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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-173893(P2015-173893A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】薬液検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20150908BHJP
【FI】
   A61M5/00 331C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-53767(P2014-53767)
(22)【出願日】2014年3月17日
(11)【特許番号】特許第5650858号(P5650858)
(45)【特許公報発行日】2015年1月7日
(71)【出願人】
【識別番号】508171468
【氏名又は名称】大昭電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】関 忠
(72)【発明者】
【氏名】内海 邦保
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE06
4C066GG20
4C066JJ07
4C066KK19
4C066LL30
4C066QQ45
4C066QQ52
4C066QQ75
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】点滴筒が曇り易い状況であっても、液柱を形成して流下する薬液に対して投薬を示すランプを精度よく点灯又は点滅させることのできる薬液検出装置を提供する。
【解決手段】発光素子11a及び受光素子11bで薬液120の落下軌跡を挟み、受光素子11bからの信号の入力に基づいて薬液120の投薬を投薬中ランプ21a等の報知部で報知する。更に、この発光素子11aと受光素子11bよりなるセンサ11から出力される断続信号が一定間隔よりも短くなると、その後のセンサ11から信号が未出力の間、報知部に信号を入力する信号入力部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、
信号の入力に基づいて前記薬液の投薬を報知する報知部と、
前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有し、前記報知部に信号を入力するセンサと、
前記センサから出力される信号の間隔が一定間隔よりも短くなると、その後の前記センサから信号が未出力の間、前記報知部に信号を入力する信号入力部と、
を備えること、
を特徴とする薬液検出装置。
【請求項2】
前記信号入力部は、
前記センサから出力される断続信号が一定間隔よりも短くなると、信号出力状態を保持するラッチ部と、
前記センサから前記ラッチ部を介さずに前記報知部に至る第1の信号経路と、
前記センサから前記ラッチ部を介して前記報知部に至る第2の信号経路と、
を備え、
前記報知部は、前記第1の信号経路及び前記第2の信号経路の少なくとも何れかより入力される信号に対応して投薬中を報知すること、
を特徴とする請求項1記載の薬液検出装置。
【請求項3】
前記センサから出力される断続信号の周波数に比例した電圧信号をセット信号として前記ラッチ部に出力する電圧変換器を備え、
前記ラッチ部は、前記一定間隔よりも短い断続信号に基づく電圧信号をセット信号として受け取ること、
を特徴とする請求項2記載の薬液検出装置。
【請求項4】
前記ラッチ部は、前記センサから信号が未出力の間、前記信号出力状態を保持すること、
を特徴とする請求項2又は3記載の薬液検出装置。
【請求項5】
前記報知部は、
投薬中を示すランプであること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の薬液検出装置。
【請求項6】
前記報知部は、
前記投薬中を示すランプに加えて、投薬終了を示すランプを備えること、
を特徴とする請求項5記載の薬液検出装置。
【請求項7】
前記報知部は、
投薬終了を示すブザー音を出力するスピーカを備えること、
を特徴とする請求項5又は6記載の薬液検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、点滴法により薬液を被検体に投与する場合の関心事項は、投薬速度と投薬終了のタイミングである。そのため、従来、投薬担当者は、点滴ボトルと点滴針との間に介挿された点滴筒を落下する薬液を目視し、投薬速度と投薬終了のタイミングを確認していた。しかし、医師や看護師の不足により、投薬担当者の職務は多岐に亘り、点滴を絶えず監視することが困難となっている。そのため、点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この薬液検出装置は、センサによって薬液の落下を検出しており、検出対象とする薬液は、点滴薬である。センサは、発光素子と受光素子とから構成されており、点滴筒を取り付けるセンサホルダに内蔵されている。センサホルダには、挿入口が貫設されており、当該挿入口に点滴筒が挿入されることによって、センサホルダに取り付けられる。
