特開2015-174768(P2015-174768A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-174768(P2015-174768A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】乗客コンベア
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/04 20060101AFI20150908BHJP
【FI】
   B66B29/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-55246(P2014-55246)
(22)【出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】弓削 和也
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321DA07
3F321DB05
3F321EA11
3F321EB07
3F321EB10
3F321EC07
3F321GA28
3F321GA31
(57)【要約】
【課題】ガード板の破損状態を簡単に判断できる乗客コンベアを提供する。
【解決手段】狭角部5に吊り下げられたガード板22に光を照射し、その反射光を受光する光センサ32,34と、光センサ32,34が受光する反射光の有無によりガード板22の破損状態を判断する判断部40とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)乗客コンベアの手摺りベルトと、前記手摺りベルトの上方にある上床屋との交差により形成される狭角部、又は、(2)乗客コンベアの手摺りベルトと、前記手摺りベルトの上方にある他の乗客コンベアの底部との交差により形成される狭角部に吊り下げられたガード板と、
前記ガード板に光を照射し、その反射光を受光する光センサと、
前記光センサが前記反射光を受光しない場合に前記ガード板が破損したと判断する判断部と、
を有する乗客コンベア。
【請求項2】
前記光センサは、前記ガード板の支持枠に設けられている、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記光センサは、前記支持枠に所定間隔毎に複数設けられている、
請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
前記判断部は、複数の前記光センサの中のどの前記光センサからの前記反射光を受光しないかで前記ガード板の破損状態を判断する、
請求項3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記支持枠は、前記ガード板の縦方向を支持する、
請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記支持枠は、前記ガード板の横方向を支持する、
請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
前記光センサは、前記ガード板の吊り下げている前記上床部、又は、前記他の乗客コンベアの底部に設けられている、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項8】
前記判断部は、前記光センサが照射した光が、前記ガード板に当たる前に他の物体からの前記反射光があった場合には警告を報知する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項9】
前記判断部は、前記ガード板に破損があったと判断したときは破損判断信号を外部に送信する、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項10】
前記乗客コンベアが、エスカレータ、又は、動く歩道である、
請求項1に記載の乗客コンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エスカレータの手摺りベルトと、手摺りベルトの上方にある上床屋との交差により形成される狭角部、又は、エスカレータの手摺りベルトと、手摺りベルトの上方にあるもう1台のエスカレータの底部との交差により形成される狭角部には、三角形状のガード板が吊り下げられている。このガード板は、乗客が手摺りから体を乗り出している場合に狭角部に体を挟まないようにするために、警告のために吊り下げられたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−141497号公報
【特許文献2】特開平9−007076号公報
【特許文献3】特開平3−141497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなガード板は合成樹脂板より形成されているため破損し易く、破損した場合には取り替える必要がある。ところが、このガード板の破損は、乗客コンベアの保守員が監視センターから現地に赴いてガード板の状態を見て判断する必要があって煩雑であるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、上記問題点に鑑み、ガード板の破損状態を簡単に判断できる乗客コンベアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、(1)乗客コンベアの手摺りベルトと、前記手摺りベルトの上方にある上床屋との交差により形成される狭角部、又は、(2)乗客コンベアの手摺りベルトと、前記手摺りベルトの上方にある他の乗客コンベアの底部との交差により形成される狭角部に吊り下げられたガード板と、前記ガード板に光を照射し、その反射光を受光する光センサと、前記光センサが前記反射光を受光しない場合に前記ガード板が破損したと判断する判断部と、を有する乗客コンベアである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態を示すエスカレータの側面図。
