【課題】吸着熱交換器(40a,40b)を備えた熱交換器ユニット(40)と吸着ロータ(51)を備えたロータユニット(50)とを有する除湿システム(10)において、省エネルギー化を図る。
【解決手段】給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)を設け、各熱交換器ユニット(41,42)の吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)を給気通路(21)とパージ通路(22)に並列に設け、再生側の吸着熱交換器(40b,40a)を再生通路(23)上に直列に設ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の除湿システムでは、熱交換器ユニット(100)の吸着熱交換器(100)で除湿した空気を分流させて、ロータユニット(110)の吸着ロータ(111)に設けられている吸着ゾーン(112)とパージゾーン(113)の両方に供給するようにしているので、吸着熱交換器(101)で大風量の空気を十分に除湿する必要があることから除湿能力を大きくする必要があり、エネルギー消費が大きくなってしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着熱交換器を備えた熱交換器ユニットと吸着ロータを備えたロータユニットとを有する除湿システムにおいて、省エネルギー化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、空気が流れる空気通路(20)と、該空気通路(20)上に配置された除湿ユニット(30)とを備え、上記除湿ユニット(30)が、吸着側と再生側とに交互に切り換えられる2つの吸着熱交換器(40a,40b)を有する熱交換器ユニット(40)と、吸着ゾーン(52)とパージゾーン(53)と再生ゾーン(54)を有する吸着ロータ(51)を有するロータユニット(50)とを備え、上記空気通路(20)が、吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)を通過した空気が上記吸着ゾーン(52)を通過して調湿空間(S)に供給される給気通路(21)と、吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)を通過した空気が上記パージゾーン(53)を通過するパージ通路(22)と、パージゾーン(53)を通過した後の空気が上記再生ゾーン(54)と再生側の吸着熱交換器(40b,40a)を順に流れる再生通路(23)とを備えた除湿システムを前提としている。
【0010】
そして、この除湿システムは、上記熱交換器ユニット(40)がパージ用熱交換器ユニット(42)と給気用熱交換器ユニット(41)とを備え、パージ用熱交換器ユニット(42)の吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)が上記パージ通路(22)上に配置され、かつ給気用熱交換器ユニット(41)の吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)が上記給気通路(21)上に配置され、上記パージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力が給気用熱交換器ユニット(41)の除湿能力よりも小さいことを特徴としている。
【0011】
この第1の発明では、給気とパージ空気の除湿を別々の熱交換器ユニット(40)で行うようにしており、給気用熱交換器ユニット(41)の除湿能力よりもパージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力を低くしている。そして、吸着ロータ(51)のパージゾーン(53)には、吸着ゾーン(52)よりも湿度の高い空気がパージ用熱交換器ユニット(42)から供給される。パージゾーン(53)には、吸着ゾーン(52)ほど湿度の低い空気を供給しなくてよいからである。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記再生通路(23)には、空気の流れの上流側から下流側に向かって、上記吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)、上記給気用熱交換器ユニット(41)の再生側の吸着熱交換器(40b,40a)、及び上記パージ用熱交換器ユニット(42)の再生側の吸着熱交換器(40b,40a)が順に配置されていることを特徴としている。
【0013】
ここで、給気用熱交換器ユニット(41)の排出空気は、外気よりも温度が高く相対湿度が低い。そこで、この第2の発明では、外気よりも温度が高く相対湿度の低い給気用熱交換器ユニット(41)の排出空気を、給気用熱交換器ユニット(41)よりも高湿の空気で再生可能なパージ用熱交換器ユニット(42)の再生用空気に利用している。従来であれば、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)を分けずに、熱交換器ユニット(40)の排出空気をそのまま外気へ放出していたので、熱交換器ユニット(40)から排出される高温低湿の空気が無駄になっていたが、本実施形態によれば、高温低湿の空気を有効に利用できる。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、給気用熱交換器ユニット(41)及びパージ用熱交換器ユニット(42)には、吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)に対して空気流れの下流側となり、再生側の吸着熱交換器(40b,40a)に対して空気流れの上流側となる位置に、空気流路に吸着剤が設けられた湿度調整部材(吸着ブロック)(70)が設けられていることを特徴としている。
【0015】
この第3の発明では、給気用熱交換器ユニット(41)及びパージ用熱交換器ユニット(42)において、吸着側の吸着熱交換器(40a,40b)の下流側に湿度調整部材(吸着ブロック)(70)を設けたことにより、吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)及びパージゾーン(53)に供給する空気の湿度を下げることができ、ひいては吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)から調湿空間(S)へ供給する空気の露点温度を確実に下げることができる。また、再生通路(23)においては、吸着ロータ(51)や熱交換器ユニット(40)の排熱を吸着ブロックの再生に利用できる。
【0016】
