【課題】赤外線を遮断する目的で窓ガラス等に貼着して使用する窓貼用赤外線遮断フイルムであって、優れた可視光透過性と赤外線遮断性を兼ね備えた窓貼用赤外線遮断フイルムを、効率よく、低い製造コストで提供する。
【解決手段】本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層、及び光学調整層が、少なくとも積層されていることを特徴とする。
プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層、及び光学調整層が、少なくとも積層されていることを特徴とする窓貼用赤外線遮断フイルム。
前記赤外線遮断層が、樹脂と赤外線吸収色素とを少なくとも含む赤外線遮断層A、及び樹脂と金属酸化物微粒子とを少なくとも含む赤外線遮断層Bからなる層である請求項1記載の窓貼用赤外線遮断フイルム。
前記赤外線遮断層Aが、プラスチックフイルムの片面に積層され、前記赤外線遮断層Bが、プラスチックフイルムの他の片面に積層されている請求項2記載の窓貼用赤外線遮断フイルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そして、特許文献1記載の熱線反射フィルムには、以下の欠点があった。
(1)特許文献1記載の熱線反射フィルムは、光の干渉を利用して赤外線領域(波長域:780nm〜10,000nm)の光を選択的に反射する目的で熱線反射層が積層されたものであり、該熱線反射層は、電波透過性の観点から高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とが交互に多層積層されたものである。また、該熱線反射層は、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを合計した層数は3以上とすることが好ましいとしており、特許文献1の実施例において、高屈折率誘電体層(Nb
2O
5層)と低屈折率誘電体層(SiO
2層)とを交互に合わせて9層積層して熱線反射層を形成している。
その為、特許文献1記載の熱線反射フィルムは、該熱線反射フィルムを製造する為に、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とを交互に何度も繰り返し積層して熱線反射層を積層する必要があり生産性が極めて悪いものであった。その結果、特許文献1記載の熱線反射フィルムは、製造コストが極めて高いものとなってしまう欠点があった。
【0007】
(2)特許文献1記載の熱線反射フィルムに積層されている熱線反射層は、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とが交互に何度も繰り返し積層されている層であり、高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層とはいずれも無機膜である。
その為、無機膜である高屈折率誘電体層と低屈折率誘電体層との密着力、及び高屈折率誘電体層と透明樹脂フィルムとの密着力が弱く、密着力試験を行った場合に、高屈折率誘電体層、または低屈折率誘電体層が該熱線反射フィルム上から剥がれてしまい、所望の全日射透過率を確実に長く維持することができない欠点があった。
【0008】
(3)特許文献1記載の熱線反射フィルムは、対向する1対のガラス基板の間に接着層を積層して、ガラス基板と該熱線反射フィルムとを貼着させて合わせガラスを得るために使用されている。
そして、特許文献1記載の熱線反射フィルムを使用した合わせガラスは、全日射透過率を効果的に低減させる目的で、熱可塑性樹脂と赤外線遮蔽性微粒子(錫がドープされた酸化インジウム微粒子(ITO微粒子)等)とを含有させた接着層として使用している。
したがって、特許文献1記載の熱線反射フィルムは、特許文献1記載の熱線反射フィルムのみでは、所望の全日射透過率を得ることができない欠点があった。
また、接着層の用途で使用する熱可塑性樹脂は一般的に粘度が高く、接着層に使用する熱可塑性樹脂中に赤外線遮蔽性微粒子を均一に分散させることが困難であり、赤外線遮断性微粒子が不均一に分散した接着層となり、上記特許文献1記載の熱線反射フィルムを使用した合わせガラスの日射透過率を測定した場合に、測定する箇所によって日射透過率にバラつきが発生してしまう。したがって、特許文献1記載の熱線反射フイルムは、確実に所望の赤外線遮断性を発揮することができない欠点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層、及び光学調整層が、少なくとも積層されていることを特徴とする窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[2]本発明は、前記赤外線遮断層が、樹脂と赤外線吸収色素とを少なくとも含む赤外線遮断層A、及び樹脂と金属酸化物微粒子とを少なくとも含む赤外線遮断層Bからなる層である上記[1]記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[3]本発明は、前記赤外線遮断層Aが、プラスチックフイルムの片面に積層され、前記赤外線遮断層Bが、プラスチックフイルムの他の片面に積層されている上記[2]記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[4]本発明は、前記光学調整層が、少なくとも、赤外線遮断層Bが積層されている側の面の最表層に積層されている上記[2]、または[3]記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[5]本発明は、前記光学調整層が、赤外線遮断層Bと接するようにして積層されている上記[4]記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[6]本発明は、前記光学調整層が、光学調整層と接する層よりも屈折率が低い層である上記[1]から[5]のいずれか1項記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[7]本発明は、前記赤外線吸収色素が、ジイモニウム系色素である上記[1]から[6]のいずれか1項記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
[8]本発明は、前記金属酸化物微粒子が、錫がドープされた酸化インジウム微粒子(ITO微粒子)である上記[1]から[7]のいずれか1項記載の窓貼用赤外線遮断フイルムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層、及び光学調整層が、少なくとも積層されていることを特徴としている為、優れた可視光透過性、及び優れた赤外線遮断性を兼ね備えたものとなる。
