【解決手段】カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を8質量%〜12質量%含有する(メタ)アクリル系共重合体と、軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーと、イソシアネート系架橋剤と、を含み、前記テルペンフェノール系タッキファイヤーの含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して5質量部〜25質量部である粘着剤組成物。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を8質量%〜12質量%含有する(メタ)アクリル系共重合体と、軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーと、イソシアネート系架橋剤と、を含み、
前記テルペンフェノール系タッキファイヤーの含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して5質量部〜25質量部である粘着剤組成物。
前記カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーが、アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の粘着剤組成物、及び両面粘着材について詳細に説明する。
本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。さらに、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0014】
<粘着剤組成物>
本発明における粘着剤組成物は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を8質量%〜12質量%含有する(メタ)アクリル系共重合体と、軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーと、イソシアネート系架橋剤と、を含み、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、前記テルペンフェノール系タッキファイヤーを5質量部〜25質量部含有する。
本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて、着色剤、安定剤などの、その他の成分を含有してもよい。
【0015】
本発明の効果が得られる理由は明確ではないが、本発明者らは、以下の如く推測している。
本発明において、粘着剤組成物に含有される(メタ)アクリル系共重合体が、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体全質量に対して8質量%〜12質量%含むことで、粘着剤組成物の被着体への粘着力及び濡れ性が向上し、粘着剤組成物の粘着力及び耐反発性が優れると考えられる。
また、粘着剤組成物に、軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーが、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して5質量部〜25質量部含有されることで、高温環境下における剥離保持強度、及び粘着力に優れ、さらに粘着剤組成物のタック、及び被着体への濡れ性が向上し、耐反発性にも優れると考えられる。
そして、粘着剤組成物が、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を所定の割合で含む(メタ)アクリル系共重合体、及び軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーを、それぞれ所定の含有量で含むことにより、粘着剤組成物は、高温環境下であっても、耐反発性が保たれるとともに粘着力に優れ、剥離保持強度に優れたものになると考えられる。
【0016】
≪(メタ)アクリル系共重合体≫
本発明における(メタ)アクリル系共重合体は、少なくともカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を8質量%〜12質量%含む。
前記(メタ)アクリル系共重合体におけるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位以外の成分としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なその他のモノマーに由来の構成単位の中から選択することができる。
【0017】
(カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマー)
本発明における(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位の少なくとも1種を含む。
(メタ)アクリル系共重合体に、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位を、(メタ)アクリル系共重合体全質量に対して8質量%〜12質量%含むことで、粘着剤組成物の粘着力及び被着体への濡れ性が向上する。
【0018】
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーとしては、分子内にカルボキシ基を有する重合性二重結合含有化合物であればよく、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸(CA)、無水マレイン酸(MAH)、フマル酸(FA)、イタコン酸(IA)、グルタコン酸(GA)、及びシトラコン酸(CiA)等が挙げられる。これらの中でも粘着力及び凝集力の調整のしやすさの観点からアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