第4の発明は、第1から第3の発明の何れか1つにおいて、上記熱交換器ユニット(40)が、冷媒の循環方向が可逆に構成された冷媒回路(43a,43b)を備え、上記熱交換器ユニット(40)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)が、上記冷媒回路(43a,43b)の2つの熱交換器であることを特徴としている。
【0017】
この第4の発明では、熱交換器ユニット(40)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)を冷媒回路(43a,43b)の2つの熱交換器により構成しているので、冷媒回路(43a,43b)を循環するときに変化する冷媒の温度を用いて吸着熱交換器(40a,40b)における除湿と再生を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、給気とパージ空気の除湿を別々の熱交換器ユニット(40)で行うようにしており、給気用熱交換器ユニット(41)の除湿能力よりもパージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力を低くして、パージ用熱交換器ユニット(42)からパージゾーン(53)に供給する空気の湿度を高めにするようにしているので、大風量の空気を過度に除湿しなくてもよくなる。そして、給気を優先的に除湿するようにしたことで、効率のよい除湿工程を行うことができ、パージ用熱交換器ユニット(42)における消費電力を抑えられるから、システムの省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0019】
上記第2の発明によれば、外気よりも温度が高く相対湿度の低い給気用熱交換器ユニット(41)の排出空気を、給気用熱交換器ユニット(41)よりも高湿の空気で再生可能なパージ用熱交換器ユニット(42)の再生用空気に利用している。従来であれば、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)を分けずに、熱交換器ユニット(40)の排出空気をそのまま外気へ放出していたので、高温低湿の空気が無駄になっていたが、本発明によれば、高温低湿の空気を有効に利用できるからいっそうの省エネルギー化を図ることができる。
【0020】
上記第3の発明によれば、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)に湿度調整部材(吸着ブロック)(70)を設けたことにより、各熱交換器ユニット(40)の除湿性能を高められるとともに、湿度調整部材(70)の再生時には吸着ロータ(51)や熱交換器ユニット(40)の排熱を有効に利用できるので、効率のよい運転を行うことが可能になる。
【0021】
上記第4の発明によれば、熱交換器ユニット(40)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)を冷媒回路(43a,43b)の2つの熱交換器により構成しているので、冷媒回路(43a,43b)を循環するときの冷媒の温度を用いて吸着熱交換器(40a,40b)における除湿と再生を効率よく行うことができ、装置の省エネルギー化を促進できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態は、空気(室外空気)を除湿して調湿空間(S)に供給する除湿システム(10)に関するものである。本実施形態では、湿度調整の対象となる調湿空間(S)は、例えば、低露点空気が求められるリチウム電池の製造ラインに設けられるドライクリーンルームである。本実施形態1では、除湿システム(10)は、室外空気(OA)を除湿して低露点(例えば、露点温度が−30℃から−50℃)の空気とし、給気(SA)として調湿空間(S)へ供給するように構成されている。
【0025】
〈全体構成〉
図1及び
図2に示すように、除湿システム(10)は、空気が流れる空気通路(20)と、この空気通路(20)上に配置された除湿ユニット(30)とを備えている。
【0026】
上記除湿ユニット(30)は、吸着側と再生側とに交互に切り換えられる2つの吸着熱交換器(第1吸着熱交換器及び第2吸着熱交換器)(40a,40b)を有する熱交換器ユニット(40)と、吸着ゾーン(52)とパージゾーン(53)と再生ゾーン(54)を有する吸着ロータ(51)を備えたロータユニット(50)とを備えている。熱交換器ユニット(40)は、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)とから構成されている。また、熱交換器ユニット(40)に対する空気の上流側には冷却除湿ユニット(60)が設けられている。
【0027】
上記空気通路(20)は、吸着側の吸着熱交換器(以下、吸湿熱交換器という)(40a,40b)を通過した空気が上記吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)を通過して調湿空間(S)に供給される給気通路(21)と、吸湿熱交換器(40a,40b)を通過した空気が上記吸着ロータ(51)のパージゾーン(53)を通過するパージ通路(22)と、そのパージゾーン(53)を通過した後の空気が上記吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)と再生側の吸着熱交換器(以下、放湿熱交換器という)(40b,40a)を順に流れるように構成された再生通路(23)とから構成されている。
【0028】
空気通路(20)は、室外空気の流入側の端部に外気導入通路(24)を有し、この外気導入通路(24)が給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)の上流側で給気通路(21)とパージ通路(22)とに分岐している。また、パージ通路(22)と再生通路(23)は、パージ通路(22)における吸着ロータ(51)の下流側(再生通路(23)における吸着ロータ(51)の上流側)で互いに連続する1本の通路になっている。
【0029】
本実施形態においては、給気用熱交換器ユニット(41)の吸湿熱交換器(40a,40b)が上記給気通路(21)上に配置され、かつパージ用熱交換器ユニット(42)の吸湿熱交換器(40a,40b)が上記パージ通路(22)上に配置されている。このように、給気用熱交換器ユニット(41)の吸湿熱交換器(40a,40b)とパージ用熱交換器ユニット(42)の吸湿熱交換器(40a,40b)は、互いに並列の位置関係で接続されている。
【0030】
