【課題】サイレージとなる粗飼料からなる粗飼料塊に傾斜面があったとしても、この粗飼料塊を簡単に押さえることにより、品質の高いサイレージを調製することができるサイロ用重石を提供する。
【解決手段】サイレージとなる牧草および飼料用とうもろこしなどの粗飼料が積まれた粗飼料塊をカバーシート材で覆い、カバーシート材を介して前記粗飼料塊を押さえるサイロ用重石10である。サイロ用重石10は、長尺状のチューブ11と、チューブ11の内に封入された粒状の固体からなる重り12と、を少なくとも備える。チューブ11に重り12を充填した状態で、サイロ用重石10が長手方向に沿って可撓性するように、重り12がチューブ11内に充填されている。
サイレージとなる牧草および飼料用とうもろこしなどの粗飼料が積まれた粗飼料塊をカバーシート材で覆い、該カバーシート材を介して前記粗飼料塊を押さえるサイロ用重石であって、
該サイロ用重石は、長尺状のチューブと、該チューブの内に封入された液体および粒状の固体のうち少なくとも一種からなる重りと、を少なくとも備え、
前記チューブに前記重りを充填した状態で、前記サイロ用重石が長手方向に沿って可撓性するように、前記重りが前記チューブ内に充填されていることを特徴とするサイロ用重石。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1および2に示す方法では、サイレージとなる粗飼料が積まれた粗飼料塊をカバーシート材で覆い、カバーシート材を介してタイヤ、土、石等の重石を用いて粗飼料塊を押さえている。しかしながら、粗飼料塊の上部に相当するフラットな部分に、このような重石を載置することは容易であるが、上部から地面までの粗飼料塊の傾斜面(側面)にこれらの重石を載置することは難しく、特に傾斜面の勾配が大きい場合には、重石を載せる作業性も良いものとは言えない。
【0007】
また、粗飼料塊の傾斜面に重石を置くことができない場合、これらの斜面近傍の粗飼料塊とカバーシート材との間には隙間が形成され易く、カビ類がこの隙間内で増殖かつ移動し、調製されるサイレージの品質を低下させることがあった。特に、粗飼料塊からなるスタックには、傾斜面が多いため、このような現象は顕著なものであった。
【0008】
本発明はこのような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところはサイレージとなる粗飼料および飼料用とうもろこしなどの粗飼料からなる粗飼料塊に傾斜面があったとしても、この粗飼料塊を簡単に押さえることにより、品質の高いサイレージを調製することができるサイロ用重石を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を鑑みて、本発明に係るサイロ用重石は、サイレージとなる牧草および飼料用とうもろこしなどの粗飼料が積まれた粗飼料塊をカバーシート材で覆い、該カバーシート材を介して前記粗飼料塊を押さえるサイロ用重石であって、該サイロ用重石は、長尺状のチューブと、該チューブの内に封入された液体および粒状の固体のうち少なくとも一種からなる重りと、を少なくとも備え、前記チューブに前記重りを充填した状態で、前記サイロ用重石が長手方向に沿って可撓性するように、前記重りが前記チューブ内に充填されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、チューブに重りを充填した状態で、サイロ用重石が長手方向に沿って可撓性するように、重りがチューブ内に充填されているので、カバーシート材に覆われた状態の粗飼料塊の上面から地面に亘って、チューブを這わせることができる。すなわち、サイロ用重石で粗飼料塊の傾斜面を簡単に押さえつけることができる。このような結果、サイレージとなる粗飼料からなる粗飼料塊に傾斜面があったとしても、この粗飼料塊をサイロ用重石で好適に押さえ、品質の高いサイレージを調製することができる。なお、本発明でいう「サイロ用重石」とは、上から粗飼料塊を押さえ付けるための重量物であり、重りが石に限定されるものではない。
【0011】
より好ましい態様としては、前記サイロ用重石は、複数連結して用いるものであり、各サイロ用重石のチューブの両端に、サイロ用重石同士を連結する連結具が取付けられている。この態様によれば、連結具を介して、サイロ用重石同士を連結するような構造を採用したので、カバーシート材を介して粗飼料塊にサイロ用重石を敷設する作業効率を高めることができる。
【0012】