【0019】
(メタ)アクリル系共重合体中に含まれるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位の含有量は、8質量%〜12質量%であり、9質量%〜11質量%がより好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体中に含まれるカルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位の含有量が8質量%未満であると、平面との粘着力が低く、また曲面との粘着力も低い。また、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーに由来の構成単位の含有量が、12質量%を超えると被着体への濡れ性が悪く、耐反発性に劣る。
【0020】
(その他のモノマー)
本発明における(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能な、少なくとも1種のその他のモノマーに由来の構成単位を含む。
本発明におけるその他のモノマーは、本発明の趣旨を越えない限り、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーの中から選択して用いることができる。
【0021】
その他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー、水酸基含有モノマー、アミド系モノマー、エポキシ系モノマー、及び窒素原子含有環を有するモノマーなどが挙げられる。
【0022】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、炭素数1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが好ましく、炭素数1〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーがより好ましく、炭素数1〜6のアクリル酸アルキルエステルモノマーが更に好ましい。
【0023】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレートがより好ましい。
【0024】
前記水酸基含有モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマーが挙げられる。
【0025】
前記アミド系モノマーの具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアミド基又は置換アミド基含有モノマーが挙げられる。
【0026】
前記エポキシ系モノマーの具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル等が挙げられる。
【0027】
前記窒素原子含有環を有するモノマーの具体例としては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−( メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0028】
これらのその他のモノマーは1種を単独で用いることができ、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
≪(メタ)アクリル系共重合体の重合方法≫
本発明における(メタ)アクリル系共重合体は、その重合方法に特に制限されるものではない。重合方法としては、製造が比較的簡単に行なえる点で、溶液重合が好ましい。
【0030】
前記溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、モノマー、重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行なわれる。この場合、有機溶媒、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤等の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
【0031】
重合反応時に用いられる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;
例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;
例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;
例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;
例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;
などを挙げることができる。
これらの有機溶媒は、それぞれ1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0032】
前記有機溶媒のうち、(メタ)アクリル系共重合体の重合に際しては、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンが好ましい。
【0033】
前記重合開始剤としては、通常の溶液重合で用いる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
【0034】
前記有機過酸化物のうち、(メタ)アクリル系共重合体の重合に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特にアゾビス系の重合開始剤が好ましい。この場合の重合開始剤の使用量は、通常はモノマーの合計量100質量部に対して、0.01質量部〜2.0質量部、好ましくは0.1質量部〜1.0質量部である。
