特開2015-173758(P2015-173758A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-173758(P2015-173758A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】熱板対応飲食器
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/00 20060101AFI20150908BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20150908BHJP
   A47J 36/34 20060101ALI20150908BHJP
   A47J 36/04 20060101ALI20150908BHJP
   A47J 36/24 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
   A47G19/00 C
   A47G19/00 Z
   A47J27/00 101Z
   A47J36/34
   A47J36/04
   A47J36/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-50914(P2014-50914)
(22)【出願日】2014年3月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000222565
【氏名又は名称】東洋科学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113516
【弁理士】
【氏名又は名称】磯山 弘信
(72)【発明者】
【氏名】山本 洋
(72)【発明者】
【氏名】原 拓朗
【テーマコード(参考)】
3B001
4B055
【Fターム(参考)】
3B001AA00
3B001AA40
3B001CC11
3B001CC40
4B055AA26
4B055BA64
4B055EA05
4B055FA14
4B055FB23
4B055FB25
4B055FB49
4B055FB54
(57)【要約】
【課題】
食事の間中、チーズフォンデュを所定の温度範囲内に維持することができ、温めて食する食品を温かい状態で食することができる熱板対応飲食器を提供する。
【解決手段】
加熱されることによって融解され且つ浸漬される食品の表面を被覆するチーズが充填される容器1と、その容器1をホットプレート8から所定距離離して支持することにより熱板から放射される熱が容器に伝達されるのを制限して容器1に充填されているチーズを所定の温度範囲内に維持する支持部材2と、を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されることによって融解され且つ浸漬される食品の表面を被覆するコーティング食品が充填される容器と、
前記容器を熱板から所定距離離して支持することにより前記熱板から放射される熱が前記容器に伝達されるのを制限して当該容器に充填されている前記コーティング食品を所定温度の範囲内に維持する支持部材と、を設けた
ことを特徴とする熱板対応飲食器。
【請求項2】
前記所定距離は2.45mmから35mmの範囲内であり、
前記所定温度は55℃から95℃の範囲内である
ことを特徴とする請求項1記載の熱板対応飲食器。
【請求項3】
前記支持部材は、前記熱板から放射される熱で前記容器を加熱する蓄熱部を形成するものである
ことを特徴とする請求項1又は2記載の熱板対応飲食器。
【請求項4】
前記支持部材は、前記蓄熱部と前記容器の外部とを連通する熱通路を形成するものである
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1記載の熱板対応飲食器。
【請求項5】
前記支持部材は、段ボール、シリコン板、ガラス板、陶器、セラミックス、耐熱紙のいずれか1又はこれらの組み合わせによって形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1記載の熱板対応飲食器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に充填されている内容物であるチーズ、チョコレート等のコーティング食品を温め、溶けたコーティング食品にパン、フライポテト、ハム等の食品を浸漬させて食する食品に使用される熱板対応飲食器に関し、特に、食事中の所定時間の間、容器内の溶融されているコーティング食品を食べ頃の温度に維持することが可能な熱板対応飲食器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、チーズやチョコレートその他の加熱したコーティング食品にパンやフライポテト等の食品を浸漬させ、そのパンやフライポテト等にチーズやチョコレート等をコーティングして食する方法がある。このような方法で食品を食べるものとして、例えば、チーズフォンデュが知られている。このチーズフォンデュを食する方法としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−38049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、夏等に涼感を醸し出す冷たいチーズフォンデュに関するものが記載されており、その従来例として、熱いチーズフォンデォを食する方法が記載されている。この熱いチーズフォンデュは、まず、熱でとろけるチーズとワインを鍋に入れて加熱し、溶融状態となったチーズフォンデュに、串に刺した角片状のパンやハム等の食品を浸漬させる。そして、串を回しながら食品の周囲にチーズフォンデュを付着させ、熱いチーズフォンデュでコーティングしたパンやハム等の食品を食している。
【0005】
ところで、チーズフォンデュを食する方法も多様化しており、例えば、プラスチック製容器や紙製容器にチーズを入れ、その容器と共に電子レンジで加熱して溶融したチーズフォンデュを食する方法や、陶器製容器にチーズを入れ、その容器を固形燃料の燃焼で加熱して溶融したチーズフォンデュを食する方法等がある。このような食の形態は、多数人で1個のチーズフォンデュ入り容器を囲んで食するのが、一般的である。
【0006】
しかしながら、近年では、核家族化等の社会環境の変化により、個食(一人又は二人で食すること)化が進んでおり、一人〜二人分の食品量を収容する容器を電子レンジで加熱して一人又は二人で食することが多くなってきている。
【0007】
ところが、一人〜二人分の量のチーズフォンデュでは、その量が少ないために比較的早い時期に冷めて適正な温度範囲から下がってしまう。そのため、そのチーズフォンデュを食する者は、冷めて硬くなった美味しくないチーズフォンデュを食することになるという問題点があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、食事の間中、チーズフォンデュやチョコレート等のコーティング食品を所定の温度範囲内に維持することができ、温めて食する食品を温かい状態で美味しく食することができる熱板対応飲食器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の熱板対応飲食器は、加熱されることによって融解され且つ浸漬される食品の表面を被覆するコーティング食品が充填される容器と、その容器を熱板から所定距離離して支持することにより熱板から放射される熱が容器に伝達されるのを制限して容器に充填されているコーティング食品を所定の温度範囲内に維持する支持部材と、を設けたことを特徴としている。
【0010】
容器を熱板から離して支持する所定距離は2.45mmから35mmの範囲内が好ましく、コーティング食品を所定温度に維持する範囲は55℃から95℃の範囲内が好ましい。
【0011】
支持部材は、熱板から放射される熱で容器を加熱する蓄熱部を形成するものであることが好ましく、更に、蓄熱部と容器の外部とを連通する熱通路を形成するものであると一層好ましい。
【0012】
また、支持部材は、段ボール、シリコン板、ガラス板、陶器、セラミックス、耐熱紙のいずれか1又はこれらの組み合わせによって形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、食事の間、食する食品の表面を被覆するコーティング食品を所定の温度範囲内に維持することができ、食事の時間中、温めて食する食品を温かい状態で食することができる熱板対応飲食器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の熱板対応飲食器の第1の実施例を示すもので、図1Aは斜視図、図1B図1Aに表した支持部材の斜視図、図1C1図1Bの第1の実施例の縦断面図、図1C2図1Bの第2の実施例の縦断面図、図1D図1C2の支持部材を用いた図1Aの縦断面図である。