このようなサイロ用重石を用いたスタックサイロの製造方法としては、整地された地面上に防水性を有した下地シート材を敷設する工程と、該下地シート材に、前記サイレージとなる粗飼料を積み上げて、前記粗飼料塊となるスタックを成形する工程と、前記カバーシート材として、少なくとも防水性シート材を含むカバーシート材で前記スタックを覆う工程と、前記下地シート材と前記カバーシート材の間において前記スタックが密封されるように、前記カバーシート材に覆われた状態の前記スタックの周縁に沿って、前記カバーシート材の上から前記サイロ用重石を敷設するとともに、前記カバーシート材を介して前記スタックの上面から前記スタックの地面近傍までに亘って、前記スタックの表面を押さえるように、前記サイロ用重石を敷設する工程と、を少なくとも含むものである。
【0013】
この態様によれば、サイロ用重石は、長尺状のチューブであるので、カバーシート材で覆われた状態のスタックの周縁に沿って、カバーシート材の上からサイロ用重石を容易に敷設することができる。さらに、カバーシート材を介してスタックの上面からその地面近傍までに亘ってスタックの傾斜面を含む表面を、サイロ用重石で容易に押さえることができる。
【0014】
さらに、地面に敷設する下地用シート材を、防水性を有したシート材としたことにより、サイロ用重石で押さえられた粗飼料からの粗飼料汁(サイレージ排汁)を、地面に染み込ませることなく、容易に排出することができる。特に、地面の整地をする際に、地面を一定方向に傾斜させれば、粗飼料汁(サイレージ排汁)を一定の箇所に集めることができる。この排汁を管理することにより、スタック内の粗飼料の状態を把握することもできる。
【発明の効果】
【0015】
発明によれば、サイレージとなる粗飼料からなる粗飼料塊に傾斜面があったとしても、この粗飼料塊を簡単に押さえることにより、品質の高いサイレージを調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
1.サイロ用重石について
図1は、本実施形態に係るサイロ用重石を説明するための模式図であり、(a)は正面図であり、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
図2は、
図1に示すサイロ用重石に取付けられる連結具を説明するための図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は取付け状態の側面図である。
図3は、
図1に示すサイロ用重石同士を連結金具で連結した状態の模式的斜視図である。
【0018】
本実施形態に係るサイロ用重石は、後述するように、サイレージとなる牧草および飼料用とうもろこしなどの粗飼料が積まれた粗飼料塊をカバーシート材で覆い、カバーシート材を介して粗飼料塊を押さえるものである。具体的には、サイロ用重石10は、長尺状のチューブ11と、チューブ11の内に封入された、焼砂または山砂など粒状の固体の重り12と、を少なくとも備えている。チューブ11に重り12を充填した状態で、サイロ用重石10が長手方向に沿って可撓性するように、重り12がチューブ11内に充填されている。
【0019】
チューブ11は、長手方向に可撓性を有していれば良く、例えば、熱可塑性樹脂からなる排水ホース(ブルーホースやサニーホースなど)など、重りを封入することができるのであれば、特に限定することができるものではない。
【0020】
また、本実施形態では、チューブ11の両端には、連結金具(連結具)13が取付けられている。
図2(a),(b)に示すように、連結金具13は、U字状の連結具本体13aと、このU字状の連結具本体13aの対向する直線部を繋ぐように、3つの円柱状の金属バー13b,13c,13dが等間隔に、溶接により取り付けられている。
【0021】
各金属バー13b,13c,13dの表面は、周方向に沿って複数の凸部が形成されており(図示せず)、より具体的には、金属バー13b,13c,13dに軸方向に沿ってネジが形成されている。これにより、後述するチューブ11の閉塞部11bとのグリップ力を高めることができる。さらに、U字状の連結具本体13aに取付けられた金属バー13b,13c,13dのうち、中央に位置する金属バー13cは、その両端の一方側に取り付けられた金属バー13b,13dに対して、他方側(反対側)に取付けられている。
【0022】
連結金具13を取り付ける際には、チューブ11の一方の端部近傍を、ベルト状にその内部空間を押し潰した閉塞部11bを形成し、連結金具13の金属バー13d,13cの間に閉塞部11bを通し、さらに金属バー13bで折り返し、さらに折り返した閉塞部11bを、金属バー13c,13dの間に通す。これにより、閉塞部11bは、連結金具13に強固に取付けられる。
