【解決手段】X移動体21bに対して少なくとも第1方向D1及び第1方向D1と交差する第2方向D2に移動するY移動体23bと、Y移動体23bとX移動体21bとを接続しかつケーブル類を収容する第3保護案内部材33と、を備え、Y移動体23bの移動によりワークWを搬送するローダ装置100であって、第3保護案内部材33は、全長のうち屈曲範囲33a、33cに配置されかつ屈曲可能に連結される複数のリンク部材34と、屈曲範囲33a、33cを除いた非屈曲範囲33bに配置されかつ1つのリンク部材34より長手方向が長い接続部材35と、が接続されて形成される。
固定部に対して少なくとも第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向に移動する移動体と、前記移動体と前記固定部とを接続しかつケーブル類を収容する保護案内部材と、を備え、前記移動体の移動によりワークを搬送するローダ装置であって、
前記保護案内部材は、全長のうち屈曲範囲に配置されかつ屈曲可能に連結される複数のリンク部材と、前記屈曲範囲を除いた非屈曲範囲に配置されかつ1つの前記リンク部材より長手方向が長い接続部材と、が接続されて形成されるローダ装置。
前記ローダ装置の前記移動体が移動する前記第1方向及び前記第2方向は、前記主軸の軸線に平行なZ方向、前記Z方向に直交しかつ前記ワークに対する切削量を規定するX方向、並びに前記Z方向及び前記X方向にそれぞれ直交するY方向のうち、いずれか2つに設定される請求項7記載の工作機械。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面に平行な任意の方向をZ方向と表記し、Z方向に直交する方向をX方向と表記する。また、XZ平面に垂直な方向はY方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1及び
図2は、第1実施形態に係るローダ装置100の一例を示す図である。
図1は、ローダ装置100を+Z側から見たときの例を示している。
図2は、ローダ装置100を+X側から見たときの例を示している。
【0018】
図1及び
図2に示すように、ローダ装置100は、ワーク保持部10と、移動機構20と、複数の保護案内部材30とを備えている。ローダ装置100は、例えば後述の工作機械に搭載されて用いられ、この工作機械に設けられる主軸111、112とワーク搬入部120と(いずれも
図1及び
図2に一点鎖線で示す)の間でワークWを搬送する。
【0019】
ワーク保持部10は、
図2に示すように、ローダヘッド11を有している。ローダヘッド11は、ワークWを把持するチャック12、13を有している。チャック12、13は、一方が主軸111に対面する姿勢(−Z方向に向いた姿勢)に配置され、他方が床面に対面する姿勢(−Y方向に向いた姿勢)に配置される。
【0020】
ローダヘッド11には、2つのチャック12、13の位置を入れ替える回転機構14が設けられている。回転機構14は、Y軸に対して所定角度(例、45°)傾斜した軸周りに回転可能である。回転機構14を回転させることにより、2つのチャック12,13は、互いの位置を入れ替え可能となっている。チャック12、13は、把握爪12a、13aを有している。チャック12、13は、把握爪12a、13aによりワークWを把持する。
【0021】
図1及び
図2に示すように、移動機構20は、ワーク保持部10を移動させる。移動機構20は、X移動機構21と、Z移動機構22と、Y移動機構23とを有している。
X移動機構21は、ガイドレール21aと、X移動体21bとを有している。ガイドレール21aは、X方向に平行に延びており、不図示の固定部に固定されている。ガイドレール21aは、X移動体21bを案内する。X移動体21bは、不図示の駆動部により、ガイドレール21aに沿ってX方向に移動可能となっている。X移動体21bは、XZ平面に平行な板状部とYZ平面に平行な板状部とが組み合わされた形状を有しており、+Z側から見て略L字状に形成されている(
図1等参照)。
【0022】
Z移動機構22は、ガイド部22aと、Z移動体22bとを有している。ガイド部22aは、X移動体21bのうちXZ平面に平行な板状部の上面(+Y側の面)に固定されている。ガイド部22aは、Z方向に平行に延びている。ガイド部22aは、Z移動体22bを案内する。Z移動体22bは、直方体状に形成されている。Z移動体22bは、不図示の駆動部により、ガイド部22aに沿ってZ方向に移動可能となっている。
【0023】