図2】ガード板の正面図。
図3】ガード板の側面図。。
図4図1におけるA−A線断面図。
図5】ガード板の電気的構成を示すブロック図。
図6】変更例3のガード板の正面図。
図7】変更例4のガード板の正面図。
図8】変更例5のガード板の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態の乗客コンベアについて図1図5に基づいて説明する。本実施形態では、乗客コンベアとしてエスカレータ10で説明する。
【0009】
(1)エスカレータ10
エスカレータ10について図1に基づいて説明する。エスカレータ10は、建屋1の上階2と下階3との間に跨がって据え付けられているトラス12を有している。トラス12の上方の左右両側部には一対の欄干14,14が設置され、欄干14の周囲には手摺りベルト16がそれぞれ移動自在に設けられている。トラス12の上階側には機械室18が設けられ、この機械室18内部には制御装置20が取り付けられている。この制御装置20は、エスカレータ10の起動、停止、走行速度、走行方向などの駆動状態を制御する。
【0010】
建屋1の上階2の上床部4と、エスカレータ10の手摺りベルト16の間には三角形状の狭角部5が形成され、この狭角部5には、ほぼ三角形状の透明なガード板22が吊り下げ具28,30によって吊り下げられている。
【0011】
(2)ガード板22の構造
次に、ガード板22の構造について図2図4に基づいて説明する。なお、図3図4において「内側」とは、エスカレータ10の欄干14の内側、すなわち、乗客が乗る側を示し、外側とは欄干14の外側を示す。
【0012】
ガード板22の正面形状は、三角形状を一部切り欠いた四角形である。ガード板22は、透明板であって、アクリルなどの合成樹脂板より形成されている。四角形のガード板22は、上階側(図2の右側)にある狭い縦辺22a、傾斜辺22b、下階側(図2の左側)にある広い縦辺22c、上横辺22dよりなる。
【0013】
ガード板22の上横辺22dには、横方向に沿って板状の横支持枠24が設けられている。この横支持枠24は、合成樹脂製の板であって、ガード板22の上横辺22dを挟持している。横支持枠24には、板状の吊り下げ具28、30が取り付けられ、この吊り下げ具28は、上階2の上床部4から吊り下げられている。
【0014】
ガード板22の広い縦辺22cには、縦支持枠26が取り付けられている。この縦支持枠26は、図4の横断面図に示すように円柱型であり、一部が縦方向に切り欠かれ、ガード板22の広い縦辺22cを挟持している。
【0015】
縦支持枠26の内部には、光センサ32と光センサ34が、所定間隔を置いて上下2段に設けられている。光センサ32,34は、反射型の光センサであり、図2図4に示すように光センサ32,34からの照射光は、ガード板22の内側の面の一点に当たるように、やや内方に向いて設けられ、ガード板22からの反射光は、光センサ32,34の受光部で受光する。光センサ32,34は、ガード板22からの反射光がない場合には、非検出信号を出力する。なお、照射光は、1点ではなくある程度幅広い範囲でガード板22に当ててもよい。
【0016】
光センサ32,34から延びた接続コード36,38は縦支持枠26内部を通って横支持枠24に至り、吊り下げ具28に至る。
【0017】
(4)ガード板22の電気的構成
次に、ガード板22の電気的構成について図5に基づいて説明する。
【0018】
ガード板22の光センサ32,34から延びた接続コード36,38は、判断部40に接続されている。判断部40は、光センサ32,34から出力された非検出信号に基づいて、ガード板22の破損状態を判断する。判断部40は、制御装置20に接続され、制御装置20には、外部にある監視センターと通信するための通信部42が設けられている。
【0019】
(5)判断部40の動作状態
次に、判断部40の動作状態について図2図5に基づいて説明する。
【0020】
まず、ガード板22が正常な状態のときには、図2図4に示すように、光センサ32,34からの照射光はアクリル製のガード板22の内側の面によって反射され、光センサ32,34の受光部で反射光が受光される。そのため、光センサ32,34は、判断部40に非検出信号は出力しない。
【0021】
次に、ガード板22の下半分が何らかの理由で破損した場合には、上段の光センサ32は、反射光を受光するが、下段の光センサ34は反射光を受光しないため、光センサ34は非検出信号を判断部40に出力する。
【0022】
判断部40は、下段の光センサ34からのみ非検出信号が入力したため、ガード板22の下部が破損したと判断する。判断部40は、制御装置20の通信部42を介して、外部にある監視センターに、ガード板22の下半分が破損したことを示す破壊検出信号を送信する。
【0023】
監視センターでは、その破壊検出信号を受信すると、保守員は次の点検時にガード板22を準備して交換する。
【0024】
