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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-173160(P2015-173160A)
(43)【公開日】2015年10月1日
(54)【発明の名称】ビアフィリングめっき方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/40 20060101AFI20150904BHJP
   H05K 3/42 20060101ALI20150904BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20150904BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20150904BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20150904BHJP
   C25D 5/34 20060101ALI20150904BHJP
【FI】
   H05K3/40 K
   H05K3/42 620A
   H05K3/18 B
   H05K3/18 H
   H05K3/46 B
   H05K3/46 N
   C25D7/00 J
   C25D5/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-47846(P2014-47846)
(22)【出願日】2014年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100179257
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 勝利
(72)【発明者】
【氏名】中根 崇
(72)【発明者】
【氏名】高部 和明
【テーマコード(参考)】
4K024
5E316
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
4K024AA09
4K024AB15
4K024AB17
4K024BB11
4K024DA07
4K024DA09
4K024DA10
4K024GA16
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC32
5E316DD25
5E316DD32
5E316EE31
5E316FF15
5E316GG16
5E316GG17
5E316HH11
5E316HH31
5E317AA24
5E317BB12
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD11
5E317CD32
5E317GG01
5E317GG14
5E343AA02
5E343AA12
5E343BB24
5E343CC32
5E343DD33
5E343DD43
5E343DD44
5E343EE14
5E343GG06
5E343GG11
(57)【要約】
【課題】アスペクト比の大きい小径のビアホール内を確実に電気めっき膜により埋め込みながら、めっき時間の短縮が図られて、コストダウンを達成する。
【解決手段】絶縁層1の一面に第1銅箔2aが、他面に第2導体層3が形成され、第1銅箔2a上からレーザ光により、ビアホール4が形成される。そして、銅被膜2bが形成され、ビアホール4内の銅被膜2b上のみにめっき促進剤が付着される。次いで、銅被膜2b上に、電気めっき膜2cが形成される。その結果、絶縁層1上には、第1銅箔2aと、銅被膜2bと電気めっき膜2cとからなる第1導体層2が形成され、パターニングされることにより、第1配線パターン21と第2配線パターン31とがビア導体2dを介して接続される。そして、第1導体層2の厚さが10〜22μmで、かつ、電気めっき膜2cの厚さが5〜12μmに形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層の両面に銅箔を形成することと、
