特開2015-174771(P2015-174771A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015174771-スローダウン装置 図000003
  • 特開2015174771-スローダウン装置 図000004
  • 特開2015174771-スローダウン装置 図000005
  • 特開2015174771-スローダウン装置 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-174771(P2015-174771A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】スローダウン装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20150908BHJP
   B41F 21/00 20060101ALI20150908BHJP
   B41F 33/06 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
   B65H5/02 G
   B41F21/00
   B41F33/06 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-75764(P2014-75764)
(22)【出願日】2014年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】312014856
【氏名又は名称】株式会社 シノハラ・ジャパン
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 茂寿
(72)【発明者】
【氏名】段 俊峰
【テーマコード(参考)】
2C020
2C250
3F049
【Fターム(参考)】
2C020AA01
2C020AA03
2C250EA07
3F049AA02
3F049AA10
3F049BB04
3F049EA13
3F049EA14
3F049EA24
(57)【要約】
【課題】 印刷運転に確実に応答し、しかも、シート給送系の他の装置に一切影響しないスローダウン装置を目的とする。
【解決手段】 印刷機本体の駆動源によって駆動される駆動スプロケットとフィーダーボードのフィーダーテープを駆動するための従動スプロケットとの間にチェーンを懸架し、駆動スプロケットと一体に回転されるカムによって、カムアームの一端の押圧ローラーがチェーンを押圧するようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機本体の駆動源(7)によって駆動される駆動スプロケット(14)とフィーダーボード(5)のフィーダーテープ(6)を駆動するための従動スプロケット(15)との間にチェーン(16)を懸架し、該駆動スプロケット(14)と一体に回転されるカム(22)によって、カムアーム(23)の一端の押圧ローラー(26)が該チェーン(16)を押圧するようにしたことを特徴とするスローダウン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枚葉印刷機に関し、特に、シート給送系におけるスローダウン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
定形のシートに印刷を施す枚葉印刷機にあっては、図1に示すように、紙積台(1)上に積み重ねて準備されたシート(2)がフィーダーヘッド(3)のサッカー(4)によって一枚毎に吸着され、その一部がうろこ状に重なり合いつつフィーダーボード(5)上に送り出される。フィーダーボード(5)の表面には複数条のエンドレスのフィーダーテープ(6)が並設されており、このフィーダーテープ(6)が印刷機本体の駆動源(7)からトルクを受けて、印刷運転速度と調時しつつシート(2)を印刷部(8)に向けて給送する。そして、シート(2)の前縁がフロントストッパー(9)に到達すると、前後左右の見当を合わせたのち、スインググリッパー(10)によってシート(2)の前縁が咥えられて印刷部(8)に取り込まれていく。
【0003】
ところで、シート(2)の前縁が印刷運転速度に同期したままの給送速度でフロントストッパー(9)に到達してそれと衝突すると、その分跳ね返りやずれが大きく、見当精度の狂いや印刷品質の不良といった不具合の原因となってしまう。このような傾向は、特に紙のコシが強い厚紙の場合に著しい。そこで、フロントストッパー(9)にシート(2)の前縁が到達する直前のタイミングで、シート(2)の給送速度を可能な限り減速するために様々なスローダウン装置が提案されてきた。
【0004】
特開平10−329305号公報にあっては、一組の非円形歯車を用いてフィーダーボードのフィーダーベルトを速度制御して、所望の速度プロフィールを得ようとする技術が開示されている。
【0005】
また、特開平7−215541号公報にあっては、別に設けた駆動源であるサーボモーターを制御して、フィーダーベルトの速度プロフィールを最適化しようとする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】 特開平10−329305号公報
【特許文献2】 特開平7−215541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した非円形歯車は加工が難しいため、製作コストが非常に高くなってしまう。また、サーボモーターは高価であるばかりか、たとえソフトウエア上で理想的な速度プロフィールを設定しても、いざ実行時には使用機器との間でずれが生じてしまうため、そのずれの補正が必要となり、実用的ではない。
【0008】
