【課題】アナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換装置において、ステップ状に変化するアナログ信号をデジタル信号に変換する際の誤差が極力小さくなるような構成を得る。
【解決手段】信号変換装置(22)は、連続して変化する原信号から得られたデジタル信号が、アナログ変換によって時間とともにステップ状に変化する信号波形に変換されたアナログ信号において、信号がステップ状に変化するタイミングを検出するタイミング検出部(31)と、前記アナログ信号を所定のタイミングでデジタル信号として読み込む信号読込部(32)と、前記アナログ信号の信号変化のタイミングと、前記所定のタイミングとのタイミング差を用いて、信号読込部(32)によって読み込んだ信号が前記原信号と一致するような補正値を算出する演算部(33)とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のようなインバータ負荷装置では、該インバータ負荷装置が供試インバータに対して電動機として動作するように、該供試インバータとの間で信号の送受信を行う。特に、インバータ負荷装置が誘導電動機を模擬する場合には、誘導電動機の回転角度と供試インバータの出力の位相とが同期していないため、供試インバータからインバータ負荷装置に対して角度信号を送信する必要がある。
【0006】
上述のような角度信号として、供試インバータ内の所定の角度信号のゼロクロスを検出して信号化したZ相パルスを用いる方法が考えられる。しかしながら、Z相パルスは、電動機が回転していない状態では出力されないため、インバータ負荷装置が電動機の停止状態を模擬している場合には、供試インバータの駆動とインバータ負荷装置の駆動とを同期させることができない。
【0007】
これに対し、供試インバータとインバータ負荷装置との間の通信をアナログ信号によって行うことが考えられる。
【0008】
しかしながら、近年の機器では、内部の信号処理にデジタル信号を用いた構成が一般的であるため、上述のように機器間で信号を授受する際にアナログ信号を用いた場合、該アナログ信号がステップ状に変化する。そのため、受信側の機器で、ステップ状に変化するアナログ信号からデジタル信号を読み込むと、元の信号に対して読み込んだ信号の誤差が大きくなる可能性がある。
【0009】
すなわち、送信側では、デジタル信号をアナログ信号に変換した際に、ステップ状に変化するアナログ信号が生成される。受信側ではそのアナログ信号を所定のサンプリング周期でデジタル信号に変換する。そうすると、ステップ状に変化するアナログ信号をデジタル信号に変換した際に、サンプリング周期によっては元の信号との誤差が大きくなる場合がある。
【0010】
このような誤差は、例えば、上述のように供試インバータからインバータ負荷装置にアナログ信号を送信して、該インバータ負荷装置でアナログ信号をデジタル信号に変換する際などに、特に大きくなる可能性がある。
【0011】
本発明の目的は、電力変換装置においてアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換装置において、ステップ状に変化するアナログ信号をデジタル信号に変換する際に、原信号との誤差ができるだけ小さくなるような構成を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態に係る電力変換装置の信号変換装置は、電力変換装置に入力される電気信号としてのアナログ信号をデジタル信号に変換する電力変換装置の信号変換装置である。電力変換装置の信号変換装置は、連続して変化する原信号からサンプリングによって得られたデジタル信号が、アナログ変換によって、時間とともにステップ状に変化する信号波形に変換されたアナログ信号において、該アナログ信号がステップ状に変化するタイミングを検出するタイミング検出部と、前記アナログ信号を所定のタイミングでデジタル信号として読み込む信号読込部と、前記タイミング検出部によって検出された前記アナログ信号の信号変化のタイミングと、前記所定のタイミングとのタイミング差を用いて、前記信号読込部によって読み込んだ信号が前記原信号と一致するような補正値を算出するとともに、該補正値を用いて前記信号読込部によって読み込んだ信号を補正する演算部とを備える(第1の構成)。
【0013】
以上の構成により、電力変換装置に入力されるステップ状のアナログ信号をデジタル信号として読み込む場合に、信号の誤差を極力小さくすることができる。すなわち、ステップ状に変化するアナログ信号を読み込むタイミングと、該アナログ信号が信号変化するタイミングとのタイミング差を用いて、原信号と一致するような補正値を算出することにより、該原信号に対して誤差の少ない信号を求めることが可能になる。
