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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-177018(P2015-177018A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/42 20060101AFI20150908BHJP
   H05K 3/38 20060101ALI20150908BHJP
   H05K 3/26 20060101ALI20150908BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
   H05K3/42 610A
   H05K3/38 A
   H05K3/26 B
   H05K3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-52220(P2014-52220)
(22)【出願日】2014年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100179257
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 勝利
(72)【発明者】
【氏名】川口 章秀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝利
【テーマコード(参考)】
5E317
5E343
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB12
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD01
5E317CD11
5E317CD25
5E317CD27
5E317CD32
5E317GG01
5E317GG17
5E343AA02
5E343AA07
5E343AA13
5E343AA17
5E343BB24
5E343BB71
5E343DD33
5E343DD43
5E343DD76
5E343EE02
5E343EE13
5E343EE33
5E343EE36
5E343ER60
5E343FF23
5E343GG02
(57)【要約】
【課題】材料を無駄にすることなく、また、簡単な処理工程だけで、心材を有する絶縁層の表面にも、ファインパターンを形成することができる、層間絶縁層と導体層(配線層)との密着性が向上する。
【解決手段】第1回路パターン11が形成された基板1が準備され、その基板1上に心材21を有する絶縁層2が貼り付けられる。そして、絶縁層2上にめっき膜からなる第2回路パターン、および第1回路パターン11と第2回路パターンとが、ビア導体を介して電気的に接続されている。この第2回路パターンが形成される前、レーザ光が照射されることにより、めっき膜を形成する面の表面改質処理が行われ、その後に、デスミア処理が行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路パターンが形成された基板を準備することと、
前記基板上に心材を有する絶縁層を形成することと、
前記絶縁層に第1回路パターンを露出させるバイアホールを形成することと、
前記絶縁層にデスミア処理を行うことと、
前記絶縁層上にめっき膜からなる第2回路パターンと、前記第1回路パターンおよび前記第2回路パターンを電気的に接続するビア導体とを形成することと、
を含む配線板の製造方法であって、
前記デスミア処理を行う前に、前記絶縁層のめっき膜を形成する面の表面改質処理を行う。
【請求項2】
請求項1記載の配線板の製造方法であって、前記表面改質処理をレーザ光の照射により行う。
【請求項3】
請求項2記載の配線板の製造方法であって、前記レーザ光の照射をエキシマレーザにより行う。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線板の製造方法であって、前記デスミア処理が行われた前記絶縁層の表面に無電解めっきにより無電解めっき膜を形成し、前記無電解めっき膜の表面に前記第2回路パターンを有する電気めっき膜を形成することにより、金属箔を用いないで電気めっき膜を形成する。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の配線板の製造方法であって、前記絶縁層を形成した後、前記表面改質処理前に、レーザ加工によりビアホールを形成する。
【請求項6】
