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特開2015-177619降圧コンバータ回路およびそのテスト方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-177619(P2015-177619A)
(43)【公開日】2015年10月5日
(54)【発明の名称】降圧コンバータ回路およびそのテスト方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20150908BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20150908BHJP
【FI】
   H02M3/155 C
   G01R31/28 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-51541(P2014-51541)
(22)【出願日】2014年3月14日
(71)【出願人】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】倉升 智明
【テーマコード(参考)】
2G132
5H730
【Fターム(参考)】
2G132AA17
2G132AB01
2G132AK15
2G132AL26
5H730AA13
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE13
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG05
5H730XX04
5H730XX12
5H730XX13
5H730XX25
5H730XX29
(57)【要約】
【課題】外部素子を接続することなく回路内の複数の素子に対するプローブテストを同時に行うことができる降圧コンバータ回路を提供する。
【解決手段】第1のパッドP1と第2のパッドP2の間を短絡すると共に第1の選択器11により増幅器1で増幅された差分信号Vdifを比較器4の第1入力に入力させ且つ第2の選択器12により比較器4の出力信号を比較器4の第2入力に入力させた状態で、開閉器G5を閉じ且つ開閉器G6を開くことで、高圧側スイッチング素子THを駆動させたテストが行われ、開閉器G5を開き且つ開閉器G6を閉じることで、低圧側スイッチング素子TLを駆動させたテストが行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧と接地電位の間に直列接続された高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を有し、前記高圧側スイッチング素子と前記低圧側スイッチング素子の結合部に出力された電圧を一対の帰還抵抗で分圧すると共に分圧された電圧と参照電圧との差分信号を増幅器で増幅した後、増幅された差分信号を比較器で所定の発振信号と比較することにより得られたPWM信号に基づいて前記高圧側スイッチング素子および前記低圧側スイッチング素子を相補的にスイッチングする降圧コンバータ回路において、
前記高圧側スイッチング素子と前記低圧側スイッチング素子の結合部に接続された第1のパッドと、
前記一対の帰還抵抗の高圧側端部に接続された第2のパッドと、
前記所定の発振信号と前記増幅器で増幅された差分信号の一方を選択して前記比較器の第1入力に入力させる第1の選択器と、
前記増幅器で増幅された差分信号と前記比較器の出力信号の一方を選択して前記比較器の第2入力に入力させる第2の選択器と、
前記比較器の出力と前記高圧側スイッチング素子の制御端子の間を開閉する第1の開閉器と、
前記比較器の出力と前記低圧側スイッチング素子の制御端子の間を開閉する第2の開閉器と
を備え、前記第1のパッドと前記第2のパッドの間を短絡すると共に前記第1の選択器により前記増幅器で増幅された差分信号を前記比較器の第1入力に入力させ且つ前記第2の選択器により前記比較器の出力信号を前記比較器の第2入力に入力させた状態で、前記第1の開閉器を閉じて前記第2の開閉器を開くことで前記高圧側スイッチング素子を駆動させたテストが行われ、前記第1の開閉器を開いて前記第2の開閉器を閉じることで前記低圧側スイッチング素子を駆動させたテストが行われることを特徴とする降圧コンバータ回路。
【請求項2】
前記第1のパッドと前記第2のパッドの間に外部素子を接続すると共に前記第1の選択器により前記所定の発振信号を前記比較器の第1入力に入力させ且つ前記第2の選択器により前記増幅器で増幅された差分信号を前記比較器の第2入力に入力させ、前記第1の開閉器および前記第2の開閉器を共に開くことで、前記高圧側スイッチング素子と前記低圧側スイッチング素子の結合部に出力された電圧が前記外部素子で平滑化されて出力電圧となる請求項1に記載の降圧コンバータ回路。
【請求項3】
前記第1のパッドと前記第2のパッドの間を開閉する第3の開閉器をさらに備えた請求項1または2に記載の降圧コンバータ回路。
【請求項4】
前記高圧側スイッチング素子と並列に接続された第1の電流経路確保用素子と、
前記低圧側スイッチング素子と並列に接続された第2の電流経路確保用素子と、
前記参照電圧を発生する参照電圧発生回路と、
