【解決手段】外装部材の股部に取り付けられ、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性本体7を有する使い捨ておむつであって;吸収性コア7は、前側部10Fと後側部10Bが中央部10Cよりも幅広に形成され、前側中間部10FMと後側中間部10BMがそれぞれ中央部10Cから前側部10Fまたは後側部10Bに向かって幅が漸増するように形成され;バックシートと外装部材との接着領域は、前側接着領域16Fと後側接着領域16Bが中央接着領域16Cよりも幅広に形成され、中央接着領域16Cが、中央部10Cよりも幅方向xの外方に延在するとともに、幅方向xの外縁が前側中間部10FMおよび/または後側中間部10BMの幅方向xの外縁を横切るように形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで使い捨ておむつは、着用の際に股部が着用者の両脚に挟まれるため、着用者の両脚の動きによって、股部に設けられた吸収性コアが歪みやすくなる。そして、吸収性コアが歪むことにより、吸収性コアの着用者の股間へのフィット性が低下し、尿等の漏れが起こりやすくなる。そのため、使い捨ておむつにおいては、吸収性コアの歪みができるだけ起こらないようにすることが望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸収性コアの歪みが起こりにくい使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材と、外装部材の股部に取り付けられ、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアを有する吸収性本体とを有する使い捨ておむつであって;吸収性コアは、前後方向の前側から、前側部と前側中間部と中央部と後側中間部と後側部とを有し、前側部と後側部は中央部よりも幅広に形成され、前側中間部と後側中間部はそれぞれ中央部から前側部または後側部に向かって幅が漸増するように形成され;バックシートは外装部材と接着領域で固定され、接着領域は、前側部と重なって形成された前側接着領域と、後側部と重なって形成された後側接着領域と、これらの間に形成され、中央部から前側中間部および/または後側中間部にかけて重なって形成された中央接着領域とを有し;前側接着領域と後側接着領域は、中央接着領域よりも幅広に形成され;中央接着領域は、中央部よりも幅方向の外方に延在するとともに、幅方向の外縁が前側中間部および/または後側中間部の幅方向の外縁を横切るように形成されているところに特徴を有する。
【0006】
本発明の使い捨ておむつは、上記のように吸収性本体のバックシートと外装部材との接着領域を設けることにより、中央接着領域の幅方向の外方に、吸収性コアの前側中間部および/または後側中間部と重なって、非接着領域が形成されることとなる。そのため、着用者の両脚の動きによって吸収性本体が力を受けて歪んでも、その歪みが非接着領域で吸収され、吸収性コアの歪みが起こりにくくなる。その結果、吸収性コアの着用者の股間へのフィット性が高まり、尿等の漏れが起こりにくくなる。
【0007】
中央接着領域の幅方向の外方に吸収性コアと重なって形成される非接着領域は、吸収性コアの前側に形成される前側非接着領域よりも後側に形成される後側非接着領域の方が、前後方向に長く形成されていることが好ましい。使い捨ておむつは、前側よりも後側の方が着用者の臀部によって強く圧迫されやすく、吸収性本体の歪みも起こりやすい。そのため、後側非接着領域を前側非接着領域よりも前後方向に長く形成することにより、より効果的に吸収性コアの歪みを抑えることができる。
【0008】
中央接着領域は、複数に分割して設けられていてもよい。中央接着領域が複数に分割して設けられていれば、吸収性本体が着用者の両脚から力を受けても、吸収性コアが中央部で歪みにくくなり、着用者の股間でのフィット性を高めることができる。
【0009】
トップシートの幅方向の両側には立ち上がりフラップが設けられ、中央接着領域は、立ち上がりフラップの立ち上がる起点となる基部よりも幅方向の外方に延在していることが好ましい。このように立ち上がりフラップが設けられれば、吸収性本体が立ち上がりフラップの基部で捲れ上がりにくくなり、立ち上がりフラップが幅方向の内方に倒れにくくなる。その結果、着用者の股間で、左右の立ち上がりフラップの間の空間が広く確保され、尿等の横漏れを防止しやすくなる。
【0010】
中央接着領域が立ち上がりフラップの基部よりも幅方向の外方に延在する場合、立ち上がりフラップは、トップシートの幅方向の両側に設けられたサイドシートが折り返されることにより形成され、サイドシートは、トップシートに接合された固定部と、固定部の幅方向の内方端から幅方向の外方に折り返された起立部を有していることが好ましい。このように立ち上がりフラップが形成されていれば、中央接着領域が立ち上がりフラップの基部よりも幅方向の外方に延在することにより、吸収性本体が立ち上がりフラップの基部で捲れ上がりにくくなり、起立部が幅方向の内方に倒れずに、幅方向の外方に立ち上がりやすくなる。
