【解決手段】光学的位置検出システムは、照明部4と、検知対象物の位置を検出する位置検出部21と、前記位置検出部21での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する判定部22と、前記光学的位置検出システムの動作モードを制御する動作制御部23とを備える。前記光学的位置検出システムは、前記照明部4が第1光量で光を照射する第1動作モードと、前記照明部4が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードとを有し、前記動作制御部23は、前記判定部22で前記検知対象物が存在すると判定された場合には前記動作モードを前記第1動作モードに設定し、前記判定部で前記検知対象物が存在しないと判定された場合には前記動作モードを前記第2動作モードに設定する。
光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物の位置を検出する位置検出部とを有する光学的位置検出システムを制御するための制御プログラムであって、
前記光学的位置検出システムに、
(a)前記位置検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、
(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記光学的位置検出システムの動作モードを、前記照明部が第1光量で光を照射する第1動作モードに設定する工程と、
(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードに設定する工程と
を実行させるための制御プログラム。
光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物の位置を検出する位置検出部とを有する光学的位置検出システムを制御するための制御プログラムであって、
前記光学的位置検出システムに、
(a)前記位置検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、
(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記光学的位置検出システムの動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合が第1の割合となる第1動作モードに設定する工程と、
(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が前記一定時間において占める割合が前記第1の割合よりも小さい第2の割合となる第2動作モードに設定する工程と
を実行させるための制御プログラム。
光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物からの距離を検出する距離検出部とを有する測距システムを制御するための制御プログラムであって、
前記測距システムに、
(a)前記距離検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、
(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記測距システムの動作モードを、前記照明部が第1光量で光を照射する第1動作モードに設定する工程と、
(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードに設定する工程と
を実行させるための制御プログラム。
光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物からの距離を検出する距離検出部とを有する測距システムを制御するための制御プログラムであって、
前記測距システムに、
(a)前記距離検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、
(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記光学的位置検出システムの動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合が第1の割合となる第1動作モードに設定する工程と、
(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が前記一定時間において占める割合が前記第1の割合よりも小さい第2の割合となる第2動作モードに設定する工程と
を実行させるための制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、光学的位置検出システムについては、低消費電力化が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は上述した点に鑑みて成されたものであり、光学的位置検出システムを低消費電力化することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する判定部と、前記光学的位置検出システムの動作モードを制御する動作制御部とを備え、前記光学的位置検出システムは、前記照明部が第1光量で光を照射する第1動作モードと、前記照明部が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードとを有し、前記動作制御部は、前記判定部で前記検知対象物が存在すると判定された場合には前記動作モードを前記第1動作モードに設定し、前記判定部で前記検知対象物が存在しないと判定された場合には前記動作モードを前記第2動作モードに設定する。
【0007】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記受光面を座標平面としたときの前記検知対象物の位置を示すx座標値及びy座標値と、当該座標平面に垂直な方向での前記検知対象物の位置を示すz座標値とを求め、前記第2動作モードでは、前記位置検出部は、前記x座標値、前記y座標値及び前記z座標値のうちの前記z座標値のみを求める。
【0008】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記位置検出部は、前記第1動作モードでは、前記受光面に垂直な方向での前記検知対象物の位置を示すz座標値として、所定の演算式を用いて求める値をそのまま出力し、前記第2動作モードでは、前記z座標値として、前記所定の演算式を用いて求まる値の所定数倍を出力する。
【0009】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合は、前記第1動作モードより前記第2動作モードの方が小さく設定される。
【0010】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1動作モードでは、前記照明部は、所定の周期で前記光を照射し、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記所定の周期より長い間隔で、前記x座標値、前記y座標値及び前記z座標値の少なくとも一つを求める。
【0011】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記所定の周期より長い間隔で、前記x座標値及び前記y座標値を求める。
【0012】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記所定の周期より長い間隔で、前記z座標値を求める。
【0013】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記x座標値及び前記y座標値を交互に求める。
【0014】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記位置検出部では、前記x座標値及び前記y座標値を求める演算回路が共通となっている。
【0015】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記位置検出部では、前記x座標値及び前記y座標値を出力する出力端子が共通となっている。
【0016】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記所定の周期より長い間隔で、前記x座標値、前記y座標値及び前記z座標値を求め、前記第1動作モードでは、前記位置検出部は、前記x座標値、前記y座標値及び前記z座標値を交互に求め、前記位置検出部では、前記x座標値、前記y座標値及び前記z座標値を出力する出力端子が共通となっている。
【0017】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する判定部と、前記光学的位置検出システムの動作モードを制御する動作制御部とを備え、前記光学的位置検出システムは、第1動作モードと、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合が当該第1動作モードよりも小さい第2動作モードとを有し、前記動作制御部は、前記判定部で前記検知対象物が存在すると判定された場合には前記動作モードを前記第1動作モードに設定し、前記判定部で前記検知対象物が存在しないと判定された場合には前記動作モードを前記第2動作モードに設定する。
【0018】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記照明部は、所定の周期で光を照射し、前記第1及び第2動作モードの間では、前記照明部での前記所定の周期が互いに異なる。
【0019】
また、本発明に係る光学的位置検出システムの一態様では、前記第1及び第2動作モードの間では、前記所定の周期において前記光の照射時間が占める割合が互いに異なる。
【0020】
また、本発明に係る制御装置の一態様は、前記判定部及び前記動作制御部を備える。
【0021】
また、本発明に係る位置検出装置の一態様は、前記位置検出部を備える。
【0022】