具体的には、分光光度計で測定した本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過率が75%以上であれば優れた可視光透過性を有するものであり、また、分光光度計で測定した本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの日射透過率が50%以下であれば優れた赤外線遮断性を有しているといえる。
【0011】
そして、優れた可視光透過性、及び優れた赤外線遮断性を兼ね備えた本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを製造する場合に、所望の赤外線遮断性を得る為に、赤外線遮断層を3層以上の多層積層する必要がない為、低い製造コストで本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム製造することができる。
また、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、赤外線を遮断する為に本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層されている赤外線遮断層を3層以上の多層積層する必要がない為、赤外線遮断層とプラスチックフイルムとの密着力、及び赤外線遮断層と光学調整層との密着力が強く、赤外線遮断層、または光学調整層が本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム上から剥がれることがなく、所望の赤外線透過性を確実に長く維持することができる。
【0012】
また、上記の通り、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、上記の特徴を有したものである為、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム自体が、優れた可視光透過性、及び優れた赤外線遮断性の両方を兼ね備えたものとなる。
その為、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムとガラス板等とを貼着する場合に、使用する接着層等に、赤外線遮蔽性微粒子が含まれたものを使用する必要がなく、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの日射透過率を測定する箇所によって、日射透過率にバラつきが生じることがない。したがって、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、確実に優れた赤外線遮断性を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層、及び光学調整層が積層されていることを特徴とする窓貼用赤外線遮断フイルムであり、優れた可視光透過性、及び優れた赤外線遮断性の両方を兼ね備えたものである。
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの代表的な構成を下記(1)〜(5)に示す。尚、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの構成は、下記構成に限らない。
(1)プラスチックフイルム/赤外線遮断層/光学調整層
(2)プラスチックフイルム/光学調整層/赤外線遮断層
(3)光学調整層/プラスチックフイルム/赤外線遮断層/光学調整層
(4)赤外線遮断層/プラスチックフイルム/赤外線遮断層/光学調整層
(5)光学調整層/赤外線遮断層/プラスチックフイルム/赤外線遮断層/光学調整層
【0014】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに使用するプラスチックフイルムは、特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリアミドフイルム等、各種従来公知のプラスチックフイルムが使用できる。
【0015】
プラスチックフイルムは、無延伸、一軸延伸、二軸延伸の何れでもよく、また、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤等の各種添加剤を含んでいても構わない。
プラスチックフイルムの種類や厚さは、所望の用途、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0016】
また、プラスチックフイルムは、プラスチックフイルムと赤外線遮断層等との密着力を強くする目的で、プラスチックフイルム上にアンカーコート、易接着コート、コロナ処理等の表面処理がされたものでも構わず、これら表面処理がされたプラスチックフイルムも、本明細書のプラスチックフイルムに含まれる。
【0017】
プラスチックフイルムの厚さは、特に限定されないが、25〜100μmの範囲が好ましい。
プラスチックフイルムの厚さが25μmよりも薄いと、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムをガラス板等に貼着する際に、カールやシワ等が発生しやすくなるおそれがある為、好ましくなく、100μmよりも厚いと、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを所望の大きさにカットする際に、カッターナイフ等でカットしづらい為、作業性が悪くなり、また本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを製造する際に製造コストも上がる為、好ましくない。
【0018】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された赤外線遮断層は、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに、優れた赤外線遮断性を発揮させる目的で、プラスチックフイルムの片面または両面に積層される層であり、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む層である。
【0019】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、該窓貼用赤外線遮断フイルムに積層されている赤外線遮断層を、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含むものとすることで、780nm以上のいわゆる赤外線領域の光を効果的に遮断することができ、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムが優れた赤外線遮断性を確実に発揮することができる。
【0020】