【0004】
センサホルダに点滴筒が取り付けられた状態で、発光素子と受光素子は、点滴液の落下軌跡を挟み込むように対向する。点滴液が滴下されたタイミングでは、発光素子と受光素子との間に点滴液が存在するため、発光素子から出射した光が当該点滴液により阻害され、受光素子の受光量は小さくなる。そのため、受光素子から信号が一定間隔で出力されれば、点滴液が順調に滴下されていることを検出することができる。点滴液を検出した場合には、ランプを点灯させ、点滴液を所定時間以上検出できない場合には、終了のブザー音を出力することで、投薬速度や投薬終了を投薬担当者に報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3055280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、医療現場において、点滴法により投薬される薬液は点滴薬に限られず、麻酔薬についても点滴法により被検体へ投薬される。医療現場では、この麻酔薬についても検出可能な薬液検出装置が要望されている。尚、麻酔薬の投薬は、薬液ボトルと点滴筒との間に介在するチューブの途中から麻酔薬を合流させる手法を採る場合が多い。
【0007】
しかしながら、点滴薬の点滴筒内での落下態様は滴下であるが、麻酔薬の点滴筒内での落下態様は液柱を形成する流下である。つまり、受光素子から出力される信号は、回路の態様によるが常にHi信号又はLo信号となる。発光素子と受光素子との間が遮られることにより受光素子から出力される信号が常にHi信号又はLo信号となるのは、液柱が形成されている他にも点滴筒が曇った状態がある。
【0008】
そのため、麻酔薬等の液温が室温よりも高い場合、ランプの点灯が液柱に起因しているのか、点滴筒の曇りに起因しているのか区別がつかなくなってしまう虞がある。また、液柱と曇りとを区別できても、その信号の出力強度は極めて不安定となり、薬液検出装置が誤作動となる虞もある。そのため、最悪の場合、薬液検出装置に対する信頼性が低下してしまい、投薬担当者の点滴監視作業の労力を減らすことができなくなる。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するために提案されたもので、液温が室温より高い薬液を液柱の形成により投与する場合であっても、その液柱の形成に対して投薬を示すランプを精度よく点灯又は点滅させることのできる薬液検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明に係る薬液検出装置は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、信号の入力に基づいて前記薬液の投薬を報知する報知部と、前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有し、前記報知部に信号を入力するセンサと、前記センサから出力される信号の間隔が一定間隔よりも短くなると、その後の前記センサから信号が未出力の間、前記報知部に信号を入力する信号入力部と、を備えること、を特徴とする。
【0011】
前記信号入力部は、前記センサから出力される断続信号が一定間隔よりも短くなると、信号出力状態を保持するラッチ部と、前記センサから前記ラッチ部を介さずに前記報知部に至る第1の信号経路と、前記センサから前記ラッチ部を介して前記報知部に至る第2の信号経路と、を備え、前記報知部は、前記第1の信号経路及び前記第2の信号経路の少なくとも何れかより入力される信号に対応して投薬中を報知するようにしてもよい。
【0012】
前記センサから出力される断続信号の周波数に比例した電圧信号をセット信号として前記ラッチ部に出力する電圧変換器を備え、前記ラッチ部は、前記一定間隔よりも短い断続信号に基づく電圧信号をセット信号として受け取るようにしてもよい。
【0013】
前記ラッチ部は、前記センサから信号が未出力の間、前記信号出力状態を保持するようにしてもよい。
【0014】
前記報知部は、投薬中を示すランプであるようにしてもよい。
【0015】
前記報知部は、前記投薬中を示すランプに加えて、投薬終了を示すランプを備えるようにしてもよい。
【0016】
前記報知部は、投薬終了を示すブザー音を出力するスピーカを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、点滴筒に曇りが生じやすい環境下であっても、液柱を形成して流下する薬液に対して精度よく投薬中ランプを点灯させることができ、装置の信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。
