特開2015-174646(P2015-174646A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特開2015174646-作業機 図000003
  • 特開2015174646-作業機 図000004
  • 特開2015174646-作業機 図000005
  • 特開2015174646-作業機 図000006
  • 特開2015174646-作業機 図000007
  • 特開2015174646-作業機 図000008
  • 特開2015174646-作業機 図000009
  • 特開2015174646-作業機 図000010
  • 特開2015174646-作業機 図000011
  • 特開2015174646-作業機 図000012
  • 特開2015174646-作業機 図000013
  • 特開2015174646-作業機 図000014
  • 特開2015174646-作業機 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-174646(P2015-174646A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20150908BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20150908BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20150908BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20150908BHJP
   A01B 63/00 20060101ALI20150908BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
   B60K35/00 Z
   F02D29/00 B
   F02D29/02 321A
   A01C11/02 330L
   A01B63/00 B
   B60R16/02 640Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-55171(P2014-55171)
(22)【出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石見 憲一
(72)【発明者】
【氏名】下池 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】林 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】内山 大輔
【テーマコード(参考)】
2B062
2B304
3D344
3G093
【Fターム(参考)】
2B062AA20
2B062AB01
2B062BA26
2B304KA16
2B304LA02
2B304LA09
2B304LB05
2B304LB16
2B304QA02
2B304QB19
2B304RB01
2B304RB07
3D344AA20
3D344AB04
3D344AD01
3D344AD13
3G093AA09
3G093BA21
3G093BA22
3G093DA13
3G093DB01
(57)【要約】
【課題】キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動停止及び始動を行うようにしたものにおいて、エンジンの実際の作動状態を正確に表示する。
【解決手段】キースイッチがオン操作されている状態において、変速操作具の操作に基づいてエンジン停止指令が指令されるとエンジンの作動を停止させ、且つ、エンジン始動指令が指令されるとエンジンを始動させるエンジン制御手段100と、エンジン制御手段100の作動によりエンジンの作動が停止しているエンジン自動停止状態であることを表示するインジケータM6と、エンジンの作動を停止させたのちに、エンジン回転数が停止判定用設定値以下になるとインジケータM6を点灯させ、且つ、エンジンを始動させたのち、エンジン回転数が停止判定用設定値よりも高い値に設定された始動判別用設定値以上になるとインジケータを消灯させる表示制御手段101とが備えられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止指令が指令されるとエンジンの作動を停止させ、且つ、前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動指令が指令されるとエンジンを始動させるエンジン制御手段と、
エンジン回転数を検出する回転数検出手段と、
前記エンジン制御手段の作動により前記エンジンの作動が停止しているエンジン自動停止状態であることを表示するインジケータと、
前記エンジン停止指令が指令されるに伴って前記エンジン制御手段がエンジンの作動を停止させたのちに、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が停止判定用設定値以下になると前記インジケータを点灯させ、且つ、前記インジケータを点灯させている状態で、エンジン始動指令が指令されるに伴って前記エンジン制御手段が前記エンジンを始動させたのち、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が前記停止判定用設定値よりも高い値に設定された始動判別用設定値以上になると前記インジケータを消灯させるエンジン停止状態表示処理を実行する表示制御手段とが備えられている作業機。
【請求項2】