また、本発明に係る制御プログラムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物の位置を検出する位置検出部とを有する光学的位置検出システムを制御するための制御プログラムであって、前記光学的位置検出システムに、(a)前記位置検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記光学的位置検出システムの動作モードを、前記照明部が第1光量で光を照射する第1動作モードに設定する工程と、(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードに設定する工程とを実行させるためのものである。
【0023】
また、本発明に係る制御プログラムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物の位置を検出する位置検出部とを有する光学的位置検出システムを制御するための制御プログラムであって、前記光学的位置検出システムに、(a)前記位置検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記光学的位置検出システムの動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合が第1の割合となる第1動作モードに設定する工程と、(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が前記一定時間において占める割合が前記第1の割合よりも小さい第2の割合となる第2動作モードに設定する工程とを実行させるためのものである。
【0024】
また、本発明に係る測距システムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記測距システムと前記検知対象物との距離を検出する距離検出部と、前記距離検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する判定部と、前記測距システムの動作モードを制御する動作制御部とを備え、前記測距システムは、前記照明部が第1光量で光を照射する第1動作モードと、前記照明部が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードとを有し、前記動作制御部は、前記判定部で前記検知対象物が存在すると判定された場合には前記動作モードを前記第1動作モードに設定し、前記判定部で前記検知対象物が存在しないと判定された場合には前記動作モードを前記第2動作モードに設定する。
【0025】
また、本発明に係る測距システムの一態様は、前記距離検出部は、前記第1動作モードでは、前記測距システムと前記検知対象物との距離として、所定の演算式を用いて求める値をそのまま出力し、前記第2動作モードでは、前記測距システムと前記検知対象物との距離として、前記所定の演算式を用いて求まる値の所定数倍を出力する。
【0026】
また、本発明に係る測距システムの一態様は、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合は、前記第1動作モードより前記第2動作モードの方が小さく設定される。
【0027】
また、本発明に係る測距システムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記測距システムと前記検知対象物との距離を検出する距離検出部と、前記距離検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する判定部と、前記測距システムの動作モードを制御する動作制御部とを備え、前記測距システムは、第1動作モードと、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合が当該第1動作モードよりも小さい第2動作モードとを有し、前記動作制御部は、前記判定部で前記検知対象物が存在すると判定された場合には前記動作モードを前記第1動作モードに設定し、前記判定部で前記検知対象物が存在しないと判定された場合には前記動作モードを前記第2動作モードに設定する。
【0028】
また、本発明に係る測距システムの一態様は、前記照明部は、所定の周期で光を照射し、前記第1及び第2動作モードの間では、前記照明部での前記所定の周期が互いに異なる。
【0029】
また、本発明に係る測距システムの一態様は、前記第1及び第2動作モードの間では、前記所定の周期において前記光の照射時間が占める割合が互いに異なる。
【0030】
また、本発明に係る制御装置の一態様は、前記判定部及び前記動作制御部を備える。
【0031】
また、本発明に係る制御プログラムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物からの距離を検出する距離検出部とを有する測距システムを制御するための制御プログラムであって、前記測距システムに、(a)前記距離検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記測距システムの動作モードを、前記照明部が第1光量で光を照射する第1動作モードに設定する工程と、(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明が前記第1光量よりも少ない第2光量で光を照射する第2動作モードに設定する工程とを実行させるためのものである。
【0032】
また、本発明に係る制御プログラムの一態様は、光を照射する照明部と、検知対象物で反射された前記光を受光面で受光することによって得られた電気信号に基づいて、前記検知対象物からの距離を検出する距離検出部とを有する測距システムを制御するための制御プログラムであって、前記測距システムに、(a)前記距離検出部での検出結果に基づいて前記検知対象物の有無を判定する工程と、(b)前記工程(a)で前記検知対象物が存在すると判定された場合に、前記光学的位置検出システムの動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が一定時間において占める割合が第1の割合となる第1動作モードに設定する工程と、(c)前記工程(a)で前記検知対象物が存在しないと判定された場合に、前記動作モードを、前記照明部での前記光の照射時間が前記一定時間において占める割合が前記第1の割合よりも小さい第2の割合となる第2動作モードに設定する工程とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、光学的位置検出システムを低消費電流化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<<光学的位置検出システムの概要>>
まず、後述する第一〜第三実施形態に共通する光学的位置検出システム1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る光学的位置検出システム1の概略的な構成を示す図である。本実施の形態に係る光学的位置検出システム1は、例えば人の手や指といった検知対象物60の位置を光学的に検出する。
図1に示されるように、光学的位置検出システム1は、略直方体の形状を成している。光学的位置検出システム1には、光を透過させる窓が設けられており、その窓の内側に、照明部2と受光部3とを備えている。光学的位置検出システム1の最長の一辺の長さは、例えば10mm程度の長さであるが、
図1では、便宜上、実際よりも大きいサイズで光学的位置検出システム1が示されている。なお、
図1に示される光学的位置検出システム1、照明部2および受光部3の形状は一例であり、
図1に示される形状に限られない。
【0036】
次に、光学的位置検出システム1の概略的な動作について、
図1,2を参照しながら説明する。
図2は、光学的位置検出システム1の動作を説明するための図である。まず、照明部2から光50が照射され(
図2のステップS1)、照明部2が照射する光50が検知対象物60で反射して反射光51となる(
図2のステップS2)。そして、ステップS2における反射光51が、受光部3で受光される(
図2のステップS3)。それから、受光部3は、受光した反射光51を例えば電流といった電気信号に変換(光電変換)し、出力する(
図2のステップS4)。そして、光学的位置検出システム1は、受光部3から出力された電気信号に基づいて、検知対象物60の位置を求める(
図2のステップS5)。
【0037】
このように、本実施形態に係る光学的位置検出システム1では、検知対象物60の位置を非接触で検出することができる。光学的位置検出システム1で連続的に求められる検知対象物60の位置に基づいて、例えば、人の手の動き(ジェスチャー)を非接触で検知することが可能となる。
【0038】
<光学的位置検出システムの電気的構成について>
図3は、光学的位置検出システム1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、光学的位置検出システム1には、照明部2と、受光部3と、制御部10とが設けられている。
【0039】
照明部2は、LED(Light Emitting Diode)4を有している。LED4は、例えば、赤外領域の光を照射する赤外発光ダイオードである。ただし、照明部2(LED4)から照射される光50の波長は、受光部3で光電変換可能な(つまり、受光部3で検出可能な)波長が含まれていればよく、例えば可視光等の赤外領域以外の光であってもよい。赤外発光ダイオードを使用した場合には、照明部2(LED4)から照射される光50は人の目には見えないため、光学的位置検出システム1の利用範囲を広くすることができる。また、本実施の形態では、照明部2は受光部3等の他の構成要素と一体となっているが、照明部2は他の構成要素と別体として設けられていてもよい。
【0040】
受光部3は、例えば、4分割フォトダイオードであって、PD(Photodiode)5,6,7,8を有している。PD5〜8は、1つの半導体基板上に形成された受光面が4つに分割されることによって形成されている。なお、受光部3は分割フォトダイオードでなくても良い。この場合には、PD5〜8は別々の半導体基板上に形成される。