図2】本発明の熱板対応飲食器の第2の実施例を示すもので、図2Aは斜視図、図2B図2Aに表した支持部材の斜視図、図2C1図2Bの第1の実施例の縦断面図、図2C2図2Bの第2の実施例の縦断面図、図2D図2C2の支持部材を用いた図2Aの縦断面図である。
図3】本発明の熱板対応飲食器の第3の実施例を示すもので、図3Aは斜視図、図3B図3Aに表した支持部材の斜視図、図3C図3Bの展開図、図3D図3Aの縦断面図である。
図4】本発明の熱板対応飲食器の第4の実施例を示すもので、図4Aは斜視図、図4B図4Aに表した支持部材の斜視図、図4C図4Bの展開図、図4D図4Aの縦断面図である。
図5】本発明の熱板対応飲食器の第5の実施例を示すもので、図5Aは斜視図、図5B図5Aに表した支持部材の斜視図、図5C図5Bの展開図、図5D図5Aの縦断面図である。
図6】本発明の熱板対応飲食器の第6の実施例を示すもので、図6Aは斜視図、図6B図6Aに表した支持部材の斜視図、図6C図6Aの縦断面図である。
図7】本発明の熱板対応飲食器の使用に供されるホットプレートの温度変化を表した図表である。
図8】本発明の熱板対応飲食器の使用に供されるホットプレートの温度変化を表したグラフである。
図9】本発明の熱板対応飲食器の使用に供されるホットプレートの温度変化に対する段ボール及び容器の温度変化を表した図表である。
図10】本発明の熱板対応飲食器の使用に供されるホットプレートの温度変化に対する段ボール及び容器の温度変化を表したグラフである。
図11】本発明の熱板対応飲食器に係る容器をホットプレートから所定距離離し、その状態における容器の温度を測定する部位を説明する説明図である。
図12図11の測定において、容器とホットプレートの距離を4mmとしたときの容器各部の温度を示す図表である。
図13図11の測定において、容器とホットプレートの距離を5mmとしたときの容器各部の温度を示す図表である。
図14】本発明の熱板対応飲食器に係る容器を、ホットプレートに載置したシリコン製の板状支持部材に載置し、支持部材の厚さ分だけ容器をホットプレートから離間させたときの容器の温度を測定する部位を説明する説明図である。
図15図14の測定において、支持部材であるシリコン板の板厚を4.0mmとしたときの容器各部の温度を示す図表である。
図16】本発明の熱板対応飲食器に係る容器を、段ボールをシリコン板に重ね合せた板状支持部材に載置し、その支持部材をホットプレートに載置して、その支持部材の厚さ分だけ容器をホットプレートから離間させたときの容器の温度を測定する部位を説明する説明図である。
図17図16の測定において、支持部材のシリコン板の板厚を2.0mmとしたときの容器各部の温度を示す図表である。
図18図16の測定において、支持部材のシリコン板の板厚を4.0mmとしたときの容器各部の温度を示す図表である。
図19】本発明の第6の実施例を示す熱板対応飲食器をホットプレートに載置し、支持部材の高さ分だけ容器をホットプレートから離間させたときの容器の温度を測定する部位を説明する説明図である。
図20図19の測定において、容器各部の温度を示す図表である。
図21】本発明の熱板対応飲食器に係る容器に充填された第1の実施例に係るチーズフォンデュを20秒、30秒、40秒及び50秒加熱した後、室温下で放置したときの温度変化を示す図表である。
図22】本発明の熱板対応飲食器に係る容器に充填された第1の実施例に係るチーズフォンデュを20秒、30秒、40秒及び50秒加熱した後、室温下で放置したときの温度変化を示すグラフである。
図23】本発明の熱板対応飲食器に係る容器に充填された第2の実施例に係るチーズフォンデュを20秒、30秒、40秒及び50秒加熱した後、室温下で放置したときの温度変化を示す図表である。
図24】本発明の熱板対応飲食器に係る容器に充填された第2の実施例に係るチーズフォンデュを20秒、30秒、40秒及び50秒加熱した後、室温下で放置したときの温度変化を示すグラフである。
図25】本発明の熱板対応飲食器に係る容器に充填されたチーズフォンデュを所定温度まで加熱した後、図3図4又は図5に示す支持部材で支持して室温下で放置したときのチーズフォンデュの温度変化を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図1乃至図25を参照して、本発明の熱板対応飲食器の実施の例を説明する。本発明の熱板対応飲食器は、コーティング食品が充填される容器1と、その容器1を熱板から所定距離離して支持する支持部材2〜7のいずれかを備えて構成されている。
【0016】
まず、容器1について、図1乃至図6等を参照して説明する。容器1は、底面を構成する円形に形成された底面部1aと、この底面部1aの外周縁に連続して上方に立ち上げられた円筒状をなす側面部1bとを有している。側面部1bは、上端側の直径を底面部1aの直径よりも若干大きくした逆円錐形の筒体からなり、その上端部には半径方向外側に突出したリング状をなす外向きのフランジ部1cが形成されている。また、底面部1aの下部には、下方に突出したリング状をなす脚部1dが設けられている。この脚部1dによって底面部1aは、その高さ分だけ載置面から底上げされている。
【0017】
この容器1の底面部1aと側面部1bとで囲まれた領域により、チーズやチョコレート等のコーティング食品を収納することができる収納凹部9が形成されている。なお、容器1としては、底面部1aと側面部1bが必須の構成要素であり、少なくとも底面部1aと側面部1bが有ればよく、フランジ部1cと脚部1dが無くても容器として成り立つものである。
【0018】
容器1の形状としては、この実施例で示した円形のものに限定されるものではなく、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形、その他九角形以上の多角形であってもよく、また、星形、その他容器として用いられている各種の周知形状に形成することができる。更に、容器1の形状は、この実施例のように逆円錐形をなす筒体に限定されるものではなく、側面部の上側を底面部よりも小さく形成してもよく、側面部の上側から下側までを同一の大きさに形成してもよいことは勿論である。
【0019】
容器1の大きさは、例えば、1人〜2人用の場合には、容量として100g〜200gのチーズフォンデュを収納できるものが好適である。しかしながら、容器1の大きさは、この例に限定されるものではなく、50g〜300gの範囲内に設定することができる。容器の容量が50g〜300gの範囲内であれば、1人又は2人でチーズフォンデュを食する量として、好適な範囲内にあると考えられるからである。
【0020】
容器1の材質としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PS(ポリスチレン)等のプラスチックが好適である。この実施例では、容器1の材質として、軟化点が140℃〜160℃のPPを用いている。しかしながら、容器1の材質としては、この実施例に限定されるものではなく、前記以外のエンジニアリングプラスチックは勿論のこと、紙によっても形成することができ、また、紙とプラスチックの複合材料によっても形成することができる。
【0021】
次に、図1乃至図6を参照して、6種類の支持部材2〜7について説明する。図1A及び図1Bに示す第1の実施例に係る支持部材2は、矩形の板体として構成したものである。この支持部材2は、図1C1に示すように、単一の材料によって一体形成した単一板体2aと、図1C2及び図1Dに示すように、複数の材料を積層することによって形成した複合板体2bとの2形態に分けることができる。単一板体2aの材料としては、段ボール、シリコン板、ガラス板、陶器、セラミックス、耐熱紙等を適用することができる。また、複合板体2bの材料としては、段ボール27aに対してシリコン板27b、ガラス板、陶器、セラミックス、耐熱紙の1又は2以上を重ね合わせて貼り合わせる場合、シリコン板に対してガラス板、陶器、セラミックス、耐熱紙を重ね合わせて貼り合わせる場合、その他の組み合わせ、或いは、これら材料を3層以上に重ね合わせる場合のように適宜な形態を採用することができる。なお、段ボール及びシリコン板については、後で詳細に説明する。
【0022】
図2A及び図2Bに示す第2の実施例に係る支持部材3は、矩形をなす板体の一面の略中央部に、容器1の脚部1dが挿入される座穴11を設ける構成としたものである。この支持部材3は、第1の実施例に係る支持部材2と同様に、図2C1に示すように、単一の材料によって形成した単一座穴付板体3aと、図2C2及び図2Dに示すように、複数の材料を積層することによって形成した複合座穴付板体3bとの2形態に分けることができる。なお、座穴11によって形成される空間部が、ホットプレート8から放熱される熱を蓄えることができる蓄熱部15を構成している。その他の構造、形態、使用する材料については前記支持部材2と同様である。
【0023】
