特開2015-176723(P2015-176723A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-176723(P2015-176723A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】フィルタ素子内蔵コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/719 20110101AFI20150908BHJP
   H01R 4/64 20060101ALI20150908BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
   H01R13/719
   H01R4/64 A
   H03H7/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-51741(P2014-51741)
(22)【出願日】2014年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 武史
【テーマコード(参考)】
5E021
5J024
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA16
5E021FB09
5E021FB20
5E021FC19
5E021FC40
5E021MA09
5E021MA18
5E021MB08
5J024AA01
5J024BA01
5J024DA03
5J024DA26
5J024EA08
(57)【要約】
【課題】省スペース化を図る。
【解決手段】フィルタ素子内蔵コネクタAは、素子収容部12を有するハウジング10と、素子収容部12内に収容されたフィルタ素子20と、ハウジング10に形成され、素子収容部12から互いに同じ向きに突出して形成された一対の端子収容部13と、一対の端子収容部13内に収容され、フィルタ素子20に接続された一対の端子金具30と、ハウジング10に取り付けられ、フィルタ素子20に接続されたアース部材40とを備え、アース部材40のうち接地部50に接続されるアース接続部42が、一対の端子収容部13の間に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子収容部を有するハウジングと、
前記素子収容部内に収容されたフィルタ素子と、
前記ハウジングに形成され、前記素子収容部から互いに同じ向きに突出して形成された一対の端子収容部と、
前記一対の端子収容部内に収容され、前記フィルタ素子に接続された一対の端子金具と、
前記ハウジングに取り付けられ、前記フィルタ素子に接続されたアース部材とを備え、
前記アース部材のうち接地部に接続されるアース接続部が、前記一対の端子収容部の間に配置されていることを特徴とするフィルタ素子内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記フィルタ素子が、前記一対の端子収容部の並び方向と略平行に軸線を向けて配置されたコイルを含んでおり、
前記コイルの導線の両端部が前記一対の端子金具に接続されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタ素子内蔵コネクタ。
【請求項3】
前記フィルタ素子が一対のコンデンサを含んでおり、前記一対のコンデンサの間には、前記アース部材に接続された導電性遮蔽板が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフィルタ素子内蔵コネクタ。
【請求項4】
前記導電性遮蔽板が前記アース部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項3記載のフィルタ素子内蔵コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ素子内蔵コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジング内にコンデンサ、コイル等のフィルタ素子を収容し、このフィルタ素子を、ハウジングに取り付けた端子金具とアース部材とに接続した形態のフィルタ素子内蔵コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4524318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このフィルタ素子内蔵コネクタは、アース部材のうち接地部に接続される接続部が、ハウジングの外部へ突出した形態となっている。そして、アース部材の突出方向は、端子金具に接続された電線が導出される向きとは反対方向である。そのため、ハウジングの周囲には、導電路を配索するためのスペースとアース部材を配置するためのスペースとが必要となる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、省スペース化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のフィルタ素子内蔵コネクタは、