図2】投薬中ランプを点灯又は点滅させる信号入力部の回路図である。
図3】薬液の滴下間隔が長い場合の回路内各部の出力を示すグラフである。
図4】薬液の滴下間隔が短い場合の回路内各部の出力を示すグラフである。
図5】薬液の滴下間隔が短くなってから液柱に変化した場合の回路内各部の出力を示すグラフである。
図6】薬液が液柱を形成した後に滴下に戻った場合の回路内各部の出力を示すグラフである。
図7】他の実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る薬液検出装置の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る薬液検出装置の概略構成を示す模式図である。この薬液検出装置1は、センサホルダ10とアラーム本体20とを備える。センサホルダ10には、薬液120を検出するセンサ11が内蔵されている。センサホルダ10とアラーム本体20とは、ケーブルにより接続されている。センサホルダ10の出力信号がケーブルを介してアラーム本体20に入力され、片やアラーム本体20が備える電源から電力がケーブルを介してセンサホルダ10へ供給される。アラーム本体20は、センサ11の信号出力結果に応じて投薬状態を報知する報知手段でもある。薬液120は、薬用効果を有する液体であり、点滴液や麻酔薬である。報知する投薬状態は、ランプの点灯又は消灯による薬液120の投薬中又は投薬終了である。
【0020】
薬液120は、図示しない薬液ボトルスタンドに吊された薬液ボトル100に収容されており、薬液ボトル100からチューブを通って点滴筒110に流入する。点滴筒110内では、薬液120は、チューブと導通する滴下口140から滴下または液柱121を形成して流下し、下部に一時的に貯留される。チューブには、滴下量を調整するホイールが設けられており、ホイールを回転させることで滴下速度が調整される。液柱121を形成する場合、ホイールを回転させて滴下の間隔を徐々に短くして液柱121に至らせる。
【0021】
センサホルダ10は、この点滴筒110に着脱可能に取り付けられる。すなわち、センサホルダ10には、点滴筒110が挿入される挿入口13が設けられている。挿入口13は、センサホルダ10の上面から下面へセンサホルダ10を貫いて設けられる。点滴筒110は、この挿入口13に挿入される。センサホルダ10には、点滴筒110を挟持するアダプタ30が着脱自在に取り付けられる。アダプタ30は、点滴筒110を周囲から一定圧力で挟持する板状部材である。このアダプタ30には、挿入口13と対応する位置に嵌合孔31が設けられている。嵌合孔31は、点滴筒110を圧嵌する。
【0022】
アラーム本体20は、薬液検出装置1の使用状態において、薬液ボトルスタンドに吊される。アラーム本体20は、紐部材20aを有し、この紐部材20aを薬液ボトルスタンドに引っ掛けることで、薬液ボトル100と共に吊される。紐部材20aは、両端がアラーム本体20の上端面に固定されている。これにより、センサホルダ10にアラーム本体20の荷重が掛からず、センサホルダ10の点滴筒110からの離脱可能性が低下している。このアラーム本体20には、投薬中ランプ21aを備えている。投薬中ランプ21aは、滴下する薬液120が検出されると点滅し、液柱121が検出されると点灯する。
【0023】
図2は、センサ11の回路図である。センサ11は、光を出射する発光素子11aと、発光素子11aから出射した光の受光量に応じた強度の信号Aを出力する受光素子11bとを備える。センサ11の発光素子11aと受光素子11bは、挿入口13を介して対向して設けられ、点滴筒110の挿入時には薬液120の落下軌跡を挟む。すなわち、発光素子11aと受光素子11bとを結ぶ仮想線は、点滴筒110内の滴下口140から下方に降ろした仮想の円柱と交差する。発光素子11aは、例えば発光ダイオードである。受光素子11bは、例えばフォトトランジスタであり、光電効果により光がベース電流に変換され、エミッタとコレクタとの間に電気信号が流れる。
【0024】
アラーム本体20内には、投薬中ランプ21aを点灯又は点滅させる信号入力部となして各種電子部品が備えられている。すなわち、センサ11には増幅器23と混合器24が直列に繋がれ、混合器24の出力側に投薬中ランプ21aが接続されている。増幅器23は、2系統の出力を有し、第1の系統は混合器24に接続され、第2の系統は電圧変換器25に接続されている。電圧変換器25には、ラッチ回路26が接続されている。ラッチ回路26は、電圧変換器25の出力をセット信号とする。このラッチ回路26の出力側は混合器24に接続されている。入力される。すなわち、混合器24は、増幅器23の出力とラッチ回路26の出力を混合して投薬中ランプ21aに出力する。また、センサ11には、増幅器23と並列にリセット回路27が接続されている。リセット回路27は、ラッチ回路26にリセット信号を出力する。