【0011】
外装部材は、ウェスト開口部と一対の脚開口部を有するパンツ形状に形成され、外装部材には、脚開口部の前側の縁に沿って延び、吸収性コアの中央部を幅方向に横切って延びる前側脚部弾性部材と、脚開口部の後側の縁に沿って延び、吸収性コアの中央部を幅方向に横切って延びる後側脚部弾性部材とが設けられ、前側脚部弾性部材と後側脚部弾性部材は、中央接着領域と重なる部分で断続的に設けられ、それ以外の部分で連続的に設けられていることが好ましい。このように脚部弾性部材を設けることにより、吸収性コアが歪みにくくなる。また、脚部弾性部材による収縮力が吸収性コアの近傍まで及ぶため、吸収性コアが着用者に向かって持ち上げられて、吸収性コアの着用者の股間でのフィット性が高まる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の使い捨ておむつは、中央接着領域が、吸収性コアの中央部よりも幅方向の外方に延在するとともに、中央接着領域の幅方向の外縁が、吸収性コアの前側中間部および/または後側中間部の幅方向の外縁を横切るように形成されているため、着用者の両脚の動きによって吸収性本体が力を受けて歪んでも、その歪みが吸収性コアまで及びにくくなる。その結果、吸収性コアの着用者の股間へのフィット性が高まり、尿等の漏れが起こりにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
【0015】
図1〜
図5には、本発明の使い捨ておむつの一例として、使い捨てパンツ型おむつを示した。
図1は使い捨てパンツ型おむつの斜視図を表し、
図2は、
図1に示した使い捨ておむつの前腹部と後背部との接合を解いて平面に展開した状態を肌側面から見た図を表し、
図3は、
図1に示した使い捨ておむつの前腹部と後背部との接合を解いて平面に展開した状態を外側面から見た図を表し、
図4は、
図3に示した使い捨ておむつの吸収性本体を取り出して外側面から見た平面図を表し、
図5は、
図2および
図3に示した使い捨ておむつのV−V断面図を表す。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
【0016】
使い捨ておむつ1は、前腹部Pと後背部Qとこれらの間に位置する股部Rとから構成された外装部材2を有する。図面に示した使い捨ておむつ1では、外装部材2はウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有し、パンツ形状に形成されている。ウェスト開口部3は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部4は着用者の脚を通すための開口である。
【0017】
外装部材2において、前腹部Pは、おむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部Qは、おむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部Rは、前腹部Pと後背部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部Rは、外装部材2を前後方向に3分割した中間に位置する部分であり、パンツ形状に形成された場合に幅方向xの両側で互いに接合されない。使い捨ておむつがパンツ型おむつの場合、外装部材2は、例えば、前腹部Pと後背部Qとを幅方向xの両端の接合部11で接合することによりパンツ形状に形成される。
【0018】
使い捨ておむつにおいて、前後方向yとは、前腹部Pから後背部Qにかけての方向を意味し、おむつを着用した際の着用者の股間の前後方向に相当する。幅方向xとは、おむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。使い捨ておむつの肌側面とは、おむつを着用した際、着用者の肌に向く側の面を意味する。使い捨ておむつの外側面とは、おむつを着用した際、着用者とは反対側を向く面を意味する。
【0019】
外装部材2は、1層のみから構成されていてもよく、複数層から構成されていてもよい。好ましくは、外装部材2は、外側シート5と、外側シート5の肌側面に積層された内側シート6から構成される。
【0020】
外装部材2の股部Rには、吸収性本体7が取り付けられている。吸収性本体7は、トップシート8とバックシート9とこれらの間に配された吸収性コア10を有する(
図5を参照)。トップシート8は吸収性コア10よりも着用者側に配され、バックシート9は吸収性コア10よりも外側(着用者の反対側)に配される。吸収性本体7は、バックシート9が外装部材2の肌側面に取り付けられる。吸収性本体7は、外装部材2の少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前腹部Pおよび/または後背部Qに延在してもよい。吸収性本体7は、例えば、