【0014】
したがって、ステップ状に変化するアナログ信号をデジタル信号に変換する際に、原信号に対して誤差を極力小さくすることができる。これにより、アナログ信号を用いてデジタル制御の機器間で信号の授受を行った場合でも、それらの機器をより精度良く制御することが可能になる。
【0015】
ここで、原信号とは、デジタル信号を所定のサンプリング周期で取得する際の元の信号を意味し、検出器等によってアナログ信号として検出された信号であってもよいし、信号取得前の特性値そのものであってもよい。
【0016】
前記第1の構成において、前記演算部は、前記アナログ信号を微分して該アナログ信号の傾きを求める傾き算出部と、前記アナログ信号の変化のタイミングと前記所定のタイミングとのタイミング差を算出するタイミング差算出部と、前記タイミング差算出部によって算出された前記タイミング差を、前記傾き算出部によって算出された前記アナログ信号の傾きと乗算して、前記補正値を求める補正値算出部とを有する(第2の構成)。
【0017】
これにより、アナログ信号を用いて補正値を求めることができる。したがって、第1の構成を容易に実現することができる。
【0018】
前記第2の構成において、前記タイミング検出部は、前記アナログ信号をフィルタ処理するフィルタ部と、前記アナログ信号と前記フィルタ部によってフィルタ処理された信号との差分を求める差分抽出部とを有する(第3の構成)。
【0019】
これにより、アナログ信号がステップ状に変化するタイミングを容易に検出することができる。すなわち、フィルタ処理によって、ステップ状に変化するアナログ信号の立ち上がり(または立ち下り)を変化させることができる。フィルタ処理していない信号とフィルタ処理した信号との差分を求めることにより、アナログ信号の変化のタイミングを精度良く検出することができる。よって、アナログ信号の変化のタイミングとデジタル信号として読み込む際の所定のタイミングとのタイミング差を容易に算出することが可能になる。
【0020】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、電力変換装置の信号変換装置は、供試インバータの負荷としての誘導電動機を模擬するように構成された電力変換装置の信号変換に用いられる(第4の構成)。
【0021】
このように、供試インバータの負荷としての誘導電動機を電力変換装置によって模擬する場合、誘導電動機(電力変換装置)から出力される回転角度と供試インバータにおいて二相変換に用いる角度とが同期していない。そのため、誘導電動機を模擬する電力変換装置と供試インバータとを同期させる場合には、該供試インバータから電力変換装置に対して角度信号を出力する必要がある。
【0022】
ところで、角度信号として、Z相パルスを用いる方法も考えられるが、このZ相パルスは電動機が回転していない状態では信号出力されない。よって、供試インバータと電力変換装置との間でアナログ信号の授受を行う方法が考えられる。しかしながら、供試インバータ及び電力変換装置は、内部ではデジタル信号によって処理を行う。そのため、デジタル処理後のアナログ変換によって得られるステップ状のアナログ信号からデジタル信号を読み込むことになる。そうすると、読み込んだデジタル信号と実際の角度信号との差が大きくなる。このような構成において、上述の第1から第3の構成を適用することにより、実際の角度信号に対して誤差が極力小さいデジタル信号を得ることができる。
【0023】
前記第4の構成において、前記原信号は、前記誘導電動機の回転角度に関する信号である(第5の構成)。誘導電動機の回転角度は、時間とともに直線状に変化する。このような回転角度をデジタル信号として読み込んだ後、アナログ変換することにより得たステップ状のアナログ信号に対し、上述の第1の構成のように演算部によって補正値を求めることにより、実際の角度信号に近い信号が得られる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態に係る電力変換装置の信号変換装置によれば、ステップ状に変化するアナログ信号の信号変化のタイミングと、アナログ信号からデジタル信号を読み込むタイミングとのタイミング差を用いて、読みこんだデジタル信号が原信号と一致するような補正値を求める。これにより、ステップ状に変化するアナログ信号をデジタル信号に変換する際に、原信号との誤差が極力小さくなるような構成が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0027】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る評価試験装置1の概略構成を示す図である。この評価試験装置1は、供試インバータ2(