前記表示制御手段が、機体の各部において異常が発生したときは、その異常の種類に応じて予め設定された周期で前記インジケータを点滅表示させる異常表示処理を実行する請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記他の操作具が複数の操作位置に操作自在な走行用の変速操作具にて構成されるとともに、前記複数の操作位置のいずれかにエンジン停止用の所定操作位置が設定され、
前記変速操作具が前記所定操作位置に操作されると、前記エンジン停止指令が指令される請求項1又は2記載の作業機。
【請求項4】
前記変速操作具が前記所定操作位置から外れ、且つ、走行停止用操作具が操作されると、前記エンジン始動指令が指令される請求項3記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関し、詳しくは、キースイッチがオン操作されている状態において、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいて、エンジン停止指令が指令されるとエンジンの作動を停止させ、エンジン始動指令が指令されるとエンジンを始動させるようにエンジンの作動を制御するようにした作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機の一例である乗用型田植機にて次のように構成されたものがあった。
すなわち、キースイッチ以外の他の操作具としての変速操作具が、変速用の操作経路とは異なる位置に設けられたエンジン停止用操作位置に操作されると、キースイッチがオン状態であってもエンジンを停止させ、その後、変速操作具がエンジン停止用操作位置から変速用の操作経路に移動するとともにブレーキ操作が行われると、エンジンを始動させるように、エンジンの作動が制御される。そして、変速操作具がエンジン停止用操作位置に操作されると、直ちに操作パネルに備えられた表示部にてエンジン停止処理を実行していることを表示する表示処理を実行し、変速操作具がエンジン停止用操作位置から外れて変速用の操作経路に移動するとともにブレーキ操作が行われると、直ちに表示部にてエンジン始動処理を実行していることを表示する表示処理を実行するように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−211519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成では、停止しているエンジンを始動させる際に、他の操作具(変速操作具)がエンジン停止用操作位置から外れ且つブレーキ操作が行われると、エンジンの始動が良好に行われているか否かにかかわらず、表示部による表示処理が行われるので、エンジンが実際には始動していない状態であっても、操作者がエンジンが始動したものと勘違いして、例えば、変速操作具を前進走行位置に操作する等の誤操作のおそれがある。
【0005】
又、エンジンを停止させる際においても、他の操作具がエンジン停止用操作位置に操作されると、直ちに表示部による表示処理が行われるので、実際にはエンジンが停止状態になっていないにもかかわらず、表示部による表示処理が行われることになり、エンジンの実際の作動状態と表示部の表示内容との間にずれが生じていた。
【0006】
そこで、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動停止及び始動を行うようにしたものにおいて、エンジンの実際の作動状態を正確に表示することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業機の特徴構成は、キースイッチがオン操作されている状態において、前記キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止指令が指令されるとエンジンの作動を停止させ、且つ、前記エンジンの作動を停止させたのちにエンジン始動指令が指令されるとエンジンを始動させるエンジン制御手段と、
エンジン回転数を検出する回転数検出手段と、
前記エンジン制御手段の作動により前記エンジンの作動が停止しているエンジン自動停止状態であることを表示するインジケータと、
前記エンジン停止指令が指令されるに伴って前記エンジン制御手段がエンジンの作動を停止させたのちに、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が停止判定用設定値以下になると前記インジケータを点灯させ、且つ、前記インジケータを点灯させている状態で、エンジン始動指令が指令されるに伴って前記エンジン制御手段が前記エンジンを始動させたのち、前記回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が前記停止判定用設定値よりも高い値に設定された始動判別用設定値以上になると前記インジケータを消灯させるエンジン停止状態表示処理を実行する表示制御手段とが備えられている点にある。
【0008】
本発明によれば、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジン停止指令が指令されると、エンジン制御手段がエンジンの作動を停止させ、表示制御手段が、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が停止判定用設定値以下になるとインジケータを点灯させる。
【0009】
そして、エンジンの作動を停止させてインジケータを点灯させている状態で、エンジン始動指令が指令されると、エンジン制御手段がエンジンを始動させ、表示制御手段が、回転数検出手段にて検出されるエンジン回転数が停止判定用設定値よりも高い値に設定された始動判別用設定値以上になるとインジケータを消灯させる。
【0010】
このようにエンジンの回転数を実測してその検出結果に基づいて、エンジン回転数が停止判定用設定値以下になっており、エンジンが確実に停止している状態であることを検出すると、インジケータを点灯させることによってそのことを運転者に報知する。又、エンジン回転数が始動判別用設定値以上になっている状態、すなわち、確実にエンジンが始動している状態であることを検出すると、インジケータを消灯させることによってそのことを運転者に報知する。
