特開2015-176537(P2015-176537A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

特開2015-176537無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム
<>
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000004
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000005
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000006
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000007
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000008
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000009
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000010
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000011
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000012
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000013
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000014
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000015
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000016
  • 特開2015176537-無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-176537(P2015-176537A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 17/00 20060101AFI20150908BHJP
【FI】
   G06K17/00 L
   G06K17/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-54471(P2014-54471)
(22)【出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 貢一
(72)【発明者】
【氏名】柳沼 順
(72)【発明者】
【氏名】槌田 直
【テーマコード(参考)】
5B058
【Fターム(参考)】
5B058CA17
5B058KA02
(57)【要約】
【課題】リストの位置情報と、実際に物品が存在する位置との差異を低減し、無線タグの探索時間を短縮する無線タグ通信装置を提供する。
【解決手段】複数の物品に備えられ、識別情報を記憶した無線タグと通信し、無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能で通信する無線タグ通信部と、無線タグの識別情報と、物品が存在する位置情報とを紐付けしたリストの情報を記憶する記憶部と、無線タグの読取を行う位置情報を入力する位置情報設定部と、第1の読取機能で読取った無線タグの識別情報に対応するリスト上の位置情報と、位置情報設定部で入力した位置情報とを比較する比較部と、比較部で比較したそれぞれの位置情報が異なるときに、リスト上の位置情報を入力した位置情報に変更するリスト情報設定部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品に備えられ、識別情報を記憶した無線タグと通信し、前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能で通信する無線タグ通信部と、
前記無線タグの識別情報と、前記物品が存在する位置情報とを紐付けしたリストの情報を記憶する記憶部と、
前記無線タグの読取を行う位置情報を入力する位置情報設定部と、
前記第1の読取機能で読取った前記無線タグの識別情報に対応する前記リスト上の位置情報と、前記位置情報設定部で入力した位置情報とを比較する比較部と、
前記比較部で比較したそれぞれの位置情報が異なるときに、前記リスト上の位置情報を前記位置情報設定部から入力した位置情報に変更するリスト情報設定部と、
を備える無線タグ通信装置。
【請求項2】
前記無線タグ通信部により、前記リストの位置情報に対応するエリアに存在すべき無線タグを読取れないとき、前記リスト情報設定部は、読み取れなかった無線タグの前記リスト上の位置情報を、前記エリア以外を示す位置情報に変更する請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項3】
前記無線タグ通信部は、指定した無線タグの読取状況に応じた送信出力を設定して繰返し読取動作を行う第2の読取機能により前記無線タグと通信可能であって、
前記第1の読取機能を用いて無線タグを読取ったときに、前記比較部で比較したそれぞれの位置情報が異なる場合は、前記第2の読取機能に切換えて前記無線タグの探索を行う請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項4】
前記無線タグ通信部は、指定した無線タグの読取状況に応じた送信出力を設定して繰返し読取動作を行う第2の読取機能により前記無線タグと通信可能であって、
前記無線タグ通信部により、前記第1の読取機能により前記無線タグを探索したときに、前記リストの位置情報に対応するエリアに存在すべき無線タグを読取れないとき、前記第2の読取機能に切換えて前記無線タグの探索を行う請求項1記載の無線タグ通信装置。
【請求項5】
前記無線タグ通信部は、前記物品の保管エリアを示す位置情報を記憶した第2の無線タグと通信可能であって、前記第2の無線タグを指定して読取動作を行うる第3読取機能によって前記第2の無線タグを読取り、
前記比較部は、前記位置情報設定部で入力する位置情報に代えて、前記第2の無線タグから読取った前記保管エリアを示す位置情報を、前記リスト上の位置情報と比較する請求項1乃至4記載の無線タグ通信装置。
【請求項6】
複数の物品に備えられ、識別情報を記憶した無線タグと通信する無線タグ通信装置と上位機器とから構成され、前記無線タグ通信装置は、前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能で前記無線タグと通信する無線タグ通信部を有する無線タグ通信システムであって、
前記無線タグ通信システムは、
前記無線タグの識別情報と、前記物品が存在する位置情報とを紐付けしたリストの情報を記憶する記憶部と、
前記無線タグの読取を行う位置情報を入力する位置情報設定部と、
前記第1の読取機能で読取った前記無線タグの識別情報に対応する前記リスト上の位置情報と、前記位置情報設定部で入力した位置情報とを比較する比較部と、
前記比較部で比較したそれぞれの位置情報が異なるときに、前記リスト上の位置情報を前記位置情報設定部から入力した位置情報に変更するリスト情報設定部と、
を備える無線タグ通信システム。
【請求項7】
複数の物品に備えられ、識別情報を記憶した無線タグと通信し、前記無線タグ記憶された情報を探索して処理する無線タグ通信プログラムであって、コンピュータに、