図2〜
図4に示されるように略長方形に形成されたり、あるいは略砂時計形に形成されればよい。
【0021】
吸収性本体7には、幅方向xの両側に立ち上がりフラップ12が設けられることが好ましい(
図2および
図5を参照)。立ち上がりフラップ12を設けることにより、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ12は、トップシート8の幅方向xの両側に設けられることが好ましく、これにより着用者から排泄された尿等が、立ち上がりフラップ12の間で液溜まりなどを形成することなく、トップシート8を透過して吸収性コア10に速やかに吸収されやすくなる。
【0022】
立ち上がりフラップ12は、例えば、トップシート8の幅方向xの両側に、前後方向yに延在するサイドシート14を接合し、サイドシート14の幅方向xの内方端に起立用弾性部材15を設けることにより形成される(
図5を参照)。このようにサイドシート14と起立用弾性部材15を設けることで、起立用弾性部材15の収縮力によりサイドシート14の幅方向xの内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップ12が形成されやすくなる。立ち上がりフラップ12またはサイドシート14は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0023】
図1〜
図3に示すように、外装部材2の前後方向yの端部には、ウェスト開口部3の縁に沿って、複数の腰部弾性部材19が設けられることが好ましい。腰部弾性部材19により着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0024】
外装部材2の前腹部Pと後背部Qには、幅方向xに延びる複数の胴部弾性部材20が設けられることが好ましい。胴部弾性部材20は、腰部弾性部材19と脚開口部4の間に、腰部弾性部材19よりも広い間隔で配されることが好ましく、胴部弾性部材20により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。
【0025】
外装部材2には、脚開口部4の縁に沿って、脚部弾性部材18が設けられることが好ましい。特に、本発明の使い捨ておむつがパンツ型おむつである場合、このように脚部弾性部材18が設けられることが好ましい。図面では、脚部弾性部材18は、脚開口部4の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材18Fと、脚開口部4の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材18Bとから構成されている。前側脚部弾性部材18Fと後側脚部弾性部材18Bとにより、脚開口部4の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられる。脚部弾性部材18により、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の排泄物の漏れが防止される。図面では、前側脚部弾性部材18Fと後側脚部弾性部材18Bが互いに離間して設けられているが、前側脚部弾性部材18Fと後側脚部弾性部材18Bは互いに接していたり交差していてもよい。
【0026】
外装部材2に設けられる脚部弾性部材18、腰部弾性部材19、胴部弾性部材20については、図面に示すように外装部材2が外側シート5と内側シート6とから構成されている場合は、外側シート5と内側シート6の間に配されることが好ましい。
【0027】
使い捨ておむつに設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0028】
ところで、使い捨ておむつは、着用の際に股部が着用者の両脚に挟まれるため、着用者の両脚の動きによって、股部に設けられた吸収性本体、特に吸収性コアが歪みやすくなる。そして、吸収性コアが歪むことにより、吸収性コアの着用者の股間へのフィット性が低下し、尿等の漏れが起こりやすくなる。パンツ型おむつにおいては特に、おむつの股部が着用者の両脚から圧迫を受けやすく、吸収性コアの歪みが起こりやすい。そのため、使い捨ておむつにおいては、吸収性コアの歪みができるだけ起こらないようにすることが望まれる。
【0029】
そこで本発明の使い捨ておむつは、吸収性コア10を略砂時計形に形成するとともに、吸収性本体7のバックシート9を外装部材2に固定する接着領域16を、
図3および