請求項4または5のいずれか1項に記載の配線板の製造方法であって、前記第2回路パターンの形成を、電気めっきによるセミ・アディティブ法により行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線板の絶縁層とその上に形成される回路パターンとの密着性を向上させることができる配線板の製造方法に関する。さらに詳しくは、デスミア処理の前に絶縁層の表面を改質して絶縁層と回路パターンとの密着性を向上させることができ、ファインピッチにも対応することができる配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の軽薄短小化に伴い、電子機器の内部に組み込まれる多層配線板も益々配線パターンの高密度化が要求されている。一方で、大型の電子機器に用いられる基板には、ある程度の剛性が要求されることから、ガラス繊維等の心材入りの絶縁フィルムが使用される。しかしながら、このようなガラス繊維入りの絶縁フィルムは、めっき金属膜との接着強度が弱いため、配線パターンの高密度化の要求に応じてファインパターンを形成することができず、軽薄短小化の妨げになるという問題がある。
【0003】
このような配線パターンの層間絶縁膜との密着強度を向上させるために、例えば特許文献1には、絶縁膜の表面に物理的な粗面化処理による第1粗面化処理と、第1粗面化処理により粗面にされた絶縁層の表面をエッチング液の使用により化学的に粗面化する第2粗面化処理とにより、粗面化することが開示されている。このような粗面化処理が施された表面に導体層が形成されることにより、層間絶縁膜に形成される凹凸とその表面に設けられる導体層との間でアンカー効果が生じ、層間絶縁膜と導体層との密着性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/104638号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、層間絶縁膜の表面を物理的に粗面化するには、例えば所定の表面粗さの凹凸面を有する転写シートを層間絶縁膜と一体成形して接合した後に、転写シートをエッチング等により溶解除去するか、転写シートを剥離除去する必要がある。そのため、工数がかかり、転写シートも無駄になるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、材料を無駄にすることなく、また、簡単な処理工程だけで、心材を有する絶縁層の表面にも、ファインパターンを形成することができる、層間絶縁層と導体層(配線層)との密着性が向上した配線板の製造方法が提供されることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配線板の製造方法は、第1回路パターンが形成された基板を準備することと、前記基板上に心材を有する絶縁層を形成することと、前記絶縁層に第1回路パターンを露出させるバイアホールを形成することと、前記絶縁層にデスミア処理を行うことと、前記絶縁層上にめっき膜からなる第2回路パターンと、前記第1回路パターンおよび前記第2回路パターンを電気的に接続するビア導体とを形成することと、を含む配線板の製造方法であって、前記デスミア処理を行う前に、前記絶縁層のめっき膜を形成する面の表面改質処理を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えばレーザ光照射により、層間絶縁層の表面に改質処理が施されている。そのため、凹凸面が形成されると共に、絶縁層の表面のC−C結合が切断され、親水基であるC=O結合およびC−OH結合が増加する。その後にデスミア処理を行うと、凹凸面と親水基の作用によって、デスミア液の濡れ性が高まり、デスミアによる微細凹凸の形成が促進される。その結果、アンカー効果により、無電解めっき膜とデスミア後の絶縁層表面との密着性が高くなるものと推測される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の配線板の製造方法を示す工程図。
図2図1に引き続く配線板の製造方法を示す工程図。
図3】エキシマレーザ光による表面改質処理が行われた後の表面状態を、レーザ光照射のパス数を変えてそれぞれ示す図。
図4】レーザ光による照射後の樹脂表面の元素の結合状態を模式的に示す図。
図5】エキシマレーザ光による表面改質処理がなされ、さらにデスミア処理が行われた後の表面状態を、レーザ光照射のパス数を変えてそれぞれ示す図。
図6】レーザ光照射後、デスミア処理中の樹脂表面の元素の結合状態を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本実施形態の配線基板の製造方法が、図1〜8を参照しながら説明される。