Y移動機構23は、ガイド部23aと、Y移動体23bとを有している。ガイド部23aは、Z移動体22bの+Z側の面に固定されている。ガイド部23aは、Y方向に平行に延びている。ガイド部23aは、Y移動体23bを案内する。Y移動体23bは、棒状に形成されている。Y移動体23bは、不図示の駆動部により、ガイド部23aに沿ってY方向に移動可能となっている。Y移動体23bの−Y側端部には、ワーク保持部10が固定されている。
【0024】
ワーク保持部10をX方向に移動させる場合、移動機構20は、X移動体21bをX方向に移動させる。このとき、Z移動体22b及びY移動体23bは、X移動体21bと一体的にX方向に移動する。この移動では、X移動体21b、Z移動体22b及びY移動体23bの間に相対的な移動は生じない。
【0025】
また、ワーク保持部10をZ方向に移動させる場合、移動機構20は、Z移動体22bをZ方向に移動させる。このとき、Y移動体23bはZ移動体22bと一体的にZ方向に移動するが、X移動体21bは移動しない。したがって、このZ移動体22bの移動により、Y移動体23bは、X移動体21bに対してZ方向に移動する。
【0026】
また、ワーク保持部10をY方向に移動させる場合、移動機構20は、Y移動体23bをY方向に移動させる。このとき、X移動体21b及びZ移動体22bは移動しない。したがって、このY移動体23bの移動により、Y移動体23bは、X移動体21b及びZ移動体22bの両方に対してY方向に移動する。
【0027】
複数の保護案内部材30は、第1保護案内部材31と、第2保護案内部材32と、第3保護案内部材33とを有している。第1保護案内部材31、第2保護案内部材32、及び第3保護案内部材33は、それぞれ、チャック12、13の電源供給用ケーブルなど、各種ケーブル類を収容する。
【0028】
第1保護案内部材31は、所定の位置に設けられる固定部40と、X移動体21bとを接続する。第1保護案内部材31は、複数のリンク部材が長手方向に連結されている。複数のリンク部材は、例えば後述のリンク部材34と同様の構成を有し、互いにXY平面に沿って屈曲可能に連結されている。各種ケーブル類は、例えば複数のリンク部材を連結方向に貫通するように収容される。第1保護案内部材31は、一端が固定部40に固定され、他端がX移動体21bの底面(−Y側の面)に固定されている。第1保護案内部材31は、固定部40から+X方向に延びると共に+Y側にU字状に屈曲され、X移動体21bの底面(−Y側の面)に向けて−X方向に延びるように配置される。
【0029】
第2保護案内部材32は、X移動体21bと、Z移動体22bとを接続する。第2保護案内部材32は、第1保護案内部材31と同様に、複数のリンク部材が長手方向に連結されている。複数のリンク部材は、例えば後述のリンク部材34と同様の構成を有し、互いにYZ平面に沿って屈曲可能に連結されている。各種ケーブル類は、例えば複数のリンク部材を連結方向に貫通するように収容される。第2保護案内部材32は、一端がX移動体21bのうちXZ平面に平行な板状部の上面(+Y側の面)に固定され、他端がZ移動体22bの+X側の面に固定されている。第2保護案内部材32は、X移動体21bから+Z方向に延びると共に+Y側にU字状に屈曲され、Z移動体22b側の端部が−Z方向を向くように配置される。
【0030】
第3保護案内部材33は、X移動体21bと、Y移動体23bとを接続する。第3保護案内部材33は、屈曲範囲33a、33cと、非屈曲範囲33bとを有している。屈曲範囲33a、33cは、X移動体21bとY移動体23bとの間の相対的な移動によって変形する部分である。非屈曲範囲33bは、屈曲範囲33a、33cを除いた範囲であり、X移動体21bとY移動体23bとの間の相対的な移動によって変形しない部分である。屈曲範囲33aは、Y移動体23bに接続されている。屈曲範囲33cは、X移動体21bに接続されている。非屈曲範囲33bは、2つの屈曲範囲33a、33cに挟まれて形成される。
【0031】
第3保護案内部材33は、一端(屈曲範囲33a側の端部)がY移動体23bの−X側の面に固定され、他端(屈曲範囲33c側の端部)がX移動体21bのうちYZ平面に平行な板状部の上面(+Y側の面)に固定されている。第3保護案内部材33は、屈曲範囲33aがY移動体23bから−Y側に湾曲されて非屈曲範囲33bに接続される。非屈曲範囲33bは、直線状に配置されて屈曲範囲33cに接続される。屈曲範囲33cは、非屈曲範囲33bから−Z側に下方(−Y方向)に傾斜しつつ延び、X移動体21b側の端部が+Z方向を向くようにU字状に屈曲される。第3保護案内部材33は、Y移動体23bが第1方向D1(Y方向)及び第2方向D2(Z方向)に移動した場合に、それぞれ第1方向D1及び第2方向D2への移動に伴って変形する。
【0032】
図3は、第3保護案内部材33の一例を示す図である。