図4に示すように、前後方向yに前側接着領域16Fと後側接着領域16Bとこれらの間の中央接着領域16Cに区分し、中央接着領域16Cを前側接着領域16Fと後側接着領域16Bよりも幅狭に形成するとともに、吸収性コア10の略砂時計形のくびれ部よりも幅広に形成し、中央接着領域16Cの幅方向xの外縁が吸収性コア10の略砂時計形の傾斜縁部を横切るように形成している。本発明の使い捨ておむつは、このように形成することにより、着用者の両脚の動きによって吸収性コア10が歪みにくくなる。具体的には、中央接着領域16Cを前側接着領域16Fと後側接着領域16Bよりも幅狭に形成し、かつ吸収性コア10のくびれ部よりも幅広に形成することで、吸収性コア10が、着用者の両脚から力を受けやすいくびれ部で捲れ上がりにくくなる。また、吸収性コア10のくびれ部よりも前後方向yの外方かつ中央接着領域16Cの幅方向xの外方に、吸収性コア10と重なって非接着領域17が形成されるため、着用者の両脚から吸収性本体7が力を受けて歪んでも、その歪みが非接着領域17で吸収され、吸収性コア10の歪みが起こりにくくなる。その結果、吸収性コア10の着用者の股間へのフィット性が高まり、尿等の漏れが起こりにくくなる。以下、吸収性コア10や接着領域16について、詳しく説明する。
【0030】
吸収性コア10は、前後方向yの前側から、前側部10Fと前側中間部10FMと中央部10Cと後側中間部10BMと後側部10Bとを有する。すなわち吸収性コア10は、前後方向yに、前側部10Fと後側部10Bとこれらの間に位置する中央部10Cを有し、前側部10Fと中央部10Cの間に前側中間部10FMが形成され、後側部10Bと中央部10Cの間に後側中間部10BMが形成される。吸収性コア10は、前側部10Fと後側部10Bが中央部10Cよりも幅広に形成され、前側中間部10FMと後側中間部10BMはそれぞれ中央部10Cから前側部10Fまたは後側部10Bに向かって幅が漸増するように形成されている。このように吸収性コア10が形成されることにより、吸収性コア10は略砂時計形に形成される。そして、吸収性コア10が略砂時計形に形成されることにより、吸収性コア10は中央部10Cで着用者の両脚から圧迫されにくくなり、おむつを着用した際に吸収性コア10が歪みにくくなる。
【0031】
吸収性コア10において、中央部10Cが略砂時計形のくびれ部に相当し、前側中間部10FMと後側中間部10BMの幅方向xの外縁が略砂時計形の傾斜縁部に相当する。吸収性コア10は、前側部10Fおよび/または後側部10Bが幅方向xに最も広く形成され、中央部10Cが幅方向xに最も狭く形成される。前側部10Fと後側部10Bは幅方向xの長さが同じであっても異なっていてもよく、図面では前側部10Fと後側部10Bが略同幅に形成されている。吸収性コア10は、幅方向xの外縁が、前側中間部10FMにおいて中央部10Cから前側部10Fに向かって幅方向xの外方に広がるように形成され、後側中間部10BMにおいて中央部10Cから後側部10Bに向かって幅方向xの外方に広がるように形成されている。なお、前側部10Fは前側中間部10FMに向かって、後側部10Bは後側中間部10BMに向かって、それぞれ幅方向xの長さが実質的に変化しないように形成されていることが好ましい。中央部10Cは、前側中間部10FMと後側中間部10BMの間で、幅方向xの長さが実質的に変化しないように形成されていることが好ましい。
【0032】
吸収性コア10は、中央部10Cと前側中間部10FMと後側中間部10BMが股部Rのみに位置することが好ましい。中央部10Cは、外装部材2の股部Rの最も幅狭な部分を横切るようにして前後方向yに延在していることが好ましい。前側部10Fと後側部10Bは、少なくとも股部Rに位置することが好ましく、さらに前腹部Pおよび/または後背部Qに延在してもよい。また、吸収性本体7は外装部材2よりも全体にわたって幅狭に形成されることが好ましい。
【0033】
吸収性本体7のバックシート9は、外装部材2と接着領域16で固定される。接着領域16は、バックシート9の外側面や外装部材2の肌側面に接着剤が塗布されることにより形成される。接着剤としては、ホットメルト接着剤を用いることが製造上簡便であるが、これに限定されない。接着剤は、接着領域16に全面塗布されてもよいし、接着領域16に網状やストライプ状や散点状に塗布されてもよい。後者の場合、接着剤は、接着領域16において所定のパターンで均一に塗布されることが好ましい。接着剤を網状に塗布する場合は、カーテンスプレー法、スパイラルコーティング法、オメガコーティング法等により接着剤を塗布すればよい。
【0034】
接着領域16は、前側部10Fと重なって形成された前側接着領域16Fと、後側部10Bと重なって形成された後側接着領域16Bと、これらの間に形成され、中央部10Cから前側中間部10FMおよび/または後側中間部10BMにかけて重なって形成された中央接着領域16Cとを有し、前側接着領域16Fと後側接着領域16Bは中央接着領域16Cよりも幅広に形成されている。接着領域16は、中央接着領域16Cが前側接着領域16Fおよび/または後側接着領域16Bと繋がって形成されてもよく、分離して形成されてもよい。各接着領域16は略矩形に形成されることが好ましく、このように接着領域16が形成されることにより、吸収性コア10の角部、特に吸収性コア10の前側部10Fと後側部10Bの前後方向yかつ幅方向xの端部で、吸収性コア10が捲れ上がりにくくなる。
【0035】
