【解決手段】光モジュール10は、FPC16と配線パターンとカバー材とを有する。上記配線パターンは、所定幅を有する電極パッド16aと、上記所定幅よりも狭い幅を有し電極パッド16aに接続されたマイクロストリップラインとを、FPC16上に有する。上記カバー材は、電極パッド16aの一部とマイクロストリップラインとを覆う。光モジュール10は、グランドパターンとコプレーナ線路とを更に有するものとしてもよい。上記グランドパターンは、上記配線パターンの両側に形成される。上記コプレーナ線路は、上記グランドパターンに接続され、電極パッド16aの一部に向かって延在する。
【背景技術】
【0002】
近年、光伝送システムの大容量化に伴い、光変調器等の光モジュールでは、変調速度の高速化と共に、構成の大規模化が進みつつある。このため、光モジュールを搭載する光送信機では、光導波路を形成する複数のマッハツェンダを1チップに集積し、小型化を図ることが望ましい。光モジュールでは、例えば4つのマッハツェンダにより光導波路が並列に形成され、各光導波路上に、信号電極と接地電極とが2本ずつパターニングされる。光モジュールは、2つの信号電極に、異なる電気信号を入力することで、多値変調の信号を生成する。この様な光モジュールでは、入力部(同軸コネクタ等)の実装を容易とし実装面積を抑えるため、全ての電気信号の入力部をパッケージの片側に配置する。
【0003】
入力部が片側に配置された光モジュールでは、パッケージの側面に設けられた同軸コネクタを介して、RF(Radio Frequency)信号等の電気信号が入力される。また、同軸コネクタには、外部からの電気信号を入力するための同軸アダプタが接続される。しかしながら、光モジュールは、同軸アダプタの幅に合わせて、電気信号の入力される信号電極間のピッチを広げる必要があるため、チャネル数が増えた場合に、これに伴って実装面積が増大してしまう。
【0004】
上述した実装面積の増大を抑えるため、パッケージに設けられたFPC(Flexible Printed Circuit)を介して、PCB(Printed Circuit Board)側からの電気信号を入力する表面実装型の光モジュールが開発されている。この様な光モジュールでは、電気信号を入力するため、PCB上の電極パターンと、FPC上の電極パッドとが半田で接続される。これにより、光モジュールは、同軸アダプタが不要となるため、電気信号の入力される信号電極間のピッチを狭くして、実装面積を小さくすることができる。その結果、光送信機の小型化が可能となる。
【0005】
ところが、光変調器の様に高周波信号を扱う光モジュールでは、PCB上の電極パターンとFPC上の電極パッドとの接続部において、インピーダンスのミスマッチが発生すると、高周波信号の反射が増大し、その結果、高周波特性が低下してしまう。これを防ぐため、光モジュールは、接続部における各信号電極の特性インピーダンスが、理想値である50Ω程度となる様に、設計されるのが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本願の開示する光モジュールの実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する光モジュールが限定されるものではない。
【0014】
まず、本願の開示する一実施例に係る光モジュールの構成を説明する。
図1は、本実施例に係る光モジュール10の構成を示す上面図である。
図1に示す様に、光モジュール10は、結晶基板11上に形成された光導波路12近傍に、電極13が設けられることで形成される。結晶基板11は、LiNbO
3(LN)、LiTaO
2等の電気光学結晶により形成される。また、光導波路12は、Ti等の金属膜を形成して熱拡散させる、あるいは、パターニング後に安息香酸中でプロトン交換する、ことにより形成される。光導波路12は、マッハツェンダ干渉系を成し、電極13は、マッハツェンダの平行導波路上に設けられている。
【0015】
また、電極13は、z軸方向の電界による屈折率変化を利用するため、光導波路12の真上に配置される。電極13は、光導波路12上に、信号電極と接地電極とがパターニングされることにより形成されるコプレーナ電極である。光モジュール10は、光導波路12中を伝搬する光が上記信号電極と接地電極とにより吸収されるのを防ぐため、結晶基板11と電極13との間にバッファ層を有する。バッファ層は、厚さ0.2〜2μm程度のSiO