前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能で前記無線タグと通信を行う通信機能と、
前記無線タグの識別情報と前記物品が存在する位置情報とを紐付けしたリストの情報を記憶した記憶部から、前記第1の読取機能で読取った前記無線タグの識別情報に対応する位置情報を前記リストから抽出する抽出機能と、
抽出した前記位置情報と、位置情報設定部から入力された前記無線タグの読取を行う位置情報とを比較する比較機能と、
前記比較機能により比較したそれぞれの位置情報が異なるときに、前記リスト上の位置情報を前記位置情報設定部から入力された位置情報に変更する変更機能と、
を実現させるための無線タグ通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、対象物を探す作業の効率化を図った無線タグ通信装置、無線タグ通信システム及び無線タグ通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗、倉庫或いはオフィス等で、商品や機材等の物品に無線タグを貼付し、無線タグ通信装置を用いて無線タグの記憶部の情報を非接触で読取り、物品の存在を検出するシステムがある。短時間で複数の無線タグの情報を取得できるため、各種作業の効率化等の点で注目されており、無線タグ通信装置の通信範囲が広いほど、多くの無線タグの情報を取得することができる。
【0003】
例えば、複数のエリアに格納された機材に識別情報を記憶した無線タグを貼付し、無線タグ通信装置を使用して、対象の機材を探索する場合がある。複数のエリアは別棟の場合もあれば同じ建屋で仕切られた場合もある。また上位機器であるサーバに、機材名と、機材に貼付された無線タグの識別情報と、機材が存在するエリア情報とが紐付けられたリスト情報を格納しておくことで、オペレータは、リスト情報の中から対象の機材を設定し、対象の機材を探索することができる。機材を探索して持ち出した後は、元のエリアに返却するようにしている。
【0004】
代表的な無線タグとしては、例えばISO/IEC18000-6typeCの規格の無線タグがある。また特許文献1には、複数の無線タグの中から特定のID情報を有する無線タグを検出し、物品の認識作業を行う無線タグ通信装置が開示されている。
【0005】
ところで、従来の無線タグ通信装置では、リスト上の位置情報と実際に機材のある位置が差異することがあった。差異が生じる原因としては、オペレータが機材を持ち出したあと異なるエリアに機材を間違って返却してしまった場合や、オペレータが返却しようとしたエリアに空きスペースが無く、やむを得ず別のエリアに機材を返却したままリストの位置情報を変更しなかった場合や、新規の機材を保管する場合に空きスペースが無く、或る機材を別のエリアに移動して、リストの位置情報を変更しなかった場合、などが考えられる。
【0006】
しかしながら、リスト上の位置情報と実際に機材のある位置に差異が生じると、機材を探索する場合に、オペレータはリストの位置情報のエリアに対象の機材があると思い、そのエリア内で何度も探索動作を行ったあげく見つからないといった事態を招く。したがって、別のエリアに行って探索を行うことになり、探索に時間がかかるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−237941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明が解決しようとする課題は、リストの位置情報と、実際に物品が存在する位置との差異を低減し、無線タグの探索時間を短縮する無線タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る無線タグ通信装置は、複数の物品に備えられ、識別情報を記憶した無線タグと通信し、前記無線タグを指定せずに読取動作を行う第1の読取機能で通信する無線タグ通信部と、前記無線タグの識別情報と、前記物品が存在する位置情報とを紐付けしたリストの情報を記憶する記憶部と、前記無線タグの読取を行う位置情報を入力する位置情報設定部と、前記第1の読取機能で読取った前記無線タグの識別情報に対応する前記リスト上の位置情報と、前記位置情報設定部で入力した位置情報とを比較する比較部と、前記比較部で比較したそれぞれの位置情報が異なるときに、前記リスト上の位置情報を前記位置情報設定部から入力した位置情報に変更するリスト情報設定部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る無線タグ通信装置を用いた物品探索の説明図。
図2】一実施形態に係る無線タグ通信装置の外観図及びアンテナの断面図。
図3】一実施形態で使用するリストの情報の一例を示す説明図。
図4】一実施形態に係る無線タグ通信装置の構成を示すブロック図。
図5】一実施形態における無線タグ通信部と通信制御部の具体的な構成を示すブロック図。
図6】一実施形態における制御部の処理手順を示すフローチャート。
図7】一実施形態における第1の読取機能の無線通信プロトコルのタイミングチャート。
図8A】第2の実施形態における制御部の処理手順を示すフローチャート。
図8B】第2の実施形態における第2の読取機能の処理手順を示すフローチャート。
図9】第2の実施形態における第2の読取機能の無線通信プロトコルのタイミングチャート。
図10】第3の実施形態における制御部の処理手順を示すフローチャート。
図11】第3の実施形態における制御部の他の処理手順を示すフローチャート。
図12】第4の実施形態における第2の無線タグのデータ構造例と無線通信プロトコルのタイミングチャート。
図13】第5の実施形態に係る無線タグ通信装置の構成を示すブロック図。
【0011】
以下、発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付す。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無線タグ通信装置を用いた物品探索の説明図である。探索対象の物品は、機材あるいは商品であり、対象エリア(例えばエリア1〜エリア4)に複数の機材(10、10…)が格納されている。エリア1〜エリア4は、例えば、別棟あるいは同じ建屋内の区切られた領域である。
【0013】
それぞれの機材10には、無線タグ11が貼付されており、無線タグ11の記憶部には、無線タグを特定する識別情報(タグID)やそれぞれの機材を識別する識別情報が記憶されている(詳細は後述)。また無線タグ通信装置20は、無線により無線タグ11と通信して、無線タグ11の記憶部に記憶された識別情報(タグID)等を受信して読み取る。また無線タグ通信装置20は、上位機器100と通信することができる。
【0014】
図2(a)は、無線タグ通信装置20の外観図である。無線タグ通信装置20は、本体21内にアンテナ22を内蔵し、かつ本体21には、ディスプレイ等の通知部24と、キーボード等の入力部25を備えている。尚、図2(a)では、本体21とアンテナ22は一体化しているが、アンテナ22は本体21から分離し、ケーブルを介して接続する構造であってもよい。オペレータは、アンテナ22の面を任意の方向に向けて無線タグ11の読取を行う。
【0015】
図2(b)に示すように、アンテナ22は、アンテナ筐体23の内部に板状の誘電体221を固定し、この誘電体221のアンテナ面26側に放射器222を設け、その反対の背面側にグランド223を設けた平面パッチアンテナである。そして、アンテナ面26の中心から略垂直方向に最大の利得を持つ指向性を有している。
【0016】
一方、上位機器100であるサーバには、機材10の品名、無線タグ11の識別情報及び無線タグ11を保管している位置(エリア)情報が紐付けられたリストの情報を格納している。
【0017】