前記参照電圧発生回路で発生された前記参照電圧に基づいて前記第1の電流経路確保用素子および前記第2の電流経路確保用素子の制御端子に供給されるバイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と
をさらに備えた請求項1〜3のいずれか一項に記載の降圧コンバータ回路。
【請求項5】
入力電圧と接地電位の間に直列接続された高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を有し、前記高圧側スイッチング素子と前記低圧側スイッチング素子の結合部に出力された電圧を一対の帰還抵抗で分圧すると共に分圧された電圧と参照電圧との差分信号を増幅器で増幅した後、増幅された差分信号を比較器で所定の発振信号と比較することにより得られたPWM信号に基づいて前記高圧側スイッチング素子および前記低圧側スイッチング素子を相補的にスイッチングする降圧コンバータ回路のテスト方法において、
前記高圧側スイッチング素子と前記低圧側スイッチング素子の前記結合部に接続された第1のパッドと前記一対の帰還抵抗の高圧側端部に接続された第2のパッドの間を短絡し、
前記所定の発振信号と前記増幅器で増幅された前記差分信号を前記比較器に入力させる代わりに前記増幅器で増幅された前記差分信号と前記比較器の出力信号を前記比較器に入力させ、
前記高圧側スイッチング素子と前記低圧側スイッチング素子のうち前記高圧側スイッチング素子の制御端子にのみ前記比較器の出力を入力させることで前記高圧側スイッチング素子を駆動させたテストを行うと共に前記低圧側スイッチング素子の制御端子にのみ前記比較器の出力を入力させることで前記低圧側スイッチング素子を駆動させたテストを行うことを特徴とする降圧コンバータ回路のテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、降圧コンバータ回路に係り、特に、一対の帰還抵抗で分圧された電圧に基づいて高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を相補的にスイッチングさせることにより入力電圧を出力電圧に変換する降圧コンバータ回路に関する。
また、この発明は、このような降圧コンバータ回路をテストする方法にも関している。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の降圧コンバータ回路が考案され使用されている。
例えば、特許文献1に開示されたDC−DCコンバータでは、入力電圧と接地電位の間に直列接続された一対のスイッチング素子を相補的にスイッチングすると共に一対のスイッチング素子の結合部に出力された電圧をインダクタおよびコンデンサで平滑化することで出力電圧を得ている。また、上記のインダクタを流れる電流を検出し、検出電流に応じて一対のスイッチング素子のオン/オフ時間を調整することにより、出力電圧の制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、一般的な電圧モード制御方式の降圧コンバータ回路の概略構成を図4に示す。入力電圧Vinと接地電位の間に高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLが直列接続され、これら高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部AにインダクタLoutおよびコンデンサCoutが接続され、これらインダクタLoutおよびコンデンサCoutに出力端子OUTが接続されている。
【0005】
出力端子OUTと接地電位の間に一対の帰還抵抗R1およびR2が直列接続され、帰還抵抗R1およびR2の結合部Bに増幅器1の負極入力端が接続されている。増幅器1の正極入力端には、参照電圧発生回路2が接続され、また、増幅器1の負極入力端と出力端との間にRC回路3が接続されている。増幅器1の出力端には、比較器4の負極入力端が接続され、比較器4の正極入力端に発振器5が接続されている。さらに、比較器4の出力端には、制御回路6が接続され、制御回路6にプレドライバ7を介して高圧側スイッチング素子THのゲートが接続されると共に、プレドライバ8を介して低圧側スイッチング素子TLのゲートが接続されている。
【0006】
制御回路6により高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLが相補的にスイッチングされ、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aに出力された電圧がインダクタLoutおよびコンデンサCoutで平滑化されて出力電圧Voutとなる。
【0007】
出力電圧Voutは、一対の帰還抵抗R1およびR2で分圧され、分圧された電圧Vdivと参照電圧発生回路2で生成された参照電圧Vrefとの差分が増幅器1で増幅されて差分信号Vdifとなり、さらに、比較器4において、差分信号Vdifが発振器5から発せられた三角波信号Voscと比較されてPWM信号Spwmが形成され、このPWM信号Spwmに基づいて制御回路6による高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLのスイッチングが行われる。