2等により形成される。
【0016】
光モジュール10は、高速で駆動する場合、上記信号電極と接地電極の終端を抵抗により接続して進行波電極とし、入力側からマイクロ波信号を印加する。このとき、電界によって、マッハツェンダを構成する2本の光導波路12(例えば、光導波路12a、12b)の屈折率が、それぞれ+Δna、−Δnbの様に変化し、これに伴い、光導波路12間の位相差が変化する。その結果、マッハツェンダ干渉によって、位相変調された信号光が、光導波路12から出力される。光モジュール10は、電極13の断面形状を変化させることでマイクロ波の実効屈折率を制御して、光とマイクロ波との速度を整合させることにより、高速の光応答特性を得ることができる。
【0017】
光モジュール10では、
図1に示す様に、結晶基板11と光導波路12と電極13とを収容するパッケージ14に、中継基板15を介して、FPC16が設けられている。FPC16上の電極における高周波の伝播損失が大きいと、変調帯域が狭くなり、駆動電圧が上がってしまう。このため、高周波信号を扱う光モジュール10においては、高周波の損失を減らすために、FPC16を極力短くすることが望ましい。また、FPC16にはPCBが接続されるが、この接続部においてインピーダンスのミスマッチが発生すると、高周波信号の反射が大きくなり、伝送周波数帯域が狭くなる。これを防ぐためには、FPC16上の電極パッド16aとPCBの電極パターン17aとの接続部における特性インピーダンスが極力50Ωとなる様にすることが重要である。
【0018】
PCBの電極パターン17aから出力されたRF信号等の電気信号は、パッケージ14に取り付けられたFPC16の電極パッド16aを介して、電極13に入力される。PCB(電極パターン)とFPC16(電極パッド)との間は、半田により接続されるので、同軸アダプタを用いる場合と比較して、電極パッド16aのピッチを狭めることができ、高密度実装が可能となる。
【0019】
図2Aは、PCB17とFPC16との接続部の一例を示す部分断面図である。
図2Aに示す様に、PCB17の電極パターン17aとFPC16の一端(電極パッド16a側)とは、半田S1により接続されている。FPC16は、上向きに延在し、他端において、パッケージ14に接触すると共に、リードピン18a及び半田S2、S3により、パッケージ14上の同軸コネクタ18に固定されている。また、FPC16は、リードピン18aを介して、中継基板15と電極13とに電気的に接続されている。これにより、電極パターン17aから電極パッド16aに入力されたRF信号等の電気信号が、FPC16を経由してリードピン18aに到達した後、中継基板15を経由して電極13を流れる様になっている。
【0020】
図2Bは、PCB17とFPC16との接続部の別の一例を示す部分断面図である。
図2Bに示す様に、PCB17の電極パターン17aとFPC16の一端(電極パッド16a側)とは、半田S1により接続されている。FPC16は、横向きに延在し、他端において、パッケージ14に接触すると共に、リードピン18a及び半田S2、S3により、パッケージ14に挟持された同軸コネクタ18に固定されている。また、FPC16は、リードピン18aを介して、中継基板15と電極13とに電気的に接続されている。これにより、電極パターン17aから電極パッド16aに入力されたRF信号等の電気信号が、FPC16を経由してリードピン18aに到達した後、中継基板15を経由して電極13を流れる様になっている。
図2A及び
図2Bに示した何れの形態においても、電気信号の伝搬損失を抑えるため、FPC16の電極パッド16aの長さは、1mm程度に短くすることが望ましい。
【0021】
図3は、本実施例に係るPCB17とFPC16との接続部を示す拡大断面図である。
図3に示す様に、本実施例に係る光モジュール10のFPC16では、表面と裏面とに形成された電極パッド16aが、2つのスルーホールT1、T2を介して電気的に接続されている。一方、PCB17では、表面と裏面とに、電極パターン17aが形成されている。そして、FPC16裏面の電極パッド16aとPCB17表面の電極パターン17aとは、半田S1により電気的に接続されている。
【0022】
図4は、本実施例に係るPCB17の表面とFPC16の表面及び裏面とを示す図である。
