特開2015-174858(P2015-174858A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-174858(P2015-174858A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】トウガラシ色素抽出物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/10 20060101AFI20150908BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20150908BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20150908BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20150908BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20150908BHJP
   C09B 61/00 20060101ALI20150908BHJP
   C09B 67/44 20060101ALI20150908BHJP
   A61P 9/10 20060101ALN20150908BHJP
   A61P 7/00 20060101ALN20150908BHJP
   A61P 19/10 20060101ALN20150908BHJP
【FI】
   A61K47/10
   A61K31/045
   A61K31/12
   A61P1/16
   A61K35/78 R
   C09B61/00 A
   C09B67/44 A
   A61P9/10 101
   A61P7/00
   A61P19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-54846(P2014-54846)
(22)【出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】海貝 尚史
(72)【発明者】
【氏名】久保 幸也
(72)【発明者】
【氏名】村上 桂
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB01
4C076DD40U
4C076FF53
4C088AB50
4C088AC04
4C088BA21
4C088CA03
4C088MA07
4C088NA06
4C088ZA36
4C088ZA45
4C088ZA66
4C088ZA97
4C206AA02
4C206CA13
4C206CB13
4C206MA02
4C206MA05
4C206NA06
4C206ZA36
4C206ZA45
4C206ZA66
4C206ZA97
(57)【要約】
【課題】摂取による便の着色が抑制されたトウガラシ色素抽出物を提供する。
【解決手段】
β−クリプトキサンチン含有量に対するカプサンチン含有量の比率がβ−クリプトキサンチン含有量1に対して3以下であることを特徴とするトウガラシ色素抽出物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
β−クリプトキサンチン含有量に対するカプサンチン含有量の比率がβ−クリプトキサンチン含有量1に対して3以下であることを特徴とするトウガラシ色素抽出物。
【請求項2】
β−クリプトキサンチン含有量が1.0%以上であることを特徴とする請求項1に記載のトウガラシ色素抽出物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トウガラシ色素抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の研究により、野菜や果物に含まれるカロテノイドが健康に寄与することが明らかとなってきており、近年、カロテノイドの中でもβ−クリプトキサンチンやカプサンチンの健康への効果が注目されている。例えば、日本国内で行われた疫学調査から、血中のβ−クリプトキサンチン濃度が高い人では、肝機能障害や動脈硬化、骨粗鬆症等のリスクが低減することが明らかとなっており(非特許文献1)、β−クリプトキサンチンの摂取が推奨されている。また、カプサンチンは、アディポネクチン増加剤、PAI−1低下剤、血中高密度リポタンパク質コレステロール濃度増加剤といった疾患の予防又は治療剤としての効果が注目されている(特許文献1〜3)。
【0003】