そして、赤外線遮断層は、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む層であれば単層であってもよく、該赤外線遮断層を、樹脂と赤外線吸収色素とを少なくとも含む赤外線遮断層Aと、樹脂と金属酸化物微粒子とを少なくとも含む赤外線遮断層Bとしても構わない。
尚、赤外線遮断層A、及び赤外線遮断層Bについては、後述する。
【0021】
はじめに、前記赤外線遮断層が、単層の場合について述べる。
赤外線遮断層に使用する樹脂の種類は、特に制限なく使用することができ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、メラミン系樹脂、メラミンアクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂等、各種公知の樹脂が使用でき、これらのいずれか1種、または2種以上の混合樹脂としてもよく、目的に応じて適宜選択すればよい。
また、上記樹脂のうち、粘度が高いものを使用した場合には、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子が樹脂中に均一に分散しづらいおそれがある為、粘度が低いものを使用することが好ましい。
【0022】
そして、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等、特に制限なく使用することができる。特に、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムにハードコート性を付与したい場合には、赤外線遮断層に使用する樹脂として、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を使用すればよい。
【0023】
前記赤外線遮断層は、赤外線遮断性の効果を損なわない範囲で必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、重合開始剤、硬化剤等の各種添加剤を1種類以上添加しても構わず、添加する各種添加剤の種類や添加量は、所望の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0024】
前記赤外線遮断層に使用する赤外線吸収色素としては、特に制限なく使用することができ、ポリメチン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、金属錯体系色素、アミニウム系色素、イモニウム系色素、ジイモニウム系色素等、従来公知の赤外線吸収色素を使用することができる。また、赤外線遮断層に使用する際には、上記赤外線吸収色素のいずれか1種、または2種以上を混合して使用してもよく、赤外線吸収色素の種類等は、目的に応じて適宜選択すればよい。特に、所望の赤外線域を遮断することができる点からジイモニウム系色素を使用することが好ましい。
【0025】
また前記赤外線遮断層に使用する金属酸化物微粒子としては、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化インジウム、酸化銀等、従来公知の金属酸化物の微粒子の他、アンチモンがドープされた酸化錫微粒子(ATO微粒子)、錫がドープされた酸化インジウム微粒子(ITO微粒子)を使用することができ、目的に応じて適宜選択すればよい。特に、所望の可視光透過性と赤外線遮断性を得ることができる点からITO微粒子を使用することが好ましい。
【0026】
前記赤外線遮断層の樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子の重量比率は、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムが所望の可視光透過性、及び赤外線遮断性を発揮するものとする為には、樹脂:赤外線吸収色素:金属酸化物微粒子=100:1〜5:50〜200の範囲であることが好ましい。
【0027】
前記該赤外線遮断層の厚さは、0.2〜5μmの範囲が好ましく、赤外線遮断層を積層する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート(リバースグラビアコート)法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0028】
また、赤外線遮断層の屈折率は、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムが所望の可視光透過性を発揮するものとする為には、1.45〜1.8の範囲が好ましい。
【0029】
次に、前記赤外線遮断層を、赤外線遮断層Aと赤外線遮断層Bとにする場合について述べる。
【0030】
赤外線遮断層Aは、樹脂と赤外線吸収色素とを少なくとも含む層であり、使用する樹脂と必要に応じて添加する各種添加剤は、前記赤外線遮断層に使用するものと同様のものが使用できる。
【0031】
赤外線遮断層Aの厚さは、0.5〜3μmの範囲が好ましい。
赤外線遮断層Aの厚さが、上記範囲でないと、赤外線遮断層Bの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する金属酸化物微粒子の重量比率や、光学調整層の厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する無機微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断性、及び可視光透過性を、所望の赤外線遮断性、及び所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0032】
前記赤外線遮断層Aに使用する樹脂に対する赤外線吸収色素の重量比率は、1〜5%の範囲であることが好ましい。
赤外線吸収色素の重量比率が、上記範囲でないと、赤外線遮断層Bの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する金属酸化物微粒子の重量比率や、光学調整層の厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する無機微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断性、及び可視光透過性を、所望の赤外線遮断性、及び所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0033】
赤外線遮断層Aを積層する方法は、前記赤外線遮断層を積層する従来公知のコーティング方法と同様のコーティング方法が使用でき、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0034】