図3は、上位機器100に格納されたリストの一例を示す説明図である。リストの情報(リスト情報)は、品名(機材1〜機材n)と、各機材に貼付された無線タグ11の識別情報と、各機材が保管されたエリアを示す位置情報で構成される。
【0018】
位置情報は、複数桁の2値(0,1)情報であり、例えば最下位(右端)の桁から最上位の桁(左端)に向かって順にエリア1、エリア2、エリア3、エリア4を示す。また各桁の2値の数値のうち、“0”は、そのエリアに無線タグ11が無いことを示し、“1”はそのエリアに無線タグ11が有ることを示している。
【0019】
例えば、機材1の位置情報「0001」は、無線タグ11がエリア1に有る可能性を示し、エリア2、エリア3、エリア4には無いことを示している。また機材15の位置情報「1110」は、無線タグ11がエリア1に無く、エリア2、エリア3、エリア4に有る可能性を示す。言い換えれば、エリア1以外に有る可能性があることを示している。無線タグ通信装置20は、例えば、無線LANなどで上位機器100であるサーバと通信できる構成になっており、リスト情報などを送受信する。
【0020】
図4は、無線タグ通信装置20の構成を示すブロック図である。無線タグ通信装置20(以下、単に通信装置20と呼ぶ)は、通知部24、入力部25のほかに、無線タグ通信部30、電源部31、上位機器100との通信を行う通信部32及び制御部33を備えている。上位機器100は、例えばサーバでなる。
【0021】
通知部24はディスプレイとブザーを含み、入力部25はキーボード等で構成される。尚、入力部25は、通知部24のディスプレイ上に構成したタッチパネルでもよい。無線タグ通信部30は、アンテナ22を備え、無線により無線タグ11と通信して、無線タグ11の記憶部12に記憶された無線タグ識別情報13(タグID)や、機材1〜nを識別する機材識別情報14等を受信して読み取る。無線タグ通信部30の詳細は後述する。無線タグ識別情報13は、以下の説明ではタグID13と呼ぶ。
【0022】
電源部31は、バッテリと、バッテリを充電及び放電する制御回路からなる。通信部32は、通信回線(例えば無線LAN)を介して上位機器100と接続され、上位機器100と通信を行うことができる。通信回線は有線、無線を問わない。上位機器100には、図3で示すリスト情報が格納されている。
【0023】
制御部33は、コンピュータを構成するもので、CPU(Central Processing Unit)34を有し、入力部25、通知部24、無線タグ通信部30、電源部31及び通信部32を制御して通信装置20の全体を制御する。また制御部33は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を含む記憶部35を有する。記憶部35のROM350には、制御部33が使用するプログラムや設定データ等が予め格納されている。RAMには、制御部33の作用により可変的なデータが一時的に書き込まれる。
【0024】
また記憶部35には、無線タグ通信部30が受信したタグIDを含む無線タグ読取情報351と、上位機器100から受信したリスト情報352と、各エリアで読取を開始するときに入力される位置情報353などを格納する。また、リスト情報352は、入力部25のリスト情報設定部251によって入力・更新することができる。位置情報353は、入力部25の位置情報設定部252によって選択された内容が設定される。
【0025】
図2(a)のディスプレイ24には、位置情報の入力時に表示される画面の一例を示している。ディスプレイ24には、例えば、「エリア情報を入力して下さい」といったメッセージが表示され、オペレータが入力部25を操作して複数のエリア1〜エリア4の中から位置情報(例えばエリア「1」)が入力された例を示している。
【0026】
また、制御部33は、通信制御部36を備えている。通信制御部36は、無線タグ通信部30に送信出力や送信データ等を設定して制御するとともに、受信データを受信制御する。通信制御部36については無線タグ通信部30と併せて後述する。
【0027】
さらに制御部33は、比較部37を有し、比較部37はタグ読取情報351のタグIDと紐付けられたリスト情報352に含まれる位置情報と、位置情報設定部252で設定された位置情報353を比較する。比較部37の動作については、後述する。
【0028】
図5は、無線タグ通信部30と通信制御部36の具体的な構成を示すブロック図である。無線タグ通信部30は、無線タグ11にデータを送信する送信部41と、無線タグ11からデータを受信する受信部42と、サーキュレータ等の方向性結合器43と、ローパスフィルタ44と、アンテナ22を備え、方向性結合器43に、送信部41、受信部42及びローパスフィルタ44を接続し、方向性結合器43を、ローパルフィルタ44を介してアンテナ22に接続している。
【0029】
送信部41は、符号化部45、PLL(Phase Locked Loop)部46、振幅変調部47、バンドパスフィルタ48及び電力増幅器49を有している。符号化部45は、通信制御部36の送信制御部72から出力される送信信号を符号化する。PLL部46は、振幅変調部47にローカルキャリア信号を供給する。振幅変調部47は、PLL部46からのローカルキャリア信号を、符号化部45にて符号化した送信信号で振幅変調する。
【0030】
バンドパスフィルタ48は振幅変調部47で振幅変調された送信信号から不要な成分を除去する。電力増幅器49は、通信制御部36の送信出力設定部71からの送信出力設定信号に応じた増幅率で送信信号を増幅する。送信信号を増幅することにより送信出力が可変され、電力増幅器49で増幅された送信信号は、方向性結合器43に供給される。
【0031】
方向性結合器43は、送信部41からの送信信号を、ローパスフィルタ44を介してアンテナ22に供給する。アンテナ22に供給された送信信号は、アンテナ22から電波として放射される。アンテナ22から放射された電波を受信して無線タグ11は起動する。起動した無線タグ11は、無変調信号に対してバックスキャッタ変調を行うことにより無線タグ11の記憶部12に格納された情報を通信装置20に無線送信する。無線タグ11からの無線信号は、アンテナ22で受信される。
【0032】
アンテナ22で受信した受信信号は、ローパスフィルタ44を介して方向性結合器43に供給される。方向性結合器43は、アンテナ22の受信信号、即ち、無線タグ11からの信号を受信部42に供給する。受信部42は、I信号生成部50、Q信号生成部51、I信号処理部52、Q信号処理部53及び受信信号レベル検出部54を備えている。
【0033】
I信号生成部50は、ミキサ55と、ローパスフィルタ56と、2値化回路57とからなる。Q信号生成部51は、ミキサ58と、ローパスフィルタ59と、2値化回路60と、90度位相シフト器61とからなる。
【0034】
I信号処理部52は、I信号同期クロック生成部62、I信号プリアンブル検出部63、I信号復号部64及びI信号エラー検出部65からなる。Q信号処理部53は、Q信号同期クロック生成部66、Q信号プリアンブル検出部67、Q信号復号部68及びQ信号エラー検出部69からなる。
【0035】
受信部42は、方向性結合器43からの受信信号を、第1のミキサ55と第2のミキサ58にそれぞれ入力する。また、受信部42は、PLL部46からのローカルキャリア信号を、第1のミキサ55と90度位相シフト器61とに入力する。90度位相シフト器61は、ローカルキャリア信号の位相を90度シフトして、第2のミキサ58に供給する。
【0036】
第1のミキサ55は、受信信号とローカルキャリア信号とを混合して、ローカルキャリア信号と同相成分のI信号を生成する。I信号は、ローパスフィルタ56を介して2値化回路57に供給される。ローパスフィルタ56は、I信号から不要な高周波成分を除去して、符号化されたデータ成分を取り出す。2値化回路57は、ローパスフィルタ56を通過した信号を2値化する。