中央接着領域16Cは、吸収性コア10の中央部10Cよりも幅方向xの外方に延在している。すなわち、中央接着領域16Cは、中央部10Cと重なって設けられるとともに、中央部10Cよりも幅方向xの外方に延在するように設けられる。このように中央接着領域16Cが設けられることにより、吸収性コア10の中央部10Cが着用者の両脚から力を受けても、中央部10Cが捲れ上がりにくくなる。なお中央接着領域16Cは、幅方向xの外縁が、吸収性本体7の幅方向xの外縁よりも内方に位置するように設けられる。中央接着領域16Cは、例えば、中央部10Cよりも幅方向xの外方に1mm以上(より好ましくは2mm以上であり、さらに好ましくは3mm以上)延在していることが好ましく、50mm以下(より好ましくは40mm以下であり、さらに好ましくは35mm以下)延在していることが好ましい。中央接着領域16Cは、前側接着領域16Fと後側接着領域16Bよりも幅狭に形成されているため、吸収性本体7は中央接着領域16Cの幅方向xの外方が外装部材2と接着されないこととなる。そのため、外装部材2の歪みが吸収性本体7に伝わりにくくなり、吸収性コア10の歪み防止にもつながる。
【0036】
中央接着領域16Cは、幅方向xの外縁が前側中間部10FMおよび/または後側中間部10BMの幅方向xの外縁を横切るように形成されている。すなわち、中央部10Cよりも幅広に形成された中央接着領域16Cは、中央部10Cから前側中間部10FMおよび/または後側中間部10BMにかけて延在するため、幅方向xの外縁が前側中間部10FMおよび/または後側中間部10BMの幅方向xの外縁を横切るように形成されることとなる。
【0037】
中央接着領域16Cの幅方向xの外方には、吸収性コア10の少なくとも前側中間部10FMおよび/または後側中間部10BMと重なって非接着領域17が形成されている。非接着領域17では、バックシート9と外装部材2が接着されず、バックシート9と外装部材2の間に隙間が形成されている。このように非接着領域17が形成されることにより、吸収性本体7が着用者の両脚から力を受けて歪んでも、その歪みが非接着領域17で吸収され、吸収性コア10の歪みが起こりにくくなる。その結果、吸収性コア10の着用者の股間へのフィット性が高まり、尿等の漏れが起こりにくくなる。
【0038】
非接着領域17は、吸収性コア10の前側に形成される前側非接着領域17Fおよび/または吸収性コア10の後側に形成される後側非接着領域17Bからなる。前側非接着領域17Fは、少なくとも前側中間部10FMと重なって形成され、さらに前側部10Fと重なるように延在していてもよい。前側非接着領域17Fは、前側接着領域16Fよりも後側に形成され、吸収性コア10と重なる部分として規定される。後側非接着領域17Bは、少なくとも後側中間部10BMと重なって形成され、さらに後側部10Bと重なるように延在していてもよい。後側非接着領域17Bは、後側接着領域16Bよりも前側に形成され、吸収性コア10と重なる部分として規定される。
【0039】
非接着領域17は、前側非接着領域17Fよりも後側非接着領域17Bの方が、前後方向yに長く形成されていることが好ましい。使い捨ておむつは、前側よりも後側の方が着用者の臀部によって強く圧迫されやすく、吸収性本体7の歪みも起こりやすい。そのため、後側非接着領域17Bを前側非接着領域17Fよりも前後方向yに長く形成することによって、より効果的に吸収性コア10の歪みを抑えることができる。また、吸収性コア10の対角方向への縒れが起こりにくくなる。この場合、前側非接着領域17Fの前後方向yの長さは、例えば、後側非接着領域17Bの前後方向yの長さの50%以下となればよい。なお、前側非接着領域17Fよりも後側非接着領域17Bの方が前後方向yに長く形成される態様には、前側非接着領域17Fが形成されない態様も含まれる。
【0040】
非接着領域17の大きさは特に限定されない。非接着領域17の幅方向xの長さは、例えば、15mm超が好ましく、18mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましく、また100mm以下が好ましく、80mm以下がより好ましく、60mm以下がさらに好ましい。非接着領域17の前後方向yの長さは、例えば、10mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、20mm以上がさらに好ましく、また125mm以下が好ましく、100mm以下がより好ましく、80mm以下がさらに好ましい。このように非接着領域17が形成されれば、吸収性本体7の歪みが非接着領域17で効果的に吸収され、吸収性コア10の歪みが起こりにくくなる。なお、前側非接着領域17Fは設けなくてもよい。
【0041】
