ搬送装置の前記回収経路に設けられていることを特徴とする請求項9〜14、及び、16の何れかに記載の繊維機械。
【請求項17】
前記複数の巻取装置の各々は、前記トレイ搬送装置から搬送されてきた前記トレイの引き込み、及び、前記トレイ搬送装置への前記トレイの排出を行うトレイ給排部を備え、
前記トレイ異常検出部は、各トレイについて、前記トレイ給排部における移動不具合が発生しているか否かを検出することを特徴とする請求項1〜16の何れかに記載の繊維機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の糸巻取装置を備えた繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の自動ワインダは、複数の巻取ユニットと、トレイに対する給糸ボビンの着脱を行うボビン交換ユニットと、ボビン交換ユニットと複数の巻取ユニットとの間で給糸ボビン(給糸ボビンが装着されるトレイ)を搬送する搬送装置を備えている。
【0003】
搬送装置は、ボビン交換ユニットにて糸が巻かれた給糸ボビン(実ボビン)が装着されたトレイを、複数の巻取ユニットに供給する。各巻取ユニットでは、実ボビンの糸を解舒して巻き返し、パッケージを形成する。搬送装置は、複数の巻取ユニットから排出された給糸ボビン(空ボビン)が装着されたトレイを、ボビン交換ユニットに搬送する。ボビン交換ユニットでは、空ボビンをトレイから抜き取り、実ボビンをトレイに装着する。実ボビンが装着されたトレイは再び巻取ユニットへ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−46269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トレイが繰り返し使用されるにつれ、給糸ボビンが載せられるトレイの本体部分に破損等が発生することがあり、その場合には様々な不具合が生じる。例えば、ボビンを保持する部分が破損してボビンを直立状態で保持できなくなると、傾いた状態の給糸ボビンが巻取ユニットに供給されることになり、糸を正常に解舒できなくなる。また、トレイの側面や底面に傷がついたり摩耗したりして、トレイを案内するレール等に引っ掛かりやすくなり、トレイが動きにくくなることもある。
【0006】
本発明の目的は、トレイの、給糸ボビンが載せられるトレイ本体部分に異常が生じたときに、その異常に起因して生じる様々な不具合に対して速やかに対応することが可能な、繊維機械を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
第1の発明の繊維機械は、それぞれ給糸ボビンから解舒された糸を巻き取ってパッケージを形成する複数の巻取装置と、前記給糸ボビンを搬送するためのトレイ、又は、前記トレイのトレイ本体部材に載せられた前記給糸ボビンに対して、前記巻取装置へ前記給糸ボビンを供給する前の準備動作を行う、ボビン準備装置と、前記複数の巻取装置と前記ボビン準備装置との間で、前記トレイを搬送するトレイ搬送装置と、前記給糸ボビンが載せられた前記トレイ本体部材に関する異常が発生しているトレイを検出する、トレイ異常検出部とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、給糸ボビンが載せられる、トレイのトレイ本体部材に異常が生じたときに、その異常がトレイ異常検出部により検出される。従って、繊維機械に、トレイ本体部材の異常に起因する不具合が生じたときに、トレイ本体部材の異常を速やかに検出して、それによる不具合を解消することができる。
【0009】
第2の発明の繊維機械は、前記第1の発明において、前記トレイは、そのトレイを識別するための識別部を有し、各トレイの前記識別部から、トレイの識別情報を読み取る読取装置をさらに備え、前記トレイ異常検出部は、前記読取装置が読み取った識別情報に基づいて、異常が発生している前記トレイを特定することを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、トレイは、そのトレイを識別するための識別情報を有することから、トレイ異常検出部が、あるトレイのトレイ本体部材の異常を検出したときに、その異常が生じているトレイを特定することができる。
【0011】
第3の発明の繊維機械は、前記第2の発明において、各トレイに関する情報を書き換え可能に記憶するトレイ情報記憶部と、前記トレイ情報記憶部に、前記情報を書き換え可能に記憶させる記録装置と、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明によれば、トレイ情報記憶部に、各トレイに関する情報(例えば、各トレイの異常判定等に有用な情報)を記憶させておくことができる。
【0013】
第4の発明の繊維機械は、前記第3の発明において、前記識別部が、前記トレイ情報記憶部を有し、前記読取装置は、前記トレイ情報記憶部に記憶された前記情報も読取可能であることを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、トレイの識別部が、トレイ情報記憶部を有する構成であるから、他の装置、例えば、巻取装置の制御部等に、トレイ情報記憶部を設ける必要がない。
【0015】
第5の発明の繊維機械は、前記第3又は第4の発明において、前記複数の巻取装置は、それぞれ前記記録装置を有し、前記巻取装置における前記給糸ボビンの処理時に、前記トレイ本体部材の異常に起因する不具合が発生したときには、前記記録装置は、前記トレイ情報記憶部に、その給糸ボビンが載せられているトレイに関する情報として、前記不具合に関する不具合情報を記憶させ、前記トレイ異常検出部は、前記読取装置による読取によって識別した各トレイについて、前記トレイ情報記憶部に記憶されている前記トレイに関する情報に基づいて、前記トレイ本体部材に異常が生じているか否かを判定することを特徴とするものである。
【0016】
巻取装置において、トレイ本体部材の異常に起因する不具合が発生したからといって、常に、トレイ本体部材に異常が存在するというわけではなく、同じ不具合が、トレイ本体部材以外の要因(巻取装置側の異常、あるいは、給糸ボビンの異常)によって起こり得ることもある。本発明では、トレイ本体部材に起因する不具合が発生したときに、その不具合情報をトレイ情報記憶部に記憶させる。これにより、巻取装置で前記不具合が発生したときに、過去に、そのトレイについて記憶されている不具合情報を参照して、例えば、同じトレイについて同様の不具合が何回も生じている場合に、異常であると判定することができる。従って、正常なトレイ本体部材を異常であると誤って判定してしまうことが少なくなり、判定精度が高まる。
【0017】
第6の発明の繊維機械は、前記第5の発明において、前記トレイ異常検出部が、あるトレイの前記トレイ本体部材に異常が発生していると判定したときに、前記トレイ搬送装置は、異常であると判定された前記トレイを、所定の異常トレイ停止位置に停止させ、前記読取装置は、前記異常トレイ停止位置に対して、前記トレイ搬送装置の搬送経路において上流側に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明によれば、トレイ本体部材に異常が発生していると判定されたトレイが、異常トレイ停止位置に停止するため、オペレータが、どれが異常と判定されたトレイかを容易に認識できる。また、読取装置は、異常トレイ停止位置に対して、搬送経路の上流側に配置されているため、読取装置の読み取り結果に基づいて異常が発生していると判定したトレイを、異常トレイ停止位置に確実に停止させることができる。
【0019】
第7の発明の繊維機械は、前記第5又は第6の発明において、繊維機械の各装置に関する条件を入力するための入力部を備え、前記入力部は、前記トレイ情報記憶部に記憶されている前記トレイに関する情報に基づいて前記トレイ本体部材に異常が生じているか否かを判定するための、判定条件を入力可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、トレイ本体部材に異常が生じているか否かを判定するための判定条件(例えば、トレイ本体部材の異常に起因する不具合の種類や、不具合の発生頻度の閾値等)を、入力部から入力することにより、最適な設定が可能となる。
【0021】
第8の発明の繊維機械は、前記第7の発明において、前記トレイ異常検出部は、各トレイについて、前記トレイ情報記憶部に記憶されている前記トレイに関する情報を参照し、前記入力部から設定された判定時間内に、前記不具合が生じた回数が、前記入力部から設定された閾値以上である場合には、前記トレイ本体部材に異常が生じていると判定することを特徴とするものである。