図3A図3Dに示す第3の実施例に係る支持部材4は、矩形の筐体として構成したものである。この支持部材4は、図3A乃至図3Cに示すように、矩形に形成された平面部4aと、この平面部4aの四辺に連続して形成された4枚の側面部4bとによって構成されている。平面部4aの中央部には、容器1の脚部1dが嵌合される嵌合穴12が設けられている。平面部4aと4枚の側面部4bとの間には折り曲げ線13がそれぞれ設定されており、各折り曲げ線13によって4枚の側面部4bを立ち下げることにより、この4枚の側面部4bが支持部材4の脚部を構成している。4枚の側面部4bは、隣り合う側面部4b,4b間を接着テープ14によって連結して固定する。
【0024】
図3Dに示すように、支持部材4の平面部4aと4枚の側面部4bとで囲まれた空間部により、後述する熱板から放射される熱を蓄熱することができる蓄熱部18が構成されている。この支持部材4の材質としては、例えば、段ボールや耐熱紙等の紙類、或いは、シリコン樹脂、PPやPE、PS等のプラスチックが好適である。支持部材4に設ける折り曲げ線13としては、ミシン目のような破線状に連続する切込みを設け、或いは、全体に溝状の切込みを設ける等によって形成することができる。
【0025】
図4A図4Dに示す第4の実施例に係る支持部材5は、筒状をなす矩形の筐体として構成したものである。この支持部材5は、図4A乃至図4Cに示すように、横一列に配置され且つ各部がそれぞれ長方形に形成された4枚の側面部5aと、一端の側面部5aに連続して形成された糊付け片5bとによって構成されている。隣り合う側面部5aと側面部5aの間及び側面部5aと糊付け片5bとの間には折り曲げ線17がそれぞれ設定されている。これら折り曲げ線17によって4枚の側面部5aをそれぞれ90度折り曲げることにより、四角形の筒体からなる支持部材5が形成されている。そして、1枚の側面部5aに糊付け片5bを重ね合せ、その重合部分を糊付けすることにより、4枚の側面部5aによって四角形の筒体とされた支持部材5が構成されている。なお、糊付け部5bを設けることなく、両端の側面部5a,5a間を接着テープにより連結して固定する構成としてもよい。
【0026】
図4Dに示すように、4枚の側面部5aと容器1で囲まれた支持部材5内の空間部が、熱板から放射される熱を蓄熱することができる蓄熱部22を構成している。そして、支持部材5に容器1を嵌め合わせることによって蓄熱部22の四隅に形成される領域が、蓄熱部22内の熱気を外部に放出する熱通路23を構成している。この支持部材5の材質としては、例えば、段ボールや耐熱紙等の紙類、或いは、シリコン樹脂、PPやPE、PS等のプラスチックが好適である。また、支持部材5に設ける折り曲げ線17としては、ミシン目のような破線状に連続する切込みを設け、或いは、全体に溝状の切込みを設ける等によって形成することができる。
【0027】
図5A図5Dに示す第5の実施例に係る支持部材6は、筒状をなす円形の筐体として構成したものである。この支持部材6は、図5A乃至図5Cに示すように、扇形をなすように展開された1枚の側面部6aによって構成されている。即ち、側面部6aは、円弧状に延在された上端辺20a及び下端辺20bと、これらと交差する方向に延在された側端辺20c,20dを有している。そして、左右両側の側端辺20c,20dには、それぞれL字状の切込みを設けることによって係合片21a,21bがそれぞれ設けられている。これらの係合片21a,21bを、側面部6aを丸めた状態において互いに噛み合わせることにより、図5A及び図5Bに示すように、側面部6aを丸めた状態に保持することが可能となる。なお、係合片21a,21bを設けることなく、側面部6aの両端を重ね合せ、その重合部を接着剤や接着テープで固定する構成としてもよい。
【0028】
図5Dに示すように、側面部6aと容器1の底面部1aとで囲まれた支持部材6内の空間部が、熱板から放射される熱を蓄熱することができる蓄熱部24を構成している。そして、側面部6aの両端を重ね合せることによってその端面の段差部に形成される隙間によって熱通路25が構成されている。この支持部材6の材質としては、例えば、段ボールや耐熱紙等の紙類、或いは、シリコン樹脂、PPやPE、PS等のプラスチックが好適である。
【0029】
図6A及び図6Cに示す第6の実施例に係る支持部材7は、多数の円筒状をなす脚体7aによって構成したものである。脚体7aは,図6Bに示すように、筒体の軸方向の一端に、直径方向に延在されたスリット26を設けることによって形成されている。この脚体7aの3個以上を、その脚体7aのスリット26を容器1の脚部1dに差し込むようにして取り付けることにより支持部材7としての機能を発揮させることができる。図6Cに示すように、容器1の底面部1aと多数(本実施例では6個)の脚体7aとで囲まれた空間部によって蓄熱部28が構成され、隣り合う脚体7a,7a間の隙間によって蓄熱部28内の熱気を外部に放出する熱通路29が構成されている。
【0030】
この脚体7aは、例えば、シリコン製のチューブを軸方向に適当な長さで切断し、その一端にスリット26を設けることによって製作することができる。脚体7aの材質としては、シリコン製チューブに限定されるものではなく、その他のエンジニアリングプラスチックは勿論のこと、ガラス製チューブ、セラミックス製チューブ等を用いることもできる。
【0031】
次に、熱板について説明する。ここで、本願発明に係る熱板とは、容器1に収容されているチーズやチョコレート等のコーティング食品を温めることができるものを言い、その加熱方法にこだわるものではない。例えば、電気式のホットプレートであってもよく、また、鉄板をアルコールランプやガスボンベで温めるものであってもよい。本実施例では、熱板として電気式ホットプレートを用いている。
【0032】
本実施例で使用したホットプレートについて検証する。
(1)使用機器
ホットプレートYSH−W1000(株式会社山善製)
赤外線温度計(非接触携帯温度計) 型番Raytek・MINITEMP(株式会社TFFフォーク社製)
使用説明:トリガーを押すと、赤いレーザ光が出て対象物を照射し、その照射部位の温度を測定する。
(2)検証の目的
ホットプレートの動作時間と温度との関係を確認する。
設定温度は、80℃(保温)、140℃(弱)、180℃(中)の3種類
(3)検証方法
(イ)1分毎にホットプレートの温度を測定する。
(ロ)設定温度におけるピーク温度を初期値とし、その後温度が下降して所定温度まで低下した後、再加熱を開始するまでの時間を測定する。
検証環境は、室温25.6℃、湿度48.8%であった。
なお、測定温度は、ホットプレートの3箇所を測定し、その値の平均値を測定値とした。
(4)検証結果
図7の表、及び、図8のグラフに示すとおりであった。
【0033】
図7は、ホットプレートの経過時間(min)に対する温度変化(℃)を表したものである。また、図8は、図7の表に示した数値をグラフに表したものである。
(イ)ホットプレートの設定温度が80℃の場合
加熱する前の温度(初期値:0分)は26℃であった。加熱開始と同時にホットプレートの温度が上昇し、1分経過後では122℃、2分経過したところで215℃に上昇した。その後、加熱動作が停止され、3分経過したところで自然放熱によって190℃に下降し、4分経過後では160℃、5分経過後では136℃、6分経過後では117℃、7分経過後では102℃、8分経過後では89℃、9分経過後では81℃まで下降した。更に、10分経過して72℃まで下降したところでホットプレートのスイッチが自動的にオンとなり再加熱が開始された。
【0034】
(ロ)ホットプレートの設定温度が140℃の場合
加熱する前の温度(初期値:0分)は26℃であった。加熱開始と同時にホットプレートの温度が上昇し、1分経過後では111℃、2分経過後では208℃、3分経過したところで267℃に上昇した。その後、加熱動作が停止され、4分経過したところで231℃に下降し、5分経過後では189℃、6分経過後では158℃、7分経過後では133℃まで下降した。更に、8分経過して119℃まで下降したところで自動的にスイッチがオンとなり再加熱が開始された。
【0035】
(ハ)ホットプレートの設定温度が180℃の場合
加熱する前の温度(初期値:0分)は26℃であった。加熱開始と同時にホットプレートの温度が上昇し、1分経過後では106℃、2分経過後では208℃、3分経過したところで272℃に上昇した。その後、加熱動作が停止され、4分経過したところで260℃に下降し、5分経過後では208℃、6分経過後では169℃まで下降した。更に、7分経過して151℃まで下降したところで自動的にスイッチがオンとなり再加熱が開始された。
【0036】
前記(イ)〜(ハ)の検証結果により、ホットプレートの表面温度は設定温度に関係なく200℃以上まで上昇することが明らかになった。そのため、後述する軟化点が140℃〜160℃のプラスチック製の容器を使用する場合には、その容器を直接ホットプレートに載置して使用することは不適切であることが明確になった。
【0037】
