【解決手段】加熱循環回路22途中に設けられて湯水を加熱する加熱手段33と、貯湯タンク1側面に設けられて貯湯温度が所定の沸き終い温度に達したか否かを検出する沸き終い温度センサ11eと、深夜時間帯終了時刻に沸き上げ必要量を沸き上げ完了させるべく沸き上げ開始時刻を算出する沸き上げ開始時刻算出手段41と、沸き上げ開始時刻になると目標沸き上げ温度に湯を沸き上げる沸き上げ動作を開始し、沸き終い温度センサ11eが所定の沸き終い温度を検出すると沸き上げ動作を終了させる沸き上げ制御手段40と、所定の沸き終い温度を変更する沸き終い温度変更手段42と、を備え、沸き上げ開始時刻算出手段41は、沸き終い温度変更手段42による沸き終い温度の変更に応じて沸き上げ開始時刻を補正するようにした。
湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク下部へ給水する給水管と、前記貯湯タンク上部から出湯する出湯管と、前記貯湯タンク下部からの湯水を循環させて前記貯湯タンク上部に戻す加熱循環回路と、前記加熱循環回路途中に設けられて湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク側面に設けられて貯湯温度が所定の沸き終い温度に達したか否かを検出する沸き終い温度センサと、特定時間帯の終了時刻に沸き上げ必要量を沸き上げ完了させるべく沸き上げ開始時刻を算出する沸き上げ開始時刻算出手段と、前記沸き上げ開始時刻になると前記加熱手段を作動して目標沸き上げ温度に湯を沸き上げる沸き上げ動作を開始し、前記沸き終い温度センサが前記沸き終い温度を検出すると沸き上げ動作を終了させる沸き上げ制御手段と、前記沸き終い温度を変更する沸き終い温度変更手段と、を備え、前記沸き上げ開始時刻算出手段は、前記沸き終い温度変更手段による前記沸き終い温度の変更に応じて前記沸き上げ開始時刻を補正するようにしたことを特徴とする貯湯式給湯装置。
前記沸き上げ開始時刻算出手段は、前記沸き終い温度が低いほど前記沸き上げ開始時刻を遅らせる方向に補正するようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1の下部に給水する給水管、3は貯湯タンク1の上部から出湯する出湯管、4は給水管2から分岐される給水バイパス管、5は出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを混合する混合弁、6は混合弁5で混合された湯を給湯栓7へ導く給湯管である。
【0010】
8は混合弁5で混合された湯水の温度を検出する給湯温度センサ、9は給湯管6を流れる湯水の流量を検出する給湯流量センサ、10は給水バイパス管4を流れる水の温度を検出する給水温度センサ、11a〜eは貯湯タンク1の側面上下に複数個設けられて貯湯タンク1の貯湯温度を検出する貯湯温度センサ、このうち貯湯タンク1の最下部の貯湯温度センサ11eは、沸き上げ動作の終了を判定する沸き終い温度センサとして機能するものである。12は給水管2に設けられ給水圧を減圧する減圧弁、13は貯湯タンク1に連通された管路に設けられ貯湯タンク1内の過圧を逃がす過圧逃がし弁である。
【0011】
14は貯湯タンク1内の上部に配置されて浴槽15内の浴槽水を循環して加熱するための風呂熱交換器、16は浴槽15と風呂熱交換器14とを浴槽水が循環可能に接続する風呂循環回路、17は風呂循環回路16途中に設けられて浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ、18は風呂循環ポンプ17の吸入側に設けられて浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、19は浴槽15内の水位を検出する水位センサである。
【0012】
20は給湯管6の給湯流量センサ9より下流側から分岐されて風呂循環回路16に接続された湯張り管、21は湯張り管20途中に設けられた湯張り開閉弁である。
【0013】
22は貯湯タンク1の下部からの湯水を循環させて貯湯タンク1上部に戻す加熱循環回路、23は加熱循環回路22の途中に設けられて循環する湯水を加熱するための水冷媒熱交換器、24は加熱循環回路22の水冷媒熱交換器23よりも上流側に設けられた加熱循環ポンプ、25は水冷媒熱交換器23に流入する水の温度を検出する入水温度センサ、26は水冷媒熱交換器23で加熱された湯の温度を検出する沸き上げ温度センサである。
【0014】