本実施形態の配線基板の製造方法は、図1に示されるように、まず、第1回路パターン11が形成された基板1が準備され、その基板1上に心材21を有する絶縁層2が貼り付けられる。この絶縁層2に第1回路パターン11を露出させるバイアホール4が形成され、絶縁層2にデスミア処理が施される。そして、図2(c)に示されるように、絶縁層2上に、めっき膜3からなる第2回路パターン31が形成されると共に、第1回路パターン11および第2回路パターン31とが電気的に接続されるビア導体3cとが形成されている。この実施形態では、デスミア処理が行われる前に、絶縁層2のめっき膜を形成する面の表面改質処理が例えば、レーザ光の照射、特にエキシマレーザ光の照射により行われていることに特徴がある。
【0011】
すなわち、例えばエキシマレーザ光の照射により、絶縁層2の表面が改質されることにより、凹凸面が形成されると共に、親水基が多くなり、デスミア液の濡れ性が高まる。その結果、微細な凹凸内にも、デスミア処理が充分になされ、さらに微細な凹凸が形成されて、無電解めっきによる化学銅との密着性が向上し、電気めっき膜との密着性も向上する。そこで、このレーザ光の照射による改質の効果を確認するため、図1(c)に示される状態、すなわち、ビアホール4が形成された状態のサンプルが6種類製作され、それぞれのサンプルに、エキシマレーザを用いて、エキシマレーザ光の照射のパス数(走査しながら表面全面にエキシマレーザ光が1往復照射されることを1パス(Pass)として、その繰り返し数をパス数という)を変えたときの表面状態、および表面粗さが検査された。
【0012】
なお、エキシマレーザの性能は、発振波長が172nm程度で、出力が660mJ/cm2の連続波で、1回の同じ場所での照射時間は6秒程度で行った。なお、この改質処理は、レーザ光でなくても、例えばプラズマ、コロナ、フレーム(燃焼)などの各種の処理でも行える。また、レーザ光を用いる場合でも、エキシマレーザに限定されないが、エキシマレーザが、短波長でエネルギーが高い点で、他のCO2レーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等より優れている。この条件で、基板全面にレーザ光を1回往復走査がされた場合を1パスとし、基板全面にn回往復走査がされた場合をnパスとして、0パス(レーザ光照射を行わない場合)、5パス、10パス、15パス、20パスの5種類のサンプルが作製され、エキシマレーザ光の照射をした段階、その後デスミア処理を行った状態での表面状態が観察され、それぞれのC−C結合、C−OH結合、C=O結合の変化が調べられた。その結果について、以下に説明をする。
【0013】
なお、このレーザ光の照射による改質の後に行うデスミア処理は、従来から行われているもので、ビアホールを形成するときに発生するスミア(樹脂の残渣)を除去する工程で、その後の層間接続の際の導通不良、密着力不足等の不良原因を除くために行われるものである。このデスミア処理は、処理液に浸漬する湿式法と、プラズマ(気体)に曝す乾式処理の方法があるが、いずれの方法でも、超微細部への処理が可能であるため、近年の微細化、高機能化に伴い、デスミア処理が有利に用いられている。特に、ビア径が70〜100μm程度以下、または吸湿性材料に対して有効である。
【0014】
まず、レーザ光照射による改質処理後で、デスミア処理をする前の表面状態を電子顕微鏡で調べた。表面粗さをRa(算術平均粗さ)と、Rz(十点平均粗さ:所定の長さで、平均線から最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値とを求め、この値をμmで表したもの)、およびそれぞれの表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で調べられた。それぞれの表面粗さは表1に示され、0パス、10パス、15パス、20パスのときの30000倍の顕微鏡写真による表面状態が図3に示されている。
【0015】
【表1】
【0016】
表1から明らかなように、エキシマレーザ照射のパス数が増えるにつれて、表面が荒れている。この結果は、図3に示される走査型電子顕微鏡写真からも同様の結果が現れている。そのため、レーザ照射のパス数は10〜20パス程度にすることが好ましい。さらに好ましくは、15〜20パスである。
【0017】
このエキシマレーザ光の照射前と照射後の絶縁層2の各元素の結合状態の変化が、模式的に図5に示されている。図4(a)は、エキシマレーザ光の照射前の状態の心材入り樹脂からなる絶縁層2の各原子の結合状態を示している。図4(b)は、エキシマレーザ光が前述の条件で15パス照射され、表面が改質された状態の表面の原子の結合状態を示している。図4(b)からも明らかなように、エキシマレーザ光の照射による改質処理の後には、C=O、C−OHなどの親水基が表面に増えていることが分かる。この親水基が増えることにより、次のデスミア処理工程でのデスミア液との親和性が増加し、デスミアによる反応性(微細凹凸の形成)が促進されると推測される。