前記絶縁層の上面に形成された前記銅箔上からレーザ光を照射することにより、前記銅箔および前記絶縁層の一部をそれぞれ除去して下面の銅箔が露出するようにビアホールを形成することと、
前記ビアホール内の露出面および前記銅箔の露出面に銅被膜を形成することと、
前記銅被膜上にめっき促進剤を付着することと、
前記ビアホール内を除く前記銅被膜上の前記めっき促進剤を除去することと、
電気めっきにより、前記銅被膜上に電気めっき膜を形成することと、
を含むビアフィリングめっき方法であって、
前記電気めっき膜の形成では、前記ビアホール内を電気めっき膜により埋め込むと共に、前記ビアホールが形成されない前記絶縁層上の前記銅箔と前記銅被膜と前記電気めっき膜とを含む導体層の厚さを10〜22μmとし、かつ、前記電気めっき膜の厚さを5〜12μmとする。
【請求項2】
下層の導体層の上に、絶縁層および銅箔を順次形成することと、
前記銅箔上からレーザ光を照射することにより、前記銅箔および前記絶縁層の一部をそれぞれ除去して前記下層の導体層が露出するようにビアホールを形成することと、
前記ビアホール内の露出面および前記銅箔の露出面に銅被膜を形成することと、
前記銅被膜上にめっき促進剤を付着することと、
前記ビアホール内を除く前記銅被膜上の前記めっき促進剤を除去することと、
電気めっきにより、前記銅被膜上に電気めっき膜を形成することと、
を含むビアフィリングめっき方法であって、
前記電気めっき膜の形成では、前記ビアホール内を電気めっき膜により埋め込むと共に、前記ビアホールが形成されない前記絶縁層上の前記銅箔と前記銅被膜と前記電気めっき膜とを含む導体層の厚さを10〜22μmとし、かつ、前記電気めっき膜の厚さを5〜12μmとする。
【請求項3】
請求項1または2記載のビアフィリングめっき方法であって、前記ビアホールの形成では、前記銅箔の端部を、前記ビアホールの前記絶縁層の側壁よりも突出させる。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のビアフィリングめっき方法であって、前記電気めっきでは、前記電気めっきのめっき液中にめっき促進剤が含まれており、該めっき液に対する前記めっき促進剤の濃度が、前記銅被膜上にめっき促進剤を付着させるためのめっき促進剤溶液中の該めっき促進剤の濃度よりも小さいめっき液を用いる。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のビアフィリングめっき方法であって、前記めっき促進剤の除去では、銅のエッチング液を用いることによりめっき促進剤の除去を行う。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のビアフィリングめっき方法であって、前記めっき促進剤の除去では、機械的研磨により前記めっき促進剤の除去を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層配線板の下層の配線と上層の配線とを接続するビアホール内に導体層を電気めっきにより埋め込むビアフィリングめっき方法に関する。さらに詳しくは、ビアホール内のめっきを促進しながら、表面へのめっき膜の形成を極力抑制し、めっき時間を短縮することができるビアフィリングめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線板は、例えばビルドアップ法により形成されている。ビルドアップ法は、絶縁層が積層される工程と、各層の一面に形成される配線層が下層の配線層とビアホール内に形成されるビア導体により接続される工程、とを繰り返すことにより、多層に形成される方法である。このビア導体は、例えば特許文献1に示されるように、ビアホール内のみにめっき促進剤が付着された状態で、電気めっきが施されることにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−291954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ビアホール外の絶縁層の表面側に形成される配線層もある程度の厚さを有していないと、配線層の断線が生じたり、配線抵抗が増大したりするという問題が発生する。