【課題】操作レバーへの操作力伝達部材の連結作業と、ハウジングへの補助カバーの装着作業とを、同方向から同時に、かつ効率よく行いうるようにした車両用ドアラッチ装置を提供する。
【解決手段】補助カバー23は、連結領域部17と対向する側面に、操作力伝達部材8、10を保持可能な保持部と、操作力伝達部材の連結部12、13を位置決め可能な位置決め手段とを有し、補助カバー23を連結領域部17に固定していない状態において、操作力伝達部材8、10を保持部により保持するとともに、操作力伝達部材8、10の連結部12、13を、位置決め手段により位置決めし、補助カバー23を連結領域部17に固定することにより、操作力伝達部材8、10の連結部12、13を、予め定めた位置に停止している操作レバー9、11の被連結部20、21に連結しうるようにする。
前記操作力伝達部材は、アウタチューブ内にインナケーブルが挿通されたボーデンケーブルであり、前記アウタチューブの端部を前記保持部により軸方向に移動不能に保持するとともに、前記インナケーブルの端末に設けた前記連結部を前記位置決め手段により位置決めするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアラッチ装置。
前記連結部は、球形をなすとともに、前記操作レバーの前記被連結部を、前記球形の連結部が嵌合可能な凹部とし、前記球形の連結部を、前記位置決め手段としての位置決め用段部により軸方向に位置決めした状態で、前記凹部に嵌合するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の車両用ドアラッチ装置。
前記カバーまたは補助カバーは、前記連結部における前記凹部と反対側の外周面を移動方向に沿ってガイドするガイド部を備え、このガイド部により、前記凹部からの前記連結部の離脱を防止するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の車両用ドアラッチ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に記載されている車両用ドアラッチ装置においては、いずれも、補助カバーが、カバーにおけるケーブル連結領域部に、ヒンジを介して開閉可能に連結されているので、操作レバーの端部に対するボーデンケーブルの端末部の連結作業、ケーブル連結領域部への補助カバーの装着作業、及びアウタチューブの端部の固定作業を、同時に行うことができない。すなわち、補助カバーを開いた状態で、操作レバーの端部にインナケーブルの端末部を連結するとともに、ケーブル連結領域部にボーデンケーブルのアウタチューブの端部の固定した後、補助カバーをヒンジ部を中心としてケーブル連結領域部側に回動させて、インナケーブルと操作レバーとの連結部やアウタチューブの端部を閉塞する必要があるため、ドアラッチ装置への操作力伝達部材や補助カバーの組付効率に課題がある。
【0005】
また、近年、ドアラッチ装置の組立効率を向上させるために、自動組立てが行われているが、上記のような組付方法では、操作レバーの端部に、ボーデンケーブルの端末部を、位置決めした状態で自動的に連結するのは難しく、かつ補助カバーをケーブル連結領域部側に回動させて閉塞する作業が必要であるため、補助カバーのケーブル連結領域部への装着作業、及び操作レバーの端部へのインナケーブルの端末部の連結作業と、ハウジングへの操作レバー等の組付け作業とを、一定方向から自動的に行うことはできず、組付効率が低下する原因となっている。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、操作レバーへの操作力伝達部材の連結作業と、ハウジングの連結領域部への補助カバーの装着作業とを、一定方向から同時に、かつ効率よく行いうるようにした車両用ドアラッチ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
第1の発明は、ハウジングと、前記ハウジング内に回動可能に支持され、ドアに設けられる操作装置の操作力を伝達可能な操作力伝達部材の端末である連結部を連結可能な被連結部を有する操作レバーと、前記ハウジングの連結領域部に固定され、前記操作力伝達部材の連結部及び前記操作レバーの被連結部を覆う補助カバーとを備える車両用ドアラッチ装置において、