【0041】
図4は、本実施の形態に係る受光部3の受光面を示す図である。PD5は、第1受光面15を有しており、PD6は第2受光面16を有しており、PD7は第3受光面17を有しており、PD8は第4受光面18を有している。PD5は、第1受光面15で反射光51を受光し、受光した反射光51を第1電気信号に変換する。同様に、PD6は、第2受光面16で反射光51を受光して第2電気信号に変換し、PD7は第3受光面17で反射光51を受光して第3電気信号に変換し、PD8は第4受光面18で反射光51を受光して第4電気信号に変換する(以後、第1電気信号、第2電気信号、第3電気信号および第4電気信号を特に区別する必要がない場合には、単に「電気信号」と呼ぶ)。PD5,6,7,8で変換された電気信号は、制御部10に出力される。
【0042】
また、
図4に示されるように、第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17および第4受光面18が同一平面上に配置されることで、受光部3全体での1つの受光面14を形成している。より具体的には、第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17および第4受光面18のそれぞれは、同一平面上において、他の2つの受光面と隣接するように基準点19の周りに配置されることで、1つの受光面14を形成している。例えば、
図4では、第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17および第4受光面18が、この順で反時計回りに配置されている。
【0043】
また、本実施の形態では、
図4に示されるように、受光面14を含む平面をxy座標平面とする。そして、xy座標平面の原点は基準点19であり、かつxy座標平面のx軸は、第1受光面15及び第4受光面18の境界と第2受光面16及び第3受光面17の境界とを通り、y軸は、第1受光面15及び第2受光面16の境界と第3受光面17及び第4受光面18の境界とを通る。さらに、本実施の形態では、xy座標平面に垂直な方向の軸をz軸とする。光学的位置検出システム1では、x軸、y軸及びz軸から成るxyz直交座標系での検知対象物の位置が検出される。本実施の形態におけるz座標値は、検知対象物60と受光面14との距離に応じた値をとる。なお、以下の説明では、z座標値は検知対象物60が受光面14から近い位置に存在する程大きい値を取る場合を例に挙げて説明する。しかし、z座標値は、検知対象物60が受光面14から遠い位置に存在する程大きい値を取るように設定されてもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、受光部3が4つのPDを有する場合について説明するが、PDの数はこれに限られない。受光部3は、例えば、3つのPDを有していてもよいし、5つ以上のPDを有していてもよい。また、
図4に示される、第1乃至第4受光面の形状や配置位置も一例である。例えば、第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17および第4受光面18のそれぞれの形状が扇形であって、受光面14の形状が円形であってもよい。また、第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17および第4受光面18を、
図4に示されるように基準点19を中心として配置するのではなく、例えば、x軸方向に水平となるように並べて配置してもよい。ただしこの場合は、y軸方向は位置検出できなくなる。
【0045】
制御部10は、受光部3から出力される第1乃至第4電気信号に基づいて検知対象物60のxyz直交座標系での位置を求めて、当該位置を示す位置信号を出力する。また、制御部10は、第1乃至第4電気信号に基づいて求めた検知対象物60の位置等に応じて、光学的位置検出システム1の動作を統括的に管理する。
【0046】
<制御部のブロック構成について>
図5は、制御部10の構成を示すブロック図である。
図5に示されるように、制御部10は、第1制御部11と、第1制御部11を制御する第2制御部12とを有している。第1制御部11は、指示部20と、位置検出部21とを有している。第2制御部12は、判定部22と、動作制御部23とを有している。第1制御部11は、主に、第2制御部12からの制御信号に基づいて、検知対象物60の位置を検出する。つまり、第1制御部11は、検知対象物60の位置を検出する位置検出装置として機能する。一方、第2制御部12は、主に、第1制御部11で検出された検知対象物60の検知結果に基づいて、光学的位置検出システム1の動作を制御する。つまり、第2制御部12は、光学的位置検出システム1の動作を制御する制御装置として機能する。本実施の形態では、例えば、第1制御部11及び第2制御部12のそれぞれはLSI(Large Scale Integration)で構成される。
【0047】
位置検出部21は、受光部3から出力された第1乃至第4電気信号に基づいて、検知対象物60の位置(座標値)を検出する。より具体的には、第1乃至第4電気信号(電流)の大きさを、それぞれA〜Dとし、第1乃至第4電気信号の最大値を、それぞれAmax、Bmax、CmaxおよびDmaxとすると、位置検出部21は、以下の式(1)〜(3)を用いて、検知対象物60のx座標値x、y座標値y及びz座標値zを求める。なお、x座標値x、y座標値y及びz座標値zのとり得る範囲は、0〜V
REFである。ここで、0及びV
REFはそれぞれ、位置検出部21の出力値の最小値及び最大値である。
【0051】
本実施の形態では、位置検出部21が、上述した式(1)〜(3)を用いて、検知対象物60の位置を検出する(求める)場合について説明するが、検知対象物60の位置の検出に用いる式(x座標値、y座標値、z座標値を求めるための演算式)はこれに限られない。位置検出部21は、受光部3から出力された電気信号に基づいて、検知対象物60の位置を検出できればよく、受光部3を構成するPDの数や配置位置などに応じて、位置検出部21で用いられる演算式を適宜変更してもよい。
【0052】
位置検出部21で検出された、検知対象物60の座標値は、第2制御部12が有する判定部22および光学的位置検出システム1の外部に出力(図示なし)される。光学的位置検出システム1の外部に出力された座標値は、例えば、人の手の動き(ジェスチャー)やその速度の検知に用いられる。
【0053】
判定部22は、位置検出部21で検出された座標値に基づいて、検知対象物60が存在するか否かの判定を行う。より具体的には、判定部22は、位置検出部21から出力されたz座標値に基づいて、検知対象物60が存在するか否かを判定する。
図6は、判定部22での処理を説明するための図である。
【0054】
まず、判定部22は、位置検出部21で検出されたz座標値を取得する(ステップS10)。そして、判定部22は、ステップS10で取得したz座標値と、所定の閾値とを比較する(ステップS11)。例えば、z座標値が、所定の閾値より大きい場合には(ステップS11でYES)、判定部22は、検知対象物60が存在すると判定する(ステップS12)。一方、z座標値が、所定の閾値より小さい場合には(ステップS11でNO)、判定部22は、検知対象物60が存在しないと判定する(ステップS13)。つまり、本実施の形態における判定部22は、受光面14と検知対象物60との間の距離が所定距離より短いときに「検知対象物60が存在する」と判定している。そして、受光面14と検知対象物60との間の距離が所定距離より長いとき、もしくは、検知対象物60が検出されないときに「検知対象物60が存在しない」と判定している。判定部22での判定結果は、動作制御部23に出力される。ここで、上記の検知対象物60が存在するか否かの判定に用いられる所定の閾値は、光学的位置検出システム1が設置される環境、検知対象物60の種類等によって決定される。
【0055】
動作制御部23は、指示部20に制御信号を送出することで、光学的位置検出システム1の動作を統括的に管理する。光学的位置検出システム1の動作が休止中以外のとき、もしくは光学的位置検出システム1の動作が起動直後以外のときには、動作制御部23は、判定部22から出力された判定結果を用いて、光学的位置検出システム1の動作モードを設定する。そして、動作制御部23は、設定した動作モードに基づいて制御信号を指示部20に送出する。
【0056】
より具体的には、動作制御部23は、判定部22で検知対象物60が存在すると判定された場合には、光学的位置検出システム1の動作モードを第1動作モードに設定するための制御信号を送出する。一方で、判定部22で検知対象物60が存在しないと判定された場合には、動作制御部23は、光学的位置検出システム1の動作モードを第2動作モードに設定するための制御信号を送出する。検知対象物60が存在せず検知対象物60の位置を検出する処理を行う必要がない第2動作モードでは、検知対象物60の位置を検出する処理を行う必要がある第1動作モード設定よりも、光学的位置検出システム1の消費電力が低減する。第1動作モードおよび第2動作モードの詳細については、後述する第一乃至第三実施形態で詳しく述べる。
【0057】
指示部20は、動作制御部23から送出された制御信号に基づいて、受光部3、照明部2及び位置検出部21に指示信号を送出してそれらを制御する。
【0058】
このように、本実施の形態では、第1制御部11は、検知対象物60の位置を検出し、その検出結果を第2制御部12に出力する。第2制御部12は、第1制御部11から出力された検知対象物60の検出結果に基づいて、第1制御部11に制御信号を送出する。
【0059】
<第1制御部の構成について>
ここでは、第1制御部11(位置検出装置)の構成について説明する。
図7は、主に第1制御部11の構成の一例を示す図である。
