【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】異なる波長の光を出射する複数の光源10と、光導波路31に沿ってカスケード接続された複数のリング変調器30と、を有し、リング変調器は、リング共振器32とリング共振器における共振波長を調整するための波長調整電極とを備えている。複数の光源のうちの1つの光源より光を出射する工程と、リング変調器における波長調整電極に供給するパワーを調整することにより、1つの光源より出射された光の波長とリング変調器におけるリング共振器の共振波長とが一致する1または2以上のパワーの値を取得する工程と、各々の光源と各々のリング変調器とに対応する一致するパワーの値の関係を得る工程と、一致するパワーの値の関係に基づき各々の光源に対応するリング変調器を各々選択する工程と、を有する。
異なる波長の光を出射する複数の光源と、光導波路に沿ってカスケード接続された複数のリング変調器と、を有し、前記リング変調器は、リング共振器と前記リング共振器における共振波長を調整するための波長調整電極とを備えており、前記複数の光源より出射された光を合波し前記光導波路に入射する光素子の制御方法において、
前記複数の光源のうちの1つの光源より光を出射する工程と、
前記リング変調器における前記波長調整電極に供給するパワーを調整することにより、前記1つの光源より出射された光の波長と前記リング変調器におけるリング共振器の共振波長とが一致する1または2以上のパワーの値を取得する工程と、
各々の前記光源と各々の前記リング変調器とに対応する前記一致するパワーの値の関係を得る工程と、
前記一致するパワーの値の関係に基づき各々の前記光源に対応する前記リング変調器を各々選択する工程と、
を有することを特徴とする光素子の制御方法。
前記行列は、前記光源より出射された光の波長と前記リング変調器におけるリング共振器の共振波長とが一致するパワーの値が存在している場合には、対応する要素に前記一致するパワーの値が記憶されており、前記一致するパワーの値が存在していない場合には、対応する要素は空白となっているものであって、
前記選択する工程は、前記行列における前記空白を有しない対角列において、最も上、または、最も下の対角列を選択することを特徴とする請求項2に記載の光素子の制御方法。
異なる波長の光を出射する複数の光源と、光導波路に沿ってカスケード接続された複数のリング分波器と、を有し、前記リング分波器は、リング共振器と前記リング共振器における共振波長を調整するための波長調整電極とを備えており、前記複数の光源より出射された光を合波し前記光導波路に入射する光素子の制御方法において、
前記複数の光源のうちの1つの光源より光を出射する工程と、
前記リング分波器における前記波長調整電極に供給するパワーを調整することにより、前記1つの光源より出射された光の波長と前記リング分波器におけるリング共振器の共振波長とが一致する1または2以上のパワーの値を取得する工程と、
各々の前記光源と各々の前記リング分波器とに対応する前記一致するパワーの値の関係を得る工程と、
前記一致するパワーの値の関係に基づき各々の前記光源に対応する前記リング分波器を各々選択する工程と、
を有することを特徴とする光素子の制御方法。
前記行列は、前記光源より出射された光の波長と前記リング分波器におけるリング共振器の共振波長とが一致するパワーの値が存在している場合には、対応する要素に前記一致するパワーの値が記憶されており、前記一致するパワーの値が存在していない場合には、対応する要素は空白となっているものであって、
前記選択する工程は、前記行列における前記空白を有しない対角列において、最も上、または、最も下の対角列を選択することを特徴とする請求項6に記載の光素子の制御方法。
前記行列において、前記一致するパワーの値が所定の値以下の場合には、対応する要素を空白にする工程を有することを特徴とする請求項3、4、7、8のいずれかに記載の光素子の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
〔第1の実施の形態〕
最初に、本実施の形態における光素子の制御方法において、制御の対象となる光素子を含む波長分割多重通信装置について、
図1に基づき説明する。この波長分割多重通信装置は、光源群10、WDM合波器20、リング変調器群30、リング分波器群40を有している。
【0012】
光源群10には、光源となる相互に出射されるレーザ光の波長が異なる複数のレーザダイオードが設けられており、リング変調器群30には、相互に共振波長が異なる複数のリング変調器が設けられている。リング分波器群40には、相互に共振波長が異なる複数のリング分波器が設けられている。また、リング変調器群30とリング分波器群40との間には、1本の光ファイバ70等が設けられているが、光ファイバ70に代えて1本の光導波路が形成されていてもよい。
【0013】
光源群10には、相互に波長の異なるN個のレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNが設けられており、光源群10におけるN個のレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されたレーザ光は、WDM合波器20において合波される。WDM合波器20において合波された波長の異なるレーザ光は、リング変調器群30における光導波路31に入射する。リング変調器群30においては、光導波路31に沿ってカスケード接続されている相互に共振波長の異なるN個のリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNが設けられている。各々のリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNでは、各々のリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNに対応する波長のレーザ光が変調され、リング変調器群30における光導波路31より出射され、光ファイバ70の一方の端部に入射する。光ファイバ70に入射した変調された相互に波長の異なるレーザ光は、光ファイバ70内を伝搬した後、光ファイバ70の他方の端部より出射され、リング分波器群40における光導波路41に入射する。リング分波器群40においては、光導波路41に沿ってカスケード接続されている相互に共振波長の異なるN個のリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNが設けられている。各々のリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNにおいては、各々のリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNに対応する波長のレーザ光に分波され、光信号が検出される。
【0014】
リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNは、共振波長が異なる以外は略同一の構造であり、リング共振器32、変調電極33a、33b、ヒータ34、光検出用導波路35、光検出器36等を有している。リング共振器32は、円形等の形状により形成されており、光導波路31の近傍に配置されている。リング共振器32の内側には変調電極33aが設けられており、外側には変調電極33bが設けられており、変調電極33aと変調電極33bとの間に、電圧を印加することにより、光変調がなされる。
【0015】