【0037】
第2のミキサ58は、受信信号と90度位相がシフトされたローカルキャリア信号とを混合して、ローカルキャリア信号と直交成分のQ信号を生成する。Q信号は、ローパスフィルタ59を介して2値化回路60に供給される。ローパスフィルタ59は、Q信号から不要な高周波成分を除去して、符号化されたデータ成分を取り出す。2値化回路60は、ローパスフィルタ59を通過した信号を2値化する。
【0038】
2値化回路57で2値化したI信号は、I信号処理部52の各部62〜65にそれぞれ供給される。また、2値化回路60で2値化したQ信号は、Q信号処理部53の各部66〜66にそれぞれ供給される。I信号処理部52とQ信号処理部53は、その動作が共通であるため、以下ではI信号処理部52について説明し、Q信号処理部53の説明は省略する。
【0039】
同期クロック生成部62は、2値化回路57からの2値化信号と同期したクロック信号を常時生成し、生成したクロック信号を、通信制御部36の受信制御部70、プリアンブル検出部63、復号部64及びエラー検出部65に供給する。
【0040】
プリアンブル検出部63は、同期クロック生成部62からのクロック信号を基に、I信号の先頭に付されているプリアンブルを検出する。プリアンブルが検出されると、プリアンブル検出部63は、通信制御部36の受信制御部70に検出信号を出力する。プリアンブル検出信号を受信すると、受信制御部70は、復号部64に復号開始の指令信号を供給する。復号部64は、同期クロック生成部62からのクロック信号に同期して、2値化回路57からの2値化信号をサンプリングする。そして、受信制御部70から復号開始の指令を受けると、そのサンプリングした2値化信号を復号する。復号されたデータは、受信制御部70に供給される。
【0041】
受信制御部70は、復号されたデータをエラー検出部65に供給する。エラー検出部65は、復号されたデータのチェックコードからエラー有無を検出する。そして、検出結果を示すデータを受信制御部70に供給する。受信制御部70は、I信号或いはQ信号の少なくとも一方で誤りが無い場合、正しくデータを受信したと判定する。正しく受信した受信データは、記憶部35にタグ読取情報351として格納される。
【0042】
受信信号レベル検出部54は、ローパスフィルタ56を通過したI信号の振幅と、ローパスフィルタ59を通過したQ信号の振幅とをそれぞれ検出する。そして、大きい方の振幅の値を、受信信号レベルとして通信制御部36に通知する。或いは、I信号とQ信号をベクトル合成した(1)式の値を受信信号レベルとして通知してもよい。
【数1】
【0043】
通信制御部36は、受信制御部70のほかに、送信出力設定部71、送信制御部72、機能設定部73及び受信状態検出部74を有している。受信状態検出部74は、所定時間の間の受信成功率を算出する。或いは、所定時間に受信信号レベル検出部54から通知された受信信号レベルの平均値或いは最大値を用いて受信状態を検出してもよい。受信成功率は(2)式で求められる。
【0044】
受信成功率=正しくデータを受信した回数/(正しくデータを受信した回数+エラーを検出した回数) …(2)
以下、ISO18000-6Cのプロトコルを使用した場合を例にとって説明する。通信装置20は、ISO18000-6Cのプロトコルを使用した、第1の読取機能(通常読取機能)、第2の読取機能(読取るタグを指定して読取りを繰返し、読取状態を検出して送信出力を制御する読取機能)、及び第3の読取機能(指定読取機能)の3つの読取機能を持つ。通信制御部36は機能設定部73を備え、機能設定部73は、第1の読取機能、第2の読取機能及び第3の読取機能のうち1つを設定する。通信制御部36の送信制御部72、送信出力設定部71、受信状態検出部74は、機能設定部73で設定された機能に従い、対応した動作を行うように構成されている。
【0045】
第1読取機能(通常読取機能)は、無線タグ11を指定しないで読取を行う機能であり、アンテナ22から放射された電波を受けて起動し、通信可能な状態にある無線タグ11と通信を行い、無線タグ11の記憶部12に格納されたタグID13を読取る。
【0046】
第2の読取機能(指定繰返し読取機能)は、ISO18000-6 type CのSelectコマンドにより応答する無線タグ11を指定して、無線タグ11の記憶部12に格納されたタグID13と機材識別情報14の読取りを繰返す。また第2の読取機能は、受信状態検出部74で検出した受信状態によって送信出力設定部71で送信出力を制御し、指定した無線タグ11の存在範囲を絞込む機能であり、オペレータが指定した無線タグ11を特定するのを補助する。第2の読取機能は、さらに通信制御部36の受信状態検出部74で検出した受信状態を通知部24で通知する。
【0047】
第3読取機能(指定読取機能)は、ISO18000-6CのSelectコマンドにより応答する無線タグ11を指定して読取を行う機能であり、アンテナ22から放射された電波を受けて起動し、かつ、Selectコマンドで指定されたタグIDと合致した無線タグ11だけが応答し、その無線タグ11と通信を行って記憶部12に格納されたタグID13を読取る。
【0048】
以下、第1の読取機能について説明する。図6は、無線タグ通信装置による第1の読取機能で無線タグ11の読取を行う場合の、制御部33の処理手順を示すフローチャートである。図6のフローチャートの処理は、ROM350に格納された無線タグ探索プログラムによって、CPU34の制御のもとに実行される。
【0049】
オペレータが、図1の対象エリアにおいて通信装置20を携帯し、例えば、入力部25の作業開始キーを操作すると、無線タグ探索プログラムが起動する。無線タグ探索プログラムを起動すると、通信装置20は上位機器100からリスト情報を受信する。
【0050】
次にオペレータが入力部25を操作して第1の読取機能の開始キーを入力すると、制御部33は、図6の動作(Act)A1で第1の読取機能に設定する。また動作A2でオペレータは、図1のエリア1の入口付近で、例えば、図2(a)に示すように、位置情報(例えばエリア1)を入力する。
【0051】
次に、第1の読取機能の場合の予め定められた送信出力に対応した送信出力設定信号が送信出力設定部71から出力される。また、送信制御部72から第1の読取機能の場合の送信信号が出力され、かつ送信制御部72は送信タイミング等を設定する。そして動作A3で第1の読取機能により通常読取りを開始する。送信出力設定部71から送信出力設定信号を出力すると、無変調キャリア信号がアンテナ22から電波として放射され、送信制御部72から送信信号を出力すると、無線タグ11に対する送信が行われる。
【0052】
制御部33は、動作A4で入力部25から第1の読取機能終了のキー入力があるか否かを判断し、第1の読取機能終了のキー入力を検出するまで通常読取を続ける。第1の読取機能終了のキー入力があると処理を終了する。
【0053】
図7は、通信装置20と無線タグ11(ここでは、4つの無線タグTG1〜TG4)との間の無線通信プロトコルの一例を示すタイミングチャートである。上述のように、ISO18000-6 type Cのプロトコルに準拠する例を示しており、1ラウンドあたりのスロット数を“4”とした場合である。
【0054】
図7において、記号[Q]、[R]、[A]、[ID]、[Qr]はいずれも通信データを示している。各通信データの先頭には、データの先頭を示すプリアンブル符号が含まれ、また各通信データには、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号が含まれており、受信側でエラーを検出できる。
【0055】