図7に示されるように、第1制御部11は、LEDドライバ41と、増幅器42a〜42dと、演算器(演算回路)43と、論理回路44とを備えている。増幅器42a〜42dにはコンデンサ46a〜46dがそれぞれ接続されている。以後、増幅器42a〜42dを特に区別する必要がないときには、それぞれを「増幅器42」と呼ぶ。また、コンデンサ46a〜46dを特に区別する必要がないときには、それぞれを「コンデンサ46」と呼ぶ。演算器43には、出力端子47a〜47cが接続されている。以後、出力端子47a〜47cを特に区別する必要がないときには、それぞれを「出力端子47」と呼ぶ。
【0060】
LEDドライバ41は、照明部2を構成するLED4に電流を与えることによって、当該LED4を発光させる。これにより、LED4からは光50が照射される。LEDドライバ41には抵抗45が接続されている。LED4には、この抵抗45の値に応じた電流が流れる。
【0061】
増幅器42a,42b,42c,42dには、受光部3のPD5〜8から出力される第1乃至第4電気信号がそれぞれ入力される。そして、増幅器42a〜42dは、入力される第1乃至第4電気信号をそれぞれ増幅して出力する。具体的には、各増幅器42は、当該増幅器42に接続されたPDから出力される電気信号から、当該増幅器42に接続されたコンデンサ46に蓄積されている電気信号を差し引いて得られる電気信号を増幅して出力する。演算器43は、各増幅器42から出力される電気信号に基づいて検知対象物60の位置を求める。
【0062】
ここで、LED4が光50を照射して検知対象物60による反射光51がPDに入射する際にPDで受光される光には、反射光51以外にも、太陽光等の外乱光のうちLED4と同じ波長の光(「定常光」と呼ぶ)も含まれる。したがって、仮に増幅器42がPDから出力される電気信号をそのまま増幅すると、当該増幅器42からは、定常光と反射光51とが合わさった光による電気信号が出力されることになる。一般的に反射光51は定常光に比べて小さいため、演算器43が、定常光の影響を受けた電気信号に基づいて検知対象物60の位置を求めることはできない。
【0063】
そこで、本実施の形態では、LED4(照明部2)が光50を照射していないときにPDから出力される電気信号、つまり、定常光の強さを示す電気信号が、当該PDが接続され増幅器42に繋がったコンデンサ46に蓄積される。そして、増幅器42は、LED4が光50を照射して検知対象物60による反射光51があるときにPDから出力される電気信号から、当該増幅器42に繋がったコンデンサ46で蓄積されている電気信号(定常光の強さを示す電気信号)を差し引いて得られる電気信号を増幅して演算器43に出力する。これにより、増幅器42からは、定常光の影響が低減された電気信号が出力される。つまり、増幅器42からは、補正された、PDからの電気信号が出力される。よって、演算器43で求められる検知対象物60の位置の精度が向上する。
【0064】
以後、特に断らない限り、単に「第1電気信号」と言えば、増幅器42aから出力される補正された第1電気信号を意味する。また、単に「第2電気信号」と言えば、増幅器42bから出力される補正された第2電気信号を意味する。また、単に「第3電気信号」と言えば、増幅器42cから出力される補正された第3電気信号を意味する。そして、単に「第4電気信号」と言えば、増幅器42dから出力される補正された第4電気信号を意味する。
【0065】
演算器43は、LED4が光50を照射している際に増幅器42a,42b,42c,42dから出力された電気信号と、既述した式(1)〜(3)とを用いて検知対象物60の位置を検出する(求める)。
【0066】
図8は、演算器43および出力端子47を示す図である。
図8に示されるように、演算器43は、x座標値演算器31と、y座標値演算器32と、z座標値演算器33とを有している。x座標値演算器31は、増幅器42a〜42dから出力された電気信号と、既述した式(1)とを用いて検知対象物60のx座標値を求める。x座標値演算器31で求められたx座標値は、出力端子47aから第2制御部12および光学的位置検出システム1の外部に出力される。y座標値演算器32は、増幅器42a〜42dから出力された電気信号と、既述した式(2)とを用いて検知対象物60のy座標値を求める。y座標値演算器32で求められたy座標値は、出力端子47bから第2制御部12および光学的位置検出システム1の外部に出力される。z座標値演算器33は、増幅器42a〜42dから出力された電気信号と、既述した式(3)とを用いて検知対象物60のz座標値を求める。z座標値演算器33で求められたz座標値は、出力端子47cから第2制御部12および光学的位置検出システム1の外部に出力される。
【0067】
また、
図8に示されるように、本実施の形態では、演算器43と出力端子47とで、位置検出部21の役割を果たしている。
【0068】
図7に戻り、論理回路44は、指示部20として機能しており、動作制御部23(第2制御部12)から送出された制御信号(第一制御信号、第二制御信号及び第三制御信号)に応じた指示信号を、LEDドライバ41、増幅器42a,42b,42c,42d及び演算器43へ送出する。
【0069】
<第2制御部の構成について>
ここでは、第2制御部12(制御装置)の構成について説明する。第2制御部12は、例えば、LSIの一種であるマイクロコントローラ(マイコン)で構成される。
図9は、第2制御部12の構成を示す図である。
図9に示されるように、第2制御部12は、CPU(Central Processing Unit)12aおよび記憶部12b等を備えており、CPU12aが記憶部12bに記憶されている制御プログラム12cを実行することで、第2制御部12に係る各種機能(判定部22及び動作制御部23)が実現される。記憶部12bは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の、CPU12aが読み取り可能な非一時的な記録媒体で構成されている。記憶部12bは、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていても良い。
【0070】
第1制御部11を構成する回路と、第2制御部12を構成する回路とは、同じ基板上に形成されていてもよいし、異なる基板上に形成されても良い。また、第1制御部11と第2制御部12とは、同じパッケージ内に収納されても良いし、異なるパッケージ内に収納されても良い。
【0071】
また、第1制御部11の一部の機能を第2制御部12に設けても良い。例えば、第1制御部11の位置検出部21を第2制御部12に設けても良い。また、第2制御部12の一部の機能を第1制御部11に設けても良い。例えば、第2制御部12の判定部22を第1制御部11に設けても良い。
【0072】
<<第一実施形態>>
<動作制御部が送出する制御信号について>
図10は、動作制御部23が送出する制御信号の一例を示す図である。
図10には、動作制御部23が送出する制御信号(第一制御信号、第二制御信号及び第三制御信号)と、増幅器42、演算器43(x座標値演算器31、y座標値演算器32およびz座標値演算器33)及びLEDドライバ41の状態との関係が6種類示されている。第一制御信号、第二制御信号および第三制御信号のそれぞれは2値信号であって、highレベル及びlowレベルのどちらか一方の信号レベルを示す。そして、論理回路44(指示部20)は、動作制御部23から出力された第一制御信号、第二制御信号及び第三制御信号が示す信号レベルの組み合わせに応じた指示信号を、増幅器42、演算器43及びLEDドライバ41に送出する。
【0073】
図10のNo.1に例示されるように、第一及び第二制御信号がlowレベルを示す場合には、第三制御信号の信号レベルにかかわらず、論理回路44(指示部20)は、増幅器42には増幅器42の動作を休止する旨の指示信号を送出し、x座標値演算器31にはx座標値演算器31の動作を休止する旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32にはy座標値演算器32の動作を休止する旨の指示信号を送出し、z座標値演算器33にはz座標値演算器33の動作を休止する旨の指示信号を送出し、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を休止(消灯)させる旨の指示信号を送出する。これにより、光学的位置検出システム1の動作が休止する。
【0074】
図10のNo.2に例示されるように、第一制御信号がhighレベルを示し、第二制御信号がlowレベルを示す場合には、第三制御信号の信号レベルにかかわらず、論理回路44(指示部20)は、増幅器42には増幅器42の動作モードを急速チャージモードに設定する旨の指示信号を送出し、x座標値演算器31にはx座標値演算器31の動作を休止する旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32にはy座標値演算器32の動作を休止する旨の指示信号を送出し、z座標値演算器33にはz座標値演算器33の動作を休止する旨の指示信号を送出し、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を休止(消灯)させる旨の指示信号を送出する。
【0075】
各増幅器42は、急速チャージモードに設定されると、当該増幅器42に接続されたPDから入力された電気信号を、当該増幅器42に接続されたコンデンサ46に急速に蓄積する。これにより、コンデンサ46には、LED4が消灯している際にPDから出力される電気信号、つまり定常光の強さを示す電気信号が急速に蓄積される。No.2に示される制御信号の組み合わせは、光学的位置検出システム1の起動直後に使用される。
【0076】
図10のNo.3及びNo.4に示される制御信号の組み合わせは、動作制御部23が、判定部22から出力された判定結果に基づいて、光学的位置検出システム1の動作モードを第2動作モードに設定する場合に使用される。つまり、第2制御部12は、検知対象物60が存在しないと判定した場合に、No.3及びNo.4に示される信号レベルの第一乃至第三制御信号を出力して、光学的位置検出システム1の動作モードを第2動作モードに設定する。
【0077】