波長調整電極となるヒータ34は、リング共振器32の上または下または内周沿いまたは外周沿い等、1リング共振器32を局所的に温める位置において、リング共振器32の形状に対応して設けられており、ヒータ34の一方の端部にはヒータ電極34aが設けられており、他方の端部にはヒータ電極34bが設けられている。ヒータ34では、ヒータ電極34aとヒータ電極34bとの間において電流を流すことにより、リング共振器32が形成されている部分を加熱することができる。これにより、リング共振器32の温度を変化させることができるため、共振波長を調整することができる。光検出用導波路35は、リング共振器32を介し、光導波路31と対向する位置であって、リング共振器32の近傍に設置されている。対向する位置は一例であり、リング共振器32の近傍であればどの位置でもよい。光検出器36は、光検出用導波路35に接続されており、光検出用導波路35を介し、リング共振器32内を伝搬する光をモニタすることができる。本実施の形態においては、光検出器36は、フォトディテクタ(PD)等により形成されている。
【0016】
リング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNは、共振波長が異なる以外は略同一の構造であり、リング共振器42、ヒータ43、光検出用導波路44、光検出器45等を有している。リング共振器42は、円形等の形状で形成されており、光導波路41の近傍に配置されている。
【0017】
ヒータ43は、リング共振器42の上または下または内周沿いまたは外周沿い等、1リング共振器32を局所的に温める位置において、リング共振器42の形状に対応して設けられており、ヒータ43の一方の端部にはヒータ電極43aが設けられており、他方の端部にはヒータ電極43bが設けられている。ヒータ43では、ヒータ電極43aとヒータ電極43bとの間に電流を流すことにより、リング共振器42が形成されている部分を加熱することができる。これにより、リング共振器42の温度を変化させることができるため、共振波長を調整することができる。光検出用導波路44は、リング共振器42を介し、光導波路41と対向する位置であって、リング共振器42の近傍に設置されている。対向する位置は一例であり、リング共振器42の近傍であればどの位置でもよい。光検出器45は、光検出用導波路44に接続されており、光検出用導波路44を介し、リング共振器42内を伝搬する光をモニタすることができる。光検出器45は、フォトディテクタ(PD)等により形成されている。
【0018】
図1に示される装置では、光源群10のレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長と、リング変調器群30のリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの共振波長とが、1対1で対応していることが求められている。また、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長と、リング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNの共振波長とが、1対1で対応していることが求められている。
【0019】
具体的には、
図2に示されるように、制御前では、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの共振波長と、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とがずれている。即ち、一致していない。このため、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの共振波長が、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長と各々に対応して一致するような制御が求められる。
【0020】
また、
図2に示されるように、制御前では、リング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNの共振波長と、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とがずれている。即ち、一致してない。このため、リング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNの共振波長が、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長と各々に対応して一致するような制御が求められる。
【0021】
よって、本実施の形態においては、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とリング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの共振波長の関係を検出する。次に、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長に対応するリング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNを選定する。次に、光源群10における各々のレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とリング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの共振波長とが一致するように調整する。これにより、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの共振波長と、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とが、各々に対応して一致させることができる。
【0022】
同様に、本実施の形態においては、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とリング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNの共振波長の関係を検出する。次に、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長に対応するリング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNを選定する。次に、光源群10における各々のレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とリング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNの共振波長とが一致するように調整する。これにより、リング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNの共振波長と、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNより出射されるレーザ光の波長とが、各々に対応して一致させることができる。
【0023】
次に、
図3に示されるようにリング変調器群30におけるリング変調器RM2の共振波長を光源群10におけるレーザダイオードLD2より出射されるレーザ光の波長に一致させる場合について、
図4に基づき説明する。
【0024】
図4は、レーザダイオードLD2を発光させた場合において、リング変調器RM2のヒータ34におけるヒータ電極34aとヒータ電極34bとの間に流れる電流を変化させた場合における共振波長の変化を示すものである。
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)は、この順で、ヒータ電極34aとヒータ電極34bとの間に流れる電流を増加させた場合における共振波長の変化を示している。尚、ヒータ電極34aとヒータ電極34bとの間に流れる電流を増加させることにより、ヒータ34に供給される電力(P
