(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-176087(P2015-176087A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】光伝導管
(51)【国際特許分類】
G02B 6/44 20060101AFI20150908BHJP
G02B 6/04 20060101ALI20150908BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
G02B6/44 396
G02B6/04 A
G02B6/04 E
G02B6/44 316
F21V8/00 200
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-54249(P2014-54249)
(22)【出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】511176056
【氏名又は名称】呂路可
(71)【出願人】
【識別番号】511176067
【氏名又は名称】常沢 俊弘
(71)【出願人】
【識別番号】514032717
【氏名又は名称】呂官諭
(71)【出願人】
【識別番号】514032728
【氏名又は名称】呂宜靜
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】呂路可
(72)【発明者】
【氏名】常沢俊弘
(72)【発明者】
【氏名】呂官諭
(72)【発明者】
【氏名】呂宜靜
【テーマコード(参考)】
2H001
2H046
2H150
【Fターム(参考)】
2H001BB25
2H001DD05
2H001DD10
2H001DD21
2H001DD22
2H001FF00
2H001FF02
2H001KK06
2H001KK17
2H001MM10
2H046AA00
2H046AA02
2H046AA08
2H046AA10
2H046AA13
2H046AA26
2H046AA39
2H046AA62
2H046AD00
2H046AD18
2H046AZ03
2H150AC57
2H150AH31
2H150BC00
2H150BC16
2H150BD00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】側面方向の強い応力を受けることができるだけでなく、照明としても使用でき、運用範囲の広い光伝導管を提供する。
【解決手段】複数本の繊維糸10を編んで単一の孔もしくは複数の孔を形成してなる。また、繊維糸10は、光を通すことができる材質からなる繊維糸10を少なくとも一本は含む。繊維糸10を編んで形成される単一の孔もしくは複数の孔をもつ管体は、側面方向の強い応力を受けることができるだけでなく、発光素子と合わせることで管体前端を照明として用いることができ、ニーズに応じて、各種繊維糸10を用いて生成させることができる。例えば、金属電線や電気信号キャリア材質を用いることで、電力或いは電子信号を伝達させることができる。このように、その運用の範囲は、従来の管体より幅広い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の繊維糸を編んで形成される光伝導管であって、前記繊維糸内には、光線を伝導することができる材質からなる繊維糸が少なくとも一本は含まれることを特徴とする、光伝導管。
【請求項2】
前記繊維糸の外側には樹脂が結合されることを特徴とする請求項1に記載の光伝導管。
【請求項3】
前記繊維糸は、さらに、グラスファイバー材、カーボンファイバー材、セラミックス繊維材、ガラスセラミックスファイバー材、金属材、電気信号キャリア材、或いは、プラスチック繊維材を含むことを特徴とする、請求項2に記載の光伝導管。
【請求項4】
前記光線を伝導することができる材質からなる繊維糸は、単一の芯をもつ光ファイバー、或いは、複合光ファイバーであることを特徴とする、請求項1に記載の光伝導管。
【請求項5】
前記複合光ファイバーは、光を通すことができる材質を樹脂に結合させてなるとともに、前記樹脂の光屈折率は前記光を通すことができる材質の屈折率より低いことを特徴とする請求項4に記載の光伝導管。
【請求項6】
前記樹脂は、熱可塑性樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の光伝導管。
【請求項7】
前記樹脂の光屈折率は、繊維糸の内の一種類の光屈折率より低いことを特徴とする、請求項2に記載の光伝導管。