図3に示すように、屈曲範囲33a、33cには、それぞれ複数のリンク部材34が配置されている。複数のリンク部材34は、互いにYZ平面に沿って屈曲可能に連結されている。
図3では、例えば屈曲範囲33aが直線状に伸び、屈曲範囲33cが屈曲した状態が示されているが、これに限定するものではなく、屈曲範囲33a及び33cは、共に直線状に伸びたり、屈曲したりと変形可能に構成される。
【0033】
屈曲範囲33aの長手方向の両端部には、接続リンク34a及び34bが設けられる。接続リンク34aは、Y移動体23bに接続される。接続リンク34aとY移動体23bとの間は、例えば不図示のボルトなどの固定部材を介して連結される。また、接続リンク34bは、非屈曲範囲33bに接続される。接続リンク34bと非屈曲範囲33bとの間は、例えばボルトなどの固定部材34eを介して連結される。
【0034】
一方、屈曲範囲33cの長手方向の両端部には、接続リンク34c及び34dが設けられる。接続リンク34cは、非屈曲範囲33bに接続される。接続リンク34cと非屈曲範囲33bとの間は、例えばボルトなどの固定部材34fを介して連結される。また、接続リンク34dは、X移動体21bに接続される。接続リンク34dとX移動体21bとの間は、例えば不図示のボルトなどの固定部材を介して連結される。
【0035】
非屈曲範囲33bには、接続部材35が配置されている。接続部材35は、例えば樹脂材料を用いて形成されるが、これに限られず、例えば金属材料を用いて形成されてもよい。接続部材35は、長手方向が1つのリンク部材34よりも長くなっている。なお、接続部材35として、長手方向が他のリンク部材34よりも長くなるように形成された1つのリンク部材を用いてもよい。一例として、接続部材35は、非屈曲範囲33bにわたる長さに形成されている。接続部材35は、リンク部材34の間に配置される。各種ケーブル類は、例えば複数のリンク部材34と接続部材35との間を連結方向に貫通するように収容される。
【0036】
図4は、接続部材35の構成を示す斜視図である。なお、
図4では、接続部材35と接続リンク34b、34cとの接続を外した状態で示している。
図4に示すように、接続部材35は、筒状に形成されており、本実施形態では例えば角筒状に形成されている。なお、接続部材35は、円筒状など、他の筒形状に形成されてもよいし、錐状に形成されてもよい。
【0037】
接続部材35は、内側空間35kを囲む4つの側面35a〜35dを有している。接続部材35は、例えば一部材で形成されるが、これには限定されない。接続部材35の構成として、例えば断面視でコ字状の基材の凹部に蓋部を取り付けた構成であってもよいし、例えばそのような断面視でコ字状の基材の凹部同士を対向させて固定した構成であってもよい。なお、内側空間35kには、各種ケーブル類(不図示)が収容される。4つの側面35a〜35dのうち内面側にこれらのケーブル類が固定可能な構成であってもよい。
【0038】
側面35aの一部には、開口部35eが形成されている。開口部35eは、接続部材35の長手方向に沿って形成されている。側面35aには、開閉部35fが設けられている。開閉部35fは、開口部35eを短手方向に跨ぐように配置されている。開閉部35fは、一端がヒンジ状に形成され、閉じた状態においては他端が側面35aに係合されている。開閉部35fは、閉じた状態で他端を外側に引っ張ることで開いた状態となる。また、開いた状態で他端を側面35aに押し込むことで閉じた状態となる。上側開閉部35fは、開閉することにより、内側空間35kを解放可能である。開閉部35fを開いた状態では、開口部35eから各種ケーブル等を収容したり、取り出したりすることが可能である。開閉部35fは、非屈曲範囲33bの長手方向に等ピッチで複数並んで配置されている。複数の開閉部35fのピッチは、リンク部材34のピッチと等しくなっている。なお、開閉部35fと同様の構成がリンク部材34に設けられてもよい。側面35aのうち長手方向の両端には、それぞれ貫通穴35g、35hが形成されている。貫通穴35g、35hには、上記の固定部材34e、34fが挿入される。
【0039】
接続部材35は、長手方向における単位長さあたりの重量がリンク部材34と同一に設定されている。一例として、接続部材35の側面35b、35cには、複数の貫通穴35iが形成されている。複数の貫通穴35iにより、接続部材35の長手方向における単位長さあたりの重量がリンク部材34と同一になるように調整されている。これにより、第3保護案内部材33の全長に亘って力が偏り無く伝達される。貫通穴35iは、例えば円形に形成されるが、これには限定されず、多角形など他の形状であってもよい。また、貫通穴35iは、側面35b及び35cの一方にのみ設けられてもよいし、側面35dに設けられてもよい。また、貫通穴35iは、設けられなくてもよい。