【0011】
その結果、インジケータは、エンジンが確実に停止している状態で点灯し、又、エンジンが確実に始動している状態で消灯するので、インジケータの表示内容はエンジンの実際の作動状態に正確に対応するものとなる。
【0012】
従って、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動停止及び始動を行うようにしながら、エンジンの実際の作動状態を正確に表示することが可能な作業機を提供できるに至った。
【0013】
本発明においては、前記表示制御手段が、機体の各部において異常が発生したときは、その異常の種類に応じて予め設定された周期で前記インジケータを点滅表示させる異常表示処理を実行すると好適である。
【0014】
本構成によれば、機体の各部において、例えば、各種センサが故障したり、アクチュエータが故障する等の異常が発生すると、それら複数の異常の種類に応じて予め設定された周期でインジケータを点滅表示させるのである。
【0015】
つまり、エンジン停止状態を表示するためのインジケータを有効利用して異常状態を表示することができ、しかも、複数種の異常内容毎に各別の表示部を設ける構成に比べて、表示構成を簡素化できる利点もある。
【0016】
本発明においては、前記他の操作具が複数の操作位置に操作自在な走行用の変速操作具にて構成されるとともに、前記複数の操作位置のいずれかにエンジン停止用の所定操作位置が設定され、
前記変速操作具が前記所定操作位置に操作されると、前記エンジン停止指令が指令されると好適である。
【0017】
本構成によれば、変速操作具をエンジン停止用の所定操作位置に操作することにより、エンジン停止指令を指令することができる。変速操作具は、運転操作を行うときには常に操作されるものであり、そのような変速操作具を持ち替えずにエンジン停止用の所定操作位置に操作するという簡単な操作で対応でき、例えば、別途備えさせたエンジン停止用の専用の操作具に持ち替える等の操作の煩わしさのない状態で、エンジンを停止させることができる。
【0018】
本発明においては、前記変速操作具が前記所定操作位置から外れ、且つ、走行停止用操作具が操作されると、前記エンジン始動指令が指令されると好適である。
【0019】
本構成によれば、変速操作具をエンジン停止用の所定操作位置に操作することにより、エンジンを停止させたのち、エンジンを始動させるときは、変速操作具を所定操作位置から外す操作が行われ、且つ、例えば、走行ブレーキ等の走行停止用操作具が操作されると、エンジンが始動することになる。
【0020】
エンジンを始動させて作業を開始する場合、機体走行を行うためには、変速操作具を所定操作位置から外して走行用操作位置に操作する必要があり、しかも、エンジンを始動させるときは、走行停止用操作具を操作するのが一般的である。つまり、変速操作具を所定操作位置から外す操作と、走行停止操作とを共に行うことにより、操作者によるエンジンを始動させるための意思が明らかである。
【0021】
従って、的確に操作者の意思に応じてエンジンを始動させることができ、しかも、運転操作に必要な操作を行うだけでよく、操作性を低下させるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】乗用型田植機の全体側面図である。
図2】乗用型田植機の全体平面図である。
図3】動力系統図である。
図4】主変速装置の操作構造を示す側面図である。
図5】主変速装置の操作構造を示す正面図である。
図6】変速操作用のガイド板の平面図である。
図7】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
図8】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
図9】主変速レバーとブレーキ操作との連係状態を示す側面図である。
図10】制御ブロック図である。
図11】電源供給状態を示す図である。
図12】情報表示部の表示内容を示す図である。
図13】制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る作業機の実施形態を作業機の一例としての乗用型田植機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
【0024】
図1及び図2に示すように、乗用型田植機は、左右一対の操向操作及び駆動自在な前輪1、及び、左右一対の向き固定で且つ駆動自在な後輪2が装備された走行機体3を備え、この走行機体3の後部に作業装置としての苗植付装置4がアクチュエータとしての油圧シリンダ5にて駆動昇降自在にリンク機構6を介して連結され、走行機体3の車体後部に施肥装置7を備えている。
【0025】
走行機体3における機体フレーム8の前部には、前輪1を軸支したミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には、後輪2を軸支した後部伝動ケース10がローリング自在に支持されている。また、ミッションケース9から前方に延出された前フレーム11にエンジン12が横向きに搭載されてボンネット13で覆われているとともに、エンジン12の後方に位置する機体操縦部には、前輪1を操向操作するためのステアリングハンドル14、運転座席15、運転部ステップ16などが備えられ、また、機体前部の左右には、予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台17が設けられている。
【0026】
苗植付装置4は、6条分の苗を載置して設定ストロークで往復横移動される苗のせ台21、苗のせ台21の下端から1株分ずつ苗を切り出して田面Gに植付ける6組の回転式の植付機構22、植付け箇所を整地する3個の整地フロート23等を備えて構成されている。