本発明は上記した問題に鑑みてなされ、進歩したスローダウン装置を提供するもので、製作が容易で、安価に実現出来る装置を目的とする。また他の目的は、印刷運転に確実に応答し、しかも、シート給送系の他の装置に一切影響しないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、このために本発明に係るスローダウン装置は、印刷機本体の駆動源によって駆動される駆動スプロケットとフィーダーボードのフィーダーテープを駆動するための従動スプロケットとの間にチェーンを懸架し、駆動スプロケットと一体に回転されるカムによって、カムアームの一端の押圧ローラーがチェーンを押圧するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るスローダウン装置は、シート給送系のうちフィーダーテープ部分のみに関係するだけで、他には一切影響がない。従って、他の部位に付加的な調整作業が要求されることはない。また、既存印刷機への後付(いわゆるレトロフィット)が容易に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】 本発明に係るスローダウン装置が適用されるシート給送系の概略側面図である。
図2】 本発明に係るスローダウン装置の基本構成図である。
図3】 本発明に係るスローダウン装置の機能説明図である。
図4】 本発明に係るスローダウン装置によって実現されるフィーダーテープの速度プロフィールである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例につき詳細に説明する。図1の右方に示した印刷機本体の駆動源(7)は、印刷部(8)の圧胴(11)等とギヤ結合して印刷運転のためのトルクを伝達すると共に、数条の駆動チェーン(12)を介して、フィーダーヘッド(3)やフィーダーボード(5)のフィーダーローラー(13)にもトルクを伝達する。そして、数条の駆動チェーン(12)の中途に設けられた中継用の駆動スプロケット(14)とフィーダーローラー(13)の従動スプロケット(15)との間に、本発明に係るスローダウン装置が設けられる。
【0013】
すなわち、フィーダーテープ(6)をフロントストッパー(9)方向に進行させるフィーダーローラー(13)の従動スプロケット(15)と、駆動チェーン(12)側の駆動スプロケット(14)との間に、図2に拡大して示すように、本発明装置を構成するチェーン(16)が巻設されており、この場合図中の矢印で示す通り時計回りに進行していく。
【0014】
フィーダーローラー(13)の従動スプロケット(15)を基準に見て、チェーン(16)の戻り側(緩み側)にはテンショナー(17)が係設されている。すなわち、レバー(18)がピボット(19)に首振り可能に取り付けられ、その先端のテンションローラー(20)がスプリング(21)の引張力によってチェーン(16)を押圧してその張力を一定に保つ構成となっている。
【0015】
駆動スプロケット(14)にはカム(22)が並設されている。また、クランク状のカムアーム(23)がピボット(24)を支点にして首振り可能に設けられており、その一端にはカム(22)と習接する転動ローラー(25)が、またクランク状に曲折した他端には押圧ローラー(26)が設けられている。そして、この押圧ローラー(26)は、カム(22)の位相に呼応してチェーン(16)の進み側(張り側)に押接可能となっている。なお、符号(27)は、カムアーム(23)をカム(22)の方向に付勢するスプリングを示す。また、押圧ローラー(26)のチェーン(16)に対する作用位置は、戻り側(緩み側)であってもよい。
【0016】
次に、作用について図3と共に説明する。クランク状のカムアーム(23)は、ピボット(24)を支点に、カム(22)の形状によって規定される首振り運動を行う。これに呼応して、カムアーム(23)の他端の押圧ローラー(26)がチェーン(16)を押す力も変動する。
【0017】
このとき、チェーン(16)が従動スプロケット(15)に着接する位置もA→A’、B→B’というように変化する。これにより、従動スプロケット(15)の回転位相も、シート給送の1サイクル中で想定されていた平均的な回転位相に比べて、滑らかに進角/遅角していく。
【0018】
図4のグラフのX軸はシート給送の1サイクルのタクトタイムを、また、Y軸はフィーダーテープ(6)の速度をそれぞれ示している。シート(2)がサッカー(4)によって送り出される区間(スタート)においては、フィーダーテープ(6)の速度は一定の時間等速領域として確保される。このような等速領域は、シート(2)の安定した送り出しのために必須であるが、従来の楕円ギヤ等を用いたスローダウン装置では実現出来ない。
【0019】
その後本発明装置により、フィーダーテープ(6)は一旦増速された後、基準速度よりも約40%減速されて、シート(2)の前縁がフロントストッパー(9)に到達する(谷部)。減速された谷部も、一定時間の等速領域として確保され、シート(2)の見当合わせ及び印刷部(8)への送り出しに好適な条件がもたらされる。そして、再び増速されて右端の等速区間でシートがスインググリッパー(10)によってグリップされ、1サイクルが完結する。
【0020】
なお、これまではチェーン/スプロケットの組み合わせで説明したが、タイミングベルト/タイミングプーリーの組み合わせであっても同様である。
【符号の説明】
【0021】
2 シート
5 フィーダーボード
6 フィーダーテープ
7 駆動源
8 印刷部
9 フロントストッパー
10 スインググリッパー
12 駆動チェーン
13 フィーダーローラー
14 駆動スプロケット
15 従動スプロケット
16 チェーン
17 テンショナー
20 テンションローラー
22 カム
23 カムアーム
26 押圧ローラー
図1
図2
図3
図4