【0022】
本発明では、ある判定時間内に1つのトレイについて不具合が生じた回数が、ある閾値以上である場合に、そのトレイのトレイ本体部材に異常があると判定するため、正常なトレイ本体部材を異常であると誤って判定してしまうことが少なくなり、判定精度が高まる。
【0023】
第9の発明の繊維機械は、前記第1〜第8の何れかの発明において、前記トレイ異常検出部が、あるトレイの前記トレイ本体部材に異常が発生していることを検出したときに、前記トレイ異常検出部は、そのトレイに異常が発生していることを示すアラーム信号を発生させ、前記トレイ搬送装置は、異常が発生していることが検出された前記トレイを、所定の異常トレイ停止位置に停止させることを特徴とするものである。
【0024】
本発明では、トレイ異常検出部が、あるトレイの異常を検出したときにアラーム信号を発生させることから、そのアラーム信号によって、ランプ等の報知手段でオペレータに報知することができる。従って、異常トレイ停止位置に停止した異常なトレイの交換を、オペレータに促すことできる。また、トレイ本体部材に異常が発生していると判定されたトレイが、異常トレイ停止位置に停止するため、あるトレイに異常が発生したことを認識したオペレータが、どれが異常トレイであるかを容易に認識できる。
【0025】
第10の発明の繊維機械は、前記第9の発明において、繊維機械の各装置に関する情報を表示する表示部を有し、前記アラーム信号を受信したときに、前記表示部は、異常が発生していることが検出された前記トレイに関する情報を表示させることを特徴とするものである。
【0026】
本発明によれば、トレイ異常検出部がトレイの異常を検出したときに、表示部に、異常が発生しているトレイに関する情報が表示されるため、オペレータがトレイの異常を容易に認識できる。
【0027】
第11の発明の繊維機械は、前記第9又は第10の発明において、繊維機械の各装置に関する異常を報知するためのランプを有し、前記アラーム信号は、前記ランプを点灯させるための信号であることを特徴とするものである。
【0028】
本発明では、トレイ異常検出部がトレイの異常を検出したときに、ランプが点灯することから、オペレータがトレイの異常を容易に認識できる。
【0029】
第12の発明の繊維機械は、前記第9〜第11の何れかの発明において、前記トレイ搬送装置の、前記ボビン準備装置側の部分に、前記異常トレイ停止位置が設けられていることを特徴とするものである。
【0030】
本発明では、トレイ搬送装置のボビン準備装置側の部分に、異常トレイ停止位置が設けられているため、異常トレイの停止によって複数の巻取装置側でトレイが滞留(渋滞)してしまうことがなく、巻取装置におけるパッケージの形成動作が妨げられにくい。
【0031】
第13の発明の繊維機械は、前記第9〜第12の何れかの発明において、前記トレイ搬送装置は、前記トレイを案内する案内レールを有し、前記異常ボビン停止位置は前記案内レール上に設定され、前記案内レールの前記異常ボビン停止位置が設定された部分に、切り欠き部が形成されていることを特徴とするものである。
【0032】
本発明では、案内レールの、異常ボビン停止位置が設定された部分に、切り欠き部が形成されていることから、案内レールから、異常なトレイを取り外すことが容易になる。
【0033】
第14の発明の繊維機械は、前記第9〜第13の何れかの発明において、前記トレイ搬送装置は、前記異常トレイ停止位置に対して搬送方向下流側に設けられ、異常が検出された前記トレイを貯留するトレイ貯留部を有することを特徴とするものである。
【0034】
本発明では、異常トレイ停止位置よりも搬送方向下流側にトレイ貯留部が設けられていることから、オペレータが異常トレイの排出を直ぐにすることができない場合でも、複数の異常トレイをトレイ貯留部に溜めておくことができる。
【0035】
第15の発明の繊維機械は、前記第9〜第13の何れかの発明において、前記トレイ搬送装置は、前記複数の巻取装置と前記ボビン準備装置との間でトレイを搬送するメイン搬送路と、前記メイン搬送路から分岐した分岐回収路を有し、前記異常トレイ停止位置が、前記分岐回収路に設けられていることを特徴とするものである。
【0036】
本発明では、異常なトレイが、メイン搬送路から分岐した分岐回収路に送られて、この分岐回収路に設けられた異常トレイ停止位置に停止する。従って、異常なトレイを異常トレイ停止位置に停止させても、メイン搬送路における他のトレイの搬送が妨げられにくくなる。
【0037】
第16の発明の繊維機械は、前記第9〜第14、及び、前記第16の何れかの発明において、前記給糸ボビンに巻かれる糸を紡績するためのリング精紡機をさらに備え、前記リング精紡機は、前記トレイ搬送装置の、前記複数の巻取装置へ前記トレイを供給する供給経路と、前記ボビン準備装置を介して接続され、前記リング精紡機は、前記トレイ搬送装置の、前記巻取装置から排出された前記トレイを回収する回収経路とも接続され、前記異常トレイ停止位置は、前記トレイ搬送装置の前記回収経路に設けられていることを特徴とするものである。
【0038】
本発明では、リング精紡機と複数の巻取装置とが、トレイ搬送装置の供給経路と回収経路によって接続されている。リング精紡機で紡績された糸が巻かれた給糸ボビン(実ボビン)は、ボビン準備装置を経て、トレイ搬送装置の供給経路から複数の巻取装置のうちの何れかへ供給される。また、巻取装置から排出された給糸ボビン(空ボビン)の載ったトレイは、トレイ搬送装置の回収経路からリング精紡機へ回収される。
【0039】
ここで、リング精紡機を停止させないために、一般には、リング精紡機の処理能力(単位時間当たりの実ボビンの形成数)よりも、複数の巻取装置の処理能力(単位時間当たりのパッケージの形成数)が高く設定されている。そのため、通常の動作時においても、複数の巻取装置からリング精紡機へトレイを搬送する回収経路では、待ち時間が生じてトレイが滞留する。本発明では、上記の回収経路に、異常トレイ停止位置が設定されていることにより、回収経路に、異常なトレイが停止することによってトレイの搬送が止まっても、リング精紡機の処理、及び、複数の巻取装置の処理に影響が生じない。
【0040】
第17の発明の繊維機械は、前記第1〜第16の何れかの発明において、前記複数の巻取装置の各々は、前記トレイ搬送装置から搬送されてきた前記トレイの引き込み、及び、前記トレイ搬送装置への前記トレイの排出を行うトレイ給排部を備え、前記トレイ異常検出部は、各トレイについて、前記トレイ給排部における移動不具合が発生しているか否かを検出することを特徴とするものである。
【0041】
トレイ本体部材の底面や側面に傷がついたり、あるいは、局所的に異常な摩耗が生じたりすると、巻取装置のトレイ給排部において、トレイが動きにくくなってしまう。そこで、トレイ異常検出部は、各トレイについて、上記のトレイの移動不具合が発生しているか否かを検出することにより、異常が発生しているトレイを検出する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本実施形態に係る自動ワインダの概略的な平面図である。
図2】自動ワインダの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3図1に示されるトレイ搬送装置の一部拡大図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5】巻取ユニットの正面図である。
図6】トレイのトレイ本体部材の異常に起因して、給糸ボビンが傾いている状態を示す図である。
図7】給糸ボビンの傾きを説明する図である。
図8】トレイ異常検出処理のフローチャートである。
図9】変更形態1に係る自動ワインダの概略的な平面図である。
図10】変更形態10に係る自動ワインダの概略的な平面図である。
図11】変更形態12に係る自動ワインダの概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施形態に係る自動ワインダの概略的な平面図である。図2は、自動ワインダの電気的構成を概略的に示すブロック図である。尚、図1における下側を、自動ワインダの正面側(前方)と定義する。また、図1の左右方向を自動ワインダの左右方向と定義する。以下、これらの方向語を適宜使用して説明する。図1に示すように、自動ワインダ1(繊維機械)は、ボビン準備装置2と、トレイ搬送装置3と、複数の巻取ユニット4(巻取装置)と、機台制御装置5等を備えている。
