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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-173880(P2015-173880A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】回胴式遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20150908BHJP
【FI】
   A63F5/04 511A
   A63F5/04 512D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-53616(P2014-53616)
(22)【出願日】2014年3月17日
(71)【出願人】
【識別番号】595112915
【氏名又は名称】株式会社ヤマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠勉
【テーマコード(参考)】
2C082
【Fターム(参考)】
2C082AA02
2C082BA02
2C082BA22
2C082BB02
2C082BB16
2C082BB78
2C082BB83
2C082BB93
2C082BB94
2C082BB96
2C082CA02
2C082CA23
2C082CB04
2C082CB23
2C082CB33
2C082CB44
2C082CC01
2C082CC11
2C082CC12
2C082CD12
2C082CD18
2C082CD31
2C082CD41
2C082DA52
2C082DA54
(57)【要約】
【課題】 複数のリールによる表示図柄を遊技者に対して移動させる演出を与える表示装置を含む回胴式遊技機において、簡便な機構で且つ振動やこれに伴う動作音の発生を抑制できるリールの移動機構を組み込んだ回胴式遊技機の提供。
【解決手段】 リールの表面に描かれた図柄の並びによって遊技結果を表示させる表示装置を含む回胴式遊技機であって、リールとこれを回転駆動させるための駆動機構とを含むリールユニットと、リールユニットを吊り下げて複数並べ収容する収容枠と、収容枠を支持する基台と、を含み、前記リールを前記基台に対して相対的に移動せしめる駆動機構を有することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールの表面に描かれた図柄の並びによって遊技結果を表示させる表示装置を含む回胴式遊技機であって、
前記リールとこれを回転駆動させるための回転駆動機構とを含むリールユニットと、
前記リールユニットを吊り下げて複数並べ収容する収容枠と、
前記収容枠を支持する基台と、を含み、
前記リールを前記基台に対して相対的に移動せしめる駆動機構を有することを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記基台に対して前記収容枠を左右方向に揺動せしめる収容枠揺動駆動機構を含むことを特徴とする請求項1記載の回胴式遊技機。
【請求項3】
前記収容枠は、上部に揺動軸を有するとともに、下部に設けられた摺動溝内に前記基台に設けられた摺動ピンを収容させて前記揺動軸の周りで揺動することを特徴とする請求項2記載の回胴式遊技機。
【請求項4】
前記収容枠揺動機構はクランク機構により前記収容枠を揺動せしめることを特徴とする請求項2又は3に記載の回胴式遊技機。
【請求項5】
前記駆動機構は、前記収容枠に取り付けられる軸体支持部材に取り付けられた吊下軸に前記リールユニットを吊下して前記収容枠に対して前後に揺動せしめるリールユニット揺動駆動機構をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載の回胴式遊技機。
【請求項6】
前記リールユニット揺動駆動機構はクランク機構により前記リールユニットを揺動せしめることを特徴とする請求項5記載の回胴式遊技機。
【請求項7】