次に、容器1を前述したホットプレートに直置きし、その容器1の内面及び外面の温度変化を検証した。図9に、この検証の結果を示す。
(1)容器について
寸法(開口部の直径90.0mm、高さ63.0mm、容積180ml)
材質 PP 軟化点は140℃〜160℃である。
容器1の温度を測定する部位は、容器1の内面は底面部1aの中央部分、容器の外面は側面部1bの中央部分である。
(2)ホットプレートについて
前述したYSH−W1000(山善製)を使用した。
ホットプレート8の設定温度は140℃とした。
なお、容器1及びホットプレート8については、以下の検証においても同様のものを使用している。
【0038】
(3)検証方法
容器をホットプレートに直置きし、1分毎に容器の2箇所の部位1(外面)、部位2(内面)の温度を測定する。
(イ)容器の部位1(外面)の温度変化
ホットプレートの温度は、加熱する前の温度(初期値:0分)は26℃、1分経過後は111℃、2分経過後は208℃、3分経過後は267℃に上昇した。その後、加熱が停止されたため、4分経過後は231℃、5分経過後は189℃、6分経過後は158℃、7分経過後は133℃、更に8分経過後は119℃に下降した。加熱開始と同時にホットプレートの温度が上昇し、1分経過後の容器外面の温度は51℃、2分経過後の容器外面の温度は75℃、3分経過後の容器外面の温度は114℃に上昇した。更に、4分経過後の容器外面の温度は126℃まで上昇した後、ホットプレートの加熱が停止されたため、5分経過後には容器外面の温度は122℃に低下したが、容器1の脚部1dが溶け始めた。そのため、この段階で容器外面の温度測定を中止した。
【0039】
(ロ)容器の部位2(内面)の温度変化
加熱する前の温度(初期値:0分)は26℃である。加熱開始と同時にホットプレートの温度が上昇し、1分経過後の容器内面の温度は62℃、2分経過後の容器内面の温度は102℃、3分経過後の容器内面の温度は155℃に上昇した。更に、4分経過後の容器内面の温度は160℃まで上昇した後、ホットプレートの加熱が停止されたため、5分経過後には容器内面の温度は142℃に低下したが、容器1の脚部1dが溶け始めた。そのため、この段階で容器内面の温度測定を中止した。
このように、容器1をホットプレートに直置きしてホットプレートを加熱すると、3分経過した時点で容器1の脚部1dが溶け始め、5分経過時には殆ど溶けてしまう結果となった。
【0040】
次に、段ボールをホットプレートに直置きし、その段ボールの表面の温度変化を検証した。検証した段ボールは、B段ボール(厚さ2.45mm:3層構造)である。図9に、この検証の結果を示す。なお、段ボールは、前述した図1B及び図1C1に示す形状・構成を有するものである。また、ホットプレートの設定温度は140℃とした。
【0041】
(1)検証方法
段ボール(縦×横=10cm×10cm、厚さ2.45mm)をホットプレートに直置きし、1分毎に段ボール表面の温度を測定する。
(イ)B段ボールの表面の温度変化
図9及び図10に示すように、加熱する前の温度(初期値:0分)は26℃であった。加熱開始と同時にホットプレートの温度が上昇し、1分経過後の表面温度は61℃、2分経過後の表面温度は99℃、3分経過後の表面温度は186℃に上昇した。その後、ホットプレートの加熱が停止されたため、4分経過後の表面温度は163℃に下降し、5分経過後に表面温度は136℃、6分経過後に表面温度は118℃、7分経過後に表面温度は105℃となり、8分経過後に表面温度は96℃まで下降した。以上の結果より、段ボールによっても、支持部材として使用できることが明らかになった。
【0042】
次に、容器とホットプレートとの距離と容器各部位の温度との関係を検証する。
(1)検証方法
図11に示すように、容器をホットプレートから距離Hだけ浮かし、1分毎に容器の5箇所の部位1〜5の温度を測定する。部位1は底面部1aの内面の中央部、部位2は底面部1aの内面の周縁部、部位3は底面部1aの外周面、部位4は側面部1bの外周面の高さ方向の中間部、部位5は側面部1bの外周面の上側部である。
図12及び図13に、この検証の結果を示す。容器は、前述した図1A等に示す形状・構成を有するもので、その軟化点は140℃〜160℃である。また、ホットプレートの設定温度を140℃とした。設定した距離Hは、4mmと5mmの2種類とした。検証環境は、室温27.4℃、湿度41%であった。
【0043】
(イ)距離H=4mmの場合の温度変化
図12に示すように、加熱する前の容器1の部位1〜部位5とホットプレートの温度(初期値:0分)は27℃であった。加熱開始と同時にホットプレートの温度は、1分経過後は89℃、2分経過後は192℃、3分経過後は269℃、4分経過後は270℃に上昇し,その後ホットプレートの加熱が停止されたため、5分経過後は196℃、6分経過後は163℃、7分経過後は136℃、8分経過後は128℃に下降した。
【0044】
このようなホットプレートの温度変化の下、1分経過後における容器1の部位1は56.5℃、部位2は54℃、部位3は125℃、部位4は55℃、部位5は49℃であった。2分経過後における容器1の部位1は91℃、部位2は82.5℃、部位3は228℃、部位4は93℃、部位5は80℃であった。3分経過後における容器1の部位1は128℃、部位2は141℃、部位3は272℃、部位4は140℃、部位5は101℃であった。4分経過後における容器1の部位1は120℃、部位2は121℃、部位3は173℃、部位4は123℃、部位5は112℃であった。5分経過後における容器1の部位1は109℃、部位2は97.5℃、部位3は176℃、部位4は125℃、部位5は99℃であった。6分経過後における容器1の部位1は86.5℃、部位2は92℃、部位3は147℃、部位4は109℃、部位5は85.5℃であった。また、7分経過後における容器1の部位1は73.5℃、部位2は78.5℃、部位3は129℃、部位4は99℃、部位5は74℃であった。更に、8分経過後における容器1の部位1は74℃、部位2は75.5℃、部位3は59.5℃、部位4は63℃、部位5は67.5℃であった。
【0045】
この距離H=4mmの場合(容器1をホットプレート8から4mm離した状態)、3分経過した時点で脚部1dの外面温度が272℃まで上昇したが、その温度上昇が一時的なものであったと考えられるため、脚部1dの変化は無かった。
【0046】
(ロ)距離H=5mmの場合の温度変化
図13に示すように、加熱する前の容器1の部位1〜部位5とホットプレートの温度(初期値:0分)は27℃であった。加熱開始と同時にホットプレートの温度は、1分経過後は100℃、2分経過後は200℃、3分経過後は265℃に上昇し,その後ホットプレートの加熱が停止されたため、4分経過後は209℃、5分経過後は156℃、6分経過後は124℃まで下降し、その後ホットプレートが再加熱されたため、7分経過後は127℃、8分経過後は149℃まで上昇した。
【0047】
このようなホットプレートの温度変化の下、1分経過後における容器1の部位1は58℃、部位2は50.5℃、部位3は124℃、部位4は52℃、部位5は43.5℃であった。2分経過後における容器1の部位1は95℃、部位2は80℃、部位3は234℃、部位4は98℃、部位5は83℃であった。3分経過後における容器1の部位1は116℃、部位2は98℃、部位3は230℃、部位4は120℃、部位5は103℃であった。4分経過後における容器1の部位1は110℃、部位2は92℃、部位3は177℃、部位4は114℃、部位5は95℃であった。5分経過後における容器1の部位1は85℃、部位2は92.5℃、部位3は164℃、部位4は106℃、部位5は89℃であった。6分経過後における容器1の部位1は79.5℃、部位2は70℃、部位3は130℃、部位4は93℃、部位5は77℃であった。また、7分経過後における容器1の部位1は62℃、部位2は68℃、部位3は118℃、部位4は84℃、部位5は69℃であった。更に、8分経過後における容器1の部位1は85℃、部位2は81℃、部位3は127℃、部位4は91℃、部位5は72℃であった。
【0048】
この距離H=5mmの場合(容器1をホットプレート8から5mm離した状態)、3分経過した時点で脚部1dの外面温度が234℃まで上昇したが、その温度上昇が一時的なものであったと考えられ、8分経過した後でも容器1が溶けることがなかった。従って、距離Hを5mmに設定すれば、8分以上使用しても容器1が溶けることが無いことが明確になった。
これら検証1及び検証2の結果によれば、ホットプレート(熱板)8から容器1までの距離を4mm又は5mmに設定することにより、ホットプレート8の温度が容器内に収納されているチーズフォンデォユに対して適度に伝達され、そのチーズフォンデュを食するのに好適な温度範囲内(後述する)に安定的に保持できることが明らかになった。
【0049】
次に、ホットプレートに、図1B及び図1C1に示す単一板体の支持部材2a,3aを載置し、その支持部材2a,3aに載置した容器1の各部位の温度変化を検証する。