【0008】
半導体集積回路を用いて、このような降圧コンバータ回路を形成する際には、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部AにインダクタLoutおよびコンデンサCoutからなる外部素子9を接続し、この外部素子9で平滑化された電圧を出力電圧Voutとして使用している。
従って、降圧コンバータ回路の不良を検査するテストにおいては、通常、外部素子9をテストボード上に搭載して、出力電圧Voutの動作測定を行っている。
【0009】
しかしながら、半導体集積回路の製造工程において、半導体ウエハ上に形成された多数の集積回路チップを互いに切り離す前に実施されるプローブテストでは、プローブカードを用いて半導体ウエハ上の集積回路チップと検査装置とを接続するため、外部素子9を高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aに接続した状態でテストを行うことが困難である。
このため、プローブテストにおいては、降圧コンバータ回路としてのテストを行うことができず、降圧コンバータ回路を構成する個々の回路素子毎に検査項目を設定してテストを行わなければならなかった。
【0010】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、外部素子を接続することなく回路内の複数の素子に対するプローブテストを同時に行うことができる降圧コンバータ回路を提供することを目的とする。
また、この発明は、このような降圧コンバータ回路をテストする降圧コンバータ回路のテスト方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る降圧コンバータ回路は、入力電圧と接地電位の間に直列接続された高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を有し、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子の結合部に出力された電圧を一対の帰還抵抗で分圧すると共に分圧された電圧と参照電圧との差分信号を増幅器で増幅した後、増幅された差分信号を比較器で所定の発振信号と比較することにより得られたPWM信号に基づいて高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を相補的にスイッチングする降圧コンバータ回路において、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子の結合部に接続された第1のパッドと、一対の帰還抵抗の高圧側端部に接続された第2のパッドと、所定の発振信号と増幅器で増幅された差分信号の一方を選択して比較器の第1入力に入力させる第1の選択器と、増幅器で増幅された差分信号と比較器の出力信号の一方を選択して比較器の第2入力に入力させる第2の選択器と、比較器の出力と高圧側スイッチング素子の制御端子の間を開閉する第1の開閉器と、比較器の出力と低圧側スイッチング素子の制御端子の間を開閉する第2の開閉器とを備え、第1のパッドと第2のパッドの間を短絡すると共に第1の選択器により増幅器で増幅された差分信号を比較器の第1入力に入力させ且つ第2の選択器により比較器の出力信号を比較器の第2入力に入力させた状態で、第1の開閉器を閉じて第2の開閉器を開くことで高圧側スイッチング素子を駆動させたテストが行われ、第1の開閉器を開いて第2の開閉器を閉じることで低圧側スイッチング素子を駆動させたテストが行われるものである。
【0012】
第1のパッドと第2のパッドの間に外部素子を接続すると共に第1の選択器により所定の発振信号を比較器の第1入力に入力させ且つ第2の選択器により増幅器で増幅された差分信号を比較器の第2入力に入力させ、第1の開閉器および第2の開閉器を共に開くことで、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子の結合部に出力された電圧を外部素子で平滑化して出力電圧とすることができる。
また、第1のパッドと第2のパッドの間を開閉する第3の開閉器をさらに備えることもできる。
さらに、高圧側スイッチング素子と並列に接続された第1の電流経路確保用素子と、低圧側スイッチング素子と並列に接続された第2の電流経路確保用素子と、参照電圧を発生する参照電圧発生回路と、参照電圧発生回路で発生された参照電圧に基づいて第1の電流経路確保用素子および第2の電流経路確保用素子の制御端子に供給されるバイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路とを備えることもできる。
【0013】