【0035】
また、(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、本発明の目的及び効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて連鎖移動剤を使用することも可能である。
【0036】
このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
【0037】
本発明における(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50万〜150万が好ましく、70万〜130万がより好ましく、90万〜110万がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が50万以上であると、凝集力が高く且つ(メタ)アクリル系共重合体の弾性が高くなり、高温環境下においても塑性変形が起こりにくく、耐反発性がより良好になる。(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)が150万以下であると、粘着剤組成物の被着体への濡れ性が保たれ、耐反発性がより良好になる。
【0038】
前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、下記の方法により測定する値である。
【0039】
−重量平均分子量(Mw)の測定方法−
Mwは、下記(1)〜(3)の手順にしたがって測定する。
(1)(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥させ、フィルム状の(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)前記(1)で得られたフィルム状の(メタ)アクリル系共重合体をテトラヒドロフラン(THF)にて固形分0.2質量%になるように溶解する。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、標準ポリスチレン換算値として、(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)を測定する。
【0040】
<条件>
・GPC :HLC−8220 GPC(東ソー(株)製)
・カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
・移動相溶媒:テトラヒドロフラン
・流速 :0.6ml/min
・カラム温度:40℃
【0041】
本発明における(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−45℃〜−25℃が好ましく、−40℃〜−30℃がより好ましい。Tgが上記範囲であると、粘着剤組成物の耐反発性に優れる。
【0042】
本明細書において、(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、以下の計算により求められるモル平均ガラス転移温度(molTg)である。
下記式中のTg
1、Tg
2、・・・・・及びTg
nは、モノマー1、モノマー2、・・・・・及びモノマーnそれぞれの単独重合体のガラス転移温度であり、絶対温度(K)に換算し算出する。m
1、m
2、・・・・・及びm
nは、それぞれのモノマーのモル分率である。
【0043】
[ガラス転移温度(Tg)の算出式]
【数1】
【0044】
なお、ここでいう「単独重合体のガラス転移温度(Tg)」は、そのモノマーの単独重合体を、示差走査熱量測定装置(DSC)(セイコーインスツルメンツ社製、EXSTAR6000)を用い、窒素気流中、測定試料10mmg、昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたDSCカーブの変曲点をTgとしたものである。
【0045】
代表的なモノマーの「単独重合体のガラス転移温度(Tg)」は、メチルアクリレート5℃、エチルアクリレート−27℃、n−ブチルアクリレート−57℃、2−エチルヘキシルアクリレート−76℃、アクリル酸163℃、メタクリル酸185℃、t−ブチルアクリレート41℃である。
【0046】
≪タッキファイヤー≫
本発明の粘着剤組成物は、軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーの少なくとも1種を含む。
軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明の趣旨を越えない限りにおいて、軟化点130℃未満のテルペンフェノール系タッキファイヤーを併用してもよく、テルペンフェノール系以外の構造を有するタッキファイヤーを併用してもよい。
【0047】
本発明の粘着剤組成物が、軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーを、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して5質量部以上25質量部以下含むことで、粘着剤組成物の被着体への濡れ性が向上し、耐反発性が向上する。また、高温環境下における粘着剤組成物の粘着力及び剥離保持強度にも優れる。また、タックが発現し、常温環境下、低温環境下での作業性にも優れる。
【0048】
前記テルペンフェノール系タッキファイヤーの軟化点は、130℃以上であるが、粘着剤組成物の被着体への濡れ性の観点から軟化点が、130℃〜200℃であることが好ましく、130℃〜180℃であることがより好ましい。
なお、タッキファイヤーの軟化点は、環球法により測定できる。
【0049】
前記テルペンフェノール系タッキファイヤーの軟化点が、130℃未満であると、高温環境下における粘着剤組成物の粘着力及び剥離保持強度に劣る。