【0027】
施肥装置7は、運転座席15と苗植付装置4との間において走行機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー24、この肥料ホッパー24内の肥料を設定量ずつ繰り出す繰出し機構25、繰り出された肥料を供給ホース26を介して各整地フロート23に備えた作溝器27に風力搬送する電動ブロア28等を備えており、作溝器27によって田面Gに形成した溝に肥料を供給するように構成されている。
【0028】
図1及び図3に示すように、ミッションケース9の側面には、エンジン12にベルト連動された静油圧式の無段変速装置(HST)からなる主変速装置41が連結され、その出力がミッションケース9に入力されて作業系と走行系とに分岐される。分岐された作業系の動力は、ワンウェイクラッチ42によってその正転動力のみが取出され、手動操作にて6段のギヤ変速が可能な株間変速機構43および植付クラッチ(図示せず)を経て作業用動力取出し軸(PTO軸)45(図1参照)から取出され、苗植付装置4に伝達されるようになっている。
【0029】
分岐された走行系動力は、ギヤ式の副変速装置47によって高低2段に変速された後、前輪系と後輪系に再度分岐され、前輪系の動力はデフロック可能な差動装置48を介して左右の前輪1に伝達されるとともに、後輪系の動力は伝動軸49を介して後部伝動ケース10に伝達され、多板式のサイドクラッチ50を介して左右の後輪2に伝達される。又、後部伝動ケース10には機体停止用の多板式のブレーキ51(走行停止用操作具の一例)が装備されており、このブレーキ51は、運転部ステップ16の右側足元に配備された足踏み操作式のブレーキ操作具52に機械的に連動連結されている。
【0030】
又、図7図10に示すように、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されたことを検出するブレーキセンサS1が備えられている。このブレーキセンサS1は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されていなければオフ状態となり、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されるとオン状態に切り換わるように構成されている。
【0031】
次に、主変速装置41の変速操作構造について説明する。
主変速装置41は、ステアリングハンドル14の左脇に配備された変速操作具としての主変速レバー53(キースイッチ90以外の他の操作具Dの一例)で変速操作されるよう構成されている。
すなわち、図4及び図5に示すように、ステアリングハンドル14を支持するように立設されたハンドルポスト55には支持ブラケット56が固着され、この支持ブラケット56の左側端部には、支軸57を介してデテント板58が横向き支点a周りに前後揺動可能に支持され、このデテント板58に主変速レバー53が前後向き支点b周りに左右揺動可能に支持されている。ハンドルポスト55を立設支持する支持枠59に、横向き支点c周りに回動可能に中継回動部材60が支持されており、この中継回動部材60とデテント板58とが連係ロッド61を介して連係され、さらに、この中継回動部材60と、主変速装置41の変速操作軸62に連結された変速アーム63とが操作ロッド64を介して連係されている。
【0032】
支持ブラケット56にはガイド板65が固着されており、このガイド板65に形成された段違い状の案内溝66に係合する基端側案内部53aが主変速レバー53の基端部に一体的に設けられている。
すなわち、図5及び図6に示すように、主変速レバー53の基部に、棒体を略L字形に折り曲げて形成された基端側案内部53aが一体的に固定される状態で設けられている。この基端側案内部53aがデテント板58にて前後向き支点bの周りで回動自在に支持されており、案内溝66を上下に貫通しており、案内溝66と基端側案内部53aとの係合案内作用によって主変速レバー53を所定の段違い操作経路に沿って前後に揺動すべく案内するように構成されている。
【0033】
図6に示すように、段違い操作経路の段違い部位が主変速装置41の中立位置Nに相当し、中立位置Nは前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとがあり、前進側中立位置Nfの前方に前進変速操作経路Fが形成され、且つ、後進側中立位置Nrの後方に後進変速操作経路Rが形成されている。前進側中立位置Nfと後進側中立位置Nrとが走行停止用の操作位置に相当し、前進変速操作経路Fと後進変速操作経路Rとが走行変速用の操作位置に相当しており、これらにより変速操作用の通常操作経路が構成される。
【0034】
図4に示すように、デテント板58の外周に並列形成した9つの凹部67に、片持ちバネレバー68の遊端に支持したデテントローラ69を弾性係入させることで、主変速レバー53を前進5段(F1〜F5)、中立位置N、および、後進3段(R1〜R3)の各変速位置に保持することができるようになっている。
【0035】
図6に示すように、ガイド板65に形成される案内溝66における前進側中立位置Nfの横外側には、走行停止状態をもたらすエンジン停止位置Qが設定されるとともに、主変速レバー53の基端側案内部53aがエンジン停止位置Qに操作されたことを検知する停止位置検出センサS2が装備されている。
【0036】
そして、主変速レバー53の横方向への操作の中心となる前後向き支点bには、ネジリバネ70が装備されており、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに向けて移動付勢されるように構成されている。
又、案内溝66における前進側中立位置Nfとエンジン停止位置Qとの間には、バネ板からなる弾性抵抗部材79が設けられ、前進側中立位置Nfからエンジン停止位置Qへの移動に適度の抵抗が付与されるように構成されている。