(1)検証方法
図14に示すように、容器1を支持部材2a(又は3a)に載置し、その支持部材の板厚分だけ容器1をホットプレート8から浮かし、この状態でホットプレート8を加熱して、1分毎に容器1の5箇所の部位1〜部位5の温度を測定する。部位1は底面部1aの内面の中央部、部位2は底面部1aの内面の周縁部、部位3は底面部1aの外周面、部位4は側面部1bの外周面の高さ方向の中間部、部位5は側面部1bの外周面の上側部である。
【0050】
図15に、この検証の結果を示す。容器1は、前述した図1A等に示す形状・構成を有するもので、その軟化点は140℃〜160℃である。支持部材2aはシリコン製で、支持部材2aの厚さTは、4.0mmとした。また、ホットプレート8の設定温度を140℃とした。検証環境は、室温27.4℃、湿度41%であった。
【0051】
厚さT=4.0mmの場合の温度変化
図15に示すように、加熱する前の容器1の部位1〜部位5と支持部材(シリコン板)2aとホットプレート8の温度(初期値:0分)は27℃であった。加熱開始と同時にホットプレート8の温度は、1分経過後は72℃、2分経過後は165℃、3分経過後は241℃、4分経過後は266℃に上昇し,その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、5分経過後は225℃、6分経過後は186℃、7分経過後は160℃、8分経過後は151℃に下降した。このようなホットプレートの温度変化の下、支持部材(シリコン板)2aの表面温度は、1分経過後は124℃、2分経過後は230℃、3分経過後は259.5℃、4分経過後は263.5℃に上昇し、その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、5分経過後は197.5℃、6分経過後は176.5℃、7分経過後は156.5℃、8分経過後は159℃であった。
【0052】
このような条件下において、1分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は34℃、部位2は33.5℃、部位3は52.5℃、部位4は40.5℃、部位5は45℃であった。2分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は55.5℃、部位2は53.5℃、部位3は103℃、部位4は65℃、部位5は83℃であった。3分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は87℃、部位2は81℃、部位3は176℃、部位4は98℃、部位5は114℃であった。4分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は110℃、部位2は105℃、部位3は217℃、部位4は116℃、部位5は133℃であった。5分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は119℃、部位2は115℃、部位3は165℃、部位4は120℃、部位5は122℃であった。6分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は123℃、部位2は122℃、部位3は168℃、部位4は119℃、部位5は109℃であった。また、7分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は120℃、部位2は116℃、部位3は155℃、部位4は112℃、部位5は100℃であった。更に、8分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は108℃、部位2は106℃、部位3は146℃、部位4は107℃、部位5は96.5℃であった。
【0053】
この厚さT=4.0mmの場合、8分経過した後においても、熱による容器1の変形は生じなかった。従って、このような使用形態において容器1を使用することにより、食事の間中、容器1に変形を生ずることなく正常な状態で使用することができ、チィーズフォンデュ等を十分に味わうことが可能である。
なお、図2に示す単一座穴付板体3a及び複合座穴付板体3bをホットプレートに載置する場合にも、上述した単一板体2a及び複合板体2bの場合と同様の結果が得られることが推測される。この場合、単一座穴付板体3a及び複合座穴付板体3bの板厚は座穴10の座面からの厚さとなる。
【0054】
次に、ホットプレートに、図1C2に示す複合板体の支持部材2bを載置し、その支持部材2b,3bに載置した容器1の各部位の温度変化を検証する。
(1)検証方法
図16に示すように、容器1を支持部材2bに載置し、その支持部材の板厚分だけ容器1をホットプレート8から浮かし、ホットプレート8を加熱して、1分毎に容器の5箇所の部位1〜部位5の温度を測定する。部位1は底面部1aの内面の中央部、部位2は底面部1aの内面の周縁部、部位3は底面部1aの外周面、部位4は側面部1bの外周面の高さ方向の中間部、部位5は側面部1bの外周面の上側部である。
【0055】
図17及び図18に、この検証の結果を示す。容器は、前述した図1A等に示す形状・構成を有するもので、その軟化点は140℃〜160℃である。支持部材2bは段ボールとシリコン材との複合材料であり、シリコン材をホットプレートに接触させるようにして支持部材2bをホットプレート8に載置する。支持部材2bの厚さTは、段ボール27aの厚さTaにシリコン板27bの厚さTbを加えたものである。なお、段ボール27aにはB段ボール(厚さ2.45mm)を一律に使用しているが、シリコン板27bの厚さは2.0mmと4.0mmの2種類に設定している。また、ホットプレート8の設定温度を140℃とした。検証環境は、室温27.4℃、湿度41%であった。
【0056】
(イ)シリコン材27bの厚さTb=2.0mmの場合(全体の厚さT=Ta+Tb=2.45mm+2.0mm=4.45mm)
図17に示すように、加熱する前の容器1の部位1〜部位5と支持部材(シリコン板)2bとホットプレート8の温度(初期値:0分)は27℃であった。加熱開始と同時にホットプレート8の温度は、1分経過後は74℃、2分経過後は162℃、3分経過後は237℃に上昇し,その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、4分経過後は224℃、5分経過後は191℃、6分経過後は166℃、7分経過後は143℃、8分経過後は143℃に下降した。このようなホットプレート8の温度変化の下、支持部材2bの段ボール側の表面温度は、1分経過後は121℃、2分経過後は216℃、3分経過後は255℃に上昇し、その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、4分経過後は212℃、5分経過後は188℃、6分経過後は165℃、7分経過後は136℃まで下降し、再びホットプレート8が再加熱されて、8分経過後は150℃であった。
【0057】
このような条件下において、1分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は32.5℃、部位2は32.5℃、部位3は83.5℃、部位4は43℃、部位5は38.5℃であった。2分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は55.5℃、部位2は54℃、部位3は106℃、部位4は76.5℃、部位5は71℃であった。3分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は79℃、部位2は78℃、部位3は194℃、部位4は111℃、部位5は102℃であった。4分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は93℃、部位2は92℃、部位3は217℃、部位4は123℃、部位5は113℃であった。5分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は104℃、部位2は103℃、部位3は173℃、部位4は111℃、部位5は106℃であった。6分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は102℃、部位2は104℃、部位3は150℃、部位4は108℃、部位5は94℃であった。また、7分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は93℃、部位2は97℃、部位3は143℃、部位4は102℃、部位5は87℃であった。更に、8分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は87℃、部位2は80℃、部位3は143℃、部位4は100℃、部位5は88.5℃であった。