先ず、通信装置20は、無変調のキャリア信号をアンテナ22から電波として送信する。各無線タグTG1〜TG4は、この電波を受けて起動する。次に通信装置20は、第1ラウンドの読取開始を指令するためのQueryコマンド[Q]を送信する。Queryコマンド[Q]には、1ラウンドあたりのスロット数を“4”とするパラメータ(Q値=2)が含まれている。各無線タグTG1〜TG4は、Queryコマンド[Q]を受信すると、乱数を生成する。そして、乱数により各無線タグTG1〜TG4は、1ラウンド中の4つのスロットのうち、どのスロットで応答するかを決定する。同じく乱数により、各無線タグは応答データ[R]を生成する。応答データ[R]は、乱数によって生成されるため、無線タグ毎に異なる値となる。また、同じ無線タグでも乱数を生成する毎に異なる値となる。
【0056】
図7の例では、無線タグTG2は1番目のスロット0で応答データ[R]を送信する。無線タグTG2からの応答データ[R]を受信すると、通信装置20は、応答データ[R]を正常に受信したことを指令するAcknowledge(Ack)コマンド[A]を送信する。このAckコマンド[A]には、無線タグTG2から受信した応答データ[R]が含まれる。
【0057】
応答データ[R]を送信した無線タグTG2は、Ackコマンド[A]を待つ。そして、Ackコマンド[A]を受信すると、自身が送信した応答データ[R]が含まれているか否かを確認する。応答データ[R]が含まれている場合、無線タグTG2は、Ackコマンド[A]が自身宛であると認識し、自己のメモリで記憶しているタグID[ID]を送信する。通信装置20は、タグID[ID]を受信したら誤りの有無を検出し、誤りが無い場合には、受信したタグID[ID]を記憶部35にタグ読取情報351として記憶する。
【0058】
次に、通信装置20は、スロットの切換を指令するため、Query-repコマンド[Qr]を送信する。ただし、既に応答データ[R]を送信した無線タグTG2はQuery-repコマンド[Qr]を受信しても応答しない。図7の例では、無線タグTG1が2番目のスロット1で応答データ[R]を送信する。以降の2番目のスロット1での動作は、1番目のスロット0の動作と同じため説明を省略する。
【0059】
2番目のスロット1での通信が終了すると、通信装置20は、スロットの切換を指令するためのQuery-repコマンド[Qr]を送信する。ただし、既に応答データ[R]を送信した無線タグTG1、TG2は、Query-repコマンド[Qr]を受信しても応答しない。
【0060】
図7の例では、無線タグTG3及びTG4は、3番目のスロット2でそれぞれ異なる応答データ[R]を送信する。応答データ[R]の送信開始時間は、Queryコマンド[Q]或いはQuery-repコマンド[Qr]を受信してから所定時間以内に規定されているため、同じスロットで2つ以上の無線タグが、それぞれ応答データ[R]を送信する場合には、応答データ[R]の送信の一部は必ず衝突するようになっている。このため、通信装置20は、無線タグTG3の応答データ[R]と無線タグTG4の応答データ[R]を受信できず、通信装置20は、応答データ[R]の受信タイムアウトを検出する。
【0061】
次に、通信装置20は、スロットの切換を指令するための、Query-repコマンド[Qr]を送信し、4番目のスロット3を開始する。ただし、図7の例では、既に無線タグTG1〜TG4は、ラウンド1で応答データ[R]を送信しているため、4番目のスロット3では応答データ[R]の送信は無く、通信装置20は応答データ[R]の受信タイムアウトを検出する。
【0062】
通信装置20は、ラウンド1の4つのスロットの終了を検出し、新しいラウンド2の1番目のスロット0の開始を指令するQueryコマンド[Q]を送信する。図7の例では、タグID[ID]を送信した無線タグTG1とTG2はラウンド2以降も応答しない。ラウンド2の1番目のスロット0では、無線タグTG4が応答データ[R]を送信する。以降のラウンド2の1番目のスロット0の動作はラウンド1の1番目のスロット0動作と同じため、説明を省略する。
【0063】
ラウンド2の1番目のスロット0での通信が終了すると、通信装置20は、スロットの切換を指令するQuery-repコマンド[Qr]を送信する。ラウンド2の2番目のスロット1では、無線タグTG3が応答データ[R]を送信する。通信装置20は、無線タグTG3からの応答データ[R]を受信すると、応答データ[R]を正常に受信したことを指令するAckコマンド[A]を送信する。図7では、例えば、無線タグTG3が、物陰にあり、通信装置20が送信したAckコマンド[A]の信号が減衰し、無線タグTG3がAckコマンド[A]受信時に受信エラーを検出した例を示している。
【0064】
通信装置20は、Ackコマンド[A]を送信した後、無線タグTG3からのタグID[ID]の受信を待っているが、受信タイムアウトとなり、同様に次のスロットに切り換える。以降、上述と同様な動きをして、通信装置20は、通常読取機能により、対象エリア(Area)内の多数の無線タグと通信して、タグID[ID]を受信する。
【0065】
図6の説明に戻り、制御部33は、動作A5で第1の読取機能でタグID13を読取ったか否かを検出する。読取ったことを検出した場合(動作A5の判断がYESの場合)には、動作A6で、読取ったタグID13に対応したリストの位置情報と、位置情報設定部252で設定された位置情報を比較部37で比較する。動作A7では、それぞれの位置情報が一致したか否かを判断し、一致しない場合(動作A7の判断がNOの場合)には、動作A8にてリストの位置情報を、位置情報設定部252から設定された位置情報に更新する。
【0066】
例えば、オペレータがエリア1内で、第1の読取機能で読取を行う場合、位置情報設定部252ではエリア1を設定するが、読取った無線タグ11のタグIDに対応したリストの位置情報が「0100」であった場合(エリア3に存在する可能性がある)には、位置情報を「0001」(エリア1に存在する可能性がある)に変更する。リスト情報を更新したのち、動作A4に戻り、読取終了入力がある場合には終了する。尚、図示しないが、更新した位置情報は通知部24に表示される。また、読取終了後、更新したリスト情報は、通信装置20から上位機器100に送信される。
【0067】
したがって、位置情報が最新情報に更新され、リストの位置情報(エリア)と実際に機材のある位置(エリア)の差異が低減され、短時間で探索できるようになる。
【0068】
また、動作A4で読取終了の入力があった場合、動作A9で通信装置20は、例えばタグ読取情報とリストの位置情報がエリア1となっている無線タグ11の情報を比較し、リストの位置情報がエリア1となっている無線タグ11のうち、読取れなかった無線タグの有無を検出する。そして、読取れなかった無線タグがある場合(動作A9の判断がYESの場合)は、動作A10で、リストの位置情報を「1110」(エリア1以外に存在する可能性がある)に変更する。
【0069】
位置情報が最新情報に更新されることで、その無線タグに対応した機材がエリア1以外にあることが分かり、オペレータは対象の機材の存在範囲を絞ることができる。従って、オペレータは、短時間で探索することができる。またオペレータは、探索エリア内に対象の機材があるはずだが、実際にはその機材が無い場合に、エリア内で何度も探索動作を行うといった無駄が無くなり、探索時間を短縮できる。また精神的な負担も軽くなる。
【0070】
(第2の実施の形態)
次に、制御部の処理手順を他の様態とした第2の実施形態について、図8A図8B及び図9を用いて説明する。第2の実施形態は、例えば、エリア1内に他のエリアにあるべき機材が存在する場合に、第2読取機能により他のエリアにあるべき無線タグを探索し、探索した機材を本来のエリアに戻すことで、リストの位置情報と実際に機材のある位置の差異を低減するようにしたものである。