この発明に係る降圧コンバータ回路のテスト方法は、入力電圧と接地電位の間に直列接続された高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を有し、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子の結合部に出力された電圧を一対の帰還抵抗で分圧すると共に分圧された電圧と参照電圧との差分信号を増幅器で増幅した後、増幅された差分信号を比較器で所定の発振信号と比較することにより得られたPWM信号に基づいて高圧側スイッチング素子および低圧側スイッチング素子を相補的にスイッチングする降圧コンバータ回路のテスト方法であって、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子の結合部に接続された第1のパッドと一対の帰還抵抗の高圧側端部に接続された第2のパッドの間を短絡し、所定の発振信号と増幅器で増幅された差分信号を比較器に入力させる代わりに増幅器で増幅された差分信号と比較器の出力信号を比較器に入力させ、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子のうち高圧側スイッチング素子の制御端子にのみ比較器の出力を入力させることで高圧側スイッチング素子を駆動させたテストを行うと共に低圧側スイッチング素子の制御端子にのみ比較器の出力を入力させることで低圧側スイッチング素子を駆動させたテストを行う方法である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、高圧側スイッチング素子と低圧側スイッチング素子の結合部に接続された第1のパッドと、一対の帰還抵抗の高圧側端部に接続された第2のパッドと、所定の発振信号と増幅器で増幅された差分信号の一方を選択して比較器の第1入力に入力させる第1の選択器と、増幅器で増幅された差分信号と比較器の出力信号の一方を選択して比較器の第2入力に入力させる第2の選択器と、比較器の出力と高圧側スイッチング素子の制御端子の間を開閉する第1の開閉器と、比較器の出力と低圧側スイッチング素子の制御端子の間を開閉する第2の開閉器とを備えているので、第1のパッドと第2のパッドの間を短絡すると共に第1の選択器により増幅器で増幅された差分信号を比較器の第1入力に入力させ且つ第2の選択器により比較器の出力信号を比較器の第2入力に入力させた状態で、第1の開閉器および第2の開閉器を開閉することで、外部素子を接続することなく回路内の複数の素子に対するプローブテストを同時に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態に係る降圧コンバータ回路の構成を示す回路図である。
図2】高圧側スイッチング素子を駆動させたテストを行う際の実施の形態の降圧コンバータ回路を概略的に示す回路図である。
図3】低圧側スイッチング素子を駆動させたテストを行う際の実施の形態の降圧コンバータ回路を概略的に示す回路図である。
図4】従来の降圧コンバータ回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、実施の形態に係る降圧コンバータ回路の構成を示す。降圧コンバータ回路は、入力電圧Vinと接地電位の間に直列接続された高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLを有している。高圧側スイッチング素子THのゲートは、スイッチT1を介して入力電圧Vinに接続され、低圧側スイッチング素子TLのゲートは、スイッチT3を介して接地電位に接続されている。
また、高圧側スイッチング素子THに並列に第1の電流経路確保用素子THpが接続され、この第1の電流経路確保用素子THpのゲートが、スイッチT2を介して入力電圧Vinに接続されると共に開閉器G1を介してバイアス電圧Pbiasに接続されている。同様に、低圧側スイッチング素子TLに並列に第2の電流経路確保用素子TLpが接続され、この第2の電流経路確保用素子TLpのゲートが、スイッチT4を介して接地電位に接続されると共に開閉器G2を介してバイアス電圧Nbiasに接続されている。
【0017】
また、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aに第1のパッドP1が接続されると共に開閉器G3を介して第2のパッドP2が接続されている。第2のパッドP2と接地電位の間に一対の帰還抵抗R1およびR2が直列接続され、帰還抵抗R1およびR2の結合部Bに増幅器1の負極入力端が接続されている。増幅器1の正極入力端には、参照電圧発生回路2が接続され、増幅器1の負極入力端と出力端との間にRC回路3が接続されている。
増幅器1の出力端には、第1の選択器11の第2入力端と第2の選択器12の第1入力端がそれぞれ接続されており、第1の選択器11の出力端に比較器4の正極入力端(第1入力)が接続されると共に第2の選択器12の出力端に比較器4の負極入力端(第2入力)が接続されている。また、第1の選択器11の第1入力端には、発振器5が接続され、第2の選択器12の第2入力端には、比較器4の出力端が接続されている。
【0018】
さらに、比較器4の出力端に、開閉器G4を介して発振防止抵抗R3の一端が接続され、発振防止抵抗R3の他端に、開閉器G5(第1の開閉器)を介して高圧側スイッチング素子THのゲートが接続されると共に開閉器G6(第2の開閉器)を介して低圧側スイッチング素子TLのゲートが接続されている。
また、比較器4の出力端には、制御回路6が接続され、制御回路6にプレドライバ7を介して高圧側スイッチング素子THのゲートが接続されると共に、プレドライバ8を介して低圧側スイッチング素子TLのゲートが接続されている。