前記駆動機構は、前記軸体支持部材を前記収容枠に対して上下に移動せしめる上下駆動機構をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のうちの1つに記載の回胴式遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のリールをそれぞれ回動させ該リール表面に描かれた図柄の並びによって遊技結果を表示させる表示装置を含む回胴式遊技機に関し、特に、リールの回転以外の演出を与えることの可能な表示装置を含む回胴式遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチスロ機と称される回胴式遊技機においては、複数のリールをそれぞれ回転させ、これを停止させて該リールの表面に描かれた図柄の並びを遊技者に向けて表示させてゲームの結果等を該遊技者に告知している。かかるリールを含む表示装置では、該リールの回転に加えて各種の演出を与えて遊技者の興趣を高めようとすることが多く提案されており、特に、リールを移動等させて演出を与え得る表示装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、リールによる表示図柄を左右に移動させる演出を行い得る遊技機が開示されている。左右に延びる回転軸上には3つの小径リールが同軸回転するように取り付けられている。この回転軸に沿って小径リールの外側には大径リールが配置されており、該回転軸と平行に移動自在である。つまり、大径リールの外周に描かれた図柄が左右に移動し、大径リールが小径リールを覆う位置まで該回転軸に沿って移動すると、大径リールの図柄が遊技者に視認されるようになるのである。かかる演出のための機構において、大径リールは、回転軸と平行なフレームに取り付けられたスライダーに懸下されて取り付けられており、内部に収容された回転駆動機構により自転しながら、駆動機構によってスライダーに沿って移動するのである。
【0004】
また、リールによる表示図柄を遊技者に対して前後に移動させる演出を行い得る表示装置を含む回胴式遊技機も提案されている。ここでは同軸回転する複数のリールについて、所定のタイミングで各リールの回転軸を前後にずらすことができるような各種機構が採用され得る。
【0005】
例えば、特許文献2では、併置されて回転する複数のリールの表面に描かれた図柄をそれぞれ前後に移動させることで、停止後のリール表面の図柄の並びがリーチ目であることを報知するなどの演出を行い得る遊技機を開示している。かかる演出のための機構において、回転駆動機構を含む複数のリールユニットを左右に並べて保持するリール枠体を設け、筐体と該リール枠体との間に送りねじ機構を与え、リール枠体と各リールユニットとの間にラック・アンド・ピニオン機構を与えている。つまり、リール枠体が筐体に対して前後に直線移動できるとともに、各リールユニットがリール枠体に対してそれぞれ独立して前後方向に直線移動できるのである。
【0006】
更に、特許文献3では、表示面に沿って縦3列×横3列に配置された9つのリールについて、この上に描かれた図柄のそれぞれを前後方向に移動させて、図柄の並び(組み合わせ)に関する情報を報知しようとする演出を行い得る遊技機が開示されている。ここでは、各リールユニットが遊技機の筐体に固定されたブラケットに対して前後にスライド可能とされた取付板に組み合わせられており、直動モータによって前後方向に直線移動するのである。これによって、リール表面に描かれた図柄の表示位置をリールごとに前後にずらすことができ、例えば、中央のリール表面の図柄の表示位置だけを後退させることで、他のリール表面の図柄のみが組み合わせについて用いられることを報知するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−172167号公報
【特許文献2】特開2004−215843号公報
【特許文献3】特開2007−29275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数のリールによる表示図柄を遊技者に対して左右及び/又は前後に移動させる演出を行うには、各リールの回転駆動機構と干渉しないように移動機構を設ける必要がある。また、移動機構が複雑になると、動作が不安定になったり、製造コストを上昇させることになり、更に、振動やこれに伴う動作音が発生しやすくなる。
【0009】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数のリールによる表示図柄を遊技者に対して移動させる演出を与える表示装置を含む回胴式遊技機において、簡便な機構で且つ振動やこれに伴う動作音の発生を抑制できるリールの移動機構を組み込んだ回胴式遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による回胴式遊技機は、リールの表面に描かれた図柄の並びによって遊技結果を表示させる表示装置を含む回胴式遊技機であって、前記リールとこれを回転駆動させるための回転駆動機構とを含むリールユニットと、前記リールユニットを吊り下げて複数並べ収容する収容枠と、前記収容枠を支持する基台と、を含み、前記リールを前記基台に対して相対的に移動せしめる駆動機構を有することを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、リールがリールユニットを介して吊り下げられていることにより、リールを移動させて行う各種の演出を簡便な機構で可能とするとともに、振動やこれに伴う動作音の発生を抑制できる。