次に、ガード板22の殆どの部分が何らかの理由で破損した場合には、上段の光センサ32と下段の光センサ34が共に反射光を受光できないため、光センサ32,34は非検出信号を判断部40に共に出力する。
【0025】
判断部40は、光センサ32,34から非検出信号が入力したため、ガード板22の殆どが破損したと判断する。そのため、判断部40は、ガード板22が殆ど破損したことを示す破壊検出信号を通信部42を介して監視センターに送信する。
【0026】
監視センターでは、その破損検出信号を受信すると、保守員は新しいガード板22を持ってすぐに交換をしにいく。
【0027】
(4)効果
本実施形態によれば、判断部38は、ガード板22の破損状態に応じた破損判断信号を監視センターに出力するため、監視センターの保守員は、その破損判断信号を受信するだけでガード板22の破損状態を一目で判断できる。
【0028】
また、ガード板22の縦支持枠26内部に光センサ32,34が設けられているため、ガード板22の意匠を損なうことがない。
【0029】
また、ガード板22は横支持枠24と縦支持枠26によって支持されているため、ガード板22が撓んだりしない。
【変更例】
【0030】
次に、上記実施形態の変更例について説明する。
【0031】
(1)変更例1
上記実施形態では、光センサ32,34が反射光を受光するか否かでガード板22が破損したか否かを判断したが、これに加えて、光センサ32,34が人間の手などによって、ガード板22に当たる前に反射光を手に反射して受光した場合には警告信号を判断部40に出力する。判断部40では、警告信号が入力すると不図示のスピーカから警告音や「ガード板に手を近づけないでください」などの警告を行う。
【0032】
さらに、詳しく説明すると、光センサ32,34は、図3及び図4に示すようにガード板22の内側の面を照射しているため、エスカレータ10に乗っている状態で乗客が手を伸ばしても照射光を遮断することがある。そのため、光センサ32,34は、照射光がガード板22に当たって反射してくる距離と、手に当たって反射してくる距離との差を検出し、光センサ32,34は、手に当たって反射してくる距離であることを検出した場合には警告信号を判断部40に出力する。
【0033】
(2)変更例2
上記実施形態では、縦支持枠26に2つの光センサ32,34を設けたが、これに代えて1個の光センサ又は3個以上の光センサを設けてもよい。
【0034】
(3)変更例3
上記実施形態では、縦支持枠26に光センサ32,34を設けたが、これに代えて図6に示すように横支持枠24に反射型の光センサ44,46を設け、下方に向かって光を照射し、ガード板22からの反射光を受光してもよい。
【0035】
(4)変更例4
また、図7に示すように縦支持枠26と横支持枠24にそれぞれ光センサ32,34と光センサ44,46を設けることにより、どの光センサから非検出信号が出力されたかによって、ガード板22のどの位置が破損したかを判断部40が判断できるようにしてもよい。これにより、判断部40は、その破損位置をより正確に監視センターに出力できる。
【0036】
例えば、光センサ34と光センサ44から非検出信号が出力された場合には、判断部40はガード板22の左下部が破損したと判断でき、また、光センサ46と光センサ34とから非検出信号が出力された場合には、ガード板22の右側の部分が破損したと判断できる。
【0037】
(5)変更例5
上記実施形態や変更例3では、ガード板22の横支持枠24や縦支持枠26に光センサを設けたが、これに代えて光センサ48,50を上床部4に取り付け、照射光を下向きに照射する。これによって、ガード板22が何らかの理由によって外れて落下した場合でも、光センサ48,50が非検出信号を出力することにより、判断部40がガード板22が破損又は紛失したことを判断できる。
【0038】
(6)変更例6
上記実施形態では、光センサ32,34は、反射光が受光できないときのみ非検出信号を出力していたが、これに加えて光センサ32,34が判断部40と接続されている場合には常に接続信号を出力しておく。すると、何らかの理由でガード板22が外れて落下した場合には、光センサ32,34も同時に落下するため、光センサ32,34からの接続信号が途切れ、判断部40はガード板22が落下したことを判断でき、その旨を監視センターに出力できる。
【0039】
(7)変更例7
上記実施形態では、エスカレータ10の手摺りベルト16と上床部4の狭角部5に吊り下げられたガード板22で説明したが、これに代えて、2台のエスカレータ10が交差するように配され、1台のエスカレータ10の手摺りベルト16と手摺りベルトの上方にある他のエスカレータ10の底部との交差により形成される狭角部5に配されたガード板22に光センサを設けてもよい。
【0040】
(8)変更例8
上記実施形態では、ガード板22三角形を切り欠いたは四角形であったが、これに限らず三角形、三角形を切り欠いた五角形などでもよい。
【0041】
(9)変更例9
上記実施形態では、エスカレータ10で説明したが、これに代えて動く歩道でも適用してもよい。
(10)その他
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
24・・・横支持枠、26・・・縦支持枠、28・・・吊り下げ部、30・・・吊り下げ部、32・・・光センサ、34・・・光センサ、40・・・判断部、42・・・通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8