一方、給気用熱交換器ユニット(41)の放湿熱交換器(40b,40a)とパージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器(40b,40a)は再生通路(23)上で直列に接続されている。具体的には、上記再生通路(23)には、空気の流れの上流側から下流側に向かって、上記吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)、上記給気用熱交換器ユニット(41)の放湿熱交換器(40b,40a)、及び上記パージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器(40b,40a)が順に配置されている。
【0031】
なお、給気用熱交換器ユニット(41)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)を吸湿熱交換器と放湿熱交換器に切り換えたときに吸湿熱交換器が常に上記給気通路(21)上に位置し、放湿熱交換器が常に上記再生通路(23)上に位置するように、給気用熱交換器ユニット(41)には、後述するように第1及び第2流路切換部(45a,45b)が設けられている。また、パージ用熱交換器ユニット(42)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)を吸湿熱交換器と放湿熱交換器に切り換えたときに吸湿熱交換器が常に上記パージ通路(22)上に位置し、放湿熱交換器が常に上記再生通路(23)上に位置するように、パージ用熱交換器ユニット(42)には、後述するように第1及び第2流路切換部(49a,49b)が設けられている。
【0032】
そして、本実施形態において、上記パージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力は、給気用熱交換器ユニット(41)の除湿能力よりも小さい。
【0033】
また、給気通路(21)における吸着ロータ(51)の下流側(調湿空間(S)の手前側)には、温調用熱交換器(16)が配置されている。この温調用熱交換器(16)は、給気用熱交換器ユニット(41)と吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)で処理された空気の温度が低すぎる場合に、その温度を適温に調節する再熱熱交換器である。
【0034】
また、パージ通路(22)における吸着ロータ(51)の下流側(再生通路(23)における吸着ロータ(51)の上流側)の位置には、吸着ロータ(51)を再生するために空気を加熱する再生用熱交換器(ヒータ)(17)が配置されている。
【0035】
また、この除湿システム(10)は、除湿運転を制御するコントローラ(100)を備えている。具体的な運転動作については後述する。
【0036】
次に、この除湿システム(10)の各部の具体的な構成について説明する。
【0037】
〈冷却除湿ユニット〉
冷却除湿ユニット(60)は、外気導入通路(24)に設けられており、室外空気(OA)を冷却して除湿する外気冷却器(プレクーラー)(61)と、外気冷却器(61)で凝縮した水を回収するドレンパン(62)とを備えている。外気冷却器(61)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、図示しない冷媒回路に接続され、蒸発器として機能して給気を冷却除湿する。外気冷却器(61)の下方近傍には、上記ドレンパン(62)が設けられている。ドレンパン(62)は、例えば、外気冷却器(61)の下方に設けられて上面が開口する容器によって構成され、外気冷却器(61)において凝縮した水を受け止める。なお、外気冷却器(61)は、冷媒回路ではなく、冷媒回路の蒸発器によって冷却された水やブライン等が供給されるチラー装置の利用側熱交換器によって構成してもよい。
【0038】
〈給気用熱交換器ユニット〉
給気用熱交換器ユニット(41)は、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)が接続された給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)と、該給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)を収容するケーシング(44a)と、該ケーシング(44a)内に設けられて空気の流路を切り換える第1及び第2流路切換部(45a,45b)と、図示しない給気ファンと排気ファンとを有している。
【0039】
給気用熱交換器ユニット(41)の給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)には、圧縮機(46a)と、上記第1吸着熱交換器(40a)と、膨張弁(47a)と、上記第2吸着熱交換器(40b)と、四方切換弁(48a)とが接続されている。このように、上記給気用熱交換器ユニット(41)は、冷媒の循環方向が可逆に構成された冷媒回路を備え、該給気用熱交換器ユニット(41)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)が、上記冷媒回路の2つの熱交換器により構成されている。
【0040】
圧縮機(46a)は、ロータリー式、スイング式、スクロール式等の回転式流体機械であり、インバータ回路によって運転周波数が調節される可変容量式に構成されている。第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器の表面に高分子収着剤やB型シリカゲル等の吸着剤を担持させることによって形成されている。第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)は、ケーシング(44)内の別個の収容室(図示省略)にそれぞれ収容されている。膨張弁(47a)は、開度可変に構成された電動弁である。
【0041】
四方切換弁(48a)は、第1から第4までのポートを有し、第1ポートが圧縮機(46a)の吐出側に接続され、第2ポートが圧縮機(46a)の吸入側に接続されている。また、四方切換弁(48a)の第3ポートから第4ポートに向かって、上記第1吸着熱交換器(40a)、膨張弁(47a)及び第2吸着熱交換器(40b)が順に接続されている。四方切換弁(48a)は、第1ポートと第4ポートとが連通すると共に第2ポートと第3ポートとが連通する第1状態(
図1の実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートとが連通すると共に第2ポートと第4ポートとが連通する第2状態(
図1の破線で示す状態)とに切換可能に構成されている。
【0042】