図4に示す様に、PCB17の表面では、シグナルパターンとしての電極パターン17aの両側に、電極パターン17aに並行する様に、2本のグランドパターン17b、17cが形成されている。一方、FPC16の表面では、シグナルパターンとしての電極パッド16aの両側に、電極パッド16aに並行する様に、2本のグランドパターン16b、16cが形成されている。2本のグランドパターン16b、16cは、FPC16の上側(パッケージ14側)にて接続されている。FPC16の裏面では、表面のパターンと対向する位置に、電極パッド16aと、2本のグランドパターン16b、16cとが形成されている。更に、FPC16の裏面には、マイクロストリップラインMと電極パッド16aの一部とを覆う様に、カバー材Cが設けられている。なお、カバー材Cは、FPC16の表面にも、設けられるものとしてもよい。
【0023】
図4に示す様に、FPC16の裏面では、カバー材Cの先端が、マイクロストリップラインMを超えて電極パッド16aの一部を覆う位置まで、下方向(PCB17側)に延在している。すなわち、従来は、カバー材Cの先端(下辺)は、破線L1に示す電極パッド16aとマイクロストリップラインMとの境界線上に位置した。このため、カバー材Cの製造誤差によっては、カバー材Cの先端が破線L1に到達せず、マイクロストリップラインMがカバー材Cによって完全に被覆されないことがあった。その結果、マイクロストリップラインMがFPC16から剥離して断線する恐れがあった。そこで、本実施例に係る光モジュール10では、カバー材Cの先端が、破線L1より下方の破線L2に示すグランドパターン16b、16cの先端の位置まで、延在する。これにより、カバー材Cは、製造誤差に拘らず、マイクロストリップラインMを完全に被覆することとなる。その結果、マイクロストリップラインMの剥離による断線は回避される。
【0024】
なお、
図4では、カバー材Cの先端(下端)の位置が、グランドパターン16b、16cの先端(上端)の位置に一致するものとしたが、必ずしもこれに限らない。すなわち、カバー材Cの先端が、破線L1よりも下側(グランドパターン16b、16c側)にあればよく、カバー材Cを拡大する幅は、カバー材Cの製造誤差に応じて可変的に決定される。例えば、カバー材Cの製造誤差が±300μmである場合には、拡大幅w1は、+300μmに決定される。
【0025】
以上説明した様に、光モジュール10は、FPC16と配線パターン(例えば、シグナルパターン)とカバー材Cとを有する。上記配線パターンは、所定幅を有する電極パッド16aと、上記所定幅よりも狭い幅を有し電極パッド16aに接続されたマイクロストリップラインMとを、FPC16上に有する。カバー材Cは、電極パッド16aの一部とマイクロストリップラインMとを覆う。従って、カバー材Cの製造誤差に拘らず、マイクロストリップラインMが、カバー材Cから露出することはない。その結果、マイクロストリップラインMの剥離による断線が抑制される。
【0026】
(変形例1)
次に、変形例1について説明する。変形例1に係る光モジュールは、FPC16裏面のパターン形状を除き、上記実施例に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例1では、上記実施例と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0027】
上記実施例に係る光モジュール10では、断線は抑制されるが、電極パッド16aの一部がカバー材Cに覆われるため、特性インピーダンスが、理想値である50Ωからずれてしまうことが懸念される。すなわち、電極パッド16aの一部がカバー材Cに覆われると、覆われた部分はPCB17と半田接続されないため、電極パッド16aであるにも拘らず、半田接続されない部分が存在することとなる。従って、この部分のインピーダンスが、他の部分(電極パッド16aの半田接続部分、マイクロストリップラインM)のインピーダンスと整合しなくなり、その結果、接続部における特性インピーダンスが50Ωからずれてしまうことがある。この様なインピーダンスの不整合は、高周波信号の反射を増大させ、高周波特性を低下させる要因となる。
【0028】
そこで、変形例1に係る光モジュール10では、上記インピーダンスの調整を図る。