前記補助カバーは、前記連結領域部と対向する側面に、前記操作力伝達部材を保持可能な保持部と、前記操作力伝達部材の連結部を位置決め可能な位置決め手段とを有し、前記補助カバーを前記連結領域部に固定していない状態において、前記操作力伝達部材を、前記保持部により保持するとともに、前記操作力伝達部材の前記連結部を、前記位置決め手段により位置決めし、前記補助カバーを前記連結領域部に固定することにより、前記操作力伝達部材の連結部を、予め定めた位置に停止している前記操作レバーの被連結部に連結しうるようにしたことを特徴としている。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記操作力伝達部材は、アウタチューブ内にインナケーブルが挿通されたボーデンケーブルであり、前記アウタチューブの端部を前記保持部により軸方向に移動不能に保持するとともに、前記インナケーブルの端末に設けた前記連結部を前記位置決め手段により位置決めするようにしたことを特徴としている。
【0009】
第3の発明は、上記第2の発明において、前記連結部は、前記インナケーブルと直交して互いに反対方向を向く連結用軸部と位置決め用軸部とを有し、前記操作レバーの被連結部は、前記連結用軸部が嵌合可能な連結孔であり、前記補助カバーは、前記位置決め用軸部が挿脱可能に嵌合可能な前記位置決め手段としての保持孔を有し、前記位置決め用軸部を前記保持孔に嵌合して仮保持した状態で、前記連結用軸部を前記連結孔に嵌合した後、前記位置決め用軸部を前記保持孔から離脱可能としたことを特徴としている。
【0010】
第4の発明は、上記第2の発明において、前記連結部は、球形をなすとともに、前記操作レバーの前記被連結部を、前記球形の連結部が嵌合可能な凹部とし、前記球形の連結部を、前記位置決め手段としての位置決め用段部により軸方向に位置決めした状態で、前記凹部に嵌合するようにしたことを特徴としている。
【0011】
第5の発明は、上記第4の発明において、前記ハウジングまたは補助カバーは、前記連結部における前記凹部と反対側の外周面を移動方向に沿ってガイドするガイド部を備え、このガイド部により、前記凹部からの前記連結部の離脱を防止するようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用ドアラッチ装置によると、ハウジングの連結領域部に固定していない状態の補助カバーに、操作力伝達部材を予め保持するとともに、操作力伝達部材の連結部を補助カバーに位置決め手段により位置決めすることにより、ハウジングの連結領域部への補助カバーの装着作業と、操作レバーの被連結部への操作力伝達部材の連結部の連結作業とを、一定方向から同時に、かつ効率よく行うことができ、組付性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用ドアラッチ装置を、
図1〜
図9に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、
図1における斜め左上方を車両の前側、斜め右下方を後側、斜め左下方を車内側、斜め右上方を車外側とする。
【0015】
ドアロック装置1は、車両のドア(図示略)内の後端部に取り付けられ、ドアを閉状態に保持するための噛合ユニット2と、噛合ユニット2に取り付けられる操作ユニット3とを備えている。
【0016】
噛合ユニット2は、ドア内にボルト(図示略)により固定される合成樹脂製のボディ4を備え、ボディ4内には、車体側のストライカ(図示略)と係合可能なラッチ5(
図1参照)、及びラッチ5に係合可能なポール(図示略)を含む噛合機構が設けられ、ドアが閉じられると、ラッチ5がストライカに噛合するとともに、ポールがラッチ5に係合することにより、ドアが閉状態に保持される。なお、噛合ユニット2は、公知のものであり、また本発明には直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
【0017】
操作ユニット3は、ボディ4に固定され、車内側が開口する合成樹脂製のハウジング6と、ハウジング6の車内側の開口面に固定され、ハウジング6内に組み込まれる各種操作レバーやモータ等の操作機構を閉塞する合成樹脂製のカバー7とを備えている。なお、カバー7も、本発明に係るハウジング6の一部を構成している。
【0018】
ハウジング6内に組み込まれる各種操作レバーには、ドアの車内側に設けられる施解錠操作用のロックノブ(図示略)に、操作力伝達部材をなす第1ボーデンケーブル8を介して連結されるロッキングレバー9と、ドアの車内側に設けられるドア開扉操作用のインサイドハンドル(図示略)に、操作力伝達部材をなす第2ボーデンケーブル10を介して連結されるインサイドレバー11等がある。なお、ロックノブ及びインサイドハンドルは、本発明に係る操作装置に相当する。