【請求項8】
前記光伝導管は、複数の穿孔を備えることを特徴とする、請求項1に記載の光伝導管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管体に関し、特に繊維糸を編んで形成される光伝導管に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩は、人々の生活を便利にするだけでなく、医療技術を向上させる。特に、侵入式の手術で、外科の医師やその他の専門スタッフが、専門の機器を操作して、人体やその他の生物組織に入り込むことで、外からの力で病巣を取り除いたり、構造を変えたり、人工物を埋め込んだりすることができる。
【0003】
なお、手術の過程で生じる傷口の大きさは、術後の回復に影響する。従って、傷口をできるだけ小さくすることは、現在医療界が目指す重要なポイントとなっている。より多くの種類の手術が、口、鼻、肛門から、或いは、皮膚を切って医療機器を体内に入れるだけで、医師が操作をリードして、切除や縫合といった作業を行うことができる。しかしながら、上述の作業を行うために使用する器具の大多数は、管体に関連器具を搭載して人体に入り込み、管体を利用して体液の抽出、照明、撮影を行う。
【0004】
また、現在、多くの電子機械の回路は複雑になっており、故障した箇所を確認するために、時折、内視鏡に似た管に、各種の機器を搭載して、機械内部に侵入して観察し確認することがある。
【0005】
上述した内容から分かるように、管体の用途は幅広く、特に、管体は、各種機器を搭載して液体の抽出を行ったり、機器を搭載して体内に侵入したり、機械内で検査修理を行うことができる。しかしながら、各種機器も時代によって進化する。管体はその内の一つの部品にすぎないが、長い間、材質上の研究開発はされていたものの、構造上の改良や刷新は行われておらず、管体の技術分野において速やかな改良が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、側面方向の強い応力を受けることができるだけでなく、照明としても使用でき、運用範囲の広い光伝導管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による光伝導管は、複数本の繊維糸を編んで、単一の孔或いは複数の孔をもつように形成されるとともに、光線を伝導することができる材質からなる繊維糸を少なくとも一本は含む。
【0008】
好ましくは、前記繊維糸は、樹脂を一体に結合する。
【0009】
好ましくは、前記繊維糸は、更に、グラスファイバー材、カーボンファイバー材、セラミックス繊維材、ガラスセラミックスファイバー材、金属材、或いは、プラスチック繊維材を含む。
【0010】
また、光線を伝導することができる材質の繊維糸は、異なるニーズに合わせて、単一の芯をもつ光ファイバー、或いは、複合光ファイバーにすることができる。
【0011】
また、前記複合光ファイバーは、光を伝導することができる材質を樹脂で被覆してなるとともに、前記樹脂の光屈折率は前記光を通すことができる材質の屈折率より低く、それにより、光線を伝導することができる光伝導管を生成することができる。
【0012】
好ましくは、樹脂は、熱可塑性樹脂或いは熱固性樹脂である。
【0013】
好ましくは、樹脂の光屈折率は、繊維糸の内の一種類の光屈折率より低い。
【発明の効果】
【0014】
繊維糸を編んで形成される光伝導管によって、側面方向の強い応力を受けることができるだけでなく、光線を伝導させることができる。それにより、光伝導管の出口、或いは、その他の位置を発光させて照明として使用することができる。以上のように、運用の範囲を幅広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】本発明の実施例の複数の孔をもつ管体の断面図である。
【
図5】本発明の実施例の複数の孔をもつ別の種類の管体の断面図である。
【
図6】本発明の実施例の
図1の領域Aの一部を拡大した一実施形態を示した図である。
【
図7】本発明の実施例の
図1の領域Aの一部を拡大した別の実施形態を示した図である。
【
図8】本発明の実施例の
図1の領域Aの一部を拡大したさらに別の実施形態を示した図である。
【
図10】本発明のさらに別の実施例の斜視図である。
【
図11】光線を伝導することができる繊維糸を利用した本発明の実施例の斜視図である。
【
図12】光線を伝導することができる繊維糸を利用した本発明の実施例の斜視図である。
【