【0025】
この電圧変換器25は、例えばFVコンバータであり、パルス周波数に比例した電圧信号をセット信号としてラッチ回路26に入力する。つまり、電圧変換器25は、受光素子11bの信号出力間隔に比例した電圧信号をラッチ回路26に入力する。ラッチ回路26は、電圧変換器25が出力する電圧信号がハイレベルである場合に出力をハイレベルにセットする。リセット回路27は、受光素子11bが信号を出力すると、ラッチ回路26にリセット信号を入力する。この回路によると、受光素子11bが出力する信号の連続間隔が一定以下となると、ラッチ回路26がハイレベルの電圧信号を混合器24に入力し始める。また、ラッチ回路26がハイレベルの電圧信号を出力している最中、受光素子11bが信号未出力から信号出力の状態に変化すると、ラッチ回路26にリセット信号が入力される。
【0026】
このような回路構成を有するセンサ11の動作について、図3乃至6を参照しつつ説明する。尚、薬液120が麻酔薬等である場合、その流下態様は液柱121であるが、この液柱121は薬液120の滴下間隔を早めることで形成される。すなわち、液柱121は、薬液120の滴下が開始され、その滴下間隔が早くなっていき、ついには液柱121が形成される。そして、薬液ボトル100が空になる過程では、再び薬液120の滴下間隔が遅くなり、ついには薬液120の滴下されなくなる。図3は、薬液120が一定間隔Sよりも長い間隔で滴下されている状態を示し、図4は、液薬120が一定間隔Sよりも短い間隔の滴下に遷移した状態を示し、図5は、薬液120が液柱121となった状態を示し、図6は、薬液120が液柱121から滴下に遷移した状態を示す。
【0027】
図3の(a)に示すように、薬液120の滴下が開始された状態では、薬液120の滴下間隔は、一定間隔Sよりも長い。このとき、受光素子11bは、薬液120の粒が発光素子11aと受光素子11bとの間を遮ると信号を出力せず、薬液120の粒と粒の空間と発光素子11aと受光素子11bとの間が一致すると信号を出力する。そのため、受光素子11bは、一定間隔Sよりも長いパルス周期の断続信号を出力する。
【0028】
その断続信号は、増幅器23で増幅されて混合器24に入力される。また、その断続信号は、増幅器23で増幅されて電圧変換器25に入力される。電圧変換器25は、一定間隔Sよりも長いパルス周期に反比例した電圧信号をラッチ回路26にセット信号として出力する。一定間隔Sは、電圧変換器25が電圧信号に変換した際に、その電圧信号がラッチ回路26のセット信号としての作動電圧に至る程度である。すなわち、図3の(b)に示すように、一定間隔Sよりも長いパルス周期に比例した電圧信号は、ラッチ回路26においてはセット信号として成立せず、ラッチ回路26は、図3の(c)に示すように、この電圧信号の出力状態を保持しない。従って、図3に示すように、薬液120の滴下間隔が一定間隔Sよりも長い場合には、混合器24には、増幅器23から直接出力された断続信号のみが入力され、混合器24は、図3の(d)に示すように、其の断続信号を投薬中ランプ21aに出力する。そのため、投薬中ランプ21aは、増幅器23から混合器24に直接至る系統に従って点滅する。
【0029】
次に、図4の(a)に示すように、薬液120の滴下間隔が一定間隔Sよりも短くなると、受光素子11bは、一定間隔Sよりも短いパルス周期の断続信号を出力する。その断続信号は、増幅器23で増幅されて混合器24に入力される。また、その断続信号は、増幅器23で増幅されて電圧変換器25に入力される。電圧変換器25は、一定間隔Sよりも短いパルス周期に反比例した電圧信号をラッチ回路26にセット信号として出力する。このとき、図4の(b)に示すように、電圧変換器25が出力する電圧信号は、ラッチ回路26の作動電圧に至ってセット信号として成立し、ラッチ回路26は、図4の(c)に示すように、この電圧信号の出力状態を保持する。従って、薬液120の滴下間隔が一定間隔Sよりも短くなると場合には、混合器24には、増幅器23とラッチ回路26からの信号が入力され、図4の(d)に示すように、その混合の結果である信号が投薬中ランプ21aに出力される。投薬中ランプ21aは、この断続信号により点灯する。
【0030】