【0023】
そして、
図1に示すように、ベルト状の閉塞部11bが連結金具から外れないよう、連結金具13の周りに粘着テープ15を巻き付ける。さらに、チューブ11の他方端部からチューブ11の充填部11aに重り12を充填する。充填後、チューブ11の他方端部も同様に、連結金具13を取り付け、連結金具13の周りに粘着テープ15を巻き付ける。このようにして、連結金具13にチューブ11を取付けるとともに、この内部に、重り12を充填し、これを密封することができる。
【0024】
そして、サイロ用重石同士10,10を連結する際には、
図3に示すように、双方の連結金具13,13の開口13e,13eに1つの金属製のリング20(たとえばカラナビなど)を通す。これにより、サイロ用重石同士10,10を確実に繋ぐことができる。
【0025】
2.スタックサイロの製造方法について
以下に、このようなサイロ用重石を用いたスタックサイロの製造方法を説明する。
図4は、本発明に係るスタックサイロの製造方法を説明するための図であり、(a)は整地された地面を説明するための図、(b)は、下地シート材を敷設する工程を説明するため図である。
図5(a)は粗飼料を搬入する工程を説明するための図、(b)は、搬入された粗飼料を踏圧することによりスタックを成形する工程を説明するための図である。
図6(a)は、第1のカバーシート材(防水シート材)を被覆する工程を示した図、(b)は、第2のカバーシート材を敷設し、
図1に示すサイロ用重石を敷設した状態を説明するための図である。
図7は、
図6(b)に示すB−B矢視断面図である。
【0026】
まず、
図4(a)に示すように、スタックサイロを造成する箇所の地面Gを整地する。ここで、排汁等で泥ねい化している場合には、客土等により再整備する。本実施形態では、スタックサイロを造成する地面Gに隣接した位置に、後述するスタックから流れる排汁を集水する集水渠Tを設ける。また地面Gは、集水渠Tに向かって下方傾斜するように整地する。
【0027】
次に、整地された地面Gおよび集水渠Tの表面上に防水性を有した下地シート材(例えばビニールシート材)3を敷設する。下地シート材3は、粗飼料と地面とを直接接触させないことによりスタック(サイレージ)の不良発酵を抑えるとともに、排汁の泥ねい化を防ぎ、排汁を集水渠Tに流すためのものである。
【0028】
この際に、下地シート材3の敷設後、下地シート材3の周縁の3辺に沿って、複数のサイロ用重石10を配置して、下地シート材3がずれないようにこれを押さえる。さらに、下地シート材3の残りの1辺を粗飼料搬入口とし、下地シート材3の残りの1辺を覆うようにゴムシート材4を敷設する。これにより、運搬車など重機が進入した際に、下地シート材3が損傷することを抑えることができる。
【0029】
次に、
図5(a)に示すように、サイロ用重石10で囲われた下地シート材3の表面の全体に、粗飼料Rが拡散するように載置する。これにより、下地シート材3に載置された粗飼料Rを重機で踏圧した(上方から押し固めた)際に、下地シート材3に重機が直接接触し、下地シート材3が破損することを防止することができる。さらに、
図5(b)に示すように、踏圧した粗飼料Rにさらに粗飼料を積み重ねて、踏圧することを繰り返し、サイレージとなる粗飼料を積み上げて、粗飼料塊となるスタックSを成形する。
【0030】
その後、
図6(a)に示すように、ゴムシート材4およびサイロ用重石10を下地シート材3から取り除き、カバーシート材として、ビニールシートなどの防水性シート材である第1のカバーシート材5でスタックを覆う。この際に、集水渠Tの開口を第1のカバーシート材5の一部で覆うように、第1のカバーシート材5を配置する。
【0031】
図6(b)に示すように、第1のカバーシート材5の上に、第1のカバーシート材5を保護すべく、たとえばブルーシート材などからなる第2のカバーシート材6で第1のカバーシート材5の上をさらに覆う。
【0032】
その後、第1のカバーシート材5と第2のカバーシート材6を介してスタックSを、サイロ用重石10で押さえる。本実施形態では、サイロ用重石10として、二種類のサイロ用重石10A,10Bを準備してこれを用いる。第1のサイロ用重石10Aは、第2のサイロ用重石10Bに比べて、そのチューブ長さが短く、そのチューブ径が大きい。すなわち、第2のサイロ用重石10Bは、第1のサイロ用重石10Aに比べて、そのチューブ長さが長く、そのチューブ径が小さい。このような2種類のサイロ用重石を用いることにより、サイロ用重石の敷設の作業効率を高めることができる。