図14】光線を伝導することができるもう一つの繊維糸を利用した本発明の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の関連分野の技術者に本発明の詳細構造をさらに理解してもらえるよう、以下に、各種図及び符号を用いて、本発明の実施例について詳細な説明を行う。
【0017】
図1と
図2を参照する。
図1と
図2は、光伝導管の一実施形態である。本実施例は、複数本の繊維糸10を編んで形成され、繊維糸10内には、光線を伝導することができる材質からなる繊維糸を少なくとも一本は含む。編織繊維糸10を編んで形成される光伝導管によって、この光伝導管は、大きなせん断応力を受けることができるようになるとともに、光線を伝導することができる材質の繊維糸内に光線を伝導させることができる。従って、優れた可塑性を備えさせることができるとともに、光線を伝導することができる材質の繊維糸の出口端を光伝導管の管口部或いは管身部に設けることができ、それにより、照明として使用できる。また、本実施例の光伝導管は、光学レンズと直接結合させることができ、それにより、ピンホールカメラや撮影に使用することができる。このように、従来の管体と比べ、その運用範囲が更に幅広くなる。
【0018】
また、編み終わった後、各繊維糸10の外側に樹脂20を結合させることで、その後の洗う等の作業を行いやすくすることができる。また、樹脂20は、熱可塑性樹脂、或いは、熱固性樹脂、或いは、耐高温高圧の樹枝混合物にすることができる。
【0019】
また、これらの繊維糸10は、光線を伝導することができる材質、即ち、グラスファイバー材、カーボンファイバー材、セラミックス繊維材、ガラスセラミックスファイバー材、金属材、電気信号キャリア材、或いは、プラスチック繊維材にすることができる。異なる材質を混ぜて利用することにより、ニーズに応じて、さまざまな特性の管体を作り出すことができる。例えば、硬度を向上させたり、弾性を増加させたり、信号の伝導能力や電力の伝達能力をもたせたりすることができる。以上により、使用の利便性を高めることができる。
【0020】
また、
図2と
図3を同時に参照する。
図2では、各繊維糸10、10’の切断面の直径サイズが二種類以上あり、
図3では、繊維糸10切断面の直径サイズは一種類のみである。この二つの差は、さまざまな材質に応じて決定されるか、或いは、ニーズに応じて対応するサイズの繊維糸が生成される。この二つの図から分かるように、本発明で使用される繊維糸の細さ、配列には制限がない。例えば、周囲の繊維糸10’は、金属材を利用して管体周囲の強度を強化することもできるし、或いは、光伝導材質を利用して光線を伝導させる用途にすることもできる。
【0021】
また、
図3から
図5の各種管体の断面形状を参照する。
図3は、一般的な単一の孔をもつ管体の断面である。
図4は、複数の孔をもつ管体であり、複数の種類の装置やピアノ線(或いはワイヤー)を入れて孔の一端を結合させることにより、ピアノ線を引っ張ると、管体の曲がる方向を制御することができる。また、
図5は、二つの孔をもつ別の種類の管体である。この三つの図から分かるように、本実施例は、どのような形状の管体に編むこともでき、さらに、管体内で各孔の通路を合併、連結、分岐させることにより、各種のニーズに合わせることができる。
【0022】
また、
図6を参照する。
図6は、
図1の領域Aの拡大図である。
図6では、各繊維糸10を互いに交錯させて編む一種の方法を示している。
図7は、複数の繊維糸10を一組にし、垂直に交錯させて編む方法である。また、
図8は、交錯させて編むもう一つの方法である。これらの図から分かるように、多くの編む方法があり、異なるニーズや材質の特性に応じて、異なる編む方法を採用し、必要な効果を得ることができる。従って、図に示した方法に限定されない。また、一部の繊維糸の両端は、光伝導管の両端に位置させる(貫くように)ことができ、さらに、同じ或いは異なる長さの繊維糸を巻き付けて光伝導管を形成させることもできる。
【0023】
図9では、光線を伝導することができる材質を含む繊維糸を前記光伝導管の末端Xまで編み、さらに、光伝導管の中空孔の通路を他端Yまで編む。以上により、この図に示す光伝導管は、末端Xに発光素子を連結することができ、それにより、光線を伝導することができる材質の繊維糸を経由して管口部或いは特定部位へと伝達させ光線を発することができる。また、光伝導管の他端Yには抽出装置を連結させることができ、それにより、光伝導管を使用して液体の抽出搬送を行うことができる。従って、光伝導管は、照明と抽出の両方を同時に行うことができ、使用の利便性を大幅に向上させることができる。