【0044】
ボビン準備装置2には、図示外の精紡機で製造された給糸ボビン8(実ボビン)が供給される。ボビン準備装置2において給糸ボビン8が装着されたトレイ7は、トレイ搬送装置3によって複数の巻取ユニット4に搬送される。複数の巻取ユニット4は、左右方向に並べて配置されている。各巻取ユニット4は、給糸ボビン8の糸を解舒して巻き返し、パッケージを形成する。巻取ユニット4で糸が解舒された後の給糸ボビン8(空ボビン)が装着されたトレイ7は、ボビン準備装置2に回収される。機台制御装置5は、ボビン準備装置2、トレイ搬送装置3、及び、複数の巻取ユニット4の制御、上記制御に必要な各種条件の設定、及び、各装置の動作状況の表示等を行う。
【0045】
(ボビン準備装置)
ボビン準備装置2は、トレイ7及びトレイ7に載せられた給糸ボビン8に対して、巻取ユニット4へ供給するための準備動作を行う。具体的には、図1図2に示すように、ボビン準備装置2は、空ボビン抜取部10と、ボビン装着部11と、口出し部12と、制御部13とを有する。空ボビン抜取部10は、巻取ユニット4から回収されてきたトレイ7から、糸が巻かれていない給糸ボビン8(空ボビン)を、トレイ7から抜き取る。ボビン装着部11は、空ボビン8Bが抜き取られた後のトレイ7に、精紡機で紡績された糸が巻かれた給糸ボビン8(実ボビン)をトレイ7に装着する。口出し部12は、巻取ユニット4において給糸ボビン8から糸の端部を捕捉しやすくなるように、トレイ7に装着されている実ボビンから糸を引き出す。制御部13は、空ボビン抜取部10、ボビン装着部11、及び、口出し部12の動作をそれぞれ制御する。
【0046】
(トレイ搬送装置)
トレイ搬送装置3は、ボビン準備装置2と複数の巻取ユニット4との間で、トレイ7を搬送するメイン搬送路14と、バイパス経路15と、分岐回収路16とを有する。メイン搬送路14は、ボビン準備装置2から複数の巻取ユニット4へトレイ7を搬送する供給経路14aと、複数の巻取ユニット4から排出されたトレイ7をボビン準備装置2へ回収する回収経路14bを含む。供給経路14aの途中部と回収経路14bの途中部は、バイパス経路15によって接続されている。分岐回収路16は、回収経路14bの、複数の巻取ユニット4と接続される部分よりも、トレイ搬送方向の下流側部分から分岐し、回収経路14bとバイパス経路15の合流部をバイパスして、再び、回収経路14bに合流している。後述するように、分岐回収路16は、異常と判定されたトレイ7(7C)をメイン搬送路14から分離するためのものである。
【0047】
トレイ搬送装置3の具体的な構成について説明する。図3は、図1に示されるトレイ搬送装置3の一部拡大図である。図4は、図3のIV-IV線断面図である。図2図4に示すように、トレイ搬送装置3は、搬送基体17と、搬送基体17の上面に形成された案内レール18と、案内レール18の下側において案内レール18に沿って配されたコンベヤ19と、コンベヤ19を駆動するコンベヤ駆動部20と、コンベヤ駆動部20を制御する制御部21とを備えている。前記のメイン搬送路14、バイパス経路15、及び、分岐回収路16は、それぞれ、案内レール18とコンベヤ19によって構成されている。
【0048】
また、図4に示すように、トレイ7は、給糸ボビン8が載せられるトレイ本体部材22を有する。トレイ本体部材22は、円盤形状の基部23と、基部23の上面に設けられた載置部24と、載置部24の上面に設けられたペッグ部25とを有する。ペッグ部25は、給糸ボビン8の内径よりもやや小さい外径を有する筒状部分である。ペッグ部25は、その側面に出没可能に設けられた複数(例えば、3つ)の保持爪28を有する。複数の保持爪28は、ペッグ部25の周方向において等間隔に配置されている。各保持爪28は、ペッグ部25内に配されたバネ部材(図示省略)によって、ペッグ部25の側面から突出する方向に付勢されている。
【0049】
ペッグ部25は、筒状の給糸ボビン8の下端部に挿入される。このとき、給糸ボビン8の下端面は載置部24の上面に当接する。さらに、その状態で、ペッグ部25の側面から複数の保持爪28が突出して給糸ボビン8の内面に押し付けられる。これにより、給糸ボビン8は、直立した状態でトレイ本体部材22に保持される。
【0050】
また、トレイ本体部材22の基部23の内部には、各種データを書き換え可能に記憶するICタグ26(識別部、トレイ情報記憶部)が設けられている。このICタグ26には、トレイ番号(トレイ識別情報)や、トレイ本体部材22の異常に関する後述する不具合情報などの、トレイに関する情報(以下、トレイ情報という)が記憶されている。ICタグ26は、基部23の上部に取り付けられたカバー部材27で覆われて保護されている。
【0051】
図3図4に示すように、トレイ7の基部23は案内レール18の下側の空間に収容され、また、コンベヤ19に載せられている。また、トレイ7の載置部24が案内レール18に嵌合している。コンベヤ駆動部20によりコンベヤ19が駆動されると、コンベヤ19に載せられたトレイ7が、案内レール18に沿って搬送される。
【0052】
図1図3に示すように、糸Yが巻かれた実ボビン8Aが装着されたトレイ7(7A)は、ボビン準備装置2の口出し部12によって実ボビン8Aに口出し処理がなされた後、トレイ搬送装置3の供給経路14aによって複数の巻取ユニット4に供給される。また、複数の巻取ユニット4において糸Yが解舒された、空ボビン8Bが装着されたトレイ7(7B)は、回収経路14bによってボビン準備装置2へ回収される。
【0053】
後でも説明するが、分岐回収路16には、異常があると判定されたトレイ7(7C)が送られる。分岐回収路16には、前記の異常トレイ7Cを停止させる異常トレイ停止位置Psが設けられている。また、異常トレイ停止位置Psには、異常トレイ7Cが送られてきたことを検出するための、異常トレイ検出センサ29が設けられている。また、分岐回収路16は、異常トレイ停止位置Psの下流側に一定の長さを有するトレイ貯留部16aを有する。このトレイ貯留部16aに、分岐回収路16に送られてきた異常トレイ7Cを複数貯留することができるようになっている。さらに、分岐回収路16を構成する案内レール18の、異常トレイ停止位置Psが設定されている部分には、異常トレイ7Cを案内レール18から取り外すための切り欠き部18aが形成されている。
【0054】
(巻取ユニット)
図5は、巻取ユニット4の正面図である。図5に示す巻取ユニット4は、給糸ボビン8から解舒される糸Yをトラバースさせながら巻取管44に巻き付けて、所定形状のパッケージPを形成する。
【0055】
図5に示すように、巻取ユニット4は、給糸ボビン8の糸Yを解舒して供給する給糸部31と、給糸部31から供給された糸Yに対して様々な処理を行う糸処理実行部32と、糸処理実行部32で処理された糸Yを巻取管44に巻取ってパッケージPを形成する巻取部33とを有する。給糸部31、糸処理実行部32、及び、巻取部33は、この順に、下から上へ並べて配置されている。また、巻取ユニット4は、自動ワインダ1の機台制御装置5と通信可能に接続されたユニット制御部63を備えている。
【0056】
給糸部31は、トレイ搬送装置3から搬送されてきたトレイ7の引き込み、及び、トレイ搬送装置3へのトレイ7の排出を行うトレイ給排部34と、トレイ7のICタグ26との間でデータ通信可能な読取/書込装置35(本発明の読取装置、記録装置に相当)と、給糸ボビン8からの糸Yの解舒を補助する解舒補助装置36を有する。
【0057】
給糸部31は、パネル部材37を有し、このパネル部材37にはトレイ通路38が形成されている(図1参照)。トレイ給排部34はパネル部材37の下側に配置されている。トレイ給排部34は、1又は複数のモータ39によって、以下の動作を行う。まず、トレイ給排部34は、トレイ搬送装置3の供給経路14aから搬送されてきたトレイ7をトレイ通路38に引き込む。また、トレイ通路38のほぼ中央に位置する保持位置A(図1のハッチングがかけられたトレイ位置)まで引き込んだトレイ7を、給糸ボビン8からの糸Yの解舒を行う間、保持する。さらに、糸Yの解舒が終わった給糸ボビン8が載せられたトレイ7を、トレイ通路38から回収経路14bへ排出する。
【0058】
読取/書込装置35は、パネル部材37の上方に配置されている。この読取/書込装置35は、トレイ給排部34によって保持されているトレイ7のICタグ26の間で、データの読み取り、及び、書き込みを行う。
【0059】
