特開2015-172882(P2015-172882A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東日本メディコム株式会社の特許一覧

特開2015-172882薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム
<>
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000003
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000004
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000005
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000006
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000007
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000008
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000009
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000010
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000011
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000012
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000013
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000014
  • 特開2015172882-薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-172882(P2015-172882A)
(43)【公開日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】薬剤収集支援端末、薬剤収集支援装置、薬剤収集支援システム、薬剤収集支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/24 20120101AFI20150904BHJP
【FI】
   G06Q50/24 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-48843(P2014-48843)
(22)【出願日】2014年3月12日
(71)【出願人】
【識別番号】596079138
【氏名又は名称】東日本メディコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100179486
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】野本 禎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】交付する薬剤の把握を容易にすること。
【解決手段】薬剤の収集を支援する端末であって、装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、該端末の位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、薬剤収集支援端末。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の収集を支援する端末であって、
装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、
該端末の位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、
前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、
薬剤収集支援端末。
【請求項2】
前記端末は、眼鏡型の形状であって、該端末を装着した装用者が前記表示部を透過して景色を視認することが可能である、
請求項1に記載の薬剤収集支援端末。
【請求項3】
前記位置情報は、前記端末の位置座標及び回転座標を含む情報であって、
前記表示位置に関するデータは、前記位置座標及び前記回転座標に基づいて生成されたデータである、
請求項1又は2に記載の薬剤収集支援端末。
【請求項4】
前記位置情報は、前記端末が有するカメラによって撮影された静止画を含む情報であって、
前記表示位置に関するデータは、前記静止画に基づいて生成されたデータである、
請求項1又は2に記載の薬剤収集支援端末。
【請求項5】
前記薬剤情報は、
処方記載の薬剤の関連薬剤の情報を含む情報である、
請求項1乃至4の何れかに記載の薬剤収集支援端末。
【請求項6】
前記薬剤情報は、
複数の薬剤の情報を含み、
前記薬剤の収集する順序の情報を含む情報である、
請求項1乃至4に記載の薬剤収集支援端末。
【請求項7】
薬剤の収集を支援する装置であって、
薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成する薬剤情報生成手段と、
薬剤収集支援端末に薬剤情報を送信する薬剤情報送信手段と、
を備える、薬剤収集支援装置。
【請求項8】
薬剤の収集を支援するシステムであって、装置と端末とを含み、
前記装置は、
薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成する薬剤情報生成手段と、
前記端末に薬剤情報を送信する薬剤情報送信手段と、
を備え、
前記端末は、
装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、
該端末の位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、
前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、
