特開2015-178051(P2015-178051A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-178051(P2015-178051A)
(43)【公開日】2015年10月8日
(54)【発明の名称】水処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20060101AFI20150911BHJP
【FI】
   C02F3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-55571(P2014-55571)
(22)【出願日】2014年3月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和之
(72)【発明者】
【氏名】山本 英貴
(72)【発明者】
【氏名】竹本 真典
(72)【発明者】
【氏名】羽藤 誠
【テーマコード(参考)】
4D028
【Fターム(参考)】
4D028AA07
4D028BA00
4D028CA09
4D028CB01
4D028CC04
4D028CD01
(57)【要約】
【課題】生物処理の処理能力を高度に維持しつつ、外部へ供給される水を効率的に加熱できる水処理システムを提供すること。
【解決手段】水処理システム1は、水を貯留する貯水タンク23と、貯水タンク23に水を供給する水供給ライン2と、廃液に対して生物処理を行う生物が収容される曝気槽25と、空気圧縮機40及び該空気圧縮機40により圧縮された空気を曝気槽25に供給する空気供給ライン3を有するブロワ装置24と、水供給ライン2によって供給される水と空気供給ライン3を流れる空気との間で熱交換を行う熱交換器22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する貯水タンクと、
前記貯水タンクに水を供給する水供給ラインと、
廃液に対して生物処理を行う生物が収容される曝気槽と、
空気圧縮機及び該空気圧縮機により圧縮された空気を前記曝気槽に供給する空気供給ラインを有するブロワ装置と、
前記水供給ラインによって供給される水と前記空気供給ラインを流れる空気との間で熱交換を行う熱交換器と、
を備える水処理システム。
【請求項2】
前記熱交換器は、前記水供給ラインで熱交換を行う請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記貯水タンクの内部で熱交換を行う請求項1に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記熱交換器は、
前記空気供給ラインを流れる空気の熱を熱源とするエバポレータと、
前記水供給ラインによって供給される水と熱交換を行うコンデンサと、
前記エバポレータと前記コンデンサとの間で熱媒体を循環させる循環ラインと、
を有するヒートポンプ式に構成される請求項1から3のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項5】
前記熱交換器は、
前記空気供給ラインに配置される熱交換部と、
前記熱交換部と前記エバポレータとの間で熱媒体を循環させる第2循環ラインと、
を更に有し、
前記熱交換部を介して前記空気供給ラインを流れる空気の熱が前記エバポレータに供給される請求項4に記載の水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場の生産設備等では、生産工程において生じる汚水を処理したり、熱源設備としてのボイラに供給される水に前処理を行ったり等、汚水や水について各種の処理がその系統ごとに行われている。微生物を活用して汚水処理を行う方法を開示するものとして、例えば特許文献1がある。特許文献1には、窒素を含んだ有機性汚水を生物処理槽に導入してブロワにより曝気しつつ生物学的に浄化するに際し、処理槽への流入路の汚水を、ブロワで発生した加熱空気により間接加温することを特徴とする水処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−176476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