【0019】
なお、増幅器1は、一対の帰還抵抗R1およびR2で分圧された結合部Bにおける電圧Vdivと参照電圧発生回路2で生成された参照電圧Vrefとの差分を増幅し、差分信号Vdifとして出力する。
発振器5は、所定の発振信号Voscとして三角波信号を出力する。
また、参照電圧発生回路2にバイアス電圧生成回路9が接続されている。このバイアス電圧生成回路9は、参照電圧発生回路2で得られる参照電圧Vrefを基に、開閉器G1を介して第1の電流経路確保用素子THpのゲートに入力されるバイアス電圧Pbiasおよび開閉器G2を介して第2の電流経路確保用素子TLpのゲートに入力されるバイアス電圧Nbiasを生成するものである。
【0020】
この降圧コンバータ回路では、2種類のテスト信号PtestおよびNtestを用いて降圧コンバータ回路の動作状態が制御される。例えば、高圧側スイッチング素子THを駆動させたテストを行う際には、テスト信号PtestがHレベルに設定されると共にテスト信号NtestがLレベルに設定される。一方、低圧側スイッチング素子TLを駆動させたテストを行う際には、テスト信号PtestがLレベルに設定されると共にテスト信号NtestがHレベルに設定される。さらに、テストではなく、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換する降圧コンバータとして機能させるときには、2つのテスト信号PtestおよびNtestが共にLレベルに設定される。
また、降圧コンバータ回路の内部では、2つのテスト信号PtestおよびNtestの論理和をとったテスト信号Testも使用される。
【0021】
高圧側スイッチング素子THおよび第1の電流経路確保用素子THpは、それぞれPMOSトランジスタで構成され、低圧側スイッチング素子TLおよび第2の電流経路確保用素子TLpは、それぞれNMOSトランジスタで構成されている。
スイッチT1はテスト信号Ntestの反転信号により制御されるPMOSトランジスタ、スイッチT2はテスト信号Ntestにより制御されるPMOSトランジスタ、スイッチT3はテスト信号Ptestにより制御されるNMOSトランジスタ、スイッチT4はテスト信号Ptestの反転信号により制御されるNMOSトランジスタで構成されている。
開閉器G1〜G6は、それぞれトランスファゲートで構成され、開閉器G1およびG6はテスト信号Ntestにより、開閉器G2およびG5はテスト信号Ptestにより、開閉器G3およびG4はテスト信号Testにより、それぞれ開閉制御される。
【0022】
第1の選択器11および第2の選択器12は、それぞれトランスファゲートで構成されたアナログマルチプレクサからなり、テスト信号Testによって制御される。具体的には、第1の選択器11および第2の選択器12は、それぞれ、テスト信号TestがLレベルのときには、第1入力端に入力された信号を出力端に出力し、一方、テスト信号TestがHレベルのときには、第2入力端に入力された信号を出力端に出力する。
【0023】
すなわち、テスト信号TestがHレベルのときには、増幅器1から出力される差分信号Vdifが比較器4の正極入力端に入力すると共に比較器4からの出力信号が比較器4の負極入力端に入力する。これにより、比較器4は、利得「1」のバッファとして機能することとなり、増幅器1から出力される差分信号Vdifがそのまま比較器4から出力される。
一方、テスト信号TestがLレベルのときには、発振器5から出力される発振信号Voscが比較器4の正極入力端に入力すると共に増幅器1から出力される差分信号Vdifが比較器4の負極入力端に入力し、差分信号Vdifが発振信号Voscと比較されることで生成されたPWM信号Spwmが比較器4から出力される。
【0024】
また、プレドライバ7および8は、テスト信号TestがHレベルのときには、非作動状態となり、テスト信号TestがLレベルのときには、制御回路6から出力されたスイッチング信号に基づいて高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLをそれぞれ駆動制御する。
【0025】
次に、実施の形態に係る降圧コンバータ回路の動作について説明する。
(1)降圧コンバータとしての動作
まず、入力電圧Vinを出力電圧Voutに変換する降圧コンバータとして機能させるときには、テスト信号PtestおよびNtestが共にLレベルに設定され、これらテスト信号PtestおよびNtestの論理和であるテスト信号TestもLレベルとなる。
これにより、スイッチT1およびT3がオフ状態となり、開閉器G4〜G6が開き、プレドライバ7および8が作動状態となって、高圧側スイッチング素子THのゲートおよび低圧側スイッチング素子TLのゲートにそれぞれプレドライバ7および8を介して制御回路6から出力されたスイッチング信号が入力される。
【0026】
なお、スイッチT2およびT4がオン状態となり、開閉器G1およびG2が開くため、PMOSトランジスタからなる第1の電流経路確保用素子THpのゲートに入力電圧Vinが印加されて第1の電流経路確保用素子THpがオフ状態となり、NMOSトランジスタからなる第2の電流経路確保用素子TLpのゲートに接地電位が接続されて第2の電流経路確保用素子TLpもオフ状態となる。