heater)が増加する。ヒータ電極34aとヒータ電極34bとの間に流れる電流、即ち、ヒータ34に供給される電力(P
heater)を増加させることにより、共振波長は長波長側にシフトする。尚、本実施の形態においては、このようにヒータ34に供給する電力を0から上昇させていくことを掃引と記載する場合がある。
【0025】
リング変調器RM2における共振波長の調整は、
図5に示されるように、リング変調器RM2における光検出器36において検出される光強度I
PDの値がピークとなるように、ヒータ34に供給される電力を調整することにより行なう。このように光検出器36において検出される光強度I
PDの値がピークとなるように電力量を調整することにより、
図4(b)に示されるように、リング変調器RM2の共振波長をレーザダイオードLD2より出射されるレーザ光の波長に一致させることができる。
図5に示す場合では、電力量P
peakにおいて、光検出器36において検出される光強度I
PDの値がピークとなる。このようにして得られたレーザダイオードLD2を発光させた場合におけるリング変調器RM2のヒータ34に供給される電力量P
peakの値を不図示の記憶部等に記憶する。
【0026】
同様に、レーザダイオードLD2を発光させた場合において、他のリング変調器RM1、・・・、RMNのヒータ34に供給される電力(P
heater)を変化させる。これにより、光検出器36において検出される光強度I
PDがピークとなる電力量P
peakの値を不図示の記憶部等に得て記憶する。
【0027】
上記と同様の工程を光源群10における他のレーザダイオードLD1、・・・、LDNについても行なう。これにより、
図6に示されるような、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNとリング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNとの間において対応する電力量P
peakの値の表を得る。本実施の形態においては、このように得られた
図6に示す2次元配列をPPM(Peak-Position Matrix)と記載する場合がある。このようなPPMは不図示の記憶部等に記憶される。尚、
図6においては、光源群10におけるレーザダイオードの数が8個、リング変調器群30におけるリング変調器の数が8個の場合、即ち、Nが8の場合におけるPPMを例に示している。
【0028】
図6に示されるPPMは、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LD8とリング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8をインデクスとする2次元配列である。このようなPPMには、電力量P
peakの値を検出したレーザダイオードとリング変調器とにより参照される配列要素に、検出された電力量P
peakの値が格納される。例えば、
図6に示されるPPMは、行が、光源群10におけるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LD8、列が、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8に相当する行列である。PPMには、レーザダイオードLD1、LD2、・・・、LD8の最後に示される数字をmとし、リング変調器RM1、RM2、・・・、RM8の最後に示される数字をnとした場合に、検出された電力量P
peakの値は、PPMにおける(m、n)要素に格納される。電力量P
peakの値は、駆動回路の駆動能力や、ヒータ34の信頼性の観点から上限が設けられる。この上限以下の範囲において、リング変調器RM1、RM2、・・・、RM8の光検出器36により光強度I
PDのピークが検出されなかった場合には、PPMにおける要素には、ピークが検出されなかったことを示す未検出タグ(例えば空白等)を格納する。
【0029】
ところで、本実施の形態においては、レーザダイオードLD1、LD2、・・・、LD8の最後に示される数字mが増加するに伴い、レーザダイオードから出射されるレーザ光の波長が長くなる場合を想定している。また、リング変調器RM1、RM2、・・・、RM8の最後に示される数字nが増加するに伴い、リング共振器32におけるリング径が大きくなる場合を想定している。従って、この場合には、
図6に示されるPPMのように、未検出タグ以外の要素は同一行中では右に行くほど小さく、同一列中では下に行くほど大きくなる。尚、
図1に示されるように、リング共振波長は周期的に複数存在するため、リング変調器RM8のリング共振器32の共振波長の1つ長波長側にあるリング共振器32の共振波長は、リング変調器RM1のリング共振器32に由来するものである。よって、上記において右に行くほど、あるいは下に行くほどとは、巡回的な意味であり、リング変調器RM8の右にリング変調器RM1が位置しており、レーザダイオードLD8の下にレーザダイオードLD1が位置していることを意味する。
【0030】
本実施の形態においては、
図6に示されるように、斜め右下がりのN個(8個)の対角列の中に、空白等の未検出タグを全く持たない対角列(無空白における対角列)が生まれる。無空白における対角列が複数存在する場合、上下方向に隣接して並ぶ。これらの中から1つの無空白における対角列を選択し、これらの要素のインデクスとなるレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LD8とリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8とを対応させる。これにより、リング変調器とレーザダイオードとを1対1に各々対応づけをすることができる。隣接する無空白における対角列において、最も上に位置するものを選択することにより、トータルの電力量を最小にすることが可能となり、消費電力を最小限に抑えることができる。
【0031】
上述した本実施の形態における光素子の制御方法の簡単な一例を
図7に基づき説明する。本実施の形態における光素子の制御方法は、
最初に、ステップ12(S12)において、mを1に設定する。
【0032】
次に、ステップ14(S14)において、光源群10におけるレーザダイオードLDmよりレーザ光を出射する。
【0033】
次に、ステップ16(S16)において、リング変調器RM1、RM2、・・・、RMNにおけるリング共振器32の光検出器36において検出される光強度I
PDがピークとなる電力量P
peakの値を得る。尚、このステップは、リング変調器RMnとし、nを1〜Nまでのループとして行ってもよい。
【0034】
次に、ステップ18(S18)において、現在のmに1を加える。
【0035】
次に、ステップ20(S20)において、mがN以下であるか否かを判断する。mがN以下である場合には、ステップ14に移行する。mがN以下でない場合には、ステップ22に移行する。
【0036】
次に、ステップ22(S22)において、得られた電力量P
peakの値に基づきPPMを作成する。
【0037】
次に、ステップ24(S24)において、PPMにおける無空白における対角列のうち、最も上の対角列を選択することにより、各々のレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNに1対1で対応するリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8を選択する。
【0038】
尚、本実施の形態においては、