そのため、ビアホール内が完全に電気めっき膜により埋め込まれながら、絶縁層の表面側に形成される配線層となる導体層の厚さも所望の厚さになるようにめっき促進剤の付着が制御される必要があるが、その制御は非常に難しいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、アスペクト比の大きい小径のビアホール内を確実に電気めっきにより埋め込みながら、めっき時間の短縮が図られて、コストダウンを達成することができる多層配線板のビアフィリングめっき方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のビアフィリングめっき方法は、絶縁層の両面に銅箔を形成することと、前記絶縁層の上面に形成された前記銅箔上からレーザ光を照射することにより、前記銅箔および前記絶縁層の一部をそれぞれ除去して下面の銅箔が露出するようにビアホールを形成することと、前記ビアホール内の露出面および前記銅箔の露出面に銅被膜を形成することと、
前記銅被膜上にめっき促進剤を付着することと、前記ビアホール内を除く前記銅被膜上の前記めっき促進剤を除去することと、電気めっきにより、前記銅被膜上に電気めっき膜を形成することと、を含むビアフィリングめっき方法であって、前記電気めっき膜の形成では、前記ビアホール内を電気めっき膜により埋め込むと共に、前記ビアホールが形成されない前記絶縁層上の前記銅箔と前記銅被膜と前記電気めっき膜とを含む導体層の厚さを10〜22μmとし、かつ、前記電気めっき膜の厚さを5〜12μmとする。
【0007】
本発明のビアフィリングめっき方法の他の形態は、下層の導体層の上に、絶縁層および銅箔を順次形成することと、前記銅箔上からレーザ光を照射することにより、前記銅箔および前記絶縁層の一部をそれぞれ除去して前記下層の導体層が露出するようにビアホールを形成することと、前記ビアホール内の露出面および前記銅箔の露出面に銅被膜を形成することと、前記銅被膜上にめっき促進剤を付着することと、前記ビアホール内を除く前記銅被膜上の前記めっき促進剤を除去することと、電気めっきにより、前記銅被膜上に電気めっき膜を形成することと、を含むビアフィリングめっき方法であって、前記電気めっき膜の形成では、前記ビアホール内を電気めっき膜により埋め込むと共に、前記ビアホールが形成されない前記絶縁層上の前記銅箔と前記銅被膜と前記電気めっき膜とを含む導体層の厚さを10〜22μmとし、かつ、前記電気めっき膜の厚さを5〜12μmとする。
【発明の効果】
【0008】
このような構成にされることにより、ビアホール内への電気めっき膜の形成が効率的に行われる。それと共に、配線層とする導体層の厚さが短時間で確保される。その結果、導体層の信頼性の向上、およびコストダウンが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態のビアフィリングめっき方法を示す工程図。
図2図1の(c)工程のさらに詳細な工程を示す図。
図3図1の方法で電気めっき膜を途中まで形成した状態のビアホールの断面写真を、めっき促進剤を全く付着させないで電気めっきをした状態の断面写真と比較した図。
図4図1で形成された配線層の両面にさらに配線層が形成される場合の製造工程を示す図。
図5図4で形成される4層構造の多層配線板を示す図。
図6図5に示される3層構造の多層配線板の両面にさらに配線層が形成され、6層構造に形成された多層配線板を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本実施形態のビアフィリングめっき方法が、両面に銅箔が形成される1層の絶縁層からなるコア基板にビア導体と配線層とが形成される例で示される図1を参照しながら説明される。
【0011】