図10のNo.3に例示されるように、第一制御信号及び第二制御信号が共にhighレベルを示し、第三制御信号がlowレベルを示す場合には、論理回路44(指示部20)は、増幅器42には増幅器42の動作モードを通常チャージモードに設定する旨の指示信号を送出し、x座標値演算器31にはx座標値演算器31の動作を休止する旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32にはy座標値演算器32の動作を休止する旨の指示信号を送出し、z座標値演算器33にはz座標値演算器32の動作を休止する旨の指示信号を送出し、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を休止(消灯)させる旨の指示信号を送出する。
【0078】
各増幅器42は、通常チャージモードに設定されると、当該増幅器42に接続されたPDから入力された電気信号を、当該増幅器42に接続されたコンデンサ46に通常の速さで蓄積する。これにより、コンデンサ46には、LED4が消灯している際にPDから出力される電気信号、つまり定常光の強さを示す電気信号が蓄積される。
【0079】
図10のNo.4に例示されるように、第一制御信号及び第三制御信号が共にlowレベルを示し、第二制御信号がhighレベルを示す場合には、論理回路44(指示部20)は、増幅器42には増幅器42の動作モードを増幅モードに設定する旨の指示信号を送出し、x座標値演算器31にはx座標値演算器31の動作を休止する旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32にはy座標値演算器32の動作を休止する旨の指示信号を送出し、z座標値演算器33にはz座標値演算器33の動作を行う(つまり、z座標値を検出する)旨の指示信号を送出し、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を第2光量で点灯させる旨の指示信号を送出する。ここで、第2光量は、後述する第1光量より少ない光量である。つまり、この場合には、LEDドライバ41は、LED4を第1光量で点灯させる場合よりも、弱い電流でLED4を発光させる。
【0080】
各増幅器42は、増幅モードに設定されると、当該増幅器42に接続されたPDから入力された電気信号から、当該増幅器42に接続されたコンデンサに蓄積されている電気信号を差し引き、それによって得られる電気信号を増幅して出力する。
【0081】
動作制御部23は、No.3に示される制御信号(第一乃至第三制御信号)とNo.4に示される制御信号とを所定周期で切り替えて送出することによって、光学的位置検出システム1の動作モードを第2動作モードに設定する。動作制御部23からNo.4に示される制御信号が送出されたときには、各増幅器42は、LED4が第2光量で光(光50)を照射している際にPDから出力された電気信号から、コンデンサ46に蓄積されている、定常光の強さを示す電気信号を差し引き、それによって得られる電気信号を増幅して出力する。つまり、各増幅器42は、LED4が光50を照射している際にPDから出力された電気信号を、定常光の強さを示す電気信号で補正し、補正後の当該電気信号を増幅して出力する。そして、z座標値演算器33は、各増幅器42からこのようにして出力される電気信号に基づいて、検知対象物60の位置を求める。これにより、z座標値演算器33は、各PDで受光された反射光51の強さを示す電気信号に基づいて検知対象物60のz座標値を求めることができる。
【0082】
図10のNo.5及びNo.6に示される制御信号の組み合わせは、判定部22から出力された判定結果に基づいて、動作制御部23が、光学的位置検出システム1の動作モードを第1動作モードに設定する場合に使用される。つまり、第2制御部12は、検知対象物60が存在すると判定した場合に、No.5及びNo.6に示される信号レベルの第一乃至第三制御信号を出力して、光学的位置検出システム1の動作モードを第1動作モードに設定する。
【0083】
図10のNo.5に例示されるように、第一乃至第三制御信号がhighレベルを示す場合には、論理回路44(指示部20)は、増幅器42、x座標値演算器31、y座標値演算器32、z座標値演算器33及びLEDドライバ41のそれぞれに、既述した
図10のNo.3に例示される指示信号と同様の指示信号を送出する。これにより、No.3と同様に、コンデンサ46に、定常光の強さを示す電気信号が蓄積される。
【0084】
図10のNo.6に例示されるように、第一制御信号がlowレベルを示し、第二制御信号及び第三制御信号が共にhighレベルを示す場合には、論理回路44(指示部20)は、増幅器42には増幅器42の動作モードを増幅モードに設定する旨の指示信号を送出し、x座標値演算器31にはx座標値演算器31の動作を行う旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32にはy座標値演算器32の動作を行う旨の指示信号を送出し、z座標値演算器33にはz座標値演算器33の動作を行う旨の指示信号を送出し、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を第1光量で点灯させる旨の指示信号を送出する。ここで、第1光量は、第2光量より多い光量である。つまり、この場合には、LEDドライバ41は、LED4を第2光量で点灯させる場合よりも、大きい電流でLED4を発光させる。
【0085】
動作制御部23は、No.5に示される制御信号とNo.6に示される制御信号とを所定周期で切り替えて送出することによって、光学的位置検出システム1の動作モードを第1動作モードに設定する。第1動作モードでは、各増幅器42は、LED4が第1光量で光(光50)を照射している際にPDから出力された電気信号を、定常光の強さを示す電気信号で補正し、補正後の当該電気信号を増幅して出力する。そして、x座標値演算器31、y座標値演算器32及びz座標値演算器33は、各増幅器42からこのようにして出力される電気信号に基づいて、検知対象物60の位置を求める。
【0086】
<動作制御部による制御例について>
ここでは、動作制御部23による光学的位置検出システム1の制御例について説明する。
図11は、光学的位置検出システム1のタイミングチャートの一例を示す図である。
図11には、動作制御部23から送出される制御信号と、LED4及び演算器43の出力(光量及び各座標値)とが示されている。
【0087】
図11に示される「制御内容」の欄には、動作制御部23が、
図10に示されるNo.1〜No.6のうちのいずれの制御信号を送出しているかが示されている。ここで、例えば「No.3,4」のように、2つの番号(No.3およびNo.4)が示されている期間は、動作制御部23が、No.3に示される制御信号と、No.4に示される示す制御信号とを所定周期で切り替えて送出していることを表している。また、「第一制御信号」、「第二制御信号」及び「第三制御信号」の欄はそれぞれ、動作制御部23が送出した第一制御信号、第二制御信号及び第三制御信号が示す信号レベルを表している。
【0088】
「LED光量」の欄には、LED4から照射される光量が示されている。
図11では、LED光量の値が高い程、LED4から照射される光量が多いことを示している。つまり、LED光量の値が高い程、LEDドライバ41は、大きい電流でLED4を点灯させている。また、LED光量の値が一番低いときには、LED4が消灯している状態を表している。
図11に示される例では、光量が低いものから順に「消灯(No.1,2,3,5に示される制御信号が送出されたとき)」、「第2光量で点灯(No.4に示される制御信号が送出されたとき)」及び「第1光量で点灯(No.6に示される制御信号が送出されたとき)」の3種類の光量が存在している。
【0089】
「x座標値」、「y座標値」及び「z座標値」の欄にはそれぞれ、演算器43(x座標値演算器31、y座標値演算器32及びz座標値演算器33)で求められた座標値が示されている。
【0090】
また、「z座標値」の欄に示されている点線61は、検知対象物60が存在するか否かの判定に用いられる所定の閾値の値を示している。判定部22は、z座標値が点線61(所定の閾値)より大きい場合に、検知対象物60が存在していると判定する。反対に、判定部22は、z座標値が点線61より小さい場合に、検知対象物60が存在しないと判定する。
【0091】
図11の例では、はじめは光学的位置検出システム1の動作が休止している。この場合には、動作制御部23から出力される第一乃至第三制御信号はlowレベルを示し(
図10のNo.1に示される制御信号)、LED4は消灯し、演算器43では各座標値が求められない。
【0092】
光学的位置検出システム1の動作が休止状態のときに、例えば、ユーザによって光学的位置検出システム1の動作を起動する旨の指示等を受けると、動作制御部23は、No.2に示される制御信号を送出する。No.2に示される制御信号が送出された場合には、既述したように、各増幅器42は、急速チャージモードに設定され、コンデンサ46には、定常光の強さを示す電気信号が急速に蓄積される。
【0093】
コンデンサ46に、定常光の強さを示す電気信号が蓄積されると、
図11に示されるように、動作制御部23は、まず光学的位置検出システム1の動作モードを第2動作モードに設定(つまり、動作制御部23はNo.3およびNo.4に示される制御信号を送出)する。そして、動作制御部23からNo.4に示される制御信号が送出されたときには、既述したように、LED4は第1光量より少ない第2光量で点灯し、x座標値演算器31及びy座標値演算器32は動作を休止し、z座標値演算器33はz座標値を算出する。
【0094】
ここで、z座標値演算器33で算出されたz座標値が、点線61(所定の閾値)より小さい場合には、判定部22は、検知対象物60が存在しないと判定する。この場合には、第2動作モードが継続される。
図11に示される例では、光学的位置検出システム1の動作モードが第2動作モードに設定されている区間において、1回目及び2回目に求められたz座標値は、点線61(所定の閾値)より小さい値であるため、第2動作モードが継続されている。