素子収容部を有するハウジングと、
前記素子収容部内に収容されたフィルタ素子と、
前記ハウジングに形成され、前記素子収容部から互いに同じ向きに突出して形成された一対の端子収容部と、
前記一対の端子収容部内に収容され、前記フィルタ素子に接続された一対の端子金具と、
前記ハウジングに取り付けられ、前記フィルタ素子に接続されたアース部材とを備え、
前記アース部材のうち接地部に接続されるアース接続部が、前記一対の端子収容部の間に配置されているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
素子収容部から突出する一対の端子収容部に挟まれた空間は、アース接続部を配置するためのスペースとして利用したので、デッドスペースとならずに済む。したがって、本発明によれば、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタの平面図
図2】フィルタ素子内蔵コネクタを接地部に接続した状態をあらわす断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明のフィルタ素子内蔵コネクタは、前記フィルタ素子が、前記一対の端子収容部の並び方向と略平行に軸線を向けて配置されたコイルを含んでおり、前記コイルの導線の両端部が前記一対の端子金具に接続されていてもよい。この構成によれば、コイルの両端部の近傍において導線の両端部を一対の端子金具に接続すれば、導線の長さを必要最短に抑えながら、一対の端子収容部にアース接続部を配置するための間隔を確保できる。
【0010】
(2)本発明のフィルタ素子内蔵コネクタは、前記フィルタ素子が一対のコンデンサを含んでおり、前記一対のコンデンサの間には、前記アース部材に接続された導電性遮蔽板が設けられていてもよい。この構成によれば、一対のコンデンサ間には、アース部材に接続された導電性遮蔽板が介在されているので、コンデンサ間が離間していなくとも電界結合と電界結合に伴う結合容量の発生を抑制できる。
【0011】
(3)本発明のフィルタ素子内蔵コネクタは、(2)において、前記導電性遮蔽板が前記アース部材と一体に形成されていてもよい。この構成によれば、電界結合を抑制するための導電性遮蔽板に対し、コンデンサに対する接地機能を付与することが可能となる。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図2を参照して説明する。以下の説明において、前後方向については、図1,2の左方を前方と定義する。また、上下方向については、図2に表れる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0013】
<フィルタ素子内蔵コネクタA>
本実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタAは、ハウジング10と、フィルタ素子20と、一対の端子金具30と、アース部材40とを備えて構成されている。一対の端子金具30には、ワイヤーハーネスを構成する2つのハーネス側コネクタ(図示省略)が嵌合されるようになっている。フィルタ素子内蔵コネクタAは、アース部材40において、自動車のボディ等に設けられた接地部50にアース部材40を接続させることにより、ワイヤーハーネスを構成する電線(図示省略)のノイズを除去するようになっている。
【0014】
<ハウジング10>
ハウジング10は合成樹脂製であり、ハウジング本体11とカバー17とを組み付けて構成されている。ハウジング本体11は、上面が開放された箱形をなす素子収容部12と、素子本体の前面から前方へ突出する左右一対の端子収容部13とを一体に形成して構成されている。素子収容部12の底壁部14には、平面視が略T字形をなす切欠部15が、上下に貫通した形態で形成されている。素子収容部12の上面の開口部は、カバー17によって閉塞されるようになっている。
【0015】
一対の端子収容部13は、前方に開放されたフード状(角筒状)をなしている。一対の端子収容部13は、左右方向に間隔を空けて配置され、素子収容部12の左右両端部から前方へ突出している。素子収容部12の前方には、一対の端子収容部13に挟まれた機能空間16が形成されている。一方の端子収容部13には、ワイヤーハーネスを構成する入力側のハーネス側コネクタ(図示省略)が嵌合されるようになっている。他方の端子収容部13には、ワイヤーハーネスを構成する出力側のハーネス側コネクタ(図示省略)が嵌合されるようになっている。