解舒補助装置36は、筒体40と、給糸ボビン8の上部の糸層(チェス部8aともいう)を検出する糸層センサ41と、筒体40を昇降駆動するモータ42を有する。筒体40の両側面には、2つのセンサ保持部材43が設けられている。糸層センサ41は、2つのセンサ保持部材43にそれぞれ保持された、発光素子41aと受光素子41bを有する。
【0060】
発光素子41aと受光素子41bとの間に、給糸ボビン8のチェス部8aが位置している状態では、発光素子41aから受光素子41bへ向かう光が、チェス部8aによって遮られる。これにより、糸層センサ41によってチェス部8aが検出される。糸Yの解舒が進行するに従って、給糸ボビン8の糸層の位置が下がっていくと、発光素子41aから受光素子41bへ向かう光が遮られなくなる。そこで、モータ42により、糸層センサ41によって再度チェス部8aが検出される位置まで、筒体40を下降させる。以上より、常に、筒体40が給糸ボビン8の上端部に被せられた状態で糸Yの解舒が行われ、チェス部8aから解舒される糸Yのバルーンが一定以上に膨らむことが筒体40によって規制される。これにより、解舒された糸Yの張力が安定する。
【0061】
図2図3に示すように、巻取部33は、巻取管44を回転自在に把持するクレードル45と、綾振ドラム46と、綾振ドラム46を回転させるドラム駆動モータ47とを備えている。綾振ドラム46の周面には螺旋状の綾振溝46aが形成されており、この綾振溝46aによって糸Yをトラバースさせるように構成されている。そして、綾振ドラム46が、綾振溝46aによって糸Yをトラバースさせながら、巻取管44に形成されたパッケージPに接触した状態で回転することで、綾振ドラム46との接触摩擦によってパッケージPが回転し、給糸ボビン8から解舒された糸Yが巻取管44に巻取られていくようになっている。
【0062】
給糸部31と巻取部33の間に配置された糸処理実行部32は、ヤーンフィーラ49、張力付与装置50、糸継装置51、ヤーンクリアラ52を有する。
【0063】
ヤーンフィーラ49は、解舒補助装置36と張力付与装置50との間において、走行する糸Yの有無を検出するものである。
【0064】
張力付与装置50は、走行する糸Yに所定の張力を付与するものである。図5では、一例として、いわゆるゲート式のものが開示されている。複数の固定ゲート体50aと複数の可動ゲート体50bとが上下方向に交互に配置されている。そして、複数の可動ゲート体50bの水平方向の位置を調整することによって、固定ゲート体50aと可動ゲート体50bとの間を走行する糸Yに張力を付与する。
【0065】
糸継装置51は、後述するヤーンクリアラ52により糸欠陥が検出されたときのカッター52aによる糸切断時、パッケージPの巻取中における糸切れ時、あるいは、給糸ボビン8の交換時等の、給糸部31と巻取部33の間で糸Yが走行しなくなった状態で、給糸ボビン8側の下糸Y1とパッケージP側の上糸Y2とを糸継ぎするものである。この糸継装置51の一例としては、空気流を発生させて下糸Y1と上糸Y2の繊維同士を絡ませて糸継ぎをおこなう、エアスプライサを挙げることができる。
【0066】
糸継装置51の下側と上側には、給糸ボビン8側の下糸Y1を捕捉して糸継装置51へ案内する下糸捕捉案内部材53と、パッケージP側の上糸Y2を捕捉して糸継装置51へ案内する上糸捕捉案内部材54とがそれぞれ設けられている。下糸捕捉案内部材53は、軸53aを中心に回転可能であり、モータ56によって回転駆動されることで上下に旋回する。上糸捕捉案内部材54も、軸54aを中心に回転可能な構成であり、モータ57によって回転駆動されることで上下に旋回する。
【0067】
下糸捕捉案内部材53は、その先端部に下糸Y1の糸端部を吸引して捕捉する吸引部60を有する。この吸引部60が下糸Y1の糸端部を捕捉した状態で、下糸捕捉案内部材53は、モータ56で駆動されて下から上へと旋回して糸継装置51に下糸Y1を案内する。上糸捕捉案内部材54は、その先端部に上糸Y2の糸端部を吸引して捕捉するサクションマウス61を有する。このサクションマウス61が、パッケージP側の上糸Y2の糸端部を捕捉した状態で、上糸捕捉案内部材54は、モータ57で駆動されて上から下へと旋回することで、捕捉した上糸Y2を糸継装置51に案内する。糸継装置51は、下糸捕捉案内部材53によって案内されてきた下糸Y1の糸端部と、上糸捕捉案内部材54によって案内されてきた上糸Y2の糸端部とを繋いで1本の糸Yにする。
【0068】
ヤーンクリアラ52は、走行する糸Yの太さの情報を常時取得しており、この糸太さの情報に基づいて、糸Yに含まれる一定以上に糸太さが太い異常部分を糸欠陥として検出する。また、ヤーンクリアラ52にはカッター52aが付設されており、ヤーンクリアラ52で糸欠陥が検出されたときにカッター52aは即座に糸Yを切断する。また、ヤーンクリアラ52は、糸Yの走行状態を監視しており、糸Yが走行していない状態を検知したときには、糸無しの状態を示す信号をユニット制御部63に出力する。
【0069】
糸切れ等の発生により、給糸部31から巻取部33へ向けて糸Yが走行していない状態となると、その状態は、ヤーンクリアラ52で検出され、糸継装置51による糸継動作が行われる。尚、パッケージPの巻取中の糸切れ、あるいは、ヤーンクリアラ52のカッター52aによる糸切断の場合は、下糸捕捉案内部材53の吸引部60によって下糸Y1が捕捉されるため、下糸Y1がヤーンフィーラ49によって検出される。一方、給糸ボビン8から糸Yが全て解舒されて糸Yがなくなった場合には、ヤーンフィーラ49で下糸Y1が検出されない。つまり、ユニット制御部63は、ヤーンクリアラ52で糸Yが走行していないことが検出されたときに、ヤーンフィーラ49のよる糸の検出の有無によって、糸切れ又は糸切断と、給糸ボビン8の糸Yが全て解舒された状態とを、区別して認識する。
【0070】
図5に示されるユニット制御部63は、上述した、巻取部33や糸継装置51等の、巻取ユニット4の各部の動作を制御することによって、巻取管44にパッケージPを形成させる。このユニット制御部63は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びプログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read-Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するためのRAM(Random Access Memory)、及び、外部とのデータの入出力を行う入出力インターフェース等で構成されている。
【0071】
ユニット制御部63は、トレイ給排部34を駆動するモータ39、解舒補助装置36のモータ42、ドラム駆動モータ47等の、巻取ユニット4の駆動部や、ヤーンフィーラ49、張力付与装置50、糸継装置51、ヤーンクリアラ52、糸層センサ41、読取/書込装置35等と電気的に接続されている。そして、巻取ユニット4は、自動ワインダ1の全体動作を制御する機台制御装置5から送られた巻取条件等に関する情報に基づいて、巻取ユニット4の各部を制御して、巻取ユニット4にパッケージPの巻取動作を行わせる。
【0072】
(機台制御装置5)
図2に示すように、機台制御装置5は、ボビン準備装置2の制御部13、トレイ搬送装置3の制御部21、及び、複数の巻取ユニット4のユニット制御部63と、それぞれ通信可能に接続されており、ボビン準備装置2、トレイ搬送装置3、及び、複数の巻取ユニット4の動作をそれぞれ制御する。また、機台制御装置5は、入力部70と、表示部71と、ランプ72とを有する。入力部70は、自動ワインダ1の各装置の制御に必要な各種条件を入力可能に構成されている。表示部71は、自動ワインダ1の各装置の運転状況の表示、あるいは、各装置の異常に関する表示を表示可能である。ランプ72は、自動ワインダ1の各装置に何らかの異常が生じた場合に、オペレータにその異常の発生を報知するために点灯する。
【0073】
ところで、上記の自動ワインダ1において、トレイ搬送装置3で搬送されるトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じると、様々な不具合が発生することが予想される。本実施形態では、上記不具合の具体的な一例として、給糸ボビン8が直立状態に対して傾いてしまう場合を挙げて説明する。図6は、トレイ7のトレイ本体部材22の異常に起因して、給糸ボビン8が傾いている状態を示す図である。
【0074】