【0012】
上記した発明において、前記駆動機構は、前記基台に対して前記収容枠を左右方向に揺動せしめる収容枠揺動駆動機構を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、リール表面の図柄を遊技者に対して左右に移動させる演出をリールの左右の揺動の機構で行い得て、演出のバリエーションを増やすことができる。ここで、リールユニットを複数並べて外側からこれを収容し重量の大きくなりがちな収容枠は、左右方向に揺動させられるので、比較的単純な機構で振動や動作音の発生を抑制できる。つまり、比較的単純な機構であって振動や動作音の発生を抑制しつつ、リール表面の図柄による演出のバリエーションを増やし得るのである。
【0013】
上記した発明において、前記収容枠は、上部に揺動軸を有するとともに、下部に設けられた摺動溝内に前記基台に設けられた摺動ピンを収容させて前記揺動軸の周りで揺動することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、少なくとも左右方向に揺動させられる収容枠について、基台に対して支持することで、収容枠駆動機構の出力を低減できるとともに、振動や動作音の発生を抑制し得るのである。
【0014】
上記した発明において、前記収容枠揺動機構はクランク機構により前記収容枠を揺動せしめることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、比較的単純な機構で揺動運動を与えることができて、振動や動作音の発生を抑制し得るのである。
【0015】
上記した発明において、前記駆動機構は、前記収容枠に取り付けられる軸体支持部材に取り付けられた吊下軸に前記リールユニットを吊下して前記収容枠に対して前後に揺動せしめるリールユニット揺動駆動機構をさらに含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、リール表面の図柄を遊技者に対して前後に移動させる演出を独立したリールの前後の揺動の機構で行い、演出のバリエーションをさらに増やすことができる。ここで、回転するリールを含むリールユニットは、吊下げ軸に吊り下げられて揺動するので、比較的単純な機構で振動や動作音の発生を抑制できる。つまり、比較的単純な機構であって振動や動作音の発生を抑制しつつ、リール表面の図柄による演出のバリエーションを増やし得る。
【0016】
上記した発明において、前記リールユニット揺動駆動機構はクランク機構により前記リールユニットを揺動せしめることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、比較的単純な機構で揺動運動を与えることができて、振動や動作音の発生を抑制し得るのである。
【0017】
上記した発明において、前記駆動機構は、前記軸体支持部材を前記収容枠に対して上下に移動せしめる上下駆動機構をさらに含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、リール表面の図柄を遊技者に対して上下に移動させる演出を独立したリールの上下の移動の機構で行い、演出のバリエーションをさらに増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による遊技機で行われ得る演出を示す図である。
図2】本発明による遊技機の正面図である。
図3】本発明による遊技機の要部の正面図である。
図4】本発明による遊技機の要部の側面図である。
図5】本発明による遊技機の要部の正断面図である。
図6】本発明による遊技機の要部の側面(一部断面)図である。
図7】本発明による遊技機の要部の(a)分解側面図、及び(b)分解正面図である。
図8】遊技機の制御機構を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による1つの実施例としての回胴式遊技機について説明する。まず、行い得る演出について、図1を用いて説明する。
【0020】
図1(a)に示すように、リール表面に描かれた図柄47をリールの回転とは別に、上下に移動させる演出を行い得る。ここで、図柄47は遊技機の表示窓19を介して遊技者に視認される。例えば、リールの停止後に、「はずれ」を表示する図柄47の並びから、リールを回転させず図柄47を上下に移動させ、「あたり」を表示する図柄47の並びに変化させるような演出である。
【0021】