四方切換弁(48a)が第1状態に切り換わると、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)において、第1吸着熱交換器(40a)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、第2吸着熱交換器(40b)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。一方、四方切換弁(48a)が第2状態に切り換わると、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)において、上記第2吸着熱交換器(40b)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、上記第1吸着熱交換器(40a)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。つまり、四方切換弁(48a)は、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)における冷媒の循環方向を切り換えることにより、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)を、凝縮器として機能する放湿熱交換器と蒸発器として機能する吸湿熱交換器とに交互に入れ替える。
【0043】
第1及び第2流路切換部(45a,45b)は、それぞれ開閉式の複数のダンパによって構成されている。第1流路切換部(45a)は、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)をそれぞれ収容する収容室の上流側の空間に設けられ、第2流路切換部(45b)は、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)をそれぞれ収容する収容室の下流側の空間に設けられている。第1及び第2流路切換部(45a,45b)は、それぞれ給気通路(21)と再生通路(23)とに接続されている。
【0044】
第1及び第2流路切換部(45a,45b)は、コントローラ(100)により、四方切換弁(48a)が第1状態の際には第1流通状態(
図1の実線で示す状態)となり、四方切換弁(48a)が第2状態の際には、第2流通状態(
図2の実線で示す状態)となるように制御される。第1流通状態では、第1及び第2流路切換部(45a,45b)が、共に、給気通路(21)と第1吸着熱交換器(40a)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(23)と第2吸着熱交換器(40b)の収容室(図示省略)とを連通させる。一方、第2流通状態では、第1流路切換部(45a)及び第2流路切換部(45b)が、共に、給気通路(21)と第2吸着熱交換器(40b)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生用空気通路(23)と第1吸着熱交換器(40a)の収容室(図示省略)とを連通させる。
【0045】
本実施形態では、コントローラ(100)により、排気ファンの風量が給気ファンの風量よりも少なくなるように両ファンの風量が調節される。
【0046】
〈パージ用熱交換器ユニット〉
パージ用熱交換器ユニット(42)は、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)が接続されたパージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)と、該パージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)を収容するケーシング(44b)と、該ケーシング(44b)内に設けられて空気の流路を切り換える第1及び第2流路切換部(49a,49b)と、図示しない給気ファンと排気ファンとを有している。
【0047】
図1及び
図2に示すように、パージ用熱交換器ユニット(42)のパージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)は、給気用熱交換器ユニット(41)の給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)と同様に構成されている。パージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)は、圧縮機(46b)と、第1吸着熱交換器(40a)と、膨張弁(47b)と、第2吸着熱交換器(40b)と、四方切換弁(48b)とが接続されている。
【0048】
パージ用熱交換器ユニット(42)の圧縮機(46b)は給気用熱交換器ユニット(41)の圧縮機(46a)と同様に構成され、パージ用熱交換器ユニット(42)の第1吸着熱交換器(40a)は給気用熱交換器ユニット(41)の第1吸着熱交換器(40a)と同様に構成され、パージ用熱交換器ユニット(42)の膨張弁(47b)は給気用熱交換器ユニット(41)の膨張弁(47a)と同様に構成され、パージ用熱交換器ユニット(42)の第2吸着熱交換器(40b)は給気用熱交換器ユニット(41)の第2吸着熱交換器(40b)と同様に構成され、パージ用熱交換器ユニット(42)の四方切換弁(48b)は給気用熱交換器ユニット(41)の四方切換弁(48a)と同様に構成されている。
【0049】
そして、上記パージ用熱交換器ユニット(42)は、給気用熱交換器ユニット(41)と同様に、冷媒の循環方向が可逆に構成された冷媒回路を備え、上記パージ用熱交換器ユニット(42)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)が、上記冷媒回路の2つの熱交換器により構成されている。
【0050】
パージ用熱交換器ユニット(42)においても、四方切換弁(48b)が第1状態に切り換わると、パージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)において、第1吸着熱交換器(40a)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、第2吸着熱交換器(40b)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。一方、四方切換弁(48b)が第2状態に切り換わると、パージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)において、上記第2吸着熱交換器(40b)が蒸発器として機能する吸湿熱交換器となって空気を除湿し、上記第1吸着熱交換器(40a)が凝縮器として機能する放湿熱交換器となって吸着剤を再生する。つまり、四方切換弁(48b)は、パージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)における冷媒の循環方向を切り換えることにより、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)を、凝縮器として機能する放湿熱交換器と蒸発器として機能する吸湿熱交換器とに交互に入れ替える。
【0051】