【0050】
前記軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーの含有量が、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して5質量部未満、又は25質量部を超えると、高温環境下における剥離保持強度、及び粘着力が劣り、さらに粘着剤組成物のタック及び被着体への濡れ性に劣り、耐反発性にも劣る。
【0051】
前記軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーの重量平均分子量は、100〜10000であることが好ましく、500〜5000であることがより好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりGPC装置(HLC−8220 GPC、東ソー(株)製)を用いて測定し、標準ポリスチレンによる換算値として算出する。
【0052】
前記軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーの具体例としては、「YSポリスターT160」、「YSポリスターT145」、「YSポリスターT130」、「YSポリスターS145」、「YSポリスターG150」、「YSポリスターK140」、「YSポリスターTH130」〔以上ヤスハラケミカル(株)製〕、「タマノル803L」〔荒川化学工業(株)製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0053】
本発明の粘着剤組成物中における前記軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーの含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部〜25質量部であり、10質量部〜20質量部が好ましく、12質量部〜18質量部がより好ましい。
軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーの含有量が、10質量部〜20質量部であると、粘着剤組成物の高温環境下における粘着力、及び剥離保持強度、並びに耐反発性により優れる。
【0054】
軟化点130℃以上のテルペンフェノール系タッキファイヤーと併用可能なテルペンフェノール系以外の構造を有するタッキファイヤーとしては、ロジン系タッキファイヤー、テルペン系タッキファイヤー、芳香族炭化水素変性テルペン系タッキファイヤー、石油系タッキファイヤー、及び水添石油系タッキファイヤー等が挙げられる。
【0055】
≪イソシアネート系架橋剤≫
本発明の粘着剤組成物は、少なくとも1種のイソシアネート系架橋剤を含む。
イソシアネート系架橋剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0057】
これらのイソシアネート系架橋剤は、例えば「コロネートL」、「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」〔以上日本ポリウレタン(株)製〕、「デスモジュールN3400」〔住友バイエルウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネートTSE−100」〔旭化成工業(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」〔以上三井武田ケミカル(株)製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0058】
本発明の粘着剤組成物中におけるイソシアネート系架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。イソシアネート系架橋剤の含有量が上記範囲であると、高温環境下における剥離保持強度、及び耐反発性がより良好になる。
【0059】
本発明の粘着剤組成物は、上記イソシアネート系架橋剤に加え、さらにその他の架橋剤を含んでもよい。
その他の架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、ポリアジリジン系架橋剤、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属塩、金属キレート化合物などを挙げることができる。
【0060】
本発明における粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系共重合体の間で架橋構造を形成した後、すなわち架橋後のゲル分率が、45質量%〜75質量%であることが好ましく、50質量%〜70質量%であることがより好ましく、55質量%〜65質量%であることが更に好ましい。
架橋後のゲル分率が上記範囲であると、粘着剤組成物の高温環境下における粘着力、及び剥離保持強度、並びに耐反発性により優れる。
【0061】
(ゲル分率の測定)
ゲル分率は、下記(1)〜(5)に示す方法により測定するものである。
(1)粘着剤組成物の溶液を剥離紙上に塗布し、室温で風乾30分後、100℃で5分間本乾燥し、フィルム状の粘着剤層を形成する。
(2)上記粘着剤層を23℃、相対湿度65%の環境下で10日間養生する。
(3)精密天秤にて質量を秤量した250メッシュ、100mm×100mmの金網に、75mm×75mmにカットした上記フィルム状の粘着剤層を貼付し、デシケーター内で1時間乾燥する。その後、精密天秤にて質量を秤量する。
(4)秤量した試料を、粘着剤層が溶剤浸漬時に漏れ出ないように金網で包み込み、溶剤(酢酸エチル)に72時間静置浸漬する。
(5)溶剤浸漬後、金網を乾燥させ、精密天秤にて質量を秤量した。浸漬前と浸漬後の質量変化から下式によりゲル分率を算出する。