【0037】
弾性抵抗部材79による抵抗力を、主変速レバー53がネジリバネ70によってエンジン停止位置Qに向けて操作される付勢力よりも大きく設定しておくことで、主変速レバー53が前進側中立位置Nfに位置する状態で手を離しても直ちにエンジン停止位置Qに移行することはなく、意識的に弾性抵抗部材79を乗り越える操作を行ってエンジン停止位置Qに移行させることになる。
【0038】
主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作すると停止位置検出センサS2がオン状態になり、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから離れると、停止位置検出センサS2がオフ状態になるように構成されている。
【0039】
次に、図7図9を参照しながら、主変速レバー53とブレーキ操作具52との連係構造について説明する。
主変速レバー53が前進変速操作経路Fに操作されている前進走行状態、あるいは、後進変速操作経路Rに操作されている後進走行状態において、機体停止用のブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、主変速レバー53が中立位置Nにまで強制的に復帰操作されるように、主変速レバー53とブレーキ操作具52とが連動連係されている。
【0040】
説明を加えると、中継回動部材60の機体後方側箇所に、支点e周りに前後揺動可能に牽制作動部材81が配備されている。この牽制作動部材81にはアジャストボルト81bによって支点f周りに位置微調節可能な牽制金具81aが備えられており、牽制作動部材81の前縁部が、前記中継回動部材60の支点cより上方箇所に設けた第1接当ピン82に後方から対向するよう構成されるとともに、牽制金具81aの前縁部が、中継回動部材60の支点cより下方箇所に設けた第2接当ピン83に後方から対向するよう配備されている。
【0041】
他方、ブレーキ操作具52を連結したペダル支軸84の他端部には牽制操作アーム85が固着され、この牽制操作アーム85の遊端に回動自在に枢支したボス部材86に、前記牽制作動部材81の下端から後方に向けて延出された押し引きロッド87の後端部が挿通連結されている。ここで、押し引きロッド87は、ボス部材86に対して一定範囲でのみ前後にスライド自在に挿通支持されるとともに、予め初期圧縮変形して押し引きロッド87に外嵌装着した圧縮コイルバネ88によって押し引きロッド87はボス部材86に対して前方スライド限界にスライド付勢されている。
【0042】
図7は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が前進の最高速である前進5速F5にある状態を示し、また、図8は、ブレーキ操作具52が踏み込み操作されないで主変速レバー53が後進の最高速である後進3速R3にある状態を示している。
【0043】
主変速レバー53が前進変速操作経路Fにある状態(図7の状態)でブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、牽制操作アーム85が図中反時計方向に回動されることで押し引きロッド87が前方(図では左方)に突き出され、牽制作動部材81は支点e周りに時計方向に揺動操作される。これによって、図9に示すように、牽制作動部材81は第1接当ピン82を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り反時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0044】
また、主変速レバー53が後進変速操作経路Rにある状態(図8の状態)でブレーキ操作具52を踏み込み操作するときには、牽制作動部材81の牽制金具81aが第2接当ピン83を前方に接当押圧し、中継回動部材60は支点c周り時計方向に強制回動され、主変速レバー53が中立位置N側に向けて戻される。
【0045】
主変速レバー53が中立位置Nに到ると(図9の状態)、第1接当ピン82および第2接当ピン83が共に牽制作動部材81に接当することで、牽制作動部材81及び中継回動部材60は、主変速レバー53が中立位置Nとなる一定姿勢に保持される。
なお、牽制作動部材81の牽制金具81aを位置調節することで、第1接当ピン82および第2接当ピン83を共に牽制作動部材81に接当させて中継回動部材60を正確に中立復帰させることができる。
【0046】
ここで、圧縮コイルバネ88によって与えられた初期圧縮力は、主変速レバー53を強制移動させるのに必要な操作力より大きく設定されており、主変速レバー53が中立位置Nに到るまでは、圧縮コイルバネ88は操作反力で圧縮変形されることはない。そして、主変速レバー53が中立位置Nに到った後、更にブレーキ操作具52が踏み込み操作されると、前方に移動不能となった押し引きロッド87に対して牽制操作アーム85が圧縮コイルバネ88を更に圧縮変形させながら図中反時計方向に回動されることで十分なブレーキ操作ストロ−クが確保される。
【0047】
副変速装置47は、植付け作業用の植付け変速状態と路上走行用変速状態の2段階に切り換え自在に構成されるとともに、この副変速装置47は運転座席15の左脇に配備された副変速レバー54で操作される。つまり、副変速レバー54が、植付け変速用操作位置と、路上走行用操作位置とに切り換え自在に設けられ、その切り換え操作に基づいて副変速装置47の変速状態が切り換わる構成となっている。そして、圃場での植付け作業中は、副変速装置47は植付け変速状態に維持される。
【0048】
図10に示すように、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する制御弁29が備えられており、制御弁29により油圧シリンダ5に作動油が供給されると苗植付装置4が上昇し、制御弁29により油圧シリンダ5から作動油が排出されると苗植付装置4が下降するように構成されている。
