【実施例】
【0013】
本発明の稲わら燃焼装置及び本発明の稲わらを燃料とするストーブを図に基づいて説明する。
図1は、本発明の稲わら燃焼装置及び稲わらを燃料とするストーブの正面図である。
図2は、本発明の稲わら燃焼装置の構造を表わす図である。
図3は、本発明の稲わら燃焼装置の一の稲わら支持部を表わす図であり、図(a)は正面図、図(b)は
図1のA−A断面図である。
図4は、本発明の稲わら燃焼装置の他の稲わら支持部を表わす図であり、
図1のB−B断面図である。
また、本願において、稲わらとは、稲わらロール(いわゆる藁玉)であり、水稲の稲わらを収集しロールしたものである。
【0014】
本発明の稲わら燃焼装置10は、鉄板で形成された筐体からなるものであり、その筐体の内部空間が稲わら燃焼室12となる。稲わら燃焼装置10のすべての側壁面には、稲わら燃焼室12に外気14を取り入れる吸気口16が備えられている。
図1及び
図2において、開閉扉18から投入された稲わらロール22は、稲わら支持部20により稲わら燃焼室12の空間に支持されている。稲わらロール22に向けて外気14を取り入れるための吸気口16a、稲わら支持部20に向けて外気14を取り入れるための吸気口16b,16c、稲わら支持部20の稲わらロール22に火をつける着火部24に向けて外気14を取り入れるための吸気口16dを備える。
着火部24は、稲わら支持部20の下方に設けられる空間である。また、稲わら燃焼室12の上方に、稲わら燃焼室12の室内空気26を外部に排出する排気口28(煙突)が設けられている。着火部24に薪30を入れて火をつける。着火部24の上方に支持されている稲わらロール22に点火し、稲わらロール22が燃え始めると、稲わら燃焼室12の室内空気26が稲わら燃焼室12の上方に上昇し、排気口28から排出される。また、室内空気26が上昇すると、吸気口16(16a、16b・16c、16d)から稲わら燃焼室12に外気14が流れ込み、稲わらロール22を燃焼させる。
なお、吸気口16には、稲わら燃焼室12に取り入れられる外気14の量を調整するための開閉板(吸気量調整装置)が設けられている(図示せず)。
【0015】
稲わら支持部20は、稲わら燃焼室12の室内空間中において稲わらロール22を支持する。
図1及び
図2において、稲わらロール22は、着火部24の上方に備える稲わら支持台20a(稲わら支持部20)の上に載せられている。
稲わら支持台20aは、稲わらロール22の外縁付近を支持する円形又は略円形に形成した筒状の支持台36bと、稲わらロール22の中心付近を支持する円形又は略円形に形成した筒状の支持台36aとから構成されるものである(
図3)。すなわち、稲わら支持台20aは、径が異なる大小の2つの筒状の支持台36a,36bを用いて、二重の輪を形成し、その輪の上に稲わらロール22を載せるようにしたものである(
図1乃至
図4)。
径小の支持台36aは、稲わら燃焼装置10の各壁面に備える吸気口16bに連結し、外気14を稲わら燃焼室12に取り込む4本の導管34aによって稲わら燃焼室12の室内空間中に支持されている。径大の支持台36bは、稲わら燃焼装置10の各壁面に備える吸気口16cに連結し、外気14を稲わら燃焼室12に取り込む複数の導管34bによって稲わら燃焼室12の室内空間中に支持されている。
稲わら支持台20aは、多数の孔32を設けた鉄板を用いて円形又は多角形(略円形)に形成したものである(
図3)。
なお、稲わらロール22は、稲わら支持台20aに縦に(立たせて)載せるものとする。
【0016】
他の稲わら支持部20bは、稲わらロール22が燃焼中に倒れないように支持し、稲わら支持台20aに立たせたまま燃焼させるためのものである。稲わらロール22の外周を囲むように、稲わら燃焼室12の室内空間を仕切る仕切り板38(38a、38b、38c)から構成される(
図1及び
図4)。
図1及び
図4において、仕切り板38は、稲わらロール22を前後左右から支えるように設けられている。仕切り板38aは稲わらロール22の前方の位置(開閉扉18の裏面)に、仕切り板38bは稲わらロール22の左右の位置に、仕切り板38cは稲わらロール22の後方の位置にそれぞれ設けられている。