【0071】
図8A図8Bは、第2の実施形態における制御部33の処理手順を示すフローチャートである。図6と同様に、オペレータが、図1の対象エリアにおいて通信装置20を携帯し、例えば、入力部25の作業開始キーを操作すると、無線タグ探索プログラムが起動する。無線タグ探索プログラムを起動すると、通信装置20は上位機器100からリスト情報を受信する。
【0072】
次にオペレータは、入力部25を操作して第1の読取機能の開始キーを入力すると、制御部33は、図8Aの動作A11で第1の読取機能に設定する。また動作A12でオペレータは、図1のエリア1の入口付近で、例えば、図2(a)に示すように、位置情報(エリア1)を入力する。そして制御部33は、動作A13で第1の読取機能により通常読取りを開始する。
【0073】
制御部33は、動作A14で入力部25から第1の読取機能終了のキー入力があるか否かを判断し、第1の読取機能終了のキー入力を検出するまで通常読取を続ける。第1の読取機能終了のキー入力があると(動作A14の判断がYESの場合)、処理を終了する。
【0074】
また制御部33は、動作A15で第1読取機能(通常読取機能)によりタグIDを読取ったかどうかを検出し、タグIDを読取ったことを検出した場合(動作A15の判断がYESの場合)には、動作A16で、読取ったタグIDに対応したリストの位置情報と、位置情報設定部252から設定された位置情報を比較部37で比較する。
【0075】
次の動作A17では、位置情報が一致するか否かを判断し、一致しない場合(動作A17の判断がNOの場合)、制御部33は、動作A18において第1読取機能から、第2読取機能(指定繰り返し読取機能)に切換えて無線タグの探索を行う。尚、図示しないが、オペレータが入力部25を操作して第2の読取機能に切換えた場合に、切換えるようにしてもよい。
【0076】
図8Bは、第2の読取機能の処理手順を示すフローチャートである。図8Bにおいて、制御部33は動作A22で、ディスプレイ24に第2の読取機能に切換える旨を表示する。制御部33は通信制御部36の機能設定部73で、第2の読取機能を設定する(動作A23)。動作A23では、第2の読取機能の場合の予め定められた送信出力の初期値に対応した送信出力設定信号が、送信出力設定部71から出力される。
【0077】
また送信制御部72からは、第2の読取機能の場合の送信信号が出力され、かつ送信制御部72は送信タイミング等を設定する。ここでは、説明を簡単にするために、送信出力の初期値は通信装置20で設定可能な送信出力の最大値とする。第2の読取機能は、読取る無線タグを指定して読取りを繰返し、読取状態を検出して送信出力を制御するものであり、動作A24では無線タグ11のタグID(タグID)の設定を行い、無線タグ11を特定する(ここでは、図9の無線タグTG4が探索条件に合致し、TG4のタグIDを設定して第2の読取機能による読取を行うものとして、以下説明する)。
【0078】
制御部33は、動作A25で第2の読取機能による読取動作を開始する。そして送信出力設定部71から、送信出力設定信号を出力すると、無変調キャリア信号がアンテナ22から電波として放射され、送信制御部72から送信信号を出力すると、無線タグ11に対する送信が行われる。
【0079】
図9は、通信装置20と無線タグTG4との間の無線通信プロトコルの一例を示すタイミングチャートである。図7と同様にISO18000-6type Cのプロトコルに準拠する例を示しており、1ラウンドあたりのスロット数を“1”とした場合である。
【0080】
記号[S]、[Q]、[R]、[A]、[ID]は、いずれも通信データを示す。各通信データの先頭には、データの先頭を示すプリアンブル符号が含まれ、また[S]を除く各通信データには、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号が含まれており、受信側でエラーを検出できる。図9の丸印“○”は、各ラウンドで通信装置20のタグID[ID]の受信成功を意味している。記号“×”は受信失敗を意味している。
【0081】
先ず通信装置20は、上述の通り、無変調のキャリア信号をアンテナ22から電波として送信する。次に、通信装置20は、Selectコマンド[S]、次いでQueryコマンド[Q]を送信し、1番目のラウンドR1を開始する。Selectコマンド[S]は、指定繰返し読取機能の対象である無線タグTG4だけが応答するように、無線タグTG4のタグIDを設定している。
【0082】
無線タグTG4以外の他の無線タグが、このSelectコマンド[S]及びQueryコマンド[Q]を受信した場合、他の無線タグは、自身のタグIDとは異なるタグIDが指定されていると判断して、応答信号[R]を送信しない。1番目のラウンドR1は、無線タグTG4に十分な電波が届いていない等の理由により、通信装置20は応答信号[R]を待機中に受信タイムアウトを検出した例である。
【0083】
通信装置20は、ラウンドR1のSelectコマンド[S]の送信開始時から、時間t1経過時に、無線タグTG4だけが応答するように、無線タグTG4のタグIDを設定したSelectコマンド[S]、次いでQueryコマンド[Q]を送信し、2番目のラウンドR2を開始する。2番目のラウンドR2は、通信装置20が無線タグTG4からタグID[ID]を正しく受信した場合を示す。
【0084】
以降、同様に通信装置20は、Selectコマンド[S]の送信開始時から時間t1経過時に、無線タグTG4だけが応答するように、無線タグTG4のタグIDを設定したSelectコマンド[S]及びQueryコマンド[Q]を送信し、次のラウンドを開始する。ラウンドR5、R6、及びラウンドR8は、通信装置20がAckコマンド[A]を送信した後、通信装置20がタグID[ID]を待っている間に受信タイムアウトを検出し、タグID[ID]の受信に失敗した例を示している。
【0085】
また、制御部33は、各ラウンドでタグID[ID]を正しく受信したか否かを検出するとともに、例えば、前3ラウンドのタグID[ID]の受信可否結果を含めて通信成功率を算出する。図9の例では、ラウンドR4で算出した通信成功率SVは、ラウンドR1からラウンドR4までのタグID[ID]の受信可否結果から75%となる。ラウンドR5で算出した通信成功率SVは、ラウンドR2からラウンR5までのタグID[ID]の受信可否結果から75%である。
【0086】
図8Bに戻り、制御部33は動作A26において、各ラウンドで無線タグ11のタグID[ID]の読取可否を検出する。また動作A27で通信状態を算出する。動作A27では、通信状態として通信成功率SVを算出する。また算出した通信成功率SVをディスプレイ24に表示してもよい。
【0087】
次に制御部33は、算出した通信成功率SVと閾値aとを比較する(動作A28)。通信成功率SVが閾値aより大きいときは、通信状態が良好と判定する。例えば、閾値a=70%とする。また制御部33は、通信成功率SVが閾値aより大きい場合には、通信状態が良好であることを示すために、動作A29で、例えば「アンテナを向けた方向に対象の無線タグがあるので、その方向に進んでください」という内容をディスプレイ24に表示して通知する。
【0088】
また、制御部33は、動作A30で現在の通信装置20の送信出力と、予め設定された第2の読取機能での送信出力の最小値とを比較する。通信装置20の送信出力を最小値に設定した場合に、第2の読取機能によって対象の無線タグを特定するときの読取範囲が最小になる。第2の読取機能での送信出力の初期値、最大値及び最小値は予めオペレータにより設定されている。
【0089】