本実施形態のビアフィリングめっき方法は、図1に示されるように、まず、絶縁層1の両面に第1導体層2および第2導体層3の一部となる第1銅箔2aおよび第2銅箔3aが形成される。次に、絶縁層1のビアホール4が形成される場所に、第1銅箔2a上からレーザ光を照射することにより、第1銅箔2aおよび絶縁層1の一部をそれぞれ除去して下面の第2銅箔3aを露出させることによりビアホール4が形成される。そして、ビアホール4内の露出面、第1銅箔2aおよび第2銅箔3aの上面に無電解めっきにより銅被膜2b、3bが形成される。次いで、銅被膜2b、3b上にめっき促進剤5(図2(a)参照)が付着される。このめっき促進剤5の、ビアホール4内以外の部分は除去される(図2(b)参照)。次いで、図1(d)に示されるように、電気めっきにより、電気めっき膜2c、3cがビアホール4内、第1銅箔2a上および第2銅箔3a上の銅被膜2b、3b上に形成される。その結果、ビアホール4内には電気めっき膜2cが埋め込まれ、銅被膜2bと共にビア導体2dとなり、絶縁層1の両面上には、第1銅箔2aと、銅被膜2bと電気めっき膜2cとからなる第1導体層2、および第2銅箔3aと、銅被膜3bと、第2めっき膜3cとからなる第2導体層3が形成される。そして、図1(e)に示されるように、パターニングされることにより、第1配線パターン21と第2配線パターン31とがビア導体2dを介して接続される構成になっている。
【0012】
本発明では、ビアホール4内が電気めっき膜2dにより完全に埋め込まれると共に、絶縁層1の両面上の第1銅箔2aを含む第1導体層2および第2銅箔3aを含む第2導体層3の厚さが10〜22μmで、かつ、第1および第2の電気めっき膜2c、3cの厚さが5〜12μmに形成されている。図1〜3を参照しながら、さらに詳細に説明をする。
【0013】
まず、図1(a)に示されるように、絶縁層1の両面に第1銅箔2aおよび第2銅箔3aが貼り付けられる。絶縁層1は、例えば、40〜75μm程度の厚さの、ガラス繊維入りの樹脂からなる絶縁層、または樹脂単独のものを用いることもできる。樹脂としては、例えばエポキシ、またはポリフェニレンエーテル(PPE)が用いられ得る。絶縁層1の一面側および他面側に設けられる第1銅箔2aおよび第2銅箔3aは、5〜10μm程度の厚さのものが用いられる。この第1銅箔2aおよび第2銅箔3aは、10μmを超える厚さの銅箔が絶縁層1の表面に一旦積層され、エッチング等の公知の手段で5〜10μmまで薄くされても良い。両面の第1銅箔2aおよび第2銅箔3aは、この表面に銅被膜2b、3bおよび電気めっき膜2c、3cが形成されるため、その分薄く形成されている。すなわち、この一面側の第1導体層2は、めっきにより全てを形成され得るが、めっきでは時間がかかり、コストアップになるため、その一部が第1銅箔2aで形成されている。
【0014】
次に、図1(b)に示されるように、ビアホール4が所定の場所に形成される。このビアホール4は、下層の配線パターン31(図1(e)参照)と、上層の配線パターン21とが接続される部分に形成される。従って、接続される下層配線31の位置に合せて、下層の第2銅箔3aが露出するようにビアホール4が形成される。
【0015】
このビアホール4は、例えばレーザ光の照射により形成される。レーザ光としては、例えばCO2レーザが用いられる。このビアホール4の形成は、第1銅箔2aの表面側からレーザ光の照射により行われる。ここで、絶縁層1は第1銅箔2aよりも昇華しやすい。そのため、レーザ光の照射によっても、第1銅箔2aには中々孔が開かないで、その下の絶縁層1は温度が上昇して昇華してくる。その結果、ビアホール4は、図1(b)に示されるように、上面では、第1銅箔2aの径が絶縁層1の部分のビアホール4の径より小さくなる。そのため、第1銅箔2aの周囲は、ビアホール4の開口部の周囲を覆うように、第1銅箔2aの端部がビアホール4上に突き出た構造になっている。この第1銅箔2aの突出し量は、レーザ光のエネルギー密度分布等を変えることによって、調整され得る。
【0016】
次に、図1(c)に示されるように、例えば無電解めっきにより、銅被膜2b、3bが、ビア導体4内および第1銅箔2a、第2銅箔3aの表面に形成される。無電解めっきの方法は、通常の方法で行われるが、例えば無電解銅めっきを行うには、例えばパラジウムなどの触媒活性を有する膜を表面に形成して、Cu2+を含む水溶液中で、ホルムアルデヒドのような還元剤が触媒表面で酸化して放出される電子により、Cu2+が還元されて銅が析出することを利用している。
【0017】