【0033】
まず、下地シート材3と第1のカバーシート材5の間においてスタックSが密封されるように、第1のカバーシート材5に覆われた状態のスタックSの周縁に沿って、第2のカバーシート材6の上からサイロ用重石10Aを敷設する。この際、サイロ用重石10A同士の連結金具を連結する。
【0034】
次に、第1および第2のカバーシート材を介してスタックSの上面からその地面近傍までに亘ってスタックSの上面および傾斜面を含む表面を押さえるように、サイロ用重石10BをスタックSの短手方向にそって等間隔に敷設する。この際、サイロ用重石同士10B,10Bの連結金具が連結される部分を、スタックSの中央に位置するように、サイロ用重石同士10B,10Bを連結する。
【0035】
なお、本実施形態では、サイロ用重石10AをスタックSの周縁に沿って敷設後、サイロ用重石10BをスタックSの上面および傾斜面を含む表面を押さえるように敷設したが、先に、サイロ用重石10BをスタックSの上面および傾斜面を含む表面を押さえるように敷設して、サイロ用重石10AをスタックSの周縁に沿って敷設してもよい。これにより、サイロ用重石10BでスタックS内の空気を排出した後に、サイロ用重石10Aで、スタックBを密封することができる。
【0036】
このように、サイロ用重石10(10A,10B)は、長尺状のチューブであるので、第1および第2カバーシート材5,6で覆われた状態のスタックSの周縁に沿って、第1および第2のカバーシート材の5,6上からサイロ用重石10Aを容易に敷設することができる。さらに、第1および第2のカバーシート材5,6を介してスタックSの上面からその地面近傍までに亘ってスタックSの傾斜面を含む表面を、サイロ用重石10Bで容易に押さえることができる。
【0037】
このようにして得られたスタックサイロは、
図7に示すように、地面Gに敷設する下地用シート材3を防水性を有したシート材としたことにより、サイロ用重石10Bで押さえられた粗飼料からの粗飼料汁(サイレージ排汁)を、地面Gに染み込ませることなく、容易に排出することができる。特に、地面Gの整地をする際に、集水渠T側に地面Gを傾斜させたので、粗飼料汁(サイレージ排汁)を集水渠Tに効率的に集めることができる。この排汁を管理することにより、スタックS内の粗飼料の状態を把握することもできる。
【0038】
さらに、サイレージとなる粗飼料からなるスタックSの傾斜面を、サイロ用重石同士10B,10Bで簡単に押さえることにより、スタックS内のカビ類の移動を押さえ、調製されるサイレージの品質の低下を抑制することができる。
【実施例】
【0039】
以下の本発明を実施例に基づいて説明する。
<実施例1>
図1に示すと同じ構造のサイロ用重石を作成した。具体的には直径50mm×6mのチューブに、焼砂および山砂を充填し、その両端に連結金具を取り付けた。上辺5.2m×下辺7.6m×高さ1.3m×奥行長さ4.0mのスタックを成形し、この上に、表1に示す個数の上述したサイロ用重石を
図6(b)に示すような配置で載せて、カバーシート材を介してスタックの上方から押さえ付けた。この際、作業性を確認すべく、サイロ用重石の敷設時に、作業者が歩いた歩数と作業時間を測定した。この結果を表1に示す。
【0040】
<比較例1>
実施例1と同じように、スタックを形成し、スタックの上方に使用済のタイヤ(直径80cm、重さ7.3kg/個)を重石として複数載せた。実施例1で用いたサイロ用重石によりスタックを押さえた距離と同等の距離を押さえるように表1に示す個数のタイヤを載せて、カバーシート材を介してスタックを上方から押さえ付けた。この際、作業性を確認すべく、サイロ用重石の敷設時に、作業者が歩いた歩数と作業時間を測定した。この結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(結果1および考察1)
表1からも明らかなように、実施例1のサイロ用重石を用いた場合、比較例に比べて、スタックサイロの短手方向端部(周縁+傾斜面+上面)では、作業時間が約50%、歩数が約60%に低減され、短手方向(傾斜面+上面)では、作業時間が約75%、歩数が約85%低減された。このことから、実施例1のサイロ用重石による敷設作業は省力化に著しい効果をもたらしているといえる。
【0043】
<実施例2>
