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特開2015-173023X線イメージ管の撮像方法および撮像装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-173023(P2015-173023A)
(43)【公開日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】X線イメージ管の撮像方法および撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 31/50 20060101AFI20150904BHJP
【FI】
   H01J31/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-47854(P2014-47854)
(22)【出願日】2014年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】東芝電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】君島 隆之
【テーマコード(参考)】
5C037
【Fターム(参考)】
5C037GG01
5C037GG05
5C037GJ02
5C037GJ07
(57)【要約】
【課題】拡大モードにおいて輝度の低下を補うとともに解像度の低下を少なくできるX線イメージ管の撮像方法を提供する。
【解決手段】X線イメージ管10の入力面の所定領域の画像を出力面18に結像する通常モードと、入力面の所定領域の一部を拡大した画像を出力面18に結像する拡大モードとを有するX線イメージ管の撮像方法である。固定絞り38を有するレンズ32を用いる撮像装置30でX線イメージ管10の出力面18を撮像するとともに、X線イメージ管10の通常モードと拡大モードとに応じて撮像装置30のゲインを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線イメージ管の入力面の所定領域の画像を出力面に結像する通常モードと、前記入力面の所定領域の一部を拡大した画像を前記出力面に結像する拡大モードとを有するX線イメージ管の撮像方法であって、
固定絞りを有するレンズを用いる撮像装置で前記X線イメージ管の前記出力面を撮像するとともに、
前記X線イメージ管の通常モードと拡大モードとに応じて前記撮像装置のゲインを調整する
ことを特徴とするX線イメージ管の撮像方法。
【請求項2】
入力面の所定領域の画像を出力面に結像する通常モードと、前記入力面の所定領域の一部を拡大した画像を前記出力面に結像する拡大モードとを有するX線イメージ管の撮像装置であって、
固定絞りを有し、前記X線イメージ管の前記出力面に対向するレンズと、
前記レンズを通じて前記X線イメージ管の前記出力面を撮像する撮像素子と、
前記X線イメージ管の通常モードと拡大モードとに応じて前記撮像素子のゲインを調整するゲイン調整手段と
を具備することを特徴とするX線イメージ管の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線像を可視光像に変換するX線イメージ管の撮像方法および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線イメージ管では、真空外囲器内に入射したX線を入射面で電子に変換し、真空外囲器内に配置された電子レンズを構成する複数の集束電極で電子を加速、集束し、真空外囲器の出力面で電子を可視光像に結像している。
【0003】
そして、X線イメージ管を用いたイメージングシステムでは、X線イメージ管の出力面をCCDカメラ等の撮像装置を用いて撮像し、モニタに映し出してモニタリングしたり、パソコン等の処理系統に取り込んで処理、検査、診断を行っている。
【0004】
このようなX線イメージ管では、X線イメージ管の入力面の所定領域の画像を出力面に結像する通常モードとともに、入力面の所定領域の一部を拡大した画像を出力面に結像する拡大モードを有していることが多いが、拡大した画像では輝度が低下してしまう。
【0005】
この輝度の低下を補うため、撮像装置に絞りの開閉を外部信号で自動的に行う電動絞りを有するレンズを用い、拡大モードのときには電動絞りを開放するように調整することが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−256439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