薬剤収集支援システム。
【請求項9】
薬剤の収集を支援する方法であって、
コンピュータに、表示データを生成するステップを実行させ、
前記コンピュータは、
装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、
コンピュータの位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、
を有し、
前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、
薬剤収集支援方法。
【請求項10】
薬剤の収集を支援する方法であって、コンピュータに、
薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成するステップと、
薬剤収集支援端末に薬剤情報を送信するステップと、
を実行させる、薬剤収集支援方法。
【請求項11】
薬剤の収集を支援するプログラムであって、
コンピュータに、表示データを生成するステップを実行させ、
前記コンピュータは、
装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、
コンピュータの位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、
を有し、
前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、
プログラム。
【請求項12】
薬剤の収集を支援するプログラムであって、コンピュータに、
薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成するステップと、
薬剤収集支援端末に薬剤情報を送信するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤収集を支援する端末、装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発展は、薬剤を調剤し提供する薬局等の医療機関にも広く浸透し、利便性を高めている。例えば、従来から医療機関においては、レセプト(診療報酬明細書)の作成を支援するレセコンといったコンピュータが知られており、高度な専門知識や複雑な計算を必要とすることなくレセプトの作成を可能にしている。また、近年では、薬歴等の患者の情報も電子的に管理するシステムが普及している。
【0003】
なお、従来ではレセコンと薬歴を管理するシステムとがハード的に独立したコンピュータであったため、例えば特許文献1には、レセコン機能と薬歴管理機能とを備えた薬局用コンピュータにおいて、両機能を有効に連携した薬局用コンピュータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−118535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、薬剤の提供業務は多数の作業により構成されているが、その作業の一つとして、交付する薬剤を設計したり、収集したりする作業がある。このような作業において、担当者は、薬局内にどのような薬剤がどのくらい、どこに在庫しているかを把握しておかなければ迅速且つ正確な作業を行えないが、担当者がそのような交付する薬剤の情報を把握しておくことは困難であった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、交付する薬剤の情報を、容易に把握させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の薬剤収集支援端末は、装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、該端末の位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、ことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の薬剤収集支援装置は、薬剤の収集を支援する装置であって、薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成する薬剤情報生成手段と、薬剤収集支援端末に薬剤情報を送信する薬剤情報送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の薬剤収集支援システムは、薬剤の収集を支援するシステムであって、装置と端末とを含み、前記装置は、薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成する薬剤情報生成手段と、前記端末に薬剤情報を送信する薬剤情報送信手段と、を備え、前記端末は、装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、該端末の位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、ことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の薬剤収集支援方法は、薬剤の収集を支援する方法であって、コンピュータに、表示データを生成するステップを実行させ、前記コンピュータは、装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、コンピュータの位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、ことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の薬剤収集支援方法は、薬剤の収集を支援する方法であって、コンピュータに、薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成するステップと、薬剤収集支援端末に薬剤情報を送信するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一態様のプログラムは、薬剤の収集を支援するプログラムであって、コンピュータに、表示データを生成するステップを実行させ、前記コンピュータは、装用者が視認する複数薬剤の在庫場所を含む景色を背景に、表示データに基づいて薬剤毎の薬剤情報を重畳して表示することが可能な表示部と、コンピュータの位置を特定する位置情報を取得する位置情報取得部と、を有し、前記表示データは、前記表示部に薬剤毎の薬剤情報を表示する場合の薬剤情報毎の表示位置に関するデータを含み、該データは前記位置情報取得部が取得した位置情報と前記複数薬剤の在庫場所とに基づき生成されたデータである、ことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一態様のプログラムは、薬剤の収集を支援するプログラムであって、コンピュータに、薬剤の在庫場所情報を含む薬剤情報を生成するステップと、薬剤収集支援端末に薬剤情報を送信するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、交付する薬剤の把握を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】薬剤提供業務の概要を示す図である。