図8に示されるリング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの場合について説明した。即ち、N個の異なる波長を持つレーザダイオードとN個のリング変調器からなるWDM送信器であって、全てのレーザダイオードから出射されたレーザ光を合波した後、リング変調器がカスケード接続された導波路に導かれるものについて説明した。具体的には、レーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNの最後に示される数字が増大するのに伴い波長が長波長となる。また、リング変調器RM1、RM2、・・・、RMNの最後に示される数字が増大するのに伴い、光源群10より下流に配置され、リング径が増大する構造である。このような構造のものの場合、
図6に示されるPPMのように、右あるいは上に行くほど行列要素の数値が小さくなり、右下がりの無空白対角列が生まれ、複数存在する場合は上下に隣接する。この中から最上に位置するものを選択することにより、各々のリング変調器において、波長を割り当てるべきレーザダイオードを決定することができる。
【0039】
本実施の形態においては、リング変調器の場合について説明したが、リング変調器をリング分波器に代えた場合においても同様であり、同様の制御等を行なうことができる。この場合、リング分波器群40の各々のリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNにおける光検出器45をモニタとして機能させることができる。例えば、この場合、光検出器45から出力される電気信号に低域フィルタをかけることにより、分波後の光信号の平均パワーをモニタすることが可能になり、レーザダイオードとリング分波器における共振波長とを一致させることができる。
【0040】
本実施の形態における光素子は、SOI(Silicon on Insulator)基板を加工することにより形成されている。具体的には、リング変調器RM1、RM2、・・・、RMNにおけるリング共振器32及びリング分波器群40におけるリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNは、SOI基板を加工することにより形成されている。この場合、SOI基板におけるSi層によりコアを形成し、SiO
2層によりクラッドを形成するSi光導波路が想定されるが、これに限定されるものではなく、化合物半導体等により形成してもよく、また、石英導波路であってもよい。
【0041】
また、
図8等においては、光源群10より下流に行くほど、リング変調器RM1、RM2、・・・、RMNのリング共振器32におけるリング径が大きくなるように配列されているが、逆に、リング径が小さくなるように配列してもよい。この場合、
図6に示される場合と同様のPPMが得られるが、右上がりの無空白である対角列の最上のものを選択することにより、最適なレーザダイオードとリング変調器のペアを選択することができる。
【0042】
また、上記においては、レーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNの最後に示される数字mが増加するに伴い、出射されるレーザ光の波長が長波長になる場合について説明したが、逆に、出射されるレーザ光の波長が短波長になるものであってもよい。この場合には、右上がりになるか、右下がりになるかが変るものの、適宜想定する無空白となる対角列の向きを変えることにより対応可能である。無空白となる対角列の最上のものを選択するか最下のものを選択するかは、レーザダイオードやリング変調器の最後に示される数字の定義によるものであり、適宜決定することにより対応可能である。
【0043】
またPPMは、レーザダイオードの最後に示される数字m、リング変調器の最後に示される数字nをインデクスとするデータ構造であれば行列でなくてもよい。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8のリング共振器32のリング径が、光源群10より上流から下流に向かって、順に大きくなったり、小さくなったりしない構造の光素子における制御方法である。即ち、
図9に示すように、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8の各々のリング共振器32のリング径は、ランダムに配置されている場合における制御方法である。この場合、作成されるPPMは、
図10に示すように、同一行の要素が必ずしも右に行くに従って単調減少しないし、空白の位置も不規則である。そのため無空白となる対角列は必ずしも存在しない。このような場合、同一行要素が右に行くに伴い単調減少となるように列の順番を入れ替え、
図11に示されるような、列の順番の入れ替えられたPPMを作製する。この後、第1の実施の形態と同様の処理を行うことによって、各々のリング変調器に割り当てるべきレーザダイオードを選択することができる。これにより、リング変調器群30におけるリング変調器RM1、RM2、・・・、RM8のリング共振器32の共振波長ばらつきが大きく、レーザ光の波長に対応して規則的に配置することが困難な場合においても対応することができる。従って、リング変調器の加工精度を緩和させることができ、光素子を低コストで製造することができる。尚、本実施の形態においては、リング変調器RM1、RM2、・・・、RM8の場合について説明したが、本実施の形態は、リング変調器に限定されるものではない。即ち、
図1等に示されるリング分波器群40の各々のリング分波器RD1、RD2、・・・、RD8におけるリング共振器42のリング径が、ランダムに配置されている場合についても適用可能である。
【0045】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態により、各々のレーザダイオードに対応してリング変調器等を割当てることができ、リング変調器等におけるリング共振器の共振波長を調整することができる。しかしながら、リング共振器における共振波長やレーザダイオードより出射されるレーザ光の波長は、環境温度により変化するため、常に微調整が必要である。本実施の形態は、このような温度変化に対応するものである。
【0046】
具体的には、
図12に示されるように、最初に、ステップ102(S102)に示されるように、PPMに基づきリング変調器におけるヒータ34に供給される電力の設定を行なうことにより、初期の波長調整を行なう。
【0047】
この後、ステップ104(S104)に示されるように、レーザダイオードとの波長関係を変調に適した関係に維持するために、リング変調器の光検出器36において検出される光強度が一定の値となるようにフィードバック制御を行う。
【0048】
この際、行なわれるフィードバックは、リング変調器の光検出器36において検出される光強度が一定の値となるように制御を行なう方法に限定されるものではない。例えば、変調後の信号波形の光変調振幅を、モニタポートの光変調振幅をモニタすることで検出する方法や、モニタポートのパワーが極大値になるように制御する方法であってもよい。本実施の形態においては、リング変調器の場合について説明したが、リング変調器に限定されるものではない。即ち、
図1に示されるリング分波器についても適用可能である。リング分波器の場合には、このフィードバック制御は、リング分波器における光検出器45により検出されるモニタパワーを最大にするピーキング制御を行うことにより、行なうことが可能である。
【0049】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、PPMにおける各要素取得後に、一定値以下の要素を除去し空白にした後、無空白となる対角列の選択を行う方法である。例えば、リング変調器において、波長調整機構としてヒータ34を用いる場合、ヒータ34に加えられる電力を上昇させることにより温度上昇させ、リング共振器32における共振波長を長波長にシフトして調整することが可能である。しかしながら、ヒータ34により温度を低下させることは不可能であるため、リング共振器32における共振波長を短波長側にシフトして調整することはできない。