先にも説明したように、本実施形態のトレイ7のトレイ本体部材22は、ペッグ部25に、給糸ボビン8を保持するための複数(例えば、3つ)の保持爪28を有し、これらの保持爪28はそれぞれバネ部材によって外側へ付勢されている。ここで、一部のバネ部材が破損して保持爪28を外側へ付勢できなくなると、保持爪28が給糸ボビン8の内面に押し付けられなくなる。図6では、左側の保持爪28のバネ部材が破損している状態が示されている。このバネ部材の破損により、複数の保持爪28の間で、給糸ボビン8への押し付け力が異なってしまい、給糸ボビン8が、図5の直立状態に対して傾斜した状態で保持されてしまう。給糸ボビン8が傾いた状態で、巻取ユニット4において糸Yが解舒されると、解舒された糸Yのバルーンが不安定になり、糸Yの張力が安定しない。また、筒体40と給糸ボビン8の糸層とが接触してしまうこともある。
【0075】
図7は、給糸ボビン8の傾きを説明する図である。図7(a)は、直立状態の給糸ボビン8が給糸部31に供給された状態を示している。図7(a)に示すように、給糸ボビン8が直立状態にあるときには、給糸ボビン8の軸線C2が、筒体40の軸線C1と一致している。一方、図7(b)は、直立状態に対して傾いた給糸ボビン8が給糸部31に供給された状態を示している。図7(b)に示すように、給糸ボビン8が直立状態に対して傾いているときには、給糸ボビン8の軸線C2が、筒体40の軸線C1に対して傾いている。図7(b)の状態では、給糸ボビン8の上端部が、筒体40の軸線C1からずれているため、この状態で、給糸ボビン8から糸Yが解舒されると、給糸ボビン8の芯管が筒体40に接触し、糸Yの解舒が、給糸ボビン8の芯管と筒体40の接触によって阻まれるため、糸Yが破断する。
【0076】
尚、本実施形態の巻取ユニット4(トレイ給排部34)は、糸Yを解舒する給糸ボビン8の上端部の位置を、筒体40の軸線C1に一致させる、芯出し機能を有する。より具体的には、トレイ給排部34は、トレイ7を水平方向に微小に移動させて、給糸ボビン8の糸層が糸層センサ41で検出される範囲内に入るように、トレイ7の位置を調整する。この芯出し後、給糸ボビン8からの糸Yの解舒、及び、パッケージPの巻取を開始する。
【0077】
しかし、給糸ボビン8が傾いている場合には、上記の芯出しによって、巻取開始前に、給糸ボビン8の上端部を筒体40の軸線C1に一致させても、給糸ボビン8の傾きに起因する糸切れが発生する場合がある。即ち、給糸ボビン8が傾いていると、糸Yの解舒に従って糸層が下がっていくことで、そのうち、給糸ボビン8の芯管、あるいは、糸層のチェス部8aが、筒体40に接触してしまうことがあり得る。
【0078】
ところで、給糸ボビン8が傾いているからといって、常にトレイ本体部材22に異常が生じているとは限らない。即ち、給糸ボビン8の傾きは、トレイ7が正常であっても、ボビン準備装置2のボビン装着部11による給糸ボビン8の装着がうまくいかなかった場合にも生じ得る。また、巻取ユニット4の給糸部31側に問題がある場合、例えば、解舒補助装置36の筒体40に傾きや破損等の異常がある場合にも、給糸ボビン8の芯管あるいはチェス部8aが筒体40に接触して糸切れが発生しうる。そこで、本実施形態では、同一のトレイ7について、給糸ボビン8の芯出し動作を行った上での糸切れが、何回も検出された場合に、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じていると判定する。
【0079】
図8は、トレイ異常検出処理のフローチャートである。尚、図8において、Si(i=1,2,3・・・)は、ステップ番号を示す。本実施形態では、図8の処理は、主に、各巻取ユニット4のユニット制御部63によって行われる。トレイ給排部34により、給糸ボビン8が装着されたトレイ7が供給されると、ユニット制御部63は、巻取ユニット4の各部を制御してパッケージPの巻取を開始させる(S1)
【0080】
パッケージPの巻取中に、巻取ユニット4において、巻き取られる糸Yに糸切れが生じると、その糸切れは、ヤーンクリアラ52によって検出される。また、糸切れが発生した後は、糸継装置51により糸継がなされるが、給糸ボビン8が傾いて、給糸ボビン8の芯管等が筒体40と接触することによる糸切れの場合は、糸継を行っても、すぐに同様の糸切れが発生する。そこで、糸切れが続けて複数回発生するか否かによって、それが、給糸ボビン8の傾きに起因する糸切れであるか否かを判断する。
【0081】
即ち、図8に示すように、給糸ボビン8から糸Yを解舒する糸Yに糸切れが発生しても、ヤーンクリアラ52により検出された糸切れの回数MがM0未満であれば(S2:No)、ユニット制御部8は、糸継装置52に糸継を行わせて、パッケージPの巻取を継続させる。そして、糸切れ回数MがM0に達する前に、給糸ボビン8の糸Yが全て解舒されたら(S3:Yes)、ユニット制御部63は、トレイ給排部34を制御してそのトレイ7を排出させる(S7)。尚、図8のフローチャートにおける糸切れ回数Mには、ヤーンクリアラ52のカッター52aによる、強制的な糸切断の回数は含めない。このように、正常に糸Yが解舒された、空ボビン8Bが装着されているトレイ7(7B)は、トレイ搬送装置3の回収経路14bによって搬送され、ボビン準備装置2へ送られる。
【0082】
一方、ヤーンクリアラ52により検出された糸切れの回数MがM0以上となった場合(S2:Yes)、ユニット制御部63は、この糸切れは給糸ボビン8の傾きに起因する糸切れであると判断して、読取/書込装置35を制御して、トレイ7のICタグ26に記憶されているトレイ情報を読み出す(S4)。このトレイ情報にはトレイ番号が含まれており、このトレイ番号によって、ユニット制御部63は、不具合が発生した給糸ボビン8が装着されているトレイ7を特定する。また、これより以前に、一度でも、給糸ボビン8の傾きに起因する糸切れが検出されている場合は、後のS6でも述べるように、その過去の不具合情報がICタグ26に記憶されている。その場合、このS4にて、読取/書込装置35により、トレイ番号と同時に不具合情報も読み出される。
【0083】
今回の不具合発生によって、不具合の発生回数Nが、ある判定閾値N0未満の場合(S5:Yes)、不具合の発生回数がまだ少ないために、この段階では、ユニット制御部63はこのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じている、とまでは判定しない。但し、読取/書込装置35に、このトレイ7のICタグ26へ不具合情報を書き込ませる(S6)。また、ユニット制御部63は、それ以上、巻取部33にパッケージPの巻取を行わせることなく、トレイ給排部34を制御して上記のトレイ7を排出させる(S7)。
【0084】
巻取ユニット4で不具合が生じたトレイ7は、回収経路14bに排出された後、ボビン準備装置2において、再度、給糸ボビン8の抜き取り、及び、再装着がなされた後、供給経路14aに戻されて、再び巻取ユニット4に供給される。もし、給糸ボビン8のトレイ7に対する装着不良によって、給糸ボビン8が傾いていたのであれば、上記の再装着によって、給糸ボビン8が直立状態に修正されうる。しかし、トレイ7のトレイ本体部材22の異常によって給糸ボビン8が傾いている場合は、上記の再装着を行っても給糸ボビン8はやはり傾いた状態となる。このような異常なトレイ7が放置されていると、異常トレイ7が、巻取ユニット4に供給されて、その度に、給糸ボビン8が傾いて糸Yが破断する、という不具合が発生するため、異常トレイ7がトレイ搬送装置3内を循環することになってしまう。
【0085】
そこで、巻取ユニット4で給糸ボビン8の傾きに起因する糸切れの不具合が検出されたときに、今回の不具合によって、不具合の発生回数Nが、前記判定閾値N0以上の場合(S5:Yes)、ユニット制御部63は、このトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じていると判定する。この場合は、それ以上、ICタグ26に不具合情報を書き込むことなく、トレイ給排部34を制御して上記のトレイ7を排出させる(S8)。尚、本実施形態においては、各巻取ユニット4のユニット制御部63が、トレイ7のトレイ本体部材22に関する異常を検出(判定)する、本発明の「トレイ異常検出部」に相当する。
【0086】
尚、S5の「不具合の発生回数N」は、限られた判定時間T0内に発生した回数としてもよい。この場合、ユニット制御部63は、給糸ボビン8の傾きを検出する度に、読取/書込装置35によって、不具合情報として、その不具合の発生時刻をICタグ26に記憶させる。ICタグ26に記憶させる不具合情報(不具合履歴)の数は、例えば、5個程度としておく。その上で、判定時間T0内に、N0回の不具合が発生した場合に、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じている、と判定する。