図2】薬剤収集支援システムの概要を示す図である。
図3】薬剤収集支援端末の構造を示す図である。
図4】薬剤収集支援システムの機能ブロック図を示す図である。
図5】記憶部の処方箋データベースを示す図である。
図6】記憶部の薬剤データベースを示す図である。
図7】記憶部の在庫データベースを示す図である。
図8】薬剤収集支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図9】薬剤収集支援システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図10】薬剤収集支援システムが生成する表示画面のデータの一例を示す図である。
図11】薬剤収集支援システムが生成する表示画面のデータの一例を示す図である。
図12】薬剤収集支援端末の表示の一例を示す図である。
図13】薬剤収集支援端末の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[薬剤提供業務の説明]
本発明の薬剤収集支援システム100の薬剤収集機能が適用される作業を含む薬局における薬剤提供業務について図1を参照して説明する。
図1は、薬局における薬剤提供業務を示す概念図である。図1(1)は、各作業の流れを示し、図1(2)は、各作業の内容を示している。
図1(1)を参照して、薬剤提供業務は、窓口において患者から処方箋を受け付けた後に、処方箋に従い薬剤を調剤し、調剤が適切であると最終監査において認められた場合に、窓口において患者に当該薬剤を提供するといった一連の流れにより構成される。このような薬剤提供業務は、一例として図1(2)に示す各作業、即ち「受付」「薬歴確認」「処方監査」「患者情報収集」「調剤設計」「服薬に関する説明」「調剤決定」「調剤」「最終監査」「薬剤交付会計」により構成することができる。これら各作業は、互いに独立して進行できるものもある。
【0018】
本実施形態において、薬剤収集支援システム100の薬剤収集支援機能は、「調剤設計」及び「調剤」の作業の際に主に適用される。「調剤設計」は、処方監査、患者の薬歴から調剤内容の必要性を判断して交付薬剤を設計する作業であり、例えば、処方箋記載の薬剤を、同一成分であって安価な薬剤への変更することや、患者の年齢や病態等の状態に合わせて飲み易く加工すること等を判断して、適切な交付薬剤を設計する作業である。「調剤」は、「調剤設計」した調剤内容を「調剤決定」した薬剤を収集・加工する作業であり、例えば、「調剤決定」した薬剤を薬棚等から収集して、「調剤決定」したように薬剤を加工する等の作業である。
【0019】
「調剤設計」の作業において、薬剤収集支援システム100は、後述するように、処方箋に記載された薬剤に代わり得る薬剤である関連薬剤を薬剤収集支援端末20に表示する。「調剤」の作業においては、薬剤収集支援システム100は、後述するように収集する薬剤の位置を特定する表示を、薬剤の収集順序とともに表示する。
【0020】
[薬剤収集支援システム100の構成]
薬剤収集支援システム100のシステム構成を、図2を参照して説明する。
図2は、薬剤収集支援システム100のシステム構成を示す模式図である。本発明の薬剤収集支援システム100は、薬剤収集支援装置10と、薬剤収集支援端末20とを含んで構成される。薬剤収集支援装置10は、薬剤収集支援端末20に薬剤に関する情報を表示するための薬剤情報を生成する。薬剤収集支援端末20は、薬剤収集支援装置10が生成した薬剤情報に基づいて、表示データを表示する。薬剤収集支援システム100において、薬剤収集支援装置10と薬剤収集支援端末20とは、有線又は無線の通信回線を介して接続され、薬剤情報を送受信するようになっている。
【0021】
このような薬剤収集支援システム100は、薬剤収集支援装置10が、薬局の受付担当者が入力部から入力することにより、処方箋の情報を受け付ける。薬剤収集支援装置10は、受け付けた処方箋の情報に含まれる薬剤及び処方箋の情報に含まれる薬剤に関連する関連薬剤の薬剤情報を特定する。薬剤収集支援装置10は、特定した薬剤情報を薬剤収集支援端末20に送信する。薬剤情報を受信した薬剤収集支援端末20は、表示部24に薬剤情報を表示し、薬剤収集支援端末20を身につけた担当者が、薬棚30等に視線を向けると、薬棚30の薬剤がある位置周辺に薬剤情報が表示されるようになっている。表示される薬剤情報は、「調剤設計」と「調剤」との作業において異なって表示されてよく、担当者は、作業の際に表示された薬剤情報を参照しつつ、交付する薬剤を設計したり、薬剤を収集したりする。
【0022】
薬剤収集支援システム100において、薬剤収集支援装置10は、薬剤の関する情報を表示するための薬剤情報を生成する薬剤情報生成処理を実行するようになっている。また、薬剤収集支援システム100において、薬剤収集支援端末20は、薬剤情報を表示する薬剤情報表示処理を実行するようになっている。そして、薬剤収集支援システム100は、薬剤収集支援装置10が薬剤情報生成処理を実行し、薬剤収集支援端末20が薬剤情報表示処理を実行することにより、薬局の担当者による薬剤収集を支援する薬剤収集支援機能を有する。
【0023】