前側接着領域16Fと後側接着領域16Bは、中央接着領域16Cよりも幅広かつ吸収性本体7と同幅以下に形成されていればよい。なお前側接着領域16Fと後側接着領域16Bは吸収性コア10の前側部10Fと後側部10Bとできるだけ広い面積で重なるように形成されることが好ましく、これにより吸収性コア10の前側部10Fと後側部10Bが捲れ上がりにくくなる。前側接着領域16Fは、幅方向xの外縁が吸収性コア10の前側部10Fの幅方向xの外縁より外方に位置するか、内方に15mm以内に位置することが好ましい。後側接着領域16Bは、幅方向xの外縁が吸収性コア10の後側部10Bの幅方向xの外縁より外方に位置するか、内方に15mm以内に位置することが好ましい。
【0042】
前側接着領域16Fの前後方向yの長さは、吸収性コア10の前側部10Fの前後方向yの長さの20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。後側接着領域16Bの前後方向yの長さは、吸収性コア10の後側部10Bの前後方向yの長さの20%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。このように前側接着領域16Fと後側接着領域16Bを形成することにより、吸収性コア10の前側部10Fと後側部10Bが捲れ上がりにくくなる。
【0043】
前側接着領域16Fは、前側部10Fから前側中間部10FMにかけて重なって形成されてもよく、後側接着領域16Bは、後側部10Bから後側中間部10BMにかけて重なって形成されてもよい。なお、非接着領域17をできるだけ広く形成する点から、前側接着領域16Fは前側部10Fのみと重なって設けてもよく、後側接着領域16Bは後側部10Bのみと重なって設けてもよい。また、非接着領域17を広く形成する点から、中央接着領域16Cはさらに前側部10Fおよび/または後側部10Bにかけて重なって形成されていてもよい。前側非接着領域17Fよりも後側非接着領域17Bの方を前後方向yに長く形成する場合は、前側接着領域16Fを前側部10Fのみと重なって設け、後側接着領域16Bを後側部10Bから後側中間部10BMにかけて重なるように設けてもよい。
【0044】
各接着領域16は複数に分割して設けられてもよい。特に、中央接着領域16Cが複数に分割して設けられていれば、吸収性本体7が着用者の両脚から力を受けても、吸収性コア10が中央部10Cで歪みにくくなる。中央接着領域16Cは、幅方向xに2分割して設けられるか、前後方向yに2分割して設けられることが好ましく、このように中央接着領域16Cを設けることにより、吸収性本体7が中央部10Cでしっかりと固定されるとともに、吸収性コア10が中央部10Cで歪みにくくなる。なお、接着領域16が複数に分割して設けられる場合、分割された各接着領域16は互いに離間して設けられる。
【0045】
外装部材2に脚部弾性部材18が設けられる場合、脚部弾性部材18は中央接着領域16Cと重なる部分で断続的に設けられることが好ましい(
図3を参照)。この場合、外装部材2に、脚開口部4の前側の縁に沿って延び、吸収性コア10の中央部10Cを幅方向xに横切って延びる前側脚部弾性部材18Fと、脚開口部4の後側の縁に沿って延び、吸収性コア10の中央部10Cを幅方向xに横切って延びる後側脚部弾性部材18Bとが設けられ、前側脚部弾性部材18Fと後側脚部弾性部材18Bは、中央接着領域16Cと重なる部分で断続的に設けられることが好ましい。なお、それ以外の部分では、前側脚部弾性部材18Fと後側脚部弾性部材18Bは連続的に設けられることが好ましい。このように脚部弾性部材18を設けることにより、吸収性コア10が歪みにくくなる。また、脚部弾性部材18による収縮力が吸収性コア10の近傍まで及ぶため、吸収性コア10が着用者に向かって持ち上げられて、吸収性コア10の着用者の股間でのフィット性が高まる。
【0046】
脚部弾性部材18を中央接着領域16Cと重なる部分で断続的に設ける場合、例えば、脚部弾性部材18を外装部材2に固定した後、脚部弾性部材18をカッター等で切断すればよい。この際、脚部弾性部材18は、中央接着領域16Cと重なる部分で複数箇所(好ましくは5箇所以上)切断することが好ましい。このようにすることで、脚部弾性部材18を製造上簡単に断続的に設けることができる。脚部弾性部材18が断続的に設けられた部分では、脚部弾性部材18の収縮力が実質的に失われていることが好ましい。脚部弾性部材18が断続的に設けられた部分は、脚部弾性部材18が吸収性コア10の中央部10Cを横断する部分の長さの75%以上の長さを有することが好ましい。
【0047】
吸収性本体7のトップシート8側に立ち上がりフラップ12が設けられる場合、
図4および
図5に示すように、中央接着領域16Cは、立ち上がりフラップ12の立ち上がる起点となる基部13よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。なお