また、開閉器G3が開くことで、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間が遮断され、第1の選択器11および第2の選択器12にそれぞれLレベルのテスト信号Testが入力されることで、発振器5から出力される発振信号Voscが比較器4の正極入力端に入力すると共に増幅器1から出力される差分信号Vdifが比較器4の負極入力端に入力し、差分信号Vdifが発振信号Voscと比較されることで生成されたPWM信号Spwmが比較器4から出力される。
【0027】
その結果、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間にインダクタLoutおよびコンデンサCoutからなる外部素子9を接続することで、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aから一対の帰還抵抗R1およびR2の結合部B、増幅器1および比較器4を介して制御回路6に戻る負帰還が形成され、図4に示した降圧コンバータ回路が形成されることとなる。
すなわち、制御回路6により高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLが相補的にスイッチングされ、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aに出力された電圧が外部素子9で平滑化されて出力電圧Voutとなる。出力電圧Voutは、帰還抵抗R1およびR2で分圧され、分圧された電圧Vdivと参照電圧発生回路2で生成された参照電圧Vrefとの差分が増幅器1で増幅されて差分信号Vdifとなり、さらに、比較器4において、差分信号Vdifが発振器5から発せられた三角波信号Voscと比較されてPWM信号Spwmが形成され、このPWM信号Spwmに基づいて制御回路6による高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLのスイッチングが行われる。
【0028】
このようにして、入力電圧Vinが出力電圧Voutに変換される。
このとき、電源電圧、増幅器1の利得、発振器5から発せられる三角波信号Voscの振幅によって決定される負帰還の利得が十分に大きい場合には、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLのスイッチングのデューティ比Dは、帰還抵抗R1およびR2の抵抗値r1およびr2を用いて、
D=r1/(r1+r2)
となり、出力電圧Voutは、
Vout=Vin×D=Vin×r1/(r1+r2)
と表すことができる。
【0029】
(2)高圧側スイッチング素子THを駆動させるテスト
次に、高圧側スイッチング素子THを駆動させるテストを行う際には、テスト信号PtestがHレベルに設定されると共にテスト信号NtestがLレベルに設定され、その結果、テスト信号PtestおよびNtestの論理和であるテスト信号TestはHレベルとなる。
これにより、スイッチT1がオフ状態となり、開閉器G4およびG5が閉じ、プレドライバ7が非作動状態となって、高圧側スイッチング素子THのゲートに比較器4の出力端が接続されると共に、スイッチT2がオン状態となり、開閉器G1が開くため、第1の電流経路確保用素子THpのゲートに入力電圧Vinが印加されて第1の電流経路確保用素子THpはオフ状態となる。
【0030】
また、スイッチT3がオン状態となり、開閉器G6が開き、プレドライバ8が非作動状態となって、低圧側スイッチング素子TLのゲートに接地電位が接続され、低圧側スイッチング素子TLがオフ状態になると共に、スイッチT4がオフ状態となり、開閉器G2が閉じるため、第2の電流経路確保用素子TLpのゲートにバイアス電圧Nbiasが印加されて第2の電流経路確保用素子TLpがオン状態となる。すなわち、今回のテストの対象外である低圧側スイッチング素子TLはオフ状態になるが、低圧側スイッチング素子TLに並列に接続されている第2の電流経路確保用素子TLpがオン状態になることで、低圧側スイッチング素子TLに代わって電流経路が確保される。
さらに、開閉器G3が閉じることで、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間が短絡され、第1の選択器11および第2の選択器12にそれぞれHレベルのテスト信号Testが入力されることで、増幅器1から出力される差分信号Vdifが比較器4の正極入力端に入力すると共に比較器4からの出力信号が比較器4の負極入力端に入力し、比較器4が利得「1」のバッファとして機能して、増幅器1から出力される差分信号Vdifがそのまま比較器4から出力される。
【0031】
その結果、図2に示されるリニアレギュレータが形成される。すなわち、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間に外部素子を接続することなく、負帰還が形成され、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aに出力された出力電圧Voutが一対の帰還抵抗R1およびR2で分圧され、分圧された電圧Vdivと参照電圧発生回路2で生成された参照電圧Vrefとの差分が増幅器1で増幅されて差分信号Vdifとなり、比較器4および発振防止抵抗R3を介して高圧側スイッチング素子THのゲートに入力される。