【0095】
一方、z座標値演算器33で算出されたz座標値が、点線61(所定の閾値)より大きい場合には、判定部22は、検知対象物60が存在すると判定する。この場合には、動作制御部23は、光学的位置検出システム1の動作モードを第1動作モードに設定(変更)する。
図11に示される例では、光学的位置検出システム1の動作モードが第2動作モードに設定されている区間において、3回目に求められたz座標値が、点線61(所定の閾値)より大きい値であるため、光学的位置検出システム1の動作モードが第1動作モードに変更される。
【0096】
光学的位置検出システム1の動作モードが第1動作モードに設定されているときには、
図11に示されるように、動作制御部23は、No.5およびNo.6に示される制御信号を送出している。動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出された場合には、既述したように、LED4は第1光量(>第2光量)で点灯し、x座標値演算器31はx座標値を算出し、y座標値演算器32はy座標値を算出し、z座標値演算器33はz座標値を算出する。
【0097】
第1動作モードは、z座標値演算器33で算出されたz座標値が点線61(所定の閾値)より小さくなるまで継続される。z座標値演算器33で算出されたz座標値が点線61(所定の閾値)より小さい場合には、判定部22は検知対象物60が存在しないと判定し、当該判定結果により動作制御部23は光学的位置検出システム1の動作モードを第2動作モードに設定(変更)する。以後、同様に、光学的位置検出システム1では、判定部22による判定結果に基づいて、動作制御部23が第1動作モードと第2動作モードとの切り替えを行う。
【0098】
このように、本実施の形態における光学的位置検出システム1では、照明部2は、検知対象物60が存在しない場合には、検知対象物60が存在する場合と比較して少ない光量(弱い光)で光50を照射する。したがって、照明部2が、検知対象物60が存在するか否かにかかわらず、一定の光量で光50を照射する場合と比較して、照明部2の消費電力を低減することができる。その結果、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0099】
また、本実施の形態における光学的位置検出システム1では、検知対象物60が存在しない場合には、演算器43ではz座標値演算器33のみが動作する(つまり、z座標値のみが求められる)ため、演算器43の消費電力を低減することができる。つまり、位置検出部21の消費電力を低減することができる。その結果、光学的位置検出システム1をさらに低消費電力化することができる。
【0100】
なお、第2動作モードでは、演算器43は、z座標値だけではなく、x座標値及びy座標値の一方を求めても良い。この場合であっても、第2動作モードでは、3つの座標値(x座標値、y座標値及びz座標値)のうちの一つは求められないことから、第1動作モードよりも、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0101】
また、第2動作モードでは、演算器43は、x座標値、y座標値及びz座標値のすべてを求めても良い。この場合であっても、第2動作モードにおいて、照明部2が照射する光50の光量を低減することによって、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0102】
また、第2動作モードでは、照明部2の光の光量を低減せずに、z座標値だけが求められても良い。あるいは、第2動作モードでは、照明部2が照射する光50の光量を低減せずに、z座標値と、x座標値及びy座標値の一方とが求められても良い。この場合であっても、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0103】
また、検知対象物60が存在しない場合(光学的位置検出システム1の動作モードが第2動作モードである場合)には、z座標値演算器33は、上記の式(3)で示される演算式で求められる値を所定数倍した値をz座標値として出力してもよい。これにより、第2動作モードにおいて、照明部2が弱い光で照射している場合であっても、大きい値のz座標値を得ることができる。そのため、判定部22で検知対象物60の有無を判定しやすくすることができる。
【0104】
<<第二実施形態>>
第二実施形態では、光学的位置検出システム1の動作モードが第2動作モードに設定されている場合に、LED4(照明部2)の照射時間を短くすることで、光学的位置検出システム1を低消費電力化する。なお、第二実施形態における光学的位置検出システム1の残余の構成は、第一実施形態と同様である。
【0105】
図12は、本実施の形態における、照明部2の照射時間を説明するための図である。
図12には、光学的位置検出システム1の動作モードが第2動作モード設定されている場合(つまり、検知対象物60が存在しない場合)における照明部2の照射パターンと、第1動作モードに設定されている場合(つまり、検知対象物60が存在する場合)における照明部2の照射パターンとが並べて示されている。
【0106】
図12に示されるように、検知対象物60が存在しない場合には、照明部2は、ある時間間隔Pのうちaが2回すなわち2a(>a)の時間、光50を照射している。一方、検知対象物60が存在する場合には、照明部2はある時間間隔Pのうちaが4回すなわち4aの時間、光50を照射している。つまり、本実施の形態では、照明部2の照射時間が一定時間(時間間隔P)において占める割合は、検知対象物60が存在しない場合の方が、検知対象物60が存在する場合よりも、小さくなっている。つまり、本実施の形態では、検知対象物60が存在しない場合に、LED4(照明部2)の照射時間を短くすることで、照明部2の消費電力を低減している。その結果、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0107】
また、
図12に示される例では、第1動作モード及び第2動作モードとの間で、照明部2が光50を照射する周期のうち照明部2が光を照射する時間の占める割合(以後、単に「デューティ比」と呼ぶ)を変化させている。より具体的には、
図12に示される例では、第2動作モード設定時における照明部2の照射周期T2を、第1動作モード設定時における照明部2の照射周期T1より長くすると共に、第2動作モード設定時におけるデューティ比を、第1動作モード設定時におけるデューティ比より小さくしている。ただし、
図12に示される例のように、必ずしも、照射周期と、デューティ比との両方を変化させる必要はない。第2動作モードにおいて照明部2の照射時間が一定時間において占める割合が、第1動作モードにおいて照明部2の照射時間が一定時間において占める割合より小さくなっていればよく、例えば、照射周期が一定で照射時間のみ変化、もしくは照射時間が一定で照射周期のみ変化させてもよい。
【0108】
図13は、
図10に対応しており、本実施の形態における光学的位置検出システム1のタイミングチャートの一例を示している。
図13に示されるように、演算器43(x座標値演算器31、y座標値演算器32及びz座標値演算器33)は、LED4が光50を照射しているときに、座標値を求める。
【0109】
図13に示される例では、検知対象物60が存在しない場合(第2動作モード設定時)における照明部2のデューティ比を、検知対象物60が存在する場合(第1動作モード設定時)における照明部2のデューティ比よりも小さくすることで、照明部2が光50を照射する時間を短くしている(より具体的には、一定時間内における、照明部2の照射時間の総計を短くしている)。照明部2が光50を照射する時間を短くすることで、
図12に示される場合と同様に、照明部2での消費電力を低減することができ、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0110】
なお、第2動作モードにおいて照明部2が照射する光50の光量を低減しなくても良い。この場合であっても、本例のように、第2動作モード設定時における照明部2での照射時間を、第1動作モード設定時における照明部2での照射時間より短くすることで、第2動作モードにおける照明部2の消費電力を低減することが可能である。また、第2動作モードにおいては、第1動作モードと同様に、x座標値、y座標値及びz座標値のすべてが求められてもよい。この場合であっても、本例のように、第2動作モード設定時における照明部2での照射時間を、第1動作モード設定時における照明部2での照射時間より短くすることで、第2動作モードにおける照明部2の消費電力を低減することが可能である。
【0111】
<<第三実施形態>>
第三実施形態では、光学的位置検出システム1の動作モードが第1動作モードに設定されている場合に、演算器43(x座標値演算器31、y座標値演算器32及びz座標値演算器33)が、LED4(照明部2)が光50を照射する周期より長い周期で、x座標値、y座標値及びz座標値の少なくとも一つを求めることで、光学的位置検出システム1を低消費電力化している。
【0112】
図14は、本実施の形態における、第1動作モードにおいて位置検出部21(演算器43及び出力端子47)で算出及び出力される座標値の一例を示す図である。
図14の横軸に示される番号は、便宜的に定めたものであり、光学的位置検出システム1の動作モードが第1動作モードに設定された後、初めて動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されたときを「1回目」としている。また、「1回目」の下欄には、当該1回目に送出されたNo.6に示される制御信号に基づいて、位置検出部21で算出及び出力された座標値の種類を示している。以降、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出される度に、2回目、3回目・・・と番号が大きくなる。
【0113】