ここで、薬剤情報とは、「調剤設計」や「調剤」の作業を行う際に薬局の担当者が参考となる薬剤に関する情報を景色と重畳して表示するための情報であって、「調剤設計」の作業においては、処方箋記載の薬剤に代えて交付しうる薬剤を示す情報であり、「調剤」の作業においては、交付する薬剤をどのように収集すべきかを示す情報をいう。薬剤情報には、例えば、添付文書情報、在庫場所情報、関連性情報、順序情報等が含まれる。添付文書情報は、薬剤の添付文書に記載された効能効果等の情報である。在庫場所情報は、薬剤が薬局内のどの位置に格納されているかを示す情報であって、例えば、薬局内の薬棚の格納場所を特定する情報(格納場所を示す識別番号や格納場所の座標(x、y、z))であってよい。関連性情報は、処方箋記載の薬剤に代えて交付しうる薬剤が処方箋情報に含まれる薬剤とどのような関係性を有するかを示す情報であって、例えば、処方箋情報に含まれる薬剤のジェネリック薬品である等の情報である。順序情報は、交付する薬剤が複数ある場合に、複数の薬剤の収集順序を示す情報であって、どのような順序で収集すれば短時間で交付することができるかを示す情報である。
【0024】
[薬剤収集支援装置10の構成]
本実施形態において、薬剤収集支援装置10は、各種演算処理を行う制御部11や各種情報を記憶する記憶部12に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部13及びディスプレイによる表示部(図示せず)、無線通信によって情報を送受信するための通信部(図示せず)を備えた汎用パーソナルコンピュータである。
このような薬剤収集支援装置10は、各種プログラムがインストールされており、制御部11がこれらプログラムに従い動作することで、薬剤情報生成処理を実行する。
なお、本実施形態において、薬剤収集支援装置10は、薬剤情報生成機能のほか、レセプトを作成するためや薬歴を管理するために、必要な医療情報・健康情報の入力出力・管理・演算を目的とする、レセプト作成機能・薬歴管理機能を有してもよい。薬歴管理機能は、薬剤提供業務の各作業を補助するものであり、例えば、調剤設計した内容を受け付けて記憶する処理を含むものである。
【0025】
[薬剤収集支援端末20の構成]
図3を参照して、薬剤収集支援端末20の構成を説明する。
図3(a)は、薬剤収集支援端末20の構成を示す模式図である。薬剤収集支援端末20は、眼鏡21と、小型コンピュータ22と、カメラ23と、表示部24とを備えて構成されている。
眼鏡21は、フロントフレーム21aと、テンプル21bと、レンズLとから構成されている。小型コンピュータ22は、眼鏡21のフロントフレーム21aからテンプル21bの中央部まで接するように設けられており、フロントフレーム21aを突出して設けられている。カメラ23は、小型コンピュータ22の端部に設けられており、装用者の視界方向を撮影可能に構成されている。表示部24は、小型コンピュータ22がフロントフレーム21aより突出した部分に接して設けられている。表示部24は、レンズLと重畳するように、小型コンピュータ22から眼鏡21の中央部に向けて配置されている。表示部24は、透明な表示領域に薬剤情報を画像として表示可能になっており、画像が表示されている表示領域以外には、装用者が視界を遮られることがないようになっている。薬剤収集支援端末20の小型コンピュータ22が表示部24に情報を表示すると、薬剤収集支援端末20を身につけた装用者は、表示部24を透過して見える景色に、表示部24に表示する情報がさも重なって視えるようになっている。
【0026】
薬剤収集支援端末20の小型コンピュータ22は、各種演算処理を行う制御部25や各種情報を記憶する記憶部(図示せず)を有している他、上述した静止画又は動画を取得するカメラ23と、音声を受け付けるマイク(図示せず)と、無線通信によって情報を送受信するための通信部(図示せず)とを備えている。また、薬剤収集支援端末20の小型コンピュータ22には、各種のセンサ26を備えており、センサ26から薬剤収集支援端末20の位置情報を取得可能になっている。
このような薬剤収集支援端末20は、各種プログラムが記憶部にインストールされており、制御部25がこれらプログラムに従い動作することで、薬剤情報表示処理を実行する。
【0027】
ここで、位置情報とは、薬剤収集支援端末20の位置・方向・傾き等の薬剤との位置関係を把握するための情報であって、本実施形態においてはセンサ26から取得する位置情報は、薬剤収集支援端末20の位置座標(X、Y、Z)と回転座標(θx、θy、θz)とを含む情報である。
本実施形態において、センサ26は、位置情報を取得するために、前後・左右・上下を検出することができる加速度センサ、東西南北を検出することができる地磁気センサ及び位置(緯度・経度)を取得することができるGPSを含んで構成されている。これにより、センサ26は、位置座標(X、Y、Z)と回転座標(θx、θy、θz)とを取得可能になっている。
【0028】
なお、本実施形態において、センサ26は、位置情報を取得するために機能するが、位置情報を取得することが可能なデバイスであればセンサ26に限られず、例えば、第2実施形態において後述するように、取得した画像に基づいて位置情報を特定するカメラ23であってもよい。
本明細書においては、カメラ23やセンサ26を含む位置情報を取得するためのデバイスを位置情報取得部と表現する場合がある。
【0029】
[薬剤収集支援システム100の機能的構成]
続いて、薬剤収集支援機能を発揮するための薬剤収集支援システム100の機能的構成を、図4を参照して説明する。
図4は、薬剤収集支援システム100の機能的構成を示す模式図である。薬剤収集支援システム100の薬剤収集支援装置10は、薬剤情報生成処理を実行するため、薬剤収集支援装置10の制御部11は、処方箋受付部111と、関連薬剤特定部112と、在庫位置読出部113と、収集順序決定部114と、薬剤情報生成部115と、薬剤情報送信部116とが機能する。また、薬剤収集支援装置10の記憶部12には、処方箋データベース121と、薬剤データベース122と、在庫データベース123とが設けられる。また、薬剤収集支援システム100の薬剤収集支援端末20は、薬剤情報表示処理を実行するため、薬剤収集支援端末20の制御部25は、薬剤情報受信部251と、薬剤位置特定部252と、薬剤情報表示生成部253と、薬剤情報表示制御部254とが機能する。
【0030】
ここで、図5を参照して処方箋データベース121について説明する。
図5は、処方箋データベース121の記憶内容を例示する模式図である。処方箋データベース121は、受け付けた処方箋の情報を記憶するデータベースであって、後述する処方箋受付部111が処方箋の情報を記憶したり、後述する収集順序決定部114が収集順序を決定する際に参照されたりする。