【0016】
<フィルタ素子20>
フィルタ素子20は、1つのコイル21と、左右一対のコンデンサ24とから構成されている。コイル21は、軸線を左右方向に向けた円柱状の磁心22と、この磁心22に螺旋状に巻回された1本の導線23とから構成されている。コイル21は、素子収容部12内に収容され、素子収容部12の後端部に配置されている。導線23の両端部は、素子収容部12の左右両内壁面に沿って前方へ導出されている。一対のコンデンサ24は、コイル21と共にπ型フィルタ回路を構成するものであり、種類及び容量が同じコンデンサ24が用いられる。コンデンサ24はいずれもフィルムコンデンサ24であり、略ブロック状を成すコンデンサ本体25と、コンデンサ本体25の上面から導出された一対の正極、負極のリード線26A,26Bとを備えている。
【0017】
<端子金具30>
一対の端子金具30は、タブ状のハーネス用接続部31と、ハーネス用接続部31の後端部に連なる平板状の素子用接続部32とを有する。つまり、端子金具30は、タブ状のバスバー端子である。一対の端子金具30は、ハウジング本体11を金型成形する工程で、インサート成形によりハウジング本体11と一体化されている。端子金具30のうち前側のハーネス用接続部31は、端子収容部13内に収容されている。入力側のハーネス側コネクタ(図示省略)を入力側の端子収容部13に嵌合すると、ワイヤーハーネスの入力側端子(図示省略)が入力側の端子金具30のハーネス用接続部31に接続される。また、出力側のハーネス側コネクタ(図示省略)を出力側の端子収容部13に嵌合すると、ワイヤーハーネスの出力側端子(図示省略)が出力側の端子金具30のハーネス用接続部31に接続される。
【0018】
端子金具30の素子用接続部32は、素子収容空間内に配置されている。一対の端子金具30は、ハウジング10の左右両端部に配置されているので、一対の素子接続部も、素子収容部12の前端部における左右両端部に分かれて配置されている。この一対の素子用接続部32の位置は、コイル21の軸線方向においてコイル21の両端部と対応する位置であり、左右両コンデンサ24の正極側のリード線26Aと対応する位置となっている。そして、一方の素子用接続部32には、コイル21の導体の一方の端部と、一方のコンデンサ24の正極側のリード線26Aとが、一緒に半田47により接続されている。また、他方の素子用接続部32には、コイル21の導線23の他方の端部と、他方のコンデンサ24の正極側のリード線26Aとが、一緒に半田47により接続されている。
【0019】
<アース部材40>
アース部材40は、銅合金等の導電性板材からなり、水平な平板状をなす板状本体41と、板面を鉛直方向に向けて配置される平板状の第1導電性遮蔽板45(請求項に記載の導電性遮蔽板)と、板面を鉛直方向に向けて配置される第2導電性遮蔽板46とを一体化させた形態である。板状本体41の前端側領域は、接地部50に接続するためのアース接続部42となっており、板状本体41の後端側領域は、ハウジング10に組み付けられる組付部44となっている。アース接続部42の幅寸法は、一対の端子収容部13の間の機能空間16の幅寸法よりも小さい寸法となっている。アース接続部42には、円形の貫通孔43が上下方向に貫通した形態で形成されている。
【0020】
第1導電性遮蔽板45は、組付部44の前端部において左右方向中央部に配置されている。第1導電性遮蔽板45は、組付部44の上面に対し直角に立ち上がる形態で、溶接等により導通可能に固着されている。固着された第1導電性遮蔽板45の上端縁は、前後方向に延びた向きとなっている。第2導電性遮蔽板46は、組付部44における第1導電性遮蔽板45の後方近傍であって、左右方向中央部に配置されている。
【0021】
第2導電性遮蔽板46は、組付部44の上面に対し直角に立ち上がる形態で、溶接等により導通可能に固着されている。固着された第1導電性遮蔽板45の上端縁は、左右方向に延びた向き(つまり、第1導電性遮蔽板45とは直角な向き)となっている。つまり、平面視において、第1導電性遮蔽板45と第2年は、略T字形をなすように配置されている。
【0022】
<実施例1の作用及び効果>