【0040】
次に、上記のように構成されたローダ装置100の動作について図面を用いて説明する。
図5は、ローダ装置100の動作の一例を示す図であり、(a)は
図2に示す状態に対してY移動体23bを第1方向D1(−Y方向)に移動させる場合の例を示し、(b)は(a)の状態に対してZ移動体22bを第2方向D2(−Z方向)に移動させる場合の例を示す。
【0041】
図5(a)に示すように、Y移動体23bを第1方向D1である−Y方向に移動させた場合、第3保護案内部材33の接続リンク34aが−Y方向に引っ張られる。なお、このような移動は、例えばワーク搬入部120に載置されるワークWを取りに行く場合や、ワーク保持部10にワークWが保持された状態で主軸111(又は112)にワークWを対向させる場合に行われる。この移動による力は、まず屈曲範囲33aに伝達される。屈曲範囲33aでは、リンク部材34の1つ1つに力が順に伝達される。この力の伝達により、屈曲範囲33aのリンク部材34は、Y移動体23bの移動に追従するように屈曲する。リンク部材34が変形する場合、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音が発生する。
【0042】
次に、接続リンク34bを介して非屈曲範囲33bの接続部材35に力が伝達される。接続部材35が非屈曲範囲33bにわたる長さに形成されているため、複数のリンク34を順に伝わる場合に比べて短時間で力が伝達される。接続部材35を伝達した力は、接続リンク34cを介して屈曲範囲33cに伝達される。
【0043】
屈曲範囲33cでは、屈曲範囲33aと同様に、リンク部材34の1つ1つに順に力が伝達される。この力の伝達により、屈曲範囲33cのリンク部材34は、Y移動体23bの移動に追従するように屈曲状態を変化させる。リンク部材34が変形する場合、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音が発生する。
【0044】
上記動作において、例えば第3保護案内部材33の全長に亘ってリンク部材34が配置される場合には、Y移動体23bの移動による力がリンク部材34の1つ1つを介して伝達される。このため、X移動体21b側まで力が伝達するまで時間がかかる。したがって、Y移動体23bの移動が停止した後も第3保護案内部材33が変形し、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音が発生する。Y移動体23bの移動中では、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音はY移動体23bの移動音によってかき消されるため目立たない。しかし、Y移動体23bの移動が停止した後は移動音が停止しているため、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音が騒音として目立ってしまう。
【0045】
これに対して、本実施形態に係る第3保護案内部材33は、非屈曲範囲33bに接続部材35が設けられるため、全長に亘ってリンク部材34が配置される構成に比べて、移動による力が短時間で伝達され、第3保護案内部材33全体の変形が短時間で行われる。これにより、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防ぐことができる。このため、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減することができる。なお、上記説明では、Y移動体23bが第1方向D1として−Y方向に移動する場合を例に挙げたが、Y移動体23bが+Y方向に移動する場合にも同様に、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減することができる。
【0046】
また、
図5(b)に示すように、Z移動体22bを第2方向D2である−Z方向に移動させた場合、Z移動体22bの移動に伴って第2保護案内部材32の屈曲状態が変化する。また、Z移動体22bと一体にY移動体23bが−Z方向に移動する。なお、このような移動は、例えば主軸111(又は112)にワークWを対向させた状態から、その主軸111(又は112)にワークWを保持させる場合(主軸にワークを渡す場合)に行われる。このY移動体23bの移動に伴って、第3保護案内部材33の接続リンク34aが−Z方向に押される。この力は、屈曲範囲33aのリンク部材34の1つ1つに順に伝達され、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音が発生する。