また、図1(b)に示すように、例えば、表示窓19内の上方にある図柄47を右に、下方にある図柄47を左に移動させ、つまり図柄47を左右に移動させる演出を行い得る。例えば、回転表示されている図柄47の回転移動方向を右上から左下を向くように傾かせ、これを遊技者に有利となる押し順の報知に用いることができる。左→中央→右の押し順でいわゆる順押しを報知し、表示窓19の上部に備えられた画像表示部9にも順押しであることを報知する表示などを合わせて行い得る。
【0022】
さらに、図1(c)に示すように、図柄47を前後に移動させる演出を行い得る。例えば、左、中央、右の3つのリールのうち、中央のリールに描かれた図柄47を他の図柄47よりも後側(遊技者から見て奥側)に位置させるよう、リールの停止後に図柄47の並びを表示させることができる。つまり、図柄47の並びは前後にずれている。そして、図柄47を前後に移動させる演出を行って、ずれのない図柄47の並びを表示させる。これにより、前後にずれている場合とずれていない場合とで異なる入賞役とし、図柄47の並びの組み合わせを増やし得る。
【0023】
次に、上記した演出を行い得る回胴式遊技機について、図2乃至図7を用いてその詳細を説明する。
【0024】
図2に示すように、遊技機1は回胴式遊技機であり、筐体2の前面上部の表示面3と前面下部の下パネル4とを含む。表示面3と下パネル4との間には、メダル投入口11、レバー12、3つのストップボタン13、ベットボタン14、マックスベットボタン15、演出ボタン16、精算ボタン17などの操作系を有する操作部10を備える。下パネル4の下方、すなわち筐体2の前面下にはメダル受け皿5を備え、メダル受け皿5の奥側壁面には演出等に用いられるスピーカ8を備える。また、筐体2の上端部前面や側端部前面には演出等に用いられるランプ類6を備える。表示面3の上部には液晶パネルからなる画像表示部9を備え、その下部の表示窓19の後方にリール駆動部20を備える。
【0025】
リール駆動部20は、リール45を回転駆動させる機構を含むリールユニット40を3つ収容している。各リール45の表面には各ゲームの遊技結果としての入賞役を表示させるための図柄47(図1参照)が描かれており、表示窓19を介して視認可能とされている。リール駆動部20は操作部10のレバー12の操作に応じて各リール45を回転させ、ストップボタン13の操作に応じて内部抽選役に基づいた停止位置で停止させる。
【0026】
図3に示すように、リール駆動部20は主として底面壁体22と背面壁体23からなる基台21と、基台21に支持される収容枠30と、収容枠30に並べて収容される3つのリールユニット40とを含む。
【0027】
図4を併せて参照すると、収容枠30は、天板31と、底板32と、背面板33とこれらを左右端部で上下に連結するよう前後でそれぞれ対となった柱34とを含む。背面板33は略中央の上端部近傍において前後方向に延びる揺動軸に沿った揺動軸体35を介して基台21の背面壁体23によって軸支される。つまり、収容枠30は揺動軸体35に吊り下げられる。収容枠30はさらにその左右端部で底板32と背面板33と前後の柱34とを連結する補強板36を含む。収容枠30は、さらにリールユニット40のそれぞれの右側において上下に延びて天板31と底板32とを接続する柱状レール38を含む。柱状レール38は前後で対になっており、対となった柱状レール38同士で相対する側の面に上下に延びる溝38aを有している(図3図6を併せて参照)。
【0028】
収容枠30の底板32はその前方端から下方に延びる垂下部32aを有し、垂下部32aを介して前方に突出した位置の揺動補助板37に接続される。揺動補助板37は前後方向に対して略垂直な面を主面として有する板状体であり、略中央に横方向に延びて下に凸となる曲線に沿った摺動溝37aを有し、左右の下端を下に凸となる曲線とする支持端37bを有する。摺動溝37a及び支持端37bの下に凸となる曲線は、揺動軸体35の揺動軸を中心とした円の一部である。また、摺動溝37aには基台21の底面壁体22から上方に延びる支持部材24に支持されて前方に延びる摺動軸25が摺動自在に係合している。さらに、左右の支持端37bは支持部材24に取り付けられて前後方向に向いた回転軸により回転自在なローラ26にそれぞれ支持されている。つまり、収容枠30は揺動軸体35の揺動軸を中心として左右に揺動自在であるとともに、揺動補助板37を介して前方端の下側を摺動軸25及びローラ26に支持されている。これにより、収容枠30の重量による揺動軸体35への荷重を低減させて、収容枠30の揺動に伴う動作音を低減することができる。
【0029】