【0050】
また、環境温度変化により、リング共振器32における共振波長を短波長側にシフトすることにより調整することが求められる場合がある。本実施の形態においては、
図13(a)に示される最初に作成したPPMにおいて、一定値以下の要素、例えば、値が5以下のものを除去し、空白等の未検出タグを格納することにより、
図13(b)に示されるようなPPMを作成する。本実施の形態においては、上述した一定値をP
heater、thと記載する場合がある。
【0051】
これにより、ヒータ34の消費電力をその値分減少させる余地を持たせることができ、PPM作成時よりも共振波長を短波長側にシフトさせて調整することが可能となる。本実施の形態は、ヒータ34において共振波長を制御する場合に限定されるものでなく、キャリア注入を行うことにより、共振波長を調整する場合に適用してもよい。この場合、ヒータ34の場合とは逆に、共振波長は短波長側へシフトさせて調整することしかできないため、長波長側へシフトして調整する余地を持たせる。
【0052】
本実施の形態においては、リング変調器の共振波長を制御する場合について説明したが、リング変調器に限定されるものではなく、
図1に示されるリング分波器においても、同様に適用することができる。
【0053】
〔第5の実施の形態〕
次に、第5の実施の形態について説明する。ところで、レーザダイオードは、PPMの要素を取得する際において、1つのみ動作させた場合と、実際の動作時のように複数のものを動作させた場合とでは、波長が変化する場合がある。即ち、レーザダイオードを動作させるとレーザダイオード自体が発熱し、近くに設置されている他のレーザダイオードを温めてしまい、熱クロストークが発生する場合がある。このため、熱クロストークを考慮して波長の変動を補正する必要がある。
【0054】
本実施の形態について、
図14に基づき説明する。尚、
図14では、一例として、レーザダイオードが5個の場合について示している。
図14に示されるように、最初に、1つのレーザダイオードのみを発光させ、ヒータ34により徐々に温度を上げていき、光検出器36において、光強度のピークを検出した場合、このピークにおける電力量P
peakの値をPPMの要素として格納する。この後、リング変調器において、光検出器36において検出される光強度が、常に極大になるようにフィードバックをかけながら(ピーキング制御)、他のレーザダイオードを1個ずつ発光させ、パワーを徐々に上げていく。その際、熱クロストークにより、レーザダイオードより出射されるレーザ光の波長がシフトするが、ピーキング制御によりリング変調器におけるリング共振器の共振波長も、これに追随させる。
【0055】
1つのレーザダイオードが動作時と同様のパワーまで上がった後、次のレーザダイオードのパワーを徐々に上げていき、これを全てのレーザダイオードが動作するまで繰り返す。この後、最終的に光検出器36において検出される光強度のピークとなる電力量P
peakの値をPPMの各々の要素として格納する。これにより、全てのレーザダイオードが動作している場合において、レーザ光の波長における光検出器36において検出される光強度のピークとなる電力量P
peakの値を得ることができる。よって、レーザダイオード間において熱クロストークが存在する場合においても制御が可能となる。
【0056】
尚、レーザダイオードは、必ずしも1個ずつパワーを上げる必要はなく、ピーキング制御が追いつく波長変動の速さであれば、複数同時にパワーを上げてもよい。また、ピーキング制御が追いつく波長変動の速さであればパワーを徐々に連続的に上げていく必要はなく、不連続に一気に上げてもよい。
【0057】
本実施の形態においては、リング変調器の共振波長を制御する場合について説明したが、本実施の形態は、リング変調器に限定されるものではなく、
図1に示されるリング分波器においても、同様に適用することができる。
【0058】
〔第6の実施の形態〕
次に、第6の実施の形態について説明する。ところで、リング変調器についても、レーザダイオードと同様に、1個のみを動作させる場合と、複数を同時に動作させる場合とでは、リング共振器における共振波長が変化する場合がある。例えば、リング変調器のリング共振器32における共振波長の調整をヒータ34により行なう場合、他のリング変調器のヒータ34により生じた熱が伝わり、共振波長を変動させる熱クロストークが発生する可能性がある。本実施の形態は、この熱クロストークによる共振波長の変動分の補正を行うものである。具体的には、
図15に示すように、全てのレーザダイオードを発光させた後、レーザダイオード間における熱クロストークを考慮し、補正したPPMに基づきリング変調器に光検出器36において検出される光強度I
PDがピークとなる電力量P
peakを印加する。これにより、レーザダイオードより出射されるレーザ光の波長と対応するリング変調器のリング共振器における共振波長とを一致させる。
【0059】
この後、リング変調器においてピーキング制御しながら、PPMに基づき他のリング変調器に光検出器36において検出される光強度I
PDがピークとなる電力量P
peakを印加する。この際、ピーキング制御が追いつく程度の速度で他のリング変調器の電力量P
peakを増大させる。例えば、
図15に示される場合においては、1つのリング共振器において、徐々に電力量P
peakを増大させる工程を、順に全てのリング共振器について行なう。全てのリングの電力量P
peakの値がPPMに示される値に到達したところで、ピーキング制御により調整された電力量P
peakの値をPPMの補正値として格納する。この工程を各々のリング変調器に対して行う。この工程は、各々のリング変調器に対して1回ずつ行うものであってもよく、より精度を上げるために複数回繰り返してもよい。本実施の形態により、リング変調器のリング共振器間において熱クロストークが発生する場合であっても、光素子の制御を行なうことができる。
【0060】
本実施の形態においては、リング変調器の共振波長を制御する場合について説明したが、本実施の形態は、リング変調器に限定されるものではなく、
図1に示されるリング分波器においても、同様に適用することができる。
【0061】
〔第7の実施の形態〕
次に、第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、PPM作成対象のリング変調器(例えば、
図16に示されるリングN−1)以外のリング変調器に対して、モニタパワーが減少する方向にフィードバック制御を行う(回避制御)ものである。
【0062】
図16は、リングN−1における光強度I
PDがピークとなる電力量P
peakの値を検出する場合において、レーザダイオードの熱クロストークによる長波長シフトに追随させるためにピーキング制御を行なう場合である。レーザダイオードから出射されるレーザ光の波長が長波長化するのに対応してピーキング制御を行い、リングN−1の共振波長を追随させる必要がある。にもかかわらず、レーザ光の波長がリングN−1よりも上流にあるリング変調器(例えば、
図16に示されるリング0)に一致する場合がある。この場合、リング0がレーザ光を遮断し、ピーキング制御に支障が生じてしまう。回避制御を行えば、レーザ光の波長がリング0に一致する場合においても、リング0は、この波長を避けるように制御され、レーザ光の遮断が生じないようにすることができる。
【0063】
このようにPPM作成対象外のリング変調器を回避制御することにより、上流のリング変調器によるレーザ光の遮断を回避することができ、リング共振器における共振波長のあらゆるバラツキに対応し、正常な制御動作をすることができる。レーザ光が遮断されることにより、ピーキング動作に影響を及ぼすのは、レーザ光の透過率がある一定割合以上変化した場合であり、軽微な場合は影響が出ない。従って、回避制御は常に行う必要は必ずしもなく、モニタパワーが有る値以上になった際に、初めて回避制御を行なってもよい。これにより、制御電力を低減することが可能となる。