【0058】
この厚さT=4.45mmの場合、8分経過した時点においても容器1が溶けることは無かった。従って、このような使用形態において容器1を使用することにより、食事の期間中、容器1に変形を生ずることなく正常な状態で使用することができ、チーズフォンデュ等を十分に味わうことが可能である。
【0059】
(ロ)シリコン材27bの厚さTb=4.0mmの場合(全体の厚さT=Ta+Tb=2.45mm+4.0mm=6.45mm)
図18に示すように、加熱する前の容器1の部位1〜部位5と支持部材(シリコン板)2bとホットプレート8の温度(初期値:0分)は27℃であった。加熱開始と同時にホットプレート8の温度は、1分経過後は88℃、2分経過後は176℃、3分経過後は240℃に上昇し,その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、4分経過後は223℃、5分経過後は187℃、6分経過後は160℃、7分経過後は140℃、8分経過後は144℃に下降した。このようなホットプレート8の温度変化の下、支持部材2bの段ボール側の表面温度は、1分経過後は122℃、2分経過後は176℃、3分経過後は210℃に上昇し、その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、4分経過後は176℃、5分経過後は169℃、6分経過後は151℃、7分経過後は127℃まで下降し、8分経過後は119℃であった。
【0060】
このような条件下において、1分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は31℃、部位2は33℃、部位3は46℃、部位4は41℃、部位5は45℃であった。2分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は43℃、部位2は41℃、部位3は90℃、部位4は70℃、部位5は72℃であった。3分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は62℃、部位2は57℃、部位3は106℃、部位4は99℃、部位5は96℃であった。4分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は74℃、部位2は73℃、部位3は136℃、部位4は101℃、部位5は101℃であった。5分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は89℃、部位2は83℃、部位3は134℃、部位4は96℃、部位5は97℃であった。6分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は95℃、部位2は93℃、部位3は129℃、部位4は91℃、部位5は86℃であった。また、7分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は92℃、部位2は90℃、部位3は120℃、部位4は86℃、部位5は77℃であった。更に、8分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は89℃、部位2は87℃、部位3は119℃、部位4は86℃、部位5は76℃であった。
【0061】
この厚さT=6.45mmの場合、8分経過した時点においても容器1が溶けることは無かった。従って、このような使用形態において容器1を使用することにより、食事の期間中、容器1に変形を生ずることなく正常な状態で使用することができ、チーズフォンデュ等を十分に味わうことが可能である。なお、支持部材に座穴10を設けて蓄熱部15を形成する場合には、その蓄熱部15に蓄えられる熱によって容器1内のチーズの温度が下がるのを抑制することが可能である。
【0062】
次に、図6Cに示すように、容器1の脚部1dに支持部材7である多数の脚体7aを取り付け、その支持部材7で容器1をホットプレートから距離HP浮上させて支持し、その高さ位置における容器1の各部位の温度変化を検証する。支持部材7を構成する脚体7aの数は、3以上であればよく、3個〜6個が経済的で好ましいが、7個以上で構成することもできる。
(1)検証方法
図19に示すように、多数の脚体7aからなる支持部材7で容器1をホットプレート8上に浮かして支持(高さHP)し、その状態でホットプレート8を加熱して、1分毎に容器の5箇所の部位1〜部位5と脚体7aの温度を測定する。部位1は底面部1aの内面の中央部、部位2は底面部1aの内面の周縁部、部位3は底面部1aの外周面、部位4は側面部1bの外周面の高さ方向の中間部、部位5は側面部1bの外周面の上側部,部位6は脚体7aの表面である。なお、本実施例における容器1の支持高さHPは20mmである。
【0063】
図20に、この検証の結果を示す。容器は、前述した図1A等に示す形状・構成を有するもので、その軟化点は140℃〜160℃である。支持部材7の材質はシリコン材である。また、ホットプレート8の設定温度を140℃とした。検証環境は、室温26℃、湿度43%であった。
【0064】
加熱する前の容器1の部位1〜部位5と支持部材7の脚体(シリコンパイプ)7aとホットプレート8の温度(初期値:0分)は27℃であった。加熱開始と同時にホットプレート8の温度は、1分経過後は87℃、2分経過後は180℃、3分経過後は255℃に上昇し,その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、4分経過後は238℃、5分経過後は203℃、6分経過後は178℃、7分経過後は153℃、8分経過後は135℃に下降した。このようなホットプレートの温度変化の下、シリコン支柱からなる脚体7aの表面温度は、1分経過後は127℃、2分経過後は210℃、3分経過後は244℃に上昇し、その後ホットプレート8の加熱が停止されたため、4分経過後は208℃、5分経過後は181℃、6分経過後は150℃、7分経過後は129℃、8分経過後は117℃まで下降した。
【0065】
このような条件下において、1分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は46.5℃、部位2は43℃、部位3は95℃、部位4は43℃、部位5は37℃であった。2分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は90℃、部位2は80℃、部位3は177℃、部位4は75.5℃、部位5は65℃であった。3分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は122℃、部位2は126℃、部位3は250℃、部位4は124℃、部位5は97℃であった。4分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は120℃、部位2は110℃、部位3は236℃、部位4は124℃、部位5は107℃であった。5分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は106℃、部位2は110℃、部位3は196℃、部位4は117℃、部位5は101℃であった。6分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は94℃、部位2は96℃、部位3は162℃、部位4は102℃、部位5は90℃であった。また、7分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は80℃、部位2は83℃、部位3は142℃、部位4は91℃、部位5は79℃であった。更に、8分経過後における容器1の各部位における温度は、部位1は71.5℃、部位2は74℃、部位3は125℃、部位4は83℃、部位5は74.5℃であった。
【0066】
この支持部材7では、2〜3分経過した時点(脚体7aの温度は220℃前後)で脚体7aが乳白色に変色した。しかしながら、支持部材7で支持された容器1の脚体1dは、脚体7aが200℃以上に熱くなっても溶けていなかった。従って、このような使用形態において容器1を使用することにより、食事の期間中、容器1に変形を生ずることなく正常な状態で使用することができ、チーズフォンデュ等を十分に味わうことが可能である。なお、この実施例においては、容器1の底面部1aの下側に蓄熱部28が形成されているため、その蓄熱部28の熱によって底面部1aが加熱されることから、容器1の収納凹部9に収納されているチーズの温度が低下するのを抑制することができる。また、蓄熱部28から熱通路29を経て外部に放出された熱の一部が容器1の側面部1bを伝わって外部に放出される場合にも、その熱によって容器1内のチーズの温度低下を抑制することができる。
【0067】
次に、チーズフォンデュ(検証対象1、検証対象2)について加熱検証する。
(1)検証の目的