【0024】
図10に示すように、光伝導管的末端は、必要に応じて外へと突出する曲面Zを形成させることができ、平らな平面に限定されない。
【0025】
また、光線を伝導することができる材質の繊維糸10は、単一の芯をもつ光ファイバー30(
図11に図示)、或いは、複合光ファイバー40(
図12と
図13に図示)、或いは、
図14に図示する複数の芯をもつ光ファイバー50にすることができる。光線を伝導することができる材質の繊維糸10は複数種類あるため、異なる屈折率の材質を結合させてなる光線を伝導することができる材質を利用することもできる。また、複合光ファイバー40は、樹脂41を光伝導層42に結合させてなるとともに、樹脂41の光屈折率は、光伝導層42の屈折率より低い(複数の芯をもつ光ファイバー50も、同様の製造方式であり、その差は、光伝導層の数量だけである)。
図2に示すように、周囲の繊維糸10’は、本段で述べた光伝導層に光屈折率が低い樹脂20を結合させることで、光線を伝導する目的を達成することができる。
【0026】
光線を伝導させることができる材質或いは光を通すことができる材質は数多くの種類が存在し、本実施例で示した形態に制限されず、光線の伝導を達成することができる材質であれば、いずれも、同様の効果を持つ材質と見なすものとする。
【符号の説明】
【0027】
10 繊維糸
10’ 繊維糸
20 樹脂
30 単一の芯をもつ光ファイバー
40 複合光ファイバー
41 樹脂
42 光を通すことができる材質
50 複数の芯をもつ光ファイバー
A 領域
X 末端
Y 端
【手続補正書】
【提出日】2015年7月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の繊維糸を編んで形成される光伝導管であって、
前記複数本の繊維糸のうちの少なくとも一本は、光線を伝導することができる材質からなり、
編み終わった後の前記各繊維糸が熱可塑性樹脂、熱固性樹脂あるいは耐高温高圧の樹脂混合物で被覆されることで、当該光伝導管の外周面、端面および内周面が形成され、
前記繊維糸の端部は当該光伝導管の前記端面から当該光伝導管の外部に臨むとともに、前記繊維糸の端面を除き、前記繊維糸の端部の周囲が前記熱可塑性樹脂、熱固性樹脂あるいは耐高温高圧の樹脂混合物で被覆されており、
さらに、前記複数本の繊維糸のうちの少なくとも一本は、グラスファイバー材、カーボンファイバー材、セラミックス繊維材、ガラスセラミックスファイバー材、金属材、電気信号キャリア材、或いは、プラスチック繊維材からなり、
前記光線を伝導することができる材質からなる繊維糸は、単一の芯をもつ光ファイバー、或いは、複合光ファイバーである
ことを特微とする光伝導管。
【請求項2】
請求項1に記載の光伝導管において、
当該光伝導管は二以上の筒孔を有する
ことを特微とする光伝導管。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の光伝導管において、
前記筒孔にはワイヤーが挿入され、前記ワイヤーの一端が前記筒孔の一端に結合され、前記ワイヤーを引っ張ることで当該光伝導管の曲がる方向を制御できるようになっている
ことを特微とする光伝導管。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光伝導管において、
前記筒孔の他端には抽出装置が連結され、当該光伝導管の前記筒孔を通して液体の抽出搬送が行われる
ことを特徴とする光伝導管。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光伝導管において、
前記複合光ファイバーは、光を通すことができる材質を樹脂に結合させてなるとともに、前記樹脂の光屈折率は前記光を通すことができる材質の屈折率より低い
ことを特徴とする光伝導管。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光伝導管において、
前記熱可塑性樹脂、熱固性樹脂あるいは耐高温高圧の樹脂混合物の光屈折率は、前記光線を伝導することができる材質からなる繊維糸の光屈折率より低い
ことを特徴とする光伝導管。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の光伝導管において、
当該光伝導管の末端Xに発光素子が連結されており、
当該光伝導管は途中で分岐して前記末端Xとは異なる他端Yを有し、
前記他端Yには抽出装置が連結されている
ことを特徴とする光伝導管。