図1において供試INV)の駆動を評価するための装置である。詳しくは、評価試験装置1は、供試インバータ2によって駆動制御される電動機及びその負荷を模擬しており、供試インバータ2の出力が電動機の駆動時と同等になるように構成されている。このような評価試験装置1を用いることにより、供試インバータ2に電動機の実機を接続して試験を行うことなく、評価試験装置1によって供試インバータ2の駆動を試験することができる。
【0028】
供試インバータ2には、図示しない制御装置からトルク指令が入力される。供試インバータ2は、入力されたトルク指令に応じて、評価試験装置1に出力する電流を制御する。
【0029】
評価試験装置1は、供試インバータ2に対して誘導電動機と同様の負荷を与えるインバータ負荷装置11(電力変換装置、
図1においてINV負荷装置)と、供試インバータ2とインバータ負荷装置11とを繋ぐ電気経路上に位置するリアクトル12とを備える。インバータ負荷装置11には、図示しない制御装置から回転数指令が入力される。インバータ負荷装置11は、入力された回転数指令と入力された電流の値とから電動機の電圧方程式により電圧指令値を計算し、供試体インバータ2の出力電圧が前記電圧指令値になるように出力の制御を行う。また、インバータ負荷装置11は、入力された回転数指令に応じて、電動機の回転検出器の出力を模擬した信号を出力する。
【0030】
インバータ負荷装置11は、供試インバータ2によって実機の誘導電動機を駆動した場合と同様、モータ電圧を供試インバータ2に出力するように構成されている。また、インバータ負荷装置11は、供試インバータ2によって駆動される実機の誘導電動機と同様、回転角度の信号を出力するように構成されている。
【0031】
なお、本実施形態のインバータ負荷装置11は、供試インバータ2によって駆動される誘導電動機(IM)を模擬可能なように構成されている。誘導電動機の場合、同期電動機とは異なり、誘導電動機から出力される回転角度とインバータにおいて二相変換に用いる回転角度(以下、主回路電気角度という)とが同期していない。そのため、インバータ負荷装置11は、誘導電動機を正確に模擬した回転角度の信号を出力するために、供試インバータ2から主回路電気角度の信号を受信する必要がある。
【0032】
ところで、供試インバータ2からインバータ負荷装置11に主回路電気角度の信号(原信号)を送信する場合、信号のゼロクロスを検出することにより得られるZ相パルスを用いる方法が考えられる。しかしながら、このZ相パルスは、電動機が回転している場合にのみ出力されるため、インバータ負荷装置11が停止状態の電動機を模擬している場合には、供試インバータの駆動とインバータ負荷装置の駆動とを同期させることができない。これに対して、供試インバータ2からインバータ負荷装置11に主回路電気角度の信号をアナログ信号によって送信することが考えられる。
【0033】
本実施形態では、供試インバータ2の内部ではデジタル信号によって信号処理が行われる一方、供試インバータ2がインバータ負荷装置11に信号を出力する際には、デジタル信号をアナログ変換した後、アナログ信号を出力する。そのため、供試インバータ2からインバータ負荷装置11に出力されるアナログ信号は、時間とともにステップ状に変化する信号となる。
【0034】
このようなステップ状に変化するアナログ信号が、主回路電気角度の信号として、供試インバータ2からインバータ負荷装置11に出力されると、インバータ負荷装置11では、アナログ信号から信号を読み取るタイミングによって、信号の誤差が大きくなる場合がある。すなわち、上述のような構成では、供試インバータ2とインバータ負荷装置11との間で信号を授受する際の誤差が大きくなり、供試インバータ2及びインバータ負荷装置11の同期がずれる可能性がある。
【0035】
これに対し、本実施形態のインバータ負荷装置11は、アナログ信号からデジタル信号を読み込む際に、原信号に近くなるように信号を補正する。具体的には、インバータ負荷装置11は、制御部21と、信号変換装置22とを有する。制御部21は、供試インバータ2に接続された誘導電動機を模擬するように、該供試インバータ2の出力電圧に対して所定の出力信号を生成する。信号変換装置22は、供試インバータ2から出力された主回路電気角度のアナログ信号を所定のデジタル信号に変換する。
【0036】