【0032】
(3)低圧側スイッチング素子TLを駆動させるテスト
低圧側スイッチング素子TLを駆動させるテストを行う際には、テスト信号PtestがLレベルに設定されると共にテスト信号NtestがHレベルに設定され、その結果、テスト信号PtestおよびNtestの論理和であるテスト信号TestはHレベルとなる。
これにより、スイッチT1がオン状態となり、開閉器G5が開き、プレドライバ7が非作動状態となって、高圧側スイッチング素子THのゲートに入力電圧Vinが印加され、高圧側スイッチング素子THがオフ状態になると共に、スイッチT2がオフ状態となり、開閉器G1が閉じるため、第1の電流経路確保用素子THpのゲートにバイアス電圧Pbiasが印加されて第1の電流経路確保用素子THpがオン状態となる。すなわち、今回のテストの対象外である高圧側スイッチング素子THはオフ状態になるが、高圧側スイッチング素子THに並列に接続されている第1の電流経路確保用素子THpがオン状態になることで、高圧側スイッチング素子THに代わって電流経路が確保される。
【0033】
また、スイッチT3がオフ状態となり、開閉器G4およびG6が閉じ、プレドライバ8が非作動状態となって、低圧側スイッチング素子TLのゲートに比較器4の出力端が接続されると共に、スイッチT4がオン状態となり、開閉器G2が開くため、第2の電流経路確保用素子TLpのゲートに接地電位が接続されて第2の電流経路確保用素子TLpはオフ状態となる。
さらに、開閉器G3が閉じることで、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間が短絡され、第1の選択器11および第2の選択器12にそれぞれHレベルのテスト信号Testが入力されることで、増幅器1から出力される差分信号Vdifが比較器4の正極入力端に入力すると共に比較器4からの出力信号が比較器4の負極入力端に入力し、比較器4が利得「1」のバッファとして機能して、増幅器1から出力される差分信号Vdifがそのまま比較器4から出力される。
【0034】
その結果、図3に示されるリニアレギュレータが形成される。すなわち、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間に外部素子を接続することなく、負帰還が形成され、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLの結合部Aに出力された出力電圧Voutが一対の帰還抵抗R1およびR2で分圧され、分圧された電圧Vdivと参照電圧発生回路2で生成された参照電圧Vrefとの差分が増幅器1で増幅されて差分信号Vdifとなり、比較器4および発振防止抵抗R3を介して低圧側スイッチング素子TLのゲートに入力される。
【0035】
このように、テスト信号PtestおよびNtestのレベルをそれぞれ設定することにより、上記の(2)高圧側スイッチング素子THを駆動させるテストおよび(3)低圧側スイッチング素子TLを駆動させるテストに記載したように、第1のパッドP1と第2のパッドP2の間に外部素子を接続することなく、負帰還を形成し、実施の形態に係る降圧コンバータ回路をリニアレギュレータとして作動させることができるため、プローブカードを用いて降圧コンバータ回路内の複数の素子に対するプローブテストを同時に行うことが可能となる。具体的には、帰還抵抗R1およびR2、増幅器1、参照電圧発生回路2、比較器4、高圧側スイッチング素子TH、低圧側スイッチング素子TLに対するテストを行うことができる。
【0036】
なお、リニアレギュレータとして作動する際も、増幅器1の利得が十分に大きければ、出力電圧Voutは、
Vout=Vin×r1/(r1+r2)
と表され、降圧コンバータとして動作する際の出力電圧Voutと等価と考えることができる。
【0037】
また、高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLを多段に組み合わせて構成された降圧コンバータ回路に対しても、この発明を適用することができ、この場合、最終段の高圧側スイッチング素子THおよび低圧側スイッチング素子TLのテストを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 増幅器、2 参照電圧発生回路、3 RC回路、4 比較器、5 発振器、6 制御回路、7,8 プレドライバ、9 バイアス電圧生成回路、11 第1の選択器、12 第2の選択器、TH 高圧側スイッチング素子、TL 低圧側スイッチング素子、THp 第1の電流経路確保用素子、TLp 第2の電流経路確保用素子、T1〜T4 スイッチ、G1〜G6 開閉器、P1 第1のパッド、P2 第2のパッド、R1,R2 帰還抵抗、R3 発振防止抵抗、A,B 結合部、Vin 入力電圧、Vout 出力電圧、Vdiv 分圧された電圧、Vref 参照電圧、Vdif 差分信号、Vosc 発振信号、Spwm PWM信号、Ptest,Ntest,Test テスト信号。
図1
図2
図3
図4