【0018】
次に、この状態で、デスミア処理を行った。デスミア処理は、前述のように、ビアホール4を形成することにより発生する樹脂の残渣を除去するものである。すなわち、ビアホール4を形成するとき、その熱により、樹脂が溶融・フローし、銅箔の上面や、ビアホール4の内面に付着し、冷却、固化するとスミアになり、薄い膜となって残る。そのため、このスミアを除去するデスミアの工程が設けられている。このデスミア工程は、例えば市販されているデスミア処理液が用いられる。この処理液は、たとえば50〜80℃のアルカリ性過マンガン酸塩水溶液(過マンガン塩40〜80g/リットル)が用いられる。この処理液に浸漬する前に、まず、樹脂を膨潤させるコンディショナ処理が行われ、水洗後、前述の処理液に5〜20分浸漬されることにより行われる。その結果、樹脂が酸化溶解して、銅箔の端面が清浄な面となって露出する。その後、水洗してから、中和処理を行い、さらに水洗して乾燥させることにより、デスミア処理が完了する。このデスミア処理が行われた後の、表面状態を前述の例と同様に走査型電子顕微鏡による写真で調べた。その結果が、図5に示されている。また、この状態でのピール結果(剥離強度:kgf/cm)が調べられ、その結果が表2に示されている。なお、剥離強度は、IPC−TM−650−2.4.8に規定されている銅箔積層板のピール強度試験の方法に基づいている。
【0019】
【表2】
【0020】
前述のデスミア処理後の表面状態が、パス数が0、10、15および20のときの5000倍の電子顕微鏡写真(SEM)で図5に示されている。図5から、粒々はデスミア前より減っているが、大きい凹部が形成されているような表面状態になっている。
【0021】
また、この状態で、この表面に無電解めっき膜を、例えば1μm程度形成し、その剥離強度(ピール結果)を測定し、レーザ光照射のパス数によるピール結果が表2に示されている。表2から明らかなように、ピール結果(剥離強度)は、パス数が増えるにつれて強くなり、5パス以上、さらに好ましくは15パス以上のエキシマレーザ光の照射が行われることが好ましいことが分る。
【0022】
このデスミア処理がされる際の各元素の結合状態の変化が模式的に図6に示されている。図6(a)には、デスミア処理がされる当初に、デスミア処理液中に浸漬されることにより、デスミア処理液中のジエチルグリコールの膨潤材7が樹脂中に入り込んで、次の過マンガン酸MnO4溶液と反応しやすいように、樹脂を膨潤させた状態が示されている。次に、図6(b)に示されるように、デスミア処理液中の過マンガン酸溶液のMnO4 8が樹脂表面を酸化して微細凹凸が形成されている。次いで、図6(c)に示されるように、デスミア処理が完了した状態では、表面に細かい凹凸が形成されると共に、樹脂組成物中のシリカやアルミナ等からなるフィラー9が部分的に露出している。このようなフィラー9が突出することにより、無電解めっきの被膜がこの周囲にも付着し、密着性の向上にも寄与する。これらの各元素の配列は、XPS分析により確認される。
【0023】
図6から明らかなように、図4に示されるエキシマレーザ光の照射によりC−C結合の一部がC=O結合に変化したものが、このデスミア処理の結果、図6に示されるように、C=Oの一部がC−OHに変化している。このC−OHの親水基により、無電解めっきのめっき液との濡れ性が良くなり、形成された細かい凹凸にもめっき膜が付着し、アンカー効果により絶縁層(樹脂層)2と第2回路パターン3との密着性が向上すると推定される。
【0024】
要するに、エキシマレーザ光が照射されることにより、凹凸面が形成されると共に、絶縁層の表面のC−C結合が切断され、親水基であるC=O結合およびC−OH結合が増加する。その後にさらにデスミア処理が行われることにより、凹凸面と親水基の作用によって、デスミア液の濡れ性が高まり、デスミアによる微細凹凸の形成が促進され、さらにフィラー9が一部露出する。その結果、凹凸およびフィラー9によるアンカー効果により、絶縁層(樹脂層)2と第2回路パターン3との密着性が大幅に向上する。この点からも、まず、エキシマレーザ光の照射による改質処理による凹凸と、デスミア処理による濡れ性の向上により、樹脂と回路パターンとの密着性が向上すると推定される。この観点から、樹脂表面に凹凸が多く形成されることが好ましく、レーザ光照射のパス数は10〜20パス程度、さらに好ましくは、15〜20パス程度であることが好ましい。