信号変換装置22は、供試インバータ2から出力されたステップ状に変化するアナログ信号から、実際の主回路電気角度により近いデジタル信号を求める。上述のように、インバータ負荷装置11が誘導電動機の停止状態を模擬している場合でも供試インバータ2とインバータ負荷装置11とを同期させるためには、該供試インバータ2とインバータ負荷装置11との間でアナログ信号を授受するのが好ましい。この場合には、供試インバータ2からインバータ負荷装置11に出力される主回路電気角度の信号はステップ状に変化するアナログ信号となる。信号変換装置22は、このアナログ信号から、元の主回路電気角度に近い信号を精度良く求めることができる。
【0037】
詳しくは、信号変換装置22は、入力されるステップ状のアナログ信号の立ち上がり位置及び立ち下がり位置を検出するとともに、それらの検出位置と、該アナログ信号をデジタル信号として読み込むタイミングとのタイミング差を用いて、アナログ信号から読み込んだデジタル信号を補正する。
【0038】
具体的には、信号変換装置22は、タイミング検出部31と、信号読込部32と、演算部33と、基準クロック出力部34とを備える。タイミング検出部31は、信号変換装置22に入力されるアナログ信号Vinの立ち上がり位置及び立ち下がり位置、すなわちアナログ信号Vinの変化のタイミングを検出する。
【0039】
タイミング検出部31は、遅延回路41(フィルタ部)と、差分抽出回路42(差分抽出部)と、波形整形回路43とを備える。
【0040】
遅延回路41は、信号変換装置22に入力されるアナログ信号Vinの変化をフィルタ処理によって遅らせたアナログ信号Vin_dを生成する。差分抽出回路42は、信号変換装置22に入力されたアナログ信号Vinと、遅延回路41によって生成されたアナログ信号Vin_dとの信号差Vsを求める。具体的には、差分抽出回路42は、信号変換装置22に入力されたアナログ信号Vinから遅延回路41によって生成されたアナログ信号Vin_dを減算する。波形整形回路43は、差分抽出回路42によって求められた信号差Vsの信号を矩形波に整形する。
【0041】
上述のような構成を有するタイミング検出部31によって、信号変換装置22に入力されたアナログ信号Vinの信号変化のタイミングを矩形波として出力することができる(
図3のVp参照)。
【0042】
信号読込部32は、アナログ信号Vinからデジタル信号を所定のタイミングで読み込む。具体的には、信号読込部32は、基準クロック出力部34から出力される基準クロックの信号に基づいて演算部33から出力される変換開始信号convstに対応して、アナログ信号Vinからデジタル信号を読み込む。信号読込部32は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータによって構成されている。なお、変換開始信号convstは、一定間隔で出力される矩形状の信号である(
図3参照)。
【0043】
演算部33は、タイミング検出部31で検出したアナログ信号Vinの変化のタイミングと、信号読込部32でアナログ信号Vinからデジタル信号を読み込むタイミングとのタイミング差ΔTを求めるとともに、そのタイミング差ΔTを用いてデジタル信号の補正値を計算する。また、演算部33は、算出した補正値を用いて、デジタル信号を補正することにより、角度信号を得る。
【0044】
詳しくは、演算部33は、タイミング差算出部51と、角速度算出部52(傾き算出部)と、補正値算出部53とを備える。
【0045】
タイミング差算出部51は、タイミング検出部31で検出したアナログ信号Vinの変化のタイミングと、信号読込部32でアナログ信号Vinからデジタル信号を読み込むタイミングとのタイミング差ΔTを求める。タイミング差算出部51は、例えば、タイミング検出部31によって検出されたアナログ信号Vinの信号変化のタイミングから、信号読み込み部32によってアナログ信号Vinからデジタル信号を読み込むタイミングまでの時間を求める。
【0046】
角速度算出部52は、アナログ信号Vinの時間変化を求める(微分する)ことにより、角速度w(傾き)を求める。補正値算出部53は、タイミング差算出部51によって算出されたタイミング差ΔTに、角速度算出部52によって算出された角速度wを乗算することにより、角度信号の補正値ΔT・wを得る。演算部33は、補正地算出部53によって得た補正値ΔT・wをアナログ信号Vinに加算して、補正後の角度信号を得る(
図4参照)。
【0047】
なお、角速度算出部52は、所定の時間間隔で角速度wを算出する。また、補正値算出部53は、角度信号の補正値ΔT・wを算出する場合、最後に計算した角速度を用いて補正値ΔT・wを求める。演算部44は、角速度算出部52によって算出した角速度wが所定値以下の場合には、補正値ΔT・wをアナログ信号Vinに加算せずに、該アナログ信号Vinをそのまま信号出力する。