仕切り板38を設けることにより、燃焼中に稲わらロール22が倒れないように保つことができ、稲わらロール22を完全燃焼させることができる。仕切り板38には、稲わら支持台20a(又は36a,36b)と同様、
図3(a)に表わす多数の孔32を設けた鉄板を使用する(図示せず)。
燃焼後の稲わらロール22の燃えかす(灰)は、取出し口40から外部に排出することができる。なお、開閉扉18には、稲わら燃焼室12の内部の様子を目視できる窓が設けられている(図示せず)。
【0017】
以上のように、本発明の稲わら燃焼装置によると、稲わら(稲わらロール)をそのまま燃焼させることができるため、燃料化コストを低く抑えることができる。また、産業廃棄物である稲わらを有効利用することができる。
【0018】
次に、上記稲わら燃焼装置を用いた本発明の稲わらを燃料とするストーブについて説明する。
図5は、本発明の稲わらを燃料とするストーブの放熱部を表わす図であり、図(a)は放熱部の平面図、図(b)は図(a)のC−C断面図(突出部の縦断面図)である。
上述の稲わら燃焼装置10は、稲わらを燃料とするストーブ42としても使用することができる。
また、稲わら燃焼装置10の天井板10aの表面に円柱状の突出部44を設けた放熱部46を設けてもよい(
図1、
図5)。突出部44を設けることにより放熱面積を拡大することができ、稲わら燃焼装置10の稲わら燃焼室12の熱を有効に利用することができる。
図5の突出部44は、中空に形成されている(
図5(b))。
なお、上記稲わら燃焼装置10は、パネルヒーターとしても利用することもできる。
【0019】
次に、前記稲わら燃焼装置を用いた本発明の稲わらを燃料とするボイラーについて説明する。
図6は、本発明の稲わらを燃料とするボイラーの給湯タンクを表わす図であり、図(a)は熱交換装置としての給湯用タンクを表わす図、図(b)は本発明の使用状態図、図(c)は給湯タンクの温水を高温にする場合の実施形態を表わす図である。本実施例のボイラーは、農産物の栽培用ビニールハウスのボイラーである。
本発明の稲わらを燃料とするボイラー48は、前記稲わら燃焼装置10の筐体の側面に熱交換装置としての給湯用タンク50を備え、給湯用タンク50内に稲わら燃焼装置10の室内の熱を循環させる熱交換用パイプ52を設けるものである。
熱交換用パイプ52は、給湯用タンク50内において、その一端が稲わら燃焼装置10の側面の上部に取り付けられ、他端は側面の下部に設けられている。稲わら燃焼装置10の室内空気26は下方から上方に向かって流れているため、室内空気26を、側面下部に設けた熱交換用パイプ52の開口部から熱交換用パイプ52に導入させ、側面上部に設けた熱交換用パイプ52の開口部から稲わら燃焼装置10の室内に導出させることができる。熱交換用パイプ52を介して、給湯用タンク50内に室内の熱(室内空気26)を循環させることにより、稲わらロール22(燃料)を燃焼させて得た熱を水に伝え、温水に換えることができる(
図6(a))。
給湯用タンク50の流出口50aから給湯用タンク50内の温水53を排出し、ポンプ54及びホース56を用いて、農産物の栽培用ビニールハウス58内を循環させることにより、ビニールハウス58を暖房することができる。ビニールハウス58を循環した放熱された温水59は、給湯用タンクの流入口50bから給湯用タンク50に戻る。
【0020】
また、給湯用タンク50を設ける稲わら燃焼装置10に、温水流入口60aと温水流出口60bを備える。また、温水流入口60aと温水流出口60bに、稲わら燃焼室12の壁面に沿って設けられる温水循環用導管62を連結する。給湯用タンク50の温水53を温水流入口60aから流入させ、温水循環用導管62を介して、稲わら燃焼室12の熱を温水53に伝え、温水流出口60bから送出することにより、給湯用タンク50の温水より高温の温水64をビニールハウス58に送水することができる。