【0049】
又、走行機体3に対するリンク機構6の昇降角度を検出するポテンショメータからなるリンク角センサS4が備えられ、このリンク角センサS4により走行機体3に対する苗植付装置4の高さを検出することができる。
【0050】
運転座席15の前方に位置する操作パネル35の中央部には、種々の情報を表示する情報表示部36が備えられている。
図12に示すように、この情報表示部36には、苗のせ台21上の苗残量が少なくなると点灯状態に切り換わる苗切れ表示部M1、エンジンの冷却水の温度が高温状態になっていると点灯状態に切り換わる水温異常表示部M2、エンジンオイルの圧力が設定圧以下にまで低下していると点灯状態に切り換わるオイル異常表示部M3、バッテリーVの電圧が設定値以下にまで低下していると点灯状態に切り換わるバッテリ異常表示部M4、累積使用時間を表示するアワーメータ表示部M5、後述するようなエンジン停止処理によってエンジンの作動が停止しているエンジン自動停止状態であることを表示するエンジン状態表示部M6(インジケータの一例)等が備えられている。
【0051】
上記したような各表示部M1〜M6は、操作パネル35の内部に図示しない表示ランプが内装されており、操作パネル35の表面に、夫々対応する絵柄が印刷された表示板が備えられ、表示ランプが点灯したり、消灯したりすることで表示状態を変化させることができる。
尚、情報表示部36の表示形態としては、このような構成に代えて、液晶表示装置や蛍光表示管等、種々の形態の表示器を用いることができる。
【0052】
図10に示すように、上述したブレーキセンサS1、停止位置検出センサS2、リンク角センサS4の他、エンジン12の回転数を検出するエンジン回転数センサS5、苗のせ台21上の苗残量が少なくなったことを検出する苗切れセンサS6、エンジン冷却水の温度を検出する冷却水温センサS7、エンジンオイルの圧力を検出するオイル圧センサS8等が備えられている。又、種々の制御動作を実行可能なマイクロコンピュータ利用の制御装置Hが備えられ、上記した複数のセンサ類の検出情報が制御装置Hに入力されている。この制御装置Hは、後述するように、上記各センサ類の情報に基づいて、苗植付装置4の昇降状態、エンジン12の運転状態、情報表示部36の表示状態を制御する。
【0053】
図11は、制御装置Hやその他の電装品への電源供給状態を示している。この図に示すように、制御装置Hは、キーKにて操作されるキースイッチ90が入位置(ON)に操作される(オン操作される)と、バッテリーVの電源が投入されて起動される。又、キースイッチ90が切位置(OFF)に操作されても(オフ操作されても)、直ちに電源の供給が停止されるのではなく、自己保持回路91によって電源供給が継続されるようになっており、キースイッチ90がオフ操作されたときにおける各部の動作状態を図示しない不揮発性メモリに書き込み記憶させたのちに、自己保持回路91を遮断して電源供給を停止するように構成されている。また、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されたときには、バッテリーVとエンジン始動用モータ93との間の電源供給路に介装されたスターター起動用のリレー92をオン状態に切り換えてエンジン始動用モータ93を作動させてエンジン12を始動させることになる。
【0054】
尚、図示はしていないが、エンジン12に対する燃料供給量を変更調節自在な調速装置が備えられ、主変速レバー53の操作状態に対応して速度が大になるほど燃料供給量を増加させるように調速装置を連動操作する連動操作機構が備えられている。
【0055】
又、バッテリーVから制御装置Hを含む全ての電装品に対して電力を供給する主電源線95には、電力供給を断続自在な断続回路96が介装されており、この断続回路96は、制御装置Hからの指令によって電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができ、又、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されたときに電力が供給されて作動する駆動回路97によっても電力供給状態と遮断状態とに切り換えることができる。
【0056】
そして、制御装置Hは、キースイッチ90が入位置に操作されている状態において、キースイッチ以外の他の操作具としての主変速レバー53のエンジン停止位置Qへの操作に基づいてエンジン停止指令が指令されると、エンジン12の作動を停止させるエンジン停止処理を実行し、エンジン停止処理にてエンジン12の作動を停止させたのちに、エンジン始動指令が指令されるとエンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。従って、制御装置Hがエンジン制御手段100を構成する。
【0057】
このような処理は、圃場において苗植付け作業を行なっている場合に、例えば、苗植付け作業にて消費された植付け苗を補給する苗補給作業等を行うときに、エンジン12を一時的に停止させることにより、燃料の無駄な消費を抑制したり、騒音の低減を図ることが可能となるようにしたものである。又、苗補給作業等が終了すると、エンジン12を始動させて苗植付け作業を行うことができる。
【0058】
具体的には、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作され、エンジン停止指令が指令されると、エンジン12の作動を自動で停止させるエンジン停止処理を実行する。そして、エンジン12を停止させたのち、停止位置検出センサS2がオフ操作され、且つ、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されて、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出されて、エンジン始動指令が指令されると、エンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行するように構成されている。