菌体等の微生物を用いる水処理では、微生物が好適に活動できるように、微生物が収容される曝気槽内を一定の温度範囲に維持する必要がある。温度範囲を外れた場合、汚水の処理能力の低下を招くおそれがあるため、季節や場所等の外部環境が曝気槽に与える影響も考慮すべきである。この点、特許文献1に開示される方法は、処理される汚水をブロワで発生した加熱空気により間接加温する構成である。そのため、曝気槽の周囲の温度が高い状態にある外部環境によっては、微生物が好適に生物処理を行う温度範囲から外れるまで汚水が加温されてしまうおそれがある。一方で、設備の稼動によって生じる熱は有効に活用されることが好ましい。曝気槽内の生物処理の処理能力を高度に維持しつつ、稼動するシステムの廃熱を効率的に活用するという観点から従来のシステムには改善の余地があった。
【0005】
本発明は、生物処理の処理能力を高度に維持しつつ、外部へ供給される水を効率的に加熱できる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水を貯留する貯水タンクと、前記貯水タンクに水を供給する水供給ラインと、廃液に対して生物処理を行う生物が収容される曝気槽と、空気圧縮機及び該空気圧縮機により圧縮された空気を前記曝気槽に供給する空気供給ラインを有するブロワ装置と、前記水供給ラインによって供給される水と前記空気供給ラインを流れる空気との間で熱交換を行う熱交換器と、を備える水処理システムに関する。
【0007】
前記熱交換器は、前記水供給ラインで熱交換を行うことが好ましい。
【0008】
前記熱交換器は、前記貯水タンクの内部で熱交換を行うことが好ましい。
【0009】
前記熱交換器は、前記空気供給ラインを流れる空気の熱を熱源とするエバポレータと、前記水供給ラインによって供給される水と熱交換を行うコンデンサと、前記エバポレータと前記コンデンサとの間で熱媒体を循環させる循環ラインと、を有するヒートポンプ式に構成されることが好ましい。
【0010】
前記熱交換器は、前記空気供給ラインに配置される熱交換部と、前記熱交換部と前記エバポレータとの間で熱媒体を循環させる第2循環ラインと、を更に有し、前記熱交換部を介して前記空気供給ラインを流れる空気の熱が前記エバポレータに供給されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水処理システムによれば、生物処理の処理能力を高度に維持しつつ、外部へ供給される水を効率的に加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る水処理システムの全体構成図である。
図2】第2実施形態に係る水処理システムの全体構成図である。
図3】第3実施形態に係る水処理システムの全体構成図である。
図4】第4実施形態に係る水処理システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の水処理システムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。
【0014】
第1実施形態に係る水処理システム1の全体構成について説明する。図1に示すように、第1実施形態に係る水処理システム1は、水供給ライン2と、軟水器21と、熱交換器22と、貯水タンク23と、ブロワ装置24と、曝気槽25と、給水ライン4と、を備える。第1実施形態の水処理システム1は、貯水タンク23に貯留された水をボイラ(図面において省略)に供給するとともに、ブロワ装置24によって曝気槽25に曝気を行うものである。以下、水処理システム1が備える各構成について説明する。
【0015】
水供給ライン2は、水の供給源からボイラに水を供給するための水の供給経路である。水供給ライン2は、第1水供給ライン11と、第2水供給ライン12と、第3水供給ライン13と、を備える。水供給ライン2の接続関係の詳細については、各構成で説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、径路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0016】
軟水器21は、水源から供給される水に対して軟水化処理を行うものである。軟水器21には、第1水供給ライン11の下流側が接続されるとともに、第2水供給ライン12の上流側が接続されている。軟水化処理は、イオン交換樹脂を使用する等の適宜の方法により行われる。
【0017】
熱交換器22は、水供給ライン2を流れる水と後述の空気供給ライン3を流れる空気との間で熱交換可能に構成されており、水供給ライン2を流れる水の加熱を行うとともに、空気供給ライン3を流れる空気の冷却を行う。熱交換器22は、水供給ライン2における軟水器21の下流側に配置される。熱交換器22には、第2水供給ライン12の下流側が接続されるとともに、第3水供給ライン13の上流側が接続される。