処方箋データベース121は、処方箋を特定する処方箋IDと、患者を特定する患者識別情報と、処方箋の受付けた日時を示す受付日と、処方箋に記載されていた薬剤を示す処方薬剤と、交付された薬剤に施した加工の内容を示す加工と、実際に交付された薬剤を示す交付薬剤と、調剤決定してから薬剤を交付するまでに要した時間を示す所要時間とを記憶する。
【0031】
図6を参照して、薬剤データベース122について説明する。
図6は、薬剤データベース122の記憶するデータを例示する模式図である。薬剤データベース122は、薬剤に関する情報を記憶するデータベースであって、医薬品の提供企業が発行している添付文書を由来とする情報を主として、構成されている。薬剤データベース122は、後述の関連薬剤特定部112が薬剤情報を表示すべき薬剤を決定する場合や後述の薬剤情報送信部116が送信する薬剤情報を生成する場合等に参照される。
薬剤データベース122は、薬剤を特定する薬剤IDと、薬剤の販売名を示す販売名と、薬剤の成分に関する一般的な名称を示す一般名と、薬剤のどのような剤型であるかを示す剤型と、薬剤がどのような薬効を有するかを示す薬効分類名と、薬剤がどのような疾患に効果があるかを示す効能・効果とを含んで記憶する。
【0032】
図7を参照して、在庫データベース123について説明する。
図7は、在庫データベース123の記憶するデータを例示する模式図である。在庫データベース123は、薬局が在庫する薬剤に関する情報を記憶するデータベースであって、薬剤がどのくらい、どこに在庫されているかを記憶している。
在庫データベース123は、薬剤を特定する薬剤IDと、薬剤の販売名を示す販売名と、薬局がその薬剤をどのくらい在庫しているかを示す在庫数と、薬局がその薬剤をどこに在庫しているかを示す在庫場所情報とを含んで記憶する。在庫場所情報は、識別番号及び在庫座標を含むように構成されている。在庫場所に含まれる識別番号は、在庫されている格納箇所に割り当てられている識別番号であって、例えば、薬棚の引き出しごとに割り当てられている。在庫場所情報に含まれる在庫座標は、薬局内の位置を横・縦・高さで表現した情報である。また、在庫データベース123は、特に図示しないが、薬局がその薬剤を所定の期間にどのくらい交付しているかを示す消費量と、薬局がその薬剤をいくらで納入しているかを示す納入価とを含んで記憶してもよい。
【0033】
図4に戻り、薬剤収集支援装置10の処方箋受付部111は、薬局の受付担当者が処方箋に記載された内容を入力部13から入力することにより処方箋の情報として受け付ける。処方箋受付部111は、受け付けた処方箋の情報を処方箋データベース121に記憶する。
具体的には、処方箋受付部111は、窓口を担当する、薬局の受付担当者が患者から処方箋を受け取り、処方箋の内容を入力部13から入力して、処方箋の情報を受け付ける。処方箋受付部111は、受け付けた処方箋の情報を、受付日時及び患者を特定する情報と関連付けて処方箋データベース121に記憶する。
なお、処方箋の情報の受付は、各種態様があってよく、例えば、処方箋の画像をスキャナーから取得して、取得した画像に基づいて処方箋の情報を受け付けてもよいし、有線又は無線の通信回線を介して処方箋の情報を受信することにより受け付けてもよい。
【0034】
薬剤収集支援装置10の関連薬剤特定部112は、処方箋受付部111が受け付けた処方箋の情報に含まれる薬剤の関連薬剤を特定する。
ここで、関連薬剤とは、処方箋記載の薬剤及び処方箋記載の薬剤に代えて交付しうる薬剤をいう。関連薬剤は、例えば、薬剤師が処方箋記載の薬剤と同一成分の薬剤を患者の確認を経た後に処方箋記載の薬剤に代えて交付するジェネリック医薬品を含む薬剤である。また、関連薬剤は、例えば、処方箋記載の薬剤と剤型の異なる薬剤を患者の要望に伴い、薬剤師が医師に確認を経た後に処方箋記載の薬剤に変えて交付する剤型の異なる薬剤を含む薬剤である。
【0035】
具体的に、関連薬剤特定部112は、処方箋データベース121又は薬剤データベース122を参照して、処方箋の情報に含まれる薬剤と関連する関連薬剤を特定する。
即ち、関連薬剤特定部112は、処方箋データベース121において記憶された、処方薬剤と交付薬剤とを参照して、処方薬剤とは異なる交付薬剤が交付されている場合に、当該処方薬剤と交付薬剤とを関連薬剤として特定する。例えば、図5を参照して、関連薬剤特定部112は、処方箋IDが「001001」の行において、処方薬剤「D(錠剤)」と交付薬剤「D(口腔崩壊錠)」とを関連薬剤として特定する。
【0036】
また、関連薬剤特定部112は、薬剤データベース122において、一般名称、薬効分類名又は効能効果が同一の薬剤を関連薬剤として特定する。例えば、図6を参照して、関連薬剤特定部112は、一般名「a」である、販売名「A」と「B」と「C」とを関連薬剤として特定する。また、関連薬剤特定部112は、一般名「d」である、販売名「D」の剤型「錠剤」と販売名「D」の剤型「口腔崩壊錠」とを関連薬剤として特定する。また、関連薬剤特定部112は、一般名は異なるが薬効分類名が「食後過血糖改善剤」である、販売名「D」と販売名「E」とを関連薬剤として特定する。また、関連薬剤特定部112は、一般名及び薬効分類名は異なるが効能・効果が「糖尿病」である、販売名「D」と販売名「F」とを関連薬剤として特定する。
【0037】
なお、関連薬剤特定部112は、関連薬剤として特定する際に、関連性の程度を示す関連度を算出してもよい。
関連薬剤特定部112が算出する関連度は、処方箋データベース121において関連薬剤として特定された数に基づいて算出されてもよい。また、関連薬剤特定部112が算出する関連度は、薬剤データベース122において、関連薬剤として特定された内容(例えば、一般薬は関連度 高、薬効分類名は関連度 中、効能・効果は関連度 低)に基づいて算出されてもよい。
【0038】
ここで、関連薬剤特定部112が、関連薬剤を特定する必要性を説明する。
薬局では、薬剤師が、医師が発行した処方箋に基づいて薬剤を交付する。但し、交付する薬剤は、必ずしも処方箋に記載された薬剤そのものを交付するとは限らない。