図4では、立ち上がりフラップ12の基部13が位置する箇所を一点鎖線で表している。このように立ち上がりフラップ12を設けることにより、立ち上がりフラップ12が立ち上がった際に、立ち上がりフラップ12が幅方向xの内方に倒れにくくなる。すなわち、中央接着領域16Cが立ち上がりフラップ12の基部13よりも幅方向xの外方に延在しているため、吸収性本体7が立ち上がりフラップ12の基部13で捲れ上がりにくくなり、立ち上がりフラップ12が幅方向xの内方に倒れにくくなる。その結果、着用者の股間で、左右の立ち上がりフラップ12の間の空間が広く確保され、尿等の横漏れを防止しやすくなる。
【0048】
上記効果は、立ち上がりフラップ12が幅方向xの外方に折り返されることにより、基部13から立ち上がるように形成されている場合に、特に好適に奏功される。この場合、立ち上がりフラップ12は、トップシート8の幅方向xの両側に設けられたサイドシート14が折り返されることにより形成され、サイドシート14が、トップシート8に接合された固定部14Aと、固定部14Aの幅方向xの内方端から幅方向xの外方に折り返された起立部14Bを有することとなる。立ち上がりフラップ12がこのように形成されていれば、中央接着領域16Cが立ち上がりフラップ12の基部13よりも幅方向xの外方に延在することにより、吸収性本体7が立ち上がりフラップ12の基部13で捲れ上がりにくくなり、起立部14Bが幅方向xの内方に倒れずに、幅方向xの外方に立ち上がりやすくなる。
【0049】
上記の場合、立ち上がりフラップ12は具体的に次のように形成されることが好ましい。すなわち、サイドシート14は、起立部14Bとして、固定部14Aの幅方向xの内方端から幅方向xの外方に折り返された第1起立部を有し、立ち上がりフラップ12は第1起立部から形成されていることが好ましい。この場合、サイドシート14は、幅方向xの外方に開いた略V字状に折り畳まれることとなる。また、サイドシート14は、起立部14Bとして、固定部14Aの幅方向xの内方端から幅方向xの外方に折り返された第1起立部と、第1起立部から幅方向xの内方に折り返された第2起立部を有し、立ち上がりフラップ12が第1起立部と第2起立部とから形成されていることも好ましい。この場合、サイドシート14は、略Z字状に折り畳まれることとなる。なお、図面には、前者のように形成された立ち上がりフラップ12が示されている。
【0050】
上記には、本発明の使い捨ておむつをパンツ型おむつに適用する場合について説明したが、本発明の使い捨ておむつは、後背部の左右側端に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであってもよい。
【0051】
本発明の使い捨ておむつを構成する各部材の材料について説明する。トップシートは、おむつ着用の際に着用者側に位置するシートであり、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0052】
バックシートは、おむつ着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートであり、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。本発明において、液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
【0053】
立ち上がりフラップやサイドシートには、バックシートに使用可能な材料を用いればよい。
【0054】
外装部材は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシートやバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。外装部材は、内側シートに外側シートが積層されて形成されることが好ましく、親水性の内側シートに液不透過性の外側シートが積層されて形成されることがより好ましい。この場合、内側シートとしてはトップシートに使用可能なシート材料を用いることができ、外側シートとしてはバックシートに使用可能なシート材料を用いることができる。
【0055】
上記説明した各シート材料として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0056】
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コアに含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0057】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0058】
吸収性コアは、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0059】
シート状吸収体としては、吸収性材料として吸水性繊維を用いてもよい。この場合もまた、シート状吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、特公昭52−42916号公報に開示されるように、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。