この銅被膜2b、3bは、絶縁層1の表面にも電気めっきをすることができるように、導電層とするものであり、電流を流すことができる厚さであれば良く、例えば0.1〜0.5μm程度の厚さに形成される。従って、この銅被膜2bは、無電解めっきでなくてもスパッタリングや真空蒸着などの方法により形成されても良い。
【0018】
次に、図2(a)に示されるように、ビアホール4内および一面および他面の銅被膜2b、3bの表面にめっき促進剤5の付着形成がなされる。このめっき促進剤5の付着形成は、例えばブライトナーと呼ばれるめっき促進剤を重量濃度で104ppm程度の割合で溶解した水溶液中に10〜20分程度浸漬することにより行われる。めっき促進剤5としては、例えば3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、ビス−(3−スルフォプロピル)−ジスルファイドジソディウム等の硫黄化合物が用いられる。このめっき促進剤5をビアホール4内に充分に付着させるためには、めっき促進剤溶液中に銅被膜2bが形成された絶縁層1(被めっき物)を浸漬した状態で、めっき促進剤溶液を撹拌するか、被めっき物を揺動することが好ましい。
【0019】
めっき促進剤5が被めっき物の表面に付着すると、1価の銅イオンと錯体を形成して、めっき液中の2価の銅イオンよりも低いエネルギーで金属の銅に還元されるため、電気めっきの金属の析出が促進される。このめっき促進剤5は、被めっき物の表面に付着していると、めっき促進の効果を与えるが、電気めっき液の中に添加されても、めっき促進の効果が得られる。
【0020】
その後、図示されていないが、銅被膜2b、3bが形成された絶縁層は水洗される。この水洗によっても、第1銅箔2a、第2銅箔3a上の銅被膜2b(ビアホール4ではない平坦部)、3bの表面に付着しためっき促進剤5は多少除去されるが、ビアホール4内の壁面に付着しためっき促進剤5は、第1銅箔2aの端部が、若干ビアホール4の内側まで延びて壁になっていることもあって、殆ど除去されない。
【0021】
なお、銅被膜2bが無電解めっきにより形成される場合、銅被膜2b、3bの形成工程と、めっき促進剤溶液への浸漬工程との間に、銅被膜2b上に電解によるストライク銅めっき被膜が形成されることが好ましい。これにより、銅被膜2b上に純粋な銅の被膜が形成されるので、無電解めっきによる銅被膜2bの表面の酸化等によるめっき促進剤5の付着が妨げられることが防止される。すなわち、清浄な銅被膜2bの表面にめっき促進剤5がムラなく均一に付着することにより、ビアホール4内に確実に電気めっきによる電気めっき膜2cが埋め込まれる。
【0022】
その後、図2(b)に示されるように、第1銅箔2aおよび第2銅箔3a上の銅被膜2b、3b(ビアホール4ではない平坦部)の表面に付着しためっき促進剤5が除去される(剥離工程)。この剥離工程は、塩化第1鉄水溶液等の銅のエッチング液に銅被膜2b、3bが形成された絶縁層1の全体を浸漬し、水洗することにより行われる。この銅のエッチング液に短時間浸漬する方法によれば、ビアホール4内にエッチング液が完全には入り込まないので、ビアホール4内のめっき促進剤5は殆ど除去されないで、それ以外の第1銅箔2a、第2銅箔3a上の平坦面のエッチング促進剤5のみが選択的に除去される。
【0023】
エッチング促進剤5の剥離は、上記の方法以外にも、シアン化電解液によるシアン電解処理によっても行うことができる。または、無電解めっきをした銅被膜2b、3bの表面に紫外線を斜めに照射する紫外線処理によってもめっき促進剤5を分解させて除去することが可能である。このような紫外線を斜めに照射することにより、ビアホール4内への紫外線の侵入を防ぐことができ、平坦面のみを選択的に除去することができる。さらに別の方法として、絶縁層1の表面で第1銅箔2aおよび第2銅箔3aが形成された面を研磨する研磨処理をすることによっても、選択的に除去することができる。この研磨の方法によれば、めっき促進剤5を除去する部分が、ほぼ平坦面であるため、ビアホール4内のめっき促進剤5を除去することなく、それ以外のめっき促進剤5を効果的に、かつ、容易に除去することができる。
【0024】