一方、ナス科トウガラシ(Capsicum)属の果実(以下、「トウガラシ果実」ともいう)には、主成分であるカプサンチンをはじめとして、カプソルビン、ゼアキサンチン、β−クリプトキサンチン、β−カロテン等複数のカロテノイドが含まれる。これらのカロテノイドは黄色〜赤色を呈するため、トウガラシ果実より抽出したカロテノイド(以下、「トウガラシ色素抽出物」という)は、天然素材由来の赤色系着色料として広く食品等に利用されている。その一方で、トウガラシ色素抽出物は、健康への効果が注目されるカプサンチンとβ−クリプトキサンチンをともに含有することから、いわゆる健康食品や医薬品等の健康の維持・増進を目的とする製品にトウガラシ色素抽出物を配合することが検討されている。
【0004】
しかし、従来のトウガラシ色素抽出物からβ−クリプトキサンチンとカプサンチンを同時に摂取しても、カプサンチンの体内への吸収が乏しく、体外へと排泄されるため、排出された便が赤色〜暗赤色に着色することになる。便の色は消化器官等の働きを反映しており、健康状態を把握するために重要な指標である。そのため、従来のトウガラシ色素抽出物の摂取により、赤色便が排泄されると、血便と区別がつかず胃潰瘍や十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎等の疾患の兆候を見落とす危険性があった。そこで、β−クリプトキサンチンとカプサンチンを同時に摂取でき、かつ、摂取による便の着色が抑制されたトウガラシ色素抽出物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−112752号公報
【特許文献2】特開2010−189291号公報
【特許文献3】特開2011−006369号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「オレオサイエンス」,日本油化学会,vоl.12,p.515−523(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、摂取による便の着色が抑制されたトウガラシ色素抽出物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、β−クリプトキサンチンとカプサンチンの含有比率に特徴のある新規なトウガラシ色素抽出物により上記課題が解決されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)β−クリプトキサンチン含有量に対するカプサンチン含有量の比率がβ−クリプトキサンチン含有量1に対して3以下であることを特徴とするトウガラシ色素抽出物、
(2)β−クリプトキサンチン含有量が1.0%以上であることを特徴とする前記(1)に記載のトウガラシ色素抽出物、
からなっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトウガラシ色素抽出物を用いることにより、β−クリプトキサンチン及びカプサンチンを同時に摂取することができ、かつ、摂取後の便の赤色着色が抑制される。このため、本発明のトウガラシ色素抽出物は、β−クリプトキサンチン及びカプサンチンによる健康の維持・増進又は疾病の予防・治療を目的とする健康食品や医薬品等に配合して好ましく利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のトウガラシ色素抽出物は、β−クリプトキサンチン含有量に対するカプサンチン含有量の比率がβ−クリプトキサンチン含有量1に対して3以下のものである。
【0012】
本発明のトウガラシ色素抽出物の起源原料は、ナス科トウガラシ(Capsicum)属の果実である。ナス科トウガラシ属の栽培種としては、その果実にカプサンチンとβ‐クリプトキサンチンがともに含まれるものが好ましく、例えばアニューム種(Capsicum annuum)、バッカートゥム種(Capsicum baccatum)、フルッテセンス種(Capsicum frutescens)、ピュベセンス種(capsicum pubescens)、シネンセ種(Capsicum chinense)等が挙げられ、中でもアニューム種(Capsicum annuum)が好ましい。
【0013】
本発明のトウガラシ色素抽出物は、ナス科トウガラシ属の果実より油脂又は有機溶剤で抽出して得られる橙色〜暗褐色の塊、ペースト又は液体で、一般にカプシカムオレオレジンあるいはパプリカオレオレジンと呼称されているものを精製して得られる。尚、カプシカムオレオレジンは、アルコール抽出、超臨界抽出、水蒸気蒸留もしくはアルカリ処理等の手段を単独又は適宜組み合わせて利用することにより特有の臭いを除去したものが好ましい。