パージ用熱交換器ユニット(42)の第1及び第2流路切換部(49a,49b)は、それぞれ開閉式の複数のダンパによって構成されている。第1流路切換部(49a)は、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)をそれぞれ収容する収容室の上流側の空間に設けられ、第2流路切換部(49b)は、第1及び第2吸着熱交換器(40a,40b)をそれぞれ収容する収容室の下流側の空間に設けられている。第1及び第2流路切換部(49a,49b)は、それぞれパージ通路(22)と再生通路(23)とに接続されている。
【0052】
パージ用熱交換器ユニット(42)においても、第1及び第2流路切換部(49a,49b)は、コントローラ(100)により、四方切換弁(48b)が第1状態の際には第1流通状態(
図1の実線で示す状態)となり、四方切換弁(48b)が第2状態の際には、第2流通状態(
図2の実線で示す状態)となるように制御される。第1流通状態では、第1及び第2流路切換部(49a, 49b)が、共に、パージ通路(22)と第1吸着熱交換器(40a)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生通路(23)と第2吸着熱交換器(40b)の収容室(図示省略)とを連通させる。一方、第2流通状態では、第1流路切換部(49a)及び第2流路切換部(49b)が、共に、パージ通路(21)と第2吸着熱交換器(40b)の収容室(図示省略)とを連通させ、且つ再生通路(23)と第1吸着熱交換器(40a)の収容室(図示省略)とを連通させる。
【0053】
本実施形態では、コントローラ(100)により、パージ用熱交換器ユニット(42)において、排気ファンの風量と給気ファンの風量とが同じで、かつ給気用熱交換器ユニット(41)の排気ファンの風量と等しくなるように制御される。つまり、給気通路(21)を流れる風量が多いのに対して、パージ通路(22)と再生通路(23)を流れる風量はそれよりも少なくなっている。
【0054】
〈ロータ式除湿ユニット〉
ロータ式除湿ユニット(50)は、吸着ロータ(51)と再生用熱交換器(17)とを有している。吸着ロータ(51)は、円板状の多孔性の基材の表面に吸着剤が担持されることにより構成されている。吸着ロータ(51)は、給気通路(21)とパージ通路(22)と再生通路(23)とに跨って配置されている。吸着ロータ(51)は、駆動機構(図示省略)によって駆動されて、給気通路(11)とパージ通路(22)と再生通路(23)の間の軸心を中心として回転するように構成されている。
【0055】
吸着ロータ(51)は、給気通路(11)に露出する吸着ゾーン(52)と、パージ通路(22)に露出するパージゾーン(53)と、再生通路(23)に露出する再生ゾーン(54)とを有し、吸着ロータ(51)におけるこれらのゾーン(52,53,54)の位置は、該吸着ロータ(51)の回転に伴って移動する。吸着ゾーン(52)とパージゾーン(53)とでは、空気中の水分が吸着され、再生ゾーン(54)では、吸着剤中の水分が空気中へ放出される。吸着ロータ(51)は、吸着ゾーン(52)であった部分が再生ゾーン(54)へ移動し、再生ゾーン(54)であった部分がパージゾーン(53)へ移動し、パージゾーン(53)であった部分が吸着ゾーン(52)へ移動するように回転する。
【0056】
〈他の熱交換器〉
再生用熱交換器(17)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、冷媒回路の凝縮器として機能して吸着ロータ(51)のパージゾーン(53)で除湿された空気を加熱する。
【0057】
温調用熱交換器(16)は、フィンアンドチューブ式の熱交換器によって構成され、図示しない冷媒回路に接続され、凝縮器として機能して給気通路(21)において除湿された給気を加熱して所望の温度に調節する。なお、温調用熱交換器(16)は、上記外気冷却器(61)が接続された冷媒回路(図示省略)に、温調用熱交換器(16)が凝縮器として機能し、外気冷却器(61)が蒸発器として機能するように接続してもよい。
【0058】
−運転動作−
除湿システム(10)では、コントローラ(100)により、除湿運転が実行される。具体的には、給気用熱交換器ユニット(41)及びパージ用熱交換器ユニット(42)の各ファンが所定の風量で駆動される。各ファンの駆動により、給気通路(21)、パージ通路(22)及び再生通路(23)のそれぞれにおいて空気が流通する。
【0059】
また、コントローラ(100)により、外気冷却器(61)が接続された冷媒回路及び温調用熱交換器(16)が接続された冷媒回路のそれぞれにおいて冷媒が循環するように圧縮機や膨張機構等が制御される。
【0060】
さらに、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)及びパージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)のそれぞれにおいて冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。具体的には、各冷媒回路(43a,43b)において、圧縮機(46a,46b)が運転され、膨張弁(47a,47b)が所定開度に制御される。また、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)及びパージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)では、四方切換弁(48a,48b)が第1状態と第2状態とに交互に切り換えられる。
【0061】
図1に示すように、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)及びパージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)において四方切換弁(48a,48b)が第1状態に切り換えられると、圧縮機(46a,46b)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(48a,48b)を通過して、第2吸着熱交換器(40b,40b)に流入する。第2吸着熱交換器(40b,40b)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とに放熱して凝縮する。第2吸着熱交換器(40b,40b)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(47a,47b)で減圧された後、第1吸着熱交換器(40a,40a)に流入する。第2吸着熱交換器(40a,40a)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とから吸熱して蒸発する。第1吸着熱交換器(40a,40a)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(46a,46b)に吸入されて圧縮される。