【0059】
停止位置検出センサS2が設定時間(例えば数秒)継続してオン操作されることを条件とするのは、誤操作により短時間だけオン操作されることによりエンジン12を停止させないようにしたものである。
【0060】
エンジン12はディーゼルエンジンであり、エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12に供給する燃料供給を遮断する燃料遮断弁74を遮断状態に切り換える構成である。尚、エンジン12を停止させるための構成としては、エンジン12が点火プラグを備えるガソリンエンジンであれば、点火プラグに対する通電を遮断するようにしてもよい。
【0061】
制御装置Hは、上記したようなエンジン停止処理やエンジン始動処理の他に、エンジン状態表示部M6の表示状態を制御するエンジン停止状態表示処理を実行するように構成されている。
すなわち、制御装置Hは、エンジン停止指令が指令されるに伴ってエンジン12の作動を停止させたのちに、エンジン回転数センサS5にて検出されるエンジン回転数が停止判定用設定値以下になるとエンジン状態表示部M6を点灯させ、且つ、エンジン状態表示部M6を点灯させている状態で、エンジン始動指令が指令されるに伴ってエンジンを始動させたのち、エンジン回転数が停止判定用設定値よりも高い値に設定された始動判別用設定値以上になるとエンジン状態表示部M6を消灯させるエンジン停止状態表示処理を実行するように構成されている。従って、制御装置Hが表示制御手段101を構成する。
【0062】
又、制御装置Hは、機体の各部において異常が発生したときは、その異常の種類に応じて予め設定された周期でエンジン状態表示部M6を点滅表示させる異常表示処理を実行するように構成されている。例えば、図10に示すような複数のセンサS1〜S8類以外のセンサ、例えば、苗植付装置4には、左右中央の整地フロート23の前後傾斜姿勢を検出するセンサ(図示せず)や、苗植付装置4の左右傾斜角を検出するセンサ(図示せず)等の種々のセンサが備えられるが、そのようなセンサ類の故障が発生したときに、それらの故障を情報表示部36の表示によって報知するようにしている。対象となる異常検出箇所は、上記したセンサ類に限らず、種々の装置を対象とすることができる。
【0063】
次に、図13のフローチャートに基づいて、制御装置Hによる制御動作について説明する。
【0064】
主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されて、停止位置検出センサS2がオン状態になり、その状態が設定時間(数秒間)以上継続すると(ステップ1,2)、苗植付装置4の上昇操作を実行し(ステップ3)、燃料遮断弁74を遮断状態に切り換えてエンジン12を停止させるエンジン停止処理を実行する(ステップ4)。ステップ3の苗植付装置4の上昇操作について説明を加えると、油圧シリンダ5が苗植付装置4を上昇させるように制御弁29を制御し、リンク角センサS4の検出情報に基づいて苗植付装置4が最大上昇位置にまで上昇すると、油圧シリンダ5の上昇操作を停止させる。
【0065】
そして、エンジン停止処理を実行した結果、エンジン回転数センサS5にて検出されるエンジン回転数Nxが停止判定用設定値Ns1以下にまで低下すると、情報表示部36におけるエンジン状態表示部M6を点灯させる(ステップ5,6)。停止判定用設定値Ns1としては、エンジン12が自力運転できない程度の回転数であればよい。つまり、エンジン回転数が停止判定用設定値Ns1以下であれば、エンジン12が自力運転はできない状態であり、エンジン12が確実に回転が停止している状態となるものである。
【0066】
尚、主変速レバー53がエンジン停止位置Qに操作されてエンジン12が停止したのちに、運転者が主変速レバー53から手を離しても、弾性抵抗部材79による抵抗力により主変速レバー53はエンジン停止位置Qに維持される。
【0067】
制御装置Hは、エンジン停止処理を実行する場合、それまで実行していた苗植付け作業における各部の動作状態(苗植付装置4の種々の作業条件等)について図示しない不揮発性メモリに記憶しておき、エンジン12を始動させて作業を再開するときに、記憶していた動作状態と同じ状態で作業を行うようにしている。
【0068】
エンジン停止処理を実行してから設定時間が経過しても、後述するようなエンジン始動条件が成立しないときは、バッテリーVの放電を防ぐために電源供給を遮断する(ステップ7,8)。具体的には、断続回路96に電力遮断状態への切り換えを指令して断続回路96を遮断させ、すべての電装品への電力供給を遮断させる。
【0069】
このように電力遮断状態に切り換えられたのち、エンジン12を始動させるためには、運転者がキースイッチ90を始動位置(ST)に操作することで対応できる。つまり、キースイッチ90が始動位置(ST)に操作されると、駆動回路97が作動して断続回路96を電力供給状態に切り換えるので、制御装置Hやその他の電装品にも電力が供給され、エンジン12の始動も行われることになる。
【0070】
エンジン停止処理によってエンジン12を停止させている場合、エンジン停止処理を実行してから設定時間が経過するまでの間に、ブレーキ操作具52が新たに踏み込み操作されることにより、ブレーキセンサS1がオフ状態からオン状態に切り換わったことが検出され(ステップ9)、さらに、主変速レバー53がエンジン停止位置Qから外れて、停止位置検出センサS2がオフ状態であれば(ステップ10)、エンジン12を始動させるエンジン始動処理を実行する(ステップ11)。
【0071】