【0019】
第1ボーデンケーブル8及び第2ボーデンケーブル10は、それぞれ、可撓性のアウタチューブ8a、10a内に、可撓性のインナケーブル8b、10bを、長手方向へ摺動自在に挿通したもので、インナケーブル8b、10bにおけるロッキングレバー9及びインサイドレバー11に連結される端末部(後端)には、球形の連結部12及び平面視ほぼT形軸状の連結部13がそれぞれ固着されている(
図3参照)。第2ボーデンケーブル10の連結部13は、インナケーブル10bと直交するように互いに反対方向を向き、インサイドレバー11の下端部における後述の連結孔21に嵌合可能な車外方向を向く連結用軸部13aと、後述する補助カバー23の位置決め用保持孔29に挿脱可能に嵌合される車内方向を向く位置決め用軸部13bとを備えている。
【0020】
ロッキングレバー9及びインサイドレバー11は、車内外方向を向く枢軸14及び枢軸15により、それぞれハウジング6内に回動可能に支持されている。
【0021】
図1及び
図5に示すように、カバー7の車内側を向く側面の下部には、車内方向に突出するとともに、前部が下方を向き、後部が後下がりに傾斜し、中間部が斜め前上方に若干傾斜する2本の突条16、16が、互いにほぼ平行に、かつ離間させて形成されている。カバー7における下側の突条16の下方は、第1ボーデンケーブル8及び第2ボーデンケーブル10の後端部を連結するためのケーブル連結領域部17となっている。
【0022】
ロッキングレバー9における第1ボーデンケーブル8の連結部12が連結される下端部91は、第1ボーデンケーブル8の連結部12が車内側から連結可能なように、カバー7に設けた開口18からケーブル連結領域部17内に露出している。また、インサイドレバー11における第2ボーデンケーブル10の連結用軸部13aが連結される下端部111は、第2ボーデンケーブル10の連結用軸部13aが車内側から連結可能なように、カバー7に設けた円弧状の切欠き19から、ケーブル連結領域部17内に露出している。
【0023】
図1及び
図6に示すように、ロッキングレバー9の下端部91には、第1ボーデンケーブル8の連結部12が車内側から嵌合可能な、車内方向に開口するほぼ半球状断面をなす凹部20が形成されている。また、インサイドレバー11の下端部111には、第2ボーデンケーブル10の車外方向を向く連結用軸部13aが車内側から嵌合可能な、車内外方向を向く連結孔21が形成されている。なお、凹部20及び連結孔21は、本発明に係る被連結部に相当する。
【0024】
図5に示すように、ロッキングレバー9の下端部91における凹部20を設けた部分は、ロックノブのロック操作に基づいて、ドアを開扉可能とするアンロック位置Aから、ドアを開扉不能とするロック位置Bまで移動する。また、インサイドレバー11の下端部111における連結孔21を設けた部分は、インサイドハンドルの開操作に基づいて、中立位置Cから、ドアの開きを可能にするドアオープン位置Dまで移動する。なお、第2ボーデンケーブル10をインサイドレバー11に連結する前の状態においては、インサイドレバー10の連結孔21を設けた部分は、中立位置Cよりも後方の組付位置Eで停止するように、スプリング30により反時計方向に付勢されている(
図7参照)。
【0025】
図1、
図5及び
図6に示すように、ケーブル連結領域部17内の中央部には、ロッキングレバー9の下端部91の車内側の側面を、凹部20と前端部を残して車内側より覆うレバー覆い部22が、下端部91の移動軌跡に沿うようにして、カバー7における下側の突条16の中間部から前方に向かって突設されている。レバー覆い部22の車外側の側面には、凹部20に嵌合される連結部12の移動軌跡に沿う円弧状のガイド突条22aが突設され、凹部20がアンロック位置Aとロック位置Bとの間を移動する際、凹部20に嵌合される第1ボーデンケーブル8の連結部12の車内側の外周面がガイドされるようになっている。
【0026】
ケーブル連結領域部17には、カバー7と別体をなす合成樹脂製の補助カバー23が車内側から取り付けられる。
図1〜