27は冷媒を圧縮して水冷媒熱交換器23の一次側に圧送する圧縮機、28は水冷媒熱交換器23から流出した冷媒を膨張させる膨張弁、29は膨張弁28で膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器、30は圧縮機27と水冷媒熱交換器23の一次側と膨張弁28と空気熱交換器29とを環状に接続する冷媒配管、31は空気熱交換器29へ加熱源となる空気を送風する送風機、32は外気温度を検出する外気温度センサであり、これらの要素によってヒートポンプ式の加熱手段33を構成している。
【0015】
34は給湯温度や各種必要な設定を行うためのリモートコントローラで、給湯設定温度や風呂設定温度を表示する表示部35と、給湯設定温度および風呂設定温度を設定する温度設定スイッチ36と、浴槽15への所定湯量の湯張りに続いて所定の保温時間だけ保温運転を行わせる風呂スイッチ37と、浴水を加熱する追焚き動作を行わせる追焚きスイッチ38ととを備えている。
【0016】
39はこの貯湯式給湯装置の作動を制御する制御部で、予め作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、カウント機能を備えたMPUを有し、給湯温度センサ8、給湯流量センサ9、給水温度センサ10、貯湯温度センサ11a〜e、風呂温度センサ18、水位センサ19、入水温度センサ25、沸き上げ温度センサ26、外気温度センサ32にて検出される値が入力され、混合弁5、風呂循環ポンプ17、湯張り開閉弁21、加熱循環ポンプ24、圧縮機27、膨張弁28、送風機31の駆動を制御し、沸き上げ動作、給湯動作や風呂加熱動作等を制御するもので、リモートコントローラ34と通信可能に接続されているものである。
【0017】
制御部39には、電力料金単価の安い深夜時間帯等の特定時間帯に貯湯タンク1内の湯水を沸き上げる沸き上げ動作を行わせる沸き上げ制御手段40と、特定時間帯の終了時刻に合わせて沸き上げ動作を終了させるための沸き上げ開始時刻を算出する沸き上げ開始時刻算出手段41と、沸き上げ動作の終了判定値である沸き終い温度を給湯負荷や給湯の利用状況等に応じて変更する沸き終い温度変更手段42とが設けられている。
【0018】
<給湯動作>
次に、給湯栓7が開かれ、給湯流量センサ9が給湯開始と見なせる量以上の流量を検出すると、制御部39は給湯温度センサ8で検出する給湯温度がリモートコントローラ34で設定した給湯設定温度となるように混合弁5の開度を調節し、出湯管3からの湯と給水バイパス管4からの水とを混合して給湯設定温度の湯を給湯する。
【0019】
このとき、制御部39は、給水温度センサ10で検出する給水温度と給湯流量センサ9で検出する給湯流量と給湯設定温度とから使用熱量を所定温度の給湯量に換算して、積算記憶する。
【0020】
そして、給湯栓7が閉じられる等して給湯流量センサ9が検出する流量が給湯停止と見なせる量未満の流量まで低下すると、制御部39は混合弁5の開度調節を終了し、給湯を終了する。
【0021】
<湯張り動作>
また、リモートコントローラ34の風呂スイッチ37がオンされた場合について説明すると、制御部39は湯張り開閉弁21を開き、給湯温度センサ8で検出する給湯温度がリモートコントローラ34で設定した風呂設定温度となるように混合弁5の開度を調節して風呂設定温度の湯を湯張りし、給湯流量センサ9が検出する湯張り開閉弁21を開いてからの流量積算値が予めリモートコントローラ34等で設定した湯張り湯量に達すると湯張り開閉弁21を閉じる。
【0022】
このとき、制御部39は、給水温度センサ10で検出する給水温度と給湯流量センサ9で検出する給湯流量と風呂設定温度とから浴槽15へ給湯された使用熱量を所定温度の給湯量に換算して、積算記憶する。
【0023】
そして、湯張り運転を完了すると制御部39は所定の保温時間(例えば2時間)の保温運転を行う。この保温運転では、定期的に風呂循環ポンプ17を駆動して浴水温度をチェックし、風呂設定温度未満であれば風呂加熱要求ありとして風呂循環ポンプ17の駆動を継続して浴水を風呂設定温度まで加熱するようにしている。そして、湯張り運転の完了から所定の保温時間が経過すると、浴水の保温運転を行わないようにしている。
【0024】
<追い焚き動作>
また、リモートコントローラ34の追い焚きスイッチ38がオンされると、制御部39は、風呂加熱要求ありとして風呂設定温度まで加熱する追い焚き運転を行うようにしており、追い焚き運転によって風呂加熱要求が発生すると、制御部39は、風呂循環ポンプ17を駆動開始し、浴水を風呂熱交換器14に循環させて、貯湯タンク1内の貯湯熱によって浴水を加熱する風呂加熱動作を開始し、そして、風呂温度センサ18が風呂設定温度以上を検出すると、風呂循環ポンプ17を駆動停止して風呂加熱動作を終了する。