【0047】
次に、接続リンク34bを介して非屈曲範囲33bの接続部材35に力が伝達される。この力は、短時間で接続リンク34cを介して屈曲範囲33cに伝達される。屈曲範囲33cでは、リンク部材34の1つ1つに順に力が伝達されて屈曲状態が変化すると共に、リンク部材34同士の摩擦音や衝突音が発生する。この場合においても同様に、第3保護案内部材33全体の変形が短時間で行われるため、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防ぐことができる。このため、Z移動体22bと一体で移動する場合においても、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減することができる。なお、上記説明では、Y移動体23bが第2方向D2として−Z方向に移動する場合を例に挙げたが、Y移動体23bが+Z方向に移動する場合にも同様に、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減することができる。
【0048】
以上のように、第1実施形態では、屈曲範囲33a、33cに配置される1つのリンク部材34より長手方向が長い接続部材35が第3保護案内部材33の非屈曲範囲33bに配置されるため、非屈曲範囲33bでは屈曲範囲33aに比べて力の伝達速度が速くなる。このため、第3保護案内部材33の全長に亘ってリンク部材34が配置される構成に比べて、第3保護案内部材33全体の変形が短時間で行われる。これにより、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防ぐことができるため、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減することができる。
【0049】
また、Y移動体23bは、Y方向(第1方向D1)及びZ方向(第2方向D2)に移動可能であるが、第1方向D1の移動距離に比べて第2方向の移動距離が小さくなっている。このように、第1方向D1と第2方向D2とで移動距離に差がある場合、非屈曲範囲33bを長く確保することができる。
【0050】
また、保護案内部材30の変形の遅れは、移動体の移動速度が高くなるほど発生しやすくなる。第1実施形態では、比較的移動速度の高いY移動体23bに第3保護案内部材33が接続されるため、第3保護案内部材33の変形の遅れを効率的に防止することができる。
【0051】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態に記載のローダ装置100を備える工作機械を例に挙げて説明する。第2実施形態では、第1実施形態と共通のXYZ直交座標系を用いて説明する。ただし、第2実施形態では、主軸111、112の回転軸方向をZ方向とし、ワークWに対する切削量を規定する方向をX方向とする。
【0052】
図6は、第2実施形態に係る工作機械200の一例を示す図である。
図6に示す工作機械200は、例えば平行2軸旋盤である。
図6において、工作機械200の+Z側が正面であり、−Z側が背面である。また、工作機械200の±X側は側面であり、X方向は工作機械200の左右方向である。
【0053】
工作機械200は、本体部110と、ワーク搬入部120と、ローダ装置130とを有している。
本体部110は、主軸111、112と、タレット113、114とを有している。主軸111、112は、X方向に並んで配置されている。主軸111、112は、不図示の軸受け等によって回転可能に支持されている。主軸111、112の+Z側の端部には、それぞれ把握爪111a、112aが設けられている。把握爪111a、112aは、主軸111、112の回転軸周りに所定の間隔で複数配置されている。把握爪111a、112aは、主軸111、112の径方向に移動させることでワークWを保持可能である。
【0054】
タレット113は、主軸111の+X側に配置されている。タレット114は、主軸112の−X側に配置されている。タレット113、114のそれぞれには、モータ等の回転駆動装置が設けられている。タレット113、114は、回転駆動装置により、Z方向に平行な軸周りに回転可能となっている。タレット113、114の周面には、切削工具を保持するための複数の保持部が設けられている(不図示)。これら保持部の全部または一部には切削工具が保持される。したがって、タレット113、114を回転させることにより、所望の切削工具が選択される。タレット113、114の保持部に保持される切削工具は、各保持台に対して交換可能である。切削工具としては、ワークWに対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。また、タレット113、114は、不図示の駆動装置により、X方向、Y方向、及びZ方向に移動可能となっている。これにより、切削工具は、ワークWに対してX方向、Y方向、及びZ方向に移動可能となっている。