このめっき促進剤5の剥離は、以上のような特別の剥離工程を設けなくても、例えば電気めっきの工程で、電気めっきを始める初期の段階で、電気めっきの際の印加電圧の極性を逆にして電圧を印加することによる逆電解処理で行うこともできる。この逆電解処理は、例えば、電気めっきの開始後数分してから30秒ごとに陽極と陰極の極性を反転させて、数分間銅めっきを行う方法でも良い。この逆電解処理は、前述のめっき促進剤の除去工程を行った場合でも電気めっきの途中に逆電解処理が行われると、ビアホール4内に重点的に電気めっきを行うのに効果的である。特に、電気めっき液にもめっき促進剤を添加してめっき処理時間を短縮させる場合に効果が大きい。このような印加電圧の極性を逆にして電圧を印加することにより、銅被膜2b上が剥離される処理になるが、印加電圧の向きが本来の電気めっきの場合と逆であるため、特にめっき促進剤5による電流を集中させるという作用はなく、ビアホール4内には逆電解が作用し難く、第1銅箔2a、第2銅箔3a上の表面、すなわち平坦面の表面のめっき促進剤5の剥離が顕著に行われる。その結果、ビアホール4内のめっき促進剤5は、剥離されないでそのまま残存させることができる。
【0025】
さらに、特別な剥離工程を設けないで、ビアホール4内以外のめっき促進剤5を剥離する別の方法としては、電気めっきの際に、正負が反転するパルス(高い電位が正で、低い電位が負のパルス)の電圧を印加することによって電気めっきをすることによっても行える。このようなパルス電圧が印加されると、正の電圧の際には、普通の電気めっきが行われ、パルスの負の電圧では、めっきを剥がす作用、すなわち前述の逆電解処理と同じで、平坦な表面での逆電解処理が優先して行われ、ビアホール4内での逆電解処理は殆ど行われない。その結果、平坦面では電気めっきは殆ど進まず、ビアホール4内にのみ優先的に電気めっき膜2cが形成される。
【0026】
このようなパルス電圧による電気めっき法、または前述の逆電解処理によるめっき膜の剥離が適度に混合されることによって、ビアホール4内を電気めっき膜2cにより完全に埋め込みながら、表面がほぼ均一な面になるようにめっきされ得る。すなわち、例えばビアホール4内が完全に埋め込まれるまでは、前述のパルスめっき、または逆電解処理を挟みながらのめっきがなされ、ビアホール4内が完全に埋め込まれて表面が平坦化したら、第1導体層2および第2導体層3が所望の厚さになるまで通常の電気めっきがなされる。本発明では、前述のように、第1銅箔2aが設けられているため、表面が平坦化した後の電気めっきは、大幅に減らされ得る。
【0027】
次に、めっき促進剤5がビアホール4内に付着した絶縁層1の全体(被めっき物)をめっき液に浸漬し、電気めっきを行う。めっき液としては、例えば硫酸銅と硫酸の水溶液が用いられる。このめっき液には、めっき促進剤(ブライトナー)、めっき抑制剤(ウェッター)などが添加されても良い。めっき促進剤としては、前述のめっき促進剤溶液に溶解しためっき促進剤と同じ材料が使用されても良い。めっき促進剤が添加される場合でも、前述のめっき促進剤溶液のめっき促進剤の濃度よりも低い濃度にすることが好ましい。めっき液のめっき促進剤5の濃度が高いと、めっき促進剤5を除去した平坦面にも、まためっき促進剤が付着して、平坦面での電気めっき膜2c、3cの厚さが厚くなりすぎるからである。なお、めっき促進剤5は添加されなくても良い。また、ウェッターが添加されていると、めっき促進剤5が付着していないビアホール4以外の表面にウェッターが付着し、平坦面での電気めっき膜2c、3cの形成が抑制される。
【0028】
この状態で、図示しないエッチング液中に浸漬する銅電極と被めっき物の銅被膜2b、3bとの間に、銅被膜2b、3bがカソードとなる電圧が印加されることにより図1(d)および図2(d)に示されるように、銅被膜2b、3b上に、電気めっき膜2c、3cが形成される。この電気めっき膜2cにより、ビアホール4内は完全に充填され、ビア導体2dが形成される。
【0029】