【0064】
本実施の形態においては、リング変調器の共振波長を制御する場合について説明したが、本実施の形態は、リング変調器に限定されるものではなく、
図1に示されるリング分波器においても、同様に適用することができる。
【0065】
更に、
図1に示されるように、リング変調器とリング分波器を併用する場合においては、リング分波器のPPM要素検出を行う際に、上流のリング分波器のみならず、リング変調器も上流に位置するリング共振器となる。この場合には、PPM要素検出対象のリング分波器以外のリング分波器及びリング変調器のすべてに対して回避制御を行うことにより、上流におけるリング共振器によるレーザ光の遮断の回避が可能となる。
【0066】
〔第8の実施の形態〕
次に、第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、
図17に示されるように、リング変調器、リング分波器を用いたWDMリンクにおける制御系の実装形態である。
【0067】
本実施の形態においては、レーザダイオード(LD)110、リング変調器(RM)120、リング分波器(RD)130及び半導体光増幅器(SOA:Semiconductor Optical Amplifier)140等を備えている。リング変調器(RM)120及びリング分波器(RD)130におけるリング共振器121、131等は、シリコン光集積回路(Si PIC:Si Photonic Integrated Circuit)により形成されており、小型高密度な実装がなされている。
【0068】
また、本実施の形態においては、レーザダイオードコントローラ(LDC)150、リング変調器コントローラ(RMC)160、リング分波器コントローラ(RDC)170、SOAコントローラ(SOAC)180等を備えている。これらは、シリコン電気集積回路(Si EIC:Si Electric Integrated Circuit)により形成されている。
【0069】
レーザダイオードコントローラ(LDC)150は、TIA(Transimpedance Amplifier)151、ADC(analog to digital converter)152、論理回路153、DAC(digital to analog converter)154等を有している。リング変調器コントローラ(RMC)160は、TIA161、ADC162、論理回路163、DAC164、ヒータドライバ165等を有している。リング分波器コントローラ(RDC)170は、TIA171、ADC172、論理回路173、DAC174、ヒータドライバ175等を有している。SOAコントローラ(SOAC)180は、TIA181、ADC182、論理回路183、DAC184等を有している。
【0070】
本実施の形態においては、リング変調器(RM)120のリング共振器121における波長調整は、付随して形成されているヒータによりなされ、ヒータに加熱するために印加される電流等を発生させるヒータドライバ165により制御されている。また、リング分波器(RD)130のリング共振器131における波長調整は、付随して形成されているヒータによりなされ、ヒータに加熱するために印加される電流等を発生させるヒータドライバ175により制御されている。
【0071】
リング変調器(RM)120に設けられている光検出器(PD)122において検出された光信号は、光検出器(PD)122において電流値に変換され、リング変調器コントローラ(RMC)160におけるTIA161において電圧値に変換される。変換された電圧値は、ADC162においてデジタル化され、論理回路163において制御のための処理がなされた後、DAC164においてアナログ化され、アナログ化された信号に基づきヒータドライバ165によりヒータに供給する電力量が制御される。
【0072】
また、リング分波器(RD)130に設けられている光検出器(PD)132において検出された光信号は、光検出器(PD)132において電流値に変換され、リング分波器コントローラ(RDC)170におけるTIA171において電圧値に変換される。変換された電圧値は、ADC172においてデジタル化され、論理回路173において制御のための処理がなされた後、DAC174においてアナログ化され、アナログ化された信号に基づきヒータドライバ175によりヒータに供給する電力量が制御される。
【0073】
本実施の形態においては、リング変調器コントローラ(RMC)160、リング分波器コントローラ(RDC)170は、
図18に示される制御モードを備えている。制御モードは、大別して、ECM(External Control Mode)、ICM(Internal Control Mode)である。
【0074】
ECMは、リング変調器コントローラ(RMC)160、リング分波器コントローラ(RDC)170等のコントローラ以外のMCU(Micro Control Unit)190等のコントローラがヒータへの出力値を設定するモードである。ICMは、コントローラがMCU190を介することなく、光検出器(PD)122、132において検出された値に基づき自律的にヒータへの出力値を決めるモードである。
【0075】
ICMにはピーキングICM、固定値ICM、回避ICMの3種類があり、上記のピーキング制御、固定値制御、回避制御に対応するものである。即ち、ピーキングICMはモニタ値が最大になるようにヒータへフィードバックをかけるモードである。固定値ICMはモニタ値が一定値になるようにフィードバックをかけるモードである。回避ICMはモニタ値が低下するようにフィードバックをかけるモードである。これら3種のICMを実現する回路がEICにおけるリング変調器コントローラ(RMC)160、リング分波器コントローラ(RDC)170に実装されている。
【0076】
本実施の形態においては、PPMの作成は、MCU190が主体に行なう。例えば、MCU190が、レーザダイオードコントローラ(LDC)150に、1つのレーザダイオード(LD)110のみ発光させるように制御する。これと同時に、リング変調器(RM)120をECMに設定し、MCU190から出るヒータ設定値の掃引信号に基づきリング変調器(RM)120のヒータ出力信号を掃引する。
【0077】
MCU190は、リング変調器コントローラ(RMC)160から出力される光検出器(PD)122により検出された光強度の値を見ながらピークを検出し、ピーク時のヒータ出力信号をMCU190内のメモリ中に構成された変調器PPM191に記録する。この後、熱クロストーク補正やレーザ光の遮断回避を行うために、MCU190がリング変調器コントローラ(RMC)160をピーキングICMや回避ICMに設定する。尚、上述した制御はリング変調器(RM)120のみならず、リング分波器(RD)130においても同様に行なうことができる。この場合、ピーク時のヒータ出力信号をMCU190内のメモリ中に構成された分波器PPM192に記録する。
【0078】
〔第9の実施の形態〕
次に、第9の実施の形態について説明する。本実施の形態における制御シーケンスの一例を
図19に示す。
図19は、リング変調器及びリング分波器を共に用いてWDMリンクを構成する場合におけるものであり、なおかつ、熱クロストークの補正を行うものである。リング変調器及びリング分波器は、いずれか一方のみ用いてもよく、また熱クロストークが存在しない場合には、熱クロストーク補正部分のシーケンスは除外してもよい。
【0079】
図19に基づき本実施の形態における制御シーケンスについて説明する。
【0080】
最初に、ステップ110(S110)において、SOAの初期化を行なう。具体的には、全てのSOAをオン(ON)にする。