更に、図5の(a)に示すように、薬液120が液柱121を形成すると、発光信号11aと受光信号11bとの間は、液柱121により絶えず遮られることとなり、受光信号11bは信号を出力しなくなる。但し、液柱121を形成する直前までは、受光信号11bが信号を出力しており、その出力信号は、液柱121の形成が一定間隔Sよりも滴下間隔が短いプロセスを経ていることにより、ラッチ回路26に保持されている。そのため、増幅器23から混合器24に直接至る系統には信号が流れていないが、図5の(b)に示すように、ラッチ回路26から保持された信号が連続的に出力されているため、混合器24は、図5の(c)に示すように、その信号を投薬中ランプ21aへ出力し続け、投薬中ランプ21aは、連続的に点灯する。すなわち、この薬液検出装置1は、液柱121を直接検出するのではなく、一定間隔Sよりも短い断続信号の出力を経て受光素子11bからの出力が無信号状態となる現象を捉えて、液柱121の形成とみなしている。
【0031】
そして、図6の(a)に示すように、再び滴下の速度を遅くした場合、受光素子11bが無信号状態から再び信号出力状態となる。そのため、図6の(b)に示すように、リセット回路27が作動し、ラッチ回路26にリセット信号を出力する。このリセット信号を受けたラッチ回路26は、図6の(c)に示すように、滴下間隔が一定間隔Sよりも短くなることにより保持した信号をリセットする。そうすると、再び滴下の速度を遅くすると、図6の(d)に示すように、増幅器23から混合器24に直接入力される系統を経る断続信号により投薬中ランプ21aが点滅状態に移行する。
【0032】
ここで、薬液120の液温が室内よりも高い場合には、点滴筒110内を曇らせ、発光素子11aと受光素子11bとの間の受光を遮ることとなる。しかしながら、ラッチ回路26が既に投薬中ランプ21aに出力する信号を保持している。そのため、薬液検出装置1は、曇りが生じて信号が不安定になってしまったとしても、液柱121が流下している間は投薬中ランプ21aを安定的に点灯させることができるものである。すなわち、液柱121を検出するために、液柱121そのものを検出するのではなく、液柱121が形成されるプロセス、より具体的には薬液120の滴下間隔が一定間隔Sよりも短くなり、やがて受光素子11bが信号を出力しなくなるという現象を捉えることで、液柱121の形成中に投薬中ランプ21aを安定的に点灯させることができるものである。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る薬液検出装置1は、発光素子11a及び受光素子11bで薬液120の落下軌跡を挟み、受光素子11bからの信号の入力に基づいて薬液120の投薬を投薬中ランプ21a等の報知部で報知する。更に、この発光素子11aと受光素子11bよりなるセンサ11から出力される断続信号が一定間隔よりも短くなると、その後のセンサ11から信号が未出力の間、報知部に信号を入力する信号入力部を備える。これにより、点滴筒110に曇りが生じやすい環境下であっても、液柱121を形成して流下する薬液120に対して精度よく報知部が投薬を報知することができ、薬液検出装置1の信頼性が高まる。
【0034】
この信号入力部は、センサ11から出力される断続信号が一定間隔よりも短くなると、信号出力状態を保持するラッチ回路26を備えるようにすればよい。そして、センサ11からラッチ回路26を介さずに報知部に至る第1の信号経路と、センサ11からラッチ回路26を介して報知部に至る第2の信号経路を設け、報知部は、第1の信号経路及び第2の信号経路の少なくとも何れかより入力される信号に対応して投薬中を報知するようにすればよい。
【0035】
また、センサ11から出力される断続信号の周波数に比例した電圧信号をセット信号としてラッチ回路26に出力する電圧変換器25を備え、ラッチ回路26は、一定間隔Sよりも短い断続信号に基づく電圧信号をセット信号として受け取るようにすればよく、ラッチ回路26は、センサ11から信号が未出力の間、信号出力状態を保持すればよい。
【0036】
尚、本実施形態では、液薬検出装置1に投薬中ランプ21aのみを備える場合を説明したが、アラーム本体20には、図7に示すように投薬終了ランプ21bとスピーカ22aとボリューム摘み22bとを更に備えるようにしてもよい。投薬終了ランプ21bは、薬液120が検出されなければ点灯する。スピーカ22aは、薬液120が所定時間以上検出されなければブザー音を出力する。ボリューム摘み22bは、可変抵抗器に接続され、回転角に応じて可変抵抗器の抵抗値を変更し、ブザー音の音量を調節する。
【符号の説明】
【0037】
1 薬液検出装置
10 センサホルダ
11 センサ
11a 発光素子
11b 受光素子
13 挿入口
20 アラーム本体
20a 紐部材
21a 投薬中ランプ
21b 投薬終了ランプ
22a スピーカ
22b ボリューム摘み
23 増幅器
24 混合器
25 電圧変換器
26 ラッチ回路
27 リセット回路
30 アダプタ
31 嵌合孔
100 薬液ボトル
110 点滴筒
120 薬液
121 液柱
140 滴下口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2014年8月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、