図5は、変形例1に係るPCB17の表面とFPC16の表面及び裏面とを示す図である。
図5に示す様に、FPC16の裏面には、グランドパターン16bの先端が電極パッド16aに向かって屈曲する様に、コプレーナ線路(CPW:CoPlanar Waveguide)16dが形成されている。同様に、グランドパターン16cの先端が電極パッド16aに向かって屈曲する様に、コプレーナ線路16eが形成されている。各コプレーナ線路16d、16eは、上記破線L1、L2間の間隔に相当する幅w2を有する。また、左側のコプレーナ線路16dの先端と電極パッド16aとの間には、
図4のギャップg1よりも小さいギャップg2が存在する。同様に、右側のコプレーナ線路16eの先端と電極パッド16aとの間には、
図4のギャップg1よりも狭いギャップg2が存在する。また、カバー材Cは、先端が、コプレーナ線路16d、16eの下端に一致する様に、FPC16裏面に設けられる。
【0029】
上記特性インピーダンスを調整するためのパラメータとしては、例えば、シグナルパターン(電極パッド16a)の幅、シグナルパターンとグランドパターンとの間隔、FPC16の厚さ(例えば、25〜50μm)等がある。従って、光モジュール10の製造者は、シグナルパターンとグランドパターンとの間隔であるギャップg2を適切な値に調整することで、特性インピーダンスを50Ωに近似させることができる。なお、ギャップg2は、例えば、数10〜100μm程度である。
【0030】
なお、コプレーナ線路16d、16eは、例えば銅箔により形成されるが、必ずしも他のパターンと同一材料により形成されることを要しない。また、コプレーナ線路16d、16eの形状についても、矩形に限らず、台形、半円形、ひし形、及びこれらの組合せ等、インピーダンスを適性値に調整可能な範囲内で任意である。更に、電極パッド16aの両側に形成された2つのコプレーナ線路16d、16eは、必ずしも同一形状でなくてもよい。
【0031】
上述した様に、変形例1に係る光モジュール10は、グランドパターン16b、16cとコプレーナ線路16d、16eとを更に有する。グランドパターン16b、16cは、上記配線パターンの両側に形成される。コプレーナ線路16d、16eは、それぞれグランドパターン16b、16cに接続され、電極パッド16aの一部に向かって延在する。これにより、上述したインピーダンスの不整合は抑制される。従って、高周波信号の反射は減少する。その結果、高周波特性が向上する。
【0032】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。変形例2に係る光モジュールは、FPC16表面のパターン形状を除き、上記実施例に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例2では、上記実施例と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0033】
上述した変形例1に係る光モジュール10では、
図5のギャップg2が数10〜100μmと狭い。このため、カバー材Cがパッケージ14側に後退する等の理由により、コプレーナ線路16d、16eが露出した場合に、シグナルパターン(電極パッド16a)とグランドパターン(コプレーナ線路16d、16e)との間に半田が流入する可能性がある。その結果、半田ブリッジによるショートが発生することが懸念される。
【0034】
そこで、変形例2に係る光モジュール10では、半田接続されるFPC16裏面ではなく、半田接続されない表面に形成されたグランドパターンをシグナルパターンに近付ける。
図6は、変形例2に係るPCB17の表面とFPC16の表面及び裏面とを示す図である。
図6に示す様に、FPC16の表面には、グランドパターン16bの先端が電極パッド16a側(中央側)に屈曲する様に、グランドパターン16fが形成されている。同様に、グランドパターン16cの先端が電極パッド16a側に屈曲する様に、グランドパターン16gが形成されている。各グランドパターン16f、16gは、上記破線L1、L2間の間隔に相当する幅w3を有する。また、グランドパターン16fとグランドパターン16gとの間には、裏面のギャップg5よりも広く、かつ、ギャップg4、g6よりも狭いギャップg3が存在する。
【0035】