【0087】
尚、前記の判定閾値N0、あるいは、判定時間T0は、機台制御装置5の入力部70により入力可能である。このように、トレイ本体部材22に異常が生じているか否かを判定するための判定条件の設定を、給糸ボビン8の種類やトレイ7の種類等の各種条件に応じて、最適に行うことができる。
【0088】
あるいは、S5の「不具合の発生回数N」は、そのトレイ7の使用を開始してからの、不具合の発生回数の累計値(今までの不具合発生回数の総数)であってもよい。
【0089】
トレイ本体部材22に異常が生じていると判定したら、ユニット制御部63は、トレイ給排部34を制御してそのトレイ7を排出させる。また、上述したように、S3で、ICタグ26から読み取られたトレイ番号によって、ユニット制御部63は、異常と判定したトレイ7がどのトレイ7なのかを認識している。そこで、ユニット制御部63は、機台制御装置5に対して、そのトレイ7のトレイ番号、及び、不具合内容に関する情報を送信する。機台制御装置5は、ユニット制御部63から送信された信号を受けてトレイ搬送装置3を制御し、異常と判定されたトレイ7Cを回収経路14bから分岐回収路16へ搬送させ、さらに、分岐回収路16に設けられた、異常トレイ停止位置Psに停止させる(S9)。
【0090】
また、ユニット制御部63は、機台制御装置5に対してアラーム信号を送信する(S10)。このアラーム信号は、例えば、機台制御装置5のランプ72を点灯させる信号であってもよい。あるいは、アラーム信号が、機台制御装置5の表示部71に、異常トレイ7Cに関する情報を表示させる信号であってもよい。その他、ブザー(図示省略)等の他の報知手段を動作させる信号であってもよい。
【0091】
ランプ72の点灯、あるいは、表示部71における異常トレイ7の表示によって、オペレータがトレイ7の異常に気づくと、オペレータは、分岐回収路16の異常トレイ停止位置Psに停止している異常トレイ7Cを取り外し、新しいトレイ7と交換する。尚、図3に示すように、案内レール18の、異常トレイ停止位置Psが設定されている部分には切り欠き部18aが設けられているため、案内レール18に嵌っている異常トレイ7Cを、切り欠き部18aにおいて案内レール18から取り外すことが容易になる。また、分岐回収路16の、異常トレイ停止位置Psよりも搬送方向下流側にはトレイ貯留部16aが設けられていることから、オペレータが異常トレイ7Cの排出を直ぐにすることができない場合でも、複数の異常トレイ7Cをトレイ貯留部16aに溜めておくことができる。
【0092】
尚、前記のランプ72等によるオペレータへの報知は、オペレータが、どのトレイ7が異常なのかをすぐに認識できるように、異常トレイ7Cが異常トレイ停止位置Psに停止した後に行われるとよい。
【0093】
異常トレイ7Cが異常トレイ停止位置Psに停止すると、その停止は、トレイ搬送装置3の異常トレイ検出センサ29(図3参照)によって検出される。その上で、例えば、ユニット制御部63が、機台制御装置5から、異常トレイ7Cが異常トレイ停止位置Psに停止したことを示す信号を受信したときに、前記アラーム信号を機台制御装置5に送信してもよい。あるいは、ユニット制御部63は、機台制御装置5に、異常トレイ7Cのトレイ番号とともにアラーム信号を同時に送信してもよい。その場合、機台制御装置5は、まず、トレイ搬送装置3を制御して、異常トレイ7Cを異常トレイ停止位置Psに停止させた後、アラーム信号に基づく、ランプ72、あるいは、表示部71による報知を行う。
【0094】
あるいは、上とは逆に、先にオペレータへの報知が行われてから、異常トレイ7が異常トレイ停止位置Psに停止するように構成されてもよい。その場合は、図8のS9の異常トレイ7Cの停止と、S10のアラームとが逆の順序となる。即ち、まず、ユニット制御部63からアラーム信号が発せられて、ランプ72の点灯等によるオペレータへの報知が行われてから、機台制御装置5がトレイ搬送装置3を制御して、異常トレイ7を異常トレイ停止位置Psに停止させる。この場合は、オペレータがランプ72等による報知を受けて異常トレイ停止位置Psへ向かう間に、異常トレイ7が巻取ユニット4から排出されて異常トレイ停止位置Psに向かって搬送されるため、オペレータが異常トレイ停止位置Psまで来たときにすぐにトレイ7を交換することが可能となり、効率のよい作業が可能となる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態では、給糸ボビン8が載せられる、トレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じたときに、その異常が、ユニット制御部63において検出される。従って、トレイ本体部材22の異常に起因して、給糸ボビン8が傾いて糸Yを解舒できない等の不具合が生じた場合でも、オペレータがトレイ7の異常を速やかに把握することができ、その異常トレイ7Cを別のトレイ7と交換して上記の不具合を早期に解消することができる。
【0096】
トレイ7は、トレイ番号(トレイ7の識別情報)や不具合情報等を含むトレイ情報を記憶するICタグ26を有する。そのため、ユニット制御部63が、あるトレイ7のトレイ本体部材22の異常を検出したときに、その異常が生じているトレイ7を特定することができる。異常トレイ7Cを特定することにより、その異常トレイ7Cを、巻取ユニット4から離れた位置にある、異常トレイ停止位置Psに停止させて、オペレータに交換させることが可能となる。また、巻取ユニット4の読取/書込装置35により、トレイ7のICタグ26に、前記のトレイ情報を書き換え可能に記憶させることができることから、不具合が発生する度にその不具合情報をICタグ26に記憶させることが可能となる。さらに、トレイ7が、トレイ情報を記憶したICタグ26を有することから、他の装置、例えば、巻取ユニット4のユニット制御部63等に、トレイ情報を記憶する記憶部を設ける必要がない。
【0097】
また、本実施形態では、トレイ本体部材22に起因する不具合が発生したときに、1回の不具合発生だけでは、トレイ本体部材22が異常であるとは判定せず、不具合情報を一旦ICタグ26に記憶させるだけにとどめる。そして、その後、過去に、そのトレイ7についてICタグ26に記憶されている不具合情報を参照し、同じトレイ7について、同様の不具合が何回も発生している場合に初めて、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じていると判定する。そのため、トレイ本体部材22が正常であるのに、異常であると誤って判定してしまうことが少なくなり、判定精度が高まる。
【0098】
本実施形態では、各巻取ユニット4のユニット制御部63により、トレイ7の異常が検出されたときに、機台制御装置5のランプ72が点灯する、あるいは、表示部71に異常トレイ7に関する情報が表示されるため、オペレータがトレイ7の異常を容易に認識できる。これにより、異常トレイ7Cの交換をオペレータに促すことができる。
【0099】
また、本実施形態では、ユニット制御部63によって異常と判定されたトレイ7Cは、異常トレイ停止位置Psに停止する。そのため、ランプ72の点灯等によって、あるトレイ7Cに異常が生じたことを認識したオペレータが、どれが異常と判定されたトレイ7Cかを容易に認識できる。また、異常トレイ停止位置Psは、メイン搬送路14から分岐した分岐回収路16に設けられている。そのため、異常トレイ7Cを異常トレイ停止位置Psに停止させても、メイン搬送路14における他のトレイ7の搬送が妨げられにくくなる。尚、トレイ7のICタグ26からトレイ情報を読み取る読取/書込装置35は、異常トレイ停止位置Psよりも、トレイ搬送装置3の搬送経路の上流側に位置しているため、読取/書込装置35で読み取られた情報に基づいて異常と判定されたトレイ7Cを、異常トレイ停止位置Psに確実に停止させることができる。
【0100】
また、本実施形態では、トレイ搬送装置3の回収経路14bの、ボビン準備装置2側の部分(複数の巻取ユニット4と繋がっている部分よりも下流側の部分)に、異常トレイ停止位置Psが設けられている。そのため、異常トレイ7の停止によって、複数の巻取ユニット4側でトレイ7が滞留(渋滞)してしまうことがなく、巻取ユニット4におけるパッケージPの形成動作が妨げられにくい。
【0101】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0102】