加熱時間からチーズフォンデュの温度変化によるチーズの状態を見る。
(2)検証方法
(イ)容器にチーズフォンデュの素(30g)を入れ、電子レンジ(600W)で20秒〜50秒の加熱を行い、チーズの状態を見る。
(ロ)電子レンジから容器を取り出した後、室内に放置してチーズ自体の温度変化を10秒毎に2分(120秒)間測定する。
(3)使用機器
日立オーブンレンジMRO−FA4(600W)(株式会社日立製作所製)
【0068】
(1)検証対象1
エミーフォンデュ(原産国スイス、輸入者:チェスコ株式会社)
種類別:乳等を主要原料とする食品
原材料名:ナチュラルチーズ、白ワイン、ポテトスターチ、キルシュブランデー、食塩、香辛料、乳化剤
(2)検証条件
加熱時間を、20秒、30秒、40秒、50秒の4段階に分けて測定した。
この検証の結果を図21及び図22に示す。容器は、前述した図1A等に示す形状・構成を有するもので、その軟化点は140℃〜160℃である。検証環境は、室温25.2℃、湿度50%であった。
【0069】
(イ)加熱時間が20秒の場合
図21及び図22に示すように、加熱開始から20秒後の温度(初期値)は66.0℃であった。更に、10秒後の温度は59.0℃、20秒後は54.5℃、30秒後は53.5℃、40秒後は51.0℃,50秒後は49.0℃、60秒後は49.0℃、70秒後は48.0℃、80秒後は47.0℃、90秒後は47.0℃、100秒後は46.5℃、110秒後は46.5℃であって、120秒後は46.0℃であった。
【0070】
この検証対象1に使用したチーズフォンデュは、レンジの加熱時間が20秒の場合、全体的に粘り気が出て、かき混ぜるときにやや抵抗感を感じた。このチーズの状態では、風味が劣り、チーズフォンデュとして食するには不適当であった。なお、容器を放置した時点(66.0℃)から20秒経過後の時点(54.5℃)までの範囲は、チーズフォンデュを食するのに好適な範囲内の値を示しているが、この範囲E(66.0℃)及び範囲F1(59.0℃、54.5℃(四捨五入で55℃))においては、当初のチーズ加熱時間が不十分であるため味が劣るが、チーズフォンデュとして食するのに問題はなかった。
【0071】
(ロ)加熱時間が30秒の場合
図21及び図22に示すように、加熱開始から30秒後の温度(初期値)は83.5℃であった。更に、10秒後の温度は81.5℃、20秒後は80.0℃、30秒後は78.5℃、40秒後は77.5℃,50秒後は77.5℃、60秒後は76.0℃、70秒後は75.0℃、80秒後は74.0℃、90秒後は74.0℃、100秒後は73.0℃、110秒後は72.5℃であって、120秒後は71.5℃であった。
【0072】
この検証対象1に使用したチーズの状態は、レンジの加熱時間が30秒の場合、全体的に沸騰し、気泡が発生して、溶けたチーズの好い香りがした。そして、全体的にチーズのとろみが出て熱を帯びており、範囲F2(83.5℃、81.5℃)及び範囲E(80.0℃〜71.5℃)は食するのに好適な状態であった。
【0073】
(ハ)加熱時間が40秒の場合
図21及び図22に示すように、加熱開始から40秒後の温度(初期値)は86.0℃であった。更に、10秒後の温度は86.0℃、20秒後は84.0℃、30秒後は83.5℃、40秒後は82.5℃,50秒後は82.0℃、60秒後は81.5℃、70秒後は80.5℃、80秒後は80.5℃、90秒後は79.5℃、100秒後は78.5℃、110秒後は78.0℃であって、120秒後は77.5℃であった。
【0074】
この検証対象1に使用したチーズの状態は、レンジの加熱時間が40秒の場合、全体的に沸騰し、気泡が発生して、溶けたチーズの好い香りがした。そして、全体的にチーズのとろみが出て熱を帯びており、範囲F2(86.0℃〜80.5℃)及び範囲E(79.5℃〜77.5℃)は全体として食するのに好適な状態であった。
【0075】
(ニ)加熱時間が50秒の場合
図21及び図22に示すように、加熱開始から50秒後の温度(初期値)は87.0℃であった。更に、10秒後の温度は85.0℃、20秒後は84.5℃、30秒後は82.5℃、40秒後は82.5℃,50秒後は82.5℃、60秒後は80.5℃、70秒後は80.5℃、80秒後は80.5℃、90秒後は78.5℃、100秒後は77.5℃、110秒後は75.0℃であって、120秒後は74.0℃であった。
【0076】
この検証対象1に使用したチーズの状態は、レンジの加熱時間が50秒の場合、チーズの粘り気が無くなり、沸騰してチーズの周りから油分が出始めた。また、容器を放置した時点(87.0℃)から80秒経過後の時点(80.5℃)までの範囲F2及び90秒経過後の時点(78.5℃)から120秒経過後の時点(74.0℃)までの範囲Eは、チーズフォンデュとして食するのに可能な範囲内の値を示しているが、この場合には、当初のチーズ加熱時間が長すぎたためにチーズに粘り気がなくなったもので、チーズフォンデュとして食するのに問題はなかった。
【0077】
結論として、検証対象1のチーズフォンデュでは、30秒乃至40秒加熱してから食するのが最も適切であると判断される。この場合、チーズフォンデュとして食するのに可能な温度範囲(E+F1+F2)は55℃以上95℃以下であり、特に、食するのに好適な温度範囲(最良の範囲)Eは60℃以上80℃以下であると考えられる。
【0078】
(2)検証対象2
あったかとろりのチーズフォンデュ(小岩井乳業株式会社製)
種類別:プロセスチーズ
原材料名:ナチュラルチーズ、バター、乳化剤、pH調整剤
(2)検証条件
加熱時間を、20秒、30秒、40秒、50秒の4段階に分けて測定した。
この検証の結果を図23及び図24に示す。容器は、前述した図1A等に示す形状・構成を有するもので、その軟化点は140℃〜160℃である。検証環境は、室温26℃、湿度64%であった。
【0079】
(イ)加熱時間が20秒の場合
図23及び図24に示すように、加熱開始から20秒後の温度(初期値)は70.0℃であった。更に、10秒後の温度は62.0℃、20秒後は59.0℃、30秒後は57.0℃、40秒後は52.0℃,50秒後は51.5℃、60秒後は50.5℃、70秒後は50.0℃、80秒後は49.5℃、90秒後は49.0℃、100秒後は48.0℃、110秒後は46.5℃であって、120秒後は44.5℃であった。
【0080】
この検証対象2に使用したチーズの沸点は90℃前後であるのに対し、20秒加熱後の温度が70.0℃であったため、チーズの状態は全体的に粘り気が少なく、かき混ぜるときに抵抗感がない状態であったが、溶けて全体的になじんだ状態ではあった。結論として、この温度条件においては、チーズから油分が出てしまい、チーズフォンデュとして風味に欠け、好ましいものではなかった。なお、容器を放置した時点(70.0℃)から10秒経過した時点(62.0℃)までの範囲E及び20秒経過した時点(59.0℃)から30秒経過した時点(57.0℃)までの範囲F1は、チーズフォンデュとして食するのに可能な範囲内の値を示しており、当初の加熱時間が不十分ではあるが、食するのに問題はなかった。
【0081】
(ロ)加熱時間が30秒の場合
図23及び図24に示すように、加熱開始から30秒後の温度(初期値)は89.0℃であった。更に、10秒後の温度は82.0℃、20秒後は76.0℃、30秒後は71.5℃、40秒後は68.0℃,50秒後は67.0℃、60秒後は66.0℃、70秒後は63.0℃、80秒後は62.5℃、90秒後は60.0℃、100秒後は59.0℃、110秒後は58.5℃であって、120秒後は58.0℃であった。
【0082】
この検証対象2に使用したチーズの沸点が90℃前後であるのに対し、30秒加熱後の温度が89.0℃であったため、チーズの状態は全体的に沸騰し、気泡が発生して、溶けたチーズの好い香りがした。そして、全体的にチーズのとろみが出て熱を帯びており、範囲F2(89.0℃〜82℃)、範囲E(76.0℃〜60.0℃)及び範囲F1(59.0℃〜58.0℃)の温度範囲は、全体として食するのに好適な状態であった。
【0083】
(ハ)加熱時間が40秒の場合
図23及び図24に示すように、加熱開始から40秒後の温度(初期値)は92.0℃であった。更に、10秒後の温度は89.0℃、20秒後は88.0℃、30秒後は87.0℃、40秒後は85.5℃,50秒後は84.0℃、60秒後は83.5℃、70秒後は81.5℃、80秒後は81.0℃、90秒後は79.5℃、100秒後は78.0℃、110秒後は73.0℃であって、120秒後は71.0℃であった。
【0084】
この検証対象2に使用したチーズの沸点が90℃前後であるのに対し、40秒加熱後の温度が92.0℃であったため、チーズの状態は更に沸騰し、気泡が更に発生して、チーズの溶け具合が更に良くなり、香りが増した。しかし、全体的にチーズの表面にやや油分が出たが、範囲F2(92.0℃〜81.0℃)及び範囲E(79.5℃〜71.0℃)の温度範囲は、全体として食するのに好適な状態であった。
【0085】