【0062】
一方、
図2に示すように、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)及びパージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)において四方切換弁(48a,48b)が第2状態に切り換えられると、圧縮機(46a,46b)で圧縮された冷媒は、四方切換弁(48a,48b)を通過して、第1吸着熱交換器(40a,40a)に流入する。第1吸着熱交換器(40a,40a)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とに放熱して凝縮する。第1吸着熱交換器(40a,40a)で放熱して凝縮した冷媒は、膨張弁(47a,47b)で減圧された後、第2吸着熱交換器(40b,40b)に流入する。第2吸着熱交換器(40b,40b)に流入した冷媒は、吸着剤と通過する空気とから吸熱して蒸発する。第2吸着熱交換器(40b,40b)で吸熱して蒸発した冷媒は、圧縮機(46a,46a)に吸入されて圧縮される。
【0063】
また、コントローラ(100)により、給気用熱交換器ユニット側冷媒回路(43a)の四方切換弁(48a)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(45a,45b)が切り換えられて、所定時間おきに(例えば5分間隔で)、
図1の第1動作と
図2の第2動作とが交互に行われる。また、コントローラ(100)により、パージ用熱交換器ユニット側冷媒回路(43b)の四方切換弁(48b)の切り換えに伴って、第1及び第2流路切換部(49a,49b)が切り換えられて、所定時間おきに(例えば5分間隔で)、
図1の第1動作と
図2の第2動作とが交互に行われる。以下、第1熱交換器ユニット(41)における動作と第2熱交換器ユニット(42)における動作とは同じであるため、まとめて説明する。
【0064】
図1に示すように、第1動作では、四方切換弁(48a,48b)が第1状態に切り換えられ、第1及び第2流路切換部(45a,45b)(49a,49b)が第1流通状態となる。これにより、第1吸着熱交換器(40a,40a)が蒸発器として機能して給気を除湿すると同時に、第2吸着熱交換器(40b,40b)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。一方、
図2に示すように、第2動作では、四方切換弁(48a,48b)が第2状態に切り換えられ、第1及び第2流路切換部(45a,45b)(49a,49b)が第2流通状態となる。これにより、第2吸着熱交換器(40b,40b)が蒸発器として機能して給気を除湿すると同時に、第1吸着熱交換器(40a,40a)が凝縮器として機能して吸着剤を再生する。
【0065】
以下、各空気通路における動作を空気の流れに沿って具体的に詳述する。
【0066】
−給気側の空気の流れ−
給気用熱交換器ユニット及びパージ用熱交換器ユニット(41,42)の各給気ファン(図示せず)の駆動により、室外空気(OA)が導入通路(24)に流入する。導入通路(24)を流れる空気は、冷却除湿ユニット(20)の外気冷却器(21)に流入し、該外気冷却器(21)を通過する際に冷却及び除湿される。冷却時に空気中から発生した凝縮水は、ドレンパン(22)に回収される。
【0067】
外気冷却器(21)で冷却及び除湿された空気は、給気通路(21)とパージ通路(22)に分流する。給気通路(21)を流れる空気は、給気用熱交換器ユニット(41)に流入し、第1動作中には、蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(40a)の収容室に導かれる(
図1参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(40a)を通過する空気は、冷媒によって冷却されると共に、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第1吸着熱交換器(40a)を通過する空気が冷却及び除湿される。一方、第2動作中には、給気用熱交換器ユニット(41)に流入した空気は、蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(40b)の収容室に導かれ(
図2参照)、該第2吸着熱交換器(40b)を通過する際に冷却及び除湿される。
【0068】
給気用熱交換器ユニット(41)で除湿された空気は、給気通路(21)を流れ、吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)を通過する。その結果、この空気中の水分が吸着ロータ(51)の吸着剤に吸着され、該空気が除湿される(例えば、露点温度が−30℃から−50℃)。吸着ロータ(51)で除湿された空気は、温調用熱交換器(16)で温度が調整された後、給気(SA)として調湿空間(S)へ供給される。
【0069】
−再生側の空気の流れ−
パージ用熱交換器ユニット(42)の排気ファン(図示せず)の駆動により、導入通路(24)を流れる空気の一部がパージ通路(22)へ分流し、パージ用熱交換器ユニット(42)を流れる。この空気は、第1動作中には、蒸発器として機能する第1吸着熱交換器(40a)の収容室に導かれる(
図1参照)。該収容室において第1吸着熱交換器(40a)を通過する空気は、冷媒によって冷却されると共に、該空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じる吸着熱が冷媒に吸収される。このようにして第1吸着熱交換器(40a)を通過する空気が冷却及び除湿される。一方、第2動作中には、パージ用熱交換器ユニット(42)に流入した空気は、蒸発器として機能する第2吸着熱交換器(40b)の収容室に導かれ(
図2参照)、該第2吸着熱交換器(40b)を通過する際に冷却及び除湿される。
【0070】
パージ用熱交換器ユニット(42)で除湿された空気は、吸着ロータ(51)のパージゾーン(53)を通過し、水分が吸着ロータ(51)の吸着剤に吸着されて除湿される。
【0071】