前述のように、ビアホール4内の銅被膜2b上にめっき促進剤5が付着し、ビアホール4内以外のめっき促進剤が除去された状態で電気めっきが施されることにより、ビアホール4内では、めっき促進剤5により、前述のように、低いエネルギーでめっき液中の銅イオンを金属の銅に還元しやすくなる。そして、ビアホール4以外の第1銅箔2aおよび第2銅箔3aが残っている銅被膜2b、3bの上側では、電気めっき膜2c、3cの形成が抑制される。その結果、図2(c)および図1(d)に示されるように、ビアホール4内に電気銅めっき膜が充填され、すなわちビアフィリングされてビア導体2dとなり、第1銅箔2a上の電気めっき膜2cとビア導体2d上の電気めっき膜2cとがほぼ平坦面になる。この第1銅箔2a、銅被膜2b、および電気めっき膜2cはいずれも銅膜であるため、一体化されるため、図1(d)および図2(c)では、まとめて第1導体層2として示されている。また、第2銅箔3a、銅被膜3bおよび電気めっき膜3cが一体化されて第2導体層3として表されている。
【0030】
このビアホール4以外の絶縁層1上の第1導体層2および第2導体層3は、それぞれ第1銅箔2a(第2銅箔3a)、銅被膜2b、3bおよび電気めっき膜2c、3cの全体で10〜22μmの厚さに、電気めっき膜2c3cの厚さが5〜12μmの厚さに形成される。第1導体層2の厚さは、あまり厚すぎると、電子部品の薄型化の要請に応えられないと共に、コストアップに繋がるだけであり、薄すぎると、断線の恐れや電気抵抗の増大に繋がるからである。また、電気めっき膜2c、3cの厚さが5〜12μm程度になるように形成される。これは、ビアホール4内が完全に埋め込まれる間に絶縁層1の上の平坦面にも電気めっき膜2cがいくらかは形成されるので、その形成分とビアホール4の部分との平坦性が得られるようにするのに、必要とされる分とが考慮された厚さである。このような観点から、第1銅箔2a、第2銅箔3aは、それぞれ5〜10μmの厚さのものが用いられる。すなわち、第1銅箔2aが用いられることにより、この第1銅箔2aの厚さ分だけ、電気めっきの時間を短縮することができ、コストダウンに寄与する。
【0031】
その後、図1(e)に示されるように、第1導体層2および第2導体層3がパターニングされて第1配線層21および第2配線層31がビア導体2dを介して接続された配線板が形成される。
【0032】
このめっき促進剤5による効果について検証をした。第1銅箔2aの開口部の直径が70μm、絶縁層1の厚さが65μm、ビアホール4のピッチが0.3mm、ビア数が225の配線板が用いられ、本発明の実施例として、めっき促進剤溶液に15分間浸漬した後、過硫酸ソーダの溶液で1μmのエッチングをした。また、比較例として、めっき促進剤溶液への浸漬も、電気めっき前の表面エッチングも行わないサンプルに、電気銅めっきを行った。その結果が図3に示される。図3(a)は実施例のビアホール4内の断面写真、図3(b)は比較例のビアホール4内の断面写真である。
【0033】
図3から明らかなように、本発明によれば、ビアホール4内に確実に電気めっきによる銅膜が底面から成長しており、ビアホール4の内側面にも電気めっき膜2cが形成されていることがわかる。この図3(a)に示される写真は、ビアホール4内が完全に埋め込まれるまで電気めっきを行っていないので、ビアホール4の上部はまだ埋まっていない状態が示されている。しかし、ビアホール4内の電気めっき膜2cの形成に対して、第1銅箔2aの表面への電気めっき膜2cの形成が大幅に少なく、ビアホール4内以外の部分の電気めっき膜2aの形成が抑制され、ビアホール4内への電気めっき膜2cの形成が顕著であることを示している。
【0034】
本実施形態の構成によれば、絶縁層1の両面に第1銅箔2aおよび第2銅箔3aが形成され、その第1銅箔2aの上側からレーザ光を照射することにより、第1銅箔2aと絶縁層1の一部が昇華して除去され、ビアホール4が形成されている。
【0035】
そのため、まず第1に、レーザ光の照射により昇華しやすい絶縁層1のビアホール4の開口部の径が、第1銅箔2aの開口部での径より大きくなっている。従って、ビアホール4の開口部は、その周囲において、第1銅箔2aの端部により覆われる構造に形成されている。その結果、前述のめっき促進剤5を全面に付着した後、ビアホール4内以外のめっき促進剤5が除去される際に、エッチング液などのビアホール4内への侵入を抑制することができる。その結果、ビアホール4内に付着しためっき促進剤5が除去され難く、平坦な絶縁層1の表面側のめっき促進剤5のみが効率的に剥離されやすいという効果がある。
【0036】