図4図5を併せて参照すると、背面板33の中央下部には下側に延びる舌状部材33aが接続されている。舌状部材33aは中央に上下方向に延びるスリット33bを有している。また、舌状部材33aの前方にはこれと対向するように円板体39bが備えられ、底面壁体22に固定された収容枠揺動モータ39aにより回転可能に支持されている。円板体39bにはピン39cが後方に向けて突出するように植設されており、スリット33bに摺動自在に貫挿されている。つまり、収容枠揺動モータ39aにより円板体39bを回転させることでピン39cを介して舌状部材33aを左右に移動させることができ、これにより収容枠30を揺動軸体35の揺動軸を中心に左右に揺動させ得る。
【0030】
再び図3図6を併せて参照すると、上記したように、上下に延びて前後で対になった柱状レール38は、相対する面に開口し上下に延びる溝38aを有する。対となった柱状レール38の間には、上下に延びる板状の軸体支持部材41が備えられ、その前後の端部を溝38aに対して係合させることで上下に摺動自在とされている。
【0031】
図6(b)に示すように、軸体支持部材41には、底板32の図示しない貫通窓に貫挿されて下方に突出する舌状部材41aが設けられている。舌状部材41aは下端近傍に略水平に延びるスリット41bを有している。また、舌状部材41aの左側(図6(b)では紙面手前側)にはこれと対向するように円板体32cが備えられ、底板32に固定された軸体支持部材摺動モータ32bにより回転可能に支持されている。円板体32cにはピン32dが右方(図6(b)では紙面奥側)に向けて突出するように植設されており、スリット41bに摺動自在に貫挿されている。つまり、軸体支持部材摺動モータ32bにより円板体32cを回転させることで、ピン32dを介して舌状部材41aを上下に往復動させることができ、これにより軸体支持部材41を上下に摺動させ得る。よって、後述するように軸体支持部材41に取り付けられるリールユニット40を上下に往復直線運動させることができる。
【0032】
図7に示すように、軸体支持部材41の上方端近傍には左右方向(図7(a)紙面手前奥方向)に延びる揺動軸を有する吊下軸体42を備える。吊下軸体42には軸体支持部材41と平行な板状体であるリール取付板43が前後方向(図7(a)紙面左右方向)に揺動自在に吊り下げられる。リール取付板43の吊下軸42より下方には、左右方向に向いた回転軸を有しリール45を回転させるステッピングモータ44が取り付けられる。リール取付板43の下端には、下側に延びる舌状部材43aが接続されている。舌状部材43aは中央に上下方向に延びるスリット43bを有している。また、舌状部材43aの右方(図7(b)参照)には、これと対向するように軸体支持部材41によって軸支された円板体46aが備えられ、軸体支持部材41に固定されたリールユニット揺動モータ46bにギア等を介して接続されている。円板体46aにはピン46cが左方に向けて突出するように植設されており、スリット43bに摺動自在に貫挿されている。つまり、リールユニット揺動モータ46bにより円板体46aを回転させることでピン46cを介して舌状部材43aを前後に移動させることができ、これによりステッピングモータ44とともにリール45を吊下軸体42の揺動軸を中心として前後に揺動させ得る。つまり、リール取付板43、ステッピングモータ44、リール45を含むリールユニット40が吊下軸体42に吊り下げられるように軸支されて前後方向に揺動可能である。
【0033】
次に、遊技機1に備えられる制御システムについて図8を用いて説明する。
【0034】
図8に示すように、主制御部50は、図示しないメインCPU、ROM、RAMなどを含み、ROMに記憶されたプログラムに従い、後述する各種操作系からの入力信号に応じて動作する。主制御部50は副制御部51や、電源基板52及びリール制御基板53に接続されるとともに、各種操作系及び表示系に接続される。操作系としては、メダル投入口11から投入された遊技用のメダルを受け付けるセレクタ11’、レバー12、3つのストップボタン13、ベットボタン14、マックスベットボタン15、精算ボタン17などが挙げられる。表示系としては、BET数やリプレイ入賞などを表示する各種遊技用LED63、メダルのクレジット数の表示や払い出し枚数の表示などを行う各種遊技用表示器64が挙げられる。これにより、主制御部50は、操作系の操作に応じてゲーム毎に内部抽選役を決定し、副制御部51及びリール制御基板53に向けて必要な出力を行いつつ、表示系への出力を行い、各ゲームの進行を司る。
【0035】
電源基板52はホッパー装置61や、主電源装置62に接続されている。これにより、主制御部50は、電源装置基板52を介してホッパー装置61を動作させ、メダルの払い出しを行うことができる。
【0036】
リール制御基板53は、リールユニット40の各リールを動作させるステッピングモータ44に接続される。これにより、主制御部50は、リール制御基板53を介して各ステッピングモータ44を動作させることで各リール45を所定の速度で回転させ、内部抽選役に基づいた所定の位置で停止させることができる。