(ニ)加熱時間が50秒の場合
図23及び図24に示すように、加熱開始から50秒後の温度(初期値)は91.5℃であった。更に、10秒後の温度は86.5℃、20秒後は86.5℃、30秒後は85.5℃、40秒後は85.5℃,50秒後は85.0℃、60秒後は84.5℃、70秒後は84.0℃、80秒後は83.5℃、90秒後は82.5℃、100秒後は81.5℃、110秒後は80.0℃であって、120秒後は78.0℃であった。
【0086】
この検証対象2に使用したチーズの沸点が90℃前後であるのに対し、50秒加熱後の温度が91.5℃であった。チーズの状態は粘り気が無くなり、沸騰してチーズの周りから油分が出始めた。また、容器を放置した時点(91.5℃)から100秒経過後の時点(81.5℃)までの範囲F2及び110秒経過後の時点(80.0℃)から120秒経過後の時点(78.0℃)までの範囲Eは、チーズフォンデュとして食するのに可能な範囲内の値を示しているが、この場合には、当初のチーズ加熱時間が長すぎたためにチーズに粘り気がなくなったもので、チーズフォンデュとして食するのに問題はなかった。
【0087】
検証対象2のチーズフォンデュにおいては、30秒乃至40秒加熱してから食するのが最も適切であると判断される。この場合にも、チーズフォンデュとして食するのに可能な温度範囲(E+F1+F2)は55℃以上95℃以下であり、特に、食するのに好適な温度範囲(最良の範囲)Eは60℃以上80℃以下であると考えられる。
なお、チーズの種類としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
エメンタール、グリエール、コンテ、フォンティーナ、サムソー、マリボー、カマンベール、モンドール等
【0088】
次に、支持部材4、支持部材5及び支持部材6を使用した場合における容器内のチーズフォンデュの加熱状態を検証する。
(1)検証方法
(イ)容器にチーズ(30g)を充填し、電子レンジ(600W)で30秒加熱する。
(ロ)電子レンジから取り出した後、ホットプレートの上でチーズの温度変化を30秒毎に8分(480秒)間測定する。
(ハ)開始時(0分)、4分経過後、8分経過後のチーズ状態を観察した。
(2)検証対象
図3A〜3Dに示した支持部材(B段ボール)4、図4A〜4Dに示した支持部材(B段ボール)5、及び図5A〜5Dに示した支持部材(B段ボール)の3種類の支持部材である。この検証の結果を図25に示す。
(3)その他
使用チーズフォンデュ エミーフォンデュ(原産国スイス、輸入者:チェスコ株式会社)
使用機器 日立オーブンレンジMRO−FA4(600W)
設定温度 140℃
容器は、図3図5の各図に示すもので、その軟化点は140℃〜160℃である。
検証環境 室温:26.7℃、湿度:54%
【0089】
図25に示すように、支持部材4の場合、ホットプレート8の表面から容器1の脚部1dまでの高さを30mmにした。電子レンジで30秒加熱した時(初期値0分)のチーズフォンデュの温度は87℃であった。この状態から、30秒後の温度は73℃、60秒後の温度は64℃、90秒後の温度は64℃、120秒後の温度は65℃、150秒後の温度は65℃、180秒後の温度は66℃、210秒後の温度は66℃、240秒後の温度は67℃、270秒後の温度は67℃、300秒後の温度は58℃、330秒後の温度は58℃、360秒後の温度は58℃、390秒後の温度は63℃、420秒後の温度は61℃、450秒後の温度は64℃、そして、480秒後の温度は63℃であった。
【0090】
この支持部材4で支持された容器1に収納されているチーズフォンデュの状態は、初期時(0分)はチーズフォンデュに適している状態であった。そして、4分経過後にもチーズフォンデュに適している状態に変わりは無く、8分経過後においてもチーズフォンデュに適している状態に変わりは無かった。従って、この支持部材4を使用する場合には、チーズフォンデュをある温度(例えば87℃)まで加熱した後、少なくとも8分間はチーズフォンデュを美味しく食することができることが明確になった。なお、この実施例においては、容器1の底面部1aの下側に蓄熱部18が形成されているため、その蓄熱部18の熱によって底面部1aが加熱されるため、これにより容器1の収納凹部9に収納されているチーズの温度が低下するのを抑制することができる。
【0091】
図25に示すように、支持部材5の場合、ホットプレート8の表面から容器1の脚部1dまでの高さを30mmにした。電子レンジで30秒加熱した時(初期値0分)のチーズフォンデュの温度は87℃であった。この状態から、30秒後の温度は66℃、60秒後の温度は63℃、90秒後の温度は64℃、120秒後の温度は66℃、150秒後の温度は65℃、180秒後の温度は65℃、210秒後の温度は67℃、240秒後の温度は67℃、270秒後の温度は61℃、300秒後の温度は60℃、330秒後の温度は59℃、360秒後の温度は59℃、390秒後の温度は62℃、420秒後の温度は59℃、450秒後の温度は62℃、そして、480秒後の温度は62℃であった。
【0092】
この支持部材5で支持された容器1に収納されているチーズフォンデュの状態は、初期時(0分)はチーズフォンデュに適している状態であった。そして、4分経過後は少し硬くなったが、チーズフォンデュに適している状態に変わりは無かった。また、8分経過後にも状態の変化は無く、チーズフォンデュに適している状態であった。従って、この支持部材5を使用する場合には、チーズフォンデュをある温度(例えば87℃)まで加熱した後、少なくとも8分間はチーズフォンデュを美味しく食することができることが明確になった。なお、この実施例においては、容器1の底面部1aの下側に蓄熱部22が形成されており、その蓄熱部22の熱によって底面部1aが加熱されるため、容器1の収納凹部9に収納されているチーズの温度が低下するのを抑制することができる。また、蓄熱部22から熱通路23を経て外部に放出された熱の一部が容器1の側面部1bを伝わって外部に放出されるため、その熱によって容器1内のチーズの温度低下を抑制することができる。
【0093】
図25に示すように、支持部材6の場合、ホットプレート8の表面から容器1の脚部1dまでの高さを35mmにした。電子レンジで30秒加熱した時(初期値0分)のチーズフォンデュの温度は87℃であった。この状態から、30秒後の温度は67℃、60秒後の温度は68℃、90秒後の温度は69℃、120秒後の温度は68℃、150秒後の温度は67℃、180秒後の温度は70℃、210秒後の温度は71℃、240秒後の温度は67℃、270秒後の温度は64℃、300秒後の温度は58℃、330秒後の温度は58℃、360秒後の温度は57℃、390秒後の温度は58℃、420秒後の温度は58℃、450秒後の温度は60℃、そして、480秒後の温度は59℃であった。
【0094】
この支持部材6で支持された容器1に収納されているチーズフォンデュの状態は、初期時(0分)はチーズフォンデュに適している状態であった。そして、4分経過後にも適している状態に変わりは無かった。更に、8分経過後にもチーズフォンデュに適している状態に変わりは無かった。従って、この支持部材6を使用する場合には、少なくとも8分以上はチーズフォンデュを美味しく食することができることが明確になった。なお、この実施例においては、容器1の底面部1aの下側に蓄熱部24が形成されており、その蓄熱部24の熱によって底面部1aが加熱されるため、これにより容器1の収納凹部9に収納されているチーズの温度が低下するのを抑制することができる。
【0095】
結論として、チーズフォンデュとして食するのに可能な温度範囲(E+F1+F2)は55℃以上95℃以下であり、特に、美味しく食することができる好適な温度範囲(最良の範囲)Eは60℃以上80℃以下である。また、上述した各種の検証から明らかなように、熱板(ホットプレート)の表面から容器までの距離は2.45mmから35mmの範囲内に設定することが、チーズフォンデュを好ましい温度範囲内に安定的に維持できることが明確になった。
【0096】
以上説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、均等の範囲内で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された発明の範囲において様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0097】
1…容器、 1a…底面部、 1b…側面部、 1d…脚部、 2,3,4,5,6,7…支持部材、 2a…単一板体、 2b…複合板体、 3a…単一座穴付板体、 3b…複合座穴付板体、 7a…脚体、 8…ホットプレート(熱板)、 9…収納凹部、 10…座穴、 15,18,22,24,28…蓄熱部、 23,25,29…熱通路
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