【0055】
ワーク搬入部120には、工作機械200における加工対象であるワークWが載置される。ワーク搬入部120としては、例えば固定台が用いられるが、これに限定されるものではなく、コンベアやロータリー式の台などが用いられてもよい。
ローダ装置130は、第1実施形態に記載のローダ装置100が用いられる。ローダ装置130は、ワーク保持部10が主軸111、112とワーク搬入部120との間で移動可能となるように、X移動機構21のガイドレール21aが本体部110とワーク搬入部120との間をX方向に跨ぐように配置されている。これにより、ローダ装置130は、主軸111、112とワーク搬入部120との間でワークWを搬送可能となっている。
【0056】
次に、上記のように構成された工作機械200の動作を説明する。
図7及び
図8は、工作機械200の動作の一例を示す図である。
まず、ローダ装置130は、ワーク保持部10をワーク搬入部120の上方(+Y側)に配置させる。その後、
図7(a)に示すように、ローダヘッド11のチャック12を下側(−Y方向)に向けた状態でY移動体23bを−Y方向に移動させ、把握爪12aによってワークWを把持させる。このとき、Y移動体23bの移動に伴い、第3保護案内部材33が変形する。第3保護案内部材33には、屈曲範囲33a、非屈曲範囲33b、及び屈曲範囲33cの順に力が伝達される。この力は、非屈曲範囲33bを構成する接続部材35を介して短時間で伝達されるため、第3保護案内部材33全体の変形が短時間で行われる。このため、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防止でき、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減できる。
【0057】
その後、回転機構14によってチャック12とチャック13とを入れ替える。これにより、チャック12及びワークWが−Z方向に向けられ、チャック13が−Y方向に向けられる。チャック12を−Z方向に向けた後、
図7(b)に示すように、Y移動体23bを+Y方向に移動させ、ワークWを引き上げる。このとき、Y移動体23bの移動に伴って第3保護案内部材33が変形する。この場合においても、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防止でき、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減できる。なお、ワークWを引き上げた後にチャック12を−Z方向に向けてもよい。
【0058】
次に、
図8(a)に示すように、X移動体21bを−X方向に移動させ、ワーク保持部10及びワークWを例えば主軸111の上方(+Y側)に配置させる。以下、ワークWを主軸111に配置する場合を例に挙げて説明する。なお、ワークWを主軸112に配置する場合には、主軸112の上方にワーク保持部10及びワークWを配置させる。このとき、X移動体21bの移動に応じて第1保護案内部材31が変形する。
【0059】
次に、
図8(b)に示すように、Y移動体23bを−Y方向に移動させ、ワークWを主軸111に対向させる。このとき、Y移動体23bの移動に伴って第3保護案内部材33が変形する。したがって、この場合においても、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防止でき、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減できる。
【0060】
次に、
図8(b)に示す状態から、Z移動体22bを−Z方向に移動させ、ワークWを主軸111の把握爪111aに保持させる。このとき、Z移動体22bの移動に伴って第2保護案内部材32が変形する。また、Z移動体22bと一体にY移動体23bが移動する。このY移動体23bの移動に伴って第3保護案内部材33が変形する。この場合、第1実施形態の
図5(b)に示す場合と同様に、Y移動体23bの移動に伴って、屈曲範囲33a、非屈曲範囲33b、屈曲範囲33cの順に力が−Z方向に短時間で伝達される。このため、第3保護案内部材33全体の変形が短時間で行われる。よって、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減できる。