拡大モードのとき、電動絞りを開放して輝度の低下を補っているが、電動絞りを開放するために解像度が低下してしまう。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、拡大モードにおいて輝度の低下を補うとともに解像度の低下を少なくできるX線イメージ管の撮像方法および撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態は、X線イメージ管の入力面の所定領域の画像を出力面に結像する通常モードと、前記入力面の所定領域の一部を拡大した画像を前記出力面に結像する拡大モードとを有するX線イメージ管の撮像方法であって、固定絞りを有するレンズを用いる撮像装置で前記X線イメージ管の前記出力面を撮像するとともに、前記X線イメージ管の通常モードと拡大モードとに応じて前記撮像装置のゲインを調整するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態を示すX線イメージ管の撮像装置の側面図である。
図2】同上X線イメージ管の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図1および図2を参照して説明する。
【0012】
図2に示すように、X線イメージ管10は、金属製の真空外囲器11を有している。真空外囲器11には、X線12の入力窓である入力部13、およびこの入力部13に対して反対側に出力窓である出力部14が形成されている。
【0013】
真空外囲器11内には、入力部13の内側に入力部13から入射するX線12を電子15に変換する入力面16が設けられ、出力部14の内側に入力面16からの電子15を可視光像17に変換して出力部14から出力する出力面18が設けられている。さらに、真空外囲器11内には、入力面16から出力面18に向かって進行する電子15の進路に沿って電子15を加速、集束する電子レンズを構成する複数の集束電極19が設置されている。集束電極19には電源部20から高圧電源が印可される。
【0014】
X線イメージ管10は、入力面16の所定領域(略全域)の画像を出力面18に結像する通常モードと、入力面16の所定領域の一部を拡大した画像を出力面18に結像する拡大モードとを有している。
【0015】
また、図1に示すように、X線イメージ管10の出力部14には、出力面18から出力される可視光像17を撮像するカメラである撮像装置30が設置されている。撮像装置30は、カメラ本体である撮像装置本体31、および撮像装置本体31に装着されて出力面18に対向されるレンズ32を備えている。撮像装置本体31を支持するアダプタ33により、撮像装置30がX線イメージ管10に設置されている。
【0016】
撮像装置本体31は、CCD等の撮像素子34を備えている。さらに、撮像装置本体31は、撮像素子34のゲインを調整するゲイン調整手段35、撮像素子34で撮像する画像を処理する画像処理部36を備え、およびこれらを含めて撮像装置30を制御する制御部37を備えている。画像処理部36は、撮像素子34で撮像された画像を積算処理し、解像度を向上させる。
【0017】
ゲイン調整手段35は、X線イメージ管10の通常モードと拡大モードとに応じて撮像素子34のゲインを調整する。すなわち、通常モードと拡大モードとに応じて撮像素子34のゲインを異ならせるものであって、拡大モードのときの撮像素子34のゲインを、通常モードのときの撮像素子34のゲインよりも高くする。具体的には、撮像素子34から信号を読み出す際の増幅器の増幅率を高くする。そして、制御部37がX線イメージ管10のモードを取得し、ゲイン調整手段35によるゲイン調整(ゲイン切換)を自動制御する。
【0018】
レンズ32は、固定絞り38を有し、接写用に設計された高解像度レンズが用いられている。また、汎用性を考慮してCマウントレンズやCCTVレンズ等を用いてもよい。
【0019】
そして、撮像装置30はパソコン等に接続され、撮像装置30によりX線イメージ管10の出力面18の可視光像17を撮像した画像がパソコン等のモニタに表示され、画像処理、合否判断、診断等が行われる。
【0020】
X線イメージ管10の通常モードにおいては、入力面16の所定領域(略全域)の画像を出力面18に結像し、この出力面18に結像された可視光像17を撮像装置30で撮像する。
【0021】
X線イメージ管10の拡大モードにおいては、入力面16の所定領域の一部を拡大した画像を出力面18に結像し、この出力面18に結像された可視光像17を撮像装置30で撮像する。
【0022】
X線イメージ管10の拡大モードでは、出力面18に結像された可視光像17である画像の輝度が低下するが、撮像装置30のゲイン調整手段35によるゲイン調整で対応することにより、画像の輝度の低下を抑制する。
【0023】
このゲイン調整に関しては、従来であれば画像処理をしない画像のままではノイズが目立つ画像となるが、画像処理部36で積算処理を行うことで、レンズの電動絞りで対応する場合に比べて画像全体の画質を落とさず、拡大画像での輝度低下を防ぐことができる。
【0024】
そのため、レンズ32は、固定絞り38を用いることが可能となり、電動絞りを用いなくて済む。電動絞りを用いたレンズに比べて安価にでき、高画質を合わせて市場が要求する低価格化に合致できる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
10 X線イメージ管
16 入力面
18 出力面
30 撮像装置
32 レンズ
34 撮像素子
35 ゲイン調整手段
38 固定絞り
図1
図2