【0018】
貯水タンク23は、水供給ライン2から送られてきた水を貯留するためのものである。貯水タンク23は、水供給ライン2における熱交換器22の下流側に配置される。貯水タンク23には、第3水供給ライン13の下流側が接続されるとともに、給水ライン4の上流側が接続される。
【0019】
ブロワ装置24は、曝気槽25に曝気を行うためのものであり、空気圧縮機40と、空気供給ライン3と、を備える。空気圧縮機40は、曝気槽25に供給する空気を圧縮するためのものである。本実施形態の水処理システム1は、その稼動中、空気圧縮機40によって空気供給ライン3に連続的に圧縮空気を送り込むように構成される。
【0020】
空気供給ライン3は、空気圧縮機40によって圧縮された空気を曝気槽25に供給するための空気の供給経路である。空気供給ライン3は、第1空気供給ライン31と、第2空気供給ライン32と、を備える。第1空気供給ライン31は、その上流側が空気圧縮機40に接続されており、下流側が熱交換器22に接続される。第2空気供給ライン32は、その上流側が熱交換器22に接続され、下流側が曝気槽25に接続される。空気圧縮機40で圧縮された空気は、第1空気供給ライン31、熱交換器22、第2空気供給ライン32の順に空気供給ライン3を流れて曝気槽25に送られる。
【0021】
曝気槽25は、空気供給ライン3における熱交換器22の下流側に配置される。曝気槽25には、廃液を生物処理するための好気性菌体等の微生物が収容されている。ブロワ装置24から空気が供給されることにより、曝気槽25に収容される微生物の代謝作用によって廃液の有機物が分解される。
【0022】
給水ライン4は、貯水タンク23からボイラへ給水を行うための給水経路である。貯水タンク23に貯留された水は、この給水ライン4を介して熱源機器としてのボイラへ供給される。
【0023】
以上の構成で、第1実施形態の水処理システム1による水処理が行われる。水処理システム1による水処理の動作について説明する。図略の供給源から供給される水は、軟水器21によって軟水処理が行われた後、水供給ライン2を通じて熱交換器22の内部に送られる。ブロワ装置24から供給される空気は、空気圧縮機40によって圧縮されることにより、高温になった状態で空気供給ライン3を通じて熱交換器22の内部に送り込まれる。熱交換器22の内部では、水供給ライン2を流れる水と空気供給ライン3を流れる高温の空気との間で熱交換が行われる。空気供給ライン3を流れる空気は、水供給ライン2を流れる水によって熱を奪われるかたちで冷却されて、適切な温度に調節された後、曝気槽25に送られる。曝気槽25では、適切な温度で送られてきた空気の酸素によって微生物が生物処理を行う。このように、ブロワ装置24で圧縮された空気は、その温度が熱交換器22によって適切に調節された状態で曝気槽25に供給される。これにより、高温の空気によって曝気槽25が加温されすぎて、曝気槽25内の温度が微生物の好適な活動条件から外れる事態を効果的に防止できる。一方、水供給ライン2を流れる水は、熱交換器22の内部で、空気供給ライン3を流れる空気の熱を奪うかたちで加熱された後、貯水タンク23に貯留される。貯水タンク23に貯留された水は、ボイラの稼動に応じてボイラに供給される。第1実施形態の水処理システム1は、ボイラに供給される水の加熱をブロワ装置24の廃熱を利用して行うことができるのである。
【0024】
以上説明した第1実施形態の水処理システム1によれば、以下のような効果を奏する。
第1実施形態の水処理システム1は、水を貯留する貯水タンク23と、貯水タンク23に水を供給する水供給ライン2と、廃液に対して生物処理を行う生物が収容される曝気槽25と、空気圧縮機40及び該空気圧縮機40により圧縮された空気を曝気槽25に供給する空気供給ライン3を有するブロワ装置24と、水供給ライン2によって供給される水と空気供給ライン3を流れる空気との間で熱交換を行う熱交換器22と、を備える。これにより、曝気槽25に供給される空気を適切な温度に冷却でき、曝気槽25内の温度が上昇し過ぎることを防げるので、生物処理の処理能力を高度に維持できるとともに、曝気槽25に供給される空気の冷却時の熱交換を利用して水供給ライン2によって供給される水を効率的に加熱できる。
【0025】
熱交換器22は、水供給ライン2で熱交換を行うように構成される。これにより、貯水タンク23に供給される前の温度が低い状態の水を効果的に加熱できる。
【0026】