【0081】
次に、ステップ120(S120)において、リング共振器の初期化を行なう。具体的には、リング変調器及びリング分波器におけるヒータを全てオフ(OFF)にする。
【0082】
次に、ステップ130(S130)において、リング変調器のPPMの作成を行なう。具体的には、レーザダイオードLDmのみON(オン)にした後、この状態で一定時間経過させて、レーザダイオードLDmから出射されるレーザ光の波長を安定化させる。この後、リング変調器RMnにおいてヒータ34に供給される電力を0から上限まで掃引しながら、モニタとなる光検出器36において光強度を検出する。光検出器36において光強度のピークが検出された場合には、この光強度のピークに対応する電力の値を記憶し、L1に移行する。一方、光検出器36において光強度のピークが検出されなかった場合には、リング変調器のPPMの要素(m、n)を空白にして、L2に移行する。
【0083】
L1においては、リング変調器RMnをピーキングICMモードに設定し、レーザダイオードLDm以外のレーザダイオードを1つずつ稼働状態にしてパワーを上げていき、最終的に全てのレーザダイオードを稼働状態にする。この後、この状態で一定時間経過させて、レーザダイオードLDmから出射されるレーザ光の波長を安定化させる。この後、光強度のピークに対応する電力の値をヒータ34に供給される電力量P
peakの値として、リング変調器のPPMの要素(m、n)に格納する。
【0084】
L2においては、リング変調器RMnのヒータ34に供給される電力を0まで低下させた後、リング変調器RMnを回避ICMモードに設定する。
【0085】
ステップ130では、ループ2(Loop2)として、上記における工程をn=1、・・・、Nについて順次行ない、更に、ループ1(Loop1)として、ループ2をm=1、・・・、Nについて順次行なう。尚、ステップ130は、上述した第1の実施の形態等に対応する制御である。
【0086】
次に、ステップ140(S140)において、リング変調器間における熱クロストークに基づくリング変調器のPPM補正を行なう。この補正は一回または複数回行なう。具体的には、全てのレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNをオン(ON)に設定し、全てのリング変調器RM1、RM2、・・・、RMNにおけるヒータに供給される電力をOFF(オフ)に設定し、ECMモードに設定する。リング変調器のPPMの要素(m、n)が空白であればL4に移行し終了する。一方、リング変調器のPPMの要素(m、n)に空白がなければ、リング変調器RMnのヒータに供給される電力を要素(m、n)に設定してL3に移行する。
【0087】
L3においては、リング変調器RMnをピーキングICMに設定し、リング変調器RMn以外の全てのリング変調器のヒータに供給される電力を各々のリング変調器に対応するリング変調器のPPMの要素の値にする。この後、この状態で一定時間経過させて、共振波長を安定化させる。この後、リング変調器RMnの光検出器36において検出される光強度の値がピークとなるヒータ34に供給される電力量P
peakの値をリング変調器のPPMの要素(m、n)に格納する。
【0088】
ステップ140では、ループ2(Loop2)として、上記における工程をn=1、・・・、Nについて順次行ない、更に、ループ1(Loop1)として、ループ2をm=1、・・・、Nについて順次行なう。尚、ステップ140は、上述した第4の実施の形態等に対応する制御である。
【0089】
次に、ステップ150(S150)において、リング変調器のPPMにおけるP
heater、th以下の要素を削除する。具体的には、送受双方のチップ温度を取得し、チップ温度の想定変動範囲に基づきリング変調器のP
heater、thを算出し、算出されたP
heater、thの値以下のリング変調器のPPMの要素を空白にする。尚、ステップ150は、上述した第4の実施の形態等に対応する制御である。
【0090】
次に、ステップ160(S160)において、i
target(=ロック対象レーザダイオードLDmの番号m−リング変調器RMnの番号n)を取得する。具体的には、リング変調器のPPMにおいて空白を有しない対角列の中から、最も上に位置するものを選択することによりi
targetを取得する。尚、ステップ160は、上述した第1の実施の形態等に対応する制御である。
【0091】
次に、ステップ170(S170)において、リング分波器のPPMの作成を行なう。具体的には、レーザダイオードLDmのみON(オン)にした後、この状態で一定時間経過させて、レーザダイオードLDmから出射されるレーザ光の波長を安定化させる。この後、リング分波器RDnにおいてヒータ43に供給される電力を0から上限まで掃引しながらモニタとなる光検出器45において光強度を検出する。光検出器45において光強度のピークが検出された場合には、この光強度のピークに対応する電力の値を記憶し、L5に移行する。一方、光検出器45において光強度のピークが検出されなかった場合には、リング分波器のPPMの要素(m、n)を空白にして、L6に移行する。
【0092】
L5においては、リング分波器RDnをピーキングICMモードに設定し、レーザダイオードLDm以外のレーザダイオードを1つずつ稼働状態にしてパワーを上げていき、最終的に全てのレーザダイオードを稼働状態にする。この後、この状態で一定時間経過させて、レーザダイオードLDmから出射されるレーザ光の波長を安定化させる。この後、光強度のピークに対応する電力の値をヒータ43に供給される電力量P
peakの値として、リング分波器のPPMの要素(m、n)に格納する。
【0093】
L6においては、リング分波器RDnのヒータ43に供給される電力を0まで低下させた後、リング分波器RDnを回避ICMモードに設定する。
【0094】
ステップ170では、ループ2(Loop2)として、上記における工程をn=1、・・・、Nについて順次行ない、更に、ループ1(Loop1)として、ループ2をm=1、・・・、Nについて順次行なう。尚、ステップ170は、上述した第1の実施の形態等に対応する制御である。
【0095】
次に、ステップ180(S180)において、リング分波器間における熱クロストークに基づくリング分波器のPPM補正を行なう。この補正は一回または複数回行なう。具体的には、全てのレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNをオン(ON)に設定し、全てのリング分波器RD1、RD2、・・・、RDNにおけるヒータに供給される電力をOFF(オフ)に設定し、ECMモードに設定する。リング分波器のPPMの要素(m、n)が空白であればL8に移行し終了する。一方、リング分波器のPPMの要素(m、n)に空白がなければ、リング分波器RDnのヒータに供給される電力を要素(m、n)に設定してL7に移行する。
【0096】
L7においては、リング分波器RDnをピーキングICMに設定し、リング分波器RDn以外の全てのリング分波器のヒータに供給される電力を各々のリング分波器に対応するリング分波器のPPMの要素の値にする。この後、この状態で一定時間経過させて、共振波長を安定化させる。この後、リング分波器RDnの光検出器45において検出される光強度の値がピークとなるヒータ43に供給される電力量P
peakの値をリング分波器のPPMの要素(m、n)に格納する。
【0097】
ステップ180では、ループ2(Loop2)として、上記における工程をn=1、・・・、Nについて順次行ない、更に、ループ1(Loop1)として、ループ2をm=1、・・・、Nについて順次行なう。尚、ステップ180は、上述した第1の実施の形態等に対応した制御である。
【0098】
次に、ステップ190(S190)において、リング分波器のPPMにおけるP