【0014】
ここで、カプサンチンとβ−クリプトキサンチンをともに含むナス科トウガラシ属の果実は、そのβ−クリプトキサンチン含有量に対するカプサンチン含有量の比率がβ−クリプトキサンチン含有量1に対して4.5以上のものが一般的である。また、そのような果実から油脂又は有機溶剤で抽出して得られるカプシカムオレオレジンは、その比率が上記の果実の比率と同様であるのが一般的である。したがって、β−クリプトキサンチン含有量に対するカプサンチン含有量の比率がβ−クリプトキサンチン含有量1に対して3以下の本発明のトウガラシ色素抽出物は、従来のトウガラシ色素抽出物とは異なる新規な組成を有するものである。そして、このように新規なトウガラシ色素抽出物を得るためには、カプシカムオレオレジンを精製してそのβ−クリプトキサンチン含有量を高めることが好ましい。
【0015】
カプシカムオレオレジンのβ−クリプトキサンチン含有量を高めることにより本発明のトウガラシ色素抽出物を得るための精製方法に特に制限はないが、好ましくは下記のカラム処理による精製方法を実施できる。
【0016】
[カラム処理による精製方法]
この方法は、カプシカムオレオレジンを出発原料とし、吸着剤が充填されたカラム及び溶媒を用いてβ−クリプトキサンチンとカプサンチンとを分離した後に、所望の組成となるようにこれらを混合するものである。
【0017】
カラム処理に用いる吸着剤(充填剤)としては、β−クリプトキサンチンとカプサンチンとを分離可能なものであれば特に制限はないが、例えば、シリカゲル、活性白土、酸性白土等の無機塩類等が挙げられ、好ましくはシリカゲルが用いられる。
【0018】
カラム処理に用いる溶媒としては、β−クリプトキサンチンとカプサンチンとを分離可能であれば特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール、プロピレングリコール、等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素、ジククロメタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。吸着剤にシリカゲルを用いる場合には、β−クリプトキサンチンをカラムから溶出するための溶媒としてn−ヘキサンが好ましく用いられ、その後カプサンチンをカラムから溶出するための溶媒としてアセトンが好ましく用いられる。
【0019】
カラム処理による精製方法のより具体的な実施方法は次の通りである。初めに、カプシカムオレオレジンに適量のn−ヘキサンを加えて溶解した後、得られた溶解液を、シリカゲルが充填されたカラムに供給して色素成分を吸着させる。次に、n−ヘキサンを該カラムに供給し、カラムからの溶出液を回収する。溶出液の回収は、複数の画分(例えば、3〜10の画分)に分けて行い、これらのうちβ−クリプトキサンチンを多く含む画分を適宜選択する。続いて、アセトンを該カラムに供給し、カプサンチンを含む溶出液を回収する。その後、β−クリプトキサンチンを多く含む画分の溶出液とカプサンチンを含む溶出液とを適宜混合し、得られた混合液から溶媒を留去し、β−クリプトキサンチンの含有量が1に対し、カプサンチンの含有量が3以下のトウガラシ色素抽出物を得る。
【0020】
上述したカラム処理により得られたトウガラシ色素抽出物は、濃度や粘度の調整等の目的のため、食用油脂を添加して希釈することができる。該食用油脂としては、例えば菜種油、とうもろこし油、大豆油、綿実油、ひまわり油、紅花油、パーム油、椰子油等の植物油脂、魚油等の動物油脂及び中鎖飽和脂肪酸トリグリセライド(MCT)等を用いることができる。また、食用油脂に替えて、又は食用油脂と共に、例えばエタノール、ヘキサン、アセトン、グリセリン及びプロピレングリコール等を用いることもできる。
【0021】
本発明のトウガラシ色素抽出物は、β−クリプトキサンチン含有量が1.0%以上であることが好ましく、1.5%以上であることがより好ましい。β−クリプトキサンチン含有量がこのような範囲であると、本発明のトウガラシ色素抽出物を健康食品や医薬品等の健康の維持・増進を目的とする製品に配合して用いる上で、その製品に十分な量のβ−クリプトキサンチンを配合できるため好ましい。
【0022】