従って、光モジュール10の製造者は、グランドパターン16f、16g間の間隔であるギャップg3を適切な値に調整することで、シグナルパターンとグランドパターンとの間隔を間接的に調整し、特性インピーダンスを50Ωに近似させることができる。なお、ギャップg3は、例えば520μm程度である。また、ギャップg4は、例えば1mm程度である。
【0036】
なお、グランドパターン16f、16gは、例えば銅箔により形成されるが、必ずしも他のパターンと同一材料により形成されることを要しない。また、グランドパターン16f、16gの形状についても、矩形に限らず、台形、半円形、ひし形、及びこれらの組合せ等、インピーダンスを適性値に調整可能な範囲内で任意である。更に、各グランドパターン16f、16gは、必ずしも同一形状でなくてもよい。
【0037】
図7は、グランドパターン16f、16g間のギャップg3と特性インピーダンスZとの関係を示す図である。
図7では、x軸に、
図6に示したギャップg3(単位はμm)が規定され、y軸に、特性インピーダンスZ(単位はΩ)が規定されている。
図7に示す様に、接続部の特性インピーダンスZは、ギャップg3を狭くする程、換言すれば両側のグランドパターン16f、16gを近付ける程、低下する。
図7から、特性インピーダンスZを、理想値である50Ωとするには、ギャップg3が520μmとなる様に、グランドパターン16f、16g間の間隔を調整すればよいことが判る。
【0038】
上述した様に、変形例2に係る光モジュール10は、グランドパターン16b、16cとグランドパターン16f、16gとを更に有する。グランドパターン16b、16cは、上記配線パターンと異なる面において上記配線パターンに対向する位置の両側に形成される。グランドパターン16f、16gは、グランドパターン16b、16cにそれぞれ接続され、上記配線パターンと異なる面において電極パッド16aの一部に対向する位置に向かって延在する。すなわち、FPC16の表面では、グランドパターン16b、16c、16f、16gが、シグナルパターンとしての電極パッド16aを囲う様に形成されている。変形例2に係る光モジュール10によれば、特性インピーダンスを調整するためのギャップg3は、半田が流入する可能性の低い表面側に形成される。従って、ショートを回避しつつ、特性インピーダンスの調整が可能となる。
【0039】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。変形例3に係る光モジュールは、FPC16表面のパターン形状を除き、変形例2に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例3では、変形例2と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0040】
上述した変形例2に係る光モジュール10では、FPC16表面において、電極パッド16aとグランドパターン16b、16cとがショートすることを防ぐために、グランドパターン16b、16c間のギャップg4を、グランドパターン16f、16g間のギャップg3よりも広くした。ところが、ギャップg4とギャップg3との差が大き過ぎると、境目においてギャップが急峻に変化することとなり、この変化点において、インピーダンスの不整合ひいてはマイクロ波の反射が発生する可能性がある。マイクロ波の反射は、高周波特性を阻害する一因となる。
【0041】
そこで、変形例3に係る光モジュール10では、FPC16表面の電極パッド16aの両側に形成されたグランドパターンの間隔が徐々に変化する。
図8は、変形例3に係るPCB17の表面とFPC16の表面及び裏面とを示す図である。
図8に示す様に、FPC16表面に形成されたグランドパターン16b、16c間のギャップは、ギャップg7から徐々にギャップg8となる様に、破線L2からFPC16端部に近付くに連れて、連続的に変化している。換言すれば、グランドパターン16bの幅は、グランドパターン16bとグランドパターン16fとの接続部分に向かって徐々に広くなる。同様に、グランドパターン16cの幅は、グランドパターン16cとグランドパターン16gとの接続部分に向かって徐々に広くなる。これにより、上記ギャップの変化は緩和され、マイクロ波の反射が抑制される。
【0042】
なお、グランドパターン16b、16c間のギャップは、必ずしも曲線状に変化する必要は無く、変化の仕方は、例えば、テーパ状、階段状等、反射を抑制可能な範囲内で任意である。