【0025】
[比較例1]
エキシマレーザによる表面改質をしないで、デスミア処理のみの場合の前述と同様のデータは、前述の表1、表2、および図4、6のパス数が0のデータに相当し、これらの表および図4、6からも明らかなように、当然のことながら、レーザ光照射による凹凸は殆ど生じていない。さらに、デスミア処理をしても図5(a)に示されるように、凹凸は殆どなく、剥離強度も、表2から明らかなように、パス数が5以上の場合に比べて、明らかに小さい。
【0026】
[比較例2]
また、デスミア処理後にエキシマレーザ光による表面処理を5パスで行った場合に、表2と同様の方法で剥離強度を調べた。その結果は、0.43kgf/cmであった。表2の結果と対比しても、レーザ光照射による改質処理を行わなかった場合と同じであり、全く効果が無いことが分る。
【0027】
次に、図1〜2を参照しながら、第1回路パターン11が形成された基板1上に第2回路パターンが形成される典型的な例で、さらに詳細に説明をする。
【0028】
まず、図1(a)に示されるように、第1回路パターン11が形成された基板1が準備される。この第1回路パターン11が形成された基板1は、樹脂層と銅箔とを重ねて加圧、加熱して形成した後にパターニングされたものでも良いし、パターニングされた銅箔等を樹脂層と重ねて加圧、加熱して形成されたものでも良い。または、第1回路パターン11がキャリアの表面に形成され、その表面に樹脂層が圧接成形された後に、キャリアが除去されたものでも良い。要は、絶縁性の基板1の表面に回路パターン11が形成されたものが準備されれば良い。この基板1は、ガラス繊維等の心入り樹脂層でも良いし、心入りでなくても良い。
【0029】
この基板1の第1回路パターン11が形成された面に、心材21を有する樹脂層2が貼り付けられている。この樹脂層2は、樹脂組成物が繊維状基材21に含浸されることにより作製されている。樹脂組成物としては、特に限定はされないが、リン含有エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が用いられる。また、樹脂組成物には、シリカ、アルミナ等の無機物のフィラーが混入されている。ジシアンジアミド等の硬化剤や、2−エチル−4メチル−イミダゾール等の硬化促進剤、さらに、必要に応じて、シリカ等の充填剤やジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶剤が配合されても良い。心材21としては、例えば、0.1mm以下程度の厚さの繊維状基材が用いられることにより、適度な剛性を保ちながら、配線板の小型・薄型化が図られる点で好ましい。具体的には、例えば0.08mmとか、0.04mmの厚さのガラスクロス等が好適に用いられる。なお、厚さの下限は、0.019mm(19μm)程度に設定されることができる。
【0030】
このガラス繊維21等に樹脂組成物が含浸された心材21を有する絶縁層2が、基板1の第1回路パターン11上に重ねられて、圧接しながら、加熱することにより接着されている。
【0031】
次に、図1(b)に示されるように、ビアホール4が所定の場所に形成される。このビアホール4は、下層の第1回路パターン11と、上層の第2回路パターン21とが接続される部分に形成される。従って、接続される下層の第1回路パターン11の位置に合せて、下層の第1回路パターン11が露出するようにビアホール4が形成される。
【0032】
このビアホール4は、例えばレーザ光の照射により形成される。レーザ光としては、例えばCO2レーザが用いられる。このビアホール4の形成は、通常行われる方法と同じで、樹脂層2の表面側からレーザ光の照射により行われる。
【0033】
次に、図1(c)に示されるように、例えばエキシマレーザによる改質処理を行う。図1(c)で、矢印Aがレーザ光であることを示している。この改質処理は、前述のように、発振波長が172nm程度で、出力が660mJ/cm2程度の連続波のレーザ光をスキャンすることにより行われる。このレーザ光の照射は15〜20パス繰り返して行われる。この樹脂層2の表面およびビアホール4の内面にレーザ光が照射されることにより、前述のように、表面の化学結合が、C−CからC=Oに変化する。さらに、それに伴い、図4(b)に示されるように、表面に微細な凹凸が形成される。
【0034】
その後、図1(d)に示されるように、デスミア処理が行われる。図1(d)では、絶縁層2の表面およびビアホール4内のみにデスミア液を意味する矢印Bが付されているが、実際には、前述のように、デスミア処理液の中に全体を浸漬させて処理が行われる。デスミア処理液としては、市販のデスミア液を用いることができる。このデスミア処理は、前述のように、スミアを除去することが目的であるが、前述のエキシマレーザの照射処理による表面の凹凸もいくらかは整形される。