前記薬液の投薬を報知する報知部と、
前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有するセンサと、
前記センサと前記報知部との間に介在する信号入力部と、
を備え、
前記センサは、前記信号入力部に第1の信号を入力し、
前記信号入力部は、
前記第1の信号を受けると前記報知部に第2の信号を入力し、
前記センサから出力される前記第1の信号の間隔が一定間隔よりも短くなると、その後の前記センサから前記第1の信号が未出力の間、前記報知部に前記第2の信号を入力し、
前記報知部は、
前記信号入力部から出力される前記第2の信号に基づいて前記薬液の投薬を報知すること、
を特徴とする薬液検出装置。
【請求項2】
前記信号入力部は、
作動電圧に至ったセット信号の入力によって信号出力状態を保持するラッチ部と、
前記センサから断続的に出力される前記第1の信号が一定間隔よりも短くなると、前記作動電圧に至ったセット信号を前記ラッチ部へ出力するセット信号出力手段と、
前記センサから前記セット信号出力手段及び前記ラッチ部を介さずに前記報知部に至る第1の信号経路と、
前記センサから前記セット信号出力手段及び前記ラッチ部を介して前記報知部に至る第2の信号経路と、
を備え、
前記報知部は、前記第1の信号経路及び前記第2の信号経路の少なくとも何れかの信号経路より入力される前記第2の信号に対応して投薬中を報知すること、
を特徴とする請求項1記載の薬液検出装置。
【請求項3】
前記セット信号出力手段は、前記センサから出力される断続信号の周波数に比例した電圧信号を前記ラッチ部に出力する電圧変換器であり、
前記ラッチ部は、作動電圧に至った電圧信号を信号出力状態を保持するセット信号として受け取ること、
を特徴とする請求項2記載の薬液検出装置。
【請求項4】
前記ラッチ部は、前記センサから前記第1の信号が未出力の間、前記信号出力状態を保持すること、
を特徴とする請求項2又は3記載の薬液検出装置。
【請求項5】
前記報知部は、
投薬中を示すランプであること、
を特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の薬液検出装置。
【請求項6】
前記報知部は、
前記投薬中を示すランプに加えて、投薬終了を示すランプを備えること、
を特徴とする請求項5記載の薬液検出装置。
【請求項7】
前記報知部は、
投薬終了を示すブザー音を出力するスピーカを備えること、
を特徴とする請求項5又は6記載の薬液検出装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明に係る薬液検出装置は、薬液ボトルにチューブを介して連通する点滴筒内を落ちる薬液を検出する薬液検出装置であって、前記薬液の投薬を報知する報知部と、前記薬液の落下軌跡を挟む発光素子及び受光素子を有するセンサと、前記センサと前記報知部との間に介在する信号入力部と、を備え、前記センサは、前記信号入力部に第1の信号を入力し、前記信号入力部は、前記第1の信号を受けると前記報知部に第2の信号を入力し、前記センサから出力される前記第1の信号の間隔が一定間隔よりも短くなると、その後の前記センサから前記第1の信号が未出力の間、前記報知部に前記第2の信号を入力し、前記報知部は、前記信号入力部から出力される前記第2の信号に基づいて前記薬液の投薬を報知すること、を特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記信号入力部は、作動電圧に至ったセット信号の入力によって信号出力状態を保持するラッチ部と、前記センサから断続的に出力される前記第1の信号が一定間隔よりも短くなると、前記作動電圧に至ったセット信号を前記ラッチ部へ出力するセット信号出力手段と、前記センサから前記セット信号出力手段及び前記ラッチ部を介さずに前記報知部に至る第1の信号経路と、前記センサから前記セット信号出力手段及び前記ラッチ部を介して前記報知部に至る第2の信号経路と、を備え、前記報知部は、前記第1の信号経路及び前記第2の信号経路の少なくとも何れかの信号経路より入力される前記第2の信号に対応して投薬中を報知するようにしてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記セット信号出力手段は、前記センサから出力される断続信号の周波数に比例した電圧信号を前記ラッチ部に出力する電圧変換器であり、前記ラッチ部は、作動電圧に至った電圧信号を信号出力状態を保持するセット信号として受け取るようにしてもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
前記ラッチ部は、前記センサから前記第1の信号が未出力の間、前記信号出力状態を保持するようにしてもよい。