heater、th以下の要素を削除する。具体的には、チップ温度の想定変動範囲に基づきリン分波器のP
heater、thを算出し、算出されたP
heater、thの値以下のリング分波器のPPMの要素を空白にする。尚、ステップ190は、上述した第4の実施の形態等に対応した制御である。
【0099】
次に、ステップ200(S200)において、i
target(=ロック対象レーザダイオードLDmの番号m−リング変調器RDnの番号n)を取得する。具体的には、リング分波器のPPMにおいて空白を有しない対角列の中から、最も上に位置するものを選択することによりi
targetを取得する。尚、ステップ200は、上述した第1の実施の形態等に対応した制御である。
【0100】
次に、ステップ210(S210)において、MCUによる制御が終了する。具体的には、全てのレーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNをオン(ON)にし、この状態で一定時間経過させて、レーザダイオードLD1、LD2、・・・、LDNから出射されるレーザ光の波長を安定化させる。この後、リング変調器のPPMに基づきリング変調器におけるヒータ34に供給される電力をロック対象レーザダイオードに設定し、リング変調器を一定値ICMに設定する。同様に、リング分波器のPPMに基づきリング分波器におけるヒータ43に供給される電力をロック対象レーザダイオードに設定し、リング分波器を一定値ICMに設定する。
【0101】
以上により、本実施の形態における制御シーケンスが終了する。
【0102】
上述した実施の形態においては、これまで未解決であった波長ずれ補正の自動制御を実現することが可能になる上、波長調整機構の消費電力が最小になる波長割当を行うことが可能になる。リング共振器におけるリング径の順序がランダムの場合の場合にも対応することが可能であり、レーザダイオード間、リング変調器やリング分波器等において、熱クロストークがある場合にも制御をすることが可能になる。
【0103】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0104】
上記の説明に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
異なる波長の光を出射する複数の光源と、光導波路に沿ってカスケード接続された複数のリング変調器と、を有し、前記リング変調器は、リング共振器と前記リング共振器における共振波長を調整するための波長調整電極とを備えており、前記複数の光源より出射された光を合波し前記光導波路に入射する光素子の制御方法において、
前記複数の光源のうちの1つの光源より光を出射する工程と、
前記リング変調器における前記波長調整電極に供給するパワーを調整することにより、前記1つの光源より出射された光の波長と前記リング変調器におけるリング共振器の共振波長とが一致する1または2以上のパワーの値を取得する工程と、
各々の前記光源と各々の前記リング変調器とに対応する前記一致するパワーの値の関係を得る工程と、
前記一致するパワーの値の関係に基づき各々の前記光源に対応する前記リング変調器を各々選択する工程と、
を有することを特徴とする光素子の制御方法。
(付記2)
前記光源の数と前記リング変調器の数は同じであって、
前記各々の前記光源と各々の前記リング変調器とに対応する前記一致するパワーの値の関係は、各々の前記光源及び各々の前記リング変調器のうちの一方を行とし、他方を列とする行列であって、前記光源と前記リング変調器とに対応する前記一致するパワーの値を前記行列の要素とするものであることを特徴とする付記1に記載の光素子の制御方法。
(付記3)
前記行列は、前記光源より出射された光の波長と前記リング変調器におけるリング共振器の共振波長とが一致するパワーの値が存在している場合には、対応する要素に前記一致するパワーの値が記憶されており、前記一致するパワーの値が存在していない場合には、対応する要素は空白となっているものであって、
前記選択する工程は、前記行列における前記空白を有しない対角列において、最も上、または、最も下の対角列を選択することを特徴とする付記2に記載の光素子の制御方法。
(付記4)
前記行列において、前記空白を有しない対角列が存在していない場合には、
前記行列において、前記空白を有しない対角列が存在するように、前記光源または前記リング変調器の順序を入れ替える工程を有することを特徴とする付記3に記載の光素子の制御方法。
(付記5)
異なる波長の光を出射する複数の光源と、光導波路に沿ってカスケード接続された複数のリング分波器と、を有し、前記リング分波器は、リング共振器と前記リング共振器における共振波長を調整するための波長調整電極とを備えており、前記複数の光源より出射された光を合波し前記光導波路に入射する光素子の制御方法において、
前記複数の光源のうちの1つの光源より光を出射する工程と、
前記リング分波器における前記波長調整電極に供給するパワーを調整することにより、前記1つの光源より出射された光の波長と前記リング分波器におけるリング共振器の共振波長とが一致する1または2以上のパワーの値を取得する工程と、
各々の前記光源と各々の前記リング分波器とに対応する前記一致するパワーの値の関係を得る工程と、
前記一致するパワーの値の関係に基づき各々の前記光源に対応する前記リング分波器を各々選択する工程と、
を有することを特徴とする光素子の制御方法。
(付記6)
前記光源の数と前記リング分波器の数は同じであって、
前記各々の前記光源と各々の前記リング分波器とに対応する前記一致するパワーの値の関係は、各々の前記光源及び各々の前記リング分波器のうちの一方を行とし、他方を列とする行列であって、前記光源と前記リング分波器とに対応する前記一致するパワーの値を前記行列の要素とするものであることを特徴とする付記5に記載の光素子の制御方法。
(付記7)
前記行列は、前記光源より出射された光の波長と前記リング分波器におけるリング共振器の共振波長とが一致するパワーの値が存在している場合には、対応する要素に前記一致するパワーの値が記憶されており、前記一致するパワーの値が存在していない場合には、対応する要素は空白となっているものであって、
前記選択する工程は、前記行列における前記空白を有しない対角列において、最も上、または、最も下の対角列を選択することを特徴とする付記6に記載の光素子の制御方法。
(付記8)
前記行列において、前記空白を有しない対角列が存在していない場合には、
前記行列において、前記空白を有しない対角列が存在するように、前記光源またはリング分波器の順序を入れ替える工程を有することを特徴とする付記7に記載の光素子の制御方法。
(付記9)
前記行列において、前記一致するパワーの値が所定の値以下の場合には、対応する要素を空白にする工程を有することを特徴とする付記3、4、7、8のいずれかに記載の光素子の制御方法。
(付記10)
前記リング共振器における共振波長を検出する光検出器を備え、
各々の前記光源に対する各々の前記リング共振器における前記一致する1または2以上のパワーの値は、前記光検出器において検出される値が最大となるように、前記波長調整電極に供給するパワーを調整することにより得られることを特徴とする付記1から9のいずれかに記載の光素子の制御方法。
(付記11)
前記調整は、2以上の前記光源より光を出射させた状態で行なうことを特徴とする付記10に記載の光素子の制御方法。
(付記12)
前記調整は、2以上の前記リング共振器における前記波長調整電極にパワーを印加した状態で行なうことを特徴とする付記10に記載の光素子の制御方法。
(付記13)
前記波長調整電極は、前記リング共振器における温度を変化させるものであることを特徴とする付記1から12に記載の光素子の制御方法。
(付記14)
前記光源は、レーザ光を出射する光源であることを特徴とする付記1から13に記載の光素子の制御方法。