図1に示すと同じ構造の2種類のサイロ用重石を作成した。具体的には、スタック周縁を押さえるサイロ用重石(
図6(a)サイロ用重石10Aに相当)として、直径65mm×3mのチューブに、焼砂および山砂を充填し、その両端を連結金具を取り付けた重さ15.0kgのサイロ用重石を作製した。
【0044】
さらに、スタックの上面および傾斜面を押さえるサイロ用重石(
図6(a)サイロ用重石10Bに相当)として、直径50mm×6mのチューブに、焼砂および山砂を充填し、その両端を連結金具を取り付けた、重さ20.2kgのサイロ用重石(実施例1と同じサイロ用重石)を作製した。
【0045】
表2に示すように、実施例1と同等のスタックサイロに、
図6(a)に示す配置状態で、2種類のサイロ用重石を敷設した。その後、サイロ内のスタックの中心部、傾斜面において、表2に示すサンプル数(箇所数)のサイレージを採取し、サイレージのカビの有無を測定した。この結果を、表2に示す。
【0046】
<実施例3>
実施例2と同じように、スタックサイロを作製し、2種類のサイロ用重石を敷設した(実施例2と同じ敷設状態)。その後、実施例2と同じように、サイロ内のスタックの中心部、上面、傾斜面において、表2に示すサンプル数(箇所数)のサイレージを採取し、サイレージのカビの有無を測定した。この結果を、表2に示す。
【0047】
<実施例4>
実施例2と同じように、スタックサイロを作製し、2種類のサイロ用重石を敷設した。実施例1と相違する点は、上面および傾斜面に3m間隔でサイロ用重石を配置した点である。その後、実施例2と同じような方法で、サイロ内のスタックの中心部、上面、傾斜面において、表2に示すサンプル数(箇所数)のサイレージを採取し、サイレージのカビの有無を測定した。この結果を、表2に示す。
【0048】
<比較例2>
実施例2と同じように、スタックサイロを作製した。実施例2と相違する点は、スタックの上面および周縁に重石として土砂をトッピングした点である。その後、実施例2と同じように、サイロ内のスタックの中心部、上面、傾斜面において、表2に示すサンプル数(箇所数)のサイレージを採取し、サイレージのカビの有無を測定した。この結果を、表2に示す。
【0049】
<比較例3>
実施例2と同じように、スタックサイロを作製した。実施例2と相違する点は、スタックの周縁のみに重石として土砂をトッピングした点である。その後、実施例2と同じように、サイロ内のスタックの中心部、上面、傾斜面において、表2に示すサンプル数(箇所数)のサイレージを採取し、サイレージのカビの有無を測定した。この結果を、表2に示す。
【0050】
<比較例4>
実施例2と同じように、スタックサイロを作製した。実施例2と相違する点は、スタックの上面に比較例1で用いた使用済タイヤ(重石)を等間隔で配置し、スタックの周縁に土砂(重石)をトッピングした点である。その後、実施例2と同じように、サイロ内のスタックの中心部、上面、傾斜面において、表2に示すサンプル数(箇所数)のサイレージを採取し、サイレージのカビの有無を測定した。この結果を、表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
(結果2および考察2)
表2からも明らかなように、実施例2〜4では、スタック(サイレージ)内にカビ類の発生は見られなかったが、比較例2〜4では、中心部および傾斜面でカビの発生がみられ、さらに、比較例3では、上面にもカビ類の発生がみられた。
【0053】
このことから、サイロ内のスタック(サイレージ)と被覆したカバーシート材に隙間があると、カビ類(主に白カビ、赤カビ)が生じやすくなると考えられ、比較例2〜4のうち重石の敷設が無い箇所ではカビ類の発生が広範囲で確認された。このことから、サイロ用重石を用いることで、スタックの傾斜面も含めて、カバーシート材の固定および密封能力を高めることができるといえる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0055】
本実施形態では、スタックサイロにサイロ用重石を用いたが、たとえば、バンカーサイロ等の水平型サイロに用いてもよい。このような場合であっても、サイレージとなる粗飼料を積み上げた粗飼料塊には傾斜面が存在するため、カバーシート材を介して、この傾斜面を好適にサイロ用重石で覆うことができる。また、サイレージ発酵を必要としない貯蔵物のカバーシートの重石として用いてもよい(砂糖大根などの収穫済み農産物の被覆シートの重石など)。さらに、サイロ用重石を降雨時に雨水排出用の土嚢として用いてもよい。