A]前記実施形態では、各巻取ユニット4のユニット制御部63が、トレイ本体部材22に異常が生じているトレイ7を判定(特定)しているが、ユニット制御部63以外の他の装置が異常トレイ7の判定機能を有していてもよい。
【0103】
(変更形態1)
変更形態1の図9では、メイン搬送路14の回収経路14bの、分岐回収路16との分岐部よりも搬送方向上流側の位置に、読取装置80が配置されている。この読取装置80は、回収経路14bにおいて搬送されるトレイ7のICタグ26から、トレイ情報を読み取る。
【0104】
各巻取ユニット4において、トレイ7のトレイ本体部材22の異常に起因する、給糸ボビン8の傾きの不具合が検出される点、及び、不具合情報がトレイ7のICタグ26に記憶される点は、前記実施形態と同じである。その上で、読取装置80により、回収経路14bを流れるトレイ7のICタグ26から、そのトレイ7のトレイ番号、及び、不具合情報が読み取る。また、読取装置80には、判定部81が付随している。この判定部81は、読取装置80が読み取った不具合情報を参照して、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じているか否かを判定する。即ち、この変更形態1においては、読取装置80に付随する判定部81が、本発明の「トレイ異常検出部」に相当する。
【0105】
判定部81は、異常と判定されたトレイ7のトレイ番号等の情報を、機台制御装置5に送信する。機台制御装置5は、判定部81からの信号を受けて、トレイ搬送装置3を制御して、異常トレイ7Cを分岐回収路16に設けられた異常トレイ停止位置Psに停止させる。尚、この変更形態1においても、トレイ7のICタグ26からトレイ情報を読み取る読取装置80が、異常トレイ停止位置Psよりも、トレイ搬送装置3の搬送経路の上流側に位置しているため、読取装置80で読み取られた情報に基づいて異常と判定されたトレイ7Cを、異常トレイ停止位置Psに確実に停止させることができる。
【0106】
(変更形態2)
トレイ7の異常判定を機台制御装置5が行ってもよい。例えば、先の変更形態1の図9において、読取装置80で読み取られたトレイ情報が機台制御装置5に送られ、機台制御装置5が、トレイ情報を参照してそのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0107】
B](変更形態3)
給糸ボビン8の傾きの不具合が、ある巻取ユニット4で発生したときに、トレイ本体部材22の異常ではなく、巻取ユニット4側の異常(例えば、糸層センサ41の取付精度が悪く、誤判定しやすいなど)によって生じている場合ももちろんある。しかし、給糸ボビン8の傾きの不具合が検出されて一旦排出されたトレイ7が、また同じ巻取ユニット4に供給された場合、そのトレイ7には何ら異常がないのに、巻取ユニット4側の異常によって再度不具合が発生し、ICタグ26に不具合情報が書き込まれてしまうことが考えられる。そこで、ICタグ26に記憶させる不具合情報に、巻取ユニット4の番号を含めてもよい。この場合、同じ巻取ユニット4において不具合が複数回発生している場合は、その不具合については巻取ユニット4側の異常に起因するものであるとして、トレイ本体部材22の異常の判定には使用しない、といったことが可能となる。
【0108】
C](変更形態4)
前記実施形態では、トレイ本体部材22の異常に起因する不具合が、ある判定回数以上発生した場合に、トレイ本体部材22に異常が生じていると判定している。これに対して、不具合が1回でも発生したら、その時点で、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じていると判定してもよい。
【0109】
例えば、前記実施形態の構成を例に挙げると、各巻取ユニット4で、給糸ボビン8の傾きが検出された場合に、ユニット制御部63は、その時点で、その給糸ボビン8が装着されているトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じていると判定し、そのまま巻取ユニット4から排出させる。さらに、ユニット制御部63は、機台制御装置5に異常と判定したトレイ7Cのトレイ番号を送信し、機台制御装置5は、そのトレイ7Cを異常トレイ停止位置Psに停止させる。
【0110】
D]前記実施形態では、巻取ユニット4は、給糸ボビン8が傾くことによって発生する糸切れを検出しているが、巻取ユニット4が、給糸ボビン8が傾いていること自体を検出可能な構成であってもよい。
【0111】
(変更形態5)
例えば、解舒補助装置36の糸層センサ41を用いて給糸ボビン8が傾いている状態を検出してもよい。前記実施形態で示した図7(a)では、直立状態の給糸ボビン8が示されている。給糸ボビン8が直立状態である場合は、トレイ給排部34によって給糸ボビン8が図1の保持位置Aに保持された直後の、解舒前の状態(筒体40を下降させる前の状態)では、糸層センサ41によって給糸ボビン8の上端部のチェス部8aが検出されない。
【0112】
一方、図7(b)には、直立状態に対して傾いた給糸ボビン8が示されている。給糸ボビン8が直立状態に対して傾いているときには、トレイ給排部34によって給糸ボビン8が保持位置Aに保持された直後の状態で、既に糸層センサ41によって給糸ボビン8のチェス部8aが検出されることになる。つまり、トレイ7に載って給糸部31に供給されてきた給糸ボビン8が、図1の保持位置Aで保持されたときに、糸層センサ41によってチェス部8aが検出されるか否かによって、ユニット制御部63は、給糸ボビン8が直立状態に対して傾いているかどうかを把握できる。
【0113】
また、専用のセンサを設けて給糸ボビン8の傾きの検出がなされてもよい。また、その場合の専用センサは、光学式センサには限られず、接触式センサ、磁気センサ等、様々なセンサを採用することができる。
【0114】
E]前記実施形態では、トレイ7のトレイ本体部材22の異常に起因する不具合として、給糸ボビン8の傾きによる不具合を挙げているが、これ以外の不具合も生じ得る。
【0115】
(変更形態6)
トレイ本体部材22の底面や側面に傷がついたり、あるいは、局所的に異常な摩耗が生じたりすると、トレイ7が巻取ユニット4のトレイ通路38に引き込まれたときに、トレイ7がトレイ通路38内で引っ掛かったりして、動きにくくなってしまうことが考えられる。特に、前記実施形態のように、供給されたトレイ7を動かして、給糸ボビン8の芯出しを行う構成においては、トレイ通路38内でトレイ7が動きにくくなると、芯出しができなくなる虞がある。また、正確な芯出しを行えないままで糸の解舒がなされると、糸切れの発生頻度が高くなってしまう。そこで、各巻取ユニット4のユニット制御部63が、各トレイ7に、上記の送り不良(移動不具合)が発生しているか否かを検出することによって、トレイ本体部材22に異常が生じているか否かを検出(判定)してもよい。
【0116】
尚、トレイ通路38内でのトレイ7の送り不良は、以下のようにして検出できる。例えば、トレイ7がトレイ通路38内で引っ掛かると、トレイ給排部34を何回か繰り返し駆動させて初めてトレイ7が動く、という状況が起こり得る。そこで、トレイ給排部34によるトレイ7の送りのリトライ回数によって、トレイ7の送り不良を判定してもよい。また、トレイ給排部34の動作を確認するセンサを設け、このセンサによってトレイの送り不良を検出してもよい。あるいは、トレイ給排部34付近に設置されたカメラによって、トレイ7の状態を撮影し、撮影した画像(あるいは動画)から、トレイ7が正常に送られているかどうかを判定してもよい。
【0117】
(変更形態7)
上記変更形態6に関連して、トレイ7が、巻取ユニット4のトレイ通路38だけでなく、トレイ搬送装置3の案内レール18に引っ掛かって動きにくくなることも考えられる。その場合には、トレイ搬送装置3の各所に設置されたセンサやカメラ等を用いてトレイ搬送装置3内でのトレイ7の搬送不良を検出し、その検出結果から、トレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じているとしてもよい。尚、この場合には、巻取ユニット4にて不具合が発生するわけではないから、トレイ7のICタグ26に不具合情報を記憶させる書込装置(記録装置)は、巻取ユニット4に設けられる必要はなく、トレイ搬送装置3の適宜の場所に設けられてよい。
【0118】
(変更形態8)