即ち、薬剤師が、処方箋をチェックしたり患者からヒアリングしたりした結果、当該患者に処方箋に記載された薬剤を交付する事が好ましくないと判断した場合には、薬剤師が医師に確認した上で処方箋に記載の薬剤を変更して交付することがある。また、処方箋に記載の薬剤に同一成分の安価な薬剤がある場合に、薬剤師が患者に確認した上で、処方箋に記載の薬剤を同一成分の安価な薬剤に変更して交付することがある。
このように、薬剤師が処方箋に記載の薬剤を変更して交付することがあるが、薬局に変更する薬剤がない場合には、即交付する事ができないときがある。また、変更する薬剤の候補が複数ある場合には、在庫数が多かったり、納入価が安かったりする薬剤を交付した方が薬局経営の貢献するときがある。
そこで、関連薬剤特定部112は、薬剤師が在庫する薬剤を容易に把握できるように、関連薬剤を特定する。
【0039】
図4に戻り、在庫位置読出部113は、収集する可能性のある薬剤に関する在庫場所情報を抽出する。具体的には、在庫位置読出部113は、処方箋受付部111が受け付けた処方箋の情報に含まれる薬剤及び関連薬剤特定部112が特定した関連薬剤について、在庫データベース123を参照して、それぞれの薬剤が在庫されている在庫場所情報を抽出する。
【0040】
薬剤収集支援装置10の収集順序決定部114は、調剤決定の情報を受け付けて、調剤決定の情報に基づいて交付するまでに必要な時間を推定して、薬剤を収集する順序を決定し、決定した順序に基づいて順序情報を生成する。
具体的に、収集順序決定部114は、受け付けた調剤決定の情報に加工を行う薬剤が含まれる場合に、加工の内容に基づいて必要な時間を推定して、薬剤を収集する順序を決定し、決定した順序に基づいて順序情報を生成する。
【0041】
例えば、収集順序決定部114は、受け付けた調剤決定の情報に、粉末上の薬剤を一回分の分量毎に包装する分包という加工をする薬剤がある場合に、図5で示す処方箋データベース121を参照して、必要な時間を推定する。処方箋データベースの参照は、過去の同じ加工(分包)をした処方箋ID「001002」の薬剤と、当該加工をした薬剤と同じ薬剤であって加工をしなかった処方箋ID「001003」の薬剤とを参照する。収集順序決定部114は、参照した所要時間の差分である2分をもって必要な時間としてもよい。
【0042】
なお、収集順序決定部114が、必要な時間を推定するためには、これに限られず、例えば、加工内容毎に予め所要時間を定めていてもよい。
【0043】
ここで、収集順序決定部114が、薬剤の収集順序を決定する必要性を説明する。
薬局の担当者が、薬剤を収集した後に、収集した薬剤を加工する場合がある。薬剤の加工は、例えば、錠剤を割ったり、粉砕したり、1回分の複数の薬剤を一まとめに包装する一包化を行ったりすることがある。このような薬剤の加工は、担当者が自ら行う他、自動的に加工を行う装置を利用することがある。即ち、自動的に加工を行う装置を利用する等により薬剤の加工を収集する担当者自らが行わないときがある。
このように薬剤の加工を収集する担当者自らが行わないときは、全ての薬剤を収集した後に薬剤の加工を行うよりも、加工を行う薬剤を収集して加工にかけつつ他の薬剤を収集した方が、短い時間で薬剤を交付する事ができる。
そこで、収集順序決定部114は、薬剤の交付までの短縮を行えるように、収集順序を決定する。
【0044】
薬剤収集支援装置10の薬剤情報生成部115は、薬剤収集支援端末20に送信するために、薬剤情報を生成する。
具体的には、「調剤設計」の作業において、薬剤情報生成部115は、処方箋受付部111が受け付けた処方箋情報に含まれる薬剤と関連薬剤特定部112が特定した関連薬剤についての薬剤情報を生成する。生成する薬剤情報は、添付文書情報、在庫場所情報及び関連性情報等を含む「調剤設計」の作業に必要な薬剤情報である。
また、「調剤」の作業において、薬剤情報生成部115は、「調剤設計」の際に生成した薬剤情報とは異なる薬剤を交付するように「調剤決定」された場合に、「調剤決定」された薬剤の薬剤情報に更新する。そして、薬剤情報生成部115は、調剤決定された薬剤についての薬剤情報を生成する。生成する薬剤情報は、添付文書情報、在庫場所情報及び順序情報を含む「調剤」の作業に必要な薬剤情報である。
【0045】
なお、「調剤設計」の作業において、関連薬剤の関連度が低い場合には、関連薬剤の薬剤情報を含めなくてもよい。例えば、薬剤情報生成部115は、D薬の関連薬剤である、E薬とF薬とを関連度が低いとして、生成する薬剤情報に含めないようにしてもよい。
【0046】
薬剤収集支援装置10の薬剤情報送信部116は、生成した薬剤情報を薬剤収集支援端末20に送信する。
【0047】
薬剤収集支援端末20の薬剤情報受信部251は、薬剤収集支援装置10から薬剤情報を受信する。
【0048】
薬剤収集支援端末20の薬剤位置特定部252は、位置情報取得部から取得した位置情報と在庫場所情報とに基づいて、表示位置を特定する。
ここで、表示位置とは、薬剤収集支援端末20から薬剤の在庫場所との位置関係に基づいて、薬剤毎の薬剤情報を表示する表示部24の表示領域を特定する情報である。
【0049】
具体的には、薬剤位置特定部252は、センサ26から薬剤収集支援端末20の位置情報を取得する。薬剤位置特定部252は、位置情報に含まれる位置座標及び在庫場所情報に含まれる在庫座標に基づいて、薬剤収集支援端末20から薬剤の在庫場所までのベクトル(x、y、z)を算出する。薬剤位置特定部252は、算出したベクトル及び位置情報に含まれる回転座標に基づいて、薬剤毎の表示位置を特定する。
【0050】
薬剤収集支援端末20の薬剤情報表示生成部253は、薬剤位置特定部252が特定した表示位置に基づいて表示データを生成する。
ここで、表示データは、表示位置及び薬剤情報を含むデータであって、薬剤毎の薬剤情報を薬剤の在庫場所の景色に重畳して表示されるように、薬剤情報を配したデータである。
【0051】
薬剤収集支援端末20の薬剤情報表示制御部254は、生成した表示データに基づいて、表示部24に薬剤情報を表示する。
【0052】
[薬剤収集支援システム100の処理]
続いて、図8及び図9を参照して、薬剤収集支援システム100の薬剤収集支援処理について説明する。
図8は、薬剤収集支援システム100の薬剤収集支援装置10の薬剤情報生成処理の流れを示す模式図である。薬剤収集支援装置10の処理は、薬局の受付担当者が処理を開始させる所定の操作を受け付けたことを契機に開始される。薬剤収集支援装置10は、処理が開始されると、薬剤収集支援装置10の処方箋受付部111が、薬局の受付担当者が入力部13から処方箋の情報を入力することにより、処方箋の情報を受け付ける(ステップS1)。処方箋受付部111は、受け付けた処方箋の情報を、処方箋データベース121に記憶する(ステップS2)。