ゲル分率[質量%] = 100−[(A−B)/(C−B)]×100
式中、Aは溶剤浸漬後の金網と粘着剤層の合計質量(g)を表し、Bは金網の質量(g)を表し、Cは溶剤浸漬前の金網と粘着剤層の合計質量(g)を表す。
【0062】
本発明の粘着剤組成物には、既述の(メタ)アクリル系共重合体、タッキファイヤー及び架橋剤の他に、必要に応じて、粘着剤組成物に通常配合される配合物、例えば、耐候性安定剤、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤などを、本発明の効果を損なわない範囲において配合することができる。
【0063】
<両面粘着材>
本発明の両面粘着材は、既述の本発明の粘着剤組成物が架橋剤と反応して形成した架橋構造を含む粘着剤層を設けて構成したものである。本発明の両面粘着材は、本発明の粘着剤組成物を用いるので、高温環境下における粘着力、及び剥離保持強度、並びに耐反発性に優れる。
【0064】
前記両面粘着材は、基材の両面に粘着剤層を設けたタイプ(有基材タイプ)であってもよく、基材を設けていないタイプ(無基材タイプ)であってもよい。
「有基材タイプ」の両面粘着材は、基材の一方の面に粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を塗布等して乾燥し、他方の面にさらに粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を塗布等して乾燥する方法や、剥離紙(剥離シート)上に粘着剤層を形成し、この粘着剤層を基材に転写する方法などにより作製することができる。
「無基材タイプ」の両面粘着材は、剥離紙(剥離シート)上に粘着材層を形成する方法などにより作製することができる。
【0065】
有基材タイプの場合、基材の厚さは、特に限定されないが、両面粘着材の強度及び柔軟性の点から5μm〜250μm程度の範囲が好ましい。
【0066】
粘着剤層の厚さは、特に制限されないが、基材上の凹凸、段差に対する追従性の点から、10μm〜175μm程度の範囲が好ましい。
【0067】
基材や剥離シートに粘着剤組成物を塗布する場合、塗布は、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いた通常の方法により行なうことができる。
【0068】
基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどのポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、酢酸セルロース系フィルムなどのプラスチックフィルム、又はこれらを含む積層シートなどが挙げられる。
【0069】
剥離シートとしては、粘着剤層からの剥離が容易に行なえるものであれば特に制限はなく、例えば、フッ素化合物、シリコーン等を用いて表面に離型処理が施された樹脂フィルム(例えばPET等のポリエステルフィルム)などを用いることができる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0071】
<アクリル系共重合体の重合>
≪重合例1≫
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器に、酢酸エチル(EAc)190.9質量部を仕込んだ。次いで、別の容器にn−ブチルアクリレート(BA)432.22質量部(アクリル系共重合体全質量に対して92質量%相当)、アクリル酸(AA)37.58質量部(同じく8質量%相当)からなるモノマー混合物469.8質量部を用意し、このうち83.1質量部を反応器に仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.026質量部を添加した。添加後、加熱し、還流温度82℃で10分間保った。この中に更に、残りのモノマー混合物386.7質量部、EAc202.9質量部及びAIBN0.088質量部からなる混合物を150分間かけて逐次滴下した。更に、還流温度82℃で70分間保った後EAc51.8質量部及びAIBN 0.818質量部を60分間かけて逐次滴下し、更に90分間同温度で保ってから、EAcで固形分30%に希釈後冷却し、アクリル系共重合体A(樹脂A)の溶液を得た。アクリル系共重合体A(樹脂A)の重量平均分子量は90万、モル平均ガラス転移温度(molTg)は−41.3℃であった。
なお、重量平均分子量及びモル平均ガラス転移温度は、既述の方法により測定したものである。
【0072】
≪重合例2〜重合例10、重合例14及び重合例15≫
重合例2〜重合例10、重合例14及び重合例15は、前記重合例1において配合した各モノマーを、下記表1及び表2に示す配合になるように、モノマーの種類及び配合比を変更した以外は、重合例1と同様に重合し、アクリル系共重合体B(樹脂B)〜アクリル系共重合体J(樹脂J)、アクリル系共重合体N(樹脂N)及びアクリル系共重合体O(樹脂O)の溶液を得た。
なお、下記表1及び表2における配合比の数値は、アクリル系共重合体全質量に対する各モノマーの配合量(質量%)で示す。
また、得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量、及びmolTgを併せて表1並びに表2に示す。
【0073】
≪重合例11≫