また、赤外線遮断層Aの屈折率は、1.5〜1.7の範囲とすることが好ましい。
赤外線遮断層Aの屈折率が上記範囲でないと、赤外線遮断層Bの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する金属酸化物微粒子の重量比率や、光学調整層の厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する無機微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断性、及び可視光透過性を、所望の赤外線遮断性、及び所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0035】
赤外線遮断層Bは、樹脂と金属酸化物微粒子とを少なくとも含む層であり、使用する樹脂と必要に応じて添加する各種添加剤は、前記赤外線遮断層に使用するものと同様のものが使用できる。
【0036】
赤外線遮断層Bの厚さは、1〜3μmの範囲が好ましい。
赤外線遮断層Bの厚さが、上記範囲でないと、赤外線遮断層Aの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する赤外線吸収色素の重量比率や、光学調整層の厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する無機微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断性、及び可視光透過性を、所望の赤外線遮断性、及び所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0037】
また、前記赤外線遮断層Bの樹脂に対する金属酸化物微粒子の重量比率は、50〜200%の範囲であることが好ましい。
前記赤外線遮断層Bに使用する樹脂に対する金属酸化物微粒子素の重量比率が、上記範囲でないと、赤外線遮断層Aの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する赤外線吸収色素の重量比率や、光学調整層の厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する無機微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断性、及び可視光透過性を、所望の赤外線遮断性、及び所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0038】
赤外線遮断層Bを積層する方法は、前記赤外線遮断層を積層する従来公知のコーティング方法と同様のコーティング方法が使用でき、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0039】
また、赤外線遮断層Bの屈折率は、1.5〜1.8の範囲とすることが好ましい。
赤外線遮断層Bの屈折率が上記範囲でないと、赤外線遮断層Aの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する赤外線吸収色素の重量比率や、光学調整層の厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する無機微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断性、及び可視光透過性を、所望の赤外線遮断性、及び所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0040】
赤外線遮断層A、及び赤外線遮断層Bは、いずれもプラスチックフイルムの片面上に積層されていてもよいし、赤外線遮断層Aが、プラスチックフイルムの片面に積層され、赤外線遮断層Bが、プラスチックフイルムの他の片面(赤外線遮断層Aが積層されている側と反対側の面)に積層されていても構わない。
赤外線遮断層A、及び赤外線遮断層Bが、いずれもプラスチックフイルムの片面上に積層されている場合、赤外線遮断層A、及び赤外線遮断層Bのいずれの層が下層(プラスチックフイルム側)となってもよく、その順序は所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0041】
赤外線遮断層を、赤外線遮断層Aと赤外線遮断層Bとにする場合に、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの代表的な構成を下記(6)〜(12)に示す。尚、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、下記構成に限らない。
(6)プラスチックフイルム/赤外線遮断層A/赤外線遮断層B/光学調整層
(7)プラスチックフイルム/光学調整層/赤外線遮断層A/赤外線遮断層B
(8)プラスチックフイルム/赤外線遮断層B/赤外線遮断層A/光学調整層
(9)赤外線遮断層A/プラスチックフイルム/赤外線遮断層B/光学調整層
(10)赤外線遮断層B/プラスチックフイルム/光学調整層/赤外線遮断層A
(11)光学調整層/プラスチックフイルム/赤外線遮断層A/赤外線遮断層B
(12)光学調整層/プラスチックフイルム/赤外線遮断層A/赤外線遮断層B/光学調整層
【0042】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層されている光学調整層は、光の屈折を利用して本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムが所望の可視光透過性を発揮させる目的で積層される層である。
【0043】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、前記本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの代表的な構成(1)〜(12)で示したとおり、プラスチックフイルムの片面上に赤外線遮断層、及び光学調整層が積層されている場合、赤外線遮断層、及び光学調整層のいずれの層が下層(プラスチックフイルム側)となってもよく、その順序は所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0044】
前記光学調整層は、少なくとも、樹脂と無機微粒子とを含む層であることが好ましく、該光学調整層に使用する樹脂は、特に制限なく使用することができ、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、メラミン系樹脂、メラミンアクリレート系樹脂、エポキシ系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、シロキサン系樹脂等、従来公知の樹脂が使用できる。また、光学調整層に使用する際には、上記樹脂のいずれか1種、または2種以上を混合して使用してもよく、使用する樹脂の種類等は、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0045】