制御部33は、現在の送信出力が最小値よりも大きい場合には、動作A31で送信出力を1ステップ下げ、読取範囲を狭める。現在の送信出力が最小値の場合(動作A30の判断がYESの場合)には、動作A38で、「最小の読取範囲内に対象の無線タグが存在する」及び「第2の読取機能を終了して第1の読取機能に切換える」旨をディスプレイ24に表示する。
【0090】
また制御部33は、動作A28において、通信成功率SVが閾値a以下の場合には、動作A32で通信成功率SVを閾値bと比較する。閾値bは、通信成功率SVが閾値bより小さいときは通信状態が悪いと判定する。例えば、閾値b=30%とする。制御部33は、動作A33で現在の通信装置20の送信出力と、予め設定された第2の読取機能での送信出力の最大値とを比較する。現在の送信出力が最大値よりも小さい場合(動作A33の判断がNOの場合)には、動作A34で送信出力を1ステップ大きくする。
【0091】
動作A32で通信状態が閾値bよりも大きいとき(動作A32の判断がNOの場合)、及び動作A33で送信出力が最大値のとき(動作A33の判断がYESの場合)、さらに動作A34で送信出力を1ステップ大きくしたとき、制御部33は、動作A35で、第2の読取機能終了のキー入力があるか否かを判断し、終了のキー入力を検出した場合(動作A35の判断がYESの場合)には、「第2の読取機能終了の入力を検出したため、第1の読取機能に切換える」旨をディスプレイ24に表示し(動作A38)、図8Aの動作A19に移行する。終了キーの入力を検出しない場合(動作A35の判断がNOの場合)には、第2の読取機能による読取動作を続ける。
【0092】
制御部33は、動作A36で、ラウンド開始からt1時間が経過したか否かを判断し、ラウンド開始からt1時間が経過したことを検出すると、無線タグTG4のタグIDを設定したSelectコマンド[S]に続いてQueryコマンド[Q]を送信し、次のラウンドを開始し(動作A37)、動作A26に戻って処理を繰返す。
【0093】
図8Aに戻って、動作A18で、第2読取機能によりエリア1内で対象の機材(無線タグ)が探索され、動作A19で第2読取機能による探索が終了したとき(動作A19の判断がYESの場合)は、動作A20でリスト情報を更新する。動作A20では、動作A17において比較部37での比較結果が一致しない場合にリストの位置情報を、位置情報設定部252から設定された位置情報に更新する。動作A21では第1の読取機能に切換え、動作A14に戻る。
【0094】
図8Aの処理は、例えばエリア1内に、エリア1以外(例えばエリア2)にあるべき機材が存在する場合を想定したものである。オペレータは、第2読取機能が動作した通信装置20を使用して、エリア1内で対象の機材(無線タグ)を探索することにより、本来、エリア2にあるべき機材(無線タグ)を探索することができる。したがって、オペレータは、探索した機材を本来のエリア(リストの位置情報のエリア)に戻すことで、リストの位置情報と実際に機材のある位置の差異が低減され、短時間で探索できるようになる。
【0095】
(第3の実施の形態)
次に、図10を参照して第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、例えばエリア1にあるべき機材(無線タグ)がエリア1で読取れなかった場合に、第2読取機能が起動している通信装置20を持って、エリア1以外のエリアに行って、第2読取機能により対象の機材(無線タグ)を探索し、探索できたときに対象の無線タグに対応したリストの位置情報を更新するものである。
【0096】
図10において、動作A41〜動作A48は、図6の動作A1〜動作A8と同じであるため、簡単に説明する。オペレータが通信装置20を携帯し、エリア1の無線タグ11を読取るとする。オペレータが通信装置20のプログラムを起動すると、通信装置20は上位機器100からリスト情報を受信する。
【0097】
オペレータは、動作A41で入力部25を操作して第1の読取機能の開始キーを入力する。また動作A42でオペレータは、図1のエリア1の入口付近で、例えば、図2(a)に示すように、位置情報(例えばエリア1)を入力する。
【0098】
動作A43では、第1の読取機能により通常読取りを開始する。制御部33は、動作A44で、入力部25から第1の読取機能終了のキー入力があるか否かを判断し、第1の読取機能終了のキー入力を検出するまで通常読取りを続ける。第1の読取機能終了のキー入力があると処理を終了する。
【0099】
制御部33は、動作A45で、第1の読取機能によりタグID13を読取ったかどうかを検出し、読取ったことを検出した場合には、動作A46で、読取ったタグID13に対応したリストの位置情報と、位置情報設定部252から設定された位置情報を比較部37で比較する。
【0100】
動作A47では、比較情報が一致するか否かを判断し、一致しない場合には、動作A48で、リストの位置情報を、位置情報設定部252から設定された位置情報に更新する。したがって、位置情報が最新情報に更新され、リストの位置情報(エリア)と実際に機材のある位置(エリア)の差異が低減され、短時間で探索できるようになる。
【0101】
また、動作A44で読取終了の入力があった場合、動作A49で、通信装置20は、タグ読取情報と、リストの位置情報がエリア1(0001)となっている無線タグ11の情報を比較し、リストの位置情報がエリア1となっている無線タグ11のうち、読取れなかった無線タグの有無を検出する。
【0102】
読取れなかった無線タグがある場合には、動作A50において、読取っていないタグを1つずつ指定して、第2読取機能(指定繰返し読取機能)に切換える。以上説明した例では、エリア1にあるべき機材(無線タグ)がエリア1で読めなかった場合であるので、オペレータは、第2読取機能が起動している通信装置20を持って、エリア1以外のエリアに行って、対象の機材(無線タグ)を探索する。各エリアでは、位置情報設定部により位置情報(オペレータが居るエリア)を入力する(動作A51)。
【0103】
オペレータが対象の機材(無線タグ)を見つけ、入力部25から第2読取機能終了キーが入力されると、制御部33は終了入力を検出して、第2読取機能による探索を終了する(動作A52)。また動作A53では、対象の機材の無線タグに対応したリストの位置情報を、位置情報設定部252で設定されたエリア(オペレータが対象の無線タグを見つけたエリア)に更新し終了する。さらに、更新したエリア情報を上位機器100に送信する。
【0104】
位置情報が最新情報に更新されることにより、リストの位置情報(エリア)と実際に機材のある位置(エリア)の差異が低減され、短時間で探索できるようになる。
【0105】
また、図11に示すように、オペレータが、最初から対象の機材を指定した第2読取機能(指定繰返し読取機能)を動作させ、探索終了後、リストの位置情報と対象の機材(無線タグ)を見つけた位置情報を比較し、位置情報が異なっている場合には、リストの位置情報を見つけた位置情報に更新してもよい。
【0106】
即ち、図11において、オペレータは入力部25を操作して第2の読取機能の開始キーを入力する(動作A61)。また動作A62でオペレータは、図1のエリア1の入口付近で、例えば、図2(a)に示すように、位置情報を入力する。
【0107】
動作A63では、第2の読取機能により読取りを開始する。制御部33は、動作A64で、入力部25から第2の読取機能終了のキー入力があるか否か(探索終了か否か)を判断し、第2の読取機能終了のキー入力を検出するまで読取りを続ける。
【0108】
制御部33は、第2の読取機能でタグIDを読取った場合には、動作A65で、読取ったタグIDに対応したリストの位置情報と、位置情報設定部252から設定された位置情報を比較部37で比較する。動作A66では、比較情報が一致するか否かを判断し、一致した場合は処理を終了し、位置情報が一致しない場合には、動作A67で、リストの位置情報を、位置情報設定部252から設定された位置情報に更新する。