アース部材40は、一対の端子金具30と同様、インサート成形により素子収容部12(ハウジング10)に一体化されている。アース部材40がハウジング10に一体化された状態では、組付部44、が素子収容部12の底壁部14の下面と密着し、第1導電性遮蔽板45と第2導電性遮蔽板46が、切欠部15を貫通して素子収容部12内に収容されている。端子収容室収容部内は、第1導電性遮蔽板45と第2導電性遮蔽板46により、概ね3つの領域に仕切られている。また、アース接続部42は、一対の端子収容部13の間の機能空間16内における下端部に配置される。また、板状本体41(アース接続部42と組付部44)の下面は、ハウジング10の下面に対し面一状の高さとなっている。
【0023】
ハウジング10に端子金具30とアース部材40が一体化された後、フィルタ素子20は、次の手順で組み付けられる。まず、第2導電性遮蔽板46の後方にコイル21を配置し、導線23の両端部を前方へ導出させておく。次に、コイル21をハウジング本体11に固定するために、コイル21と第2導電性遮蔽板46との間にエポキシ樹脂48を充填する。このとき、コイル21の導線23と第2導電性遮蔽板46が接触しないようにする。エポキシ樹脂48が硬化すると、コイル21が素子収容部12の底壁部14に固定される。
【0024】
この後、第2導電性遮蔽板46よりも前方であって、第1導電性遮蔽板45を挟む2つの空間内に、夫々、一対のコンデンサ24を振り分けて収容する。つまり、一対のコンデンサ24は、コイル21の軸線方向と略平行に並ぶように配置される。そして、π型フィルタ回路を形成するための配線作業を行う。まず、各端子金具30の素子用接続部32に対して、夫々、コンデンサ24の正極側のリード線26Aとコイル21の導線23の一方の端部とを半田47により接続する。更に、左右両コンデンサ24の負極側のリード線26Bを、第1導電性遮蔽板45の側面に対し、半田47により接続する。これにより、π型フィルタ回路の接続は完了する。最後に、素子収容部12の滋養面の開口をカバー17で塞げば、フィルタ素子内蔵コネクタAの組み立てが完了する。
【0025】
組み立てが完了したフィルタ素子内蔵コネクタAは、接地部50に接続される。接続に際しては、締結部材55が用いられる。締結部材55は、ナット56とボルト58との2つの部品によって構成されている。ナット56は、接地部50の裏面に溶接により固着されている。固着されたナット56は、その雌ネジ孔57が接地部50に形成したガイド孔51と同心となるように配置されている。
【0026】
ボルト58は、雄ネジ部59と、雄ネジ部59の上端部に一体形成された頭部60とを備えて構成されている。雄ネジ部59は雌ネジ孔57にねじ込まれるようになっている。頭部60には、その上端面を凹ませた六角形断面の嵌合孔61が形成されている。この嵌合孔61には、六角レンチ(図示省略)が嵌合されるようになっている。頭部60の下面は、雄ネジ部59を雌ネジ孔57にねじ込んで締め付けた時に、アース部材40の表面に密着し、アース部材40を接地部50との間で上下に挟み付ける座面62となっている。座面62は、アース部材40の上面と平行な平坦面である。
【0027】
アース部材40を接地部50に接続する際には、まず、アース部材40を接地部50の上面に載置し、貫通孔43を接地部50のガイド孔51に位置合わせする。そして、ボルト58の雄ネジ部59を、アース接続部42の上方から貫通孔43とガイド孔51に挿通させる。この後、頭部60の嵌合孔61に六角レンチ(図示省略)を嵌合してボルト58を回転させ、雄ネジ部59を雌ネジ孔57にねじ込んでいく。ボルト58のねじ込みが完了した状態では、アース部材40が接地部50とボルト58の頭部60との間で挟み付けられる。これにより、アース部材40は、接地部50に対して導通可能に接続される。
【0028】
上述のように、本実施例1フィルタ素子内蔵コネクタAは、素子収容部12を有するハウジング10と、素子収容部12内に収容されたフィルタ素子20と、ハウジング10に形成され、素子収容部12から互いに同じ向きに突出して形成された一対の端子収容部13と、一対の端子収容部13内に収容され、フィルタ素子20に接続された一対の端子金具30と、ハウジング10に取り付けられ、フィルタ素子20に接続されたアース部材40とを備えている。
【0029】
また、アース部材40のうち接地部50に接続されるアース接続部42は、一対の端子収容部13の間に形成された機能空間16内に配置されている。このように、素子収容部12から突出する一対の端子収容部13に挟まれた機能空間16を、アース接続部42を配置するためのスペースとして利用したので、この機能空間16はデッドスペースとならずに済んでいる。したがって、本実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタAを用いれば、省スペース化を図ることができる。
【0030】