図4に示すように、補助カバー23は、側面視で外形がケーブル連結領域部17の形状とほぼ同形をなすとともに、ケーブル連結領域部17と対向する車外側の面が開口するケース状に形成されている。補助カバー23における垂直をなすカバー本体231の上縁と前縁には、車外方向を向く上片232と前片233が、互いに連続するようにして突設され、この上片232と前片233は、補助カバー23をケーブル連結領域部17に装着する際、カバー7の突条16、16間に嵌合されるようになっている。また、カバー本体231の下縁に形成された車外方向を向く下片234は、ケーブル連結領域部17の下面を覆うようにして嵌合されている。上片232と前片233を、カバー7の突条16、16間に嵌合すると、それらの嵌合部に生起されるラビリンス効果により、ドア内に入り込んだ雨水等がケーブル連結領域部17内に浸入するのが防止される。
【0027】
カバー本体231の後縁には、係合孔235を有する車外方向を向く弾性係合片236が突設され、補助カバー23をケーブル連結領域部17に装着する際に、係合孔235がカバー7の後下端部に突設された係合爪24に係合するようになっている。
【0028】
カバー本体231の車外側の側面における前下端部には、補助カバー23をケーブル連結領域部17に位置決めして装着するための車外方向を向くガイド軸部25が突設され、このガイド軸部25は、補助カバー23をケーブル連結領域部17に装着する際に、ケーブル連結領域部17の前下端部に突設された車内方向を向く筒部26内に嵌合されるようになっている。
【0029】
カバー本体231の車外側の側面における前部寄りには、前後方向と車外方向側が開口された上下2個の保持溝27a、27aを有するケーブル保持部27が突設され、上下の保持溝27aには、それぞれ、第1ボーデンケーブル8におけるアウタチューブ8aの先端部(後端部)の環状溝8cと、第2ボーデンケーブル10におけるアウタチューブ10aの先端部(後端部)の環状溝10cとが、軸方向(前後方向)に移動不能に嵌合されている。
【0030】
ケーブル保持部27と近接する後方において、カバー本体231の車外側の側面の上部寄りには、前後方向にやや長めのガイド部28が、上部の保持溝27aと対向するようにして突設されている。このガイド部28の前部の車内外方向の寸法を、後部のそれよりも大とすることにより、それらの境界部における車外側の側面には、第1ボーデンケーブル8の連結部12の外周面が係止される位置決め用段部28aが形成されている(
図3参照)。補助カバー23をケーブル連結領域部17に装着する前において、第1ボーデンケーブル8の連結部12を位置決め用段部28aに係止させておくと、ロッキングレバー9の下端部91に設けた凹部20に対し、連結部12が前後方向に位置決めされる(
図6参照)。
【0031】
カバー本体231の後端部には、第2ボーデンケーブル10の連結部13を仮保持するとともに、前後方向に位置決めするための車内外方向を向く位置決め用保持孔29が、ケーブル保持部27における下部の保持溝27aの後方に位置するようにして形成されている。補助カバー23をケーブル連結領域部17に装着する前において、位置決め用保持孔29に、第2ボーデンケーブル10の連結部13の位置決め用軸部13bを車外側より嵌合することにより、インサイドレバー11の下端部111に設けた連結孔21に対し、第2ボーデンケーブル10の連結部13が前後方向に位置決めされる(
図7参照)。
【0032】
次に、第1、第2ボーデンケーブル8、10及び補助カバー23の組付要領について説明する。
まず、
図4に示すように、補助カバー23をケーブル連結領域部17に装着する前において、第1、第2ボーデンケーブル8、10のアウタチューブ8a、10aの先端部を、それぞれ、補助カバー23におけるケーブル保持部27の保持溝27a、27aに嵌合し、前後方向に移動不能に固定する。
【0033】
次いで、第1ボーデンケーブル8におけるインナケーブル8bの連結部12を、ガイド部28の位置決め用段部28aに係止し、軸方向に位置決めするとともに、第2ボーデンケーブル10のインナーケーブル10aの連結部13における位置決め用軸部13bを、補助カバー23の位置決め用保持孔29に嵌合して仮保持し、連結部13を上下及び前後方向に移動不能に位置決めする。
【0034】
次いで、補助カバー23の弾性係合片236の係合孔235を、カバー7の後下端部の係合爪24に係合させるとともに、ガイド軸部25をケーブル連結領域部17の筒部26に嵌合させることにより、補助カバー23と、それにより保持された第1、第2ボーデンケーブル8、10とを、ケーブル連結領域部17に車内方向より同時に、かつ位置決めして組み付ける。補助カバー23をケーブル連結領域部17に組み付けると、上述したように、第1ボーデンケーブル8の連結部12と第2ボーデンケーブル10の連結部13は、共に補助カバー23により位置決めされているので、第1ボーデンケーブル8の連結部12は、ロッキングレバー9の凹部20に、第2ボーデンケーブル10の連結部13の連結用軸部13aは、組付位置にあるインサイドレバー11の連結孔21に、それぞれ車内方向より自動的に嵌合する(