特に、光学調整層は、可視光透過性の点から該光学調整層に使用する樹脂に、シロキサン系樹脂を使用することが好ましく、さらに水酸基を有するシロキサン系樹脂とすれば、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムが、防汚効果を発揮することができる為、より好ましい。尚、水酸基を有するシロキサン系樹脂を使用した際の防汚効果については、後述する。
【0046】
また、光学調整層に使用する無機微粒子は、特に制限なく使用することができ、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、炭酸カルシウム微粒子、炭酸マグネシウム微粒子、リン酸カルシウム微粒子、酸化セリウム微粒子、ATO微粒子、ITO微粒子等、従来公知の無機微粒子が使用でき、使用する無機微粒子の種類は、目的に応じて適宜選択すればよい。特に光学調整層の屈折率を容易に所望の屈折率とすることができる点からシリカ微粒子が好ましい。
【0047】
また、光学調整層に使用する樹脂にシロキサン系樹脂を使用し、かつ使用する無機微粒子にシリカ微粒子使用した場合には、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過率を80%以上とすることができる為、より好ましい。
【0048】
光学調整層の屈折率は、1.35〜1.53の範囲が好ましい。
光学調整層の屈折率が、上記範囲でないと、赤外線遮断層Aの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する赤外線吸収色素の重量比率や、赤外線遮断層Bの厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する金属酸化物微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過性を所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0049】
また、光学調整層の屈折率を所望の屈折率とするには、使用する無機微粒子の種類、大きさ、及び樹脂に対する無機微粒子の重量比を適宜調整すればよい。
【0050】
光学調整層の屈折率は、該光学調整層と接する層の屈折率よりも屈折率を低くすれば、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過性を所望の可視光透過性とすることができる為、好ましい。
また、光学調整層と接する層は、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムが所望の可視光透過性を得る為に、光学調整層と接する層の屈折率が1.5〜1.8の範囲であり、かつ光学調整層と接する層の厚さは、0.2〜2.5μmの範囲が好ましい。
尚、光学調整層と接する層が、前記赤外線遮断層(赤外線遮断層A、及び赤外線遮断層Bを含む)である場合には、該赤外線遮断層の屈折率、及び厚さは上記範囲となる。
【0051】
光学調整層の厚さは、0.1〜0.3μmの範囲が好ましい。
光学調整層の厚さが、上記範囲でないと、赤外線遮断層Aの厚さ、屈折率、及び使用する樹脂に対する赤外線吸収色素の重量比率や、赤外線遮断層Bの厚さ、屈性率、及び使用する樹脂に対する金属酸化物微粒子の重量比率を調整したとしても、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過性を所望の可視光透過性とすることができなくなるおそれがある為、好ましくない。
【0052】
また、光学調整層を積層する方法は、グラビアコート法、リバースコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート(リバースグラビアコート)法等、従来公知のコーティング方法が使用でき、所望の目的に応じて適宜選択すればよい。
【0053】
そして、光学調整層に使用する樹脂として水酸基を有するシロキサン系樹脂を使用した光学調整層を、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの最表層に積層すれば、該光学調整層は、優れた親水性を有する層となり、大気中の水分子を吸着して光学調整層表面(他の層と接してる側と反対側の面)に水分子膜が形成される。
その結果、該光学調整層が最表層に積層された本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、光学調整層上(水分子膜上)にチリや埃等の汚れ物質が付着した場合であっても、水を使用すれば容易に光学調整層上から汚れ物質を除去することができるという防汚効果を発揮することができる。
【0054】
このように、光学調整層に使用する樹脂として水酸基を有するシロキサン系樹脂を使用した光学調整層が最表層に積層された本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは前記優れた可視光透過性、及び赤外線遮断性を有することはもちろん、優れた防汚効果をさらに発揮するものとなる。
具体的には、JIS R 3257に準拠して測定した場合に、水の接触角が10°以下であれば優れた親水性を有しているといえ、優れた防汚効果を発揮することができる。
【0055】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過性を所望の可視光透過性とする為には、前記に示した本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに代表的な構成の(1)、(3)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)、(11)、及び(12)の構成のように、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの最表層に光学調整層が積層されていることが好ましい。
また、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過性を所望の可視光透過性とする為には、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された赤外線遮断層を赤外線遮断層Aと赤外線遮断層Bとし、かつ前記光学調整層が、前記に示した構成の(6)、(7)、(8)、(9)、及び(12)の構成のように、赤外線遮断層B層が積層されている側の面に積層されたものとすることがより好ましく、前記光学調整層が、(6)、(9)、及び(12)の構成のように赤外線遮断層Bと接するようにして積層されていれば、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過率を、確実に75%以上とすることができ、優れた可視光透過性を発揮することができる為、万全である。