【0053】
続いて、薬剤収集支援装置10の関連薬剤特定部112は、処方箋データベース121及び薬剤データベース122を参照して関連薬剤を特定する(ステップS3)。
【0054】
続いて、薬剤収集支援装置10の在庫位置読出部113は、処方箋受付部111が受け付けた処方箋の情報に含まれる薬剤及び関連薬剤特定部112が特定した関連薬剤について、在庫データベース123を参照して、在庫場所情報を抽出する(ステップS4)。
【0055】
続いて、薬剤収集支援装置10の薬剤情報生成部115は、処方箋受付部111が受け付けた処方箋の情報に含まれる薬剤及び関連薬剤特定部112が特定した関連薬剤について、薬剤毎の添付文書情報、在庫場所情報及び関連性情報等を含む「調剤設計」の作業に必要な薬剤情報を生成する(ステップS5)。薬剤収集支援装置10の薬剤情報送信部116は、薬剤情報生成部115が生成した、「調剤設計」に必要な薬剤情報を薬剤収集支援端末20に送信する(ステップS6)。
【0056】
続いて、薬剤収集支援装置10の薬剤情報生成部115は、薬局の担当者から調剤決定の情報を受け付ける(ステップS7)。薬剤情報生成部115は、「調剤決定」された薬剤が「調剤設計」において作成した薬剤の薬剤情報と異なるかを確認する(ステップS8)。確認の結果、異ならない場合には、薬剤情報生成部115は、処理をステップS10に進める。異なる場合には、「調剤決定」された薬剤の薬剤情報に更新する(ステップS9)。
【0057】
収集順序決定部114は、調剤決定した薬剤について、薬剤の調剤内容に基づいて交付するまでに必要な時間を推定して、薬剤を収集する順序を決定する(ステップS10)。
【0058】
続いて、薬剤収集支援装置10の薬剤情報生成部115は、薬剤毎の添付文書情報、在庫場所情報、順序情報等を含む「調剤」の作業に必要な薬剤情報を生成する(ステップS11)。薬剤収集支援装置10の薬剤情報送信部116は、薬剤情報生成部115が生成した、「調剤」の作業に必要な薬剤情報を薬剤収集支援端末20に送信する(ステップS12)。
【0059】
図9は、薬剤収集支援システム100の薬剤収集支援端末20の薬剤情報表示処理の流れを示す模式図である。薬剤収集支援端末20の処理は、薬剤収集支援端末20の装用者が処理を開始させる所定の操作を受け付けたことを契機に開始される。なお、薬剤収集支援端末20は、終了操作を受け付けたことにより、割込を行って処理を終了させる。
【0060】
続いて、薬剤収集支援端末20の薬剤情報受信部251は、薬剤収集支援装置10から受信した薬剤情報があるかを確認する(ステップS21)。薬剤情報受信部251は、薬剤収集支援端末20に薬剤情報がある場合には、ステップS22へと処理を進める。薬剤情報受信部251は、薬剤収集支援端末20に薬剤情報がない場合には、ステップS21へ進め、薬剤情報の受信を待ち受ける。
【0061】
続いて、薬剤収集支援端末20の薬剤位置特定部252は、薬剤収集支援端末20のセンサ26から薬剤収集支援端末20の位置情報を取得する(ステップS22)。
【0062】
続いて、薬剤収集支援端末20の薬剤情報表示生成部253は、受け付けた薬剤情報に含まれる在庫場所情報の在庫座標及び位置情報に基づいて、表示部24において薬剤情報が薬剤と重畳して表示されるように、表示データを生成する(ステップS23)。
【0063】
ここで、薬剤情報表示生成部253が生成する表示データを、図10及び図11の例示を用いて説明する。
図10は、薬剤収集支援装置10が、ステップS6において送信した薬剤情報に基づく表示データを示す概念図である。ステップS6において送信した薬剤情報は、「調剤設計」の作業において表示するための薬剤情報であって、図10は、「調剤設計」の作業において、表示するための表示データを示す。
例示する、表示データは、A薬とD薬(錠剤)とを処方箋含む処方箋の情報を受け付けた際の概念図である。この薬剤情報表示画面のデータは、関連薬剤特定部112がA薬の関連薬をB薬、C薬として特定し、D薬(錠剤)の関連薬をD薬(口腔崩壊錠)として特定した薬剤情報に基づいている。
V1aは、A薬の在庫場所を示すための表示であり、V1bは、A薬の説明や在庫量を示すための表示である。また、V2a及びV3aは、A薬の関連薬剤であるB薬及びC薬の在庫場所を示すための表示であり、V2b及びV3bは、それぞれの薬剤の説明や在庫量が示されている。また、V4aは、D薬(錠剤)の在庫場所を示すための表示であり、V4bは、D薬の説明や在庫量を示すための表示である。また、V5aは、D薬(錠剤)の関連薬剤であるD薬(口腔崩壊錠)の在庫場所を示すための表示であり、V5bは、D薬(口腔崩壊錠)の説明や在庫量が示されている。
なお、V1a、V2a及びV3a、V4a並びにV5aは、処方箋に記載された薬剤か関連薬かをわかり易くするためにそれぞれ異なる色で表示されている。
【0064】
図11は、薬剤収集支援装置10が、ステップS9において送信した薬剤情報に基づく薬剤情報表示画面データを示す概念図である。ステップS9において送信した薬剤情報は、「調剤」の作業において表示するための薬剤情報であって、図11は、「調剤」の作業において、表示するための薬剤情報表示画面データを示す。
調剤作業・調剤決定の作業によって、交付する薬剤が決定され、図10における表示のうち、V3a、V3b,V5a及びV5b以外の表示は除外されている。また、薬剤情報に含まれる調剤順序に基づいて、V3aで在庫場所が示されているC薬を先に収集し、V5aで在庫場所が示されているD薬(口腔崩壊錠)を後に収集すべきかを示すために、V3c及びV5bによってその順序が明確になるようになっている。
【0065】
薬剤情報表示制御部254は、薬剤情報表示生成部253が生成した表示データに基づいて、表示部24に薬剤情報を表示する(ステップS24)。
【0066】
ここで、薬剤情報表示制御部254が表示する薬剤情報表示画面を、図12及び図13の例示を用いて説明する。
図12は、薬剤収集支援装置10が、ステップS6において送信した薬剤情報に基づく表示データ(例えば、図10で示す表示データ)に基づいて、薬剤収集支援端末20の表示部24の表示と薬剤収集支援端末20を透過されている薬局内の風景とが重ね合わさって視えている状況を示す概念図である。