図6、
図7参照)。
【0035】
次いで、
図8に示すように、補助カバー23の位置決め用保持孔29に嵌合されている位置決め用軸部13bを、矢印のように車外方向に押動して、位置決め用保持孔29より離脱させるとともに、連結用軸部13aをインサイドレバー11の連結孔21に深く嵌合させる。
【0036】
最後に、
図9に示すように、インサイドレバー11の下端部111が、
図5に示す中立位置Cまで移動するように、第2ボーデンケーブル10のインナケーブル10bの他端部を、インサイドハンドルに連結する。これにより、位置決め用軸部13bが補助カバー23の位置決め用保持孔29に嵌合するおそれがなくなるので、インサイドレバー11の下端部111は、インサイドハンドルの開操作に基づいて、
図5における中立位置Cから、ドアの開きを可能にするドアオープン位置Dまで支障なく移動することができる。
【0037】
一方、ロッキングレバー9の下端部91の凹部20に嵌合された第1ボーデンケーブル8の連結部12が、
図5に示すアンロック位置Aにあるときには、
図6に示すように、連結部12における凹部20と反対側の外周面は、補助カバー23のガイド部28の車外側の側面に近接または当接しているので、凹部20から連結部12が離脱することはない。また、連結部12がアンロック位置Aからロック位置B方向へ移動する間においても、連結部12における凹部20と反対側の外周面は、カバー7に設けたレバー覆い部22のガイド突条22aに沿って移動するので、凹部20より離脱するおそれはない。
【0038】
以上説明したように、上記実施形態に係るドアラッチ装置1においては、補助カバー23をカバー7と別体に形成し、ケーブル連結領域部17に固定していない状態の補助カバー23に、第1ボーデンケーブル8と第2ボーデンケーブル10の端部を軸方向に移動不能に予め保持して固定するとともに、それらの連結部12、13を補助カバー23に位置決めして保持することにより、カバー7のケーブル連結領域部17への補助カバー23の装着作業と、ロッキングレバー9の凹部20及びインサイドレバー11の連結孔21への第1、第2ボーデンケーブル8、10の連結部12、13の連結作業とを、同方向、すなわち車内方向から同時に、かつ効率よく行うことができ、組付性が向上する。
また、ケーブル連結領域部17への補助カバー23の組付方向と、ハウジング6へのロッキングレバー9及びインサイドレバー11等の組付方向とが同方向となるので、それらを、ドアラッチ装置の自動組立ライン上において、効率よく組み付けることができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
【0040】
上記実施形態では、カバー7にレバー覆い部22を設け、このレバー覆い部22に円弧状のガイド突条22a設け、このガイド突条22aに沿って第1ボーデンケーブル8の連結部12の移動をガイドすることにより、凹部20から連結部12が離脱するのを防止するようにしているが、レバー覆い部22を省略して、上記のようなガイド突条22を、補助カバー23側に、ガイド部28と連続するように、かつ連結部12の移動軌跡に沿うように設けてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、第1ボーデンケーブル8の連結部12を球形としたが、第2ボーデンケーブル10の連結部13と同形のT形軸状としてもよい。この際には、ロッキングレバー9の被連結部を、凹部20に代えて連結孔とするとともに、カバー7に、T形軸状とした連結部の位置決め用軸部が嵌合可能な位置決め用保持孔を設け、第2ボーデンケーブル10と同じ連結要領で、T形軸状とした連結部をロッキングレバー9の連結孔に連結すればよい。また、ロッキングレバー9の通常の作動領域において、位置決め用軸部が位置決め用保持孔に嵌合することがないように、第1ボーデンケーブル8をロック方向に若干回動させてロックノブに連結すればよい。
【0042】
カバー7に設けた位置決め用保持孔29は、連結部13をインサイドレバー11に連結した後、軸状の閉塞部材を嵌合するなどして閉塞してもよい。