ここで、吸着ロータ(51)の回転に伴い、それまで再生用熱交換器(17)の通過後の高温の空気によって加熱されていた再生ゾーン(54)であった領域はパージゾーン(53)に変化する。そのため、パージ通路(22)に流入した空気は、再生用熱交換器(17)によって加熱される前に、吸着ロータ(51)の再生用熱交換器(17)を通過することにより高温になった空気で加熱された領域を通過することとなる。これにより、パージゾーン(22)に流入した空気は、再生用熱交換器(17)によって加熱される前に予熱されることとなる。つまり、吸着ロータ(51)の再生に用いられなかった空気の排熱が、パージゾーン(13)の空気の予熱に用いられることとなる。一方、パージゾーン(53)は、パージ通路(22)を流れる空気によって冷却された後、吸着ロータ(51)の回転によって吸着ゾーン(52)に変化する。
【0072】
吸着ロータ(51)のパージゾーン(53)で予熱された空気は、再生用熱交換器(17)を通過し、通過の際に再生用熱交換器(17)を流れる高温高圧の冷媒と熱交換して加熱される。加熱された空気は、吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)を通過し、通過の際に、吸着ロータ(51)の吸着剤から水分を脱離させて該吸着剤を再生する。吸着ロータ(51)を再生した空気は、再生通路(23)に流入する。
【0073】
再生通路(23)を流れる空気は、吸着用熱交換器ユニット(41)の放湿熱交換器(40b,40a)とパージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器(40b,40a)を順に流れて各放湿熱交換器(40b,40a)の吸着剤を再生する。各放湿熱交換器(40b,40a)の吸着剤を再生した空気は、排気(EA)として室外へ排出される。
【0074】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)に流す空気よりもパージゾーン(53)に流す空気の湿度が高くてもよいことから、給気とパージ空気の除湿を別々の熱交換器ユニット(41,42)で行うとともに、給気用熱交換器ユニット(41)の除湿能力よりもパージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力を低くしている。このことにより、同じ湿度の空気を吸着ゾーン(52)とパージゾーン(53)に供給する場合と比べて、熱交換器ユニット(40)の全体としての除湿能力を抑えられる。また、パージゾーン(53)に供給する空気の風量は、吸着ゾーン(52)に供給する空気の風量よりも少なくしている。以上のことから、パージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力を下げることにより、給気の除湿を優先的に行う効率のよい除湿工程を行うことができる。そして、特にパージ用熱交換器ユニット(42)における消費電力を抑えられるから、システムの省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0075】
ここで、吸着ロータ(51)は、一般に吸着ゾーン(52)に比べてパージゾーン(53)や再生ゾーン(54)を流れる空気が少ない。このように再生ゾーン(54)の空気が少ないと、湿度を下げるには不利になる。そこで、本実施形態では、再生ゾーン(54)を出た直後でまだ湿度の低い空気は給気側熱交換器ユニット(41)の放湿熱交換器の再生に用いている。吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)を出た空気は風量が少なく、その空気でパージ用熱交換器ユニット(42)を再生してから給気用熱交換器ユニット(41)の再生に用いるのでは、給気用熱交換器ユニット(41)へ供給される空気の湿度が高くなっていて十分な再生能力が得られないためである。
【0076】
一方、本実施形態では、パージ用熱交換器ユニット(42)であれば再生風量が少なくてすむし、再生空気にそれほど低湿度も求められないことから、パージ用熱交換器ユニット(42)を給気用熱交換器ユニット(41)の下流側で再生するようにしており、そのようにしても、パージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器を再生することが可能になり、効率のよい運転が可能になる。
【0077】
また、この実施形態では、給気用熱交換器ユニット(41)の排出空気は外気よりも温度が高く相対湿度が低くなる。そして、このように外気よりも湿度の低い給気用熱交換器ユニット(41)の排出空気を、給気用熱交換器ユニット(41)よりも高湿の空気で再生可能なパージ用熱交換器ユニット(42)の再生用空気に利用している。従来であれば、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)を分けず、ひとつの熱交換器ユニット(40)の排出空気をそのまま外気へ放出していたので、高温低湿の空気が無駄になっていたが、本実施形態によれば、高温低湿の空気を有効に利用できるからいっそうの省エネルギー化を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、再生通路(23)に、空気の流れの上流側から下流側に向かって、上記吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)、上記給気用熱交換器ユニット(41)の放湿熱交換器(40b,40a)、及び上記パージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器(40b,40a)を順に配置するようにしているので、給気用熱交換器ユニット(41)よりもパージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力を低くする構成を比較的容易に実現できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、各熱交換器ユニット(40)の2つの吸着熱交換器(40a,40b)を冷媒回路(43a,43b)の2つの熱交換器により構成しているので、冷媒回路(43a,43b)を循環するときの冷媒の温度を用いて吸着熱交換器(40a,40b)における除湿と再生を効率よく行うことができ、装置の省エネルギー化を促進できる。
【0080】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
【0081】
図3及び
図4に示すように、実施形態2に係る除湿システム(10)は、実施形態1の給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)に吸着ブロック(70)を設けたものである。吸着ブロック(70)は、空気流路に吸着剤を設けた湿度調整部材である。具体的には、給気用熱交換器ユニット(41)及びパージ用熱交換器ユニット(42)には、吸湿熱交換器に対して空気流れの下流側となり、放湿熱交換器に対して空気流れの上流側となる位置に、吸着ブロック(70)が設けられている。
【0082】