図4に示すように、トレイ本体部材22内にICタグ26が配置されている場合に、ICタグ26を保護するカバー部材27が基部23から外れている、あるいは、破損していると、ICタグ26が損傷する虞がある。そこで、カバー部材27の脱落、あるいは、カバー部材27の破損をカメラ等によって検出し、この検出結果からトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じているとしてもよい。
【0119】
尚、上記変更形態6〜8に関連して、トレイ本体部材22に起因して生じ得る不具合が2種類以上ある場合、機台制御装置5の入力部70において、トレイ本体部材22の異常を判定するのに用いる不具合の種類を設定可能であることが好ましい。例えば、前記実施形態で例示した給糸ボビン8の傾きの不具合と、前記変更形態6で例示したトレイ7の送り不良の不具合の、何れか一方の不具合を選択的に使用、あるいは、両方の不具合を使用して、トレイ本体部材22に異常が生じているかを判定することが可能となる。
【0120】
F]前記実施形態では、トレイ7が、トレイ番号(トレイ識別情報)及び不具合情報を記憶したICタグ26を有する構成であるが、トレイ7がICタグ26のようなメモリ部材を有する必要は必ずしもない。
【0121】
(変更形態9)
例えば、トレイ本体部材22に、トレイ識別情報を含むバーコードが付されていてもよい。その場合、巻取ユニット4、あるいは、トレイ搬送装置3の適宜の位置に、バーコードリーダが設けられる。このバーコードリーダによって、トレイ本体部材22のバーコードを読み取ることによって、トレイ7の識別を行う。尚、この場合は、不具合情報をトレイ7が保持することができないため、上記不具合情報は、トレイ7とは別の装置、例えば、巻取ユニット4のユニット制御部63、あるいは、機台制御装置5等に設けられたトレイ情報記憶部に記憶される。
【0122】
あるトレイ7についてトレイ本体部材22の異常に起因する不具合が生じたときには、バーコードリーダでバーコードを読み取って、そのトレイ7の識別を行う。そして、ユニット制御部63、あるいは、機台制御装置5は、トレイ情報記憶部から、そのトレイ7についての不具合情報を参照し、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じているか否かを判定する。
【0123】
G](変更形態10)
異常と判定されたトレイ7Cを停止させる異常トレイ停止位置Psについては、次のように適宜変更可能である。例えば、図10に示すように、トレイ搬送装置3が、メイン搬送路14から分岐した分岐回収路16を備えていない構成である場合などに、異常トレイ停止位置Psがメイン搬送路14に設けられてもよい。尚、その場合、異常トレイ停止位置Psは、メイン搬送路14のうちの、特に、回収経路14bに設けられていることが好ましい。例えば、前記実施形態の構成のように、巻取ユニット4の読取/書込装置35でICタグ26から読み取った不具合情報を参照して、トレイ7の異常を判定する場合、巻取ユニット4よりも、トレイ搬送装置3の搬送経路の下流側に、異常トレイ停止位置Psが設けられるのがよい。また、図9の変更形態1の構成のように、回収経路14bに読取装置80が設けられる場合は、回収経路14bの、前記読取装置80よりも下流側に異常トレイ停止位置Psが設けられるのがよい。
【0124】
H](変更形態11)
前記実施形態では、巻取ユニット4において異常と判定されたトレイ7を、巻取ユニット4よりも下流側に離れた、異常トレイ停止位置Psに停止させている。これに対し、異常と判定されたトレイ7Cを、不具合が検出される位置、あるいは、読取装置が設けられている位置において、そのまま停止させてもよい。例えば、前記実施形態の構成であれば、各巻取ユニット4のユニット制御部63によって、あるトレイ7Cが異常と判定されたときに、そのトレイ7Cを巻取ユニット4において停止させてもよい。尚、この形態では、異常と判定されたトレイ7がどのトレイなのか、即ち、そのトレイ7のトレイ番号をユニット制御部63が認識する必要がない。つまり、トレイ7が、ICタグ26等の、トレイ識別情報を有する識別部を備えている必要がない。
【0125】
I](変更形態12)
図11の自動ワインダ1は、給糸ボビン8に巻き取る糸を紡績するリング精紡機90をさらに備え、リング精紡機90と複数の巻取ユニット4がトレイ搬送装置3で連結されている。具体的には、リング精紡機90は、トレイ搬送装置3の供給経路14aと、ボビン準備装置2を介して接続されている。また、リング精紡機90は、トレイ搬送装置3の回収経路14bとも接続されている。
【0126】
リング精紡機90は、図示しない多数の精紡ユニットを有し、それらの精紡ユニットにおいて、同時に糸を紡績して給糸ボビン8に巻取り、実ボビン8Aを形成する。つまり、リング精紡機90の1回のドッフィングで、稼働する精紡ユニットと同数の給糸ボビン(実ボビン)が製造される。また、このリング精紡機90は、製造した実ボビンのトレイ7への装着、及び、回収されたトレイ7からの空ボビンの抜き取りを行う。従って、図11の自動ワインダ1では、ボビン準備装置2に対して、リング精紡機90で実ボビンが装着されたトレイ7(7A)が搬送され、ボビン準備装置2は、口出し部12によって給糸ボビン8の口出しを行った上で、トレイ搬送装置3の供給経路14aへトレイ7を送り出す。また、複数の巻取ユニット4から排出された、空ボビンが装着されたトレイ7(7B)は、回収経路14bによって搬送されてリング精紡機90に回収される。図11の自動ワインダ1は、上記以外については、図1の自動ワインダ1と同様の動作を行うことから、トレイ7の異常検出等の動作についても大きく変わることはない。
【0127】
尚、前記実施形態では、各巻取ユニット4で、トレイ本体部材22の異常に起因する不具合が検出されたときに、1つのトレイ7について、不具合の発生回数Nが、ある判定時間T0内に判定閾値N0以上となったときに、トレイ本体部材22に異常が生じていると判定している(図8のS5)。
【0128】
これに対し、図11の自動ワインダ1においても同様にしてもよいが、上記の「不具合の発生回数N」として、前記の判定時間T0の代わりに、リング精紡機90の1回のドッフィングで製造された実ボビンが供給される間に、1つのトレイ7について不具合が発生した回数としてもよい。この場合、リング精紡機90のトレイ送出部に設けられた記録装置91によって、リング精紡機90から供給されるトレイ7のICタグ26に、リング精紡機90のどのドッフィングで製造された実ボビンが装着されているかを示す、ドッフィング番号が記憶される。このドッフィング番号の情報は、同一のドッフィングで製造された実ボビンが供給される間、ICタグ26に保持される。また、各巻取ユニット4で不具合が発生したときには、その不具合情報が、トレイ7のICタグ26に記憶される。そして、各巻取ユニット4のユニット制御部63は、各トレイ7のICタグ26に記憶されているドッフィング番号と不具合情報を参照して、同一のドッフィングで製造された実ボビンが供給される間における、不具合の発生回数が判定閾値以上のときに、そのトレイ7のトレイ本体部材22に異常が生じていると判定する。
【0129】
また、図11の自動ワインダ1において、異常トレイ停止位置Psは、トレイ搬送装置3の回収経路14bに設けられていることが特に好ましい。その理由は以下の通りである。リング精紡機90を停止させないために、一般には、リング精紡機90の処理能力(単位時間当たりの実ボビンの形成数)よりも、複数の巻取装置の処理能力(単位時間当たりのパッケージの形成数)が高く設定されている。そのため、自動ワインダ1の通常動作中においても、複数の巻取ユニット4からリング精紡機90へトレイ7を回収する回収経路14bでは、待ち時間が生じてトレイ7が滞留している。この点、上記の回収経路14bに、異常トレイ停止位置Psが設定されていると、回収経路14bに、異常トレイ7Cが停止することによってトレイ7の回収が止まっても、リング精紡機90の処理、及び、複数の巻取ユニット4の処理に影響が生じない。
【符号の説明】
【0130】
1 自動ワインダ
2 ボビン準備装置
3 トレイ搬送装置
4 巻取ユニット
5 機台制御装置
7 トレイ
8 給糸ボビン
14 メイン搬送路
14a 供給経路
14b 回収経路
16 分岐回収路
16a トレイ貯留部
18 案内レール
18a 切り欠き部
22 トレイ本体部材
26 ICタグ
34 トレイ給排部
35 読取/書込装置
63 ユニット制御部
70 入力部
71 表示部
72 ランプ
80 読取装置
81 判定部
90 リング精紡機
91 記録装置
P パッケージ
Ps 異常トレイ停止位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11