次に、第2実施形態に係る水処理システム101について説明する。図2は、第2実施形態に係る水処理システム101の全体構成図である。図2に示すように、第2実施形態に係る水処理システム101は、水供給ライン2と、軟水器21と、熱交換器22と、貯水タンク23と、ブロワ装置24と、曝気槽25と、給水ライン4と、三方弁110と、バイパスライン111と、モータ112と、温度センサ113と、を備える。第2実施形態の水処理システム101は、第1実施形態の水処理システム1の構成に加え、三方弁110と、バイパスライン111と、モータ112と、温度センサ113と、を更に備える構成である。なお、以下の説明において、上記実施形態と同じ構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0027】
三方弁110は、ブロワ装置24によって曝気槽25に供給される空気の供給経路を切り替える切替手段である。三方弁110は、第1空気供給ライン31の経路途中に配置される。この三方弁110には、バイパスライン111が接続されている。第2実施形態では、三方弁110によって、熱交換器22を経由して曝気槽25に送られる経路と、熱交換器22を経由せず、バイパスライン111を通って曝気槽25に送られる経路と、のいずれかに空気の供給経路が切替可能になっている。
【0028】
バイパスライン111は、その上流側が三方弁110に接続されるとともに、下流側が第2空気供給ライン32の経路途中に接続されている。上述のように、三方弁110まで送られてきた空気がバイパスライン111を通るときは、熱交換器22を経由せず、曝気槽25まで直接送られる。
【0029】
モータ112は、三方弁の経路の切替を行うための駆動手段である。温度センサ113は、曝気槽25内の温度を検出するための検出手段である。第2実施形態の水処理システム101は、温度センサ113の検出結果に基づいて空気の供給経路の切替を行うように構成される。
【0030】
第2実施形態の水処理システム101による経路の切替制御について説明する。温度センサ113は、図略のコンピュータ(制御部及び記憶部)に接続されており、該コンピュータは、温度センサ113の検出結果をモニタリングする。コンピュータは、温度センサ113の検出結果が予め設定される所定の温度より高い場合は三方弁110の経路が熱交換側になるようにモータ112を制御し、所定の温度より低い場合はバイパスライン111側になるようにモータ112を制御する。
【0031】
以上説明した第2実施形態の水処理システム101によれば、以下のような効果を奏する。外部の要因等によって曝気槽25内の温度が所定より低く、熱交換器22で冷却する必要がない場合がある。このような場合でも第2実施形態の水処理システム101であれば、温度センサ113の検出結果に基づいてモータ112が駆動され、三方弁110によって空気の供給経路がバイパスライン111側に切り替えられる。これにより、ブロワ装置24から供給される空気は、熱交換器22を経由しないので、冷却されることなく曝気槽25に直接供給される。このように、第2実施形態の水処理システム101によれば、曝気槽25内の温度が低下した場合でも、三方弁110の制御によって空気の供給経路を切り替えて曝気槽25内の温度を適切な範囲に維持できる。
【0032】
次に、第3実施形態に係る水処理システム201について説明する。図3は、第3実施形態に係る水処理システム201の全体構成図である。図3に示すように、第3実施形態に係る水処理システム201は、水供給ライン2と、軟水器21と、熱交換器222と、貯水タンク23と、ブロワ装置24と、曝気槽25と、給水ライン4と、を備える。第3実施形態では、水処理システム201が備える熱交換器222の構成が、第1実施形態の水処理システム1が備える熱交換器22の構成と異なっている。
【0033】
第3実施形態の水処理システム201が備える熱交換器222について説明する。第3実施形態の熱交換器222は、いわゆるヒートポンプ式に構成されており、熱交換部51と、熱交換部循環ライン(第2循環ライン)52と、循環ポンプ53と、エバポレータ61と、ヒートポンプ循環ライン(第1循環ライン)62と、圧縮機63と、コンデンサ64と、膨張弁65と、を備える。
【0034】