【0061】
以上のように、第2実施形態によれば、加工対象のワークWを保持する主軸111,112を備える工作機械200であって、ワーク搬入部120と主軸111、112との間においてワークWを搬送するローダ装置130を備え、このローダ装置130として、第1実施形態に記載のローダ装置100が用いられるため、Y移動体23bの移動が停止した後に第3保護案内部材33が遅れて変形するのを防ぐことができるため、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減することができる。また、これにより、騒音の少ない工作機械200を得ることができる。
【0062】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、接続部材35が長手方向に直線状に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、接続部材35が長手方向に湾曲した形状であってもよいし、屈曲した形状であってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、非屈曲範囲33b(接続部材35)が屈曲範囲33a、33cに挟まれた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、屈曲範囲33a及び33cのうち一方を省略した構成としてもよい。屈曲範囲33cを省略した場合、Y移動体23bに屈曲範囲33aが接続され、X移動体21bに非屈曲範囲33bが接続される。また、屈曲範囲33aを省略した場合、Y移動体23bに非屈曲範囲33bが接続され、X移動体21bに屈曲範囲33cが接続される。いずれの場合であっても、Y移動体23bの移動による力を短時間で伝達することができるため、Y移動体23bの移動後に生じる第3保護案内部材33の騒音を低減できる。
【0064】
また、上記実施形態では、第3保護案内部材33の長手方向に接続部材35が1つだけ設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、2つ以上の接続部材35が設けられた構成であってもよい。この場合、接続部材35同士を直接連結した構成であってもよいし、接続部材35同士の間に複数のリンク部材34を挟んだ構成であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、長手方向において接続部材35が非屈曲範囲33bの全範囲にわたって配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、接続部材35が1つの非屈曲範囲33bにおいて複数に分割された構成であってもよい。また、非屈曲範囲33bの一部の範囲にのみ接続部材35が配置され、残りの部分に例えばリンク部材34などが配置された構成であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、ローダ装置100が、ワークWを搬入するワーク搬入部120と主軸111、112との間でワークWを搬送する場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、ワークWを搬出するワーク搬出部が別途設けられる場合、ローダ装置100が主軸111、112とワーク搬出部との間でワークWを搬送する構成であってもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ローダ装置100が、1つのワーク保持部10に対する移動機構20及び保護案内部材30を有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、ワーク保持部10が複数設けられ、この複数のワーク保持部10に対する移動機構20及び保護案内部材30が複数組設けられた構成であってもよい。この場合、各組の保護案内部材30に配置される第3保護案内部材33に接続部材35が設けられた構成とすることができる。
【0068】
また、上記説明では、第3保護案内部材33にのみ接続部材35を配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、第1保護案内部材31及び第2保護案内部材32の少なくとも一方に対して接続部材35を配置する構成であってもよい。すなわち、ローダ装置100(130)の第1方向D1及び第2方向D2が、X方向、Y方向、及びZ方向のうちいずれか2つに設定されるものであればよい。この場合、どの2つの移動方向に移動体(X移動体21b又はZ移動体22b)が移動する場合においても、保護案内部材30の騒音を防ぐことができる。