その結果、ビアホール4内の電気めっき膜2cの形成が促進され、ビアホール4内以外の表面の電気めっき膜2cの形成は抑制される。すなわち、専らビアホール4内の電気めっき膜2cの形成が行われ、ビアホール4以外の電気めっき膜2cの形成は抑制されるため、ビアホール4の部分とそれ以外の部分との平坦化が行われやすい。
【0037】
第2に、第1銅箔2aが絶縁層1の表面に貼り付けられているため、電気めっきをそれほど長時間に亘って行わなくても、ビアホール4の部分の表面が他の部分とほぼ平坦になるころには、必要な導体層2の厚さとなり、電気めっきの時間を短縮することができ、コストダウンにも寄与する。その結果、大幅なコストダウンが達成されると共に、電気めっきの際の表面の平坦性の制御が行われやすいという効果もある。
【0038】
図1に示される絶縁層1の両面に第1配線層21と第2配線層31が形成された配線板の両面に、さらに絶縁層と導体層とがビルドアップされ、第3の配線層22および第4の配線層32が形成される実施形態の製造工程が図4を参照しながら説明される。すなわち、図1(e)に示される第1配線層21、第2配線層31が形成された配線層上に、さらに絶縁層および配線層がビルトアップされる例である。
【0039】
まず、図4(a)に示されるように、図1で形成された配線板の両面に第2絶縁層11、第3絶縁層12と、第2銅箔22a、第3銅箔32aが前述の図1に示される方法と同様に、加圧しながら加熱することにより、貼り付けられる。この第2絶縁層11、第3絶縁層12も前述の第1絶縁層と同じ材料および厚さのものを使用することもできるし、異なる材料で異なる厚さのものが用いられても良い。
【0040】
次に、図4(b)に示されるように、第2絶縁層12と第2銅箔22a、および第3絶縁層13と第3銅箔32aの所定の場所に、レーザ光を用いてビアホール41、42が形成される。レーザ光などの設備および方法は、前述の図1(b)に示される方法と同じである。
【0041】
その後図示されていないが、前述の図1(c)に示されるのと同様に、銅被膜22b、32b(図4(c)参照)が形成される。その後、前述の図2に示される工程と同様に、めっき促進剤が全面に付着された後に、ビアホール41、42の内部を除いた、第2銅箔22aおよび第3銅箔32a上の銅被膜22b、32b上のめっき促進剤が除去される。
【0042】
このめっき促進剤の水溶液、その付着方法、一部の除去方法などは、前述の図2に示される方法と同様にすることができる。その後、図4(c)に示されるように、電気めっきにより、電気めっき膜22c、32cを形成する。この際、ビアホール41、42内には、図示しないめっき促進剤が被着されていることにより、電気めっきにより完全に埋め込まれ、しかもビアホール41、42の部分とビアホール41、42以外の部分との高さがほぼ同じになるように電気めっきがなされる。
【0043】
その後、第2銅箔22a、銅被膜22b、および電気めっき膜22cからなる導体層、および第3銅箔32a、銅被膜33b、および電気めっき膜32cからなる導体層がパターにングされることにより、配線パターン22、23が形成された、図5に示されるような4層の配線板が形成される。
【0044】
さらに、その両面の第3配線層22および第4配線層32上に、それぞれ絶縁層および導体層が1層ずつ積層された実施形態が図6に示されている。この例も、図4に示された例と同様に、第4絶縁層13、第5絶縁層14と、図示されていない第4銅箔、第5銅箔が貼り付けられ、図示しない銅被膜、めっき促進剤の付着、電気めっき膜の形成が行われ、パターニングされることにより、第5配線層23、第6配線層33が形成されることにより、ビアホールが完全に電気めっきにより埋め込まれた図6に示される構造の6層構造の配線板が形成される。
【符号の説明】
【0045】
1 絶縁層
2 第1導体層
2a 第1銅箔
2b 銅被膜
2c 電気めっき膜
2d ビア導体
3 第2導体層
4 ビアホール
5 めっき促進剤
6 めっき抑制剤
11 第2絶縁層
12 第3絶縁層
13 第4絶縁層
14 第5絶縁層
21 第1配線層
22 第3配線層
23 第5配線層
31 第2配線層
32 第4配線層
33 第6配線層
図1
図2
図4
図5
図6
図3