【0109】
したがって、位置情報が最新情報に更新され、リストの位置(エリア)情報と実際に機材のある位置(エリア)の差異が低減され、短時間で探索できるようになる。
【0110】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、図1に示すように、第2の無線タグ15がエリア1〜エリア4のそれぞれの入り口付近に取り付けられている。
【0111】
図12(a)は、第2の無線タグ15のデータ構造を示す。第2の無線タグ15は、記憶部を有し、記憶部に第2の無線タグであることを示す識別情報16と機材の保管エリアを示す位置(エリア)情報17が記憶されている。
【0112】
先の実施形態では、各エリアに入る時に、位置情報設定部252で位置情報を入力する例を示したが、第4の実施形態では、第2の無線タグ15をエリア1〜エリア4に設け、第2の無線タグ15を読取ることで、位置情報設定部252で位置情報を入力する必要がなくなる。
【0113】
即ち、比較部37は、位置情報設定部252で入力する位置情報に代えて、第2の無線タグ15から読取った保管エリアを示す位置情報を、リスト上の位置情報と比較することになる。
【0114】
図12(b)は、第4の実施の形態における無線通信プロトコルの一例を示すタイミングチャートである。図9のラウンドR1、R2の動作と似ているが、selectコマンド[S]で、第2の無線タグ15であることを示す識別情報16の部分だけを指定し、第3の読取機能を設定して保管エリアを示す位置情報を読取る。1回で読取れれば第3の読取機能を終了するという点が図9とは異なる。
【0115】
オペレータは、各エリアに入る時に、通信装置20を操作して、第3の読取機能を選択することによって、位置情報を設定することができる。或いは、図示しないが、他の読取機能(第1読取機能或いは第2読取機能)を行っている場合に、定期的に、第2の無線タグ15を指定する第3の読取機能に切換えてもよい。したがって、オペレータは、位置情報設定部252で位置情報を入力する必要が無くなり、負担が軽くなるとともに、位置情報を誤って入力することが低減される。
【0116】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施形態に係る無線タグ通信装置について説明する。図13は、第5の実施形態に係る無線タグ通信装置のブロック図であり、無線タグ通信装置20と上位機器(サーバ)100とで構成し、図4と機能的に同じ部分には同一符号を付している。以下、無線タグ通信装置20は通信装置20と呼ぶ。
【0117】
通信装置20は、通知部24、入力部25、無線タグ通信部30、電源部31、上位機器との通信部321及び制御部33を備えている。制御部33は、CPU34、記憶部35及び通信制御部36を含む。
【0118】
通知部24は、ディスプレイとブザーで構成し、入力部25はキーボードや、通知部24のディスプレイ上に構成したタッチパネルで構成される。電源部31は、バッテリとバッテリの充電・放電の制御回路からなる。通信部321は、通信回線を介して接続される上位機器100との通信を司る。通信回線は有線、無線を問わない。
【0119】
制御部33は、CPU34の制御のもとに、入力部25、通知部24、無線タグ通信部30、電源部31を制御する。通信制御部36は機能設定部を備え、第1の読取機能、及び第2の読取機能のうち1つを設定する。
【0120】
上位機器100は、通信部322、比較部37、CPU75及び記憶部76を備える。通信部322は、通信装置20との通信を行う。CPU75は、上位機器100の全体の動作を制御する。
【0121】
記憶部76のROM760には、制御部33が使用するプログラムや設定データ等が予め格納されている。また記憶部76には、無線タグ通信部30が受信したタグIDを含む無線タグ読取情報761、及びリスト情報762、各エリアで読取を開始するときに入力される位置情報763などを格納する。
【0122】
通信装置20の通信部321と上位機器100の通信部322は、互いに情報を通信し、通信装置20は、無線タグ11から読取った情報を上位機器100に送信したり、上位機器100から比較部37による比較結果を受信する。通信制御部36は、第1の読取機能、第2の読取機能の設定、及び受信した比較結果に応答して第1の読取機能と第2の読取機能の切り換えを行う。図13の無線タグ通信装置の動作及び処理手順は、図8A図8B又は、図9A図9Bで述べた通りである。
【0123】
図4(第1の実施形態)では、通信装置20は無線LAN等を用いて上位機器100からリスト情報を受信し、リスト情報の位置情報と、位置情報設定部252で設定した位置情報を比較する比較部37を設けていたが、図14では、通信装置20は、リスト情報を上位機器100から受信せず、通信装置20で読取ったタグ読取情報351と、位置情報設定部252で設定した位置情報353を、通信部321、322を介して上位機器100に送信する。上位機器100の記憶部76には、タグ読取情報351と位置情報353に相当するタグ読取情報761と位置情報763を記憶する。
【0124】
そして上位機器100側で、無線装置20で読取ったタグ読取情報351に対応した位置情報をリスト情報762から抽出し、抽出した位置情報と、位置情報設定部252で設定した位置情報763を比較部37で比較し、比較結果を上位機器100から通信装置20に送信して、通信装置20で表示する構成になっている。図13の構成においても、上述した通り、リストの位置情報と、実際に機材のある位置の情報の差異を低減できることは明らかであり、機材の探索時間を短縮することができる。
【0125】
尚、図13の構成は、無線タグ通信装置20と上位機器100とでそれぞれ無線タグの通信機能を制御するものであるが、図13の制御部33と記憶部35を上位機器100内に構成することもできる。この場合、無線タグの通信機能は主に上位機器100で制御することになる。制御の主体を無線タグ通信装置20側で行うか、上位機器100側で行うか、或いは折半で行うかは、制御部33、記憶部35、比較部37、リスト情報設定部251及び位置情報設定部252を含む入力部25等を無線タグ通信装置20と上位機器100のいずれに配置するかで決まり、任意に設計することができる。例えば、入力部25を上位機器100内に構成することもできる。
【0126】
以上説明した実施形態では、リストの位置情報と、実際に機材のある位置の差異を低減し、探索時間を短縮する無線タグ通信装置を提供することができる。
【0127】
尚、以上述べた各実施形態の説明で、リスト情報は1つにまとめた形態で説明したが、エリア毎に分割されたリスト情報にしてもよい。またリストの位置情報を更新するときには、ディスプレイ24に更新してもよいか否かを確認表示するようにしても良い。
【0128】
また上位機器100として、サーバを例に説明したが、上位機器100は、サーバ以外にノート型のパソナルコンピュータ、スマートフォン(多機能携帯電話)、タブレット端末などで構成することもできる。
【0129】
尚、本発明のいくつかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0130】
11…無線タグ、
12…無線タグの記憶部、
15…第2の無線タグ
20…無線タグ通信装置、
22…アンテナ、
24…ディスプレイ(通知部)、
25…入力部、
251…リスト情報設定部、
252…位置情報設定部、
30…無線タグ通信部、
33…制御部、
34,75…CPU
35,76…記憶部
350,760…ROM
36…通信制御部
37…比較部
100…上位機器(サーバ等)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13