【0037】
副制御部51は、図示しないサブCPU、ROM、RAMなどを含み、ROMに記憶されたプログラムに従い、主として主制御部50からの入力に応じて動作する。副制御部51は、リール駆動部制御基板54及び演出画像制御基板55に接続されるとともに、演出用のランプ類6、スピーカ8、演出ボタン16に接続される。これにより、副制御部51は、主制御部50から入力される内部抽選役を示す信号に基づきゲーム毎に演出の内容を決定し、さらには操作系の入力に基づく信号や演出ボタン16からの入力を必要に応じて受け付けて演出内容の変化を決定する。また、決定された演出を行うための信号をリール駆動部制御基板54及び演出画像制御基板55や、ランプ類6及びスピーカ8に向けて出力する。
【0038】
リール駆動部制御基板54はリール駆動部20(図3参照)の収容枠揺動モータ39a、軸体支持部材摺動モータ32b及びリールユニット揺動モータ46bのそれぞれに接続されその動作を司る。これにより、副制御部51は、選択された演出の内容に基づいて、必要に応じてリール駆動部制御基板54を介してリール駆動部20の各モータを動作させ、収容枠30の左右の揺動、各リールユニット40の上下の往復動、及び各リールユニット40の前後の揺動を行わせる。
【0039】
また、演出画像制御基板55は画像表示部9に接続される。これにより、副制御部51は、選択された演出の内容に基づいて、演出画像制御基板55を介して画像表示部9に演出画像を表示させることができる。なお、その他については公知の回胴式遊技機と同様である。
【0040】
次に、遊技機1の動作について図1図2及び図8を用いて説明する。
【0041】
図8図2を併せて参照すると、遊技機1の主制御部50は、遊技者の操作によりメダル投入口11に投入された遊技用のメダルをセレクタ11’により検出すると、メダルのベット数を加算し若しくはクレジット数を加算し、各種遊技用LED63や各種遊技用表示器64への出力を行ってメダルの投入を表示させる。ベット数の加算には、ベットボタン14やマックスベットボタン15からの入力信号に基づいても行い得る。遊技に必要な所定枚数のメダルをベットした状態において、遊技者により操作されたレバー12からの入力信号を受けると、主制御部50は、内部抽選役を所定の確率で抽選して決定するとともにリール制御基板53を介してステッピングモータ44によって各リール45を回転させる。主制御部50は、決定された内部抽選役を示す信号を副制御部51に向けて出力する。
【0042】
決定された内部抽選役を示す信号の入力を受けた副制御部51は、内部抽選役に基づいて演出内容を選択し決定する。副制御部51は、決定された演出内容に基づいて、演出画像制御基板55を介して画像表示部9に演出画像を表示させるとともに、ランプ類6及びスピーカ8を演出内容に合わせて動作させる。ここで、決定された演出内容が特定の演出内容である場合に、副制御部51は、リール駆動部制御基板54を介してリール駆動部20の各モータを動作させ、収容枠30の左右の揺動、各リールユニット40の上下の往復動、及び各リールユニット40の前後の揺動の動作を行わせることができる。
【0043】
続いて、主制御部50は、遊技者により操作されたストップボタン13からの入力信号を受け付けると、決定された内部抽選役や、ストップボタン13からの入力信号を受けた時点における回転中の各リール表面の図柄47の位置(ステッピングモータ44の基準位置からの回転角度)、各ストップボタン13からの入力信号を受け付けた順番(押し順)に基づいてリール45の停止位置を決定し、決定された停止位置に従いリール制御基板53を介してステッピングモータ44を制御して各リール45をそれぞれ停止させる。
【0044】
主制御部50は、停止させた3つのリール45の停止位置での図柄47の組み合わせによって当該ゲームでの入賞役を決定し、これに対応する払い出し枚数及び次ゲーム以降の遊技状態を決定する。また、決定された払い出し枚数に従い、メダルの払い出し動作を行う。払い出し動作においては、各種遊技用表示器64のうちメダルのクレジット枚数を上昇させる表示を行い、クレジット枚数の上限に達している場合はホッパー装置61を動作させてメダルをメダル受け皿5に導出させる。
【0045】
主制御部50は、また、ストップボタン13からの入力信号を受け付けたことを示す信号を副制御部51に向けて出力する。これを受けた副制御部51は、決定された演出内容に従った上でリール駆動部制御基板54を介して収容枠揺動モータ39a、軸体支持部材摺動モータ32b及びリールユニット揺動モータ46bのそれぞれに動作を与えることができる。かかる動作は、決定された演出内容に基づいて次のゲームを開始するまでのあらゆる任意のタイミングで行わせることができる。