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、及び温度計を備えた反応器に、酢酸エチル(EAc)360.3質量部を仕込んだ。次いで、別の容器にn−ブチルアクリレート(BA)422.82質量部(アクリル系共重合体全質量に対して90質量%相当)、アクリル酸(AA)46.98質量部(同じく10質量%相当)からなるモノマー混合物469.8質量部を用意し、このうち83.1質量部を反応器に仕込み、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.052質量部を添加した。添加後、加熱し、還流温度82℃で10分間保った。この中にさらに、残りのモノマー混合物386.7質量部、EAc202.9質量部及びAIBN0.176質量部からなる混合物を150分間かけて逐次滴下した。さらに、還流温度82℃で70分間保った後EAc51.8質量部及びAIBN0.818質量部を60分間かけて逐次滴下し、更に90分間同温度で保ってから、反応終了後EAcで固形分30%に希釈後冷却し、アクリル系共重合体K(樹脂K)の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体Kの重量平均分子量、及びmolTgを併せて表2に示す。
【0074】
≪重合例12≫
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、窒素導入管、及び温度計を備えた反応器に、酢酸エチル(EAc)210質量部を仕込んだ。次いで、別の容器にn−ブチルアクリレート(BA)270.0質量部(アクリル系共重合体全質量に対して90質量%相当)、アクリル酸(AA)30.0質量部(同じく10質量%相当)からなるモノマー混合物300.0質量部を用意し、反応容器の空気を窒素ガスで置換した。その後、撹拌下、窒素雰囲気中で、反応容器の内容物温度を80℃に昇温後、EAc354.0質量部及び開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.176質量部からなる混合物を240分間かけて逐次滴下した。更に、90分間80℃で保ってから、反応終了後、EAcで固形分20%に希釈後冷却し、アクリル系共重合体L(樹脂L)の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体Lの重量平均分子量、及びmolTgを併せて表2に示す。
【0075】
≪重合例13≫
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、窒素導入管、及び温度計を備えた反応器に、酢酸エチル(EAc)190質量部を仕込んだ。次いで、別の容器にn−ブチルアクリレート(BA)270.0質量部(アクリル系共重合体全質量に対して90質量%相当)、アクリル酸(AA)30.0質量部(同じく10質量%相当)からなるモノマー混合物300.0質量部を用意し、反応容器の空気を窒素ガスで置換した。その後、撹拌下、窒素雰囲気中で、反応容器の内容物温度を80℃に昇温後、EAc354.0質量部及び開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.176質量部からなる混合物を240分間かけて逐次滴下した。さらに、90分間80℃で保ってから、反応終了後、EAcで固形分20%に希釈後冷却し、アクリル系共重合体M(樹脂M)の溶液を得た。得られたアクリル系共重合体Mの重量平均分子量、及びmolTgを併せて表2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
表1及び表2中の各モノマーの略語について説明する。
AA ・・・ アクリル酸
MAA ・・・ メタクリル酸
BA ・・・ n−ブチルアクリレート
MA ・・・ メチルアクリレート
2EHA ・・・ 2−エチルヘキシルアクリレート
【0079】
(実施例1)
<粘着剤溶液の調製>
以下の手順にしたがって、粘着剤溶液(粘着剤組成物)を調製した。
アクリル系共重合体である上記樹脂Aの溶液333.33質量部(固形分:100質量部)に対して、テルペンフェノール系タッキファイヤー(ヤスハラケミカル(株)製、YSポリスターTH130、軟化点130℃)の酢酸エチル(EAc)溶液30質量部(固形分:15質量部)、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製、イソシアネート系架橋剤)を3.33質量部(固形分:2.5質量部)添加混合し、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液から形成される粘着剤層の、架橋後のゲル分率は、55.4質量%であった。
なお、ゲル分率は既述の方法により測定したものである。
【0080】
<粘着力及び剥離保持強度の評価用粘着シートの作製>
上記の手順で調製された粘着剤溶液を、シリコーン処理された剥離PETフィルム(厚さ100μm)上に、25g/m
2となるように塗布した。塗布後、熱風乾燥機を用いて100℃で1分間乾燥し、粘着剤層を形成した。乾燥後、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムの粘着剤層面を、基材PETフィルム(厚さ50μm)に貼り合せ、23℃、50%RHの環境下で7日間養生し、粘着力及び剥離保持強度の評価用粘着シートとした。
【0081】
<耐反発性の評価用両面粘着シートの作製>
上記の手順で調製された粘着剤溶液を、シリコーン処理された剥離PETフィルム(厚さ100μm)に25g/m
2となるように塗布した。塗布後、熱風乾燥機を用いて100℃で1分間乾燥し、粘着剤層を形成した。乾燥後、粘着剤層が形成された剥離PETフィルムの粘着剤層面を、基材PETフィルム(厚さ50μm)に貼り合せた。この基材PETフィルム(厚さ50μm)の裏面(粘着剤層を形成していない面)に、同様の手順で粘着剤層を形成した。さらに、23℃、50%RHの条件下で7日間養生した。養生終了後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(厚さ:100μm)を片面のみ剥離し、剥離した面に裏打ち用PETフィルム(厚さ50μm)を貼り合せ、耐反発性の評価用両面粘着シートとした。
【0082】
<評価>
上記の方法で作製した粘着力及び剥離保持強度の評価用粘着シートを用いて、接着力測定及び定荷重剥離試験を行った。また、耐反発性の評価用両面粘着シートを用いて、エッジリフト試験を行った。