また、本発明のトウガラシ色素抽出物は、β−クリプトキサンチンの含有量1に対するカプサンチンの含有量の比率が3以下であるが、その比率は、1以上3以下であることがより好ましい。当該比率が1以上3以下であると、摂取による便の着色が抑制されたトウガラシ色素抽出物を得るという本発明の効果が得られるだけでなく、本発明のトウガラシ色素抽出物を健康食品や医薬品等の健康の維持・増進を目的とする製品に配合して用いる上で、その製品に十分な量のカプサンチンを配合できるため好ましい。また、日本国の食品添加物規制ではパプリカ色素(トウガラシ色素抽出物)は、カプサンチンを主成分とすることを求めているため、当該比率が1以上であることは、本発明のトウガラシ色素抽出物を健康食品に配合して用いる上で好ましい。
【0023】
尚、本発明のトウガラシ色素抽出物に含有されるβ−クリプトキサンチン及びカプサンチンとしては、その水酸基に脂肪酸がエステル結合したエステル体のものと、脂肪酸が結合していないいわゆるフリー体のものが存在するが、本発明ではこれらのいずれも好ましく用いられる。また、該エステル体を構成する脂肪酸としては、例えばパルミチン酸、ミリスチン酸、アラキドン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、リノレン酸、オレイン酸又はリノール酸等が挙げられる。
【0024】
本発明のトウガラシ色素抽出物中のβ−クリプトキサンチン及びカプサンチンの含有量は、下記方法を実施することにより測定できる。
【0025】
[β‐クリプトキサンチン及びカプサンチン含有量の測定方法]
試料50mgを50mLメスフラスコに秤量する。これにジエチルエーテル20ml、10%水酸化カリウム含有メタノール15mLを加え、10分毎に振り混ぜながら1時間室温に静置する。次いで、内部標準としてβ−apo−8’−carotenal/エタノール溶液(0.4mg/mL)1mLを加え、ジエチルエーテルで50mLにメスアップする。得られた溶液1mLを50mLの遠沈管に分取し、これにジエチルエーテル20mLと飽和食塩水10mLを加えてよく混合する。混合後、室温下、3000rpmで5分間遠心分離し、上清5mLを100mLのナス型フラスコに分取し、エバポレーターで溶媒を留去した後、エタノール2mLを加えて溶解する。得られた溶解液を0.5μmのシリンジフィルター(PTFE)でろ過し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を下記条件で行う。得られたHPLCチャートからβ−クリプトキサンチン及びカプサンチンと内部標準のピーク面積をそれぞれ求め、これら面積に基づき試料中のβ−クリプトキサンチン及びカプサンチン含有量(%)を算出する。
【0026】
<HPLC分析条件>
機器:Alliance 2695(Waters社製)
データ処理装置:Empower(Waters社製)
移動相A液:0.1%ギ酸:アセトン=40:60(容量比)
移動相B液:メタノール:アセトン=20:80(容量比)
カラム:Atlantis dC18(3μm)
カラム径×長:2.1×150mm(Waters社製)
グラジエント:0〜35分にかけてB液0容量%からB液100容量%へのリニアグラジエント
流速:0.2mL/min
検出器:UV/VIS検出器(Wters2487;Waters社製)
カラム温度:40℃
注入量:5μL
検出波長:450nm(β−クリプトキサンチン);480nm(カプサンチン)
【0027】
本発明のトウガラシ色素抽出物を用いることにより、β‐クリプトキサンチン及びカプサンチンを同時に摂取することができ、かつ、摂取後の便の赤色着色が抑制される。このため、本発明のトウガラシ色素抽出物は、β-クリプトキサンチン及びカプサンチンによる健康の維持・増進又は疾病の予防・治療を目的とする健康食品や医薬品等に配合して好ましく使用することができる。
【0028】
本発明のトウガラシ色素抽出物を配合した健康食品又は医薬品等の製造方法に特に制限はなく、例えば、該トウガラシ色素抽出物をそのまま、あるいは医薬品添加物、食品添加物及び食品素材等を適宜配合し、常法に従い、例えば液剤(ドリンク剤等)、散剤、顆粒剤、錠剤、マイクロカプセル、ソフトカプセル、ハードカプセル、油脂組成物、O/W型乳化液、W/O型乳化液又は可溶化液等の形態の製剤として製造され得る。
【0029】
上記健康食品又は医薬品等を経口摂取する場合、トウガラシ色素抽出物の成人1日当たりの用量は、本発明の目的である便の着色抑制の観点から、純度100質量%のカプサンチンに換算して通常0.1〜10mgの範囲である。この量を、1回〜3回に分けて摂取することが好ましい。但し、実際の用量は、目的や摂取者の状況(性別、年齢、健康状態等)を考慮して決められるべきである。
【0030】
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