薬剤情報表示制御部254は、取得した位置情報及び生成した薬剤情報表示画面データに基づいて、薬剤情報表示画面が薬剤の在庫位置と合致するように表示しており、V1a〜V5aの表示が薬剤の在庫場所に重なるように、表示されている。
【0067】
図13は、薬剤収集支援装置10が、ステップS9において送信した薬剤情報に基づく表示データ(例えば、図11で示す表示データ)に基づいて、薬剤収集支援端末20の表示部24の表示と薬剤収集支援端末20を透過されている薬局内の風景とが重ね合わさって視えている状況を示す概念図である。
薬剤情報表示制御部254は、取得した位置情報及び生成した薬剤情報表示画面データに基づいて、薬剤情報表示画面が薬剤の在庫位置と合致するように表示しており、V3a及びV5aの表示が薬剤の在庫場所に重なるように、表示されている。
【0068】
続いて、薬剤情報表示制御部254は、薬剤位置特定部252が薬剤収集支援端末20のセンサ26から位置情報を取得し、過去に取得した位置情報が変化していないかを確認する(ステップS25)。薬剤情報表示制御部254は、取得した位置情報が変化した場合には、薬剤情報表示生成部253に新たな表示データを生成させるために、ステップS22に戻る。薬剤情報表示制御部254は、薬剤位置特定部252が取得した位置情報が変化していない場合には、新たな表示データを生成する必要がないため、ステップS26に進む。
【0069】
続いて、薬剤情報表示制御部254は、薬剤情報受信部251が新たに薬剤情報を受信していないか(薬剤情報が更新されていないか)を確認する(ステップS26)。薬剤情報表示制御部254は、薬剤情報受信部251が新たに薬剤情報を受信している場合には、薬剤位置特定部252に位置情報を取得させて薬剤情報表示生成部253に表示データを生成させるために、ステップS21に戻る。薬剤情報表示制御部254は、薬剤情報受信部251が新たに薬剤情報を受信していない場合には、薬剤情報表示画面のデータを改めて生成する必要はないため、ステップS25に戻る。
【0070】
以上、本実施形態について説明した。このような薬剤収集支援システム100によれば、薬剤収集支援端末20の表示部24に、薬剤の在庫位置に適合するように薬剤情報が表示するため、薬剤収集支援端末20の装用者が薬剤の在庫されている場所を把握することができ、交付する薬剤の把握を容易にすることができるようになる。
【0071】
また、薬剤収集支援システム100によれば、薬剤収集支援端末20の表示部24に、調剤設計の際に候補となる関連薬剤の薬剤情報が表示されるため、薬剤収集支援端末20の装用者が薬局においてどのような関連薬剤を在庫しているかを把握することができ、交付する薬剤の把握を容易にすることができるようになる。
【0072】
また、薬剤収集支援システム100によれば、薬剤収集支援端末20の表示部24に、調剤の際に複数の薬剤をどのような順序で収集すべきかが表示されるため、薬剤収集支援端末20の装用者が交付する薬剤の把握を容易にすることができるようになる。
【0073】
[第2実施形態]
第1実施形態は、薬剤収集支援端末20の位置情報を取得するために、位置情報取得部としてセンサ26を用いたが、本実施形態においては、薬剤収集支援端末20の位置情報を取得するために位置情報取得部としてカメラ23を用いる。
このため、薬剤収集支援端末20は、制御部25において薬剤位置特定部252aが機能する。
【0074】
薬剤位置特定部252aは、位置情報取得部であるカメラ23から取得した位置情報と在庫場所情報とに基づいて、表示位置を特定する。
ここで、薬剤収集支援端末20の位置・方向・傾き等の薬剤との位置関係を把握するための情報であって、本実施形態においてはカメラ23から取得する静止画を含む情報である。
【0075】
具体的には、薬剤位置特定部252aは、カメラ23から取得した静止画のうち、薬剤が格納されている薬棚等の領域を認識する。薬剤位置特定部252aは、さらに、認識した薬棚等のうち、引き出し等の格納単位毎に領域を認識する。薬剤位置特定部252aは、在庫場所情報に含まれる識別番号に基づいて、薬剤毎の格納場所を特定し、薬剤毎の表示位置を特定する。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0077】
また、本実施形態において、薬剤収集支援端末20の表示部24は、透明な表示領域を有していたが、これに限られるものではなく、視認される景色に薬剤情報が重畳した状態で薬剤情報を表示できるものであればよく、例えば、カメラ23から取得した薬局内の景色の画像と薬局内の景色に重畳した薬剤情報とを表示するものであってもよい。
【0078】
また、本実施形態において、薬剤収集支援端末20は、眼鏡の形状をしていたが、これに限られるものではなく、薬剤収集支援端末20が身に着けられる形状を有し、装用者が視認される景色に薬剤情報が重畳した状態で視認できるものであればよい。
【0079】
また、本発明は、図4に示す機能的構成を備える端末装置に対して適用することができる。このとき、図4に示す機能的構成を備えるとは、当該機能的構成を実現するソフトウェアを端末装置にインストールすることに加え、所定のサーバにインストールされたソフトウェアを端末装置がネットワークを介して利用可能な状態も含む。即ち、インターネットを通じて顧客にビジネス用アプリケーションを提供する、所謂ASPサービスについても本願発明を適用することができる。
【0080】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図4の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0081】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 薬剤収集支援装置
111 処方箋受付部
112 関連薬剤特定部
113 在庫位置読出部
114 収集順序決定部
115 薬剤情報生成部
116 薬剤情報送信部
121 処方箋データベース
122 薬剤データベース
123 在庫データベース
20 薬剤収集支援端末
251 薬剤情報受信部
252 薬剤位置特定部
253 薬剤情報表示生成部
254 薬剤情報表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13