また、再生通路(23)には、吸着ロータ(51)と給気用熱交換器ユニット(41)の間に加熱用熱交換器(63)が設けられている。さらに、再生通路(23)には、パージ用熱交換器ユニット(42)の下流側に第1冷却用熱交換器(64)と第2冷却用熱交換器(65)が設けられている。上記構成において、再生用熱交換器(17)と第1冷却用熱交換器(64)は、破線で簡略化して示した第1の冷媒回路(66)の凝縮器と蒸発器により構成されている。また、加熱用熱交換器(63)と第2冷却用熱交換器(65)は、破線で簡略化して示した第2の冷媒回路(67)の凝縮器と蒸発器により構成されている。
【0083】
上記再生通路(23)は、第2冷却用熱交換器(65)の出口側で、外気導入通路(24)に合流する第1分岐通路(23a)と、室外に開放される第2分岐通路(23b)とに分岐していて、第1分岐通路(23a)と第2分岐通路(23b)を切り換え可能に構成されている。外気導入通路(24)には外気湿度センサ(図示せず)が設けられ、再生通路(23)における第2冷却用熱交換器(65)の出口側には排気湿度センサ(図示せず)が設けられている。そして、外気の湿度より排気の湿度が低いときには、
図3,4に実線で示すように通路が切り換えられ、排気が第1分岐通路(23a)から外気導入通路(24)に戻されて、低湿の空気が再利用される。一方、外気の湿度より排気の湿度が高いときには、
図3,4に破線で示すように通路が切り換えられ、排気が第2分岐通路(23b)から室外へ放出される。
【0084】
なお、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)には、実施形態1と同様に冷媒回路が設けられているが、この実施形態2では、図面を簡略化するために、これらの冷媒回路の図示を省略している。
【0085】
実施形態2の除湿システム(10)は、上記の点を除いては実施形態1と同様に構成されている。そこで、他の構成については説明を省略する。
【0086】
そして、この実施形態2においても、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)の吸湿熱交換器を並列に接続し、放湿熱交換器を給気側熱交換器ユニット(41)側がパージ用熱交換器ユニット(42)側の上流側になるように直列に接続することで、再生風量を減らして省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0087】
実施形態1で説明したように、吸着ロータ(51)は、一般に吸着ゾーン(52)に比べてパージゾーン(53)や再生ゾーン(54)を流れる空気が少ない。このように再生ゾーン(54)の空気が少ないと、湿度を下げるには不利になる。そこで、本実施形態においても、再生ゾーン(54)を出た直後でまだ湿度の低い空気は給気側熱交換器ユニット(41)の放湿熱交換器の再生に用いている。吸着ロータ(51)の再生ゾーン(54)を出た空気は風量が少なく、その空気でパージ用熱交換器ユニット(42)を再生してから給気用熱交換器ユニット(41)の再生に用いるのでは、給気用熱交換器ユニット(41)へ供給される空気の湿度が高くなっていて十分な再生能力が得られないためである。
【0088】
一方、本実施形態では、パージ用熱交換器ユニット(42)であれば再生風量が少なくてすむし、再生空気にそれほど低湿度も求められないことから、パージ用熱交換器ユニット(42)を給気用熱交換器ユニット(41)の下流側で再生するようにしており、そのようにしても、パージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器を再生することが可能になる。
【0089】
また、この実施形態2では、給気用熱交換器ユニット(41)及びパージ用熱交換器ユニット(42)において、吸湿熱交換器(40a,40b)の下流側に湿度調整部材(吸着ブロック)(70)を設けたことにより、吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)及びパージゾーン(53)に供給する空気の湿度を下げることができ、ひいては吸着ロータ(51)の吸着ゾーン(52)から調湿空間(S)へ供給する空気の露点温度を確実に下げることが可能になる。また、再生通路(23)においては、吸着ロータ(51)や熱交換器ユニット(40)の排熱を吸着ブロック(70)の再生に利用できる。したがって、より効率のよい運転を行うことが可能になる。
【0090】
具体的には、給気用熱交換器ユニット(41)の吸着ブロック(70)を再生する際には吸着ロータ(51)の排熱を利用することができ、パージ用熱交換器ユニット(42)の吸着ブロック(70)を再生する際には給気用熱交換器ユニット(41)の排熱を利用できるので、排熱を有効利用して効率のよい運転を行うことが可能となる。
【0091】
また、再生用熱交換器(17)と第1冷却用熱交換器(64)を第1の冷媒回路(66)の凝縮器と蒸発器で構成したことにより、パージ用熱交換器ユニット(42)の排熱を吸着ロータ(51)の再生に有効利用できる。さらに、加熱用熱交換器(63)と第2冷却用熱交換器(65)を第2の冷媒回路(67)の凝縮器と蒸発器で構成したことにより、再生通路で余った熱を利用して給気用熱交換器ユニット(41)の再生に利用することができる点でも、効率のよい運転を行うことが可能となる。
【0092】
また、再生通路(23)の出口の排気の湿度が外気よりも低い場合には第1分岐通路(23a)から外気導入通路(24)へその排気を戻せるようにしているので、湿度の低い空気を無駄なく再利用できる。
【0093】
その他の作用効果は実施形態1と同様である。
【0094】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0095】
上記実施形態においては、給気用熱交換器ユニット(41)よりもパージ用熱交換器ユニット(42)の除湿能力を低くする一方、図面上では給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)を1台ずつ示しているが、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)に個々では同じ能力のユニットを用い、給気用熱交換器ユニット(41)よりもパージ用熱交換器ユニット(42)の台数を少なくして能力差を持たせてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)の放湿熱交換器を再生通路(23)上で直列に接続しているが、給気用熱交換器ユニット(41)とパージ用熱交換器ユニット(42)に除湿能力の差を設けていればよく、必ずしもこれらのユニットの再生側を直列に接続する必要はない。
【0097】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。