【0025】
<沸き上げ動作>
次に、電力料金単価の安価な深夜の沸き上げ動作について、
図2のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、特定時間帯である23時から翌朝7時までの深夜時間帯がそれ以外の昼間時間帯よりも電力料金単価が安価な料金制度に基づいて説明するが、これに限られず、例えば22時から翌朝8時までを安価な深夜時間帯とする料金制度でもよいものである。
【0026】
現在時刻が23時になり深夜時間帯の開始時刻となると(ステップS1でYes)、沸き終い温度変更手段42は、過去の所定期間(例えば一週間)の単位期間(例えば1日)毎の使用熱量のバラツキ度合を算出する(ステップS2)。ここで、バラツキ度合は、過去一週間の一日毎の使用熱量の標準偏差や、過去一週間の一日毎の使用熱量の最大使用熱量と最小使用熱量の差をバラツキ度合を表す数値とすることができる。
【0027】
そして沸き終い温度変更手段42は、前記ステップS1で算出したバラツキ度合を表す数値を予め定められた所定値と比較し(ステップS3)、バラツキ度合が小さい場合は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断して、所定の沸き終い温度を低い温度(ここでは50℃)に変更する(ステップS4)。一方、バラツキ度合が大きい場合は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が比較的多いと判断して、所定の沸き終い温度を高い温度(ここでは60℃)に変更する(ステップS5)。
【0028】
次のステップS6では、沸き上げ開始時刻算出手段41が沸き上げ開始時刻を算出する。この算出ステップについて、
図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
沸き上げ開始時刻算出手段41は、給湯負荷として積算記憶している過去数日分の1日単位の使用熱量に基づいて翌日に必要な必要熱量Qを算出する(ステップS61)。ここでは、過去一週間の所定温度換算の給湯量の平均値と、その標準偏差に基づく値と、余裕分(例えば43℃換算100L分の熱量)との和から必要熱量Qを算出、決定するようにしている。
【0030】
次に、沸き上げ開始時刻算出手段41は、外気温度センサ32で検出する外気温度Taに応じ、予め記憶されている外気温度Taに応じたテーブルデータから目標沸き上げ温度Tsetを決定する(ステップS62)。ここでは、目標沸き上げ温度Tsetを外気温度Taが10℃未満で75℃、外気温度Taが10℃以上では70℃としている。
【0031】
なお、外気温度Taと目標沸き上げ温度Tsetの関係データの代わりに、給水温度Twと目標沸き上げ温度Tsetのテーブルデータを制御手段41に予め記憶し、ステップS3では、給水温度センサ11、最下部の貯湯温度センサ22gあるいは入水温度センサ32で検出される給水温度Twに基づいて目標沸き上げ温度Tsetを決定する構成としてもよく、また、外気温度Taや給水温度Twに加えて必要熱量Qの大きさに応じて目標沸き上げ温度Tsetを決定する構成としてもよい。
【0032】
そして、沸き上げ開始時刻算出手段41は、必要熱量Qを目標沸き上げ温度Tsetから給水温度Twを引いた値で除して、目標沸き上げ量Vを算出する(ステップS63)。なお、必要熱量Qが多い場合は、深夜時間帯に沸き上げ切れなかった不足分を昼間時間帯の沸き増し動作で沸き上げるようにしている。
【0033】
次に、沸き上げ開始時刻算出手段41は、貯湯温度センサ11a〜eの検出温度に基づき、残湯判定温度(例えば50℃)以上の残湯量Vzを算出し(ステップS64)、目標沸き上げ量Vから残湯量Vzを減じて沸き上げ必要量Vpを算出する(ステップS65)。
【0034】
そして、沸き上げ開始時刻算出手段41は、沸き終い温度変更手段42が決定した沸き終い温度に応じ、予め定められたデータテーブルに基づき沸き上げ開始時刻tsの補正値α、βを決定する(ステップS66)。ここで補正値αは沸き上げ開始時刻を遅らせる時間値であり、補正値βは沸き上げ所要時間tnを算出する際に用いる加熱能力Wに余裕度を持たせる係数であって、補正値α、β共に沸き終い温度が低いほど沸き上げ開始時刻tsを遅らせる方向に補正するような値を設定している。
【0035】