【0043】
(変形例4)
次に、変形例4について説明する。変形例4に係る光モジュールは、FPC16のパターン形状を除き、変形例3に係る光モジュール10と同様の構成を有する。従って、変形例4では、上記変形例3と共通する構成要素には、同一の参照符号を用いると共に、その詳細な説明は省略する。
【0044】
上述した変形例3に係る光モジュール10では、破線L2における急峻なギャップ変化は抑制されるものの、破線L1における変化は、依然として存在する。すなわち、FPC16表面では、
図8に示したギャップg7の終わる部分が不連続点となり、FPC16裏面では、電極パッド16aとマイクロストリップラインMとの境界線が不連続点となる。従って、これらの不連続点においてマイクロ波が反射する可能性がある。マイクロ波の反射は、高周波特性を阻害する一因となる。
【0045】
そこで、変形例4に係る光モジュール10では、破線L2に加えて、破線L1における急峻な変化も緩和する。
図9は、変形例4に係るPCB17の表面とFPC16の表面及び裏面とを示す図である。
図9に示す様に、FPC16裏面に形成された電極パッド16aの信号線幅は、破線L3から破線L1(マイクロストリップラインMの開始線)に近付くに連れて、連続的に狭くなる様に変化している。これに合わせて、FPC16表面に形成されたグランドパターン16f、16g間のギャップは、ギャップg11から徐々に小さくなる様に、破線L3から破線L1に近付くに連れて、連続的に変化している。換言すれば、電極パッド16aの一部の幅は、電極パッド16aの一部とマイクロストリップラインMとの接続部分に向かって徐々に狭くなる。これにより、上記ギャップの変化は緩和され、マイクロ波の反射が抑制される。
【0046】
なお、FPC16裏面の信号線幅は、破線L2から破線L1にかけて、連続的に変化するものとしてもよい。同様に、FPC16表面のグランドパターン16f、16g間のギャップは、破線L2から破線L1にかけて、連続的に変化するものとしてもよい。また、変化の仕方に関しても、必ずしもテーパ状に変化する必要は無く、例えば、曲線状、階段状等、反射を抑制可能な範囲内で任意である。
【0047】
(適用例)
上述した光モジュール10を用いた光変調器は、高い信頼性と実装性とを両立し得ることから、例えば、送信機への適用が有効である。
図10は、上記実施例及び変形例に係る光モジュール10の実装された送信機100の構成を示す図である。
図10に示す様に、送信機100は、データ生成回路101と光変調器102と光ファイバ103とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、各種信号やデータの入出力が可能な様に接続されている。データ生成回路101により生成されたデータは、光変調器102により、電気信号から光信号に変換された後、光ファイバ103を伝送媒体として、装置外部に送信される。なお、光モジュール10は、送信機に限らず受信機(レシーバ)へ適用してもよい。
【0048】
なお、上記実施例及び変形例では、マイクロストリップラインMは、FPC16の裏面に形成されるものとしたが、表面に形成されるものとしてもよい。また、上記実施例及び変形例が適用される回路基板についても、FPCに限らず、PCB等であってもよい。更に、電極パッド16aの先端(パッケージ14側)に形成されるシグナルパターンは、マイクロストリップラインに限らず、例えばコプレーナ線路であってもよい。
【0049】
また、上記説明では、個々の実施例及び変形例毎に個別の構成、及び動作を説明した。しかしながら、上記実施例及び各変形例に係る光モジュール10は、他の変形例に特有の構成要素を併せて有するものとしてもよい。また、実施例、変形例毎の組合せについても、2つに限らず、3つ以上の組合せ等、任意の形態を採ることが可能である。例えば、上記実施例に係る光モジュール10が、変形例4に係るグランドパターン16f、16gを、FPC16の表面上に有するものとしてもよい。あるいは、変形例1に係る光モジュール10が、変形例3に係るグランドパターン16f、16gを、FPC16の表面上に有するものとしてもよい。更に、1つの光モジュール10が、両立可能な範囲内で、上記実施例及び変形例1〜4において説明した全ての構成要素を併有するものとしてもよい。