【0035】
その後、通常のプロセスと同様に、電気めっきによる第2回路パターン31(図2(c)参照)が形成される。この第2回路パターン31は、図1(e)〜図2(c)に示されるように、無電解めっき膜3a、電気めっき膜3bが形成されると共に、電気めっき膜3bの形成と共に、ビア導体3cが形成されることにより得られる。
【0036】
まず、無電解めっき膜3aも、市販の無電解めっき溶液に浸漬することにより形成される。前述のように、絶縁層2の表面処理として、エキシマレーザによる改質処理が施され、さらにその後でデスミア処理が施されているため、細かい凹凸内にも、この無電解めっき溶液が浸入し、密着性の優れた無電解めっき膜3aが、例えば1μm程度の厚さに形成される。なお、この無電解めっき膜の形成前に、ビアホール4内に図示しないめっき促進剤の付着形成がなされてもよい。このビアホール4内へのめっき促進剤の付着が行われると、表面の露出部分よりもビアホール4内に優先的に電気めっき膜を形成することができるため好ましい。
【0037】
次に、図2(a)に示されるように、無電解銅めっき膜3aの表面で、電気めっき膜を形成しない場所にレジスト膜6がパターニングされて形成される。すなわち、電気めっき膜3bの形成には、電気めっき膜3bが形成される部分のみの下地層を露出させ、他の部分をレジスト膜で覆って電気めっきが行われ、その後にレジスト膜の下の下地層も除去されるセミ・アディティブ法と、全面に電気めっき膜が形成された後に、電気めっき膜が形成される必要のある部分のみにレジスト膜が形成されて、レジスト膜で覆われない部分の電気めっき膜および下地層がエッチングにより除去されることにより、必要なパターンで電気めっき膜が形成されるサブトラクティブ法の2種類があるが、図2(a)に示される例は、セミ・アディティブ法が採用されている。そして、電気めっき液中に浸漬して、前述の無電解めっき膜3aとエッチング液中に浸漬する銅電極との間に、無電解めっき膜3aがカソードとなる電圧が印加されることにより、図2(b)に示されるように、無電解めっき膜3aの露出面、特にビアホール4内に電気めっき膜3bが形成される。ビアホール4内は、めっき促進剤の効用により、表面側よりも多く電気めっき膜3bが形成されるため、ビア導体3cとしてビアホール4内が埋め込まれる。この電気めっき膜3bの厚さは、例えば15μm程度の厚さに形成される。
【0038】
その後、図2(c)に示されるように、レジスト膜6が除去され、さらに、レジスト膜6の除去により露出した無電解銅めっき膜3aも除去されることにより、無電解銅めっき膜3aと銅めっき膜3bとからなる導体膜がパターニングされて、第2回路パターン31が形成される。
【0039】
以上の実施形態によれば、デスミア処理の前に、エキシマレーザ処理が施されることにより、絶縁層2の樹脂構造が改質処理されている。そのため、表面に凹凸面が形成されると共に、絶縁層の表面のC−C結合が切断され、親水基であるC=O結合およびC−OH結合が増加する。その後にデスミア処理が行われると、凹凸面と親水基の作用によって、デスミア液の濡れ性が高まり、デスミアによる微細凹凸の形成が促進される。そして、無電解めっき膜を形成するためのめっき液に浸漬されると、めっき液が充分に凹部内に浸入して、アンカー効果が現れることとも相俟って、非常に密着性良く無電解めっき膜が形成される。その結果、その上に形成される電気めっき膜も無電解めっき膜と密着性良く形成されるため、非常に安定した電気めっき膜が形成される。その結果、心材を有する樹脂層が用いられながら、配線パターンの高密度化によりファインピッチのパターンが要求される場合でも、何らの支障を生じることなく、密着性が良く、ファインパターンの形成が得られる。
【0040】
しかも、この方法によれば、樹脂層の表面を粗面にするという特別な材料や工程を用いることなく、ただ、デスミア処理の前に、レーザ光の照射という簡単な工程が付加されるだけで済み、大したコストアップを招くことなく、確実にファインピッチの回路パターンを心材入りの樹脂層表面にも形成することができる。その結果、軽薄短小化、および高性能化が要求される近年の配線板が、非常に安価に得られる。
【符号の説明】
【0041】
1 基板
2 絶縁層
3 めっき膜
3a 無電解めっき膜
3b 電気めっき膜
3c ビア導体
4 ビアホール
5 レーザ加工
6 レジスト膜
7 膨潤材
8 MnO4
9 フィラー
11 第1回路パターン
21 ガラス繊維
31 第2回路パターン
図1
図2
図4
図6
図3
図5