熱交換部51は、空気供給ライン3を流れる空気と後述の熱交換部循環ライン52を流れる熱媒体との間で熱交換可能に構成される。熱交換部51は、空気供給ライン3における曝気槽25の上流側に配置される。熱交換部51には、第1空気供給ライン31の下流側が接続されるとともに、第2空気供給ライン32の上流側が接続される。熱交換部循環ライン52は、熱交換部51とエバポレータ61との間で水等の適宜の熱媒体を循環させるための循環経路である。この熱交換部循環ライン52には、熱交換部51と、エバポレータ61と、循環ポンプ53と、が順次環状に接続されている。循環ポンプ53は、熱交換部循環ライン52内の熱媒体を熱交換部51とエバポレータ61との間で循環させる循環装置である。
【0035】
エバポレータ61は、熱交換部循環ライン52を流れる熱媒体を熱源とする蒸発器である。エバポレータ61は、ヒートポンプ循環ライン62によってコンデンサ64と接続される。ヒートポンプ循環ライン62は、エバポレータ61とコンデンサ64との間で熱媒体を循環させるための循環経路である。このヒートポンプ循環ライン62には、エバポレータ61と、圧縮機63と、コンデンサ64と、膨張弁65と、が順次環状に接続されている。
【0036】
圧縮機63は、熱媒体を圧縮して高温高圧にするためのものであり、エバポレータ61から送られてきた熱媒体は、この圧縮機63で圧縮されて高温の状態でコンデンサ64へ送られる。
【0037】
コンデンサ64は、水供給ライン2を流れる水とヒートポンプ循環ライン62を流れる熱媒体との間で熱交換を行うように構成される。コンデンサ64は、水供給ライン2において、軟水器21と貯水タンク23との間に配置される。コンデンサ64には、第2水供給ライン12の下流側が接続されるとともに、第3水供給ライン13の上流側が接続される。
【0038】
膨張弁65は、熱媒体の圧力を低下させる。コンデンサ64から送られてきた熱媒体は、この膨張弁65によって圧力が低下した状態で、エバポレータ61に戻される。
【0039】
次に、第3実施形態の熱交換器222によって行われる空気供給ライン3を流れる空気と水供給ライン2を流れる水との間の熱交換について説明する。
【0040】
まず、曝気槽25に供給される空気の冷却について説明する。ブロワ装置24の空気圧縮機40で圧縮されて高温となった空気は、第1空気供給ライン31を通じて熱交換部51に送られると、熱交換部51の内部を通る熱交換部循環ライン52の熱媒体と熱交換を行い、冷却される。熱交換部51で冷却された空気は、第2空気供給ライン32を通じて曝気槽25に供給され、この供給された空気によって曝気が行われ、微生物による生物処理が行われる。
【0041】
次に、貯水タンク23に供給される水の加熱について説明する。熱交換部51で加熱された熱交換部循環ライン52を流れる熱媒体は、エバポレータ61に送られる。エバポレータ61では、熱交換部循環ライン52を流れる熱媒体とヒートポンプ循環ライン62を流れる熱媒体との間で熱交換が行われ、ヒートポンプ循環ライン62を流れる熱媒体は加熱されて圧縮機63に送られる。一方、熱交換部循環ライン52を流れる熱媒体は冷却されて熱交換部51に戻され、熱交換部循環ライン52を循環する。
【0042】
圧縮機63に送られたヒートポンプ循環ライン62の熱媒体は、圧縮機63により圧縮されて高温高圧の状態でコンデンサ64に送られる。コンデンサ64は、圧縮機63から送られた熱媒体を凝縮液化し、そのときの放熱によって水供給ライン2を流れる水が加熱される。
【0043】
コンデンサ64から送られたヒートポンプ循環ライン62の熱媒体は、膨張弁65で圧力が低下した後、エバポレータ61に戻される。エバポレータ61は、膨張弁65から戻された熱媒体を蒸発させ、このときの気化熱によって、熱交換部51から熱交換部循環ライン52を通じて送られてきた熱媒体が冷却される。以上説明したように、第3実施形態の熱交換器222は、熱交換部51を介して段階的に熱交換を行うヒートポンプ式に構成されるものである。
【0044】
以上説明した第3実施形態の水処理システム201によれば、以下のような効果を奏する。
熱交換器222は、空気供給ライン3を流れる空気の熱を熱源とするエバポレータ61と、水供給ライン2によって供給される水と熱交換を行うコンデンサ64と、エバポレータ61とコンデンサ64との間で熱媒体を循環させるヒートポンプ循環ライン62と、を有するヒートポンプ式に構成される。これにより、ヒートポンプ式に構成される熱交換器222によって、水供給ライン2によって供給される水を十分な温度まで容易に加熱できる。
【0045】
熱交換器222は、空気供給ライン3に配置される熱交換部51と、熱交換部51とエバポレータ61との間で熱媒体を循環させる熱交換部循環ライン52と、を更に有し、熱交換部51を介して空気供給ライン3を流れる空気の熱がエバポレータ61に供給される。これにより、ブロワ装置24の空気圧縮機40によって供給される空気によって直接的に加熱される熱交換部51が故障した場合であっても、その影響を熱交換部51までに抑えることができる。