また、本実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタAは、フィルタ素子20が、一対の端子収容部13の並び方向と略平行に軸線を向けて配置されたコイル21を含んでおり、一対の端子金具30が、コイル21の軸線方向における両端部と対応するように配置されている。そして、コイル21の導線23の両端部が一対の端子金具30に接続されている。この構成によれば、導線23の両端部が、コイル21の両端部の近傍において一対の端子金具30に接続されるので、導線23の長さを必要最短に抑えながら、一対の端子収容部13にアース接続部42を配置するための間隔(機能空間16)を確保できた。
【0031】
また、本実施例1のフィルタ素子内蔵コネクタAは、フィルタ素子20がπ型フィルタ回路を構成する一対のコンデンサ24を含んでおり、一対のコンデンサ24の間に、アース部材40に接続された第1導電性遮蔽板45が設けられている。この構成によれば、一対のコンデンサ24間には、アース部材40に接続された導電性遮蔽板が介在されているので、コンデンサ24間が離間していなくとも電界結合と電界結合に伴う結合容量の発生を抑制できる。
【0032】
また、第1導電性遮蔽板45はアース部材40と一体に形成されているので、コンデンサ24間の電界結合を抑制する第1導電性遮蔽板45に対し、コンデンサ24に対する接地機能を付与することができる。そして、この第1導電性遮蔽板45に、左右両コンデンサ24の負極側のリード線26Bを接続しており、これにより、第1導電性遮蔽板45を介して各コンデンサ24の接地を一括して行うことが実現される。したがって、各コンデンサ24毎に接地手段を別途設ける場合に比べると、構成が簡素化されている。
【0033】
また、コイル21と各コンデンサ24間にも、アース部材40と一体である第2導電性遮蔽板46を介在させた。これにより、コイル21とコンデンサ24との間の意図しない電界結合を抑制できると共に、コイル21の発熱がコンデンサ24まで及びにくくなる。よって、コンデンサ24の温度上昇に伴う特性劣化を防止することが可能となる。
【0034】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、アース接続部をハウジングの外部に配置したが、アース接続部はハウジングの内部に収容してもよい。
(2)上記実施例では、フィルタ素子がπ型のフィルタ回路を構成しているが、フィルタ素子はπ型以外のフィルタ回路を構成するものであってもよい。
(3)上記実施例では、コイルを、一対の端子収容部の並び方向と略平行に軸線を向けて配置したが、コイルは、一対の端子収容部の並び方向と交差する方向に軸線を向けて配置してよい。
(4)上記実施例では、一対のコンデンサの間に導電性遮蔽板を介在させたが、一対のコンデンサの間に導電性遮蔽板を介在させない形態としてもよい。
(5)上記実施例では、導電性遮蔽板を、アース部材に対し直接、接触させて一体化したが、導電性遮蔽板を、アース部材とは非接触の状態で配置し、導電性遮蔽板とアース部材を電線等で接続してもよい。
(6)上記実施例では、アース部材とは別体部品である導電性遮蔽板を、アース部材に固着して一体化させたが、導電性遮蔽板は、曲げ加工や切り起こし等によりアース部材に一体に形成してもよい。
(7)上記実施例では、一対の端子収容部(端子金具)を、コイルの軸線方向において、コイルの両端部と対応する位置に配置したが、一対の端子収容部は、コイルの軸線方向においてコイルの端部と非対応の位置に配置してもよい。
(8)上記実施例では、コンデンサをフィルムコンデンサとしたが、コンデンサは、電解コンデンサやセラミックコンデンサであってもよい。
(9)上記実施例では、コンデンサにリード線を有するものを用いたが、コンデンサは、リード線を有しないものであっても良い。
(10)上記実施例では、一対のコンデンサを、コイルの軸線方向と略平行に並べて配置したが、一対のコンデンサは、コイルの軸方向と交差する方向に並べて構成してもよい。この場合、一対のコンデンサがコイルを挟むような配置であってもよい。
(11)上記実施例では、端子金具を、タブ状のバスバー端子としたが、角筒状の接続部を有する雌形の端子金具であってよい。
(12)上記実施例では、アース接続部を、接地部に対して直接、接続したが、アース接続部を、アース回路を構成する電線に接続し、この電線を介して接地部に接続してもよい。
(13)上記実施例における半田付けによる接続形態は、レーザ溶接や抵抗溶接等に替えることができる。
【符号の説明】
【0035】
A…フィルタ素子内蔵コネクタ
10…ハウジング
12…素子収容部
13…端子収容部
20…フィルタ素子
21…コイル
23…導線
24…コンデンサ
30…端子金具
40…アース部材
42…アース接続部
45…第1導電性遮蔽板(導電性遮蔽板)
50…接地部
図1
図2