【0056】
また、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、必要に応じて、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層されている赤外線遮断層(赤外線遮断層A、及び赤外線遮断層Bを含む)や光学調整層の各層間の密着力を強くする為のアンカーコート層や易接着コート層、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに意匠性を付与する為の着色層や印刷層、及び本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムにハードコート性や金属光沢性等の各種機能性を付与する為のハードコート層や金属薄膜層等の各種機能層が、積層されていても構わない。
【0057】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、ガラス板等の表面に貼着した積層品を、車両のウィンドウガラス、建物の窓ガラス、及びショーウィンドウ用のガラス板等の可視光透過性と赤外線遮断性の両方を要求される用途で使用することができる。
【0058】
本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムをガラス板等に貼着する方法は、特に制限なく使用することができ、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムとガラス板等との間に接着剤や粘着剤からなる接着層や粘着層を介して貼着する方法等、目的に応じて適宜選択すればよい。
【0059】
尚、前記の通り、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子が少なくとも含まれた赤外線遮断層が積層されたものであり、上記積層品を得る場合に、金属酸化物微粒子が含まれた接着剤や粘着剤を使用する必要がない。その為、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを使用して得た積層品は、該積層品の日射透過率を測定する箇所によって日射透過率のバラつきが生じることがなくなる。
【0060】
以上のように、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、プラスチックフイルムの片面または両面に、樹脂、赤外線吸収色素、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層、及び光学調整層が、少なくとも積層されていることを特徴とする窓貼用赤外線遮断フイルムである為、優れた可視光透過性と赤外線遮断性を兼ね備えたものである。
【0061】
また、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された赤外線遮断層を3層以上積層していない為、赤外線遮断層とプラスチックフイルムとの密着力、及び赤外線遮断層と光学調整層との密着力が強く、赤外線遮断層、または光学調整層が本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム上から剥がれることなく、優れた赤外線遮断性を確実に長く維持することができるものである。
また本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを製造する際に、従来よりも製造工程を少なくすることができる為、効率よく本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを製造することができる。
【0062】
そして、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された赤外線遮断層を、赤外線吸収色素を少なくとも含む赤外線遮断層A、及び金属酸化物微粒子を少なくとも含む赤外線遮断層Bとすれば、可視光透過性、及び赤外線遮断性の点からより好ましく、さらに光学調整層が、前記赤外線遮断層B層上に積層されたものとすれば万全である。
【0063】
さらに、光学調整層が最表層に積層された本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、該光学調整層を、少なくとも、水酸基を有するシロキサン系樹脂を含むものとすれば、前記優れた可視光透過性、及び優れた赤外線遮断性を有することはもちろん、優れた防汚性効果もさらに発揮するものとなり、そして、該光学調整層を、少なくとも、水酸基を有するシロキサン系樹脂、及びシリカ微粒子を含むものとすれば、本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの可視光透過率を80%以上とすることができ、優れた可視光透過性をさらに優れたものとすることができ、防汚効果も発揮することができ、万全である。
【実施例】
【0064】
[実施例1]
以下の工程を順に行い、プラスチックフイルムの片面に、赤外線遮断層Aが積層され、プラスチックフイルムの他の片面に、赤外線遮断層B、及び光学調整層が積層された実施例1の本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを得た。
(工程1)厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、アクリル系樹脂と赤外線吸収色素としてジイモニウム系色素を含む混合塗料(日本カーリット株式会社製 商品名:サンバリアーN1−A)をマイクログラビアコート法でコーティングし厚さ1.0μmの赤外線遮断層Aを積層した。
尚、アクリル系樹脂に対するジイモニウム系色素の重量比率は3%あり、赤外線遮断層Aの屈折率は1.5であった。
(工程2)上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの他の片面に、ウレタンアクリレート系樹脂(三菱マテリアル株式会社製 商品名:PI−3)、及び金属酸化物微粒子としてITO微粒子を含む混合塗料をマイクログラビアコート法でコーティングし厚さ1.5μmの赤外線遮断層Bを積層した。
尚、ウレタンアクリレート樹脂に対するITO微粒子の重量比率は100%であり、赤外線遮断層Bの屈折率は、1.7であった。