【0046】
次に、第4実施形態に係る水処理システム301について説明する。図4は、第4実施形態に係る水処理システム301の全体構成図である。図4に示すように、第4実施形態に係る水処理システム301は、水供給ライン302と、軟水器21と、熱交換器322と、貯水タンク23と、ブロワ装置24と、曝気槽25と、給水ライン4と、を備える。第4実施形態の水処理システム301は、第3実施形態の水処理システム201の構成と、熱交換器322の配置場所が異なっている。
【0047】
第4実施形態の水処理システム301が備える水供給ライン302について説明する。第4実施形態の水供給ライン302は、第1水供給ライン11と、第2水供給ライン312と、を備える。第1水供給ライン11は、その上流側が水の供給源に接続されるとともに、下流側が軟水器21に接続される。第2水供給ライン312は、その上流側が軟水器21に接続されるとともに、下流側が貯水タンク23に接続される。
【0048】
第4実施形態の水処理システム301が備える熱交換器322について説明する。図4に示すように、第4実施形態の熱交換器322は、熱交換部51と、熱交換部循環ライン52と、循環ポンプ53と、エバポレータ61と、ヒートポンプ循環ライン62と、圧縮機63と、コンデンサ364と、膨張弁65と、を備える。第4実施形態の熱交換器322は、第3実施形態の熱交換器222と同様に、熱交換部51を介して段階的に熱交換を行うヒートポンプ式に構成される。
【0049】
図4に示すように、第4実施形態の熱交換器322は、その構成の一部であるコンデンサ364が、水供給ライン2から送られてきた水が貯留される貯水タンク23の内部に配置される。第3実施形態の熱交換器322は、熱交換部51、エバポレータ61及びコンデンサ364を介し、空気供給ライン3に供給された空気と貯水タンク23に貯留される水との間で熱交換を行う。
【0050】
以上説明した第4実施形態の水処理システム301によれば、以下のような効果を奏する。
熱交換器322は、貯水タンク23の内部で熱交換を行う。これにより、貯水タンク23の内部の水を加熱するので、貯水タンク23への水の供給が間欠的に行われる場合であっても、ブロワ装置24の稼動によって生じる廃熱を貯水タンク23内部に恒常的に蓄熱できる。
【0051】
また、第4実施形態の熱交換器322は、ヒートポンプ式に構成されているので、貯水タンク23内の水の温度を十分に加熱できる。例えば、ボイラからドレンが貯水タンク23に回収されるような構成等の場合、貯水タンク23内の水の温度がある程度高い状態になることがある。このような場合でも、ヒートポンプ式に構成される熱交換器322によって、貯水タンク23内の水の温度を更に高い温度へと容易に加熱できる。また、貯水タンク23への水の供給は、ボイラの動作に応じて行われるため、間欠的な場合がある。このような場合であっても、第4実施形態の構成であればブロワ装置24から連続的に排出される熱を熱交換器322によって貯水タンク23の内部に蓄熱できるので、ブロワ装置24の廃熱を無駄なく活用できる。
【0052】
以上、本発明の水処理システムの好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、第3実施形態の熱交換器222及び第4実施形態の熱交換器322の構成から、熱交換部51、熱交換部循環ライン52及び循環ポンプ53を省略し、第1空気供給ライン31をエバポレータ61に直接接続する構成に変更できる。また、熱交換器の配置場所についても適宜変更することができる。例えば、給水ライン4に熱交換器を配置することも可能である。
【0053】
また、上記実施形態の水処理システムは、ボイラに給水を行う構成だが、供給先がボイラに限定されるわけではない。給湯システム等の加熱された水を利用する設備に水を供給するような場合にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 水処理システム
2 水供給ライン
3 空気供給ライン
22 熱交換器
23 貯水タンク
24 ブロワ装置
25 曝気槽
40 空気圧縮機
51 熱交換部
52 熱交換部循環ライン(第2循環ライン)
61 エバポレータ
62 ヒートポンプ循環ライン(第1循環ライン)
64 コンデンサ
222 熱交換器
322 熱交換器
図1
図2
図3
図4