カプシカムオレオレジン375g(色価20万CV)にn−ヘキサン1250mLを加えて50℃で攪拌して溶解し、得られた溶解液を氷水中に静置し10℃に冷却した。冷却後、脱脂綿を用いて該溶解液をろ過して不溶物を除去し、パプリカオレオレジンのn−ヘキサン溶液1200gを得た。
次に、ガラス製カラム(内径92mm;カラム長1000mm)にn−ヘキサンを入れ、空気を抱き込まないようにシリカゲル(製品名:ワコーゲルC−300;和光純薬工業社製)625gを該カラムに充填し、これに上記パプリカオレオレジンのn−ヘキサン溶液1200gを流速SV=6/時間で供給した。
次いで、n−ヘキサン2250mLを該カラムに供給して色素成分を溶出し、溶出液を375mLごとに6つのフラクションに分画し、溶出した順にn−ヘキサン溶出画分1〜6とした。その後、アセトン7500mLを該カラムに供給して色素成分を溶出し、アセトン溶出画分7500mLを得た。
375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分331mLを混合し、n−ヘキサン及びアセトンを留去した後、MCT(製品名:アクターM1;理研ビタミン社製)33gを添加し混合することにより、パプリカ色素組成物(実施例品1;β−クリプトキサンチン含有量1.5%;カプサンチン含有量1.5%)99gを得た。
【0032】
[実施例2]
実施例1の(1)において、375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分331mLを混合したこと及びMCTを33g添加したことに替えて、375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分1010mLを混合したこと及びMCTを17g添加したこと以外は、実施例1と同様に実施し、パプリカ色素組成物(実施例品2;β−クリプトキサンチン含有量1.5%;カプサンチン含有量4.5%)98gを得た。
【0033】
[比較例1]
実施例1の(1)において、375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分331mLを混合したこと及びMCTを33g添加したことに替えて、375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分1390mLを混合したこと及びMCTを11g添加したこと以外は、実施例1と同様に実施し、パプリカ色素組成物(比較例品1;β−クリプトキサンチン含有量1.5%;カプサンチン含有量6.0%)101gを得た。
【0034】
[比較例2]
実施例1の(1)において、375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分331mLを混合したこと及びMCTを33g添加したことに替えて、375mLのn−ヘキサン溶出画分3とアセトン溶出画分1740mLを混合したこと及びMCTを3g添加したこと以外は、実施例1と同様に実施し、パプリカ色素組成物(比較例品2;β−クリプトキサンチン含有量1.5%;カプサンチン含有量7.5%)101gを得た。
【0035】
ここで、上記の実施例及び比較例で製造したパプリカ色素組成物(実施例品1及び2並びに比較例品1及び2)について、β−クリプトキサンチン及びカプサンチンの含有量並びにβ−クリプトキサンチンの含有量1に対するカプサンチンの含有量の比率(カプサンチン/β−クリプトキサンチン)を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
[試験例]
[トウガラシ色素抽出物の摂取による便への着色評価]
(1)ソフトカプセルの調製
表2に示した配合からなる内容物を充填したソフトカプセル(試作品1〜4;200mg/1カプセル)を常法にて作製した。
【0038】
【表2】
【0039】
(2)評価試験
男性ボランティア12名を対象に、ソフトカプセル(試作品1〜4)を摂取させた後、便の着色を確認する評価試験を実施した。
具体的には、まず各被験者に試作品1を朝食後に2カプセル摂取させた。次に、摂取後24時間以内に排泄された便を対象に赤色便の有無を評価した。1週間の間隔をあけながら、試作品2〜4についても同様に評価した。結果として、各試作品の摂取後に赤色便が確認された人数及び確認されなかった人数を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】
表3の結果より、本発明のトウガラシ色素抽出物(実施例品1及び2)を配合したソフトカプセル(試作品1及び2)は、摂取後に確認される赤色便が顕著に抑制されることが明らかである。