(工程3)上記赤外線遮断層B上に、水酸基を有するシロキサン系樹脂、及びシリカ微粒子を含む混合塗料(司化研株式会社製 商品名:DMコート)をマイクログラビアコート法でコーティングし厚さ0.2μmの光学調整層を積層した。
尚、光学調整層の屈折率は、1.49であった。
【0065】
[実施例2]
実施例1の(工程3)で使用した混合塗料(司化研株式会社製 商品名:DMコート)にかえて、ウレタンアクリレート樹脂とITO微粒子とからなる混合塗料を使用したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを得た。
【0066】
[比較例1]
実施例1の(工程2)で使用した混合塗料にかえて、ウレタンアクリレート樹脂のみ(ITO微粒子を含んでいない)を使用したこと、及び実施例1の(工程3)を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の窓貼用赤外線遮断フイルムを得た。
【0067】
(可視光透過率の測定)
実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム、及び比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムを使用し、JIS R 3106に準拠して、それぞれ可視光透過率を測定した。結果は表1に示す。
【0068】
(日射透過率の測定)
実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム、及び比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムを使用し、JIS R 3107に準拠して、それぞれ日射透過率を測定した。結果は表1に示す。
【0069】
(水の接触角の測定)
実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム、及び比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムを使用し、JIS R 3257に準拠して、実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された光学調整層表面、及び比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断層B層表面の水の接触角を測定した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1の通り、比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムは、可視光透過率は85%と優れた可視光透過性を有するものであったが、日射透過率は70%であり窓貼用赤外線遮断フイルムのみでは赤外線遮断性は悪いものであった。
それに対して、実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、いずれも可視光透過率が75%以上(実施例1:83%、実施例2:78%)、かつ日射透過率が50%以下(実施例1:48%、実施例2:47%)であり、いずれも本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムのみで、優れた可視光透過性、及び優れた赤外線遮断性を有するものであった。
【0072】
また、実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された光学調整層表面、及び比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムの赤外線遮断層B層表面の水の接触角が10°以上(実施例2:50°、比較例1:50°)であり、実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム、及び比較例1で得た窓貼用赤外線遮断フイルムは、いずれも優れた親水性を有しておらず、該光学調整層、及び該赤外線遮断層Bに付着した汚れを除去することができず、防汚効果を発揮するものではなかった。
それに対して、実施例1で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、該窓貼用赤外線遮断フイルムに積層された光学調整層表面の水の接触角が5°であり、優れた親水性を有するものであり、該光学調整層に付着した汚れを容易に除去することができ、優れた防汚効果を発揮するものであった。
【0073】
[比較例2]
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルムの片面に、スパッタリング法で、厚さ95nmのNb
2O
5層と、厚さ135nmのSiO
2層とを交互に合わせて9層(Nb
2O
5層:5層、SiO
2層:4層)積層して、比較例2の積層体(プラスチックフイルム上に、特許文献1の実施例1相当の熱線反射層を積層したもの)を得た。
(密着力の測定)
実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルム、及び比較例2で得た積層体を使用し、JIS R 5600−5−6(クロスカット法)に準拠して、実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムの光学調整層表面、及び比較例2で得た積層体のNb
2O
5層とSiO
2層とが積層されている側の表面の密着力を測定した。
尚、比較例2で得た積層体は、プラスチックフイルム上に、Nb
2O
5層とSiO
2層とを交互に繰り返し何度も積層している為、生産性が極めて悪いものであった。
【0074】
(試験結果)
比較例2で得た積層体は、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に積層したNb
2O
5層、またはSiO
2層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム上から剥がれていたのに対して、実施例1、及び実施例2で得た窓貼用赤外線遮断フイルムは、赤外線遮断層B、及び光学調整層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム上から剥がれることがなかった。
【0075】
また、前記通り、実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムは、優れた熱線遮断性を有するものであり、優れた熱線遮断性を有するものとする為に赤外線遮断層A、赤外線遮断層Bをそれぞれ1層積層したのみであった。その為、実施例1、及び実施例2で得た本発明の窓貼用赤外線遮断フイルムを、効率よく、低い製造コストで製造することができた。