図14に示されるように、1回目にNo.6に示される制御信号が送出されたときには、位置検出部21はx座標値及びz座標値を算出及び出力を行う。続いて、2回目にNo.6に示される制御信号が送出されたときには、位置検出部21はy座標値及びz座標値の算出及び出力を行う。そして、3回目にNo.6に示される制御信号が送出されたときには、1回目のときと同様に、位置検出部21はx座標値及びz座標値の算出及び出力を行い、4回目にNo.6に示される制御信号が送出されたときには、2回目のときと同様に、位置検出部21はy座標値及びz座標値の算出及び出力を行う。
【0114】
つまり、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出された回数が1回目、3回目・・・など奇数回数であるときには、位置検出部21は「x座標値及びz座標値」の算出及び出力を行う。一方、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出された回数が2回目、4回目・・・など偶数回数であるときには、位置検出部21は「y座標値及びz座標値」の算出及び出力を行う。言い換えると、
図14に示される例では、位置検出部21は、x座標値及びy座標値を、交互に算出及び出力している。
【0115】
第1動作モードに設定された後、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されると、指示部20は、演算器43にx座標値とz座標値の算出を行う旨の第1指示信号を送出する(より具体的には、x座標値演算器31及びz座標値演算器33に動作を行う旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32に動作を休止する旨の指示信号を送出する)。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、演算器43にy座標値とz座標値の算出を行う旨の第2指示信号を送出する(より具体的には、x座標値演算器31に動作を休止する旨の指示信号を送出し、y座標値演算器32及びz座標値演算器33に動作を行う旨の指示信号を送出する)。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、第1指示信号を送出する。以後、指示部20は、同様に動作して、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されるたびに第1及び第2指示信号の一方を送出し、第1指示信号と第2指示信号を交互に送出する。
【0116】
図15は、第三実施形態における光学的位置検出システム1のタイミングチャートを示す図である。指示部20からは第1指示信号と第2指示信号が交互に送出されることから、
図15に示されるように、演算器43は、x座標値及びz座標値と、y座標値及びz座標値とを交互に求める。その結果、光学的位置検出システム1は、x座標値及びy座標値を、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求めることができる。
【0117】
このように、本実施形態に係る光学的位置検出システム1では、検知対象物60が存在するか否かの判定に使用しないx座標値およびy座標値を、照明部2が光を照射する周期より長い間隔で求め、検知対象物60が存在するか否かの判定に使用するz座標値を、照明部2が光50を照射する周期と同じ間隔で求めている。これにより、検知対象物60が存在するか否かの判定を遅らせることなく、演算器43(位置検出部21)での消費電力を低減することができる。その結果、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0118】
なお、上記の例では、x座標値およびy座標値が交互に求められていたが、
図16に示されるように、同じタイミングで求められても良い。
図17の例では、指示部20は、第1動作モードに設定された後、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されると、演算器43に対して、x座標値、y座標値及びz座標値の算出を行う旨の第1指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、演算器43にz座標値の算出を行う旨の第2指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、第1指示信号を送出する。以後、指示部20は、同様に動作して、第1指示信号と第2指示信号を交互に送出する。
【0119】
また、上記の例では、x座標値およびy座標値が、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求められていたが、x座標値、y座標値及びz座標の少なくとも一つが、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求められれば、光学的位置検出システム1を低消費電力化することができる。
【0120】
図17は、x座標値だけが、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求められる場合の光学的位置検出システム1のタイミングチャートの一例を示す図である。
図17の例では、指示部20は、第1動作モードに設定された後、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されると、演算器43に対して、x座標値、y座標値及びz座標値の算出を行う旨の第1指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、演算器43にy座標値とz座標値の算出を行う旨の第2指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、第1指示信号を送出する。以後、指示部20は、同様に動作して、第1指示信号と第2指示信号を交互に送出する。
【0121】
図18は、z座標値だけが、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求められる場合の光学的位置検出システム1のタイミングチャートの一例を示す図である。
図18の例では、指示部20は、第1動作モードに設定された後、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されると、演算器43に対して、x座標値、y座標値及びz座標値の算出を行う旨の第1指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、演算器43x座標値及びy座標値の算出を行う旨の第2指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、第1指示信号を送出する。以後、指示部20は、同様に動作して、第1指示信号と第2指示信号を交互に送出する。
【0122】
図19は、x座標値、y座標値及びz座標値のすべてが、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求められる場合の光学的位置検出システム1のタイミングチャートの一例を示す図である。
図19の例では、指示部20は、第1動作モードに設定された後、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が送出されると、演算器43に対して、x座標値の算出を行う旨の第1指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、演算器43にy座標値の算出を行う旨の第2指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、演算器43にz座標値の算出を行う旨の第3指示信号を送出する。その後、指示部20は、動作制御部23からNo.6に示される制御信号が新たに送出されると、第1指示信号を送出する。以後、指示部20は、同様に動作して、第1指示信号、第2指示信号及び第3指示信号を交互に送出する。
【0123】
このように、x座標値、y座標値及びz座標値のすべてが、照明部2が光50を照射する周期より長い間隔で求められることによって、演算器43(位置検出部21)での消費電力を大きく低減することができる。
【0124】
また、上述の
図17,19のように、x座標値とy座標値とが異なるタイミングで求められる場合には、x座標値及びy座標値を求める演算器を共通にすることが可能である。
図20は、x座標値及びy座標値を求める演算回路が共通にされた場合の位置検出部21の構成を示す図である。
図20に示される第一演算器35は、x座標値及びy座標値の両方を求めることができる。
【0125】
ここで、x座標値を算出するための演算式(1)と、y座標値を算出するための演算式(2)とを比較すると、分子に存在する加算式中の一方の値が異なるだけである。つまり、分子の加算式の値を求めるための2入力の加算回路の一方の入力端子に対して、第4電気信号を入力するか、第2電気信号を入力するかを変化させるだけで、共通の演算器(演算回路)を用いてx座標値及びy座標値を求めることができる。
【0126】
図20に示される第一演算器35は、x座標値及びy座標値に共通の演算器である。そして、第一演算器35の前段の第一選択器36によって、第一演算器35における、分子の加算式の値を求めるための2入力の加算回路の一方の入力端子に対して、第4電気信号を入力するか、第2電気信号を入力するかを切り換えている。つまり、第一選択器36は、演算器43がx座標値を求めるときには、第4電気信号を選択して加算回路の一方の入力端子に入力する。一方で、第一選択器36は、演算器43がy座標値を求めるときには、第2電気信号を選択して加算回路の一方の入力端子に入力する。
【0127】
第一演算器35の後段に設けられた第二選択器37は、第一演算器35からx座標値が出力されると当該x座標値を出力端子47aに出力し、第一演算器35からy座標値が出力されると当該y座標値を出力端子47bに出力する。
【0128】