【0046】
つまり、内部抽選役に基づき副制御部51によって選択された演出内容が、リール表面の図柄47に回転以外の移動を与える特定の演出内容であった場合に、副制御部51は、リール駆動部制御基板54を介して収容枠揺動モータ39a、軸体支持部材摺動モータ32b及びリールユニット揺動モータ46bをそれぞれ動作させることで、収容枠30を左右に揺動させ、リールユニット40を上下に往復動させ、リールユニット40を前後方向に揺動させる。このように、収容枠30を左右に揺動させることで図1(b)に示したような図柄47を左右に移動させる演出を行い得る。また、リールユニット40を前後に揺動させることで図1(c)に示すように図柄47を前後に移動させる演出を行うこともできる。さらに、リールユニット40を上下に往復動させることで図1(a)に示したような図柄47を上下に移動させる演出を行うこともできるのである。これらによるリール45の表面の図柄47を遊技者に対して左右、上下、前後に移動させる演出は、単独で又は複合して行うことができる。
【0047】
このような、図柄47の移動を行う演出は、上記したようなストップボタン13の押し順の報知や、リール45の回転の停止後に図柄47の並びを変化させてその組み合わせを増すために用いたり、例えば、いわゆるフリーズ演出などの特定役の期待度の報知などに用いたりすることができる。つまり、遊技者に対してリール45の表面の図柄47に3種類の移動を与える演出を行い、これにより遊技者の興趣を高めることができるのである。これらの演出は、上記したようにレバー12からの入力信号及び各ストップボタン13からの入力信号をきっかけとして、また、演出ボタン16からの入力をきっかけとして、次ゲームを開始するまでのあらゆるタイミングで行い得る。
【0048】
このとき、複数のリールユニット40を収容し重量の大きくなりがちな収容枠30の左右方向の揺動を比較的単純な機構で達成したことにより振動や動作音の発生を抑制することができる。また、反転時に大きな荷重を必要とする往復直線運動などとせず、左右方向の揺動としたことでも振動や動作音の発生を抑制し得る。特に、収容枠30の上部に揺動軸体35を配置することで、揺動の左右端での反転位置において収容枠30の自重による反転方向への荷重を得て、反転時の収容枠揺動モータ39aの出力を低減でき、振動や動作音の発生を抑制できる。また、リールユニット40の前後の揺動についても同様に振動や動作音の発生を抑制することができる。つまり、リールユニット40は揺動軸体35に吊り下げられるとともに収容枠30を介して吊下軸体42に吊り下げられており、これによって簡便な機構によって収容枠30とともに揺動させることができ、振動や動作音の発生を抑制できるのである。
【0049】
さらに、収容枠30は、円板体39b及びピン39cを用いたクランク機構によって収容枠揺動モータ39aの回転運動を舌状部材33aの左右方向の移動を介した揺動軸体35の揺動軸を中心とする揺動運動として得る。つまり、比較的単純な機構によって収容枠30の揺動を得て、振動や動作音の発生を抑制し得る。同様に、リールユニット40も、円板体46a及びピン46cを用いたクランク機構によってリールユニット揺動モータ46bの回転運動を舌状部材43aの前後方向の移動を介した吊下軸体42の揺動軸を中心とする揺動運動として得る。つまり、比較的単純な機構によってリールユニット40の前後方向の揺動を得て、振動や動作音の発生を抑制し得る。
【0050】
なお、本実施例においては、リール45は主制御部50によりその回動を制御されるいわゆるメインリールとして説明したが、副制御部51によりその回動を制御されるいわゆるサブリールであってもよい。この場合、遊技結果としての図柄47の並びは必ずしも入賞役と対応しなくともよい。
【0051】
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく改変例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した請求項の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0052】
20 リール駆動部
21 基台
30 収容枠
40 リールユニット
41 軸体支持部材
43 リール取付板
45 リール
47 図柄
図1
図2
図3
図4
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図6
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図8