エンジン始動処理について説明すると、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始させてエンジン12の回転操作を開始した後、エンジン回転数センサS5にて検出されるエンジン回転数が設定回転数以上になってエンジン12が始動したことが検出されると、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させる。
【0072】
詳述はしないが、このエンジン始動処理においては、エンジン始動用モータ93の回転作動を開始してから第1始動用設定時間が経過してもエンジン回転数が第1設定値以上にまで上昇しないときは、動作異常であるとして、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させる。その後、待機用設定時間が経過すると、再度、エンジン始動用モータ93を作動するようにして、電力の無駄な消費を抑制しながらも的確にエンジン12を始動させることができるようにしている。そして、始動処理を設定回数実行しても始動しなければ異常報知等を実行して処理を終了するようにしている。
【0073】
エンジン始動時の異常判別の条件としては、上記したような条件に代えて、あるいは、上記したような条件に加えて、次のような条件で判別してもよい。
エンジン始動用モータ93の回転作動を開始してから、第1始動用設定時間よりも長い第2始動用設定時間が経過してもエンジン回転数が、第1設定値よりも高い第2設定値以上にまで上昇しないとき、エンジン始動用モータ93の回転作動を停止させるようにしてもよい。
【0074】
ところで、運転者がブレーキ操作具52を踏み操作している状態で、主変速レバー53をエンジン停止位置Qに操作してエンジン12を停止させたような場合には、ブレーキセンサS1はオン状態に維持されているが、そのときは、オフ状態からオン状態への切り換わりではないので、ステップ9における切り換えの判別は行われず、エンジン12が始動することはない。又、エンジン12が停止したのちに、運転者が一旦、ブレーキ操作具52の踏み込み操作を解除してブレーキセンサS1をオフ状態に切り換えたのちに、再度、ブレーキ操作具52を踏み込み操作すると、ブレーキセンサS1のオフ状態からオン状態への切り換わりが検出されてエンジン12が始動することになる。
【0075】
そして、上記したようなエンジン始動処理が行われてエンジン12を始動させたのち、エンジン回転数センサS5にて検出されるエンジン回転数Nxが停止判定用設定値Ns1よりも高い値に設定された始動判別用設定値Ns2以上になると,エンジン状態表示部M6を消灯させる(ステップ12,13)。始動判別用設定値Ns2としては、エンジン12が確実に自力運転していると考えられる程度の回転数であればよい。従って、エンジン回転数Nxが始動判別用設定値Ns2以上であれば、エンジン12が確実に始動している状態である。
【0076】
上述したようなエンジン停止処理及びエンジン始動処理が終了したのちに、あるいは、そのようなエンジン停止処理やエンジン始動処理を実行していないときに、機体の各部において、何等かの異常が発生した場合(ステップ14)、例えば、図示はしていないが、苗植付装置4の整地フロート23の前後傾斜姿勢を検出するセンサや、苗植付装置4の左右傾斜角を検出するセンサ等の種々のセンサ類の故障が発生したときに、それらの故障を情報表示部36の表示によって報知するようにしている。
【0077】
具体的には、例えば、前後傾斜姿勢を検出するセンサの異常のときは、長い周期でエンジン状態表示部M6を点滅表示させ、左右傾斜角を検出するセンサの異常のときは、短い周期でエンジン状態表示部M6を点滅表示させる等、点滅表示の周期を異ならせてエンジン状態表示部M6を点滅表示させる(ステップ15)。又、複数の種類の異常が検出されているときは、互いに異なる周期での点滅動作を順番に繰り返して表示する。
【0078】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、機体の各部において異常が発生したとき、その異常の種類に応じて予め設定された周期でエンジン状態表示部M6を点滅表示させる異常表示処理を実行するようにしたが、このような異常表示処理を実行しない構成としてもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、エンジン始動時に操作される走行停止用操作具としてブレーキ操作具52を示したが、ブレーキ操作具52に代えて、走行伝動系に走行用主クラッチを用いるものであれば、走行停止用操作具として、主クラッチを切操作するクラッチペダルを用いてもよい。
【0080】
(3)上記実施形態では、エンジン停止処理において使用するキースイッチ90以外の他の操作具Dとして主変速レバー53を用いたが、主変速レバー53に代えて、例えば、ブレーキ操作具52、主クラッチペダル、あるいは、押しボタンスイッチ等からなるエンジン停止専用の停止用操作具(図示せず)等、他の操作具を用いるようにしてもよい。
【0081】
(4)上記実施形態では、作業機として乗用型田植機を例示したが、本発明は乗用型の直播機や他の作業機にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、乗用型田植機や乗用型直播機等の作業機であって、キースイッチ以外の他の操作具の操作に基づいてエンジンの作動を停止させるように構成されている作業機に適用できる。
【符号の説明】
【0083】
12 エンジン
52 ブレーキ操作具
53 変速操作具
90 キースイッチ
100 エンジン制御手段
101 表示制御手段
D 他の操作具
Ns1 停止判定用設定値
Ns2 始動判別用設定値
M6 インジケータ
S5 回転数検出手段
Q 所定操作位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13