このように、x座標値及びy座標値を求める演算器を共通とすることで、位置検出部21の構成を簡素化できる。その結果、位置検出部21を実現する回路の面積縮小および位置検出部21の低コスト化が可能となる。
【0129】
なお、
図20では、x座標値演算器31とy座標値演算器32とを共通化する例について説明したが、共通化する演算回路の種類はこれに限られない。共通化する演算回路の種類は、各座標値を求めるために使用する演算式に応じて決定することができる。x座標値、y座標値及びz座標値の少なくとも2つの座標値を求めるための複数の演算式が、式(1)及び(2)のように、代入する値を変えるだけで同じとなるのであれば、当該少なくとも2つの座標値を演算する演算器を共通にすることができる。
【0130】
また、x座標値及びy座標値を求める演算器を共通にする場合には、
図21に示されるように、x座標値及びy座標値を出力する出力端子を共通化しても良い。これより、位置検出部21の構成をさらに簡素化できる。
【0131】
また、
図19に示されるように、x座標値、y座標値及びz座標値が互いに異なるタイミングで算出される場合には、
図22に示されるように、x座標値、y座標値及びz座標値を出力する出力端子を共通にしても良い。第一演算器35及びz座標値演算器33の後段の第二選択器38は、第一演算器35からx座標値が出力されると当該x座標値を出力端子47aに出力する。また、第二選択器38は、第一演算器35からy座標値が出力されると当該y座標値を出力端子47aに出力する。そして、第二選択器38は、z座標値演算器33からz座標値が出力されると当該z座標値を出力端子47aに出力する。
【0132】
このように、x座標値、y座標値及びz座標値を出力する出力端子を共通にすることによって、位置検出部21の構成をさらに簡素化できる。
【0133】
<<変形例>>
<測距システムについて>
上述した第1実施形態及び第2実施形態は、光学的位置検出システム1だけでなく、測距システムにも適用することができる。測距システムは、照明部2、受光部3及び制御部10を備えており、当該測距システムと検知対象物60との距離を検出する。測距システムは、まず、照明部2から光50を照射し、検知対象物60で反射した光(反射光51)を受光部3で受光する。そして、反射光51を受光部3で受光することで得られた電気信号に基づいて、制御部10が測距システムと検知対象物60との距離を検出する。測距システムは、当該測距システムと検知対象物60との距離を検出する点で、検知対象物60の位置(座標値)を検出する光学的位置検出システム1と異なる。測距システムは、例えば、撮像装置に搭載される。測距システムが搭載された撮像装置では、当該測距システムによって検出された、当該測距離システムと検知対象物60との距離に基づいて、当該検知対象物60にピントを自動で合わせることができる。
【0134】
図23は、測距システム70の構成を示す図である。測距システム70では、位置検出部21(
図5参照)ではなく、測距システムと検知対象物60との距離を検出する距離検出部26が設けられる。また、判定部22は、座標値ではなく、距離検出部26が検知した距離に基づいて、検知対象物60が存在するか否かの判定を行う。測距システム70の残余の構成は、光学的位置検出システム1と同様である。距離検出部26を有する第1制御部11は、主に、第2制御部12からの制御信号に基づいて、測距システム70と検知対象物60との距離を検出する。つまり、距離検出部26を有する第1制御部11は、測距システム70と検知対象物60との距離を検出する測距装置として機能する。
【0135】
距離検出部26は、受光部3から出力された電気信号に基づいて、測距システム70と検知対象物60との距離を検出する。より具体的には、距離検出部26は、受光部3から出力された電気信号と所定の演算式とを用いて求めた、照明部2が光50を照射してから、当該光50が検知対象物60で反射して受光部3で受光されるまでの時間、もしくは、受光部3で受光された反射光51の入射角等に基づいて、測距システム70と検知対象物60との距離を検出する。距離検出部26において、測距システム70と検知対象物60との距離を算出する際に用いる所定の演算式は、受光部3を構成するPDの数や配置位置などに応じて選択される。
【0136】
図24は、
図7に示される光学的位置検出システム1に係る第1制御部11の構成図に対応する、測距システム70の第1制御部11の構成を示す図である。
図24に例示される測距システム70の第1制御部11では、演算器43と出力端子47aとで、距離検出部26の役割を果たしている。演算器43は、LED4が光50を照射している際に増幅器42a,42b,42c,42dから出力された電気信号に基づいて、測距システム70と検知対象物60との距離を検出する(求める)。また、演算器43で検出される検出結果は1つ(測距システム70と検知対象物60との距離だけ)であるため、演算器43には1つの出力端子47aが接続されている。演算器43で検出された測距システム70と検知対象物60との距離は、出力端子47aから第2制御部12および測距システム70の外部に出力される。
【0137】
測距システム70の判定部22は、距離検出部26で検出された、測距システム70と検知対象物60との距離に基づいて、検知対象物60が存在するか否かの判定を行う。
図25は、
図6に示される光学的位置検出システム1に係る判定部22の処理に対応する、測距システム70に係る判定部22の処理を示す図である。
【0138】
本変形例に係る判定部22は、まず、距離検出部26で検出された距離を取得する(ステップS20)。そして、判定部22は、ステップS20で取得した距離と、所定の閾値とを比較する(ステップS21)。例えば、ステップS20で取得した距離が、所定の閾値より大きい場合、つまり検知対象物60が所定距離内に存在しない場合には(ステップS11でYES)、判定部22は、検知対象物60が存在しないと判定する(ステップS22)。一方、判定部22は、ステップS20で取得した距離が、所定の閾値より小さい場合、つまり検知対象物60が所定距離内に存在する場合には(ステップS11でNO)、判定部22は、検知対象物60が存在すると判定する(ステップS23)。判定部22での判定結果は、動作制御部23に出力される。
【0139】
そして、動作制御部23は、判定部22から出力された判定結果を用いて、測距システム70の動作モードを設定し、当該動作モードに基づいて指示部20に制御信号を送出する。測距システム70は、上述した第一実施形態および第二実施形態と同様に、判定部22で検知対象物60が存在すると判定された場合に設定される第1動作モードと、判定部22で検知対象物60が存在しないと判定された場合に設定される第2動作モードとを有している。
【0140】
<動作制御部による制御例について>
図26は、
図10に示される光学的位置検出システム1の動作制御部23が送出する制御信号に対応する、本変形例に係る動作制御部23が送出する制御信号の一例を示す図である。
【0141】
上述したように、本変形例に係る演算器43では、測距システム70と検知対象物60との距離しか出力されない。そのため、第一実施形態とは異なり、検知対象物60が存在しない場合(測距システム70の動作モードが第2動作モードに設定されている場合)であっても、演算器43で検出される検出結果の数は変化しない。つまり、本変形例に係る演算器43は、
図26に示されるように、測距システム70の動作モードが第1動作モードに設定されているか第2動作モードに設定されているかに関わらず、LED4(照明部2)が光50を照射している際に、測距システム70と検知対象物60との距離を検知する。
【0142】
しかし、LEDドライバ41は、測距システム70の動作モードが第2動作モードであるとき、つまり、検知対象物60が所定距離内に存在しないときには、上述した第一実施形態と同様に、照明部2を弱い光(第1光量より少ない第2光量)で点灯させる。そのため、検知対象物60の有無に関わらず一定の光量で光50を照射する場合と比較して、照明部2の消費電力を低減することができる。その結果、測距システム70を低消費電力化することができる。
【0143】
なお、検知対象物60が存在しない場合(測距システム70の動作モードが第2動作モードである場合)に、演算器43は、電気信号に基づいて求められる測距システム70と検知対象物60との距離を所定数倍した値を、測距システム70と検知対象物60との距離として出力してもよい。これにより、第2動作モードにおいて、照明部2が弱い光で照射している場合でも、大きい値の検出結果を得ることができ、判定部22での検知対象物60の有無を判定しやすくすることができる。
【0144】
また、測距システム70の動作モードが第2動作モードに設定されている場合に、LED4(照明部2)の照射時間を短くすることで、測距システム70を低消費電力化してもよい。照明部2の照射時間は、第二実施形態で説明したように、照射周期およびデューティ比の少なくとも一方を変化させることで変化させることができる。検知対象物60が存在しない場合(第2動作モード設定時)における照明部2が光50を照射する時間を、検知対象物60が存在する場合(第1動作モード設定時)における照明部2が光50を照射する時間より短くすることで、上述した第二実施形態と同様に、照明部2の消費電力を低減することができる。その結果、測距システム70を低消費電力化することができる。なお、この場合には、第2動作モードにおいて照明部2が照射する光50の光量は、低減しなくても良い。照明部2が照射する光50の光量を低減しない場合であっても、第2動作モード設定時における照明部2での照射時間を、第1動作モード設定時における照明部2での照射時間より短くすることで、第2動作モードにおける照明部2の消費電力を低減することが可能である。
【0145】
上記において光学的位置検出システム1及び測距システム70は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種の例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。