次に、沸き上げ開始時刻算出手段41は、沸き上げ必要量Vpに沸き上げ温度差(Tset−Tw)を乗じた値を、予め定められた加熱手段33の一定の加熱能力Wに沸き終い温度に応じた補正値βを乗じた値で除して、沸き上げ必要量Vpを目標沸き上げ温度Tsetまで加熱するのに要する沸き上げ所要時間tnを算出する(ステップS67)。ここでステップS67の式中の860は加熱能力Wを熱量に換算するための換算値である。
【0036】
そして、沸き上げ開始時刻算出手段41は、ステップS68にて深夜時間帯の終了時刻(ここではAM7:00)から沸き上げ所要時間tnと余裕時間M(例えば30分間)だけ遡った時刻を沸き上げ開始時刻tsとして算出するもので、沸き終い温度変更手段42が沸き終い温度を低い温度に変更した場合は、沸き上げ開始時刻tsを補正値α(ここでは15分間)だけ遅くなるように補正して、沸き上げ開始時刻tsを算出している。
【0037】
図2のフローチャートのステップS6にて沸き上げ開始時刻tsが算出され、現在時刻が沸き上げ開始時刻tsとなると(ステップS7でYes)、沸き上げ制御手段40は、前記ステップS62で決定した目標沸き上げ温度Tsetでの沸き上げ動作を開始すべく、加熱手段33および加熱循環ポンプ24を駆動開始し、貯湯タンク1下部から取り出した水を目標沸き上げ温度Tsetの湯に加熱して貯湯タンク1上部に戻して積層状に貯湯する(ステップS8)。
【0038】
そして、沸き終い温度センサとしての貯湯温度センサ11eが前記ステップS4またはステップS5で決定した沸き終い温度を検出するか(ステップS9でYes)、または入水温度センサ25が加熱上限温度(例えば55℃)以上を検出するかして沸き上げの終了が検知されると、沸き上げ制御手段40は、加熱手段33および加熱循環ポンプ24を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS11)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている。一方で、現在時刻が深夜時間帯の終了時刻であるAM7:00に到達すると(ステップS10でYes)、加熱手段33および加熱循環ポンプ24を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS11)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている。
【0039】
このように、使用湯量が日々一定でばらつかないような使用パターンであって中温水の発生量が少ない状況が所定期間継続するような場合、沸き終い温度を低い温度(ここでは50℃)に変更することで、深夜時間帯での中温水の沸き上げを防止してヒートポンプの加熱効率を向上させることができ、一方、日々の使用湯量がばらつくような使用パターンで中温水の発生量が多い場合、沸き終い温度を高い温度に変更することで、所定の時間帯での沸き上げ時に中温水も沸き上げ、沸き上げ量を確実に確保して湯切れを防止することができる。このように、ユーザーの使用状況に合わせて、湯切れを防止した上で最適かつ効率的な沸き上げを行うことができる。
【0040】
また、沸き終い温度に応じて沸き上げ開始時刻tsを補正しているため、沸き終い温度を低い温度に変更していて沸き上げ動作を行う時間が短くなる場合であっても沸き上げ動作の終了のタイミングを特定時間帯の終了時刻に近づけることができる。このようにして、沸き上げ動作の終了から特定時間帯の終了時刻までの間の時間を短縮でき、この時間での無駄な放熱ロスを低減して効率を向上させることがでる。
【0041】
なお、本発明の沸き終い温度変更手段42は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、必要熱量Qが少ない場合に沸き終い温度を低い温度に変更するようなものや、その他のものでもよいものである。
【0042】
また、沸き終い温度センサは、貯湯タンク1の最下部に位置する貯湯温度センサ11eとして説明したが、これに限らず、沸き上げ必要量Vpが少ない場合に、沸き上げ必要量Vpに応じた位置にある貯湯温度センサ11a〜dのいずれかを沸き終い温度センサとしてもよいものである。
【0043】
また、この実施形態では、補正値αおよび補正値βの二つを用いて沸き上げ開始時刻を補正しているが、いずれか一方のみを用いたり、他の補正値を用いてもよいものであり、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能なものである。