【0048】
図3に、上述のような構成を有する信号変換装置22における各信号の波形例を示す。
図3において、Vinは、信号変換装置22に入力されるアナログ信号の波形であり、Vin_dは、遅延回路41から出力された信号の波形である。また、
図3において、Vsは、Vin_dからVinを減算した場合の差を示す信号波形であり、Vpは、Vsを矩形状の波形に整形した信号波形である。さらに、
図3において、convstは、基準クロック出力部34から出力された基準クロックの信号に基づいて演算部33から出力された変換開始信号である。
【0049】
図3は、供試インバータ2の主回路電気角度が鋸歯状に変化する場合(Vinの波形において破線で示す)における各信号の波形を示す。主回路電気角度が鋸歯状に変化する場合、供試インバータ2では、デジタル信号として読み込んでアナログ信号に変換することにより、
図3にVinで示すステップ状のアナログ信号となる。
【0050】
Vinが信号変換装置22に入力されると、遅延回路41によって、アナログ信号Vinに対して信号変化の遅れを有するVin_dの信号が生成される。そして、差分抽出回路42によって、VinとVin_dとの信号差Vsが求められる。この信号差Vsは、アナログ信号Vinの信号変化のタイミングを示す信号である。信号差Vsは、波形整形回路43によって、矩形状の波形を有するVpの信号に変換される。
【0051】
タイミング差算出部51は、Vpの信号の立ち上がりのタイミングと、変換開始信号convstの信号の立ち上がりのタイミングとのタイミング差ΔTを求める。補正値算出部53は、タイミング差ΔTと角速度算出部52によって算出された角速度wとを乗算することにより、補正値ΔT・wを求める。演算部33は、
図4に示すように、補正値ΔT・wをアナログ信号Vinに加算することにより、元の主回路電気角度(
図4における破線)により近い角度信号を得る。
【0052】
以上の構成により、信号変換装置22は、信号変換装置22に入力されるステップ状のアナログ信号Vinに基づいて、供試インバータ2内の主回路電気角度を精度良く求めることができる。すなわち、信号変換装置22によって、インバータ負荷装置11に供試インバータ2の主回路電気角度を精度良く読み込むことができる。したがって、本実施形態の信号変換装置22を用いることにより、供試インバータ2とインバータ負荷装置11とを精度良く同期させることができる。
【0053】
しかも、供試インバータ2とインバータ負荷装置11との間ではアナログ信号を用いて信号の授受を行うため、インバータ負荷装置11が誘導電動機の停止状態を模擬している場合でも、供試インバータ2とインバータ負荷装置11とを同期させることが可能になる。
【0054】
したがって、上述のような構成を有する信号変換装置22を用いることにより、インバータ負荷装置1が誘導電動機を模擬する場合でも、該インバータ負荷装置1と供試インバータ2とを精度良く同期させることができる。
【0055】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0056】
前記実施形態では、信号変換装置22を供試インバータ2の評価試を行うための評価試験装置1に用いている。しかしながら、アナログ信号で信号の授受を行うとともに、機器内部ではデジタル信号で処理を行う装置に、信号変換装置22を設けてもよい。すなわち、ステップ状のアナログ信号をデジタル信号に変換する場合に、本実施形態のような信号変換装置22を用いるのが好ましい。
【0057】
前記実施形態では、タイミング検出部31は、遅延回路41によってアナログ信号Vinから信号Vin_dを生成し、信号Vinと信号Vin_dとの信号差Vsを求めることにより、アナログ信号Vinの信号変化のタイミングを信号化している。しかしながら、アナログ信号Vinにおける信号変化を検出可能な構成であれば、タイミング検出部はどのような構成であってもよい。
【0058】
前記実施形態では、ステップ状に変化するアナログ信号の一例として、主回路電気角度の信号を挙げている。しかしながら、連続して変化する信号であれば、主回路電気角度以外の信号であってもよい。
【0059】
前記実施形態では、供試インバータ2を試験するインバータ負荷装置11に信号変換装置22が設けられている。しかしながら、機器同士でステップ状のアナログ信号を授受し且つ受信側でデジタル信号として読み込む構成であれば、どのような構成に信号変換装置を設けても良い。