【0083】
≪粘着力測定≫
粘着力評価用粘着シートを25mm×150mmにカットし、カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(厚さ:100μm)を剥離し、2kgのゴムローラーを用いて、粘着剤層がポリカーボネート板(ユタカパネルサービス社製、PCユーピロンNF2000)に接するように圧着して粘着力測定用の試験サンプルとした。
上記粘着力測定用の試験サンプルを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した。ポリカーボネート板から粘着力評価用粘着シートを粘着層ごと剥離した場合の常温での粘着力を、剥離角度180°、23℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で測定した。
また、別途、上記粘着力測定用の試験サンプルを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した後、80℃の雰囲気中に30分放置した。ポリカーボネート板から粘着力評価用粘着シートを粘着層ごと剥離した場合の高温での粘着力を、剥離角度180°、80℃雰囲気下、剥離速度0.3m/minの条件で測定した。
【0084】
≪定荷重剥離試験≫
定荷重剥離試験を行い、剥離保持強度を評価した。剥離保持強度の評価用粘着シートを25mm×150mmにカットし、カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(厚さ:100μm)を剥離し、2kgのゴムローラーを用いて、剥離保持強度の評価用粘着シートの粘着剤層の端から半分の面積(25mm×75mm)がステンレス(SUS)板に接するように圧着して定荷重剥離試験用の試験サンプルとした。
上記定荷重剥離試験用の試験サンプルを23℃、50%RHの環境下で24時間放置した後、80℃の雰囲気中で、SUS板に対して90°の方向(被着面の法線方向)に300gの荷重が加わるよう、剥離保持強度評価用粘着シートのSUS板に貼り付けていない側に重りをつるし、90分間放置した。90分間で剥離保持強度評価用粘着シートが剥がれた長さを測定した。下記の評価基準に従って剥離保持強度を評価した。
【0085】
(剥離保持強度の評価基準)
◎ :剥がれた長さが1mm未満であり、剥離保持強度が極めて高く、実用上支障がない
○ :剥がれた長さが1mm以上3mm未満であり、剥離保持強度が高く、実用上支障がない
△ :剥がれた長さが3mm以上7mm未満であり、剥離保持強度がやや高く、実用上支障がない
× :剥がれた長さが7mm以上10mm未満であり、剥離保持強度がやや低く、実用上支障がある
××:剥がれた長さが10mm以上又は重りが落下してしまい、剥離保持強度が低く、実用上支障がある
【0086】
≪エッジリフト試験≫
エッジリフト試験を行い、耐反発性を評価した。耐反発性評価用両面粘着シートを30mm×44mmにカットし、カット後、シリコーン処理された剥離PETフィルム(厚さ:100μm)を剥離し、直径20mmのポリカーボネート(PC)棒に、両面粘着シートの長さ方向(44mm)がPC棒の円周方向になるように貼り付け23℃、50%RHの環境下で24時間放置した後、PC棒に対する浮きを目視で確認した。その後、80℃で24時間放置し、80℃におけるPC棒に対する浮きを目視で確認した。下記の評価基準に従って耐反発性を評価した。
【0087】
(耐反発性の評価基準)
◎ :浮き剥がれが認められない
○ :エッジ部にわずかであるが浮きが認められるが、実用上支障がない
△ :浮きが認められるが貼り付け面の半分以上は張り付いており、実用上支障がない
× :大きな浮きが認められ貼り付け面の半分以上が剥がれており、実用上支障がある
××:完全に剥がれており実用上支障がある
【0088】
(実施例2〜実施例24、及び比較例1〜比較例7)
実施例1において、樹脂の溶液の種類、タッキファイヤー及び架橋剤の種類を下記表3に示すように変更し、下記表3の配合比となるように粘着剤溶液を調製した。得られた各粘着剤溶液から形成される粘着剤層の、架橋後のゲル分率を、表3に併せて示す。また、実施例1と同様にして、各実施例等で調製した粘着剤溶液を用いて、接着力及び剥離保持強度の評価用粘着シート、及び耐反発性の評価用両面粘着シートを作製し、接着力測定、定荷重剥離試験、及びエッジリフト試験を行い評価した。評価結果は下記表3に示す。
なお、下記表3におけるタッキファイヤー及び架橋剤の配合比の数値は、アクリル系共重合体100質量部に対する各成分の配合量(質量部)で示す。
【0089】
【表3】
【0090】
表3中のタッキファイヤー及び架橋剤について説明する。
≪タッキファイヤー≫
A : YSポリスターTH130(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系タッキファイヤー、軟化点130℃)
B : YSポリスターT160(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系タッキファイヤー、軟化点160℃)
C : YSポリスターN125(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系タッキファイヤー、軟化点125℃)
D : パインクリスタルKE−604(荒川化学工業社製、ロジン系タッキファイヤー、軟化点130℃)
≪架橋剤≫
A : コロネートL(日本ポリウレタン工業社製、イソシアネート系架橋剤)
B : TETRAD−C(三菱瓦斯化学社製、エポキシ系架橋剤)
【0091】
表3に示すように、実施例では、高温環境下(80℃)における粘着力及び剥離保持強度が良好であり、耐反発性についても良好な結果であることがわかる。